- 108 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:28:52 ID:k93tOqYY0
- ( ´∀`)「正直想定外の活躍モナ」
ξ゚听)ξ「ええ、そうですね。ここまでやってくれるとは」
( ´∀`)「でも、このペースだと彼はネガティブに飲まれてしまうかもしれないモナよ」
ξ゚听)ξ「……」
( ´∀`)「彼以上の適性を持った人物はそうそう見つからないモナ。セーブしないと」
ξ゚听)ξ「本当に、ブーンじゃないとダメなんでしょうか?」
( ´∀`)「モナ?」
ξ゚听)ξ「代わりはいないんでしょうか、モナーさん」
( ´∀`)「残念ながら、あのような精神状態でありながら自殺してない人間は……」
- 109 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:33:42 ID:k93tOqYY0
- ξ゚听)ξ「適合するほどネガティブな人間は普通、生きてはいられない」
ξ゚听)ξ「何がブーン、あなたをこうしたのかしら……。そして、どうしてあなたは生きていられるの?」
ξ゚听)ξ「それが分かれば、きっと他のネガティブだって」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ「栓のないことなの、かしら」
( ´ω`)「僕が生きていることで得するのは誰だお」
( ´ω`)「……母さんも特別喜んでるように見えない」
( ´ω`)「……親父に至ってはもう僕を見放してるに違いない」
( ´ω`)「僕自身……。僕自身もそこまで得してないお」
( ´ω`)「食って糞垂れるだけの二酸化炭素排出機かお……。京都議定書のためにも死ぬべきなのかお……」
- 110 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:36:48 ID:k93tOqYY0
- ( ´ω`)「荷物紐を取り出しまして」
つ〜⊂
( ´ω`)「首に巻きつけます」
( ´ω`)「左右に引っ張り」
( ´ω`)「左右に、ひっぱ、げっほ」
( ´ω`)「死ねるのかお、これ」
( ´ω`)
( ´ω`)「無理か」
( ´ω`)「ドアノブに括り付けて首吊ってみるか」
( ´ω`)「天井とかに僕の体重支えられそうな梁もないしな」
- 112 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:40:13 ID:k93tOqYY0
- ( ´ω`)「参った」
( ´ω`)「ドアノブ自殺も上手くいかない」
( ´ω`)「どうやっても生き延びてしまう」
( ´ω`)「ネットで調べたらこういうのを、『軽やかな自殺』というらしい」
( ´ω`)「実現しなさそうなものをそう呼ぶらしいけど、軽やかって」
( ´ω`)「はあ……」
( ´ω`)「ネガティブ連中が僕を殺してくれればいいのに……」
( ´ω`)「……老衰みたいな柔らかさで」
- 113 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:43:27 ID:k93tOqYY0
- ( ´ω`)「病院、行こうかな……」
「ホライゾン! ツンちゃん来たわよ!」
( ´ω`)「……足が来た」
( ´ω`)「あーい」
ξ゚听)ξ「どう、気分は」
( ´ω`)「相変わらず重い。胃に鉛がぶち込まれてるようだお」
ξ゚听)ξ「そう」
( ´ω`)「ちょっと病院行こうかと思うんだけど」
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「えっ」
- 115 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:46:13 ID:k93tOqYY0
- ( ´ω`)「気まぐれに、ちょっと行ってみようかと」
ξ゚听)ξ「えっ、でもこれまでずっと行こうとしなかったのに」
( ´ω`)「だから言ったお。気まぐれだお」
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと待って」
ξ゚听)ξ】「モナーさん、なんか予定外の展開です」
『どうしたモナ』
ξ゚听)ξ】「ブーンがうつ、治そうとしてます」
『……』
『えっ』
- 116 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:50:34 ID:k93tOqYY0
- 『だって、彼は今まで、えっ、ネガティブとの戦いどうすんの?』
ξ゚听)ξ】「いや、そうなんですけど、今日なんか気まぐれで病院行く気になったみたいで」
『ちょっ、ちょっ、待つモナ。気まぐれ? はああああ?』
ξ゚听)ξ】「ど、どうしましょう」
『とりあえず、なんとか話を逸らしてくれモナ。こっちで手を考えるモナ』
ξ゚听)ξ】「えっと、はい、なんとかしてみます」
『もしダメそうなら、知り合いのところに電話してくるって言ってまたこっちにかけてくるモナよ!』
ξ゚听)ξ】「はい」
( ´ω`)「……」きゅっ
つ□
ξ゚听)ξ「それで、びょっ、病院?」
( ´ω`)「……そうだお」
- 117 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 20:54:05 ID:k93tOqYY0
- ( ´ω`)「――と、言うわけでこの気持ち悪さをなんとかできるなら、と思って病院行きたいんだお」
ξ゚听)ξ
ξ;゚听)ξ(やばい、気まぐれとか言いつつ結構真剣にうつ治す気でいる)
ξ;゚听)ξ(……やばい?)
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ(幼馴染が回復しようとしてるのに、やばいって、なんなの)
ξ゚听)ξ(……最低だわ)
( ´ω`)「あ、ネットで調べたらどこも予約一ヶ月前からだお……」
ξ゚听)ξ「ちょっと、知り合いのところに電話してくる。なんとかしてくれるかも」
( ´ω`)「マジで」
ξ゚听)ξ「うん」
- 118 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:00:08 ID:k93tOqYY0
- ξ゚听)ξ】「と、言うわけなんですが」
『療養を与えてやりたいモナ?』
ξ゚听)ξ】「ええ。ブーンには、元に戻ってもらいたいです」
『しかしモナ……。戦えるのは彼だけなんだモナ。戦力を削ることはできないモナよ』
ξ゚听)ξ】「分かってはいますが……」
『……世界を救うのは彼だけかもしれないんだモナよ』
ξ゚听)ξ】「……」ぐっ
『――君から内藤くんの記憶を削除しなかったのは失敗だったモナね』
- 119 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:04:00 ID:k93tOqYY0
- ξ゚听)ξ】「それって、どういう――」
『分かったモナー。モナの手配した病院に行くといい。少し遠いけど、ツンくんが送ってやればいいモナ』
ξ*゚听)ξ】「いいんですか!」
『でも、寛解するかは本人次第モナ。病院に行けばどうにかなる病でもないモナよ?』
ξ*゚听)ξ】「はい!」
『じゃあ、○○病院の心療内科へ――』
ξ゚听)ξ「さ、病院行くわよ」
( ´ω`)「お。話付けてくれたのかお」
ξ゚听)ξ「そゆこと」
( ´ω`)
- 120 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:04:42 ID:k93tOqYY0
( ´ω`)「ありがとうだお、ツン」
ξ゚听)ξ
ξ゚ー゚)ξ
.
- 122 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:08:43 ID:k93tOqYY0
- ( ´∀`)】「……あー。モナだモナ。これからうつ病一人そっち行くから」
( ´∀`)】「うん、うん。薬はアレで。そうそう」
( ´∀`)】「プラシーボ(偽薬)で」
( ´∀`)】「そうモナ。前と同じように」
( ´∀`)】「よろしく頼むモナ」
( ´∀`)
(´∀` )「悪いけど、ツンくん」
「一人の魂を救うよりも大きな使命が我々にはあるんだモナ」
- 124 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:14:50 ID:k93tOqYY0
- ( ´ω`)「おーん。チクッとするの久しぶりだお」
「血液検査の結果は一週間後に出ますので。あとは、とりあえず眠剤出しておきますね」
( ´ω`)「睡眠薬……」
ξ゚听)ξ「ちょっと抵抗あるかもしれないけど、安心して。私も研究で疲れた時とか使ったことあるから」
( ´ω`)「そうかお」
「入眠時に助けてくれるのと、睡眠を持続させる二種類出しておきますから」
( ´ω`)「分かったお」
「ちなみに、自殺念慮とかは?」
( ´ω`)「……今朝、首吊ってみたお」
ξ゚听)ξ「……ブーン」
「……するとですね。うつですね。うつ病。うん」
( ´ω`)「さっきは抑うつ状態って」
「実行に移すほどだと確定です。でも、もうしないでください」
( ´ω`)「はあ」
「次は強制入院させないといけなくなりますから」
- 125 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:18:16 ID:k93tOqYY0
- ξ゚听)ξ「閉鎖病棟は嫌よね?」
( ´ω`)「もうしないお。多分」
「絶対しないでくださいね」
( ´ω`)「……はい」
ξ゚听)ξ「ありがとうございました」
( ´ω`)「ありがとうございました」
「お大事になさってください」
「……」
「……眠剤くらいは本物渡してもいいでしょう」
( ´ω`)「なんか、うつ病って診断されたらちょっと気が楽になった気がするお」
ξ゚听)ξ「ホント?」
( ´ω`)「自分の立ち位置が確認できたっていうか」
ξ゚听)ξ「そういうの、大事よ」
- 127 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:22:20 ID:k93tOqYY0
- ξ゚听)ξ「ん」
ξ゚听)ξ「警報だわ……」
つ日
( ´ω`)「……」
,,,( ´ω`)
ξ゚听)ξ「ブーン……」
( ´ω`)「早く行くお。ツン」
ξ゚听)ξ「戦ってくれるの?」
( ´ω`)「ちょっと、報酬を思いついたから、今回は自分から行ってやるお」
ξ゚听)ξ「え?」
( ´ω`)「なんでもない。さあ、車回してくれお」
- 128 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:25:49 ID:k93tOqYY0
- ( ´∀`)「内藤くん! 待ってたモナ!」
( ´ω`)「報酬はこの紙に書いといたから。じゃあそれでよろしく」
( ´∀`)
(´∀` )
( ´∀`)「どったの彼」
ξ゚听)ξ「さあ……」
( ´∀`)「まあやる気なのはいいこと……いいことなのか……?」
ξ;゚听)ξ「さあ……?」
( ´ω`)「ネガティブスーツ、どこ」
(;´∀`)「ああ、すまないモナ。調整中だったから、こっちにあるモナよ」
- 129 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:33:12 ID:k93tOqYY0
- 『目標、シベリア鉄道線路上! 内藤ホライゾン! コード:ネガティブ! 投下準備!』
( ´ω`)「さっみい」
『今回の目標は睡眠のネガティブよ』
( ´ω`)「睡眠。詳しく頼むお」
『近辺を通った列車への影響から、睡眠に対する執着を持ったネガティブってことは分かってるわ』
( ´ω`)「えっと、自傷壁で刃物、孤独が辛くて分身、すると……。不眠症か何かか」
( ´ω`)「僕も早く帰って寝たいお」
『ちゃんと貰った薬飲んでね』
( ´ω`)「そうだおね」
- 130 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:39:54 ID:k93tOqYY0
- 『内藤くん、スーツに新しい装備を加えたモナ』
( ´ω`)「あんまりごちゃごちゃしてるの好きじゃないんだけど」
『大丈夫モナよ、簡単な仕組みだから』
(∩◎н◎)「よっと……。で」
『前回囲まれた時に、近接武器が必要であると研究班でも話題になったモナ』
( ◎н◎)「この拳の部分の出っ張りがそうかお」
『そうだモナ。それはネガティブを噴出させる装置。肘の方にも穴が開いてるモナ?』
( ◎н◎)「ああ、開いてる」
『君の任意の割合でそこからネガティブを噴出すことによって、パンチと肘うちに威力を加えることができるモナ』
( ◎н◎)「なるほど。それで、やりすぎるとスーツがお釈迦になるのは変わらず、かお」
『その通りモナ! だから気をつけてくれモナ!』
- 132 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:44:48 ID:k93tOqYY0
- 『コード:ネガティブ! 投下!』
ヒュゥゥゥゥゥ
( ◎н◎)「あれが今回のネガティブか」
川д川
( ◎н◎)「見たところ頑丈そうではないな」
ヒュゥゥゥ
ズシン
川д川
シュゥゥゥゥウ
( ◎н◎)
『……ネガティブは、寝てる?』
- 133 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:47:52 ID:k93tOqYY0
- ( ◎н◎)「そうみたいだお」
『油断しないで、ブーン』
( ◎н◎)「座り込んで、こんな雪の中寝てるなんて、ずいぶん肝の据わったネガティ――」
ぐらっ
( ◎н◎)「?」
『どうしたの、ブーン!』
『なんだモナ!? なんで内藤くんは今よろめいたモナ!?』
( ◎н◎)「おかしい。何か、重力が傾いているような」
『何か特殊な力場は?』
『観測されてません!』
( ◎н◎)「これは、まぶたが、重く……」
『催眠!?』
- 134 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:52:57 ID:k93tOqYY0
- 『離れて!』
( ◎н◎)「ぐ、でも、脚が動かな、い。ねむ、い……」
『内藤くん! 拳からネガティブを一気に噴出させるモナ!』
( ◎н◎)
つ つ ぐ、ぐぐ
ドシュウウウウ
ドタン
( ◎н◎)「危ない、お……。あのまま意識が落ちるところだった」
『遠距離から仕留めるしかないのかしら……』
( ◎н◎)「試してみる」
つy=-
ドン ドン ドン
川д川
ガン ガン ガン
( ◎н◎)「全部弾かれた、か」
『近寄れないし遠くから攻撃してもダメって無敵じゃない!?』
- 135 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:56:16 ID:k93tOqYY0
- ( ◎н◎)「あのクソ長い髪は鉄のカーテンみたいだおね」
『隙間を狙撃できないモナか!?』
( ◎н◎)「そんな訓練受けてねえよ」
『〜〜!! じゃあどうするモナか!!』
( ◎н◎)「オペレーターが取り乱してどうするんだお」
ぐらっ
( ◎н◎)「これっ……また」
『えっ!?』
( ◎н◎)「ふっ」
つ つ
ドシュウウウ
- 136 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 21:59:36 ID:k93tOqYY0
- ( ◎н◎)「効果範囲が徐々に広がっている」
『!!』
( ◎н◎)「これは早く決着をつけないと手が出せなくなるお……」
『どうしたら……!?』
( ◎н◎)「……他にヤツに対する情報はないかお」
『えっと、ちょっと待ってて!!』
( ◎н◎)「……精神感応系だなんてやりづらい」
( ◎н◎)「……」
( ◎н◎)「精神病患者が言うことじゃないか……」
『あったわ! でも役に立つかどうか……』
( ◎н◎)「いいから、全部読み上げてくれ」
- 137 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 22:04:24 ID:k93tOqYY0
- 『謎の女性の姿を見た電車の運転手は、暫時夢想状態になり、こんなことを言っていたそうよ』
『髪の長い女性がこちらに迫ってきて、私を肯定し続けた』
『他の乗客も同じような夢を見たって言ってる』
『これ役に立つかしら?』
( ◎н◎)「他には?」
『他には……。そう、女性は段々と、夢を見た人の理想の異性と変化していったとか』
『次第に世界が全て自分の気持ちがいい物になっていったとか』
『それくらい……』
( ◎н◎)「……そうかお」
- 138 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 22:09:59 ID:k93tOqYY0
- ( ◎н◎)「と、いうことは」
ずんずんずん
『内藤くん!? なんでそっちに行くモナ!? そっちはネガティブの催眠が』
( ◎н◎)「だから行くんだお」
『だからなんで!?』
( ◎н◎)「勘だけど、この夢に囚われたら抜け出すのは難しい」
( ◎н◎)「普通の夢ならそうでもないと思う。けどこれはもっと根が深い」
( ◎н◎)「睡眠を使って、世界を改変しようと、いうのなら、そこ、に、は」
( ◎н◎)「きっと、精神、世界に……鍵……が……」
ばたん
川д川
( ◎н◎)
- 144 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 22:50:59 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)「……入眠、かお」
川д川「新しく来た人ね」
( ´ω`)「お。目標発見」
川д川「あなたはそうね……。頑張り屋さんなのね」
( ´ω`)「話が早くて助かる」
川д川「きっと、普通にしてるつもりでも、頑張っちゃうの。ううん、悪いことじゃない」
( ´ω`)「……」
川д川「だって、そんな人がいるから世界は回っていくんだもの。でもね」
( ´ω`)「……」
川ー川「もう、頑張らなくっていいんだよ」
にっこり
- 145 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 22:56:50 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)「なんでそんな優しい言葉をかけてくれるんだお」
川д川「世界には尖った言葉ばっかりだもの。私は、それが疑問なの」
( ´ω`)「……」
川д川「どうして皆、認め合うよりも批判し合うことを選ぶの? 攻撃し合うのはなぜ?」
( ´ω`)「人間の本能かね」
川д川「愛こそ、愛し合うことこそ、あるべき姿じゃないのかな」
( ´ω`)「ふむ……」
川д川「私は、あなたを否定しない。誰も否定しない。少し、世界を変えたいだけ」
( ´ω`)「それがこの世界ってわけか」
川д川「そう」
( ´ω`)(ふわふわした世界が急に姿を固めてきたな……。これは、僕の望む世界かお)
- 146 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:01:41 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)(僕が健康な時に好きだった風景、か)
川д川「これがあなたの世界? 素敵ね……」
( ´ω`)「抜けるように青い空、入道雲、首筋を焼く日差し」
川д川「風もあって、心地がいい。これ、食べる?」
( ´ω`)「チューペットかお。どれ、貸してみ」
ぱきっ
( ´ω`)「ほれ。こっちやる」
川ー川「上手だね、割るの。ありがとう」
( ´ω`)「あ、すげえ、夢の中なのに味がする」
つと
川д川「美味しいでしょ。記憶の一番いいところを取ってくるから」
( ´ω`)「悪くない」
- 147 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:05:10 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)「ん」
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
( ´ω`)「いや、姿が」
ξ゚听)ξ「あ、ホントだ。これがあなたの理想の女性像?」
( ´ω`)「……そうなのかな。あまり異性を知らないから」
ξ゚听)ξ「そうなの。私も、あんまり男の人は知らないな」
( ´ω`)「今まで付き合ったりとかしたことないのかお」
ξ゚听)ξ
ξ゚ー゚)ξ「どう答えて欲しい?」
( ´ω`)「別にその姿だからっていう遠慮とかいらないお。君のことを訊いてるんだから」
ξ゚ー゚)ξ
ξ゚听)ξ「一人だけ」
- 148 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:09:05 ID:UnSD4KOE0
- ξ゚听)ξ「年上でね。色んなこと教えてくれた」
( ´ω`)「ふうん……」
ξ゚听)ξ「私のこと大事に思っててくれて、それを口に出してくれて」
( ´ω`)「いい人だったわけだ」
ξ゚听)ξ「でもね……。既婚者だったの」
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「遊ばれてたわけじゃないのよ? ちゃんと、私のこと本気で考えてくれてた」
( ´ω`)(……)
ξ゚ー゚)ξ「本気だったと、今でも思ってる」
( ´ω`)「その人は今どうしてる」
ξ゚听)ξ「……さあ」
- 149 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:13:07 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)「さあってことはあるまいに」
ξ゚听)ξ「私のことはもういい。あなたの理想の世界をここらにわーっと作っちゃいましょ」
( ´ω`)「うん、それ無理」
ξ゚听)ξ「まずはあなたの脳内にある快楽回路の根源を――え?」
( ´ω`)「無理」
ξ゚听)ξ「どうして?」
( ´ω`)「僕の幸せがなんなのか、自分でも分かってないから」
ξ゚听)ξ「そんなはずないわ。記憶を探れば」
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「あなた、記憶障害か何か?」
( ´ω`)「知らん。ただ、自分でどう頑張っても思い出せないものを他人が探れるはずはない」
ξ゚听)ξ「ちょっと待ってて、探ってあげる」
( ´ω`)「いいよ、別に」
- 151 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:17:46 ID:UnSD4KOE0
- ξ;゚听)ξ「頭の中、ぐちゃぐちゃだわ……。それに何か黒いモヤがかかってる……」
( ´ω`)「カウンセラよりも的確かもしれないおね」
ξ;゚听)ξ「あなたみたいな人、初めてだわ。さっき、たくさんの人の頭を覗きみたけど、こんなの一度だって」
( ´ω`)「はあ……」
ξ゚听)ξ「辛い経験をしてきたのね?」
( ´ω`)「さあね。どうなんだろうね」
ξ゚听)ξ「……ね、一緒にこの世界を開拓しない?」
( ´ω`)「なんで」
ξ゚听)ξ「あなたなら、きっと世界の良心になれる」
- 152 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:22:01 ID:UnSD4KOE0
- ξ゚听)ξ「本当に救いを与えられるのは、本当の痛みを知ってる人だけよ」
( ´ω`)「……」
ξ゚听)ξ「私は、一つだけ、本当の痛みを知ってる」
( ´ω`)「それで充分だろ」
ξ゚听)ξ「そこにあなたの、ううん、もっとたくさんの人が知る痛みを共有するの」
( ´ω`)「……それで、完全無欠の無菌状態を作り出す、と」
ξ゚听)ξ「そう。そうすれば、誰も傷付くことのない世界が」
( ´ω`)「あのさ」
ξ゚听)ξ「?」
- 153 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:27:02 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)「あっちで救って、こっちで救って、それが成立するのかな」
ξ゚听)ξ「するわ」
( ´ω`)「あっちを立てればこちらが立たずって言葉知ってるか」
ξ゚听)ξ「それをなんとかするの」
( ´ω`)「いい子いい子されるだけで満足できる人間が全てだと、君の理想が完璧だと、どうして言い切れる」
ξ゚听)ξ「……」
( ´ω`)「自分の見た世界だけを美化して、自分の理想を普遍化して、押し付けていいのか」
ξ゚听)ξ「……現実がどれだけ辛いかはあなただって知ってるでしょ!!」
( ´ω`)「知ってるよ。知ってるけど」
ξ゚听)ξ「けど、なに!?」
( ´ω`)「僕は理想に逃げ込めるほど純粋じゃない」
ξ゚听)ξ(……夢の世界が! 私の支配下の世界が黒ずんでいく!?)
- 154 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:32:41 ID:UnSD4KOE0
- ( ´ω`)「僕は結構疲れてる。くたびれてる。ぶっちゃけちょっと諦めてる」
ξ;゚听)ξ(どういうこと……。ここでは私が絶対のはず……)
( ´ω`)「もう、ネガティブな部分に飲まれてるんだ」
ξ;゚听)ξ(おかしい! こんなの、おかしい!!)
( ´ω`)「君の矛盾したピュアな所を、否定してあげるお」
ξ;゚听)ξ「止めて! 壊さないで! この世界を放っておいてよ!!」
( ´ω`)「現実世界に君は侵食を始めた、僕の世界を壊し始めた、それを君は止めそうにない、放っておけない」
ξ;゚听)ξ「ごっ、ごめんなさい! ごめんなさい! もう、止めて! 私も止めるから!!」
( ´ω`)「無理だよ。もう、だって、ほら」
川;д川「あっ」
( ◎н◎)「夢は覚めてしまったから」
- 155 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:38:35 ID:UnSD4KOE0
- 川;д川「わ、わあああああ!!」
( ◎н◎)「大丈夫、安心してくれ」
川;д川「来ないで! 私を否定しないで! 一人で、独りで夢の中にいるから!!」
( ◎н◎)「夢の中にこもるより」
川;д川「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
( ◎н◎)「完璧な闇の世界の方がずっと安寧に満ちている」
川;д川「死にたくない、死にたくない、死にたくない」
( ◎н◎)「鉄壁のガードが地面に食い込んでるから身動きは取れない、か」
( ◎н◎)つ
( ◎н◎)つΞ ジャッ
( ◎н◎)「この距離でネガティブカッターをぶつけられて、どれだけ耐えられるかな……」
川;д川「ああああああああ!!!」
- 156 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:39:21 ID:UnSD4KOE0
『――ブーン、止めて!!』
.
- 157 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:44:09 ID:UnSD4KOE0
- 『ツンくん、何を言ってるモナ!? 相手はネガティブ、人じゃないモナよ!?』
『分かってます!』
( ◎н◎)「女のネガティブは初めてだけど、見逃す理由にはならない」
『違うの、ブーン聞いて!!』
::川;д川::がたがた
( ◎н◎)「……なんだお」
『まず、その拳のネガティブを抑えて……』
( ◎н◎)つΞ
( ◎н◎)つ シュゥ
( ◎н◎)「で」
『ありがとう』
( ◎н◎)「礼はいい。続けて」
『……うん』
- 158 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:50:47 ID:UnSD4KOE0
- 『そのネガティブ、今は殺す必要はないわ』
( ◎н◎)「今は」
『研究材料にしたいの』
『ばっ、何言ってるんだモナ!?』
『そのネガティブなら捕獲して拘束するのも簡単です! それにネガティブの研究ができれば……』
( ◎н◎)「ん」
『ネガティブの研究ができれば、対抗手段だけでなく、発生抑制もできるかもしれません!!』
『それはもちろんわかるモナが、我々の技術であのネガティブを完全に抑え切れるかどうか……』
( ◎н◎)「……おい」
::川;д川::「はっ、はい」
( ◎н◎)「今死ぬか、僕らに捕まるか、選べ」
川;д川「こ、殺さないんですか?」
( ◎н◎)「僕の決めることじゃない。でも、少なくとも生き延びるには、大人しく捕まることだ」
川;д川「……つ、捕まります」
( ◎н◎)「だ、そうだ」
- 159 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:54:08 ID:UnSD4KOE0
- 『んな勝手なモナ!』
( ◎н◎)「三つ、言っておく。返事はハイだけだ」
川;д川「はい」
( ◎н◎)「一つ、許可なく催眠を使うな」
川;д川「はい」
( ◎н◎)「二つ、人間に危害を与えるな」
川;д川「そ、それはもちろん!」
( ◎н◎)「返事はハイだけだ」
川;д川「はっ、はい!!」
( ◎н◎)「三つ――」
- 160 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 23:55:30 ID:UnSD4KOE0
( ◎н◎)「絶対に」
( ● ●)「僕に」
( ●w●)「逆らうなよ」
.
- 162 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:00:12 ID:uoYihDRM0
- (#´∀`)=3 プンスコ
( ´ω`)「なんでモナーさん怒ってんの」きゅっ
つ□
ξ゚听)ξ「そりゃまあ、なんていうか」
( ´ω`)「うん、何」
「ホライゾンさぁん、お腹空きましたよぉ」
ξ゚听)ξ「なんていうか」
( ´ω`)「ほら、焼きおにぎりでも買ってこい」
つ ちゃりん
「ホットスナックの自販機あるんですか!? どこどこ?」
ξ;゚听)ξ「うーん」
( ´ω`)「なに」
「あ、あった! やきーおにぎり!」
ぴっ
从 ゚∀从「えっへっへ」
ξ;゚听)ξ「あれ、ホントに――」
( ´ω`)「川д川→从 ゚∀从だけど」
- 163 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:05:35 ID:uoYihDRM0
- 从 ゚〜从 むぐむぐ
つ△
ξ;゚听)ξ「髪の毛上げると結構可愛いという……」
( ´ω`)「……そこかお」
(#´∀`)「ネガティブを! 研究所に! 土足で! 上げるなんて!!」
从 ゚∀从「この拘束衣窮屈ですよ〜」
つ△
( ´ω`)「それ着てないとネガティブ反応出ちゃうんだお。我慢しろ」
从 ゚ -从「ちぇー」
つ△
ξ;゚听)ξ「……研究対象としては、まあ、扱いやすそうでいいんだけど」
( ´ω`)「お前、名前はなんだっけ」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「忘れました」
ξ;゚听)ξ「ネガティブになった後遺症っていうのかしら」
(#´∀`)=3 プンスコプン
- 165 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:10:18 ID:uoYihDRM0
- ( ´ω`)「じゃあお前、そうだな……。えーっと」
从 ゚∀从「高岡! 高岡がいいです!」
( ´ω`)「なんで」
从 ゚∀从「そこの、ほら」
【ホットスナック販売機 製造元:高岡食品】
【高岡食品】
【高岡】
( ´ω`)「まあお前がそれでいいなら」
从*゚∀从「たかおかです!」
ξ;゚听)ξ「高岡……ちゃん」
从*゚∀从「はいっ。……あ、お姉さん」
ξ゚听)ξ「?」
从 ゚∀从「もしかしてホライゾンさんの好――」
( ´ω`)「おい」
从 ゚∀从 びくっ
( ´ω`)「てめえ余計なこと口走ると消すぞ」
从 ゚∀从
川д川 しゅっ
ξ;゚听)ξ「鉄壁ガードモード!?」
- 167 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:17:17 ID:uoYihDRM0
- ブロロロロロ
( ´ω`)「高岡の付き合ってた男っていうのは目星付いたのかお」
ξ゚听)ξ「うん。所在は、病院」
( ´ω`)「病院」
ξ゚听)ξ「昏睡状態だって。事故に遭ったとかで、彼女はどうもそのショックで」
( ´ω`)「服薬自殺でもはかった、と」
ξ゚听)ξ「まあ、その女の子が高岡ちゃんだっていう確証はないんだけどね」
( ´ω`)「ネガティブになる以前の人間とは何もかも全く違ってしまうのかお」
ξ゚听)ξ「分からないわ。ただ、自殺をはかったタイミング、その方法から、ある程度特定できるだけ」
( ´ω`)「自殺者、増えてるんだっけ」
ξ゚听)ξ「そうね……。時にブーン」
( ´ω`)「ん」
ξ゚听)ξ「首、もう吊ったりしないでね」
( ´ω`)
( ´ω`)「善処する」
- 168 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:23:13 ID:uoYihDRM0
- バタン
( ´ω`)「……じゃあ」
「じゃあね」
〜( ´ω`)「……酒」
ヴヴヴヴヴ
::(∩´ω`)::「ひいいいい、なんだお、なんのバイブレータだお……」
::( ´ω`)::「うあ、いつの間にこんな通信機持たされたんだお……怖いお……ふざけるなお……」
つ日::ヴヴヴヴ
【着信:モナー所長】
::( ´ω`)::「あの野郎かお。ううううう、怖い、怖い、けど、出れなくは、ない」
『プンスコプン!! 内藤くん、出るの遅いモナ!! プンスコッ!!』
( ´ω`)】「僕が通信機器に恐怖感じるの知ってるか」
『知らないモナモナッ!! プンスコ!!』
- 169 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:25:57 ID:uoYihDRM0
- 『報酬は与えておくモナ! それだけ! プンスコ!!』
( ´ω`)】「そうかお、分かったお」
『あと今度あのネガティブに追加で命令するモナよ!』
( ´ω`)】「何を」
『モナの命令にも逆らうなってことをモナッ!!』
( ´ω`)】「……」
( ´ω`)】「まさかエロいことを……」
『ちっげえよ!!』
プツン
( ´ω`)「キレた……」
- 170 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:29:40 ID:uoYihDRM0
- ( ´ω`)きゅっ
つ□
( ´ω`)「はあ……」
( ´ω`)きゅっ
つ□
( ´ω`)「なんか忘れてるような……」
( ´ω`)「あ」
ξ゚听)ξ】「はい。あ、モナーさん。え? 休暇?」
ξ゚听)ξ】「いえ、嬉しいですけど、なんで急に? 三日も?」
ξ゚听)ξ】「うつに感謝しろ、ってどういうことですか……。あ、切れた」
ξ゚听)ξ「そういえば、ブーン、今回の報酬何にしたんだろ」
ξ゚ー゚)ξ「……何か建設的なことならいいけど」
ξ゚ー゚)ξ
ξ゚听)ξ「あ」
- 171 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:30:42 ID:uoYihDRM0
ξ゚听)ξ「……車の中に薬忘れてる」(´ω` )
.
- 172 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:31:45 ID:uoYihDRM0
- ( ´ω`)「眠れない……」
( ´ω`)「ね、眠れない……酒……」
( ´ω`)「はあ……」きゅっ
つ□
( ´ω`)「実に……」
( ´ω`)「うつだ……」
- 177 名前:名も無きAAのようです :2014/01/09(木) 00:39:26 ID:uoYihDRM0
- かいせつ
・( ´ω`)
内藤ホライゾン ブーン
すごいうつの人 すごい脳内の人
・ξ゚听)ξ
ツン
すごい解説の人 今回はあんまり解説しなかった
・( ´∀`)
モナー所長
すごいプンスコの人 今回は最後にプンスコしまくった
・川д川→从 ゚∀从
名もなきネガティブラー 高岡
すごい夢見がちな人 すごい夢見がちな人だった何か
・睡眠薬
入眠と睡眠持続に効果がある薬で二種類に大別される。
その中にはさらに細かい分類があり、体質によっては効かなかったり、効きすぎたりする。
大体最初には入眠剤のみを処方され、それでも眠りが浅い場合などに追加の眠剤が処方される。
できる限り十二時前に飲んで、ゆっくり体を休めるべき、らしい。
酒と一緒に飲むと回りが激しくなる。悪用厳禁。
効きすぎて、寝起きに階段から落ちたり転倒したりすることで、死亡事故が起きている。
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