164 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:17:08 ID:ctFhaoHw0
(・A・)「オトーチャン。どーしてお空にはお星さまがあるの?」


( ФωФ)「んむ?...ああ、今日は星が綺麗であるな...ふむ、あれはな、死んだ人達の魂の輝きなのである」


(・A・)「魂の輝き?」


( ФωФ)「うむ。死んだ人はお空にいって地上の人々を見守ってくれてるのである」

165 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:18:13 ID:ctFhaoHw0
(・A・)「ほえー。じゃあ、オカーサンはあそこにいるの?」


( ФωФ)「...ああ......そうで、あるな」


ここはとあるヴィップの丘。
オリオン座が輝く星の下。
今から20年近く、昔の話である。




�20話 大怪盗と星の輝き


.

166 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:21:01 ID:ctFhaoHw0
(・A・)「ねぇねぇオトーチャン。今日こそさ魔法を教えてよ...ほら、星見てないでこっち向いて」


( ФωФ)「んむ? ...ああ、すまない。魔法かぁ...それは無理というもんなのだよ」


(・A・)「ほぇ? どして? ショボくんは使えるよ?」


(; ФωФ)「...荒巻め、あれほどドクオに魔法を見せるなといったのに......だが、言っていいのか悪いのか...」


(・A・)「?」

167 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:21:57 ID:ctFhaoHw0
( ФωФ) 「...ドクオ。よく聞け。お前に魔法は使えない。正直にいって才能がないんだ」


(・A・)「えっ? どーして? ショボくんは誰でも使えるって言ってたよ?」


( ФωФ)「......参ったな。そこまで知ってるのか......うむ。では、こうしよう」


(・A・)「ほぇ?」


( ФωФ)「ドクオ。怪盗が盗んではいけないものはなんだ?」

168 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:23:12 ID:ctFhaoHw0
(・A・)「うーん...怪盗でも盗んじゃいけないものがあるの?」


( ФωФ)「ああ...人の、いや、生き物すべての命だ」


(・A・)「命...」


( ФωФ)「そう、命。これだけは盗んではいけない。これを好んで盗む連中は怪盗ではなく...単なる鬼畜だ。だが、ドクオ。お前は剣も魔法も使えない。誰かを傷つけることはない。これはお前にしかない才能だ。お前は立派な怪盗になれる...これでは駄目か?」


(・A・)「うー......でもでも、剣も魔法も使えないんじゃ誰も助けられないよ...」

169 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:25:15 ID:ctFhaoHw0
( ФωФ)「...フフ。ハッハッハッ!! ドクオ、勘違いしては困るのである」


(・A・) 「?」


( ФωФ)「怪盗とは悪の存在。別に誰かのためにやるものではない。全ては自分のためにするのである。自分の欲望、気分次第、なんだっていいのである。吾輩もそうだ。自分のために、自分の周りの人のために他人を傷つけてるに過ぎない」


( ФωФ)「いいか? ドクオ。怪盗は誰かを助けることなんて、出来ないんだ。我々は悪なんだからな。街に行ってみろ。我々怪盗のやること全て、間違っているという人だっているんだ。万人が助かるものでない正義など単なる偽物だよ」


(・A・)「で、でもそれで助かる人もいるよ?」


( ФωФ)「いたとしても盗みは誰かを傷付ける。助けることには程遠い存在であるよ...ただ、鬼畜とはまた、違うがな」

170 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:26:15 ID:ctFhaoHw0
(・A・)「......オトーチャン」


( ФωФ)「ん? なんであるか?」


(・A・)「それでも僕は、助けたいんだ。怪盗として、人を...助けたいんだ...それに、証明したい、トーチャンは間違ってないって」


( ФωФ)「......」


(・A・)「...僕は、何の才能もないけど......オトーチャンにも及ばない怪盗だけど...それでも、誰かを助けるヒーローみたいになりたいんだ」

171 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:28:03 ID:ctFhaoHw0
( ФωФ)「......ヒーローか。我輩も、憧れてはいたんだがなぁ……」


(・A・)「? ......諦めちゃったの?」


( ФωФ)「ああ...まあ、心残りは少しあるがな。たまに我輩をヒーローと呼ぶやからがいるが...我輩はどれだけ綺麗な振りをしてもやはり汚れてるのである」


(・A・)「...オトーチャンは僕のヒーローだよ?」


( ФωФ)「フフッ...嬉しいこと言ってくれるな。だが、もう夢を見るのは無理そうである。やはり、夢を見れるのは子供の特権であるな......」

172 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:29:13 ID:ctFhaoHw0
(・A・)「...オトーチャン。僕まだ子供だよね? ヒーローになれるかな?」


( ФωФ)「......ああ、なれるさ。我輩の自慢の、息子だしな」


(・A・)「ほんと!? やったぁ!! ボク、頑張るよ!!」


( ФωФ)「フフ...さあ、もう、時間も遅い。帰って寝なさい」


(・A・)「うん! おやすみ、オトーチャン」


ドクオは一人、隠れ家へと戻っていく。ふと、振り返ってみると、ロマネスクが悲しげな表情で空の星を眺めていた。その顔は、なにかを決意する顔にも見えた。

173 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:30:17 ID:ctFhaoHw0
深夜。
物音が何一つなくなった暗闇の中、小さな話し声がうっすらと聞こえた気がした。


(つA-)「(ううん...誰だろ?)」


窓を開け、外を見てみる。
月はもう、高いどころか沈みだしていた。
そのうっすらとした月明かりのもとに三人の人影がぼんやりと見えた。


(-A・)「あれ? ...オトーチャン?」


間違いない。あのマントを羽織った姿。
確実になにかを盗むときのロマネスクの姿だ。
三人とも顔がこちらを向いてないためはっきりとはわからない。しかし、何となくその三人の暗い雰囲気が伝わってくる。

174 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:31:00 ID:ctFhaoHw0
「......のためにも.........帰って......」


「教会.........月の.........ああ、大丈夫じゃ」


「すまな......必ず.........」


風にのってうっすらと会話が聞こえてくる。
しかし、遠いせいでうまくは聞き取れない。


(・A・)「(...何話してんだろ?)」


こっそりと近づいてみる。
風が肌を突き刺すように、冷たい。
眠気で働いていなかった頭を叩き起こすような寒さが辺りを包んでいた。
風にのって、今度ははっきりと三人の会話が聞こえた。

175 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:32:12 ID:ctFhaoHw0
ノパ�゚)「...全く、本当に頭の固いやつだな。わかってるのか? お前が失敗したら...」


( ΦωΦ)「わかっている。だが...大怪盗ロマネスク、最後くらい本物のヒーローになりたいのである...ドクオも誰も傷つけない最高の結末を迎えたいのである」


ノハ-�-)「......馬鹿ね。本当に」


/ ,' 3「...ワシから言えるのはホムンクルスがやつらの鍵、と言うことぐらいじゃな。探るなら、やはり教皇の屋敷か大聖堂が怪しいの」


( ΦωΦ)「珍しいな。あんたにわからない情報があるなんて」


/ ,' 3「ホホ...ワシはもう単なる老いぼれだからの...そろそろ引退じゃな」

176 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:33:07 ID:ctFhaoHw0
(; ΦωΦ)「おいおい...吾輩が帰ってくるまでは現役でいてくれよ...吾輩たちは三人でいままでやってきただろ。ここであんたが抜けたら...」


/ ,' 3「無茶をいうな...そろそろ60のジジイだぞ。もしかしたら明日、ポックリ逝ってるかもな」


( ΦωΦ)「......荒巻。お前が生きていなかったら吾輩の望む未来は訪れないのである。頼む、吾輩からの最後のお願いだ。必ず、吾輩はやり遂げる。だから、生きててくれ」


/ ,' 3「......全く。わかったわかった。そうさな...ワシの跡継ぎが育つまでは待ってやる。それ以降は知らんぞ」


( ΦωΦ)「...それでいい。すぐにでも終わらせるのである」

177 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:33:56 ID:ctFhaoHw0
ノパ�゚)「ぜってー終わらせろよ。もし、しくじったら私の焔の拳でぶん殴ってやる」


( ΦωΦ)「うむ。わかっているのである。では、そろそろ......行ってくるよ」


/ ,' 3 ノパ�゚) 「......」


( ΦωΦ)「...皆、ドクオのことを頼む。あの子を...守ってくれ」


そう呟き、返事も待たずにロマネスクがマントを翻し、進んで行く。
寒い、冬の空の下。
風にマントをはためかせながら歩いていくそのロマネスクの姿。
その後ろ姿が、ドクオの最後に見たロマネスクの姿だった。

178 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:38:15 ID:ctFhaoHw0
(´・ω・`)「やあ、皆。ショボンです」


(´・ω・`) 「ドクオとロマネスクの過去のお話はこれにておしまい」


(´・ω・`)「次は特別編ということでこの世界の魔法について説明したいと思う」


(´・ω・`)「わかりにくかったらごめんね」

179 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:39:36 ID:ctFhaoHw0
Q:そもそも魔法とはなんぞや


(´・ω・`)「魔法ってのは一種の才能みたいなもんだよ。そうだな...魔法には大きく分けて4つに分けられるんだ。火水風土の4つ。んで、魔法ってのはそれらを操る才能ってとこかな?」


Q:魔法を使うにはなんか魔力的なものは必要?


(´・ω・`)「いや、いらない。魔法に使われる力は全部生命力だから」


Q:生命力?つまり使い続けたら死ぬ?


(´・ω・`)「生命力とは基本的には体力と同義だね。死ぬかと聞かれればマラソンとかと同じだよ。使い続けたら体が規制する。走りすぎて死ぬみたいなことが無いように魔法を使いすぎて死ぬことは滅多にないよ」

180 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:42:11 ID:ctFhaoHw0
Q:魔法って4つて言ったけど回復魔法とかはどうなんの?


(´・ω・`)「ああ、あれはね、生命力をそのまま注ぎ込むんだ。生命力を魔力に変換しないで使う特殊なものだから正確に言えば魔法ではないんだ。だから一部の人しか使えないんだよ。だけど魔法といわないとこの世で説明できる現象じゃなくなってしまう。だから皆魔法っていってるんだ。まあ、教会は神の恵みだとか力だとかいってるけどね」


Q:第一話で出てきた商人が火柱起こしてたけどあれ結構強くない? 商人の才能すごかったの?


(´・ω・`)「いやいや、やつらは大した才能なんて持ってないよ。ちょっとしたトリックがあるんだ。ほら、杖にさ、赤い宝石がついていた描写があるだろ? あれが重要なんだ」


Q:宝石あるといいことあんの?


(´・ω・`)「あるよ。たとえば赤い宝石ルビー。あれは火の魔法を強化するんだ。だから一般人レベルの...まあ、そうだな、火の玉出せるくらいの人なら火柱を作ることが出来る」

181 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:43:17 ID:ctFhaoHw0
Q:じゃあ皆宝石使えばいいじゃん


(´・ω・`)「そうはいかない。宝石にもいくつかデメリットがある。まあ、まずはコスト。一つ買うのにもかなり辛いものがある。まあ、安物の小さいのならなんとかなるかもね。あと、火と水、土と風は相性が悪い。だから火を強化すると水が、水を強化すると火が弱まる、みたいなことがあるんだ」


Q:じゃあ、クーの使ってる霧の魔法ってなに?


(´・ω・`)「あれは水と火の合わせ魔法だね。ただ、さっきもいったけど火と水は相性が悪い。だから霧の魔法を使える人はかなり限られてるね」


Q:魔法の詠唱みたいのないの?


(´・ω・`)「ないね。ただ、どこにどんな風に魔法を使うかみたいなものは呟くのが普通だね。暗示のようなものが働いて安定して魔法が使えるようになるよ」


Q:じゃあ荒巻の錬金術を使うみたいなの書いてあったけど錬金術ってなに?


(´・ω・`)「そのままだよ。金を錬成するのを目的として作られた魔法。ま、結論としてはできないってことになったね。結局、薬とか研究する科学者の端くれみたいなもんかな?」

182 名前:名も無きAAのようです :2012/07/26(木) 22:45:46 ID:ctFhaoHw0
(´・ω・`)「まあ、こんなもんかな? 予想以上にごちゃごちゃしてしまった...」


(´・ω・`)「とりあえず今日の投下はこれにておしまい。次回は本編でお会いしましょう」


(´・ω・`)ノシ「では、このへんで」


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