- 62 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 18:59:43 ID:mN/z4wuo0
( ^Д^)「ショボン、しょーぼーん」
(´・ω・`)「……んー?」
( ^Д^)「大丈夫か、お前最近ほんと調子悪そうだけど」
(´・ω・`)「んー、ちょっと貧血気味で」
ミセ*゚ー゚)リ「なになに? 病弱キャラ?」
(´・ω・`)「ええー、男子の貧血ってカッコ悪いじゃない」
ミセ*゚ー゚)リ「そうかなー」
(´・ω・`)「そうだよ」
( ^Д^)「女子の貧血はあれだよな」
(´・ω・`)「あれだね」
ミセ*゚ー゚)リ「あの日だね」
o川*゚ー゚)o「ちょっとミセリ! 男の子とそんな話しないの!」
( ^Д^)「やだぁショボンちゃん、アタシたちとそんな話しちゃだめなんですってぇ」
(´・ω・`)「かなしいわねー」
o川*゚ー゚)o「気持ち悪い」
( ^Д^)「真顔!!」
- 63 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:01:27 ID:mN/z4wuo0
o川*゚ー゚)o「でも本当に大丈夫ショボンくん、具合悪いなら保健室行く?」
(´・ω・`)「保健室たまり場になっちゃってるじゃん。諸岡先生かわいそうだからやめとくよ」
o川*゚ー゚)o「そっかー……最近みんなピリピリしてるもんねぇ」
(´・ω・`)「受験近いしねー。僕らのクラスは推薦組多いからあれだけど」
('、`*川「ショボン、調子は」
(´・ω・`)「大丈夫だよ、もう平気」
('、`*川「さっきアンタ柱にぶつかってたじゃないの。悪いんならさっさと言いなさい」
(´・ω・`)「寝ぼけてただけだし」
('、`*川「……」
(´・ω・`)「……」
('、`*川「……また父さんも入院したってのに、あんたまでとか勘弁してよね……」
(´・ω・`)「だからへいきだってば」
('、`*川「……」
- 64 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:02:46 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「……ねぇ母さん、今日の夕飯なんだけど」
('、`*川「さっきスーパーでお弁当買ってきたから、悪いけどそれで済ませて」
(´・ω・`)「えっと、」
('、`*川「頼むからちょっと休憩させて、お母さん疲れてるの」
(´・ω・`)「……分かった」
从 ゚∀从「たっだいまー! いやー疲れた疲れた。おっ母さんおかえり!」
('、`*川「あ、ああ、ハイン、お疲れ」
从 ゚∀从「新作貰って来たんだけど飲む? 豆乳とアーモンドの奴でさぁ」
('、`*川「あら、季節の? 飲ませて飲ませて」
- 66 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:04:19 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しぃへ
お久しぶりです。ぼくはそれなりに元気にやってるよ。
最近足下がどうにもふわついて、重力がちょっと少なくなったような感じです。
それをお母さんに言ったら病院に連れて行って貰ったんだ。なんだかちょっとね、うれしかった。
心配してもらえてるんだなぁって。不純だね。
でも結局理由は分からないままで、ぼくはいまのところちょっと少なくなった重力で生きています。
不思議なことにね、そうするとちょっと気が楽で、まるで世界からちょっぴり離れたところに何か大事なものをおいてきて、
だから守らなくていいみたいなんだ。
ほんとうに「体調が悪いんだ」って免罪符で、
ちょっとくらいだれとも関わらなくたって平気でいられるからって言うのがおおきいんだと思います。
ぼく、もうひとりでいたいだなんて思うんだけど、みんなのなかでひとりぽっちって悲しいんだ。かってですね。ごめんね。
だからちょっと、文字通りうかれてたんだけど、そしたらお母さんにおこられちゃった。
なんだか変な話だね、しぃ。ちょっとわらっちゃうね。
お母さんからしてみれば、自分の子供を心配しないなんてだめな親のようだし、けれどもぼくなんて心配するのはしんどいのでしょう。
本当なら無い心配ですものね。しようがないよ。ぼくがわるいんだよ。
何にも誇れるところがないような子供愛せないのはしょうがないよ。ぼくだって、なんの取り柄もないの、愛せないよ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 67 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:06:58 ID:mN/z4wuo0
<ワイワイ
<キャーw
(´・ω・`)「……母さん、姉ちゃんといると笑うんだなぁ……」
(´・ω・`)「……」
(´-ω-`)「……」
.
- 68 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:09:30 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
うぬぼれてたんだ。きっと母さんなら、なんもなくたってぼくのこと愛しててくれるって。
でも、よくよく考えればそんなのないね。もうぼく、こればっかり思うんだ。
ほんとのほんとはね、母さんだって、ぼくにそんなこと言うつもりなかったの、分かってるんだよ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
('、`*川『ううん、知ってない。アンタ分かってない。ホントはお母さんこんなこと言いたくないのよ。言いたくないけど、結果出してくれなきゃ』
('、`*川『お母さんだって、何にも無いのにずっとアンタ愛してあげられるって訳じゃないんだから』
('、`*川『……』
『……』
('、`;川『!』
('、`;川『……と、とにかく、』
- 69 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:11:06 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「悪いけど、何にもないのに愛せない」って言ったあと、ちょっと焦ってたもの。
本心だったにせよ、口がすぎただけにせよ、たぶん、ほんとのほんとにぼくに言うつもりは、なかったんじゃないかな。
ぼくだって出来ればそんなの聞きたくなかったよ。勘違いしてうぬぼれたままでいたかった。
だって、これ、悲しいんだ。
しぃ、ぼくなんてぜんぜんで、もっとかなしくてもっとつらくてもっとなきたくてでもなかなくて、
もっとしんじゃいたいひとが、世の中にはたくさん居るんだと思います。
ぼくは本当の本当にしあわせな人間です。しあわせなんです。
それは、分かってるんだけど、でも、だからぼくは泣いちゃだめなんですか?
もっとかなしくてもっとつらくてもっとしんじゃいたい人が居たら、ぼくは悲しくなったらいけませんか?
つらいとこぼしたら行けませんか? しんじゃいたいと思ったら害悪ですか?
全部全部はやくおわってしまえと思います。ぼくはおちこぼれです。
うまくできるようになりたい。だれかになすりつけてしまいたい。もういやだ。ぼくがぜんぶわるいのかな。
そんなことないって言ってくれるかな、しぃ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 70 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:14:11 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)「あっショボンくんだ」
(´・ω・`)「あっ、……あ、…………あー?」
( ・∀・)「オレだよオレオレ、ほら、頑張って思い出して」
(´・ω・`)「………………………」
( ・∀・)「ほら! 頑張って!!」
(´・ω・`)「………………………」
(´・ω・`)「………………………………………………」
(´・ω・`)「…………………………………………………………、モララー先生?」
( ・∀・)「イエス、当たり! おめでとう!」
(´・ω・`)「ありがとうございます。……えっとその、スーツじゃないから分かりませんでした」
( ・∀・)「あー、だよねー。あそこスーツ着用が義務でさ。二年でリクルート持ってるのなんて俺だけだよ」
- 71 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:15:25 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「でも先生スーツ似合ってますよね」
( ・∀・)「マジで? 嬉しくないなー」
(´・ω・`)「嬉しくないんですか」
( ・∀・)「就職活動したくない系男子だからね。ショボンくんはどう? あの後元気? 大学受かった?」
(´・ω・`)「いえ、まだ決まってません」
( ・∀・)「へー、早いところだとそろそろ決まってくる頃でしょ? 後期? あ、でも理系は結構遅いんだっけ」
(´・ω・`)「えーっと、一応共通一次受けようかと」
( ・∀・)「……あれ! そうだったっけ?」
(´・ω・`)「……はぁ」
( ・∀・)「へええ、てっきり推薦一本に絞るから塾辞めたんだって思ってた。受けるの、共通」
(´・ω・`)「……受けられれば、と」
( ・∀・)「そっかー……でもあの成績じゃきついっしょ、ショボンくん」
(´・ω・`)「はっきり言うなぁ……」
( ・∀・)「そりゃもう、ショボンくんはお客さんじゃないからねぇ。言うよー」
- 72 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:19:09 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「そういうもんなんですか?」
( ・∀・)「そういうもんだよ」
( ・∀・)「あんまりはっきり言っちゃうと傷ついたーとか言って辞められるだけなら未だしも、訴えられたりするらしいからね」
(´・ω・`)「怖いですね」
( ・∀・)「ねー、こわいこわい」
( ・∀・)「そんなの、嘘言ったってしょうがないのにねぇ」
( ・∀・)「だからあんなに気ぃ使ってたのに、ショボンくん辞めちゃうんだもんなー」
(´・ω・`)「えっと」
( ・∀・)「……あはは」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「……続けなきゃ意味ないよーなんてて言ったの、ごめんね」
- 73 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:21:36 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「?」
( ・∀・)「そんなの言われなくても高校生くらいになりゃわかってるよねぇ」
( ・∀・)「ムカついたっしょ?」
(´・ω・`)「えっと、いえ、そんなには」
( ・∀・)「マジで? 心広いな」
(´・ω・`)「いや、別に……」
( ・∀・)「アレマニュアルで言わなきゃいけないように決まっててさぁ」
(´・ω・`)「そ、そんなマニュアルまであるんですか」
( ・∀・)「あるよー。も、すっげぇ束だから。ショボンくん一回塾講師してみな?」
(´・ω・`)「絶対やりません……僕馬鹿ですし……」
( ・∀・)「馬鹿のほうが教えるのに向いてたりするもんだよ。オレみたいにさぁ」
(´・ω・`)「そ、そうなんですか」
( ・∀・)「……でも本当にごめんな。あれ、ショボンくんほんとは辞めたくなかったでしょ?」
- 74 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:23:59 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ぼくがぜんぶ悪いのかな。
なんでこんなにうまくできないんだろう。やんなっちゃうよ。
もう、やだ。
ずっとこれ言ってるね。いやだよ。しにたいのは、ただの逃げなんだ。
しってるよ。でも、もう僕あしたがくるの、怖いんだ。
あしたなんてこなくっていいよ。ずっとずっとよるのまんまでいいよ。
もうこわいんだ。朝がくると、ぼくはもう、なんにもしないのをゆるされない。
やだよ。やだよしぃ。
だれもいないところで、しずかにしずかに、なんにもないみたいにしていたいです。
死ぬのはね、ほんとうはこわいからいやなんだ。
でもいらないって頭の中の誰かに言われ続ける明日よりは、いやじゃないきがしてきちゃった。ぼくいらないよ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 75 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:25:34 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「えーっと、」
( ・∀・)「いや、ほんとに辞めたかったんだったらあれなんだけどね」
( ・∀・)「ふつうはさ、辞めたくて辞める子ってどんなに嫌ですって顔しててもどっか清々してんの」
( ・∀・)「でもショボンくんほんとに嫌そうな顔してたからさー」
(´・ω・`)「……家庭の事情で」
( ・∀・)「ああ、あるある」
( ・∀・)「時々居るんだよねぇ」
( ・∀・)「そういう子にアレ言うたび、オレ殴られないかなーってひやひやしちゃう」
( ・∀・)「わかってるっつーの! ってさ」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「続けなきゃ意味ないよっていうのは、でも、嘘じゃないでしょう。あんなの、続けなきゃ身に付かない」
( ・∀・)「だよねぇ。塾は魔法じゃないんだからねぇ」
(´・ω・`)「でも、僕ん家お金そんなに無いんで」
( ・∀・)「……そっかぁ」
(´・ω・`)「はい」
- 76 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:27:35 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)「オレはさぁ、親っていうのは、子供が望むなら望むような教育の場を与えてやる義務があるんだって思うよ」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「でも、それが出来ない家もあるんだね」
(´・ω・`)「……あるんです」
( ・∀・)「ショボンくんは我儘いってもよかったんじゃないの?」
( ・∀・)「勉強したいなんて我儘子供に言われたら、オレなんか感涙モンだよ? 多分。子供居ないから分かんないけど」
(´・ω・`)「……僕ん家、姉ちゃんも居て」
( ・∀・)「はぁ」
(´・ω・`)「姉ちゃんは塾とか、行かずに大学行ったんで」
( ・∀・)「……で、おねえちゃんが行ってないから、ショボンくんも行っちゃダメだと」
(´・ω・`)「駄目だとかじゃなくて。行かせてもらいましたし。……でも姉ちゃんはずるいって言ってたって」
( ・∀・)「おねえちゃんも同じ学部志望だったの?」
(´・ω・`)「あ、姉ちゃんは語学関係で」
( ・∀・)「文理も違うのに比べるなんて変な話だねぇ」
- 77 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:30:13 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「……かもしれないとは、思うんですけど」
( ・∀・)「けど?」
(´・ω・`)「二人、子供がいたら、比べるの、しょうがないんじゃないかなぁって」
( ・∀・)「……」
(´・ω・`)「最初の姉ちゃんが上手にやったらやっただけ、そりゃあ、僕も出来るって思うんじゃないかなって」
( ・∀・)「……ショボンくんは、自分が上手に出来ると思う?」
(´・ω・`)「……姉ちゃん、ばかだけど、」
( ・∀・)「ばかなの」
(´・ω・`)「小学生の僕に高校の理科の宿題させるくらいには」
( ・∀・)「わ、わあ……」
(´・ω・`)「でも英語は本当に出来て。色んな人と話すのも好きで、だからすごい向いてる勉強だと思うんです」
(´・ω・`)「きちんと学校でも上位の順位取って、奨学金も貰って」
(´・ω・`)「それとおんなじ風には、僕は出来ないと、思います」
( ・∀・)「……そうかもねぇ」
- 78 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:31:34 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「でも、それって母さんや父さんが悪いんじゃないでしょ。姉ちゃんがうまくできて、僕は、その、向いてなくて」
(´・ω・`)「がっかりさせるのは、しょうがないけど、申し訳ないけど、僕が怒ることじゃないかなって」
( ・∀・)「……そっかぁ」
(´・ω・`)「……はい」
( ・∀・)「なんていうかね、俺もさぁ、まぁただの大学生でカウンセラーでもなんでもないからアレなんだけどさ」
( ・∀・)「ショボンくん、ちょっと変だねぇ?」
(´・ω・`)「……ええー」
( ・∀・)「ふつう高校生なんてもんは君、兄弟と比べられたらガチ切れだよ。オレだって兄貴の成績と比べられたらガチ切れしてたよ」
( ・∀・)「マジふざけんなだよ。壁に穴とか空けたからね。もうぼっこぼこ」
(´・ω・`)「え、えええ……」
( ・∀・)「だからショボンくんはちょっとおかしいよ。もっと怒ったり泣いたりわめいたり、一般的にはしてもいいと思うんだけど」
( ・∀・)「何でそんなに親に遠慮するの君」
(´・ω・`)「……えーっと」
- 79 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:34:06 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「僕が小学生の頃、」
( ・∀・)「うん?」
(´・ω・`)「父さんが事故に遭って、ちょっと入院してた時期があって」
( ・∀・)「?」
(´・ω・`)「母さん、よくお見舞いに行ってたんですけど」
( ・∀・)「はぁ」
(´・ω・`)「お見舞いから帰ってきたのを玄関で迎えたら、僕、首絞められて」
.
- 80 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:35:31 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(´・ω・`)『かあさん、おかえり』
('、`*川『…………ショボン』
(´・ω・`)『? かあさん?』
( 、 *川『…………』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 81 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:37:34 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)「……ちょ、ヘビィな話やめてくんない」
(´・ω・`)「あ、いえちょっとだけですよ。一瞬だけ。全然苦しくも無かったんですけど」
( ・∀・)「わーもーやだぁ、何でこんな重たい話聞いてるのオレぇ」
(´・ω・`)「すみません」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「いいよいいよ聞くよ。聞いてあげるよ、言いなさい」
(´・ω・`)「……あのー」
( ・∀・)「聞くってば。どうせ明日には忘れるから。言いたいでしょ?」
( ・∀・)「あんなこと言っちゃったんだもの、アフターケアだと思っといてあげる」
(´・ω・`)「……」
- 82 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:39:12 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「僕、ちょっと意味わかんなくて黙ってたんですけど」
(´・ω・`)「母さん、ちょっと僕見て、しばらくして溜息ついて部屋に戻って行って」
(´・ω・`)「その時、大変なんだなぁ、かわいそうだなぁって、思ったんですよ」
( ・∀・)「なんで?」
(´・ω・`)「えーっと」
(´・ω・`)「……その時は姉ちゃんも中学生だったし、子供相手に愚痴なんて言えなかったと思うんですけど」
(´・ω・`)「稼ぎ頭が大けがして、……僕はあんまりちゃんと教えてもらってないですけど、一生残る怪我なんだって。今も杖ついてますし」
(´・ω・`)「初めの頃は、もう働けないかもって言われてたそうです」
( ・∀・)「……大変だねぇ」
(´・ω・`)「大変ですよねぇ」
(´・ω・`)「まだまだ手のかかる子供が二人も居て、それで大黒柱が折れそうでって、母さんもすごく不安だったと思うんです」
(´・ω・`)「僕だって何となくだけど、本当に何となくだけどそれが分かってて、」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「それで、かわいそうだなって?」
(´・ω・`)「疲れるだろうなぁって思いました」
- 83 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:41:23 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)「そっか」
(´・ω・`)「僕が首絞められたのは、多分タイミングの問題だったんだと思うんです」
(´・ω・`)「あの時玄関通ってたのが僕じゃなくて姉ちゃんだったら、姉ちゃんがおんなじ風にされてたんだと、思うんです」
(´・ω・`)「……でも、ほんとにそうかなって」
( ・∀・)「……」
(´・ω・`)「思わないことも、無いじゃないですか」
( ・∀・)「無いのかな」
( ・∀・)「オレは親父にもセンコーにも兄貴にも殴られたことあるけど、本当に首を絞められたことなんて」
( ・∀・)「……あっあるわ」
(´・ω・`)「あるんですか」
( ・∀・)「いやまぁあれはチョークスリーパーっていうか……」
(´・ω・`)「なにそれこわい」
( ・∀・)「いやちょっとうち目には拳を、歯には蹴りをってとこあるから」
(´・ω・`)「なにそれこわい」
- 84 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:43:59 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)「ショボンくんのほうが怖かったでしょ」
(´・ω・`)「……僕は怖くなかったですよ」
( ・∀・)「そっか」
( ・∀・)「……そっかぁ」
(´・ω・`)「はい」
( ・∀・)「……だから、ショボンくんは殺されてもしょうがないかーと思ってると」
(´・ω・`)「いや、そこまででは」
( ・∀・)「じゃあ、生かしてもらってるんだから多少は我慢しなきゃと思ってると」
(´・ω・`)「……えーっと」
( ・∀・)「やっぱりショボンくん変だねぇ」
(´・ω・`)「ええー」
- 85 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:44:47 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しぃへ
お久しぶりです。どれくらいぶりかな。
前はいつだったか、覚えてないけど、もっと君に前向きで幸せですって連絡を入れたいものだなぁっていつも思います。
本当だよ。本当にそう思ってるんだ。なかなかうまく、いかないね。
ねぇしぃ、僕はいつも母さんが悪いようなことを君に言うけどね、母さんは悪くないんだ。
もしかして誤解してるんじゃないかと思ったらたまらなく辛く思えてきたから、言うんだけれど、
母さんも、父さんも、姉さんも、みんなね。みんな、悪くないんだと思う。
僕は卑怯者だから、だれかを悪いって言ってじゃあお前はどうなんだって君に聞かれるのが怖くてこんなことを言っているんだけど、
それでもね、僕みんなの誰だって、心から全部悪いと思えないんだ。
よくわからないんだ。嫌いだとか、憎いだとか、どうも僕、どっかに忘れてきちゃったみたいで。
最近、母さんに首を絞められそうになったときのことばかり思い出します。
あのとき僕が黙っていたら、母さんが今みたいに疲れたって言うこともなかったのかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 86 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:47:01 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)『オレはねぇ、生物の勉強をしているから、思うんだけど』
( ・∀・)『いきものってさ、子供を造るために生きてるんだ』
( ・∀・)『子供を造って、育てて、その子供がまた子孫を造れるようになるまで育てるため、生きてるんだ』
( ・∀・)『それなのにその親が子を苦しめるのは、おかしいと思う』
( ・∀・)『きみはそのご両親をどう思っているか知らないけどね』
( ・∀・)『知らないし、分からないから言うけどね、怒るなよ』
( ・∀・)『子供をちょっとでも殺そうと思う親なんて、みんなアタマ可笑しいよ』
(´・ω・`)
(´-ω-`)「……そうかなぁ」
.
- 87 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:49:31 ID:mN/z4wuo0
( ・∀・)『あくまでオレの持論ね』
( ・∀・)『子供は親を選べない。親は子供から逃げることは出来ない』
( ・∀・)『でもねショボンくん、子供は親から逃げることが出来るんだよ』
( ・∀・)『……逃げたっていいんじゃないの? って思うんだけど』
(´・ω・`)『…………』
( ・∀・)『…………』
(´-ω-`)
( ・∀・)『ショボンくん、大学行く?』
(´・ω・`)『え? はぁ、まぁ、いければ』
( ・∀・)『じゃあ、うんと遠いところ受けな。絶対に実家から通わないような。親も滅多に来れないような』
( ・∀・)『海越えちゃえよ。海外なんてのも夢広がるね』
(´・ω・`)『え、えっと』
( ・∀・)『逃げちゃえよ』
- 88 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:50:51 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
でもしぃ、僕も疲れたよ。おなかが痛いんだ。小指が痛いんだ。
でも、母さんも父さんも姉さんも、僕の心配なんてしんどくてしてる暇、ないんだと思う。
しょうがないよねぇ。僕もう十八になったんだ。子供みたいに心配されてるわけにはいかないんだものねぇ。
でもきみにくらいは僕もしんどいって言っていいよね。辛いんだ。辛いんだよ。
おなかは痛いし、何にもできないし、疲れたし、もう何にもかもぜんぶ無かったことにして逃げ出してしまいたい。
嫌だよ。僕何か悪いことしかできないんだ。でも逃げ出したって何にもできないんだ。
多分ね、これって受験のなんとかのストレスとかって言われるんじゃないかな。
みんな辛い時期だから我慢するんだよって、きっとそんなふうに言われるんだ。
多分それは何にも間違ってないんだ。間違ってないんだよ。でもね、やっぱりつらいです。
僕はこれをだれに吐き出せばいいんでしょう。
僕の吐いたのなんてさ、誰にも見せられないじゃない?
汚いし、気持ち悪いし、後片付けは面倒くさいし、そんなの迷惑だから、誰にもみせられないよ。
君にこんな風に吐き出しておいてこんなことを言ってごめんね。ごめんね。
でも僕だって悪くないと思ってるんだ、僕。浅ましくて嫌だよ。しんでしまいたい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 89 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:52:51 ID:mN/z4wuo0
(´-ω-`)
(´・ω・`)
(´・ω・`)「母さん、奨学金なんだけど」
('、`*川「ああ、どうだった?」
(´・ω・`)「……えっと」
('、`*川「どうしたのよ」
(´・ω・`)「…………落ちた」
('、`*川「…………は?」
.
- 90 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:53:31 ID:mN/z4wuo0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しぃへ
やぁしぃ、二ヶ月ぶりかな。元気?
ぼくはね、少しだけ胃を壊したけど、あとはまぁ元気の類似みたいなもんだよ。
すっかり寒くなってきて、君が体調を崩してなきゃいいんだけど。
どんどん冬がやってくるようで、ぼくの一番大事な試験は冬にあるんだけど、もう今からなんだか不安でしょうがないよ。
何せ大学にも行ってないようななにもしてないぼくに存在の意義は無いらしい。
前から言っていたけれど、なんだかものすごい話だなぁと思うよ。どうやってぼくはゆるして貰えばいいんだろう。
そういえばまえからききたかったんだ。
ぼくはもしかして、可哀想な子供なのかな。
わからないんだ。世の中にはもっと悲しい子供がいるっていう。
生きたくても生きられない悲劇があるっていう。学びたくても学べないつらさがあるっていう。
でも、だったらぼくが悲しくないかっていったら、そんなことないじゃない?
ぼくが辛いのはほかの誰がもっと辛くても消えたりなんてしないじゃない?
それで消えてくれれば、どんなにぼくは幸せだろうってずうっと思うんだけど。
もう忘れよう忘れようって思うのに、忘れられないんだ。
お母さんやお父さんはぼくよりお金が大事だなんてきっと口が裂けても言わないよ。
でもね、たぶん、ぼくが元気で生きてそうやってお金を使っているうちは、それはきっと嘘だよね。
だってぼくがいなくてもお金は平気だけど、お金が無くちゃぼくは生きて行かれないもの。分かってるんだよ。わかってるんだよ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 91 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:55:54 ID:mN/z4wuo0
('、`*川「何で」
(´・ω・`)「……その、評定、足りなくて」
(´・ω・`)「えっと、利子つきのなら借りれるって言われたんだけど」
('、`*川「……おねえちゃんは足りてたのに」
(´・ω・`)「あの、」
('、`*川「利子つきのなんて借りるだけ無駄だから、辞めときなさい」
(´・ω・`)「……うん」
('、`*川「…………もう終わっちゃったことをどうこう言ってもしょうがないから良いけど」
('、`*川「ショボン、あんただってうちのこと、ちょっとは分かってるんでしょ?」
(´・ω・`)「……」
- 92 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:56:42 ID:mN/z4wuo0
('、`*川「分かってるなら頼むわよ、ホント……」
(´・ω・`)「……だって僕、何にも教えてもらってないよ」
('、`*川「何か言った?」
(´・ω・`)「何にも言ってない。ごめんなさい」
('、`*川「謝って貰ったってどうしようもないでしょ」
(´・ω・`)「……ごめんなさい」
('、`*川「……はぁ」
('、`*川「いいからさっさと着替えてきてご飯の用意手伝って」
(´・ω・`)「……うん」
(´・ω・`)「あの、母さん」
('、`*川「何?」
(´・ω・`)「が、学校の方の学費免除の試験、受けるから」
(´・ω・`)「それ、受かれば、学費免除されるから……そっち、頑張る」
('、`*川「……」
('、`*川「期待しとくわ」
- 93 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:57:32 ID:mN/z4wuo0
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でも、もしかしてそれって可哀想なのかな。そうやって考えるのは、可哀想なのかな。
塾はお金がもったいないからってやめたんだ。予備校は通うのだってお金がかかるんだからって行ってないんだ。
きっとこのチャンスを落としてしまったら、ぼくはもう勉強しないで働くんだ。悪いことじゃないんだよ。
分かってるんだ。しょうがないしぼくだってつらい思いしたくないもの。
でも、親って子供が望むのなら学ばせてやるものなんじゃないのかって、あの言葉。
きっとね、あのひとはぼくみたいにこんな場所に住んでいないし、境遇も違うだろうし、わかってるんだよ。
ちゃんとお母さんもお父さんも、ぼくののぞむ教育っていうのを、しようとしてくれているんだ。
がんばってくれてるんだ。信じるよ。信じるけど。でも、ねぇしぃ、ぼくは可哀想なんですか?
あたまがわるくて、お金が借りれないんだそうです。
そういったら、お母さん怒っちゃった。
なんだか悲しいんです。だってもうどうしようもなくて。
ああ、きっと母さんも父さんもぼくができそこないだとため息を吐くんでしょう。
お姉さんはできたのに、そんなこともできない。
あれはだめだって困るんでしょう。いやだ。ああいやだ。ぼくそんなことしたいわけじゃ、ないのに。
ねぇしぃ、ぼくね、みんなほんとうのほんとうに、困ってほしくない。
ぼくの存在で困ったり悩ませたりだとかするくらいなら、もうね、しんじゃいたい。
しにたいしにたいって思うのに、やりたいこともかくしておきたいことも、こわくってしねない。
ねぇしぃ、ぼくはもうなんだか、つらいねぇ。
こんなのってふつうなんだろうね。世の中の人はみんなつよいね。羨ましいなぁ。
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- 94 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:58:46 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「あ、合否きてる」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「……やっぱり、なぁ」
(´-ω-`)「…………」
.
- 95 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 19:59:39 ID:mN/z4wuo0
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しぃへ
また久しぶりのお手紙になったね。
もうすっかり冬で、年も暮れになってきているけれど、しぃはどう過ごしてるのかな。
前言っていた大事な試験はね、逃げるみたいにしてなんとかすり抜けちゃった。
僕、受かったよ。
ね、みんなおめでとうっていってくれて、嬉しいんだけれどね、なんだかずるをしたようで、ちょっぴり恥ずかしいね。
でも、大丈夫。それはね、僕だけじゃないから、って、たぶん、たいじょうぶ。
それから、この前はもう一つ試験を受けて、それに受かれば僕はもうお金の心配をしないで大学に行けたんだけどね、落ちちゃった。
ねぇ、これまだお母さんにも言っていないんだけどね、どうしようしぃ、とても怖い。
だって母さんも父さんも、口では言わないけど期待をしていたよ。
もしかしたらって。僕だってしてた。
でも落ちちゃったよ。
どうしよう。ねぇ、怒られるのかな。
それともがっかりされるのかな。やっぱりだめだったかって、失望されるのかな。
怖いよ。ぼくは、こんな心配ばっかりしていて、どうしてだろう。
ねぇしぃ、ぼくはどうしてうまくやれないんだろうね。
せっかく、母さんや父さんに、何の心配もかけずに、胸を張って、これは手の掛からない自慢の子ですっていってもらえたかもしれないのに。
どうしてうまくいかないんだろう。どうしてうまくいかないんだろう。
ほんとはね、分かってるんだ。努力が足りなかったんだ。分かってるから、もう、いやだ。分かってたのにね、できないから、もう。
しぃにこんなこと言っても哀れっぽいだけだね。ごめんね。
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- 96 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:01:30 ID:mN/z4wuo0
川 ゚ -゚)「そういえば、ショボンくんは何処の大学なんだっけ?」
(´・ω・`)「うん? えっと、V大」
川 ゚ -゚)「ああ、V大なのか。あれ、AO?」
(´・ω・`)「ううん、公募」
川 ゚ -゚)「ああ、そっか、理系だとAOはないか」
(´・ω・`)「この前合否来て、受かってたから、晴れて受験生終わり」
川 ゚ -゚)「う、うわ、先越しやがった」
(´・ω・`)「どやー」
川 ゚ -゚)「むかつくなぁ。おめでとう」
(´・ω・`)「あとがとう。クーさんは?」
川 ゚ -゚)「私はシベリア女子だな」
(´・ω・`)「わ、有名私立」
川 ゚ -゚)「そんな言い方しないでくれないかなぁ」
(´・ω・`)「クーさん頭良いしねぇ」
- 97 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:02:27 ID:mN/z4wuo0
川 ゚ -゚)「別に良くないさ。しかしV大かぁ、下宿だな」
(´・ω・`)「うん。クーさんもシベリア女子なら下宿でしょう……っと、結果出てないならまだ分かんないか」
川 ゚ -゚)「指定校枠があったらよかったんだけどね。まぁ、手応え的にはいけたかな」
(´・ω・`)「おおー」
川 ゚ -゚)「今は向こうの部屋探しで親と大モメしてる」
(´・ω・`)「あぁ、やっぱり女の子だと色々大変だもんねぇ」
川 ゚ -゚)「別にある程度セキュリティがあるならアパートでいいって言ってるんだけど、母さんたちマンションって聞かなくて」
(´・ω・`)「いやぁ、危ないし心配なんでしょ」
川 ゚ -゚)「家賃の桁が変わってくるっていうのに……」
(´・ω・`)「でも怖いよ、ストーカーとかさ。都会だし」
川 ゚ -゚)「それもそうだけどさぁ」
(´・ω・`)「うちもそろそろ相談しないといけないかなぁ。なるべく安くて近いとこでいいや」
川 ゚ -゚)「男の子は楽そうでいいな」
(´・ω・`)「いやー、仕送りのこととか、あんまり言えないし、大変だけどね」
川 ゚ -゚)「あぁ、バイトとかするのか?」
(´・ω・`)「あ、そういやもう結果出たからやってもいいのか。……どうしようかなぁ」
- 98 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:03:33 ID:mN/z4wuo0
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ほんというとね、ちょっとだけ可笑しいなって思うんだ。
やっぱりあのひとの言うことは本当でさ、周りのみんなはね、お金だとか、そういうの、ほんとに気にしてない風に見えて。
言っていてもしょうがないことなのは分かってるんだよ。でも、なんだか滑稽だなぁって。
全部入れ替えてしまいたいね、しぃ。
ぼくのこの怠け癖も、卑屈なのも、ぜーんぶ取り替えて、きちんとしたものを入れて生きたい。
しんだらなおるのかなぁって、ちょっと笑っちゃった。
ぼくなんて生まれてこなければよかったのにね。
しぃも、そしたらこんな手紙、受け取ることもないんでしょう?
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- 99 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:05:49 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「あ、おかえり、父さん」
(´・ω・`)「かえってたの」
(`・ω・´)「ああ、ただいま、ショボン」
(`・ω・´)「……」
(`・ω・´)「ショボン、座りなさい」
(´・ω・`)「……なに?」
(`・ω・´)「いいから」
(´・ω・`)「……うん。頭拭きたいから早くしてよ」
(`・ω・´)「すぐすむから」
(´・ω・`)「うん」
(`・ω・´)「…………学費免除、落ちたってな」
(´・ω・`)「……ごめん」
(`・ω・´)「謝るな」
(´・ω・`)「ごめんなさい」
(`・ω・´)「謝らなくていい。別に、父さんたちはお前を大学に行かせるのに、何も金が惜しいわけじゃない」
- 100 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:08:05 ID:mN/z4wuo0
(´・ω・`)「……」
(`・ω・´)「確かにまぁ、免除されれば楽だったかもしれないけど、普通なら払って当然なんだ」
(`・ω・´)「うちだってそれなりに貯蓄くらいはしてある」
(`・ω・´)「おねえちゃんを、お前を大学まで行かせて、結婚させるくらいまでは」
(`・ω・´)「……まぁ、おねえちゃんは奨学金分、確かに得してるが」
(´・ω・`)「…………」
(`・ω・´)「だから、お前はそれに遠慮したりとかしなくてもいい」
(`・ω・´)「父さんも母さんも、お前がしたい勉強をしてくれればそれでいい」
(`・ω・´)「だからショボン、」
(´・ω・`)「……」
(`・ω・´)「…………」
(´・ω・`)「…………」
(`・ω・´)「…………何だその目は」
(´・ω・`)「え」
- 101 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:09:36 ID:mN/z4wuo0
(`・ω・´#)「何だ、その目は。返事もしないで」
(´・ω・`)「え、」
(`・ω・´#)「人が慰めてやってるのに何だその態度は! お前も俺を馬鹿にするのか!」
(;´・ω・`)「えっ、え、」
(`・ω・´#)「お前も俺をカタワって馬鹿にしてるのか! 陰で笑ってるのか! そうだろ!」
(;´・ω・`)「ち、が、」
(`・ω・´#)「どいつもこいつも! 息子まで俺を馬鹿にしやがる!」
(`・ω・´#)「育ててやったのに! 事故をしたくらいで! ああ畜生、ふざけてやがる! ふざけてやがる!」
(;´・ω・`)「そんなこと、」
(`・ω・´#)「俺が育ててやったのに! 養ってやったのに! そうやって陰で笑って!!」
(;´・ω・`)「そんなこと言ってない、父さん……」
(`・ω・´#)「うるさい!!」
- 102 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:10:25 ID:mN/z4wuo0
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しぃへ
もうぼくはなんにもうまくできません。
きみにこうやって手紙でも書いたって上手に泣くこともできなくなっちゃった。
僕の泣き顔なんて醜くてきたなくてやってられないんだろうなぁ。
これが手紙で良かったや。しぃにもっと嫌われたら、ぼくいやだから。
本当にもうなんにもうまくできないからね、いつかの詩人さんが書いてたみたいな、でくのぼーのひとになってしまいたいなって。
でもね、ぼくはどうしてもだめです。直ぐに人間に戻ろうとしちゃうんだ。ああ、嫌だなぁって。つらいなぁ。
おとうさんだって好きで怒っているわけじゃないでしょう。ぼくのことを思っているんでしょう。
そうだよね? そうだと言ってほしいんだけど、しぃに聞いてもしょうがないね。
だからね、ぼくがわるいのは卑屈でもなんでもなくて真実で、不機嫌な態度でおこらせてしまったぼくがぜんぶわるいんです。
でもぼくしにたいとおもったよ。
どこかで間違えちゃったんじゃないかな。
ぼくにはどうしてこんなに世界が難しいんだろう。
みんなおなじなのかな。簡単そうにこなしてるのに。
ぼくできないよ。おとうさんに怒鳴り返すのも、おかあさんを拒絶するのも、おねえさんにうるさいっていうのも。
なんでみんな簡単に出来るんだろう。なんでぼくも簡単に出来ることにされてるんだろう。
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- 103 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:13:02 ID:mN/z4wuo0
从; ゚∀从「ショボン! 父さん! どうした!」
(`・ω・´#)「うるさい! お前も陰で笑ってるんだろ! 誰のお陰でメシ食ってるんだ! なぁ!」
从; ゚∀从「父さん?! 落ち着けって、何だよ、どうしたんだよ!」
(`・ω・´#)「ああ黙れ黙れ、黙ってくれ! もう嫌だ、疲れた! なんで俺ばっかりこんな目に遭う!」
(`・ω・´#)「俺はただ親切で運んだだけなのに! なんでこんな風な目に遭わなきゃいけない!!」
从; ゚∀从「ショボン、部屋戻れ」
(;´・ω・`)「で、も、」
从;# ゚∀从「いいから戻れ。アンタ居ると逆なでするんだよ」
(;´・ω・`)「…………わ、分かった」
(;´・ω・`)
「もう嫌だ、ああ、もう嫌だ」
「なんでこんなことなっちまったんだよ、教えてくれよ」
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- 104 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:13:44 ID:mN/z4wuo0
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こわいじゃない。こわくてこわくて、ぼくできないよ。
よのなかでこわくないものなんていっこもないんだ。全部全部分からないし恐ろしいしなんで怒るのか分からない。わからない。
こわいよしぃ。つらいよ。押しつぶされそうだよ。やめてほしいんだ。
ぼくね、最初から嫌われてるってことに思っておこうと思って。
そうすればどんなに嫌われてもね、最初に戻っただけだって思うだけでしょ?
でも、家族あいてにそうやって考えるのは、悲しいね。
悲しいから止めておこうって、思うんだけどね。
でも本当に最初はちゃんと好いて貰ってたと思っちゃったばかりに、もうぼくはきっとだめだと思うんだ。
だってこんなの好かれないよ。もうだめだよ。もうだめ。かぞくだからって、それってじつは何の免罪符にもならないんだね。
ああ、やだなぁ。
ねぇしぃ、ぼくは間違わない人になりたいです。
どうせ好いてもらえやしないんだよ。でもさ、もしかしたらってさ。
やっぱり嘘だったね。きのせいだったね。いやだなぁ。そんなのって意味、あるのかなぁ。
ぼくはしぃに何て言って貰いたいんだろうね。もうそれもわかんないんです。
いらないよ、こんなのいらないよしぃ。やり直しもしたくない。もうぜんぶ終わりで良いじゃない。
疲れたって言うのも君にしか言えないや。
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- 105 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:16:08 ID:mN/z4wuo0
(;´・ω・`)
(;´・ω・`)
(;´-ω-`)
(;´;ω-`)
(; ぅω-`)
(; ぅω∩`)
(; ぅω∩`)「……」
(; ぅω∩`)「う、ううう」
- 106 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:17:05 ID:mN/z4wuo0
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しぃへ
ぼくがこんなにかわいそうな奴なのはぼくのせいだと思います。
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- 107 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:18:34 ID:mN/z4wuo0
(*゚ー゚)「なら、さっさと死んでしまえ」
(; ぅω∩`)「うん…………」
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- 108 名前:名も無きAAのようです :2013/11/03(日) 20:19:29 ID:mN/z4wuo0
- おわりだよ お疲れ様でした
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