48 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 15:48:07 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「風呂入らないと気分がよくなりそうにないお……」

( ´ω`)「風呂」

( ´ω`)「風呂……」

( ´ω`)「そんなもんのために布団から出られるなら社会にも出られるお……」

( ´ω`)「今何時だっけ……。確認したら自己嫌悪に陥りそうだけど……」

( ´ω`)「やめとこ」

trrrrrr

::(∩´ω`)::「ひぃぃぃぃ」

trrrrrr

::(∩´ω`)::「電話怖い電話怖い」

trrrrrrプツッ

::( ´ω`)::「ハァ――!! ハァ――!!」

::( ´ω`)::「サイレントモードにしてたのに何で鳴るんだお……」

49 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 15:51:35 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「職場には電話行ってるはずだお、仕事関係の電話じゃないはずだお」

( ´ω`)「誰だお、ツンかお。いや、ツンだったら電話なんてかけてこないお。直接来るお」

( ´ω`)「友達……友達なんて……いたっけ」

( ´ω`)「僕のことほっといてくれお……。頼むお……」

( ´ω`)「僕は自分のことで精いっぱいな時期なんだお。プレッシャーも何も受け付けられないお」

( ´ω`)「……録画し貯めたアニメでも観るかお」


( ´ω`)「……ううう」


( ´ω`)「……ううううう」

50 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 15:53:07 ID:wn0B4Kqk0


( ´ω`)「全然頭に内容が入ってこないお……」

.

51 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 15:55:20 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「漫画読んでもつまらない」

( ´ω`)「小説なんて全く読めない」

( ´ω`)「新聞読んで時事を知ると世界に取り残されてるような気がする」

( ´ω`)「テレビ見ると撮影の裏側を考えてしまって疲れる」

( ´ω`)「食事が辛い、味があまり分からない、スポンジ食べてるみたいとは言わないけど、とにかく辛い」

( ´ω`)「酒」

( ´ω`)「酒」

( ´ω`)「酒」

( ´ω`)きゅっ
  つ□

( ´ω`)

( ´ω`)きゅきゅっ
  つ□

52 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:03:11 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「白鶴まるがもうなくなる……。どんだけ飲んだんだ、僕」

( ´ω`)「……考えるのはよそう。うつが深まる」

ガチャリ

( ´ω`)「母さん、スーパーに行くけど何か買ってくるもんある」

「牛乳と生卵お願いしていい?」

( ´ω`)「ん」

「落ち着いたら病院なりなんなり行くのよ?」

( ´ω`)「……ん」

「あんた本当はもっと元気な子なんだから。大丈夫よ」

( ´ω`)「……」

バタン

( ´ω`)「やればできる子やらない子。ホントは元気な子元気じゃない子」

53 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:08:41 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「寒い。ああ、寒い。夜だったのか。雨戸締めきってるから分からなかった」

( ´ω`)「親とのコミュニケーションは問題ない」

( ´ω`)「むしろ前よりよく話すようになった気さえする」

( ´ω`)「……気のせいかな」

ティロンティロン

「いらっしゃいませー」

( ´ω`)「牛乳と、卵と、鍋焼きうどんのパックと、チーかま」

( ´ω`)「堅揚げポテト、じゃがりこ、白鶴まる、ウィスキー……」

( ´ω`)「ウィスキー……」

( ´ω`)「なんだよニッカかトリスしかねえのかお」

( ´ω`)「論外だ論外」

ティロンティロン

( ´ω`)「泡盛あったからそれでいいや」
 ∪  ∪
 △  △

54 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:12:36 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「ただいま」

('A`)「おう」

( ´ω`)

ドサッ

「おかえり、ドクオくん来てるわよ」

( ´ω`)「……」

('A`)「おいおいおい、無言で部屋に引き上げるなよ」

( ´ω`)「……」

('A`)「こっち見ろってこっち」

( ´ω`)「……」

('A`)「酒持ってきたんだ飲もうぜ」

( ´ω`)「……」

バタン

「おーい、ブーンどうしたんだよ」

( ´ω`)「どうもこうも一番顔合わせたくない人間が急に家に来たらこうなる」

「開けてくれ――あ、開いてる」

('A`)「どうして顔合わせたくないんだよ」

55 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:16:10 ID:wn0B4Kqk0
('A`)「電話しても出ねえからさ」

( ´ω`)「あの電話はお前かお」

('A`)「ああ、なんだスマホ壊れてるわけじゃなかったのか」

( ´ω`)「……」

('A`)「まあまあ、ちょっと飲もうぜ」

( ´ω`)きゅっ
  つ□

('A`)「言うまでもなく飲んでるな。っていうか部屋が酒くせえぞ」

( ´ω`)「……」きゅっ
  つ□

56 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:19:01 ID:wn0B4Kqk0
('A`)「それで、何があったんだ?」

( ´ω`)「……」きゅっ
  つ□

('A`)「言いたくない、か。そりゃまあ、そうだよな」

( ´ω`)「ちげえお」

('A`)「ん?」

( ´ω`)「何があったか自分でもよくわかってないから言えないんだお」

('A`)「……なんだそりゃ」

( ´ω`)「急に何もかも憂鬱になったんだお。急に……」

('A`)「お前、それって」

( ´ω`)「まあ……。うつだお」

('A`)「病院には行ったのか?」

( ´ω`)「行ってない」

57 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:22:47 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「病院行って病名つくのが怖い」

('A`)「でもそれじゃ――」

( ´ω`)「……」

('A`)「……」

( ´ω`)「……」

('A`)「……なあ、何で俺と会いたくなかったんだ?」

( ´ω`)「僕の口からそれを言わせるのかお」

('A`)「俺、お前のこと親友だと思ってたんだけど、な」

( ´ω`)「……」

('A`)「悪い、邪魔したな。じゃあ、また」

バタン

『親友』

( ´ω`)「……だから、見られたくなかったんだお」

58 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:27:25 ID:wn0B4Kqk0
( ´∀`)「そしたら、何で君が必要なのかを説明するモナよ」

( ´ω`)「……」

( ´∀`)「ヒーローの時代は残念ながら終わったモナ。厳密に言えば、正統派ヒーローはね」

( ´ω`)「……」

( ´∀`)「それは彼らの持つポジティブなエネルギーが、ネガティブなエネルギーに総量の問題で負けているからモナ」

( ´ω`)「……ポジティブなエネルギーってのは無限の可能性を秘めてるんじゃないのかお」

( ´∀`)「確かに」

( ´ω`)「それがゆえにヒーローってのはいつも立ち上がってこられた。違うかお」

( ´∀`)「確かに確かに」

( ´ω`)「先を急げよ、説明聞いてるのもダルイんだから」

( ´∀`)「ごめん」

59 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:31:29 ID:wn0B4Kqk0
( ´∀`)「世の中は既に暗澹たるエネルギーに満ちているモナ」

( ´ω`)「ネガティブ」

( ´∀`)「まさに。さっき言った通り、総量はネガティブが勝っている」

( ´∀`)「基本的な、通常時の総量モナね」

( ´ω`)「つまり」

( ´∀`)「ヒーロー気質の人間が減っているんだモナ。代わりに、増えているのが、陰鬱な気質の」

( ´ω`)「僕みたいなのかお」

( ´∀`)「その通り」

( ´ω`)「それで」

( ´∀`)「ネガティブなエネルギーは、凄まじい勢いで他を侵食する。それはポジティブなものも同様だったモナ」

60 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:35:30 ID:wn0B4Kqk0
( ´∀`)「実体化したネガティブが、ポジティブなヒーローとぶつかった時、何が起きたか」

( ´ω`)「……」

( ´∀`)「なんとポジティブな方が打ち負けたモナよ」

( ´ω`)「へえ」

( ´∀`)「そこで我々は新たな視点で、ネガティブに対抗する手段を考えた」

( ´ω`)「……それがネガティブスーツかお」

( ´∀`)「毒をもって毒を制する、モナ」

( ´ω`)「座ってるの落ち着かないから歩いていいかお」きゅっ
  つ□

( ´∀`)「ああ、いいモナよ」

63 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:41:58 ID:wn0B4Kqk0
( ´∀`)「君には資質があるモナ。誰よりもその適性が強い」

( ´ω`)「うそこけ。他にもうつのヤツはいるだろ」

( ´∀`)「唯一無二モナ。先日の戦闘で確信した」

( ´ω`)「タバコ」

( ´∀`)「あ、はい」

( ´ω`)y−・~「早く終わらせて帰りたかっただけだお」

( ´∀`)「……君のその姿勢、投げやりな態度、誰かではなく自分を守るための戦い」

( ´∀`)「ヒーローの対極にあり、そして――」

( ´ω`)「話がなげえ。もう僕は帰るお。コーヒーご馳走様」
  つ、じゅっ

( ´∀`)「あ、待って待って内藤くん、おーい」

64 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:45:10 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「雨かお……。晴れよりはマシか」

ξ゚听)ξ「帰るの?」

( ´ω`)「帰る」

ξ゚听)ξ「送るわよ」

( ´ω`)「……ん」

ブロロロロ

ξ゚听)ξ「納得した? 今回の説明で」

( ´ω`)「とりあえず、なんで僕が選ばれたかはなんとなくわかった」

ξ゚听)ξ「そう」

( ´ω`)「……幼馴染がこんなでなんとも思わないのかお」

ξ゚听)ξ「ダークヒーローになったこと?」

( ´ω`)「そっちじゃなくて」

ξ゚听)ξ「ああ……」

65 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:49:08 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「正直僕は正義を成すとかそういうの興味ないお」

( ´ω`)「自分のことしか興味ないお」

( ´ω`)「そんなんになってるのに……。あ、そうか」

( ´ω`)「だからこそツンは僕と久しぶりにコンタクトを取ったのか」

( ´ω`)「はは……。ははは……」

( ´ω`)「これは笑えるお」

ξ゚听)ξ「……」

( ´ω`)「僕が僕だからじゃなくて、僕がうつだからツンは僕に興味が湧いたんだおね」

ξ゚听)ξ「……そうね」

ブロロロロ

66 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:53:14 ID:wn0B4Kqk0
ξ゚听)ξ「着いたわ」

( ´ω`)「……ん」

『警報! 警報! レベル3のネガティブエネルギー感知!』

ξ゚听)ξ「!」

( ´ω`)「……」

ξ゚听)ξ「ブーン、行ける?」

( ´ω`)「……予定は、ないお」

ξ゚听)ξ「そう、それはよかったわ。おうちの人には言わなくて平気?」

( ´ω`)「母さんなら大丈夫。今日はパートでいないお」

ξ゚听)ξ「じゃあシートベルト締めて。飛ばすわよ」

( ´ω`)「……事故らないように頼むお」

67 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 16:59:59 ID:wn0B4Kqk0
(;´∀`)「ツンくん! 内藤くん! よく戻ってきたモナ!」

ξ゚听)ξ「モナーさん、状況は?」

(;´∀`)「芳しくないモナ。レベル3が複数、都内で感知されたモナよ」

ξ゚听)ξ「被害が出ますね……。ブーン、準備してくれる?」

( ´ω`)「せかされるとやる気がなくなる」

ξ゚听)ξ「時間がないのよ」

( ´ω`)「……わかった。で」

( ´∀`)「で、とは」

( ´ω`)「今回の報酬は」

(;´∀`)「〜〜!!」

ξ;゚听)ξ「今回の希望は何かないの?」

( ´ω`)「あー、うーん。ない、かな」

(;´∀`)「何かあるモナ? ほら、困ったこととか、前回みたいに!」

( ´ω`)「……あ、じゃあドクオから僕の記憶消してくれお」

ξ゚听)ξ

ξ゚听)ξ「え?」

68 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:03:13 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「できんの、できないの」

ξ゚听)ξ「え、だって、ドクオってアンタ、親友じゃない」

(;´∀`)「一個人の記憶消すことはまあできなくもないけど、そんなことでいいモナか?」

ξ゚听)ξ「そんな、こと?」

( ´ω`)「できるのかお。じゃあそれで。スーツ出して」

ξ゚听)ξ「そんな、え、それで、いいの?」

( ´ω`)「スーツ出して」

ξ;゚听)ξ「う、うん……」

,,,( ´ω`)「はあ、よっこいせっと。辛い辛い……」
  すたすたすた

69 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:11:35 ID:wn0B4Kqk0
『VIP区都市部 内藤ホライゾン! コード:ネガティブ! 投下準備!』

( ´ω`)「……あれが目標かお」

『内藤くん、今回は複数との戦いモナ! できるだけ一対一の戦闘を心がけるモナよ!』

( ´ω`)「なんか武器ないの、武器」

『ネガティブを固めた弾丸を飛ばす銃をそこに用意したモナ!』

( ´ω`)「ああ、これ。なんか作りチャチいな……」

『銃の後ろからケーブルを引っ張って首の後ろに接続すると使えるモナよ!』

( ´ω`)「よっこい」
 つ〜=

(∩´ω`)「せ」
     ジャコン

『君のネガティブを吸い出して弾丸にするから、無駄撃ちは控えるモナ! でないと――』

( ´ω`)「なに」

70 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:16:36 ID:wn0B4Kqk0
『ネガティブスーツが機能しなくなって、君は敵前で無力化、死ぬモナよ!』

( ´ω`)「……へえ」

( ´ω`)(無駄撃ちしたら死ねるのか)

( ´ω`)(あ、でも死ぬプロセスはしんどそう)

( ´ω`)(はあ……)

『ブーン、聞こえる?』

( ´ω`)「聞こえてる」

『さっきの報酬の話だけど、本当にそれでいいの?』

( ´ω`)「……何か問題でもあるの」

『だって、ドクオはずっとアンタの親友で、今だってずっと心配してて』

(∩´ω`)「あーあーあー」

『聞きなさいよ!』

(∩´ω`)「あーあーあーあーあー」

『親友をなくすってことがどれだけ残酷なことか分かって――』

( ´ω`)「……モナーさん、ツン黙らせないと戦闘放棄するお」

『ツンくん、その話は後でしようモナ』

『でもっ!!』

71 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:20:02 ID:wn0B4Kqk0
( ´ω`)「さて、ヘルメット被るかお」
  つ( ◎н◎)

(∩◎н◎)ずぼっ

( ◎н◎)「はあ……。さて……行くかお」

『コード:ネガティブ! 投下!』

ヒュゥゥゥゥ

( ◎н◎)(それでいいかって? いいに決まってる)

( ◎н◎)(なんでそんなことを訊くんだろう。僕がいいって言ってるのに)

( ◎н◎)(ツンはよくわからない……)

ズシン

シュゥゥゥゥ

( ◎н◎)「……」

(=゚ω゚)ノ「……なんだよう、お前」

( ◎н◎)「……別に」

72 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:23:41 ID:wn0B4Kqk0
「なんだあれ」

「特撮? カメラどこ?」

「え? すごい高さから着地したよね?」

(=゚ω゚)ノ「ホントお前なんなんだよう」

( ◎н◎)「お前を殺しに来ただけ」
  つy=- じゃき

(=゚ω゚)ノ「!」

ドパン ドパン

(=゚ω゚)ノ「きゅ、急になんだよう! 俺が何したってんだよう!」

「撃った!? 何あれ、本物!?」

「地面が抉れてる! 本物だ!」

「きゃあああああああ!!」

『ちょ、内藤くん! 人ごみの中で急に発砲したら危ないモナ!』

73 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:28:30 ID:wn0B4Kqk0
( ◎н◎)「知らないお。避難間に合わせてなかったあんたらの責任だお」

『だからって内藤くん』

( ◎н◎)「勘違いしてないかお? 僕は報酬が欲しい、そっちは怪物を倒して欲しい。それだけ」

( ◎н◎)「僕は誰かを守るためじゃなくって自分のためにここにいるんだ」

( ◎н◎)「それ以上に注文を受ける気はないお」

『し、しかし!!』

(=゚ω゚)ノ「何を独り言言ってるんだよう!!」

ススススス

(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ「とにかくお前を殺すよう!」(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ

( ◎н◎)「分身するんだ……」

『〜〜!! 内藤くん、市民の安全の件は後で話し合うモナ! とにかくそこから離れて!』

( ◎н◎)「囲まれたらまずい」

『ブーン、上!』

(=゚ω゚)ノ「おおおおお!!」

74 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:33:47 ID:wn0B4Kqk0
(;=゚ω゚)ノ「あが、が」

( ◎н◎)「奇襲ってヤツを雄叫び上げてやる馬鹿がここにいたお」

(;=゚ω゚)ノ「片足で胴体を貫いた!?」(;=゚ω゚)ノ

( ◎н◎)「ふん」

ズボッ

ドサッ

(=゚゚ω゚゚)ノ「あが、うぐ」

バグォ

( ◎н◎)「わ、きったな。死んだら爆発すんの、お前」

『それは恐らくネガティブで作った分身……』

『……ん? 待つモナ、すると――』

75 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:37:55 ID:wn0B4Kqk0
『どうしたんですか、モナーさん?』

『さっき複数確認されたのはレベル3のネガティブモナ?』

『え、ええ』

『それって、分身一体につき、レベル3モナよね』

『……?』

『じゃあ、総量はどれくらいのレベルになる、モナ?』

『……!』

( ◎н◎)「ん」

『ブーン、聞いて! 絶対にそいつを合体させちゃだめ!』

『数が増える分にはまだいいモナ! でも一体になったら――』

『確実に今より強くなる!』

76 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:45:56 ID:wn0B4Kqk0
(;=゚ω゚)ノ「怖いよう……一人になるのは怖いよう……」

( ◎н◎)「ああ言ってるけど」

『彼は恐らく孤独のネガティブ! きっと一人になることを恐れている!』

( ◎н◎)「そうみたいだおね。自分と同じ形の分身をたくさん作ってる」
  つy=-
ドパン ドパン

『そのまま殲滅して! 絶対に気付かせちゃいけない!』

( ◎н◎)「何を」

『どれだけ自分と同じ分身を作っても、結局は孤独だってことによ!』

(;=゚ω゚)ノ「もっと、もっと俺の仲間を作って、味方を作って」ブツブツ

『まだ記憶は曖昧みたいだわ、すぐに数を減らして!』

( ◎н◎)「簡単に言う」

77 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:51:43 ID:wn0B4Kqk0
(;=゚ω゚)ノ「俺は独りじゃない、俺にも仲間はいる、俺だって友達がいる」

( ◎н◎)「参った。両手じゃ数え切れなくなってきた」

『特別にネガティブレベルの高いのが本体だモナ! その一体のデータを送るモナよ!』

( ◎н◎)「……赤いヤツがそうってことかお」

『そいつを叩けばひとまずは安心――』

(;=゚ω゚)ノ(;=゚ω゚)ノ「うあああああ、死ねッ!!」

バゴン

スッ

( ◎н◎)「分身一体一体がこの破壊力か」

『しかもそれはネガティブの塊、攻撃はかなりの割合でアンタに響くわ!』

( ◎н◎)「装甲は」

『常人が攻撃されたら死ぬのを怪我で済む程度にするのが精一杯よ!』

( ◎н◎)「あ、っぶね」

(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ(=゚ω゚)ノ
  「避けるなよおおおお!!」

78 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 17:55:53 ID:wn0B4Kqk0
( ◎н◎)「直接攻撃しかしてこないけど」

(;=゚ω゚)ノ「俺は強い、俺は強い……」

( ◎н◎)「参った」

(;=゚ω゚)ノ「数はあるだけ強い、数が多い方が強い……」

( ◎н◎)「数がかなり多い」

(;=゚ω゚)ノ「数の暴力、数の暴力……それが強さ……それが強みィィィ!!」

=( ◎н◎)
  すっ

バッゴォォォオン

( ◎н◎)「コンビネーションも向上してる気がする……」

( ◎н◎)「早く帰りたい……」

79 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:01:04 ID:wn0B4Kqk0
『ブーン!』

( ◎н◎)「うるっせえ。なんだお」

『銃をショットガンモードに切り替えて! グリップの横のスイッチよ!』

( ◎н◎)「横? 横って」

(=゚ω゚)ノ「ああああああ」

( ◎н◎)「うるせ」

( ◎н◎)(しまっ、影にもう一人――)

ドゴッ

( ◎н◎)「ゲホッ!!」

(;=゚ω゚)ノ「今だよう! 畳み掛けろ!!」

『ブーン!』

ドゴッ

バゴン

『内藤くん! 内藤くん!』

「グホッ!! ゲッホ!! オエエエエエ!!」

80 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:05:03 ID:wn0B4Kqk0
(=゚ω゚)ノ「ひ、ひひひ、どんなヤツだって独りじゃ勝てないんだ!」

(=゚ω゚)ノ「誰だって、独りじゃあ――」

(=゚ω゚)ノ「あ?」

(=゚ω゚)ノ「れ?」

( ◎н◎)(包囲が……緩んだ……)

『ショットガンモードに移行。発射できます』

( ◎н◎)「消えろカス」

(=゚ω゚)ノ「あ」

ドッ ブチャア

( ◎н◎)「まとめて、消えろ」

ドッパァン

ブチュッ

( ◎н◎)「まとめて、消えろ」

ドッパァン

( ◎н◎)「おら、おら、おら」

(=゚ω゚)ノ「あ、ああ……」

82 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:11:25 ID:wn0B4Kqk0
( ◎н◎)「本体は隠れてたか」

(=゚ω゚)ノ「あれ、俺……。だって、味方が……」

( ◎н◎)「いねえよ。そんなもんどこにもいねえよ」
  つy==〓 ジャコッ

(=゚ω゚)ノ「そんな。皆、俺になって、しまえば……皆味方に仲間に」

( ◎н◎)「幻想だ。妄想だ。妄執だ。偏執だ」

『ブーン、待って!』

(=゚ω゚)ノ「いやだ、俺、仲間が必要なんだ。もう、孤独には耐えられない」

( ◎н◎)「人はどうしたって孤独だよ。どこにも救いなんかない」

『ブーン、ダメ、それ以上は――!!』

(=゚ω゚)ノ「孤独……」

( ◎н◎)「てめえ独りでしかてめえは救えねえんだ」

『――馬鹿!!』

(=゚ω゚)ノ「独り」

83 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:14:50 ID:wn0B4Kqk0
『破壊された分身たちが融解していくモナ!?』

『それだけじゃない、全部本体の方に……!! ブーン、決着をつけて!』

( ◎н◎)「死ね、カス」

(=゚ω゚)ノ「……!!」

ドッパァン

(=゚ω゚)ノ

(=゚ω

(=゚

グチャ

( ◎н◎)「終わったかお」

84 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:15:42 ID:wn0B4Kqk0


「ままま、だだ終わって、ななない」

.

85 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:21:50 ID:wn0B4Kqk0
「俺は、俺は俺は、分かった。お前のおかげで」

グチュグチュ

( ◎н◎)「ん……」

「独りで、孤独で、皆生きているんだ」

グシュベチョリ

( ◎н◎)「……はあ」

「そうか、きっと、皆独りなんだ。それを、隠しているんだ」

グシュペキペキペキ

( ◎н◎)「何を今更」

(=゚ω゚)ノ「礼を言うよう。おかげで何か目が覚めた気がする」

( ◎н◎)「復活、かお」

(=゚ω゚)ノ「俺は、全てのコミュニティを、集団を、組織を、家族を、友人を、隣人を、否定しよう」

( ◎н◎)「……」

(=゚ω゚)ノ「世界中が完全に孤独と向き合った時、皆が本当の意味で救われる。そんな可能性にかける」

( ◎н◎)「お前本当にネガティブかお。ずいぶん言ってることは建設的だけど」

86 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:25:19 ID:wn0B4Kqk0
(=゚ω゚)ノ「……アンタ、名前は」

( ◎н◎)「……」

(=゚ω゚)ノ「世界の変革の起点となったお前の名前を知りたい」

( ◎н◎)「変革、変革ね……」

(=゚ω゚)ノ「……」

( ◎н◎)「こういうセリフは悪役のもんだと思ってたけど、僕も悪役みたいなものか」

( ◎н◎)「冥土の土産に教えてやる。僕の名前は――」



( ●w●)「『すごいうつの人』だ」

(=゚ω゚)ノ「!!」

88 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:29:59 ID:wn0B4Kqk0
( ●w●)

   フッ


(=゚ω゚)ノ「消え――」

ズギャッ

(;;=゚ω゚)ノ「ウグアァッ!!」

ドゴッ

(;;=゚ω゚)ノ(違う! 足元の煙! 高速で、目に見えないほどの高速で動いたんだ!)

( ●w●)「疲れてるんだからもうお喋りはこの辺にしとこう」

(;=゚ω゚)ノ(疲れてる!? この動きをするほどの余裕を持って!?)

( ●w●)「銃、銃は……。なんだこりゃ」

『銃が変形している……』

『ずっと禍々しく、どす黒い……。どうやったモナ!?』

( ●w●)「知らん」

89 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:35:27 ID:wn0B4Kqk0
( ●w●)「もういいやこれで。早く帰りたい」

(;=゚ω゚)ノ「アンタ、一体なんなんだ」

( ●w●)「知らん」

(;=゚ω゚)ノ「知らないでこんな力を、何のために!」

( ●w●)

( ●w●)「自分のために」

ズン

(;=゚ω゚)ノ「――――ギッ」

( ●w●)「なんか見てて思ったんだけど、お前、ここが重要なんだろ」

(;=゚ω゚)ノ(分身を作る起点が踏まれてる! 逃げられない!)

( ●w●)「エネルギー反応が一番高いのがここなんだよな」

『……』

『……』

( ●w●)「さあ、どこを潰せばお前は消えるんだお」

90 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 18:38:23 ID:wn0B4Kqk0
「ここか」

ドバッ

「なんだこの威力、すげーお」

「やめっ」

ドン

「頭潰されても喋ってるってことは、ここかお」

ドン

「助け」

ドゴッ

「撃ったそばから回復してくのか」

ドン

「もうやめてぐえ」

ドッパァン

「これか。あれ、でも分身の核と本体の核は一緒なのかお」

「まあ、いいか」


「消えるまで付き合ってやるお」

94 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 19:33:14 ID:k93tOqYY0


( ●w●)「はあ……」


( ●w●)「実に……」


( ●w●)「うつだお……」

.

96 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 19:37:43 ID:k93tOqYY0
ξ゚听)ξ「……」

( ´∀`)「……」

( ´ω`)「ただいま」

ξ゚听)ξ「う、うん」

( ´∀`)「おかえり、だモナ」

( ´ω`)「はあ……。帰る」

( ´ω`)

( ´ω`)「車出して貰えるかお」

ξ゚听)ξ「今、手配するわ」

( ´ω`)「ツンの運転じゃないのかお。まあいいけど」

( ´ω`)「あ、報酬の件よろしく」

( ´∀`)「分かったモナ」

ξ゚听)ξ「ブーン……」

( ´ω`)「なに」

97 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 19:42:48 ID:k93tOqYY0
ξ゚听)ξ「本当に、本当の本当に、人は皆孤独だと思う?」

( ´ω`)「そうじゃなかったら僕は誰かに救われてる」

ξ゚听)ξ「……ッ」

( ´ω`)「まだ何か話すことがあるかお。あのスーツ着るとなんか疲れるんだお」

ξ゚听)ξ「……」

( ´ω`)「あー、不安の波来た。死にそう死にそう」

( ´∀`)「車の用意ができたモナ。内藤くん、お疲れ様モナ」

( ´ω`)「……吐いてくる。気分悪い」



( ´ω`)「……なんも出ねえでやんの」

99 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 19:46:34 ID:k93tOqYY0
('A`)「ブーン、心配だな。やっぱり俺はあいつのこと放っておけない……」

「あれが目標ですか」

「そうですね」

「しかし何のために記憶を消すんですか」

「上の命令。私たちに関係はないですよ」

「そうですけど」


ξ゚听)ξ「ブーン……」

( ´ω`)「はあ……」

100 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 19:47:23 ID:k93tOqYY0


( ´ω`)「これで、やっとうつと向き合う時間を邪魔されないお……」

.

104 名前:名も無きAAのようです :2014/01/08(水) 19:55:05 ID:k93tOqYY0
かいせつ

・( ´ω`)
  内藤ホライゾン ブーン
  すごいうつの人

・ξ゚听)ξ
  ツン
  すごい解説の人 車運転できる

・( ´∀`)
  モナー
  すごい解説の人 結構技術力があるらしい

・('A`)
  ドクオ
  すごい親友の人 すごい親友だった人

・(=゚ω゚)ノ
  名もなきネガティブラー
  すごい分身の人 すごい分身の人だった何か

・不安の波
  常人にも訪れる不安というものが、うつの人には何倍にも大きく感じられる。
  その波が来ると普通は薬を飲んでなんとかするのだが、薬がない人もいる。
  主に寝ればなんとかなる場合が多いが、その波、不定形につき、確実な対処法はない。
  薬には元気な方向に持っていくものと鎮静作用のあるものがあるが、不安には後者を用いることが多い。
  という嘘。あ、嘘じゃないかも。


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