- 488 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:50:01 ID:3XUeZfHc0
- (//A-)
( ω )「…」
- 489 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:51:24 ID:3XUeZfHc0
- マーケティング・レンタルコミックス
第十四話
『都合の良い夢』
- 490 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:52:53 ID:3XUeZfHc0
- ( ^ω^)「…もう、お前が事故ってから、二日経ってるんだおね」
(//A-)
( ^ω^)「世界一、病院のベッドがにあわねえ漢だお」
(//A-)
( ^ω^)
(//A-)
( ω )「…」
ドクオが事故に遭ってから二日が経過していた
その間、ブーンは学校にも行かず、ずっとドクオの傍で付き添っていた
一緒に帰っていたはずのハインは、行方不明のままだ
現在、警察による捜索が続けられている
ドクオは、未だ目を醒まさない
怪我の容態は、考えられていた以上に『軽い』ものだったらしいが
意識が戻らないことに加え、顔の痣と手首の骨折は人為的なものだと判明した
これは明らかな、事件である
- 491 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:53:37 ID:3XUeZfHc0
- ( ω )「…」
コンコンコン、と
規則正しいノックが三回繰り返される
( ω )「…どうぞ」
川 ゚ -゚)「…邪魔するぞ」
返事を聞いて入室したのは、クールだった
( ω )「学校、どうしたんだお?」
川 ゚ -゚)「そっくりそのままお前に返せる質問だな…皆には内緒でこっそりサボったのさ。昼休憩までには行くつもりでいるがな」
( ω )「そんなんじゃあ、せっかく取れた推薦も無駄になるお…」
川 ゚ -゚)「人の心配より、先ずは自分の体を労わった方がいいんじゃあないのか?」
ブーンの顔を覗き込むと
目の充血と大きな隈が疲労を訴えていた
- 493 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:55:55 ID:3XUeZfHc0
- 川 ゚ -゚)「先ほど、ドクオのご両親と出会ってな…この数日、ずっと付きっ切りで休んでいないらしいじゃないか?一度帰って眠れ。いつもより酷い面だぞ?」
( ω )「…休めるわけ、ねえお」
川 ゚ -゚)「…そう言うと思ったよ。全く、その辺のカップルより甲斐甲斐しい野郎だ。気持ち悪い」
口では悪態を吐きながらも、クールは鞄の中から巾着袋と水筒を取り出して
ブーンの膝に乗せた
川 ゚ -゚)「せめて食え、マッチョは体が資本なのだろう?」
( ω )「…」
川 ゚ー゚)「中身は私が握ったおにぎりだ。喜べ、これを口に出来た男はニダーの他にお前だけだ」
( ω )「…」
ブーンは巾着から、まだ温もりの残っているおにぎりを一つ取り出した
綺麗な俵型をしているそれを包むラップを剥いで、一口齧る
米の甘みと共に、強烈なすっぱさが口の中に広がった
( ω )「…梅だお」
川 ゚ -゚)「何か問題でも?」
途端に、今まで食事も碌に摂らなかったツケが回ってきたのか
ブーンの腹の虫が、盛大に音を立てた
( ω )「…」
( ω )「…うめえお」
( ω )「梅が、うめえ…」
川;゚ -゚)「…お、おう」
ギャグなのかガチなのかわからないクールは
いつも通りつっこんでいいのか考えている内に
ブーンの食事が終わってタイミングを逃した
- 494 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:56:36 ID:3XUeZfHc0
- ( ^ω^)「ごちそうさま、だお」
川 ゚ -゚)「ああ、少しは楽になったみたいだな」
( ^ω^)「これ以上、姉御に優しくされると心労でぶっ倒れるかもしれんおwww」
川 ゚ -゚)「そりゃどういう意味だ?」
軽口を叩けるくらいには回復したようだが
顔に出ている疲れは、まだ色濃く残っていた
川 ゚ -゚)「…本当は、こいつが起きていたら差し入れようと思ってたモノなんだがな」
( ^ω^)「…」
その言葉に、ブーンは遠慮がちな表情をみせた
川 ゚ -゚)「ああいや、気にしなくていい。気遣いが無駄に成らずに済んだんだからな…」
クールは近くにあった椅子を引き寄せ、静かに座った
川 ゚ -゚)「さって…今日の私の目的は見舞いだけではない」
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「夏合宿の時に、ドクオとハインの関係について少し話したな。覚えているか?」
( ^ω^)「…もちろん」
川 ゚ -゚)「ドクオの事故と、ハインの失踪…この二つは、お前達の過去となんらかの因縁を持ってして起きた事件だと私は考えている」
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「今度こそ全て、語ってもらうぞ。お前達を変えた『ワケ』を」
- 495 名前:名も無きAAのようです :2013/10/25(金) 04:59:10 ID:3XUeZfHc0
- ( ^ω^)「…それを聞いて、どうするつもりだお?」
川 ゚ -゚)「その話から見えた『問題』を、文字通り『ぶち壊す』」
クールは脚に両肘をつき、両手を口の前で組んだ
先ほどまでの優しい表情は消え、焦りとも怒りとも取れない顔つきに変わっていた
川 ゚ -゚)「二日だ…二日だぞ?ハインがいなくなってもう二日も経過している。ドクオなんてまだマシな方さ。なんせ、『今ここで、誰かに見守られながら眠っている』のだからな」
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「ハインは違う……今、どこにいるかもわからない。誰といるのかも、生死の判別だって、出来ていやしない……『死んでいる』だなんて、考えたくもないことだがな」
( ω )「…」
川;゚ -゚)「行動を、それも速やかに、起す必要があるんだよ…警察の捜査を暢気に待ってなんかいられない。それは私だけじゃなく仲間内全員の総意だ。ほんの少しでもいい…手がかりを掴んで、彼女を助け出したい。一刻も、早く」
( ω )「…」
川; - )「もし『犯人』がいるとするならば、そいつを日の目が拝めないほどにぶち壊してやりたい…お前だってそうだろうが…内藤ホライゾン…ッ!!」
いつも強気なクールからは信じられないほどの、縋りつく声
内に溜め込んだ不安や焦燥感が滲み出ていた
(; ω )「…」
(;^ω^)「そう、確かに、そうだお…」
川;゚ -゚)「ならっ!!」
(;^ω^)「…ッ」
ブーンは一瞬、ドクオを見た
そして
(;^ω^)「…四の五の言ってられる、状況じゃねえんだお。悪い、相棒」
深々と、頭を下げた
- 522 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:30:36 ID:IbufzbXw0
- 川 ゚ -゚)「…緘口令でも、敷かれていたのか?」
(;^ω^)「いいや…ただ、ドクオのプライドの問題だお」
川 ゚ -゚)「プライド?」
(;^ω^)「『武勇伝にしないでくれ』と…そんなつもりで起した行動じゃないし、何より、ハインに伝わることだけは避けたかった」
川 ゚ -゚)「…詳しく、聞かせてくれ」
(;^ω^)「…」
ブーンは、唾を飲み込むと
その重たい口から、三人の人生の分岐点を話し始めた―――――
〜三年前〜
(*'A`)「ドュフフwwwwチアキたんの頭にうんこ乗ってるwwwww」
『欝田ドクオ、中学二年生』
( ^ω^)「おまwwwwwwふざけんなしwwwwww」
『内藤ホライゾン、中学二年生』
- 523 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:33:16 ID:IbufzbXw0
- 二年前、俺達は松千代第二中学の在校生だったお
その頃は部活もせず、かといって勉強に精を入れるわけでもない、ただの真面目系クズの帰宅部だったお
体型も、ドクオはガリガリのもやし野郎。俺はぶよぶよの肉団子
昔はよくヤンチャしてたーなんて、よく聞く話だけど、少なくとも俺らは今より昔の方が大人しかった
(#゚∋゚)「うるせーぞキモオタ共!!」
(# ゚∀゚ )「調子乗ってっとマジで潰すぞ!!」
(;'A`)「す、すいません・・・」
(;^ω^)「靴舐めましょうかゲヘヘ」
(# ゚∀゚ )「あ?きめえんだよ内藤てめえ」
( ^^)「あっちゃーwwwwアヒャさん怒らしちゃったwwwwwこれは校舎裏コースですわーwwww」
(;^ω^)「か、勘弁してくださいお…」
とまぁ、DQNの鳴き声で静かになるようなヘタレだったってワケ
でも、そんなキャンキャン粋がるDQN共も黙るような学校のボスがいた
从 ゚∀从「てめーら全員うるせーよ…」
それが、『怒髪天』
高岡ハインだった
- 524 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:34:18 ID:IbufzbXw0
- (; ゚∀゚ )「でっ、でもこいつら」
从 ゚∀从「あー…?」
紅の髪色と、今じゃ考えられないドスの効いた声
なんつーか昔のスケバンみたいな風貌だったお
今のハインからは考えられないけど、流石兄弟とか木戸とか、同じ中学校だった奴らは、昔の彼女をまだ覚えていて、恐怖したり憧れたりしているお
从 ゚∀从「おめー、シメなきゃわかんねーのかよ…」
もちろん、喧嘩は学内最強
上から下の不良共を軒並みぶちのめし、数多くの停学を食らってはその度に学外の不良共までぶちのめしに行く始末
市内では負け知らずと呼ばれた女だったお
(; ゚∀゚ )「ヒッ!!サーセンっしたぁ!!」
(;゚∋゚)「おい、行くぞ!!」
(;^^)「ちょwww置いていかないでwwwww」
そんな人間ウォーマシンみたいな女が、同じクラスになった日には
始業式の日なんて教師も含めてお通夜みたいな雰囲気になっていたお
だけど、そんな彼女にも、恋心を抱く物好きもいたお
(*'A`)「…」
それが、今も昔もドM街道一直線のドクオだお
なんでも、ハインのアウトローな雰囲気とか、漫画みたいに女性なのにめちゃくちゃ強いとか、守るより守られたくなるところとかに惚れたとか
あと自分の中で勝手に性格のギャップを作って悶えてたりとか、結構気持ち悪かった割とマジで
从#゚∀从「…何気持ち悪い面で見てんだよ」
(;'A`)「アッ、スイマセン…」
まぁ、ハインはそんなこと気にも留めなかったけど
その時は、彼女にとってクラスメイトなんてそこらにいる有象無象と変わらないんだなって思っていたお
- 525 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:35:29 ID:IbufzbXw0
- (;^ω^)「ヒューウ…助かったお…」
( ´_ゝ`)「危ないところだったな、内藤」
(´<_` )「まったく、オタクには生き辛い世の中だな」
(;^ω^)「見てたなら助けろよ…マジでオワタかと思ったわ…」
从 -∀从「…」
ハインは一匹狼で、休み時間も授業中も、大体音楽を聴いて過ごしてたお
成績は…まぁ、村学に合格できる位には維持してたみたいだけど、授業態度は最悪だったお
でも、札付きである彼女だから、教師も強く言えなくて、そのまんま放置されてたお
(*'A`)「アハン…高岡さんに話しかけて貰えた…俺もう死ぬのかな?死んでもいいかな?」
(´<_`;)「相変わらず欝田の脳内はバグってんな…」
( ´_ゝ`)「怒髪天と付き合うくらいならゴリラの方がまだマシだ」
( ^ω^)「お前ら聞こえないからって好き勝手言いすぎだろJK…」
(#'A`)「よーし、じゃあ俺の恋が実った暁にはお前の嫁はゴリラに決定な」
( ´_ゝ`)「よかった…俺がゴリラと付き合う事なんて永遠にありえないんだね…」
( ^ω^)「賭け成立しねえwwww」
(;'A`)「ですよね…」
それを良い事に、ハインに陰口を叩く連中もいた
兄者が言ったような冗談程度のものなら、ドクオもはいはいと聞き流してたんだけど、中には聞くに堪えないほど酷いものだってあった
- 526 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:36:52 ID:IbufzbXw0
- 『彼女はヤクザと繋がってる』だとか
『小学生相手に淫行をした』だとか
『薬のやりすぎで頭が可笑しくなった』とか
『血の浴びすぎで髪の色が染まった』とか
俺もあんまり覚えてないんだけど、これをもっと煮詰めた悪意の塊のような暴言を、男女問わず吐き出されていたお
もっとも、ドクオのように憧れを抱くような奴がいなかったわけでもないお。木戸ぃょぅとか、そういう奴らの一人だおね
(#'A`)「…」ガタッ
( ^ω^)「おいバカやめろ。無視しとけ」
そんな悪口を聞くたびに、飛び出していきそうになるドクオを抑え込んだお
ひょろひょろのもやし野郎が喧嘩に出ても、鼻で笑われるのがオチだってわかってたからね
でも、心無い言葉に怒りを燃やせる『ハート』を、あいつは昔から持っていた
前置きはここまでにして、俺達とハインはどこで関わり合いを持つようになったのか
それは偶然から始まったお
- 527 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:38:04 ID:IbufzbXw0
- ⊂二二二( ^ω^)二⊃「さぁブーンくんトップスピードでコーナーを曲がったー!!はっやーい!!まるで重機関車です!!」
その日は、ドクオが風邪引いて俺一人で下校してた
理由はわからんけどなんかテンション高かった俺は、いつもと違う道を全力ダッシュ下校してたお
途中で公園を横切るルートを進んでいたんだけど、そこでふと鮮やかな『紅色』が目に入ったお
⊂二二二( ^ω^)二⊃「おっ?」
从 ゚∀从「…」
子猫抱いてベンチに座ってた、ハインだったお
もうバッチリ目が合ってしまって、足も止まって
なんかそこだけ『ザ・ワールド』されたんじゃないかって思うほど、時が止まった感じがしたお
⊂二二二( ^ω^)二⊃(アカン)
从 ゚∀从「…」
从 ゚∀从「お前」
⊂二二二( ^ω^)二⊃「はいお」
从 ゚∀从「アホなんだな…」
⊂二二二( ^ω^)二⊃「自覚してますお」
これが、彼女と俺の『出会い』だった
- 528 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:39:47 ID:IbufzbXw0
- 从 ゚∀从「あのさ、この子飼う気無い?」
(;^ω^)「ご…ご命令ならば」
从;゚∀从「無理強いする気はねーから、ダメならダメって言ってくれ」
学校の雰囲気とはまた違う…今のハインに近い物腰で話しかけてきた
それでも、普段のイメージが頭に張り付いて引け腰になってしまったお
从 -∀从「…わり、帰ってる途中なんだったな。忘れろ、行けよ」
(;^ω^)「…」
だけど、今の少ないやりとりで、『怒髪天』と恐れられている彼女に
好奇心が湧いて出たのもまた事実で
(;^ω^)「よ、良かったら、里親探し手伝ってもいいですお」
从*゚∀从「マジ?ありがてえ!!」
( *^ω^) トゥンク…
ギャップに不覚にも萌えてしまったのも、紛れもない事実だったお
( ^ω^)白「おう兄者てめコラ猫飼えやクソボケ」
从 ゚∀从「人にモノ頼む態度じゃねーな…」
( ^ω^)白「…うん、うん、まぁ成り行きで…いや、3組の成幸くんじゃなくて、『成り行き』な」
- 529 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:41:05 ID:IbufzbXw0
- そんなこんなで、割りとあっさり里親は見つかって
( ^ω^)白「今から連れて来い?あー…それくらいならしてやってもいいお死ね」ピッ
( ^ω^)「オッケーだそうです」
从 ゚∀从「あー…じゃあ、悪いけどこの子連れて行ってくれるか?俺、流石んちしらねーし」
(;^ω^)「えと、僕一人で、ですか?」
生き物苦手だった俺には、ちょっと荷が重い仕事だった
从 ゚∀从「頼むよ、俺ホラ…アレだから」
(;^ω^)「えっと…わ、わかりましたお…」
从 ゚∀从「わりいな、この礼はちゃんとするから」
(;^ω^)「いえいえそんなお気になさらず!!」
从 ゚∀从「えっと…名前、なんだったっけ?」
( ^ω^)「ボンド、ジェームズ・ボンド」
从 ゚∀从「は?」
( ^ω^)「内藤ホライゾンでございます」
从 ゚∀从「ん、内藤か…俺、明日もここにいるから、気が向いたら寄れよ」
そう言って粋に手を振ってから、彼女は去っていったお
(;^ω^)「…」
(;^ω^)「なんか、凄い人と関わっちゃったお…」
- 530 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:42:56 ID:IbufzbXw0
- その日以来、俺と彼女はちょこちょこ会っては話をするようになった
気を置けないくらい信頼してたわけじゃないので、一応ドクオには内緒にしてな
从 -∀从「…」
( ^ω^)「…」
学校では、いつも通りの『怒髪天』
从 ゚∀从「猫、どーよ」
( ^ω^)「『SIG』って名前がついたお」
从 ゚∀从「へぇー、シグね。なんかのキャラクターか?」
( ^ω^)(言えない…スイスの銃器メーカーの名前だなんて…)
公園でお話するときは、『高岡ハイン』として
俺は唯一、彼女の二面性を知る生徒となったんだお
- 531 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:44:33 ID:IbufzbXw0
- ―――――
―――
―
( ^ω^)「…」
ブーンはそこまで話すと、水筒のお茶を口に含んだ
川 ゚ -゚)「二面性、か…にわかには信じがたいな。誰とも話そうとしないハインとは」
( ^ω^)「姉御は高校からの付き合いだから、そう感じちゃうのも仕方ないと思うお」
川 ゚ -゚)「当然、理由があってした事だろう?ただの中二病でそこまで恐れられるなんて考えられん」
( ^ω^)「もちろんだお。彼女には荷が重すぎる、深いワケが」
(//A-)「…」
ドクオは、目を醒まさない
味の無い心音図が、定期的に音を鳴らすだけだ
―
―――
―――――
- 532 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:45:44 ID:IbufzbXw0
- 一ヶ月もすると、俺らは名前で呼び合えるくらいにまで仲良くなった
( ^ω^)「だから俺は言ってやったお。『お前、そりゃ白鳥の湖だって』ってな」
从*゚∀从「おまwwwwwww」
いつもの公園でバカみたいな話して…
俺は『怒髪天』という大物とのプライベートに
彼女は、『高岡ハイン』としての時間に
特別な時間を楽しんでいた
ある日、俺は思い切った質問をした
( ^ω^)「ハインはなんで学校ではあんな感じなんだお?」
从;゚∀从「あー…」
『遂に聞かれたか』
そんな気まずそうな顔をしたお
(;^ω^)「あ、答えたくないならいいお」
从;゚∀从「…いや、聞いてくれるか?」
(;^ω^)「お…」
- 533 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:48:01 ID:IbufzbXw0
- 从 ゚∀从「バカみてーに思うかもしんねーけどさ。『生まれながらに強い』奴ってのはいるんだよ」
( ^ω^)「…」
こいつ、痛い奴だなって思ったね
漫画の読みすぎ、ドクオみてえなアホだと
从 ゚∀从「…今アホだと思っただろ?」
( ^ω^)「うん」
从 ゚∀从「でさ、そういうやつって大体何になると思う?」
( メ)ω^)「簡単に人を殴らない聖人だと思います」
从 ゚∀从「逆だよ、『ジャイアン』になるんだ」
極論だと思うけど、彼女の言うことにも一理ある
良い体格や運動神経に恵まれた奴は、クラスの人気者だし
その周りに集まった連中を弄って楽しんだりしてる
スクールカーストの最上位は、いつだって『そういう奴ら』の独壇場だった
从 ゚∀从「俺も、気がつかない内に『強い奴ら』になっていた」
从 ゚∀从「初めて自覚したのは、六年生の時。クラスメイトにつっかかっていた高校生をフルボッコにした」
( ^ω^)「つええwwwwwww」
从 ゚∀从「次の日、その高校生が仲間を連れて襲ってきた」
从 ゚∀从「全員、返り討ちにした」
( ^ω^)「バケモンかお前wwwww」
从 ゚∀从「その日以来、不良共が学校に近づいてくることは無くなった」
- 534 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:49:03 ID:IbufzbXw0
- 从 ゚∀从「俺は気付いた。『強い奴は、強い奴を抑え付けとかないといけない』。それが強い奴の責任だって」
( ^ω^)「…だから、学校で恐れられる存在になったのかお」
从 ゚∀从「ご明察。ご丁寧に『怒髪天』だなんてあだ名もついた。恐がられるには十分さ」
( ^ω^)「なんで、そんな…」
从 -∀从「さぁな?こんな自分に酔ってるのかもしれない。『学校を守るダークヒーロー』だって」
( ^ω^)「…」
こいつ頭おかしいなって思ったけど、身に覚えが無いワケじゃなかった
クラスのDQNに襲われそうになった時、必ずハインがストッパーとして間に入ってくれた
自己陶酔も確かにあったんだと思う。でもそれ以上に
『憎まれ役』を一身に受ける覚悟と、『弱い奴』を守ろうする優しさ
誰に言われたわけでも、頼まれたわけでもないのに、それを行える『正しい強さ』を持っていた
( ^ω^)「やっぱ、聖人だお。お前」
从;゚∀从「からかうなよ…やっぱ話さなきゃ良かったぜ」
( ^ω^)「…」
やっぱり、辛い役目だと思う
自分で選んだ道とは言え、友達も出来ない学校生活なんてつまらないに決まっている
じゃあ、俺ら『弱い奴ら』は何をしてやれるか
( ^ω^)「このクソボッチが!!!!!」
从;゚∀从そ「へぁ!?」
決まってる。古今東西、いつだってそう
『強い奴』に寄り添うだけだお
- 535 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:50:12 ID:IbufzbXw0
- ( ^ω^)「もうアホだ!!お前はアホ過ぎるクソボッチだ!!」
从;゚∀从「おまっ…喧嘩売ってんの?やる?」
( ^ω^)「いいえ、やりません」
从;゚∀从「じゃあ何なんだよ急に…」
( ^ω^)「あのですね、もっとハインさんはアホみたいに生きて良いと思うんだお」
从;゚∀从「あーん…?」
( ^ω^)「まぁ、今でも最悪なまでにアホだと思うんだけど」
( メ)ω^)「つまり俺が言いたいことは、もっと友達作って普通の中学生してもええんちゃうん?ってこと」
从#゚∀从「周りくどいんだよ…」
( メ)ω^)「で、手始めに友達増やさないかお?」
从;゚∀从「友達って……俺と友達になりたい奴なんているのかよ?」
( ^ω^)「結構いる…と思う」
从 ゚∀从「マジで?」
( ^ω^)「少なくとも、確実にお前とお近づきになりたい奴を一人知ってる」
从;゚∀从「えっ…そんな物好きがいんの?誰?」
( ^ω^)「ヒ・ミ・ツ♥」
(メ)ω(メ)「お楽しみということで一つ」
从#゚∀从「お前はたまにイラッとさせるよな…」
- 536 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:52:00 ID:IbufzbXw0
- 从 ゚∀从「友達…か、出来るかな?」
( ^ω^)「出来たじゃねえかお。現に」
从 ゚∀从「友達…うん、友達ね…友達はいくらいても悪いもんじゃねえよな」
( ^ω^)「どう?明日連れてくるけど?」
从 ゚∀从「おお、楽しみにしてるぜ。ところで、名前は?」
( ^ω^)「お楽しみだって言ってんだろ堪え性の無い奴だなこのアホは」
(メ)ω(メ)「では、明日またここでお会いしましょう」
从 ゚∀从「あー、じゃあな」
ドクオを、連れて行くつもりだったお
ドクオとハインが仲良くなったら、流石兄弟も
お世辞にもかっこいいとは言えない男共だったけど、俺が知る中で一番気を許せるバカ共
きっと、ハインとも仲良くなれる筈だと思った
( ^ω^)ノシ
从 ゚∀从ノシ
お互いに、手を振って帰ったお
また楽しい明日が来ると信じて
- 537 名前:名も無きAAのようです :2013/11/05(火) 02:53:09 ID:IbufzbXw0
- でも、楽しい筈の明日は
『生まれながらに強い』
それも
『ハインとは逆の、最悪な方向に捻じ曲がった』奴に
粉々に踏み潰される事になる
- 547 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:41:16 ID:xaJsmDok0
- 翌日
(;A;)「お前最近付き合い悪いじゃああああああああああああああああああああん!!俺のこと嫌いになったの!?俺のこと嫌いなの!?」
(;^ω^)「落ち着け相棒、ほら、自分の股間を撫でるお」
(*;A;)「ハァン…テクニシャン…?」ナデリコナデリコ
( ^ω^)「最近ほったらかしにしてたのは謝るお。そのお詫びに今日は新しい友達を紹介するお」
(;A;)「新しい友達…?それってブーンの新しい相棒…?」
(;A;)そ「ああああああああああああああああああああああああああああ私じゃ満足出来ないのねえええええええええええええ!!!!!!」
(#^ω^)「いい加減にしろよお前…」
('A`)「ウッス」
(;´_ゝ`)(なんだこいつら…)
(´<_` )(薄い本が厚くなるな…『ヤンデレのドクオに愛されすぎて夜も眠れないブーン』…冬コミはもろたで!!)
('A`)「んで、新しい友人がなんだって?」
( ^ω^)「だから、新しい友人を紹介するって言ってんだお」
('A`)「お前…そんなこと言って『私、この人との夜が忘れられないの…だから、別れてくれない?』って展開になるんじゃあ…」
( ^ω^)「なってたまるか」
(*'A`)「よかった…俺達の友情は永遠なんだね…」
( *^ω^)「言わせんな恥ずかしい…」
(;´_ゝ`)(やべえよこいつら…)
(´<_` )(NTRか…アリだな。冬コミはもろたで!!!!)
- 548 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:42:16 ID:xaJsmDok0
- ( ^ω^)「ここ一ヶ月で仲良くなった人がいて、新しい友達を増やしたいって相談されたから、俺の一番の友達を紹介しようかなって」
(*'A`)「やめろよ…照れるだろ…」
(;´_ゝ`)「ここまで仲がいいと逆にキモいな…」
(´<_` )「一ヶ月ってーと…時期的に考えてシグを拾った人か?」
( ^ω^)「そうそう。世の中、何がきっかけで仲良くなるかわからんもんだNE!!」
('A`)「えっ?何それ?俺何も聞いてないよ?ん?ハブ?ハブなの?」
( ^ω^)「ハブじゃないよ…」ギュッ…
(*'A`)「キャッ…ちょっとやだブーン…人が見てるじゃない…」
( ^ω^)「見せてやればいいんだよ…」
(*'A`)「バカ…」トゥンク…
:(;´_ゝ`):「ヒィ!!おぞましい!!」
(´<_` )「おいしい!!」
( ´_ゝ`)「えっ?」
(´<_` )「えっ?」
( ^ω^)「どうする?行く?」
(*'A`)「イキます…」
(;´_ゝ`)「はい隔離!!隔離します!!」
(´<_` )「おっと、おふざけはここまでのようだ」
从 -∀从「…」
(´<_` )「大ボスのご登校だ」
(;´_ゝ`)「くわばらくわばら…」
- 549 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:43:21 ID:xaJsmDok0
- ( ^ω^)「…」
にやけそうになる顔を、必死に抑え込んだ
お前らもそのうち、そいつと仲良くなるんだよと言いたい気持ちも一緒にだ
(*'A`)
ドクオの顔を見て、また更に我慢が必要になった
こいつの驚く顔を見るのも、また楽しみだった
その日の授業は、より長く感じたお
遠足前の気分と言うか、こう、ワクワクして時計を何度も見てしまうような
放課後になるとすぐさまあの公園に向かいたかったけれど、生憎ドクオが掃除当番で、いつもより遅く学校を出る事になった
('A`)「おいおい、どこ連れて行く気だよ。この辺はホモが多くて有名な場所なんだぞ」
( ^ω^)「そんな情報どこから仕入れて来るんだよ…」
家に帰って私服に着替えて、ドクオと一緒に公園に向かったお
いつものように、いつものベンチで、退屈そうに彼女が待っている
ドクオはどんな顔をするだろうか?驚くよな、この関係を内緒にしてたことに怒るかな
でも、本当は人の良いハインに宥められて顔を真っ赤にしながら自己紹介するんだろうな
なんて考えながら、これから訪れる楽しい時間に胸を躍らせていたお
- 550 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:44:07 ID:xaJsmDok0
从メ∀从「」
.
- 551 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:45:03 ID:xaJsmDok0
公園では、頭から血を流し
男子の集団にボロボロに痛めつけられたハインが、蹴られ続けていた
.
- 552 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:46:39 ID:xaJsmDok0
- (; ゚ω゚ )
声も、出なかった
断崖絶壁から、ドンと突き落とされたような、そんな絶望感
足は一歩も前に進まず、逆に後ずさる始末
从メ∀从「」
彼女は蹴られ続けていても、ピクリとも動かない
犬が遊び続けて、ズタズタになったおもちゃのように、地面を転がっていた
(; ゚ω゚ )(け…警察、大人の人を、呼ばないと)
(; ゚ω゚ )(た、助けが、助けを呼ぶんだ…)
なんて、頭の中では『逃げる言い訳』を作っていた
漫画やアニメならば『おいそこのお前、そいつは俺の友達だぜ!!許さねえ!!』なんて、果敢に立ち向かう場面だろう
でも結局のところ、その時の俺はただの中学二年生で、生まれつきの弱者で、友達を助けようともせず
自分を正当化して逃げようとした『卑怯者』だった
だけど、ドクオは違った
- 553 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:48:12 ID:xaJsmDok0
- (#゚A゚)「て め え ら あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! ! ! ! 」
ハインの髪は特徴的だ。何も知らないドクオも、すぐに『それが誰か』気付いた
そして、貧弱な体から雄たけびを上げて
ドクオはなんの迷いも無く集団に向かって駆け出していた
(; ゚ω゚ )「ドク……」
(#゚A゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
ハインを執拗に蹴り続けていた男に、タックルをして
細い腕で、何度も殴り続けていた
それも一瞬のことで、仲間に引き剥がされたドクオはすぐにリンチの嵐を受けた
(#゚A゚)「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
それでも、ドクオは抵抗をやめなかった
その時のあいつも、ただの中学二年生で、生まれつきの弱者だった
でも、ドクオは、碌に会話も交わしていない『クラスメイト』の為に
『虐げられている者』の為に
『惚れた女』の為に
勝ち目の無い戦いに身を投じることが出来る『勇者』だった
(; ゚ω゚ )「ま、待ってろお!!すぐに助けを呼んでくる!!」
俺は、本当に情けない
相棒が飛び込んでいった場所へと、逆方向へ走った
すると、何人かの男が追ってきたのを、足音で感じた
( ;ω;)「ふぐっ、ううう!!」
怖くて怖くて、泣いてしまった
『死んでしまうんじゃないか』って、思った
- 554 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:50:01 ID:xaJsmDok0
- さっき、ドクオが『ホモが多くて〜』って言ったのを覚えてるかお?
まぁ、実際その通りで、ホモが多くて治安が悪いと思われていた場所だった
だから、子供は親から『あそこに言ってはダメ』と言われてるし、親も近寄ろうとしない地域
助けを求めれそうな大人が、そこにはほとんどいなかったんだ
携帯電話だってその時は持たせてもらえなかったし、持ってたとしても使えなかった
『万事休す』、とにかく、捕まらないように必死に走って
ドン、と『誰か』にぶつかって、尻餅をついた
涙とパニックで前が見えてなかったんだろうな
まぁ、それが幸いして俺は『恩人』に出会ったんだ
N|;"゚'` {"゚`lリ「おいおい、どうした少年。ウンコでも漏らしそうなのかい?」
今の担任で、俺達が村学に入るきっかけとなった人物
『阿部先生』だお
( ;ω;)「だず、だずげでぐだざいお!!!!!」
N|;"゚'` {"゚`lリ「オイオイ、落ち着きなって。一体全体…」
藁にもすがる思いで、助けを求めたお
阿部さんは最初は困惑してたけど、追いついた男達を目にすると
N| "゚'` {"゚`lリ「……おい、こいつは俺の大事なカキタレだ。手を出そうもんなら一生まともにクソが出来ない体にしてやる」
と、庇われてるこっちもゾッとするような迫力で追い返してくれた
カキタレっていう言葉の意味はわからなかったけど、とにかく、大事な人として扱ってくれたことだけはわかった
- 555 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:52:28 ID:xaJsmDok0
- N| "゚'` {"゚`lリ「何があった?どうした?」
( ;ω;)「だずげで!!だず、だずげで!!!!」
ただ事じゃないと踏んだ阿部さんは、俺にワケを聞こうとした
でも、まだパニックから立ち直っていない俺は、話を出来るような状態じゃなかった
すると、破裂音と共に頬に鋭い痛みが走った
( ;ω;)「お…」
N|#"゚'` {"゚`lリ「しっかりしろ!!男だろ!!キンタマついているんだろ!!」
阿部さんの、平手だった
恥ずかしいながら、人から『殴られる』なんてことは初めてで、ベタなことを言うと『親父にもぶたれた事が無い』まま育ってきた
だけどその痛みと叱責は、俺の頭を冷やして、『何をしなければならないか』を、思い出させてくれた
( うω;)「どもだぢを、だづげでぼじいんでず!!!!」
具体性の無い、助け方だったと思う
見ず知らずの人に厄介ごとを頼み込むガキだと思われても仕方ない
それでも阿部さんは
N| "゚'` {"゚`lリ「任せろ、どこにいる?」
と、即答してくれたお
- 556 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:53:11 ID:xaJsmDok0
- 阿部さんを連れて公園へと戻ると、追い払った男達から話を聞いたのか
集団は既に無く、ボロボロのハインとドクオだけが残されていた
ドクオは、出来るだけハインから注意を逸らそうとしたんだろう
地面には這いずった後と、血痕が連なっていた
N|;"゚'` {"゚`lリ白「子供二人がリンチされて意識不明!!場所は『ホイホイ公園』だ!!」
阿部さんはすぐに携帯で救急車を呼んで、応急手当を施した
俺は、泣き崩れて『ゴメン、ゴメン』と二人に謝ることしか出来なかった
- 557 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:54:40 ID:xaJsmDok0
- 幸か不幸か、ドクオとハインの搬送先は別々の病院になった
阿部さんの携帯でドクオの親を呼んで付き添って貰い、ハインの自宅の番号はわからなかったので、ドクオのお母さんが学校へと連絡して、先生が付き添う事になった
「ブーンちゃん、怪我は無い?」
(; ω )「大丈夫、ですお…」
ドクオの事が心配でたまらない筈なのに、俺の身まで案じてくれた
俺は礼も言えずに、ただ俯くだけだったお
(;"ゞ)「本当に、ありがとうございます!!」
N| "゚'` {"゚`lリ「礼はブーンくんに言ってやってください。俺はただ通りすがっただけですから」
違う、俺は逃げただけだ
俺はドクオとは違う、卑怯者なんだ
(;"ゞ)「ブーン君、ありがとう…本当に、ありがとう…」
泣き出しそうな親父さんの感謝の声も、ただ惨めに思えるだけだった
惨めで、悔しくて、最悪な気分
(; ω )「ッ…」
ドクオの治療が終わるまで
俺はずっと俯いたままだった
ドクオの治療が終わり、両親が先生に話を聞いている間
阿部さんはずっと俺に付いてくれていた
N| "゚'` {"゚`lリ「…」
(; ω )「…」
ハインの身も気になったけど、搬送先の病院はわからない
ただ、祈るしかなかった
- 558 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:56:02 ID:xaJsmDok0
- 結局、その日は『帰りなさい』と言われ、親父さんが家まで送ってくれた
帰り際に阿部さんが、『何かあったらここに連絡しろ』と、番号を書いたメモを渡してくれたお
( ;ω;)「…」
帰ったら、両親の心配そうな顔が出迎えて
『ドクオ君ならきっと大丈夫だ』と、励ましてくれた
暖かい家が、優しい両親が、何より安心を与えてくれた
でも、『後悔と恐怖』は靴底にへばり付いたガムのように離れようとはしなかったお
布団に潜り込んで、ガタガタ震えながら泣いた
『友達を失いかけた』恐怖と、暴力への恐怖が、一晩中俺を苛めた
眠りにつけたのは、外が白み始めた時間だった
目を醒ましたのは、お昼過ぎ
親から『ドクオが目を醒ました』と聞いて飛び起きた
急いで車で送ってもらって、入院している病室へと転がり込んだ
(//A`)「…」
( ;ω;)「ドグオ…」
丁度、今のような病室で、今のような姿でベッドに横たわっていた
違うのは、意識が回復したことと、周りにドクオの両親や先生達がいたことだけ
- 559 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:58:23 ID:xaJsmDok0
- 俺は罵声を浴びせかけられる覚悟をして来た
もはや、長く続いた友情もこれまでだと思った
でも、あいつの第一声はこうだったよ
(//A`)「きったねえ顔だなオイ。汁塗れだぞお前」
( ;ω;)「う……うおおおおおおおおおおおん!!!!!」
(;//A`)「ちょ、オイバカよせ汁が!!汁が!!」
どこまでこいつは『勇者』なんだ、と思ったね
ケロリと軽口を叩きやがる、なんてタフなんだと
(;//A`)「あのッ、とりあえずこいつと感動の再会を分かち合いたいから、大人は退室してもらっていいですか!?」
( ;ω;)「…」
なんて考えてたら、来て早々の人払い
まさか、今のは大人たちへのパフォーマンスなんじゃ…って疑った
(;//A`)「あっ、先生!!さっきのこと、よろしくお願いします!!」
( ;ω;)「…?」
この先生へのお願いは、俺が今までこの事を話さなかったことにも通じる
それは、普通なら考えられないような、ドクオの『想い』だった
- 560 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 03:59:05 ID:xaJsmDok0
- 大人たちが廊下を歩く音を聞いて暫く、ドクオはジッと黙っていた
死刑宣告前の囚人の気分で、俺はドクオが口を開くのを待った
(//A`)「…ブーン」
(;^ω^)「な、なんだお?」
(//A`)「ありがとな。お前が助けを呼んでくれなかったら、俺は死んでたかもしれない」
(; ω )「ッ…」
俺はもう、限界だった
(; ω )「違うッ…だろ…」
(//A`)「…」
(; ω )「俺は、逃げたんだお…友達を、『ハイン』と、一番の親友である『お前』を見捨てて…逃げたんだ!!」
罵って欲しかった
憎んでもらいたかった
それでドクオの気分が晴れるなら、と
(//A`)「…」
(; ω )「助かったのだって、たまたま…たまたま阿部さんとぶつかったから、なんだお…俺は、何もしていない…」
(//A`)「……」
(; ω )「…」
懺悔の後、またしばらく沈黙が続いた
俺はドクオの顔をまともに見れる気がしなかった
- 561 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:00:31 ID:xaJsmDok0
- (//A`)「…お前は間違ってないよ、ブーン」
ドクオは『折れてない方』の腕を伸ばし、俺の手に重ねた
折れていないというだけで、実際には痣と傷だらけの腕を
(//A`)「俺は、都合の良い、夢を見ていた」
(; ω )「夢…?」
(//A`)「そう。例えばさ、学校がテロリストに潜入された!!そいつらをかっこよくブチのめす俺!!だとか、美少女に助けを求められて、覚醒する力!!みたいなさ」
(; ω )「何の話だお…」
(//A`)「まぁ聞けって。誰にでも、そういう妄想があると思うんだ。ピンチになると、隠された力が湧き上がって敵をバッタバッタを討ち滅ぼす…そんな漫画やアニメみたいな妄想が」
(//A`)「俺は、そんな『都合の良い夢』を抱きながら、あの場へと飛び込んだ。結果がこの様さ。高岡さんを助け出したわけでもなくいいようにしてやられ、病院行き…」
(//A`)「お前がいなかったら、俺は『俺自身』と『高岡さん』を滅ぼしていたかもしれないんだ。だからお前は、お前の行動は間違っていないんだよブーン。だから俺はこう言うんだ」
(//A`)「『助けてくれてありがとう。お前は最高の相棒だ』ってな…」
(;うω )「…」
情け無い事に、この言葉で俺の罪悪感が一つ消えた
ドクオに救われたのはハインだけじゃなく、俺もだった
俺が起した行動を批難せず、それどころか『感謝』してくれた
許される行為じゃないことなんて自分でもわかってる、でも
( うω;)「どういたしまして…だお」
これだけ自分を信頼してくれている相棒に
これ以上償いを押し付けるなんて、できっこなかった
- 563 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:01:38 ID:xaJsmDok0
- (//A )「悔しいよなぁ…ブーン」
(//A;)「『弱い』ってよぉ…」
ドクオも泣いた
己の弱さに、不甲斐無さに、かっこ悪さに泣いた
(//A;)「ヒーローになりてえよなぁ…」
( ;ω;)「…」
その時、俺の脳裏には
助けてくれた男の姿が映っていた
アニメや漫画のヒーローは、現実味に欠ける
でも彼は、追っ手を追っ払ってくれたあの人は、俺達の目指すべき姿だと思えた
( うω;)「なるんだお、ヒーローに」
(//A;)「なる…?」
( うω⊂) ゴシゴシ
( ^ω^)「なるんだ!!ヒーローに!!」
(//A;)「なれる…のか?俺みたいな、ザコが…」
( ^ω^)「なるんだお!!二人で!!」
ポケットに入れといたままだったメモを、ドクオに渡した
- 564 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:03:43 ID:xaJsmDok0
- (//A;)「…」
( ^ω^)「俺達の、命の恩人の電話番号だお」
俺達はまだ子供で、何をすればヒーローになれるかわからなかった
教えが、目標が、指針が必要だった
( ^ω^)「強くなるんだお、この人みたいに」
( ^ω^)「阿部さんのように」
(//A⊂)「…」ゴシゴシ
(//A`)「筋肉か?」
( ^ω^)「筋肉だお」
(//A`)「今のジャンプ主人公みたいな、見た目ガリガリでも強い野郎じゃなくて?」
( ^ω^)「目指すはアクション・スターだお。シルベスター・スタローンや、アーノルド・シュワルツェネガーのような」
(//A`)「そいつは間違いねえ、大ヒーローだ」
( ^ω^)「二人でなるんだお。筋肉モリモリ、マッチョマンの変態に」
(//A`)「ああ、なってやろうじゃねえか…今度こそ、高岡さんを守るために」
( ^ω^)「今度こそ、理不尽な暴力から逃げないために」
- 565 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:04:55 ID:xaJsmDok0
(//A`)「「やってやろうぜ」」(^ω^ )
その日の決意は、今も胸の中で熱く残っている
ドクオは『守る』為に強くなろうとして
俺は『逃げない』為に強くなろうとした
『弱い者』は、虐げられるだけじゃないと証明するために
『弱い者』だって、『強い者』を守ることが出来ると言い張るために
- 566 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:05:49 ID:xaJsmDok0
- (//A`)「なぁ、ブーン。俺はお前に言わなきゃいけない事がある」
( ^ω^)「なんだお、改まって」
(//A`)「高岡さんをリンチした連中について」
(;^ω^)そ「ッ!!」
事件は終わっていない
誰が、どういう理由で、ハインをリンチしていたのか
それがわからない限り、彼女は安心して眠れない
(//A`)「まだ警察にも伝えていない。先ずはお前に聞いて欲しくてな」
(;^ω^)「…」
俺はあの中に近づかなかったため、そいつらの顔をしっかりと見ていなかった
渦中に飛び込んだドクオは、はっきり確認していた
(//A`)「信じられねえかもしれないけど、それでも信じてくれ」
次に出た発言は、予想だにしなかったものだった
- 568 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:07:49 ID:xaJsmDok0
(//A`)「『お前の顔があった』」
.
- 569 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:09:23 ID:xaJsmDok0
- (;^ω^)「は…え?」
思わず、自分の顔をペタペタと触ったよ
『こいつは何を言っているんだ』状態だった
でも、こんな真剣な場面でドクオがふざけるとは思えなかったし
何より、あいつの表情は『マジ』だった
(//A`)「瓜二つだったよ……頭がおかしくなったのかと思った。だけど、本当に『お前の顔』がそこにはあった」
(//A`)「だけど、お前とは全くの別人だってすぐにわかったよ…さっきまで一緒に行動していたのもあるが、何より…」
思い出すだけで怖いはずなのに、ドクオはそれを億尾にも見せなかった
声色に、静かな怒りを感じた
(//A`)「人間の、腐った性根みたいな…うまく言えねえけど、『産まれついての悪』…かな…クソ、バカみたいに思うかもしんねえが、とにかく…」
(//A`)「そういう感じがしたんだ」
言葉は支離滅裂だったけど、言いたいことはなんとなく伝わった
一人の女の子を寄って集って暴行するような連中が、良い奴の筈が無い
(;^ω^)「それを、なんで一番最初に?」
(//A`)「覚えて欲しいからだ。もし次に、そいつが高岡さんに近づいたら、なんとしてでも助けるために」
あの時の恐怖が、頭を掠めた
だけど、グッと飲み込んだ
( ^ω^)「わかったお」
もう逃げないと決めた
ドクオと同じように、恐怖に立ち向かおうとした
(//A`)「早急に捕まるのが、一番に決まってるけどな…」
- 570 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:11:23 ID:xaJsmDok0
- ( ^ω^)「俺からも、聞きたいことがあるお」
気になっていた、担任への発言
『さっきのこと』とは、一体なんなのかを
ドクオは、あっさりと答えてくれた
(//A`)「ああ、先生に『俺が怪我したこと、あの場にいたことは、高岡さんに言わないで欲しい』って」
(;^ω^)そ「ええ!?」
どうしてそんなことを言ったのかわからなかった
ドクオの行動は、間違いなくヒーローそのもの
助けた相手に、何も知られないまま終わるなんて
(;^ω^)「どうしてだお!?お前はハインを」
(//A`)「『助けてねえ』、ボコられにいっただけだ」
(;^ω^)「うっ…」
(//A`)「こんな事件で、知り合いになってみろよ…彼女は俺を見るたびに、『今日のこと』を思い出す…それに、負い目なんて負わせたくない」
(//A`)「できるだけ、負担を和らげてやりたいんだ…事件を忘れて、幸せになってもらうまで」
(//A`)「その為に俺は、彼女を影から守れるほど強くなりたい。彼女が何も知らずに生きてくれれば、それが一番だと思ってる」
(;^ω^)「そんっ…なの…」
(//A`)「お前も、俺のことは絶対に口外しないでくれ。他の誰にも言うな」
(;^ω^)「ドクオは!!それでいいのかお!!」
(//A`)「もちろん、良いに決まってる」
- 571 名前:名も無きAAのようです :2013/11/10(日) 04:12:56 ID:xaJsmDok0
- 即答だったお
阿部さんが、俺の助けを引き受けてくれたように
既にドクオは、ヒーローだった
見返りを求めず、相手の幸せを考えていた
自分の考えが、どれだけ『浅はか』だったか、思い知らされた
でも、それでも、釈然としなかった
(; ω )「…俺は」
(//A`)「ん?」
(; ω )「きっとお前も幸せにしてやる」
(;//A`)「えっ?」
(;//A`)「気持ちはありがたいけど、俺達おとk( ^ω^)「ちげーよ」
( ^ω^)「いつか必ず、お前をハインと付き合わせてやるお!!」
(*//A`)「ちょ、おま!!バッ!!そんなんじゃねーし!!そんなんじゃねーし!!」
(;^ω^)「えー……真剣に言ったのにその反応は少し…引くわ…」
(;//A`)「つーかいつからお前と高岡さんは友達だったんだよ。そっちの方が引くわ」
( ^ω^)「おっお、話せば長いんだけど…」
それから、俺はこの一ヶ月の出来事を話した
ドクオは案の定、『ずるいぞ』と怒った
それを見て俺はケラケラ笑った
たった一日足らずの時間だったけど、本当に久しぶりに笑った気がした
- 582 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:29:16 ID:s.irLsvI0
- ハインはと言うと
なんとその後、村学入学まで一度も会うことは無かった
先生方は病院の居場所も教えてくれなかったし、あろうことか
『なんの関係も無い保護者達と結託して、転校に追い込んだ』
モンスターペアレントや教師達にとって、彼女は学校の『癌』だったんだろう
事件に託けて、てめえらの都合の良い方へ彼女を追いやった
『生徒を守る教師』が、聞いて呆れたお。学校って、思ってたより腐った場所なんだって思った
校長はこうほざきやがったお
「彼女は問題を起こしすぎたんだ。なんの罪もない生徒を巻き込んだ今回の事件は、無視できるものでは決してない」
「君達も、彼女の横暴さにうんざりしてたんだろう?こんな目にあって、むしろ清々したはずさ。他の生徒達だって安心して学校生活を送ることが出来る」
呆れたね、こいつは何もわかってないと
表面的には、確かに問題児が消えてすっきりしたように見える
でもハインは、たった一人で学校の治安を、俺達『弱い者』を守っていた
お前らみたいな役立たずの教師どもより、ずっとずっと偉かった
だから、俺達は口をそろえて言ってやった
「クソ喰らえ」、と
あいつは面食らった顔をした後、「訳がわからない…」なんて呟いてた
だけど、訳を話す気にもならなかった
こんな連中に話したところで、鼻で笑われるのがオチだとわかってたから
- 583 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:31:51 ID:s.irLsvI0
- 当然、何度もハインを探しに行ったりもした
住所を調べて、家に訪れた
もぬけの殻だった
地区内の公立中学を巡って、話を聞きだそうとした
『高岡ハイン』の名を聞いただけで、誰もが足早に逃げ出した
('A`)「…」
ドクオは、何もしなかった
俺達でも身元が知れないのだ、犯人が彼女にたどり着くはずが無いと、逆に安心していた
('A`)「…」
『これでいいんだ』とも言っていた
彼女のことを知らない街で、新しい人生を送った方が幸せだと
(;^ω^)「…」
こいつは、あまりにも大人で、あまりにも『もどかしい』奴だった
でも、それを口に出して言う勇気は無かった
ドクオの言い分にも、一理あったから
それでも、『強くなる』鍛錬は積み続けていた
今は彼女がいなくても、今に意味が無くても
『いつか来るその時』に備えて
- 584 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:33:41 ID:s.irLsvI0
- ―――――
―――
―
( ^ω^)「…ここまでが、俺達がこうなった『きっかけ』と、ハインとの出会いだお」
川 - -)「…」
( ^ω^)「肝心の『その時』でこのザマじゃあ、鍛えた甲斐が無いってもんだけどな…」
(//A-)「…」
川 ゚ -゚)「『お前と同じ顔』か…なん、とも、クソみたいな偶然だ」
( ^ω^)「全くだお…」
川 ゚ -゚)「犯人は捕まったのか?」
( ^ω^)「ああ、捕まった。最も、追い詰めたのは警察じゃなくて『探偵』だったと聞くお」
川 ゚ -゚)「…名前は?」
( ^ω^)「西川、『西川ホライズン』」
川 ゚ -゚)「そいつが…」
( ^ω^)「多分な…」
(//A-)「…」
- 585 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:34:39 ID:s.irLsvI0
- 川 ゚ -゚)「話を整理しよう。過去にドクオとハインを暴行した『西川』という、お前と同じ顔のクソ野郎が、出所して再び報復に来た」
( ^ω^)「単純だお」
川 ゚ -゚)「現在、ドクオは意識不明で、ハインは行方不明…手がかりは『内藤ホライゾン』と同じ顔の男…」
冷静を装うクールだが、顔の前で組んだ両手は怒りで震えていた
川 - )「絶対に、許すものか…」
( ^ω^)「…」
川 - )「……ドクオに言っておけ、サッサと起きろと」
川 - )「全てが終わる前に、立ち上がって『助けに向かえ』と」
.
- 586 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:36:12 ID:s.irLsvI0
- ( ^ω^)「…」
( ^ω^)「つーかもう一発全力で殴ってくれてもいいよ」
川 ゚ー゚)「フッ、せっかくだが、遠慮しておくよ」
( ^ω^)「そうかお…残念」
川 ゚ -゚)「それじゃあ、私は学校に向かう。お前もいい加減顔を出せよ」
( ^ω^)「わかったお、明日はガッコ行くお」
クールは立ち上がり、ドアに手を掛けた
川 ゚ -゚)「……ヒートに、『漢』を教えたそうだな」
( ^ω^)「…具体的に何を教えれた訳じゃないけどな」
川 ゚ -゚)「そう聞いたよ…だが、もう『答え』は見えているじゃないか」
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「まぁ、言うまでも無い事だがな…」
- 587 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:37:30 ID:s.irLsvI0
- 川 ゚ -゚)「お前らは強いよ、村学のバカ二人。だから、さっさと立ち直れ」
川 ゚ -゚)「『都合のいい夢』は終わりだ。『厳しい現実』が待ってるぞ」
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「…じゃあな」
( ^ω^)「姉御」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
( ^ω^)「このアホの分まで、言っておくお」
( ^ω^)「『ありがとう』」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ー゚)「飯、ちゃんと食べろよ」
- 588 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:39:05 ID:s.irLsvI0
- ―――――
―――
―
川 ゚ -゚)「…」
病院を出て、クールは携帯を確認した
マナーモードにしていたため、気がつかなかったが
着信履歴が三桁近くまで達していた
川 ゚ -゚)「…」
それは、ニダーだけじゃなく
ヒートからも、モララーからも、アサピーからも、阿部さんからも
番号登録をしている村学関係者ほぼ全員からの着信だった
川 ゚ -゚)「…」
掛けなおそうとしたその時、ちょうど着信が入る
ニダーからだった
川 ゚ -゚)白「…私だ」
『!? クー!!何をしていたニダ!!』
いつもらしからぬ、乱暴な声だった
今日の行き先は、誰にも言っていない
言えば、全員が着いてくると思ったからだ
川 ゚ -゚)白「見舞いだよ。ちょいと、話をしにな…そうだ、犯人の目星がついたぞ」
『本当ニカ!?いや、その話はまた後ニダ!!」
- 589 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:39:51 ID:s.irLsvI0
- 川 ゚ -゚)白「何があった?」
『警察が、学校に来たニダ』
川 ゚ -゚)白「警察なら、ずっと出入りしてるだろう?ハインの捜索の為に」
『捜索の、意味が違ってきた…』
川 ゚ -゚)白「何…?」
『昨夜、村学の生徒がまた一人暴力事件に遭ったニダ』
川;゚ -゚)白「なんだと…?」
彼女が考えているよりも、早く
『その生徒の制服には、赤の塗料でデカデカと、『怒髪天復活』と書かれていたニダ…」
川;゚ -゚)白「お…おいちょっと待て!!まさか!!」
事態は、急激に動き出していた
『警察は、過去に『怒髪天』と呼ばれていた者に逮捕状を出した…』
川;゚ -゚)白「…」
最悪な方向へ、止まらない雪崩のように
- 590 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:40:55 ID:s.irLsvI0
『高岡ハインの、「捜査」が開始されたニダ!!!!』
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- 591 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:43:07 ID:s.irLsvI0
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- 592 名前:名も無きAAのようです :2013/11/11(月) 03:46:17 ID:s.irLsvI0
- 次回
『マーケティング・レンタルコミックス』
第十五話
『夢の終わり、現実の始まり』
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