- 597 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:02:12 ID:bW4c6hfM0
- ( ・∀・)「――」
「――」
( ´∀`)「――」
「――」
( ・∀・)「――」
( ´∀`)「――」
( ´ω`)「記者会見行かなくてよかった。マジでよかった」
从 ゚∀从「人たっくさんですねぇ。フラッシュもばっしゃばっしゃ」
( ´ω`)「生中継されてるとかマジ無理」
从 ゚∀从「テレビ映りいいですね、モララー」
( ´ω`)「……本人の前ではちゃんと『さん』付けような」
从 ゚∀从「所長さんは脂っこいです」
( ´ω`)「……洗顔って大事だな」
- 599 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:07:00 ID:bW4c6hfM0
- ( ´∀`)「――」
( ・∀・)「――」
「――?」
( ・∀・)「――」
「――」
( ・∀・)「――」
ドッ
( ´ω`)「大勢の前にいるだけでもお腹下るのに、冗談まで飛ばせるとは」
从 ゚∀从「慣れてますねぇ」
( ´ω`)「ああ……前の職場でプレゼン失敗した時のこと思い出した……」
从 ゚∀从「失敗?」
( ´ω`)「スライドのミスに気が付いて、動揺して書類落として、テンパって……」
从 ゚∀从「はあ、大変でしたねぇ」
- 600 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:15:26 ID:bW4c6hfM0
- 从 ゚∀从「たかおか、大きな失敗というのをしたことがないので気持ちあんまり分かんないんですけども」
( ´ω`)「え、そうなの」
从 ゚∀从「はあ。こちとらネガティブになってから、全然」
( ´ω`)「……生前の記憶はまだ戻らないのか」
从 ゚∀从「えっと、前付き合ってた人のこととぉ、あとは死んだ時のことくらい?」
( ´ω`)「どんな感覚なの」
从 ゚∀从「よく漫画とかで言う記憶喪失みたいな、すっぽり抜け落ちてる感というよりは、最初っからなかった、的な」
( ´ω`)「……一般常識とかはあるんだよな」
从 ゚∀从「ああ、言われてみれば。そういや、漫画とか映画とかも覚えてますね」
( ´ω`)「料理も自分で作れてたもんな」
从 ゚∀从「うーん? 自分でも不思議です」
( ´ω`)「ネガティブになるプロセスってまだ分かってないんだよな」
从 ゚∀从「目下、ツン姉さんと一緒に研究中です」
- 601 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:22:33 ID:bW4c6hfM0
- ( ´ω`)「ネガティブ、ね」
从 ゚∀从「あ、ドンダコス開けていいですかぁ?」
( ´ω`)「いいよ」
从 ゚∀从「いっただっきまーす!」バリッ
( ´ω`)「……普通の人間とどう違うんだろ」
从 ゚〜从 モリムシャァ
プシュッ
ξ゚听)ξ「あら、いらっしゃい、ブーンに高岡ちゃん」
( ´ω`)「うん」
从 ゚∀从「姉さんこんちわー」
( ´ω`)「ここコーヒー持ち込みOKかお」
ξ゚听)ξ「いいわよ。でもデスクより奥にはできるだけ持ってこないで」
( ´ω`)「把握した。ハイン、ブラックふたつ。お前もなんか買っていいよ」
つ ちゃりん
从 ゚∀从「アイサー!」
- 602 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:33:12 ID:bW4c6hfM0
- ξ゚听)ξ「高岡ちゃんの体に限ってだけど、人間と大きく違うところは、実はないのよ」
( ´ω`)「そうなの」
ξ゚听)ξ「ええ。うちの研究所の生物班からの情報だと、呼吸器系、消化器系、神経系とか、概ね人間に近いみたい」
从 ゚∀从「えっとですねぇ、あの、膝の少し下をこつんてやる検査も、人間と同じでしたよ?」
ξ゚听)ξ「膝蓋腱反射ね。それ関連の、反射に関する筋電図を見たんだけど、違いは見られなかったわ」
( ´ω`)「じゃあ何が違うの」
ξ゚听)ξ「高岡ちゃんの場合は、脳の一部が人間よりも肥大化してたみたいよ。催眠に関する部位なのかも」
( ´ω`)「へえ」
ξ゚听)ξ「あとは、髪の毛に筋肉みたいな組織が見られたって報告があるわ。特別、人間と違うのはここね」
( ´ω`)「硬化できるのはそういうことか」
ξ゚听)ξ「とは言っても、筋肉とは似て非なる構成らしいけどね」
- 603 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:46:34 ID:bW4c6hfM0
- ξ゚听)ξ「それと、循環器系と細胞にネガティブが溶けてることくらい、かしら」
( ´ω`)「詳しく聞いても分かんなさそうだからその辺でいいや」
ξ゚听)ξ「ま、体を構成する要素としてネガティブが必要ってわけね」
从 ゚∀从「そうそう、思い出した! 瓶詰、いくつか貰ってってもいいですかぁ?」
ξ゚听)ξ「いいわよ。一日一本までね」
( ´ω`)「リポビタンDみたいなノリなんだな」
ξ-听)ξ「うーん、摂取しないとマズイみたいなんだけど、この制限が適正かも分かってないのよ」
( ´ω`)「摂りすぎると」
从 ゚∀从「分かんないです。でも、そんなに欲しいとは思わないですし、実験もまだしてないんですよね」
( ´ω`)「そういえば、三日ほど高岡預けたことあったけど、あの時は」
ξ゚听)ξ「ネガティブの欠乏状態を作ってみたの。食事は出したけどね」
从;゚∀从「あれは辛かったからもうやりたくないです……」
ξ゚听)ξ「単純に飢餓状態になるのかと思ったんだけど、違ったわ」
从;゚∀从「生きながら体が溶けるのは怖いし痛いし……」
- 604 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 02:55:00 ID:bW4c6hfM0
- ( ´ω`)「ん。そういえば、ネガティブって分解を促進するって言ってなかったっけ」
ξ゚听)ξ「そこ、それが変なの。細胞と共存してるのに、ネガティブの中では分解がむしろ抑えられてる」
( ´ω`)「へえ……」
ξ--)ξ「分からないことだらけ……。何か他に要因が絡んでるのかしら……」
( ´ω`)「僕には分からん。専門外すぎる」
ξ-听)ξ「私たちにも分かってるのは、こんなとこ」
从 ゚∀从「ホライゾンさん……」
( ´ω`)「なに」
从 ゚∀从「ミロ、飲み切っちゃいました……」
( ´ω`)「……はい」
つ ちゃりん
从*゚∀从「えっへへ」
プシュッ
( ´ω`)「あ、あのさあ」
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
- 605 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:02:44 ID:bW4c6hfM0
- ( ´ω`)「一緒に服、選んで欲しいんだけど」
ξ゚听)ξ「えっ?」
( ´ω`)「今時の流行りとか分からないし、ツン、センスいいから」
ξ゚听)ξ「え、ええ、いいけど……」
( ´ω`)「助かる。今日暇かお」
ξ゚听)ξ「あ、えっと、ネガティブスーツも私が手を加えるところもない、かな」
( ´ω`)「じゃあ、後で。昼は外で食べよう」
ガタッ
プシュッ
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ(え、なに、嘘、買い物? ブーンが? 今まで引きこもってたのに?)
ξ゚听)ξ(服って身だしなみに気を付けろって言ったからよね。私にセンスがいいって、褒めてる?)
ξ゚听)ξ(っていうか)
ξ゚听)ξ(……これ、デート?)
- 606 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:14:49 ID:bW4c6hfM0
- ( ´ω`)「……カルボナーラ大盛りで。あと、エスプレッソダブルで」
「エスプレッソは食後でよろしいですか?」
( ´ω`)「……食後で」
ξ゚听)ξ「……」
( ´ω`)「ツンは」
ξ゚听)ξ「……あ、ボンゴレビアンコとセットサラダ」
( ´ω`)「で」
从*゚∀从「ゴルゴンゾーラピッツァとペンネアラビアータとオレンジジュースを!」
( ´ω`)「……残すなよ」
从*゚∀从「もっちろん!!」
ξ゚н゚)ξ(恥ずかしい、何かを勘違いしたのが恥ずかしい)
- 607 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:26:01 ID:bW4c6hfM0
- 从 ゚∀从「これはどうです?」
ξ゚听)ξ「あら、ワンピース似合うわね。でも今は寒いから――」
从 ゚∀从「ボーイッシュっていうんですか、こういうの」
ξ゚听)ξ「もう少しガーリーなのもいいかしら――」
从 ゚∀从「レギンスにホットパンツ!」
ξ゚听)ξ「ほう、これはなかなか……――」
从 ゚∀从「私結構、サロペット好きかもしれないです」
ξ゚听)ξ「うーん、私があんまり好きじゃないんだけど――」
从 ゚∀从「コート、赤がいいですかねぇ? それとも無難に黒?」
ξ゚听)ξ「高岡ちゃんのイメージだと――」
从 ゚∀从「スヌードってのも可愛い!」
ξ゚听)ξ「こっちの柄はどう? なかなかシンプルで――」
( ´ω`)きゅっ
つ□
「おじちゃん、なにのんでんのー」
( ´ω`)「ダメな大人の飲み物。あと、お兄ちゃんな」
- 608 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:32:37 ID:bW4c6hfM0
- ( ´ω`)「決まったか」
ξ゚听)ξ「うん、とりあえずこの店ではこれくらい」
( ´ω`)「……この店では」
ξ゚听)ξ「うん。だって、高岡ちゃん全く服持ってないんだもの。着回しきくやつ選んでも、まだ足りないわよ」
( ´ω`)「ああそう……」
从*゚∀从「あっ、このミュール可愛いです!」
( ´ω`)「……靴か」
从*>∀从「あっちの店のティンバーランドもゴツ可愛い!!」
( ´ω`)「……店員呼んで来い。履け」
ξ゚听)ξ「……アンタ、お財布大丈夫なの?」
( ´ω`)「まあ、使ってないから……」
从*゚∀从 〜♪
- 609 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:41:28 ID:bW4c6hfM0
- ( ´ω`)「それにまあ、あいつが嬉しそうだから」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ(なんだろう、この感じ。嫉妬? まさかね……)
从*゚∀从「真っ白なスニーカーもいいなぁ」
( ´ω`)「置く場所なくなるからほどほどにな」
从*^∀从「はいっ!」
ξ゚听)ξ(だって、相手はネガティブだし……)
( ´ω`)「高岡、スカート履いて座るならもう少し色々気にしなさい」
从*゚〜从「はぐっ!」
ξ゚听)ξ(……『人間と大きく違うところはない』)
( ´ω`)「ツン」
ξ゚听)ξ「え、なに?」
( ´ω`)「なんか考えてない」
- 610 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:49:35 ID:bW4c6hfM0
- ξ゚听)ξ「ううん、なんでもないわよ」
( ´ω`)「……なんかあったら言ってくれ」
ξ゚听)ξ「なんか、最近ブーン、優しいね」
( ´ω)「……そういうんじゃない」
ξ゚听)ξ「じゃあどういうの?」
( ´)「さあね……」
从 ゚∀从「決まりましたっ!」
( ´ω`)「ん。じゃあレジ行こうか」
从 ゚∀从「はいっ」
( ´ω`)「ツン、ちょっと荷物見てて」
ξ゚听)ξ「分かった」
( ´ω`)从 ゚∀从
ξ゚听)ξ(……腕、組んでる)
ξ゚听)ξ
ξ;--)ξ(だから何よ……)
- 611 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 03:56:45 ID:bW4c6hfM0
- ブロロロロロ
( ´ω`)「帰ったら防ネガティブ加工してもらおう」
从 ゚∀从「開発班の人にお礼言わなくっちゃですねぇ」
ξ゚听)ξ「開発途上のスプレー型だから、洗濯する度に塗布しないといけないんだけどね」
( ´ω`)「これまで着てた検査服みたいなのは繊維がそういう素材なんだっけ」
ξ゚听)ξ「そ。ネガティブスーツの皮膚に近いところを構成してるのもそれ」
从 ゚∀从「へえ〜」
( ´ω`)「ん……。ツン、車止めて」
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
( ´ω`)「猫轢かれてる」
- 612 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:05:02 ID:bW4c6hfM0
- バタン
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「可哀想に……」
从 ゚∀从「お腹だけ潰れちゃってますねぇ」
( ´ω`)「寒い時期でまだよかった。腐らずに済んでる」
スッ
从 ゚∀从「ホライゾンさん、どこに持ってくんですか?」
( ´ω`)「せめて道の脇に埋めてやろうかと」
从 ゚∀从「うーん、それなら私がやりますよ」
( ´ω`)「お前がやると死体腐らないかな」
从 ゚∀从「うん、それです、それ。早く土に還しちゃいましょ」
- 613 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:14:28 ID:bW4c6hfM0
- ξ゚听)ξ「土に還しちゃいましょって」
从 ゚∀从「分解です。これ見てください。出せるようになったんですよ、ネガティブ」
ポゥ
( ´ω`)「ネガ玉……逆元気玉か」
从 ゚∀从「これを押し込んでおけばすぐ土に還りますよ!」
ξ゚听)ξ「……それってなんか、ちょっと違うんじゃないかしら」
从 ゚∀从「はい?」
ξ゚听)ξ「上手く言えないけど……」
( ´ω`)「……高岡、普通に埋めるぞ」
从 ゚∀从「なんでです? 早く分解した方が色んな生物が栄養にできません?」
( ´ω`)「はい、王様の命令は〜」
从 ゚∀从「……絶対〜」
- 614 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:23:09 ID:bW4c6hfM0
- ザッザッザッ
( ´ω`)「……よし」
从 ゚∀从「ちょっと時間かかりましたね」
( ´ω`)「帰るか……」
从 ゚∀从「あのぅ」
( ´ω`)「ん」
从 ゚∀从「私、さっき何かおかしなこと言いました?」
( ´ω`)「……微妙」
从 ゚〜从「む?」
( ´ω`)「分からないなら、理解できないなら、しなくてもいい」
从 ゚〜从「うーん?」
( ´ω`)「……まあ、気にするな。すぐ忘れる」
从 ゚∀从「ならいいです! 気にしません!」
- 616 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:34:07 ID:bW4c6hfM0
- プシュッ
ξ゚听)ξ「……ふう」
ξ゚听)ξ「なんか久しぶりにたくさん買い物したわ」
ξ゚听)ξ「自分のじゃないけど」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ「やっぱり、高岡ちゃんは人間とは違う」
ξ゚听)ξ「ネガティブは、ネガティブ。別の生き物だわ……」
ξ゚听)ξ「精神構造が私たちとは違う……」
ξ゚听)ξ「倫理観を矯正すればいいのかしら」
ξ゚听)ξ「矯正……」
ξ∩听)ξ「うつの人間を利用してる立場の人間が、『正常』を語っていいのかしら」
ξ∩ )ξ「……少し寝ようかしら」
フカッ
ξ )ξ「疲れちゃったな……」
- 617 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:42:58 ID:bW4c6hfM0
- ( ´∀`)「お疲れ様モナ。会見も取材も以上モナ。部屋に戻って休むといいモナよ」
( ・∀・)「はい! それでは!」
( ´∀`)「さてさて、堅苦しいスーツがようやく脱げるモナー」
( ・∀・)「……僕もネクタイを外そう」
ピッピッピッ
プシュッ
( ・∀・)「ふう……」
バタッ
『ヒーローの復帰を国民全員が待ち望んでいました!』
( つ∀ )「ヒーロー、か」
「見ていましたよ」
( つ∀ )「……またお前か」
「立派な姿でした。多くの人があなたの復帰を望んでいたようですね」
( ・∀ )「今日は何の用だ……」
「ただ私はあなたの勇姿に感服したと、そう伝えたかっただけですよ」
- 618 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:53:55 ID:J8akZOPE0
- ( ・∀ )「ならもういいだろう。消えてくれ」
「私はいつでもあなたを見ていますよ」
( ・∀ )「……」
「いつでも、ね。モララー」
シン...
ムク
( -∀・)「……いなくなったか」
コロ
( ・∀・)「ポジティブの結晶」
( ・∀・)「これをもっと利用すれば……」
( ・∀・)「奇跡を起こす力を引き出せれば……」
( ∀ )「……ココ。君は、戻ってきてくれるのかな?」
- 619 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 04:56:47 ID:J8akZOPE0
「本当に、戻ってきてくれるのかな?」
.
- 620 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:07:21 ID:J8akZOPE0
- ババババババ
『VIP区都市部! 到着します!』
『二人とも! 今回は久しぶりに都市部での戦闘モナ! いいモナか――』
( ◎н◎)「被害は軽微に」
( ОΜО)「迅速に処理!」
『そうモナ! その上で、内藤くんは久しぶりのスーツ着用だから、充分に注意してくれモナ!』
( ◎н◎)「追加武器の訓練もしてるから大丈夫」
( ОΜО)「必殺技も開発しましたからね!」
( ◎н◎)「……名前、ホントに言わないとダメかお」
( ОΜО)「その話は何度もしたでしょう!」
( ◎н◎)「一方的にね……」
- 621 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:15:50 ID:J8akZOPE0
- 『確認するわよ、二人とも。今回のネガティブはレベル7。強敵よ。しかも二体』
( ◎н◎)「男型と女型。しかも自我がはっきりしてる」
『そう。だから、下手に会話しないで。惑わされるかもしれないわ』
( ОΜО)「確か、既に能力を発揮しているんでしたよね」
『どうやら、水を操っているみたい。住民が何人も水に包まれて殺されているわ』
( ОΜО)「許せない……!」
( ◎н◎)「モララーくん、落ち着け。ヘリの手すりが曲がってる」
『何よりもまずは住民の安全を確保してくれモナ。特に内藤くん』
( ◎н◎)「分かってる。以前のようには戦わない」
- 622 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:22:28 ID:J8akZOPE0
- 『頼むモナ。記者会見した手前、世間体というものが今まで以上に絡んでくる』
( ◎н◎)「マスコミのヘリも飛んでるな……」
( ОΜО)「スポンサーがどうこうじゃないんです。国民が敵に回るかもしれないんですよ」
( ◎н◎)「その辺も話を聞いた。一方的に」
( ОΜО)「一度だけ、僕がミスを取り上げられたことがあります……」
( ◎н◎)「……覚えてる。少女を助けられなかった事件だろ」
( ОΜО)「遺族が僕と研究所を責め、一部の国民もそれに加わった」
( ◎н◎)「研究資金が一時的に止められて、活動も休止を余儀なくされた」
( ОΜО)「皮肉にも、その制限をなくしてくれたのは、別の犯罪者だったわけですけどね……」
( ◎н◎)「……そういうもんじゃないの、人間ってのは」
- 623 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:29:07 ID:J8akZOPE0
- ( ОΜО)「……それでも、僕は正義の人でありたい! 皆を守りたい!」
( ОΜО)「誰かに恨まれてもいい、誰かに疎まれてもいい!」
( ОΜО)「僕は、僕の信じた正義を成したい! 罪なき人々の盾になりたいんです!」
( ◎н◎)「……そうか」
『モララーくん、内藤くん! もうじき投下ポイントに着くモナ! 準備を!』
( ◎н◎)「了解」
( ОΜО)「了解!」
『二人とも、生きて帰ってきてね』
( ◎н◎)「……」
( ОΜО)「もちろんです!」
- 624 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:33:22 ID:J8akZOPE0
- 『コード:ネガティブ! コード:ポジティブ! 投下!』
バッ バッ
ヒュゥゥゥゥゥ
( ОΜО)クルックルックルッ
( ◎н◎)
( ◎н◎)(僕には信念なんてものはない)
( ◎н◎)(ただ、ちょうどうつだからここにいるだけ)
( ◎н◎)(それはツンも認めたところだ)
( ◎н◎)(僕がバッシングを受けるようなミスをしたら)
( ◎н◎)(誰かを守り切ることができなかった)
( ◎н◎)(何を支えに戦い続けることができるんだろう)
( ◎н◎)(僕は……)
- 625 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:43:47 ID:J8akZOPE0
- ズシン ズシン
シュゥゥゥゥゥゥ
( ◎н◎)「ネガティブスーツ、到着」
( ОΜО)「雷電! 参上!」
ゴボゴボゴボ
グボッ
「……!!」
「お父さん! お父さん!」
( ОΜО)「今すぐその人たちを解放しろ!!」
(,,゚Д゚)「……やっぱり来たか、ヒーロー」
(;*゚ー゚)「ギコくん……」
(,,゚Д゚)「大丈夫だ、しぃ。俺たちには力がある。負けやしないさ」
( ◎н◎)(……力の制御もできている。名前の記憶もある。これは厄介そうだ)
( ОΜО)(……カップルのネガティブ? 心中でもしたのか?)
- 627 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 05:53:02 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「自己紹介しよう」
( ОΜО)「早くその人たちをォ!! 解放しろとォ!!」
ダッ
( ОΜО)「言っているッ!!」
(,,゚Д゚)「話している相手に飛び蹴りとは随分だな」
グニュ
ゴボッ バシャァッ
( ОΜО)「!!」
( ◎н◎)(水の膜。ただの水じゃあないな……)
(,,゚Д゚)「俺は、ギコ。あっちはしぃだ」
(;*゚ー゚)「ギコくんっ! 危ないっ!」
( ◎н◎)「僕はお喋りは嫌いだ」
つ=|二ニニニフ シャガッ
ヒュン
(,,゚Д゚)「お、っと」
『見切られた!?』
- 628 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:00:49 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「話がしたい」
( ОΜО)「悪党の話を聞く暇はない!!」
( ◎н◎)「……」
つ=|ニニニニニニニニニニニニフ シュォォォ
(;*゚ー゚)「ダメだよ、ギコくん……この人たちは話聞いてくれないよ……」
『二人とも! 早くして! 拘束されてる人たちがもたない!!』
( ◎н◎)
つ=|ニニニニニニニニニニニニフ スゥッ
ヒュン ヒュン ヒュン
(,,゚Д゚)「ちっ」
バシャッ バシャァッ
『防御に水を回してる間は拘束が弱まってるモナ! 今のうちに!』
( ОΜО)「僕が!!」
ダッ
(;*゚ー゚)「ああっ」
- 629 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:07:16 ID:J8akZOPE0
- ( ОΜО)「大丈夫ですか!?」
「げほっ!! げほっ!! し、死ぬかと……」
「ありがとう、モララーさん……」
「こっちの人は、息をしてないみたいだ……。早く、なんとか……」
( ОΜО)「誰か心肺蘇生できる人は!?」
(;*゚ー゚)「せっかく、せっかく……」
( ◎н◎)「……」
つ=| シュン
(;*゚ー゚)「せっかく、もう少しであの人たちを解放できたのに……」
( ОΜО)「!?」
( ◎н◎)「どういう意味だ」
(,,゚Д゚)「そのままの意味さ。この世から、解放してやろうとしてたんだ」
- 631 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:13:52 ID:J8akZOPE0
- (;*゚ー゚)「こんなに苦しい世界から解き放つにはもう……」
( ОΜО)「何を勝手なこと言ってるんだ!! ふざけるな!!」
( ◎н◎)「……言っちゃあなんだが、安いネガティブだな。あんたら」
( ОΜО)「許さない! 絶対に、お前らを許さない!」
『二人とも! 話はいい、早く倒して!』
(,,゚Д゚)「あんたら、死んだことあるか?」
( ОΜО)「うるさい!」ダッ
(,,゚Д゚)「質問を変えよう」
( ОΜО)「黙れ!」
(,,゚Д゚)「大切な人を亡くしたことはあるか?」
( ОΜО)「!!」
『モララーくん! 耳を貸しちゃダメモナ!』
- 632 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:20:27 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「俺はある。両方とも、同時にな」
( ОΜО)「なん、だと?」
( ◎н◎)「……何をしてる。耳を貸すなと言われてるだろう」
(,,゚Д゚)「俺たちの死んだ原因を聞きたいか?」
(;*゚ー゚)「ギコくん止めて。あたし、思い出したくない」
( ОΜО)「……」
( ◎н◎)「ネガン、スタンバイ」
『スタンダードモード起動。発射できます』
(,,゚Д゚)「俺たち二人して、自殺を強要されたんだよ」
(;* ー )「……」
( ◎н◎)「……」
つy=― チャキッ
( ОΜО)「内藤さん! 待って!」
( ◎н◎)「何する――」
ドン バゴォン
- 633 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:28:14 ID:J8akZOPE0
- 『ビルが!』
バラバラバラ
「うわあああ!」
「早くここから逃げるんだ!」
「でも、まだ蘇生が……」
「とにかく運びましょう!! ここにいちゃ危ない!!」
(,,゚Д゚)「……ヒーローが要救助者をほったらかして味方の邪魔か?」
( ◎н◎)「……」
( ОΜО)「待ってください、内藤さん」
『何してるモナ、モララーくん!!』
( ОΜО)「少し、時間をください。モナーさん」
『馬鹿なことを! これ以上の勝手な真似は許さないモナよ!!』
『モララーくん、聞いて。彼らが真実を語っているとは限らない。同情を引くための嘘だって可能性もある』
- 634 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:35:24 ID:J8akZOPE0
- ( ◎н◎)「……ネガティブナックル、起動」
( ОΜО)「待ってください!」
『あの時のことを思い出してるのね……?』
『……ココくんの件は君のせいじゃないモナ。今はそれを忘れて――』
( ОΜО)「忘れられるわけなんてないじゃないですか!!」
(,,゚Д゚)「どうした、ヒーロー。話す気にでもなったか?」
( ◎н◎)「……おい、モララー」
( ОΜО)「なん――」
バキィッ
- 635 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:38:45 ID:J8akZOPE0
- ( ОΜО)「ぐあっ!?」
( ◎н◎)「壊れたか」
( ОΜО)「何を、するん、ですか!!」
(,,゚Д゚)「仲間割れか? 何もしないなら、俺たちは行かせてもらうぞ」
(*゚ー゚)ホッ
(,,゚Д゚)「しぃ、次の街に行くぞ」
( ◎н◎)「待てよ」
( ◎н◎)「モララー、壊れたか、って訊いてるんだよ」
( ОΜО)「何を、言ってるんです、か。……?」
- 636 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 06:46:10 ID:J8akZOPE0
- 『ザザッ――ブーン――何して――ザザザッ――』
( ОΜО)「通信機が……?」
( ◎н◎)「上手く壊れたみたいだな。構造を理解しておいてよかった」
( ОΜО)「なんでですか……? 内藤さん、こんなこと……」
(,,゚Д゚)「……?」
( ◎н◎)「指示が聞こえないのなら、仕方ない。独断で行動するしかないな」
( ОΜО)「!」
(;*゚ー゚)「え? え? なに?」
( ОΜО)「すみません、内藤さん……」
( ◎н◎)「僕はヒーローじゃないからな。礼を言われるようなこともしない」
(,,゚Д゚)「……少し、話ができそうだな」
- 637 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 07:01:09 ID:J8akZOPE0
- ( ◎н◎)「僕は長話が嫌いなんだ。要点だけ伝えろ」
(,,゚Д゚)「理解されようとも思わないが、少しは言い分を聞いて欲しくてな。礼を言う」
( ОΜО)「それで?」
(,,゚Д゚)「……俺たちは、とにかく金がなくってな」
(*゚ー゚)「私たち、二人とも両親がいなくてね。遺産なんてものもなかったの」
(,,゚Д゚)「当然、孤児院に入ることになった。俺たちが出会ったのはそこでだ」
(,,゚Д゚)「ひでぇ環境だったよ……。筆舌に尽くしがたいってのはああいうことを言うんだろうな」
(*゚ー゚)「それでもね、私は、ギコくんがいたら幸せだったの。お金がなくっても、食べ物が乏しくっても」
(,,゚Д゚)「二人でいたら生きていけると思ってた。思ってたんだよ」
( ◎н◎)「……」
- 638 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 07:12:50 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「状況が変わったのは、しぃが養子に出てからだ」
(* ー )「……」
(,,゚Д゚)「なあ、劣悪な環境しか提供できない孤児院が、まともな養子縁組を持ってくると思うか?」
( ОΜО)「……」
( ◎н◎)「オモチャにされたのか」
(,,゚Д゚)「しぃは誰にも言えずに四年も耐えた。四年もだ」
(,,゚Д゚)「俺はその間、何度も連絡を取った。でも、ずっとそれを隠してきた」
(,, Д゚)「でもよお……知りたくなくても知っちまうんだよなあ……」
(* ー )「ギコくん」
(,, Д゚)「あの糞野郎、俺の見てる前で――」
(* ー )「もう、止めて」
- 639 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 07:23:43 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「その後さ、俺もオモチャにされたのは。色々やられたぜ。死んだ方がマシだと何度も思った。何度も、何度も」
( ОΜО)「そんな、ひどいことが」
(,,゚Д゚)「そう思うだろ? でも、現実だったんだよ。残念ながら、逃げ出せない、どうしようもない、現実だったんだよ」
( ◎н◎)「……」
(,,゚Д゚)「最後の一ヶ月。俺たちに飽きたそいつは、あることを思いついた」
(,,゚Д゚)「コンテナに少ない食糧とカメラを置いて、閉じ込められた俺たちがどうするかって遊びだ」
(,,゚Д゚)「くく……」
(,,゚Д゚)「くははははは!! すごいだろ!! 俺たちは本当にオモチャだったのさ!!」
- 640 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 07:36:11 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「何ができたと思う? カメラの録画ランプだけが明かりの世界でさ」
(,,゚Д゚)「寝てるのか起きてるのかも分からない状態で、何ができたと思う?」
(,,゚Д゚)「減っていく食糧、糞尿にまみれていく体、失われていく体温、時間の感覚さえなくし、次第に上下さえもわからなくなっていく」
(,,゚Д゚)「さあ、俺たちには何ができた?」
(,,゚Д゚)「恨むことさ」
(,,゚Д゚)「ただただ、恨むことだ。全てを恨むことだ」
(,,゚Д゚)「生まれを、育ちを、周囲の人間を、俺たち以外の人間を、世界を、恨むことさ」
(,,゚Д゚)「二人でいれば幸せだなんて言うのは幻想だった! それは、もっと普通の幸せがある上で成り立つものだった!」
- 641 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 07:48:28 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「食糧が尽きて、しばらくしてから、俺たちは互いを少しずつ食べた」
(,,゚Д゚)「足先から、汚れた体を食べていった」
(,,゚Д゚)「始めは何度も吐き戻したよ。すぐにそれをまた食べ直したけどな」
(,,゚Д゚)「失血で薄れゆく意識の中、俺たちは恨み続けた」
(,,゚Д゚)「這う力もなくなり、言葉を交わすのも難しくなった時、俺は提案した。いや、提案した気になっただけかもしれない……」
(,,゚Д゚)「もう、苦しみから解放されよう、と」
(,,゚Д゚)「……きっと、それがあいつの求める行動だったのかもしれないけどな」
(* ー )「……」
- 642 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 08:03:16 ID:J8akZOPE0
- (,,゚Д゚)「あとは、どうしたのか覚えていない。俺はしぃの喉を食い千切った気もするし、その逆の気もする。もしかしたら、ただの幻覚かもな」
(,,゚Д゚)「ただ、これだけは確信してる。――俺たちは同時に死んだ」
( ◎н◎)「……恨みに恨んだ世界へ戻ってきた気分はどうだ」
(,,゚Д゚)「悪くないさ。これから俺たちで遊んだやつにお礼参りができる」
(,,゚Д゚)「それに、こうして最も会いたかった人間の一人にも会うことができた。あんたさ、ヒーロー・モララー」
( ОΜО)「僕……」
(,,゚Д゚)「気付かないわけじゃないだろう? あんたの救えない人間がいることに」
(,,゚Д゚)「一握りの人間を救う裏で、救われない人間もいる。あんたの見ていないところにも、悪はある」
(,,゚Д゚)「死が、あるんだよ」
(,,゚Д゚)「あんたが相手にするのは、テレビを賑わす怪人ばかりか?」
( ОΜО)「それは、違う……!」
- 643 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 08:04:09 ID:J8akZOPE0
(,,゚Д゚)「なら、なんで俺たちを助けてくれなかったんだ?」
.
- 644 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 08:15:16 ID:J8akZOPE0
- ( ОΜО)「……ッ」
(,,゚Д゚)「そんなわけだ。だから、俺たちは唯一、人間が解放される手助けをすることにした」
( ◎н◎)「誰かにとっての悪になってもか」
(,,゚Д゚)「どうせ誰もが、誰かにとっては悪さ。完全な善悪なんてものはない」
( ◎н◎)「少なくとも、独りよがりの押し付けは悪だろう」
(,,゚Д゚)「どう思う? なあ、ヒーローさん。俺の行動は独りよがりだってよお」
( ОΜО)「……」
(,,゚Д゚)「無言。そうかそうか、あんたも正義の押し付けをしてるもんな」
( ОΜО)「違う……ッ! 僕は、ただ誰かを守りたくて……!!」
(,,゚Д゚)「なら俺を止めるのは筋違いだ。俺だって、この世の苦しみから人を守ろうとしてる」
- 645 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 08:27:10 ID:J8akZOPE0
- ( ◎н◎)「恨んでたのに人間を救うのか。優しいな」
(,,゚Д゚)「まあ、それもひとつの建前。本音としちゃあ、気に食わないから殺して回るだけだ」
(;*゚ー゚)「ギコくん!?」
(,,゚Д゚)「冗談だよ、しぃ」
( ◎н◎)「……悪趣味だな」
(,,゚Д゚)「そうさ、俺はあんたの言うところの悪だからな。ふむ、そっちの方のヒーローはなかなか口が立つな。気に入った」
( ◎н◎)「僕はヒーローじゃない。気に入られたくもない」
(,,゚Д゚)「名前は?」
( ◎н◎)「……『すごいうつの人』」
(,,゚Д゚)「名乗りたくないってわけか。それもいいさ。どうせ、俺たちを見逃すつもりはないんだろう?」
( ◎н◎)「まあね」
(,,゚Д゚)「なら、やろうか、そろそろ。どっちかが死ぬまで終わらないんだ」
- 646 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 08:38:32 ID:J8akZOPE0
- ( ◎н◎)「はあ……。話が長かったからくたびれたよ」
(,,^Д^)「ははは、そいつは悪かった」
(;*゚ー゚)「ギコくん……」
(,,゚Д゚)「やれるか? しぃ」
(*゚ー゚)「ギコくんと一緒なら」
( ОΜО)「……」
( ◎н◎)「おい。やるぞ」
( ОΜО)「……はい」
( ◎н◎)「お前の満足するよう、話も聞いた。攻撃も待った。通信機も壊してるから、きっとツンに怒られる」
( ОΜО)「すみません……」
( ◎н◎)「責任は全部自分にあると言え。僕からは以上」
( ОΜО)「はい……」
( ◎н◎)(……)
(,,゚Д゚)「いくぞ、ヒーローたち」
( ◎н◎)「だからヒーローじゃないってば」
- 674 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 18:31:57 ID:8tw1owyE0
- ξ;゚听)ξ「ブーン! 応答しなさい! ブーン!!」
(;´∀`)「もしかして、モララーくんの頭を殴ったのって」
ξ;゚听)ξ「通信機を破壊したのかもしれません……」
(;´∀`)「なんで内藤くんは応答しないモナ!? 信号は!?」
「送受信できています!」
「彼の通信機は音量が下げられています。無視しようと思えばできるのでは……」
(;´∀`)「なんでそんな設定になってるモナか!?」
「それは、所長が『ボリューム下げろ』と」
(;∩∀∩)「……言ったね。確かに言った」
ξ;゚听)ξ「あのバカ!! ネガティブと呑気に話してる場合じゃないのよ!!」
『どうしたことでしょう? モララーさんはパートナーと共に怪物と会話しているようですが……』
『話し合いで解決ができるとは思えませんが』
『先ほど味方を攻撃していたのも気になります』
『大丈夫なのでしょうか?』
ξ;゚听)ξ「テレビ中継されてるのに、妙な行動取らないでちょうだい……!」
- 676 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 18:44:59 ID:8tw1owyE0
- ( ∩∀`)「……モララーくんは明らかに動揺してたモナ」
ξ--)ξ「ええ」
( ´∀`)「あの事件は、モナたちにとっては昔のことになっているのかもしれない。でも、彼の心には今でも……」
ξ゚听)ξ「狐娘ちゃん――ココちゃんは、彼の最も守りたかった人」
( ´∀`)「それがあんなことになるなんて、誰も予想できなかったモナ。いや、したくなんてなかった」
ξ゚听)ξ「……彼女は、大勢の命を助けるために――」
『――自殺を強要されたんだよ』
( ∀ )「残酷な二択だったモナ」
ξ゚听)ξ「……」
- 678 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 18:56:05 ID:8tw1owyE0
- 『ははは、ここまで追い詰められたか。いい眺めだな?』
『予想以上だったよ、ヒーロー。屋上まで辿り着くとはね』
『さて、そこにスイッチがふたつあるだろう』
『どちらを押しても、俺の首は吹っ飛ぶ。これは変わりない』
『だがな、片方はこのビルにいる人質全員の首輪の爆破スイッチでもある』
『そして、もう片方は、この女の首輪と連動してるんだ』
『さあ、どうする? 大勢の市民を取るか? それとも、恋人を助けるか?』
『考える時間をやろう。5分だ。それまでに答えが出せなければ――』
『――全ての爆弾がボン!』
『いいぞ、そのヘルメットの中の表情が手に取るように分かる』
『選べ。お前の正義を見せてみろ』
- 679 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 19:06:00 ID:8tw1owyE0
- ( ´∀`)「その5分間は、彼にとって地獄だったはずモナ」
ξ゚听)ξ「……覚えています。彼は何も言わなかった。私たちも、一言も発することができなかった」
( ´∀`)「モニタ越しに、モナたちはただ傍観することしかできなかった……」
『さあ、さあ、さあ、さあ』
『ヒーローなんだろう、俺に見せてくれ』
『絶望した俺に、ネガティブの俺に』
『正しいこととは何かを教えてくれ』
『簡単だ。お前はスイッチを押すだけでいい』
『お前にとっての世界とはなんだ』
『教えてくれよ』
- 681 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 19:09:23 ID:8tw1owyE0
イ从 ー ノi、『……モララー。許してね』
.
- 685 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 19:23:31 ID:8tw1owyE0
- ξ゚听)ξ「……彼女の遺体は、ひどい状態でした」
( ´∀`)「あの高さから身投げして、まだ人と分かる形をしているだけマシだったかもしれないモナ……」
ξ゚听)ξ「……」
( ∀ )「彼女は、彼のために、大勢のために、自ら」
ξ )ξ「……他に、手段はなかったんでしょうか」
( ∀ )「……」
『すごいな』
『まさか、これが正義なのか?』
『あの女こそが正義?』
『究極の自己犠牲というやつか?』
『……拍手を送ろう』
『どうした、膝なんかついて』
『さあ、ヒーローくん、拍手だよ』
『世界を救った彼女に』
- 686 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 19:33:25 ID:8tw1owyE0
- ξ゚听)ξ「モララーくんはスイッチを押すこともなく、ネガティブに殴りかかり、そして――」
( ´∀`)「――打ち負けた」
『おい、ふざけてるのか』
『こんな拳で俺が殺せると思っているのか』
『人を殴る時は、こう、だ、ろ』
『ほら、立て。立てと言ってるんだ、よっと』
『……残り100秒もないな』
『失望したよ、ヒーロー』
『俺に正しさを教えてくれるんじゃなかったのか』
『この世に本物のヒーローはいない』
『いや、いなくなった、というべきか』
『今さっきそこから飛んだ女が、もしかしたらヒーローだったのかもな』
『……飽き飽きだ。こんな世界。ため息が出る』
- 687 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 19:39:01 ID:8tw1owyE0
- 『どれ、俺が代わりに終わらせてやる』
『幕を閉じよう』
『こっちのスイッチだな』
『お前にはもう少し時間が必要みたいだ』
『このまま生きるといい』
『救われた世界で、のうのと生きるがいいさ』
『もっとも』
『あの女がいない世界が終わったと考えるなら』
『ここで死ねなかったことを後悔するかもな』
『では、笑顔でお別れといこう』
『じゃあ、な』
『ただの人間くん?』
- 688 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 19:41:37 ID:8tw1owyE0
『せいぜい生き残った人間たちに、ヒーローと崇められるがいいさ』
.
- 689 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 20:18:58 ID:8tw1owyE0
- ( ´∀`)「あの事件は、犠牲者が一名だけということで終わった。マスコミも、大勢の命を救ったヒーロー・モララーを称えた」
ξ゚听)ξ「……真実を知っているのは、ごく一握りの人間だけ」
( ´∀`)「犠牲者が彼の恋人であったという情報は、美談として扱われたモナ。彼こそ、本物のヒーローだと」
ξ゚听)ξ「彼が引退を宣言するまでの、短い間でしたけどね」
( ´∀`)「その期間の短さこそが、逆に伝説を形作った。時の人として、話題を独占したことで」
ξ゚听)ξ「……皮肉なことです」
( ´∀`)「正直、彼が復帰できたことには驚いたモナ」
ξ゚听)ξ「ええ……」
( ´∀`)「何かが変わったのかと思ったモナ。しかし、今の様子を見るに……」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ(戦闘には、ブーンがいれば事足りるかもしれない)
ξ゚听)ξ(でも誰もが、いつまでも戦えるわけじゃない)
ξ゚听)ξ(代わりを探す?)
ξ゚听)ξ(使い捨てヒーローを、また見つけるの?)
「動きがありました! 戦闘が再開されます!」
ξ゚听)ξ(今は、彼らの無事を祈るしかない……)
- 690 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 20:29:53 ID:8tw1owyE0
- ( ´∀`)(ツンくん。君の考えていることは分かるモナ)
ξ゚听)ξ「……」
( ´∀`)(内藤くんのうつは絶対に治さない。そして、必要があればモララーくんの記憶も消す)
ξ゚听)ξ「……」
( ´∀`)(彼らの代わりはいない)
ξ゚听)ξ「二人とも……」
( ´∀`)(これ以上、彼らのような人間を作ってはいけないんだモナ)
( ´∀`)(たとえ、それが人の道を外れた行為だとしても、守らなければならないものがある)
( ´∀`)(……たとえ、それが悪と言われようと、守らなければならないものがあるモナ)
- 691 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 20:39:16 ID:8tw1owyE0
- 「コード:ネガティブ、目標Aと近接格闘! 押しています!」
「液体の反応速度を上回る攻撃で目標Aの身体にダメージを与えています!」
「コード:ポジティブ、目標Bに接近を試みていますが……動きが鈍い!」
「目標B! 逃げ回っていますが、遠距離からの液体攻撃で、コード:ポジティブを牽制しています!」
「目標Aが液体の刃を形成! 形状、ネガティブ・ブレードに酷似!」
「コード:ネガティブ、ネガティブ・ブレードで応戦開始! ……紙一重でお互いに攻撃を避けています!」
「……?」
「どうした!」
「もしかして、雨、ですか?」
「……なんてことだ」
「目標A及びB、攻撃範囲拡大! このままでは危険です!」
- 692 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 20:51:16 ID:8tw1owyE0
- ザアアアアアアア
( ◎н◎)(あの液体、文字通り水増しされ始めた。この天候、長期戦はまずいな)
(,,゚Д゚)「どうやら天は俺たちに味方しているようだな」
( ◎н◎)(ヤツの手から離れた液体は形をあまり保っていられないらしい……。遠距離から仕留めたいところだけど)
(,,゚Д゚)「二刀流でいかせてもらおう」
( ◎н◎)(そんな隙は与えてもらえない、か)
(,,゚Д゚)「大した反応速度だな。さすがだよ、そうでなくっちゃ張り合いがない」
( ◎н◎)「そいつは、どう、もっ」
(,,゚Д゚)(こいつ本当に人間か? 足元を狙って跳ねさせてみても)
( ◎н◎)「ん」
ブシュァッ
グイッ
(,,゚Д゚)(空中でネガティブを噴出して無駄なく姿勢を整え、全て避ける)
( ◎н◎)「……」
ヒュン
(,,゚Д゚)「ちっ!」
(,,゚Д゚)(そして、着地の瞬間には既に次の攻撃を仕掛けてくる!)
- 693 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:00:23 ID:8tw1owyE0
- (,,゚Д゚)「凄まじい戦闘センスだ」
( ◎н◎)「単純に痛いのが嫌なだけ」
(,,^Д^)「そうか、ははは」
(,,゚Д゚)「安心しろ。お前のその太刀と一緒で、当たれば痛いじゃ済まない」
( ◎н◎)「そうみたいだね……」
( ◎н◎)(アスファルトは既にずたずただ。お互いの攻撃でかなり足場が荒れ始めた)
(,,゚Д゚)「どうして、ネガティブ寄りの人間が正義の手助けをしてるんだ?」
( ◎н◎)「あれ、気付いたか」
(,,゚Д゚)「この感覚、匂い、色。俺たちの体に流れてるものと同じだろ?」
( ◎н◎)「まあ、ね」
ヒュッ
(,,゚Д゚)「おっと」
(,,゚Д゚)「危ない危ない」
( ◎н◎)「はあ……」
- 694 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:07:53 ID:8tw1owyE0
- ( ◎н◎)(早くケリを付けたいからって首を狙っても、まあ、ダメだよな)
(,,゚Д゚)「まだ答えを聞いてないぞ」
( ◎н◎)(話をしてる時間はないんだけど……)
(,,゚Д゚)「どうしてだ?」
( ◎н◎)「まあ、成行き」
(,,゚Д゚)「成行き。そうか」
(,,-Д-)「……」
バシャッ
( ◎н◎)(構えを解いた……)
( ◎н◎)「もう水芸は終わりか」
(,,゚Д゚)「なんだか、馬鹿らしくなってな」
( ◎н◎)「へえ」
(,,゚Д゚)「だから、終わりだ」
( ◎н◎)「そう」
- 696 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:18:54 ID:8tw1owyE0
- (,,゚Д゚)「お遊びは、終わりって言ってるのさ」
( ◎н◎)「!」ガクン
( ◎н◎)(脚に液体がまとわりついて……粘度がかなり高い)
(,,゚Д゚)「ただ闇雲に足場に溝を作ってたわけじゃない。雨水が溜まる場所を確保してたんだ」
( ◎н◎)(この距離、一足飛びで間合いに入る)
(,,゚Д゚)「その首いただくぞ」
トンッ
( ◎н◎)(腕は動く。なら)
( ◎н◎)(腕を前後に、両肘からネガティブを全力で噴射して――!)
ギュバッ ギュルン
(,,゚Д゚)(その場で回転した!?)
- 697 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:26:47 ID:8tw1owyE0
- ( ◎н◎)(脚、液体は取れた。動く。このまま姿勢を低くして、脚を広げればそのまま――)
(,,゚Д゚)(そんなまさか、これがかわされ――)
ズッパァン
(,,゚Д゚)「!?」
( ◎н◎)(文字通りの水面蹴り、だ)
(,,゚Д゚)(やばい! たった一瞬でも空中に浮かされたら、こいつの反応速度だと!)
( ◎н◎)「ソード・スプラッター、大回転斬り」
(,,゚Д゚)(避けられ、ない!!)
ヒュカッ
(,, Д )「う、あああああああ!!!!」
- 698 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:35:21 ID:8tw1owyE0
- ドッバシャァァン
(;*゚ー゚)「!」
( ОΜО)「!」
(,, Д゚)「く、あ、あ、あ、あ!!」
( ◎н◎)「……胴体が離れてもまだ生きてるか」
(,, Д゚)「ちっ、く、しょう!!」
(;*゚ー゚)「ギコくん!!」
(,, Д゚)「来るなしぃ!! やつに背を向けるんじゃねえ!!」
(∩ОΜО)「……ポジティブラスト!」
(;*゚ー゚)「ひゃっ! いやあああ!!」
バシャッ
ジュバァッ
( ОΜО)(液体の盾! ネガティブに完全に中和された!?)
( ◎н◎)(……出力が足りてない。何してるんだ。こんなもんじゃあないだろう)
( ОΜО)(くそっ、僕の攻撃は届かないのか……? 僕は、僕は……)
- 700 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:52:28 ID:8tw1owyE0
- (*; -;)「いやぁあ……。もういやぁ……。ギコくん……」
(,, Д゚)「逃げろ、しぃ! 俺が、足止めを!」
グニュン
ゴボッ
( ОΜО)(まだこんな力が!? くそっ、全身が包まれた!)
( ◎н◎)(時間をかければ抜け出せないほどじゃない……。だけど、女型の方を逃がしてしまう)
(*; -;)「ギコくん、ギコくん……」
(,, Д゚)「早く、ごほっ、逃げろ! とにかく逃げ、て、くれ!!」
(,, Д )ゲボッ
(*; -;)「ごめんなさい……ごめんなさい、ギコくん……」
( ОΜО)「……!」ゴボ...
『モララー、ごめんね』
( ОΜО)(僕は、あれを殺すことができるのか……?)
( ОΜО)(被害者であり、加害者であり、ネガティブであり、人でもあった)
( ОΜО)(あれを――彼女を、殺すことができるのか?)
- 702 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:56:56 ID:8tw1owyE0
- 「今までのネガティブと何ら違わない、あれは悪だ」
「既に、人を捨てたものだ。殺しても構わない」
「放っておけば、他の誰かが死ぬことになる」
「自分こそが正義だ。自分に背くものが悪だ」
「戦え。そのために自分は戻ってきた」
「殺せ。そのために自分は戻ってきた」
「屠れ。そのために自分は戻ってきた」
「消せ。そのために自分は戻ってきた」
「滅せ。そのために自分は戻ってきた」
「そのために、自分は――」
.
- 703 名前:名も無きAAのようです :2014/01/14(火) 21:58:03 ID:8tw1owyE0
( ◎н◎)「ネガ・シンクロ――!!」
.
- 727 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 01:28:55 ID:apdkTvSA0
- 「コード:ネガティブ、拘束の中で何かしらの動きを見せました!」
「地面に掌を当てて……何をしてるんだ?」
「……ネガティブ反応、地面に拡散!? 彼です、コード:ネガティブが地面にネガティブを放出しています!」
「速度上昇、範囲拡大! コード:ネガティブを中心に、半径20m弱がネガティブで染まりました!」
ξ;゚听)ξ「あれは確か、モララーくんの発案したネガ・シンクロ!?」
(;´∀`)「何か状況を打開できる技モナか!?」
ξ;゚听)ξ「籠手を着用した状態で、掌からネガティブを出し、地面を浸食する技です!」
(;´∀`)「……浸食!?」
ξ;゚听)ξ「あの規模、地面に大穴を開けるつもりです!」
(;´∀`)「地下には何があるモナ!?」
「確か、あの周辺の地下には――」
- 728 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 01:37:36 ID:apdkTvSA0
- ボゴッ ミシミシミシミシ...
(*; -;)「な、何? なんなの?」
ゴゴゴゴゴゴ...
(,, Д゚)(この音……地の底から……)
ゴゴゴゴゴゴ...
( ◎н◎)(落ちろ)ゴボッ
バゴッ
- 729 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 01:38:42 ID:apdkTvSA0
「――地下には、巨大な貯水空間!」
.
- 731 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 01:58:15 ID:apdkTvSA0
- ( ◎н◎)(液体の拘束が解けた、か)
( ◎н◎)(……かなり、広い。都心の地下にこんなところがあったのか)
ヒュゥゥゥゥゥ
バシャンッ
( ◎н◎)(足元に水が)
バッシャン
( ОΜО)「た、助かりました。内藤さん」
( ◎н◎)「……礼を言うな。周りを見ろ。まずったかもしれない」
( ОΜО)「……これは、もしかして雨水?」
( ◎н◎)「地表の雨を一時的に貯めておく場所じゃないか」
( ОΜО)「あまり、芳しくない状況かもしれませんね……」
ドボン ドボォン ゴゴゴゴゴゴ...
( ОΜО)「彼ら――ネガティブたちは」
( ◎н◎)「一緒に落下するのは確認した」
- 732 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 02:07:06 ID:apdkTvSA0
- ( ◎н◎)「拘束が解除されたことを考えると……」
( ОΜО)「自分たちの防御に液体を回した可能性が高い、ですね」
ゴゴゴゴゴゴゴ...
( ◎н◎)「……モララーくん」
( ОΜО)「……はい」
( ◎н◎)「今考えて死ぬか、生きて後で考えるか、どっちがいい」
( ОΜО)「……すみません」
( ◎н◎)「僕は君が何を考えているか知らない。知りたくもない」
( ОΜО)「……」
( ◎н◎)「ただ、はっきりしてくれ。戦うのか、戦わないのか」
( ОΜО)「僕は」
( ОΜО)「僕は……ッ」
- 733 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 02:22:12 ID:apdkTvSA0
- 「ギコくん……。しっかりして……」
「しぃ……。しぃ……? そこに、いる、のか? 暗い……くそ、あの時、みたいだ……」
(∩◎н◎)「……僕は戦う。とりあえず、成行きで、場当たり的に、だ」
カチ
『ネガティブエネルギー探知モード』
( ОΜО)「内藤さん……」
( ◎н◎)「僕はあんまり説教したくない。されたくもないから」
「ギコくん、私、ここにいるよ。ねえ、逃げよう。ほら、お腹くっつけよう……?」
( ◎н◎)「来るなら来い。来ないならそこにいろ。逃げてもいい。誰にも言わない」
「無理、だ。しぃ……。俺は、もう、助からない……」
「ね、くっつけよ。見つけてくる。体見つけてくるからぁ……!」
- 734 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 02:34:30 ID:apdkTvSA0
- ( ◎н◎)「……じゃあ僕は行く」
ゴゴゴゴゴゴゴ...
「すぐ脚の方、見つけてくる……。待ってて……」
バシャバシャバシャバシャ
「し、しぃ、ゲブッ、いいん、だっ!! も゛う゛!!」
バシャバシャバシャバシャ
「大丈夫……大丈夫……ギコくんは助かる……ギコくんは、私と一緒にいられる……」
バシャバシャバシャバシャ
「や゛め゛ろ゛……ゴブッ! も゛う゛い゛い゛ん゛た゛!!」
- 735 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 02:38:42 ID:apdkTvSA0
- 「だって、あんなに辛いことがあったんだもん……絶対幸せになれる……」
「神様がそのために命をまたくれたんだもの……」
「ねえ、体、どこ……」
「ギコくんが、死んじゃう……」
ガッ
「……あっ」
バシャァ
「……これ、これだあ! あったよ、ギコくん、あった、あった!」
「ギコくん!! あったよおおおお!!」
「あは、あはははは!! 助けられるよお!!」
「……その辺にしとけ」
- 736 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 02:40:03 ID:apdkTvSA0
ドパァン
「あ゛っ」
.
- 737 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 02:52:11 ID:apdkTvSA0
- 「〜〜〜〜」ビクンビクン
バシャッバシャッ
「……出力を抑えたつもりはなかったんだけど」
ドパン ドパン
「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
「ヒュゥ――……ヒュゥ――……」
「……お前の位置も見えてる。すぐに後を追わせてやる」
「水位も上がってきた。こっちにもあまり時間がない」
- 738 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:01:52 ID:apdkTvSA0
- ( ОΜО)「あ、あ、あ……」
( ОΜО)(見たくない、直接見たくない、見られない)
( ОΜО)(正義、これが、正義)
( ОΜО)(悪を圧倒的な暴力で、ねじ伏せる)
( ОΜО)(これが、正義?)
( ОΜО)(止めるべき……否、何故?)
( ОΜО)(僕も同じことをしてきた)
( ОΜО)(何のために僕は戻った?)
( ОΜО)(こんな戦いをするため?)
( ОΜО)(こんな戦いを見るため?)
( ОΜО)(正当化された殺しを僕は望んでいた?)
( ОΜО)(――――!!)ググッ
( ОΜО)ゲロッ
( ОΜО)ゲボォッ
- 739 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:07:41 ID:apdkTvSA0
- 「喋れたら最期に何か聞くけど」
「ヒュゥ――……ヒュゥ――……」
「……無理か」
チャキッ
「ああ……」
「実に……」
「うつだ……」
ドパァン
ゴゴゴゴゴゴ...
- 740 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:13:37 ID:apdkTvSA0
- ( ОΜО)
「モララーくん、まだいるかお」
( ОΜО)「はい」
「もうちょい声張って。暗視装置は付いてないから場所が分からない」
( ОΜО)「ここです」
「こっちか……」
( ОΜО)
( ◎н◎)「見つけた」
( ОΜО)
( ◎н◎)「もうじき腰まで水に浸かる。出口を探そう」
( ОΜО)「ええ」
- 741 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:20:14 ID:apdkTvSA0
- ( ◎н◎)「光源が落ちてきた穴だけだから参った」
( ОΜО)「そうですね」
( ◎н◎)「電波が弱くて通信機も役に立たないし」
( ОΜО)「ええ」
( ◎н◎)「……ネガティブ噴射してもあの穴までは飛べないな」
( ОΜО)「……」
( ◎н◎)「あ、ポジティブラスト。あれ明かりにならないかお」
(∩ОΜО)「やってみます」
ポゥ
( ◎н◎)「もう少し出力上げてくれていいよ」
(∩ОΜО)「……」
- 742 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:26:20 ID:apdkTvSA0
- ( ◎н◎)「まさか」
(∩ОΜО)「……」
( ◎н◎)「……とりあえず、壁際まで行こう」
ゴゴゴゴゴゴ...
( ◎н◎)「こっちじゃなかったか……。壁沿いに行くしかない」
(∩ОΜО)「はい」
( ◎н◎)(体が重い……。水のせいだけじゃない)
( ◎н◎)(ネガティブを消費しすぎて、スーツの機能が落ちてる)
( ◎н◎)(きっと、モララーくんはもっと……)
ゴボッ
ゴボボッ
- 743 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:36:30 ID:apdkTvSA0
- 『――――』
( ◎н◎)「ん」
( ОΜО)「何か音が」
『―――オオ』
( ◎н◎) 「……気のせいじゃなさそう」
( ОΜО)「声」
『オオオオ――』
(∩◎н◎)「……」
カチッ
( ◎н◎)「……貯まった雨水全体からネガティブ反応」
『オオオオオオオオオ』
( ◎н◎)「はあ……」
ゴボゴボゴボゴボゴボ
( ◎н◎)「なんてこった……」
- 744 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:43:58 ID:apdkTvSA0
- ( ◎н◎)「この役割依頼された時の説明なんだけどさ……」
( ОΜО)「はい」
( ◎н◎)「怪人と戦うカッコいいお仕事です、って触れ込みだったのよ」
( ОΜО)「ええ」
( ◎н◎)「少なくとも、人型ならまだいいかなって思ってたわけ」
( ОΜО)「……」
( ◎н◎)「……でもさ」
- 745 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 03:48:50 ID:apdkTvSA0
『オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
( ◎н◎)「巨大モンスターとやるとは聞いてない」
『殺す!! お前らを、絶対に、殺す!! 絶対にィィィィ!!』
.
- 759 名前:名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 14:21:17 ID:L587RmbM0
- かいせつ
・( ´ω`)
内藤ホライゾン ブーン
すごいうつの人 技名を叫ぶのに抵抗がなくなってきて自分が嫌
・ξ゚听)ξ
ツン
すごい解説の人 烈海王「解説役復活! 解説役復活! 解説役復活! 解説役復活!」
・( ´∀`)
モナー所長
すごい解説の人 実はかなりストレスを負っていることが判明 崩壊した地面の修繕費とかのこともストレスの種
・从 ゚∀从
高岡
すごい夢見がちな人だった何か 新しい服のお気に入りコーデは黒のサイハイソックスに小さなドットのパニエ、ストライプのブラウス
・( ・∀・)
すごい苦悩の人 せっかく武装も技も提案してもらってポジティブラストしか使ってないことが気がかりだったけどそれどこじゃない
・(,,゚Д゚)(*゚ー゚)
ギコ しぃ
すごい被虐の人だった何かたち カニバリズムに目覚めたわけではなく必要に迫られたので余儀なくされただけ
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