- 609 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 03:48:41 ID:xRcq89To0
('A`)「…」
自分でも『ベタだなー』だなんて思うけど
俺は今、『真っ白な部屋』にいる
例えるなら、『ハリーポッターと死の秘宝パート2』で観た仮想キングス・クロス駅のような
ここは、どこだろう
なんで、ここにいるんだろう
俺は、凄く大切なことを忘れている気がする
('A`)「…」
「ヘイ、そこのムキムキ☆ボーイ」
後ろから、男の声がして振り返った
- 610 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 03:49:23 ID:xRcq89To0
- 611 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 03:50:23 ID:xRcq89To0
- ('A`)「…」
('A`)「神よ…」
(´・_ゝ・`)「ん?確かに私は神だけど、どうしてわかったんだい?」
('A`)「…」
(´^_ゝ^`)「あなた達の祈りを、絶望のまま終わらせたりしない」デミッ☆
('A`)「ま…」
「まど神様…?」
.
- 612 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 03:51:39 ID:xRcq89To0
『マーケティング・レンタルコミックス』
第十五話『夢の終わり、現実の始まり』
.
- 613 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 03:53:46 ID:xRcq89To0
- 川#゚ -゚)「何故言われるがままにしている!!」
クールは校長室のデスクを力強く叩いた
その拳の下には、今日の朝刊が敷かれている
記事には、『村人学園連続暴力事件。犯人は行方不明の女子生徒か』
名前こそ伏せられているものの、明らかに『高岡ハイン』の事を指していた
/ ,' 3「…この事については、まだ調査中で」
川#゚ -゚)「調査もクソもあるか!!村学の生徒が、同じ学校の生徒を襲うなどあり得ないと力強く否定すればどうだ!!」
<ヽ`∀´>「…」
クールの後ろで控えているニダーも、クールの態度に何も言わなかった
唇からは、薄く血が流れていた
N| "゚'` {"゚`lリ「ガキの喧嘩じゃないんだ。マスコミの対応は繊細に行わなければならない」
川#゚ -゚)「アンタもそういう態度を取るのか!?誰よりもアンタを慕っているドクオはまだ目を醒まさない!!ブーンだって、『自分にとってのヒーロー』だと言っていた!!」
川#゚ -゚)「アンタだってこの状況に怒っているはずだ!!責任だって感じているはずだ!!なら何故、大人しくしている!!」
N|#"゚'` {"゚`lリ「ガキが生意気言ってんじゃねえ!!」
今まで見せたこと無い憤怒の表情を見せて、阿部さんはクールの胸倉を掴み上げ、壁へと押し付けた
N|#"゚'` {"゚`lリ「事実が『まだ』わかっていない以上、ハッキリと否定するわけにはいかないんだ!!迂闊な発言すれば、マスコミはそこを突いて更に大事へと発展させる!!」
N|#"゚'` {"゚`lリ「ここは『学校』だぞ!!高岡やお前達以外にも、沢山の生徒の身を預かっている!!教師はそいつらも守る義務があるんだ!!」
川#゚ -゚)「だからと言ってハインを軽んじて言いわけが無いだろうが!!そもそも…」
- 614 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 03:57:47 ID:xRcq89To0
- <ヽ`∀´>「クー、もういい。先生方の言うとおりニダ」
ニダーは阿部さんの手首を掴み、言葉を遮った
川#゚ -゚)「ッ…」
阿部さんは手を離し、クールは掴れた襟をやや乱暴に正した
N| "゚'` {"゚`lリ「…」
<ヽ`∀´>「校長先生、阿部先生、お騒がせして申し訳ございませんでした。甘んじて処罰を受け入れる所存でございます」
/ ,' 3「…二人とも、一週間の停学じゃ。以上」
<ヽ`∀´>「…申し訳ございませんでした」
ニダーは深々と頭を下げ、まだ納得いかない表情をしているクールを連れて、校長室から退室した
彼が立っていた場所には、血の跡が点々と残されていた
- 615 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 04:00:31 ID:xRcq89To0
- N| "゚'` {"゚`lリ「…折れるかと思ったぜ」
阿部さんは血が付いた手首をさする
だがそれは、彼のものではなかった
/ ,' 3「…憎まれ役を押し付けてしまってスマンのう」
N| "゚'` {"゚`lリ「いえ、図星を突かれて頭に血が昇ったのも事実ですから」
/ ,' 3「あれでも可愛い『孫』なんじゃ。ワシに免じて許してくれ」
N| "゚'` {"゚`lリ「こちらとしても、可愛い『生徒』ですからね。多少のヤンチャはご愛嬌です」
/ ,' 3「…それで、君の意思は変わらんのか?」
N| "゚'` {"゚`lリ「…ええ」
懐から『封筒』を取り出し、デスクに置いた
『退職願い』と、毛筆で書かれていた
N| "゚'` {"゚`lリ「えこひいきはしないって決めてたんですがね…他の生徒よりも長い付き合いだ。あの三人にはどうしても私情が移ってしまう」
N| "゚'` {"゚`lリ「俺がヤろうとしていることは、教師として有るまじき行為です。ご迷惑をお掛けすることは出来ません」
/ ,' 3「…残念じゃ、君は昔も今も『いい男』じゃったのに」
N| " '` {" `lリ「…」
暫く、グッと瞼を閉じた後
決意のこもった目で、校長を見据え
N| "゚'` {"゚`lリ「長年のご指導ご鞭撻、ありがとうございました。荒巻先生」
/ ,' 3「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「失礼いたします」
- 616 名前:名も無きAAのようです :2013/11/13(水) 04:01:19 ID:xRcq89To0
荒巻は封筒を引き出しに仕舞い
窓から、枯葉が舞う校庭を見下ろした
/ ,' 3「……」
/ ,' 3「……どいつもこいつも、ワシが思ってる以上の成長をしよってからに」
秋から冬に移ろうとしている、曇り空
寒風が吹きすさぶ中、一人の『教師だった男』の背中が
荒巻の視界から、ゆっくりと消えていった
- 632 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:06:13 ID:cv0SGp1c0
- ―――――
―――
―
2-M教室、放課後
その日、久しぶりに学校に顔を見せたブーンは、学校が終わると引き止める間も無く病院へ向かった
<ヽ`∀´>「冷静に、なるニダよ。クー」
川#゚ -゚)「ああ…ああ!!わかってるさ、クソッタレ…」
先ほど、校長室から戻ってきたクールとニダー
納得がいかない彼女は苛立たしげに頭を掻きあげ、椅子にドカリと座り込んだ
<ヽ`∀´>「大人が大きく動けず、警察がハインを『容疑者』だと決め付けた今、ウリ達が動かなければならないニダ」
(;-@∀@)「そもそも、どうして警察はハインさんを安易に容疑者だと決め付けたんだろう」
(;・∀・)「確かに…」
川#゚ -゚)「予想できる理由は三つだ。『警察が能無し』か」
川#゚ -゚)「『ハインの過去を知っている者がいた』か、あるいは『その両方』か」
(;・∀・)「こうも考えられないですか?『警察と真犯人がグル』か」
川#゚ -゚)「そんなバカが地方権力にいるとは考えたくも無いな…が、可能性はある」
<ヽ`∀´>「これ以上犠牲が増えたら、最悪、村学が休校になるニダ」
川#゚ -゚)「ハッ、最高だな。一足早い冬休みだクソッタレ」
(;-@∀@)「それで、これからどうするの?」
<ヽ`∀´>「幸い、ウリとクーは一週間の停学を『戴いた』ニダ。この期間を活用しない手は無い」
川#゚ -゚)「一日中街を駆けずり回って調査。あわよくば囮として敵を誘い、居場所を吐き出させる」
- 633 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:07:14 ID:cv0SGp1c0
- (;-@∀@)「それなら僕らも!!」
川#゚ -゚)「…本気か?」
( ・∀・)「僕らだって、あの二人の友達です。それに、この事件に怒っているのはクールさんだけじゃないんですよ」
川 - -)「…」
川 ゚ -゚)「わかった、私から言いたいことはこれだけだ」
川 ゚ -゚)「『容赦するな、殺す気でやれ』」
( ・∀・)「…了解」
(;-@∀@)「わかりました」
川 ゚ -゚)「それと、入って来いヒート」
扉の向こうで物音が立つ
ノハ;゚听)「…」
少しの間を置いて、ばつの悪い顔をしたヒートが入室した
川 ゚ -゚)「さて、と…何か言うことはあるか?『お兄ちゃん』」
<ヽ`∀´>「…」
- 634 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:08:53 ID:cv0SGp1c0
- ノハ;゚听)「あの…」
<ヽ`∀´>「ヒートちゃん、君はウリ達と一緒に行動するニダ」
ノハ;゚听)「えっ?」
ヒートは面食らった顔をした
予想していた言葉とは、全く別だったからだ
<ヽ`∀´>「もちろん、暗くなる前には帰ってもらうニダ。危なくなって、ウリ達にもしものことがあったら、迷わず逃げて頼りになる大人に連絡すること」
ノハ;゚听)「はっ、はい!!」
川 ゚ー゚)「おやおや?心配性のお兄さんらしからぬ言葉じゃないか」
<ヽ`∀´>「『ダメだ』と言って勝手に行動させるよりマシニダ」
ノハ;゚听)「あうう…」
川 ゚ -゚)「なるほどな、血が昇って熱くなった頭でよく考えたじゃないか。ところで、私のさっきの言葉、注意しなくて良いのか?」
<ヽ`∀´>「何故?的確な指示だと思うニダ」
川 ゚ー゚)「フン、的確と来たか…」
( ・∀・)「作戦はあるんですか?」
川 ゚ -゚)「もちろん、闇雲に動いても非効率だからな…いいか?先ずは…」
こうして、クール達五人によるハインの捜索が始まった
- 635 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:09:53 ID:cv0SGp1c0
- ―――――
―――
―
('A`)「それで、あんたは『何の神』なんですか?」
(´^_ゝ^`)「見ての通り、『マッスルの神様』だよ」
いよいよ、俺の頭はおかしくなり始めたらしい
ムキムキハゲの神様を自分で創造するなんて…新興宗教でも始めようか?
('A`)「へぇ…そうなんだ…」
(´^_ゝ^`)「そうだよ〜。ほ〜ら、大胸筋ピクピク〜」ピクピクッ
('A`)「…」
(;´^_ゝ^`)「あれ…?何この外した空気…人間怖い…滅びよ…私は美しい…」
('A`)「早く目ェ醒まさないかな俺」
(;´^_ゝ^`)「おほっほぅ〜…言うねえ〜…」
正直、この空間にいるのが耐え難い
神を名乗る知らないオッサンと二人きりでいるなんて、普通の奴なら耐えられねえぜ常考…
(´・_ゝ・`)「まぁちょっとおじさんの話を聞いてくれよ。こんな時じゃないと普通なら話せないんだし」
(;'A`)「えー………」
(´・_ゝ・`)「いいからいいから、おじさんこう見えて君達のこと色々知ってるんだから」
(;'A`)「逆にドンドン話聞く気無くすわー…ストーカーかよ…」
(;´^_ゝ^`)「マッスルの神様だぜ〜?下々のマッチョのことを全て把握するなんてお茶の子サイサイさぁ」
(;'A`)「シモのマッチョ…?下品なオッサンだ怖い」
(;´^_ゝ^`)「怖いのはテメーの頭だボケー。いいから話を聞きやがれー」
- 636 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:10:36 ID:cv0SGp1c0
- 白い空間で正座して、ムキムキハゲのオッサンの話を聞く
これ以上の拷問があるだろうか?いや無い(反語)
(´・_ゝ・`)「さて、まず何から話そうか…」
('A`)「もったいぶってねえでサッサと死ねオッサン」
(;´^_ゝ^`)「あっれえ〜?おじさんなんか嫌われるようなことしたかなぁ?」
(´・_ゝ・`)「つーかマジで死にそうになったのは君なんだけどね?」
('A`)「えっ?」
(´・_ゝ・`)「えっ、じゃあ無いよ〜。君、バンに撥ねられた後に顔面ボッコボコに殴られたんだよ?普通の人なら撥ねられた段階で死んでるよ?」
('A`)「えっ…?」
(´・_ゝ‐`)「ふむ…やっぱり何も覚えてない、のか…」
なんかいきなり話がシリアス方面に走り出した…
何なのこのオッサン…キモい…
(;'A`)「かっこつけんなよキモいんだよ…」
(;´・_ゝ・`)「君は一々話に茶々を入れないと気がすまないのかい?」
(;'A`)「いやだってそんないきなり『死に掛けましたーポイポーイ』って言われても信じられねえよ」
(´・_ゝ・`)「じゃあ、今の君にこの状況を説明できるかい?」
('A`)「だから夢だろ?しかも悪夢だ」
(´・_ゝ・`)「そうかい?悪夢にしちゃあ…」
(´・_ゝ・`)「長すぎると思わない?」
('A`)「…!!」
- 637 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:11:22 ID:cv0SGp1c0
- そういや、俺っていつ寝たっけ…
寝る前に何かしたっけ…?そもそも、前日の記憶が…
(;'A`)「…」
(´・_ゝ・`)「この空間にはね、『9秒前の白』という名前がある」
(;'A`)「『9秒前の白』…?ローゼンメイデンか?」
(´・_ゝ・`)「いらないもの、不必要なもの、世界の枠からはみ出して行き場を失ったものの吹き溜まり」
(;'A`)「ま、待て…ローゼンメイデンはフィクションだろ…?そんなバカな話があるわけが無い…」
(´・_ゝ・`)「フィクションが現実に無いとは限らないだろう?目に見えてないだけで、ファンタジーと言うものは以外と沢山ある物なんだよ」
(´・_ゝ・`)「何千年も生きた『探偵』。形ある悪を狩る『医者と悪魔』。癖のある霊の悩みを解決する『天使』…世界と言うものは、一つの『漫画雑誌』のようなものさ」
(;'A`)「…」
(´^_ゝ^`)「納得出来ないかい?君の身近にもそういう存在はいるんじゃないか?」
(;'A`)「…」
( ^ω^)
『いる』
マッスル・キュアーとかいうワケのわからん『魔法っぽい何か』を使う奴が
ただ、そいつの『顔』は思い出せても、『名前』が思い出せない
(;'A`)「…」
(´・_ゝ・`)「…ま、焦る必要はないさ。一つずつ紐解いていけばいい」
- 638 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:12:15 ID:cv0SGp1c0
- (;'A`)「ファンタジーが……どうのこうのはさておいて……俺はなんで『9秒前の白』にいるんだよ?」
(´・_ゝ・`)「矛盾が起こったんだ」
(;'A`)「矛盾?」
(´・_ゝ・`)「普通の人なら、事故に遭った段階で肉体が死に、魂が天に召される」
(´・_ゝ・`)「だが君は、肉体が死亡することを、強靭な魂が『拒否』し、私が与えた能力が発動した」
(;'A`)「は?」
(´・_ゝ‐`)「選ばれしマッチョにしか使えない力、『マッスル・キュアー』」
(;'A`)そ「俺も使えんの?」
(´・_ゝ・`)「そもそも、あれは人に向けて使うもんじゃないからね。肉体の自己修復力を限界まで高め、傷を癒す能力なんだ」
(´・_ゝ・`)「超回復の応用だね、肉体を酷使し、回復し続けた者にこそ相応しい能力だよ」
(;'A`)「で、でもあいつは…」
(´・_ゝ・`)「人に向けて使っていたね。私も驚いたよ。あれは『回復力の譲渡』だね。触れた者に自らの命を分け与え、傷を癒しているんだ」
(;'A`)「どうしてそんな…」
(´・_ゝ・`)「さぁてね…流石に、命に関わる怪我に使われると彼自身が危ないから、使用制限を掛けさせてもらったよ。まぁ、今はそれが仇となって苦しんでいるようだ」
(;'A`)「…勝手な神様だな」
(´・_ゝ・`)「勝手なのが『神』さ。ひいきもすればズルもする」
- 639 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:13:48 ID:cv0SGp1c0
- (´・_ゝ・`)「話を戻すよ。君の肉体は致命的な怪我を回復した。だけど、『ダメージ』を無い事には出来ない。痛いものは痛い」
(´・_ゝ・`)「ショックでも人は死ぬ。天界からはその魂を回収しようとする力が働く」
(´・_ゝ・`)「でも、その力すらも君は拒否した」
(;'A`)「…」
(´・_ゝ・`)「別に珍しいことじゃないんだよ。未練が強い死者の魂は現世を彷徨い、その浮遊霊を天使が回収する…」
(´・_ゝ・`)「ところが、君の強い自我が暴走し、『弾けた』」
(;'A`)「弾けた…?」
(´・_ゝ・`)「爆発四散、バラバラさ。魂の『情報』が全て弾けて、自己を見失った『何か』になる」
(´・_ゝ・`)「その結果、天界に逝くことも肉体に戻ることも出来ず、『何か』に成り果てた魂は、この『吹き溜まり』へと送り込まれた」
(;'A`)「……『いらないもの、不必要なもの、行き場を失ったもの』、か…」
(´・_ゝ・`)「ほんとにやばかったんだよ?命のサイクルからはみ出して、君は永遠に輪n…円環の理に導かれない『モノ』になるところだったんだ」
(;'A`)「それじゃあ、なんで俺は『俺』として今現在を認識できているんだ?少なからず、記憶もあるし」
(´・_ゝ・`)「『バラバラになった』と言っても『ゼロ』になったワケじゃあない。魂にも『自己修復』の力がある」
(´・_ゝ・`)「窓から滴る水滴が、他の水滴を吸い込みながら大きくなっていくように、バラバラになった魂が吸い付きあいながら、形を取り戻しているんだよ」
(;'A`)「…俺の魂が完全に戻ると、どうなる?」
(´・_ゝ・`)「ここを永遠に彷徨う『自我がある魂』に成り果てるのさ。笑えないだろ?」
(;'A`)「……ムカデ人間になるよりはマシだぜ」
(´^_ゝ^`)「ここも大概の生き地獄とは思うけどね…まぁ神からしてみてもあれは無いわ」
- 640 名前:名も無きAAのようです :2013/11/16(土) 03:14:56 ID:cv0SGp1c0
- (´・_ゝ・`)「だけど悲観することは無いよ。ここにもちゃんと『帰り道』がある」
(;'A`)「帰り道?出れるのか?」
(´・_ゝ・`)「ローゼンメイデンでも、ここに迷い込んだ主人公が『記憶』を辿りながら肉体に還っただろ?でも、そのためには『導き手』がいる」
(;'A`)「それがアンタってワケか…」
(´^_ゝ^`)「いくら君の友人が『君想い』でも、ここまでたどり着くのは不可能だからね…神である僕が直々に来てやったってわけよ」
(;'A`)「もっとマシなひt……神が良かったぜ」
(;´^_ゝ^`)「これでも、神の中では人間想いなんだけどなぁ…」
('A`)「そんで、俺はもう還ることが出来るのか?」
(´・_ゝ・`)「いいや、その為には『二つ』の要素が必要になる」
(´・_ゝ・`)「『強烈な記憶のキックバック』と、『現実世界から呼ぶ声』だ」
(;'A`)「…うん?」
(´・_ゝ・`)「『キックバック』によって肉体へ引き戻す力を加える。そして、肉体へ無事に到達するために『灯台』となる指針が要る…って言ってもわからないか」
(;'A`)「????」
(´・_ゝ・`)「そんじゃあまぁ、時間もあんまりないし早速始めようか」
- 652 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:18:00 ID:gGEMx/X20
- ―――――
―――
―
松千代市内の地図を広げ、クールが赤ペンで広く丸を付けていく
一箇所は市の端の山近くに、一箇所は市民が多く集まるセンター街に
そして最後は、松千代市の隣に位置する『VIP町』との境目に位置する場所に
川 ゚ -゚)「マークする場所はこことこことここだ。最も範囲が広い場所をサバゲー部員が、比較的人の多い場所をモララーとアサピーが、治安が最悪な場所を私とニダーとヒートで当たる」
(-@∀@)「サバゲー部員も協力してくれるんですね」
ノパ听)「何故この三箇所なんですか?」
<ヽ`∀´>「この場所は警察の捜査範囲外ニダ」
( ・∀・)「不自然に穴が開いてるね…この情報はどこで?」
川 ゚ -゚)「足を使って集めたんだよ。サバゲー部が」
(;・∀・)「サバゲー部どんだけこき使ってんすか…」
<ヽ`∀´>「後は村学のコミュニケーションサイトからのリークニダね。親が捜査に関わっている生徒から有力な情報を教えてもらったりしたニダ」
ノハ;゚听)「ええ!?それって大丈夫なんですか!?情報漏えいとか…」
川 ゚ -゚)「その親もこの事件には首を傾げているらしい。『捜査範囲に穴がありすぎる』とな。モララー、お前の予想が的中してるかもしれないな」
(;・∀・)「嬉しくないですね。最悪じゃないですか」
(;-@∀@)「ってことは、警察はこの事件の解決を先延ばしにしようと考えてるってことじゃ…?」
川 ゚ -゚)「かもな…狙いは村学の生徒…いや、村学自体の崩壊か?どっちにしろ、これ以上被害者を増やすわけにはいかない」
川 ゚ -゚)「いいか?どんな些細な情報でもいい。手にしたらすぐに私かニダーに伝えろ。そして、ヤバイと感じたらすぐに逃げろ」
(-@∀@)「さっきと言っていること、矛盾していません?」
川 ゚ー゚)「何、訂正する気は無いさ。『ヤバくないと感じたらやれ』。そういうことだ」
川 ゚ -゚)「それでは、行動開始だ!!」
- 653 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:19:46 ID:gGEMx/X20
「…」
「…」
「私達は、どうしましょうか〜?」
「…保護者としては、子供達にこれ以上の危険を冒して欲しくない」
「だけど、一人の人間としては、これを乗り越えた子供達の成長を見てみたい」
「あらあら〜、随分と放任主義な発言ね〜」
「でも、私も同意見かしら〜。校長先生も『その方向』で見守っていきたいって言ってたしね〜」
「君の言ったとおり、この学校はどこかおかしい。だけど、生徒達には『芯』がある」
「『正義』という、真っ直ぐな芯だ。それを育んでくれるなら、多少のおかしさには目を瞑ろう」
「うふふ、卒業生の私が言うんですもの〜。それに、自然とそういう子達が集まるのよね〜」
「……だが、父として『二度も』息子を傷つけられた、この怒りは収まらない」
「それは私も同じですよ〜。腸煮えくり返るとはこのことね〜。」
「…どうしようか、どうしてくれようか?」
「それはですね〜…」
从´ヮ`从ト「あの子達が事の成就を成し遂げてから、動き出すことにしましょうか〜?」
( "ゞ)「…そうだな、それが良い」
- 654 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:21:03 ID:gGEMx/X20
- 子供達が動き出し、大人達が見守り
N| "゚'` {"゚`lリ「…」
(´・ω・`)「どうしても、ヤるのかい?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、もう戻れない。明日中には全ての片を付ける」
(´-ω-`)「…」
教師だった男が、腹を括り
/ ,' 3「…」
|;(●), 、(●)、|「いいのですか?このまま放っておいて?」
/ ,' 3「…どの時代でもの、『戦い』は大きな成長を促す」
/ ,' 3「ワシらに出来ることは、成長の代償を少しでも軽くしてやることじゃ…」
教師は、静観を貫く
様々な行動や思考が交差する中で、この二人だけは
( ω )「…」
(//A-)「…」
静止したままであった
- 655 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:23:22 ID:gGEMx/X20
- ―――――
―――
―
(´・_ゝ・`)「…さてと、先ずはお喋りしながら散歩しようか。真っ白で殺風景だけど、それも意外と面白いもんだよ」
(;'A`)「どこがだよ…せめて動きが欲しいところだぜ」
(´^_ゝ^`)「ほーら大胸筋ピクピクー♪」ピックピクセンタロウ
('A`)「死ね」
(´・_ゝ・`)「お前が死ね」
('A`)「…なんかこんなやり取り、何回もした気がする」
(´・_ゝ・`)「そうそう、そうやって思い出していこう」
(´・_ゝ・`)「さて、先ずは君の好きなものを教えてくれないかい?」
('A`)「覚えてる範囲でいいのか?」
(´・_ゝ・`)「もちろんさ」
('A`)「そうだな…漫画やアニメ、映画は昔から好きだった。少年漫画の主人公や、アクション・スターに憧れてたんだ」
(´・_ゝ・`)「うんうん、かっこいいよねえ」
('A`)「小学校までは、自分もそういう存在になれるって思ってたな」
(´・_ゝ・`)「小学校まで?それはどうしてだい?」
('A`)「中学に上がるとさ、不良っての?そういうおっかない連中がいきなり現れるだろ?タバコ吸ったりカツアゲしたりするようなさ」
('A`)「そういった奴にビシッ!!と言えれば、ヒーローになれたと思う。でもやっぱ恐かった。喧嘩は強そうだし、目力もあるし」
('A`)「俺は成長期も遅くて、ガリガリのオタク野郎だったからさ。刃向かうなんて最初から無理だ、目を付けられないように静かに暮らそう。だなんて考えてたよ」
(´・_ゝ・`)「うんうん、悪いことじゃないよ。誰だって恐いからね」
('A`)「…でもなんでだろ?不思議とカツアゲとかパシリとかされなかった気がする…俺なんて、絶好のターゲットだろうに」
(´・_ゝ・`)「それは何故か、思い出せるかい?」
('A`)「……いいや、わかんねえ」
- 656 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:25:35 ID:gGEMx/X20
- (´・_ゝ・`)「今の学校生活には満足しているかい?」
('A`)「んー……ああ、中学よりずっと充実してる気がする」
(´・_ゝ・`)「それは、どうして?」
('A`)「まず、仲の良い連中がみんな同じ高校だったってのがあるな。流石兄弟とはサバゲー部で一緒だし、相棒とは毎日つるんでる」
(´・_ゝ・`)「ほう、相棒?」
('A`)「マッスルキュアー云々のあいつだよ。幼馴染でさ、何度もあいつに助けられたり、諭されたり、面倒見て貰ってた」
('A`)「そう言えば、あいつのお陰で仲良くなった奴もいたな…上条ってイケメン野郎さ」
(´・_ゝ・`)「イケメンっていけ好かないよね。フサフサだと尚更だ」
('A`)「俺もそう思ってた。女囲んでいい気になってるクソ野郎だってな」
('A`)「最初に話しかけられた時は…うーん、ああ、そうだ。マンガ読んでたときかな?『何読んでるの?』って話しかけられた」
('A`)「俺はお楽しみの時間をいけ好かない野郎に邪魔されて、イラつきながらも『キングダムだ』って答えた」
('A`)「そしたらあいつ、『ああ、あの漫画、絵がちょっとキモイよね』って…もうね、ブチキレたね」
(;´・_ゝ・`)「それだけで?ええ〜…流石の神でもそれは引くわ…」
('A`)「今思えば、俺も大人気なかったな…あの時はこいつとは一生仲良くしねーとも思ってたし」
('A`)「でも、相棒があいつを家に連れてきて、話を聞いて、『なんだ、こいつも案外普通なんだな』って感じた」
('A`)「好きな女…これがまたとんでもねえ奴なんだけどな…に振り向いてもらえなくて、うじうじと悩んでるそんな姿を見てさ。俺と同じ空気っていうの?こう…うーん…」
(´^_ゝ^`)「ハハハ、言いたいことは分かるよ。いやぁ、青春だねえ」
- 657 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:27:36 ID:gGEMx/X20
- (´・_ゝ・`)「彼が好きな女ってのは、君の知り合いかな?」
('A`)「そうそう、素直っていう一つ上の先輩!!これがまたバケモンみたいなゴリラ女でな、モデルみてーな体型のどこにそんな力があるんだってくらい強いんだよ」
('A`)「俺と相棒でバカやってると、いつの間にかその先輩がやってきてお灸を据えられるんだ。でもそのスリルが病みつきになってバカがやめられない」
(´・_ゝ・`)「男子高校生なんてバカやって一丁前だよ。でも、そんな女がいたら鬱陶しさを感じなかった?」
('A`)「…いや、うん、確かに、多少のうっとおしさみたいなのはあるよ。でも、なんだろうな…こんなこと本人の前じゃ口が裂けても言えねーけど」
('A`)「『面倒見の良いお姉さん』みたいな…そうい鬱陶しさだと思うんだ。『おめーは俺らのおねーちゃんかよ』みたいな。だから俺達は『姉御』って呼んでたね」
('A`)「なんだかんだで、あの人も俺らを相手するのを楽しんじゃないかな…いや、これは俺の勝手な想像だけどな。なんせ掴みづらいお方だから」
(´・_ゝ・`)「身近にそういう人がいるっていいねえ…それで、なんで彼女はイケメンの上条くんに振り向かなかったの?」
('A`)「ああ、お気に入りの漢がいるんだよ。瓜畑っつー強面のマッチョ。多分あいつは人類を強い順に並べたら最上位クラスにはいるんじゃねーかな」
(´^_ゝ^`)「それは是非とも抱い…いや、お相手したいねえ」
('A`)「だけど、見た目は恐くても誰よりも優しい奴でさ、年齢は同じだけど頼りになる兄貴って感じで、皆から慕われていたよ」
('A`)「あと、図体がデカイ割りに小心者で、ホラー映画にビクビクしてさ。それがまたギャップ萌えを誘うんだよ」
(´^_ゝ^`)「興奮するよね」
('A`)「でも、怒るときはちゃんと怒る奴で、俺が学園祭のことで無茶な要求を通した時に、殴りつけて叱ってくれたよ。すげー痛かったぜあれ」
- 658 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:29:13 ID:gGEMx/X20
- ('A`)「あ、そうそう!!学園祭といえば、木原って奴が大活躍したな!!」
(´・_ゝ・`)「それはどんな人だい?」
('A`)「典型的オタメガネだなありゃ。趣味が合うからたまに喋ってたりしたんだけど、あるきっかけであいつも筋トレに目覚めだしてさ」
('A`)「見る見るうちに良い体格になって、その後は筋トレ仲間としてつるむようになった」
(´・_ゝ・`)「学園祭で、どんな活躍をしたんだい?」
('A`)「チーム対抗ボディコンテストってのがあってさ、あいつが先鋒で出たんだ」
('A`)「観客はみんな木原の事を『ただのオタクメガネ』としか見ていなかった。でも、ステージであいつの体が披露された瞬間見る目が変わったよ」
('A`)「あいつの筋肉は、努力の結晶として映し出されていた。結果、『あいつが出来るなら俺だって』という可能性を観客に与えたんだ」
('A`)「それが決め手となって勝つことが出来た。賭けの対象にされていた女子を救って、間違った勝負を仕掛けたラグビー部を反省させることが出来たんだ」
(´・_ゝ・`)「いいよねえ、努力。実るかどうかは別として、『力』は着実に付いてくれるんだからね」
('A`)「女子といやぁ、一人いたな。可愛いのが」
(´・_ゝ・`)「ほう?」
('A`)「神裂っつー後輩だよ。いきなり『漢』とは何かを教えてくれっつってさ。そんなもん俺らだって目指してる途中だっての」
(´・_ゝ・`)「女の子なのに『漢』かい?」
('A`)「なんでも、男より漢らしい姉御に惚れたんだとよ。カリスマって恐いよな」
- 659 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:30:27 ID:gGEMx/X20
- ('A`)「その娘もまー強いわ強いわ。貧乳なのをからかうと思いっきり殴り飛ばされるんだよ。その度にニダーに注意されてたな」
('A`)「ああ、そうそう、最初はニダーを見た目だけで恐がってたけど、すぐに懐くようになったな…仲良くなった姉御と取り合いになって、ニダーが困った顔してさ…」
(´・_ゝ・`)「ニダーくんは強い女子にモテるんだねえ」
('A`)「っつっても、姉御とは違って『お兄ちゃん』って感じの懐き方だったな。ほんと、こっちが嫉妬するくらいの懐きっぷりだったぜ」
(´・_ゝ・`)「なるほど、みんなの妹的存在だったのか」
('A`)「そうそう、特に可愛がってたのが女子連中だったかな。姉御なんてもう見るからに激甘だったしハインも…」
('A`)「ハイン……?」
(´・_ゝ・`)「…話題を変えようか」
- 660 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:31:43 ID:gGEMx/X20
- (;'A`)「い、いや、ちょっと待ってくれ」
頭の中で、目まぐるしく記憶のピースが繋ぎ合わさっていく
(´・_ゝ・`)「『君は何故、マッチョになったんだい?』」
俺の人生の分岐点
(; A )「ア…ア…」
(´・_ゝ・`)「『君は何故、今の学校に入学したんだい?』」
人生の師との出会い、母校への入学
(; A )「ア……」
(´・_ゝ・`)「『君は何故、今の生活に満足していたんだい?』」
大好きな両親、気の置けない友人、尊敬すべき教師、そして――
(; A )「」
(´・_ゝ・`)「『君が最も大切にしなければならないものはなんだい?」
- 661 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:33:00 ID:gGEMx/X20
- (; A )「」
从*^∀从
長い片思い中の、強くて弱い、女の子
それと
( ^ω^)
いつだって俺の背中を押してくれる、最高の相棒
(; A )「ハインと…ブーンだ…」
(´・_ゝ・`)「うん、それじゃあ、最後の話題だ」
(´・_ゝ・`)「君が今、成すべき事は何だい?」
- 662 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:58:02 ID:gGEMx/X20
- ドクオが記憶を取り戻した、その時
病室で眠る体が、反応を起した
(//A-) パス
( ω )「…?」
(//A-) パス パス
弱々しく、今にも消えてしまいそうなか細い音が、ドクオの腰の辺りから聞こえた
( ω )「…ドクオ」
(//A-) パン パン
名前を呼びかけると、その音は僅かに強くなった
( ^ω^)「ドクオ…ドクオ、ドクオ」
(//A-) パン パンパン!
相棒だからこそ、誰よりも近くにいたからこそ
ブーンは、その音に呼びかけ続けた
- 663 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:58:55 ID:gGEMx/X20
- ( ^ω^)「ドクオ」
(//A-) パァン…
強く
( ^ω^)「いつまで寝てやがるんだこのボケ、眠り姫はテメーの役割じゃあねーだろ」
(//A-) パァン
強く
( ^ω^)「王子様って柄でもツラでもねえ。お前は飛び切りイカれたヒーローだ。そんな屁みてえな怪我で、いつまでも休んでんじゃねえよ」
(//A-) パァン!!
強く
( ^ω^)「さぁ立ち上がれよ『ヒーロー』。何のために俺達は強くなったんだ?あの後悔をまた味わいたいのか?」
(//A-) パァン!!!
強く
( ^ω^)「俺を失望させるな、相棒。一緒にお姫様を救いに行こうぜ」
(//A-) パァン!!!!!
強く
(# ゚ω^)「『漢』を見せろッ!!欝田ドクオォォォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
.
- 664 名前:名も無きAAのようです :2013/11/18(月) 04:59:54 ID:gGEMx/X20
- (//A-)「…」
(//A-)「ッ…」
(//A-)「ッ……!!」
(//A゚)「ッッッ!!!!!」
ドクオは、その呼びかけに応えた
(//A゚) ッッッパアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!
強烈な尻の音と共に、肉体へと還ってきた
.
- 684 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:30:41 ID:1zt5W24o0
- ( ^ω^)「…」
(//A`)「…ブーン」
( ^ω^)「…なんだお?」
(//A`)「俺が見ているのは」
( ^ω^)「…」
(//A`)「『都合の良い夢か?』」
( ^ω^)「…いいや、『厳しい現実』だお」
(//A`)「…」
( ^ω^)「……長々と、待たせやがって。このバカが」
(//A`)「…待たせたついでに、一つ頼まれてくんねーか?」
( ^ω^)「なんだお?」
(//A`)「ありったけの、メシを用意してくれ」
(//A`)「腹が減った」
( ^ω^)「…おっお」
遠慮ない物言いに、ブーンは笑った
同時に、自らの空腹も思い出した
( ^ω^)「任せろ相棒、ちょっとひとっ走り行って来るお」
返事を待たずに、ブーンは病室から飛び出した
顔は笑みを浮かべ、体に力が漲った
彼もまた、ドクオと同じように『復活』を遂げたのだ
- 685 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:32:07 ID:1zt5W24o0
- (#^ω^)「うおおおおおおおおおおお!!!!飯だ飯イイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」
雄たけびを上げながら、食料を求め病院から飛び出すと同時に
一台の救急車が搬送された
午後十時を少し回ろうとしていた時だった
(//A`)「…」
ブーンの鞄の中で、携帯がバイブ音を響かせている
ドクオは腕を伸ばし、ベッドの傍に置かれているそれを手に取り、携帯を取り出した
クールからの着信だった
(//A`)「…」
(//A`)白「よう」
『……ドクオか?』
(//A`)白「…姉御、久しぶりじゃねーか」
『ッ…散々待たせやがってこのバカ野郎が…』
(//A`)白「ハッ、相棒にも同じことを言われたよ」
『おめでとうと言いたい所だが、生憎今はそんな場合じゃなくてな』
『良い知らせと悪い知らせがある。もったいぶらずに簡潔に話すと』
『アサピーがハインの居場所を突き止めた。だが奴は重症で病院に運ばれている』
- 686 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:32:59 ID:1zt5W24o0
- (//A`)白「…」
『我々は今からハインの救出に向かうが…お前はどうする?』
(//A`)白「…決まってんだろ」
右腕に嵌められているギプスが、ミシリと音を立てた
折れた左足を吊っているベルトが、千切れ飛んだ
(//A )白「西川の野郎をぶち殺して、ハインを助けて、何事も無かったかのようにいつもの日常を過ごす」
(//A )白「あん時の想いを何度も経験して堪るか、ハインをこれ以上傷つけさせて堪るか…」
(#//A )白「一切の情けを捨て、ムカデ人間になる以上の生き地獄をくれてやる…!!」
腕と足、両方のギプスが弾け飛んだ
そこから現れたのは、数日間寝たきりだったとは思えないほど隆起した筋肉
この時の為に、作り上げた『人類が持つ最強の武器』
『……迎えを寄越した。病み上がりでも文句は言わせない。最前線で戦ってもらう』
(//A`)白「当然だ。そうじゃなきゃ意味が無い」
『…待っているぞ』
- 687 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:34:15 ID:1zt5W24o0
- (//A`)「…」
通話を切断した携帯を置き、ドクオは顔の右側を覆う包帯を取った
(ナ'A`)「…」
鏡を見ると、こめかみから頬に掛けて大きな傷跡が出来ていた
瘡蓋は既に無く、回復によってさらに分厚く丈夫な皮膚となっている
手にした包帯を、頭に巻いてきつく縛った
(ナ'A`)「……」
(ナ'A`)「見せてやるぜ、クソ野郎」
(ナ'A`)「漢って奴をな…」
- 688 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:35:08 ID:1zt5W24o0
.
- 689 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:37:25 ID:1zt5W24o0
- (´・_ゝ・`)「…」
(´・_ゝ・`)「君は、私が思っていた以上の成長を遂げている。他人から見ればギャグにしか映らないようなものを、壮絶な努力で身につけた」
(´・_ゝ・`)「君が持つ最大の武器は、熱い魂と『それ』だ。この二つと、仲間がいる限り君はどんな悪にも屈さないだろう」
(´^_ゝ^`)「フフ、もはやこの声は聞こえないし、私のことも忘れているだろうが、言わせて貰うよ」
(´・_ゝ・`)b「『やってやれ!!』欝田ドクオ!!内藤ホライゾン!!」
- 690 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:38:36 ID:1zt5W24o0
.
- 691 名前:名も無きAAのようです :2013/11/25(月) 01:39:32 ID:1zt5W24o0
- 次回
『マーケティング・レンタルコミックス』
第十六話
『いつか見た背中』
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