697 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 02:53:20 ID:/R6SfiaY0


薄れ行く意識の中


誰かの背中を確かに見た


小さくて、貧弱で、今にも折れそうだったけれど


俺には、絶体絶命のピンチに現れた『白馬の王子様』に見えた





あれは夢だったのかなって、病室のベッドで思い返した


.

698 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 02:54:56 ID:/R6SfiaY0
ブーンそっくりの男が、チンピラ引き連れて俺に襲い掛かってきて
気がつくと、ベッドの上でミイラみてーに包帯巻かれてる
俺を助けてくれたのは、たまたまそこを通りすがった兄ちゃん…阿部さんっていう人らしい

ブーンはどうしてんのかな?巻き込まれてないといいけど、とか
あいつ、誰を連れてくるつもりだったのかな?なんて、一日中考えて過ごした
リンチに遭ったことも嫌でも思い出してしまって、恐くなって枕に顔埋めて泣いた
夢にだって何度も現れて、俺に暴力を振るうんだけど


その度に、あの小さな背中が現れて、俺を助けてくれた


会いたいと、強く願った
会って、お礼が言いたかった
会って、謝りたかった


学校に戻ったら、ブーンと話そう
クラスメイトとも、話をしてみよう


もう、『怒髪天』は卒業しよう




そう決意した矢先、苦虫を噛み潰したような顔をした両親と
貼り付けたような笑顔を浮かべている校長が入ってきた―――――

699 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 02:56:23 ID:/R6SfiaY0
唯一の友達に別れも言う時間すら与えられず、市外へと引越しさせられた
俺が思っている以上に、大事になっていたらしい
学校からは事実上の『退学』を突きつけられた
両親は近所の住人から白い目で見られ、遠まわしに『出て行け』と催促されていたそうだ
俺は今頃になって、自分のやっていたことの責任の重さを知った

『学校を守るダークヒーロー』が、聞いて呆れる

親に迷惑掛けて、学校にも見放されて
残ったのは、痛みとトラウマと後悔だけ
結局、俺もそこらのチンピラと変わらない、『生まれながらに強いクズ』だった
こんな想いをするくらいなら、最初から強さなんていらなかった

『強くても、良い事なんて無い』

どう足掻いても『クズ』にしかならないのだから



それから、少し離れた別の中学で普通の生徒として過ごす事にした
幸いにも、この学校では『怒髪天』の話は伝わってなく
普通の生徒として普通に勉強し、普通に友達ができ、普通に遊べた
ただ、普通の恋愛だけは出来なかった
こんなクズでも異性に好かれることがあって、何度か告白を受けたりしたけど、俺の頭の中で『二人の男』が浮かぶたびに、断ってきた


一人は、『怒髪天』を知って尚、俺と友達になってくれた奴
もう一人は、小さな背中の『王子様』


離れてからも、胸のもやもやみたいなのが離れてくれなかった
これが恋愛感情なのか、それともただ寂しいだけなのかは、当事者である俺にも分からなかった
けど、確かめてみたい気持ちはあった

700 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 02:58:51 ID:/R6SfiaY0
三年に上がると、進路を決めないといけなくなった
友達には『おっそーい』って言われたけど、実は少し恐かったのだ
居心地の良い、この中学から離れるのが

そんなある日、恩人が家を訪ねて来てくれた


N| "゚'` {"゚`lリ「よっ、元気そうじゃないの」


あれから何度も俺を気にかけてくれる阿部さんだ
今の学校を紹介してくれたのも、この人だ
元は何の縁も無かった男の人だけど、数少ない信頼できる大人だった


N| "゚'` {"゚`lリ「進路、ねえ」


今の悩みを打ち明けると、阿部さんはこう聞き返した


N| "゚'` {"゚`lリ「お前さんは何をしたいんだ?」


『わからない』が答えだった
これと言った将来の夢も無く、目標も無い
ただ漠然と日々を過ごしてきた事に絶望し、涙が出てきた

701 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:00:08 ID:/R6SfiaY0
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、誤解させちまったかな?別に『大人になってから』の話じゃないさ」


阿部さんは俺の頭を撫でて、『そういうのはこれからゆっくり見つけりゃいいんだ』と言った


N| "゚'` {"゚`lリ「そうだな…例えば、好きなことや遣り残したこと…行って見たい場所、見てみたい景色、会ってみたい人…そんな些細なことから、志望校を見つけてみてもいいんじゃないか?」


学校の先生が言っている、『人生を左右する』とか『重要な選択』とかに比べると、随分と軽い考え方だった
だけど、今の俺にはそんな方法が一番合っていると思えた


『遣り残したこと』『会ってみたい人』


少し、将来に向けて近づけた
俺がやりたいことは


あの街へ、『松千代』へ戻ること
戻って、ブーンやその友達と会うこと
戻って、『王子様』を見つけること


そう言うと、阿部さんはにっこり笑ってある提案をした


N| "゚'` {"゚`lリ「このタイミングで言うと、誘導したみたいでアレなんだがな…良い高校があるんだ。俺の母校なんだが」


差し出された学校案内のパンフには、『村人学園』の四文字が
表紙でポーズを取っている、ムキムキの銅像が笑いを誘った


N| "゚'` {"゚`lリ「どうだ?選択肢の候補として入れといてくれないか?因みに俺は来年からここで教師をすることになった」


『信頼できる大人の下で学べる』
それだけでも、選ぶに値する選択だった

702 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:02:15 ID:/R6SfiaY0
一年と半年足らず振りに、私と家族は松千代に帰って来た
新しい家で、また新しい生活が始まった

桜の降る中で、村人学園の門をくぐった
それなりの時間が経過しても、『怒髪天』の記憶はまだ残っているそうで
何人かの視線と囁きを感じた

お互いにとっても、嫌な思い出だろう
でも、自業自得。甘んじて受け入れるしかない


「ハイン……?」


懐かしい声だった
一番聞きたかった声だった


(;^ω^)「……おま」


久々に会って、先ず思ったのが

『誰だこいつ』だった



※イメージ図





丸々太った肉ダルマはどこへやら
制服がぱっつんぱっつんになるほどまで筋肉を身につけた男がいた
ただ、顔だけは当時のままだった

703 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:03:56 ID:/R6SfiaY0
( ^ω^)「……同じ学校だなんて」


嬉しさと驚きと恐怖で混乱してる中、ブーンの顔をしたキン肉マンが近づいてくる
言いたいことがいっぱいあったはずなのに、喉から先に出てこない


( ^ω^)「……久しぶり、じゃねえかクソボッチ」


…ああ、こいつは何も変わってない
減らず口も、ムカつく所も、気遣いの無さも
俺の好きな友達が、そこにいた


だから俺は、あの時のように


(メ)ω^)「はい…調子乗ってスイマセンでした…」


遠慮なくぶん殴った




( ^ω^)「この学校は、俺が尊敬する人が先生なんだお」


それは誰か、と聞くと


( ^ω^)「阿部さ…いや、阿部先生だお」


『阿部さん』、俺と同じ信頼できる大人に導かれ、こいつもこの学校に来た
偶然にしちゃ、出来すぎだと思えた
あの人と出会えたきっかけは、『あの事件』があったから


『お前は、あの場にいたか?』


( ^ω^)「…」

705 名前:>>704ミスです :2013/11/29(金) 03:06:26 ID:/R6SfiaY0
表情が一変した
疑問が確信に変わった
こいつは、どの段階かではわからないが、あの事件に関わっている


( ^ω^)「…怒髪天は、もうやめたのかお?」


肯定した


( ^ω^)「それが何よりだお…この学校は、お前が変に気を使わなくても、きっと…」


( ^ω^)「きっと、真っ直ぐでいてくれるお」


ブーンは、村人学園の銅像を見上げた
パンフにも載ってた、創設者である『荒巻やらない夫』の変態じみた肉体像だった

台には、こう刻まれていた


『漢であれ』、と


( ^ω^)「改めて、よろしく頼むお。高岡ハイン」


そう言って差し出された手を、握り返した
『何も変わってない』、そんなことは無かった
身についた筋肉と共に、『志』を抱いていた


不覚にも、胸が高鳴るのを感じた

706 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:07:45 ID:/R6SfiaY0
( ^ω^)「…あっ」


ブーンが、俺の後ろに視線を向けて、声を上げた
反射的に振り返ると、これまた制服がぱっつんぱっつんの男がそそくさと離れていくのが見えた
『知っている奴か?』と聞くと


( ^ω^)「…うん、俺の相棒だお」


そう言えば、こいつの隣にはいつも『欝田ドクオ』という奴がいた
公園のベンチで話をしている中で、何度も耳にした名前の男だ


( ^ω^)「ちょっと、シャイな奴でね。気が向いたら話しかけてやってくれお」


それから、ドクオと仲良くなったのは、一年も先の話

707 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:09:36 ID:/R6SfiaY0
ブーンと再会して、ちょっとしたことから、一つ上の先輩である『素直クール』さんと仲良くなって
素直さんの一番のお気に入りで、ブーン達とつるむようになった『瓜畑ニダー』とも友達になって
俺の高校生活は、不安を他所に充実したものになった


ただ、ブーンと『あの事件』のことを話そうとしても
歯切れの悪い返事と共に、半ば強引に話を逸らされてしまい
『あの背中の主』が誰なのかは謎のままだった


胸の『もやもや』も、結局は取れずじまいで
これが恋なのか!?と一人で考えるたびに、恥ずかしくなってベッドで悶えてた


二年になって、ブーン達と同じクラスになれて、学校はもっと楽しい場所になった
ブーンと欝田のやりとりは見ていて面白く、俺も何度か入れて欲しいと思って話しかけてみた
そうすると欝田は、人が変わったように緊張する
顔は赤くなって、汗が吹き出て、どもりながら敬語で返される
その度に、『まだ恐がられているのかな』と、少し悲しくなってその場を離れた
ブーンに相談しても、『そういうんじゃねえから心配すんな』と一辺倒に返されるだけだった


そんなある日の放課後、別段仲良くも無かった上条が話しかけてきた


( ・∀・)「君をデートに誘いたいと言う人がいてね」


『断る』と、即断した
恋人を作りたい気分じゃ無かったし、何より自分からデートに誘えないような臆病者とは仲良く慣れそうに無いと思ったからだ


( ・∀・)「ああ、言い方が不味かったかな?ぷらっと遊びに行くもんだと思ってくれたらいい」


『くどいぞ』と返し、鞄を手に帰ろうとした


( ・∀・)「そう言わずに…君も気になっている人からのご依頼でね」

( ・∀・)「同じクラスの欝田くんなんだけど…」

708 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:10:51 ID:/R6SfiaY0
動きが止まった
予想外の人物からの誘いだった


( ・∀・)「彼も、君と仲良くなりたいみたいでね。お見合いと言うと人聞きが悪いけど…まぁ、とりあえず会ってみて、欝田くんと言う人がどんな奴か、確かめてみるのもいいんじゃないかな?」


一理ある、と思った
欝田の意図は読めないが、ブーンが『相棒』と呼んでいる奴だ
悪い奴とは考えにくい、『ありえない』は言いすぎだが


( ・∀・)「どうかな?その気になったら、都合のいい日を教えてくれないか?」


『考えとく』とだけ返して、その日は家に帰った
夕食を食べ終えてから、ブーンに電話して裏を取った


「ドクオがハインと遊びたいってのは本当だお」


『何で自分から誘わないんだ』と聞いた


「まぁそこは紆余曲折ありまして……」

「で、ハインはどうするつもりなんだお?」


『どうしようか?』と聞き返した
特別な答えを、ほんの少し期待して


「そんなもん自分で決めろお」


素っ気無い返答に、呆れた笑いが漏れた
こいつに期待した自分がバカなのだが

709 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:11:52 ID:/R6SfiaY0
「ただ一つ、言えることは」


「絶対に飽きない野郎だってことだお」


そうハッキリと言われると、興味が湧いてくるもので
『それじゃあ、行ってみようかな』なんて気にさせた


「そうするといいお」


言葉に出ていると気付いたのは、ブーンがそう返事をしてからだった



ブーンが言ったことは、完璧に的を射ていたと今でも思う
悪戯心が疼いて、後ろから驚かせた時に


(;'A゚)そ「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」パパパパパパパパパパ!!


逆に自分が驚かされるハメになった


(;'A`)「あばばばばばば」ヌギッ


街中で裸になろうとしたり


(;'A`)「すいません高岡さん…美しいものを見せてしまって…」


かと思えば、携帯が鳴った音で急に落ち着いたり
好感…と言うよりは、『驚愕』の印象が大きかった

710 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:13:13 ID:/R6SfiaY0
映画を観ると聞いて、『なんだ、案外普通だな』と思っていたら


('A`)「1952年公開、ジーン・ケリー主演監督作『雨に唄えば』だ」


60年も前の映画を観るだなんて言われた時は、度肝を抜かれた
デート…なんてもんじゃないけど、男女が二人だけで遊びに行く時に、そんな爺さん世代の映画観させられるなんて考えられないし


('A`)「映画なんて、今も昔も本質は変わらねえよ。大衆娯楽なんだ。いつの時代でも、観る人を楽しませるために産まれてきたんだからよ」

('A`)「それに、61年前の作品がこうして現代で上映されるってことは、それだけ愛されてる映画なんだよ」


でも、真剣な表情で熱く映画を語る姿を見て
こいつはこいつの方法で、私を楽しませようとしているんだと感じた


『雨に唄えば』は、目を放すことが出来なかった


上映が終わると、無意識の内に『すっげ…』と呟いていた
俺はまたもや、ドクオに度肝を抜かれたのだ


その日から、多少は緊張が解けたのか
ドクオも前よりかは普通に接してくれるようになった

711 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:14:23 ID:/R6SfiaY0
ドクオと仲良くなると、一緒にいることが多い木原や、いつの間にかブーン達と仲良くなっていた上条
素直さんに憧れていた後輩のヒートとも仲良くなった


ドクオは、次々と俺を楽しませてくれた


西部劇を紹介してくれた翌日に、サバゲー部の木戸と早撃ちの対決をして、見事な勝利を見せてくれたし
普段の日常でのブーンとのバカも、大いに笑わせてくれた

夏休みに入ると、阿部さんの引率で海に行った
だけど、せっかく海に来ているにも関わらず、男連中は筋トレを始めだしたのだ
その光景を見て、どうしてこいつらはここまで鍛えているのだろう、と思った
同時に、入学の時に感じたブーンの『志』を思い出した


ブーンとドクオが夕食を作ると聞いて、手伝いついでに聞く事にした
何故かブーンは、『ニダーに用がある』と言って台所から離れたけど

712 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:15:36 ID:/R6SfiaY0
『どうして体を鍛えているのか』という問いに対し、ドクオは


('A`)「『強くなりたい』、それしか答えらんねえ」


と、答えた
もう、充分に強いはずなのに、まだ強くなりたいと
『怒髪天』だった頃を思い出して、思わずこう返してしまった


『強くなっても、良い事なんて無い』と


楽しい日々で忘れていた、痛みとトラウマと公開が蘇ってきた
ドクオに、俺の大好きな友達に、俺のような想いを
俺のような『クズ』に、なって欲しくなかった


('A`)「…かもな。でも、俺はこれからもずっと鍛え続ける。『強くなるため』にな」


『どうして』、そう言いかけて、飲み込んだ
きっとドクオは答えてくれないと感じたからだ
当然だ。誰にだって、踏み込んで欲しくない領域があるんだから


『疲れた』と言って、手伝いもそこそこに台所を後にした


あの時のあいつは、どんな顔をしたのだろうか

713 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:16:58 ID:/R6SfiaY0
夏が終わって、秋が来て、学園祭が近づいて
あいつらはまた変な事に巻き込まれてた


('A`)「ゆるしてヒヤシンス」


ラグビー部が持ちかけてきた賭けに、俺達をBETしたらしい
まぁ、素直さんが悪い部分も多少あったらしいが
本当に大丈夫なのか?そう考えていた時


('A`)「そんな心配しなくてもいいさ。最悪、俺が奴らに掘られればいいんだから」


と、誤解されかねない発言をしやがった
でもこれは、勝負がどう転がろうとも俺達をラグビー部に指一本触れさせないあいつなりの決意表明だったのだろう
…だったと信じたい。なんせ、日ごろのブーンに対する態度が態度だから、ガチの可能性もあった


('A`)b「任せとけ」


おどおどした態度を取っていた男は、掛け値無しに頼りになる男になっていた

714 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:18:07 ID:/R6SfiaY0
何故かミスコンに参加するハメになってしまった時も、あいつらが助けてくれた
緊張で体が動かなくなって、言葉も出なかった
だけど


('A`)ノシ ( ^ω^)b ( 3∀3)つ-@-@


大勢の観客の中で、一番応援してくれたあいつらがいたから
その後のパフォーマンスまでなんとか繋げられた
結果は、散々だったけど

715 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:19:31 ID:/R6SfiaY0
翌日のボディコンは、今までの学校行事の中で一番盛り上がったイベントだろう
この学校の生徒は、教師も含めて、こういった勝負事が大好きなんだと思う


(;'A`)「お、俺は、お前の、お前に見てもらうために、ボディコンに参加した」


その舞台袖で、俺とドクオしか知らないやり取りがあった


(;'A`)「だから、勝負に勝つためでもあるけど、『お前が見て、楽しんでもらうために』俺は舞台に立つ…だから…」


ざわつく会場の中で、そこだけが
時間が止まっているように感じた


('A`)「俺を、ずっと見ていてくれ。それが力になる」


顔に血が昇って、まともにあいつを見れなかった
今まで受けたどんな告白よりも、真剣で重みがあった
いや、可笑しいよな。別になんてことは無い、『応援してくれ』って言っただけで

必死に体裁を取り繕い、握手の代わりに拳を付き合わせた
あまり多くの時間あいつに触れていると、またぶり返して来そうで


司会のアナウンスを理由に舞台袖から立ち去った後、自分の拳を見た
合わさった箇所に、あいつの熱を感じた
心臓が早太鼓のように、鼓動を刻んでいた
友達として付き合った時間は、ブーンよりずっとずっと短いのに

その日から、あいつのことも意識してしまうようになった

716 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:20:51 ID:/R6SfiaY0
それから、一週間ほど経って
阿部さんの意外な過去を、ドクオ達が解決した

音楽の余韻に浸りながら、人の過去について想いを馳せた

阿部さんにも、振り返りたくない過去があって、でもそれを今日乗り越えた
俺には到底真似出来ない、立派な行いだ


('A`)「なぁ、ハイン」


ふと、ドクオが立ち止まり


('A`)「お前は…」


真剣な顔で何かを言おうとして


(;'A`)「ハインッ!!」


突き飛ばされた
その瞬間

717 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:22:00 ID:/R6SfiaY0








从 ゚∀从「え?」







『黒い塊』が、俺の視界からあいつの姿を消し去った


それが『交通事故』だと理解するまで、永遠のような一瞬を用した

718 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:23:01 ID:/R6SfiaY0
そこからは、断片的な記憶しか残っていない


( ^ω^)「そりゃ、刑期を終えたからに決まってるじゃんwwwww」


地獄から湧いて出た悪魔の顔と


(#メA゚)


薄れ行く意識の中で見た、満身創痍で立ち上がるドクオの姿


そんで、えっと…







从メ∀从「」





あれ?ここは?


どこだろう?


誰か―――――――

719 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:25:28 ID:/R6SfiaY0



















.

720 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:27:19 ID:/R6SfiaY0
―――――
―――




ハイン救出作戦実行、四時間前
モララーからの連絡を受け、一同は校門前へ集まった


(; ∀ )「…」


呼び出した本人は青白い顔で、肩を抱いて蹲っていた
一緒に行動しているはずのアサピーの姿は見当たらなかった


<ヽ;`∀´>「モララー、一体何があったニダ?」

(; ∀ )「…アサピーが、アサピーがやられた……」

川 ゚ -゚)「詳しく話せ」


モララーが言うには、クールが指示したセンター街を調査している途中、目を放している隙にアサピーが消えた
その姿はすぐに見つかったが、複数人の男に囲まれていた
後を追おうしたが


(-@∀@)「…」


(;・∀・)「ッ!!」


彼は静かに首を横に振った
親友であり、聡明なモララーは、その意味を理解してしまった

721 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:28:48 ID:/R6SfiaY0
(; ∀ )「彼は…アサピーは、自分の犠牲で居場所を突き止めようとした…僕は、それを眺めていることしか、出来なかった…」

(; ∀ )「奴らはアサピーを裏路地に連れ込んで、数分後に出てきた…今すぐにでも駆けつけたかったけど、どこで奴らが見張ってるか分からなかった…だから、救急車の到着を待つことにした」

(; ∀ )「救急隊員に居場所を伝えて、そこでやっと彼の姿を確認できた…酷い、今のドクオくんのような、あまりに酷い姿だった…」


恐怖を押さえ込むように、髪の毛を鷲づかみにする


(; ∀ )「それでも、彼の意識はまだあった。僕に何かを、伝えようとしていた」


ポケットからスマホを取り出して、立ち上げるする
何度かのスワイプをして、『あるアプリ』を起動させた


(; ∀ )「きっと彼は、最初からこの作戦が有効だって分かってたんだと思う。でも、そんな方法、僕らが良しとする筈が無かった…だから黙ってた」


『相互GPSアプリ』
互いの位置情報を交換できる、携帯通信機ならではのサービス
誰にでも使える『追跡装置』だった


川;゚ -゚)「っ…あのバカは…」

ノハ;゚听)「アサピー…先輩…」

<ヽ`∀´>「…」

<ヽ`∀´>「立ち止まっている時間は無いニダ。場所が割れたなら、すぐにでも向かうべきニダ」

(; ∀ )「……」

<ヽ`∀´>「アサピーの仇を取りたいのならば、行動に移すニダ。モララー」

(; ∀ )「…ああ、ああ!!」

722 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:30:23 ID:/R6SfiaY0
川 ゚ -゚)「良し、では…」


「待て」


クールが指示を下そうとした瞬間、校舎方向から声がした
聞き覚えのある声だった


川 ゚ -゚)「…雁首揃えて何の用だ?」


川 ゚ -゚)「ラグビー部諸君?」



( ゚∀゚)「…」

ミ,,゚Д゚彡「…」


ドクオ達と激戦を交わした、『ジョック』
そのメンバーを始めとした、多くの部員達が集まっていた


( ゚∀゚)「喧嘩だろ?俺達も連れてけよ」

川 ゚ -゚)「……お前らは『クラブ生』だ。問題を起せば大会への出場権を失うぞ?」

(,,゚Д゚)「おーおー、村学の女番町が俺らの心配をしてくれてらぁ」

(・∀ ・)「やっべ、萌えるwwwww」

ミ,;-Д-彡「茶化すんじゃない。心配してくれているんだから」

(-_-)「…余計なお世話」

723 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:31:43 ID:/R6SfiaY0
( ゚∀゚)「確かに、大会も大事さ。俺らにはスターとして活躍する義務がある」

( ゚∀゚)「だが、それ以上によぉ…」



(#゚∀゚)「同じ学校の生徒を傷つけられて、黙って練習なんかしてられっか!!なぁお前ら!!」



『押忍!!』と、部員達が応える
全員が怒りの眼を輝かせ、力を漲らせていた


(,,゚Д゚)「やられたら、やり返す!!それが村学の流儀ってもんよ!!」

(・∀ ・)「それが憎きあんたらでも関係ねえ!!一人は皆の、皆は一人の為にってなぁ!!」

ミ,,゚Д゚彡「それに、欝田くんには『借り』がある。この機会に返させてはくれないだろうか?」

(-_-)「……」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「お前らも、同意見か?」


クールは、後ろを振り返った


( ´_ゝ`)「まぁ、そうだな」

(´<_` )「それ以前の問題だけどな」

(=゚ω゚)「…」


遅れて学校に到着した、サバゲー部員達も集結していた

724 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:33:29 ID:/R6SfiaY0
( ´_ゝ`)「ドクオも高岡さんも木原も、俺達の友達だ。友達の為になら退学すら恐れないのが『村学生』ってもんっすよ」

(´<_` )「ここまで働かせたんだ。最後まで付き合わせてくださいよ」

( ´_ゝ`)「いい事を言うな」

(´<_` )「兄者こそ」


( ´_ゝ`)「やっぱ」

(´<_` )「俺達」


d( ´_ゝ`)(´<_` )b「「流石だな!!」」


(=゚ω゚)「…別に俺は、合法的に人を撃っていいと思ったから」

( ´_ゝ`)「そんなこと言っちゃってキッドったら」

(´<_` )「あわよくば高岡さんを救い出そうとしてる王子様のク・セ・に♥」

(=;゚ω゚)「べっべっべえべえっべえつにいそんなんじゃじゃじゃじゃじゃじゃ」





川 ゚ -゚)(…『漢であれ』、か)


クールは、遠くに立つ創設者の像を見た
祖父である『荒巻スカルチノフ』の父…つまりは曽祖父にあたる彼の、最後に遺した言葉だった


川 ゚ -゚)(確かに、受け継がれているぞクソジジイ)


川 ゚ー゚)(アンタが創ったバカみたいな学校で、バカ丸出しの生徒共にな)

725 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:34:38 ID:/R6SfiaY0
川 ゚ -゚)「良し!!貴様らの覚悟、伝わった!!これより、高岡ハインの奪還と、首謀者の撃破に向かう!!」

川 ゚ -゚)「邪魔をする奴は残らずぶちのめせ!!我らの友が味わった苦痛、屈辱を、何倍にもして返してやれ!!」




川#゚ -゚)「村学生徒の意地と、誇りと、心意気!!クズ共にしかと知らしめてやれッ!!」




雄たけびが、松千代の街に響き渡った
街中が、その若獅子達の怒りを耳にした

726 名前:名も無きAAのようです :2013/11/29(金) 03:35:56 ID:/R6SfiaY0
川 ゚ -゚)「よし、先ずは情報を整理する!!その後、サバゲー部は夜行装備で索敵に向かえ!!」

川 ゚ -゚)「モララー、地図を引っ張り出して場所の説明をしろ!!ヒート、手伝え!!」

( ・∀・)「了解!!」

ノパ听)「はい!!」

川 ゚ -゚)「ニダー」

<ヽ`∀´>「はい」

川 ゚ー゚)「飯の準備だ。腹が減っては戦が出来ないからな」

<ヽ`∀´>「…御意に」



川 ゚ -゚)「さて…」



クールは携帯を取り出し、電話をした


川 ゚ -゚)白「……」


一つは、この戦いの『要』になるであろう漢達に


そして、もう一つは―――――

750 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 03:54:29 ID:Y2FDzKcU0
―――――
―――



ショボンの店、『サンフランシスコ』は
定休日で無いのにも関わらず、『準備中』の札をぶら下げていた


N| "゚'` {"゚`lリ「…」

(´-ω-`)「…その辺にしときな、カズ」



:£* ゞ ):「ハァン…テクニシャン…?」ビクンビクン



村学の女子生徒を襲おうとしていたチンピラを捕まえ、性的に尋問
ハインの居場所を聞き出し、ケツに射精た


(*`・ω・´)「久々に燃えたぜ…さすが村学の『ビッグ♂セブン』の筆頭。ファックに気合が入ってやがる」

N| "゚'` {"゚`lリ「よせよ…俺はそんなつもりでホモ・セックスしたんじゃあないぜ…」

(;´ー`)「嘘吐け…なんかもう慣れた自分が嫌だヨ」

(*`^ω^´)「おっ、じゃあヤるかい?」ビンビン!!

( ´ー`)「やんネーヨ死ね」


阿部さんは椅子に掛けていた青いツナギを着て、扉へ向かった


(´-ω-`)「待ちな、カズ」

N| "゚'` {"゚`lリ「…」

(´・ω・`)「俺もイク♂」

N| "゚'` {"゚`lリ「…お前には関係な(#´゚ω゚`)「大有りに決まってんだろオオオオオオオオオオオ!!!!


ショボンの右ストレートが、阿部さんの顔を捉えた

751 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 03:55:45 ID:Y2FDzKcU0
N|;" '` {" `lリ「グッ…」


よろけた阿部さんの胸倉を掴み、無理やり支える


(#´゚ω゚`)「頭に血が昇って忘れてんのか知らねえけどなァ!!あの子はうちの看板娘なんだよ!!ガキのいねえ俺にとっちゃ実の娘くらい可愛い可愛いバイトなんだよ!!」

(#´゚ω゚`)「そんな娘を拉致られて、俺がキレねえはずがねえだろ!!教師だって生徒が大事なんだろうがな!!経営者だってそれに負けねえくらい従業員が大事なんだ!!」

N| " '` {" `lリ「…」

(`・ω・´)「おう、カズよ。お前はまた俺達を置き去りにして一人で突っ走るつもりか?」


シャキンは、胸倉を掴むショボンの手に自分の手を重ねた


(`・ω・´)「一人の痛みは皆の痛み、一人の怒りも皆の怒り…あの学校で俺達が築き上げたモンを、忘れたわけじゃあねえんだろ?」

N| " '` {" `lリ「…」

( ´ー`)「今度こそ、俺達は四人でやりきるんだヨ」


シラネーヨもまた、その上に手を重ねた


( ´ー`)「『エクスタシーズ』は、四人で一つなんだからヨ」


N| " '` {" `lリ「…」


N| " '` {" `lリ「スマン…俺はまた、同じ過ちを繰り返すところだった」


N| "゚'` {"゚`lリ「力を貸してくれ、お前ら」

752 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 03:56:38 ID:Y2FDzKcU0
(´・ω・`)「いいや、違うぜカズ。『貸すんじゃない』」

(´^ω^`)「お前に『ヤる』んだ!!」

N| "゚'` {"゚`lリ「!!」


N| "^'` {"^`lリ「嬉しいこと…言ってくれるじゃないの!!」


(`・ω・´)「ようし!!中年魂見せ付けるぞ!!悪さするガキは全員残らず掘っちまえ!!」

(;´ー`)「出来れば別の方々で頼むヨ」


四人が意気揚々と出て行こうとした矢先


N| "゚'` {"゚`lリ<セッセッオバザフォーン♪


阿部さんの携帯が鳴った


(´^ω^`)(いいセンスの着信音だ…)

(`^ω^´)(ケツが疼くぜ…)

( ´ー`)(そこはエルヴィスだろ常考…)

753 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 03:58:05 ID:Y2FDzKcU0
N| "゚'` {"゚`lリ(素直…)


校長室でのやりとりを思い出す
最早、幻滅されたものだと考えていた


N| "゚'` {"゚`lリ白「…もしもし」


『よう、性病予備軍』


N| "゚'` {"゚`lリ白「何の用だ…?」


『いや何、これから村学の生徒達で「遠足」に向かうんだが…引率の教師が必要でね』


N|;"゚'` {"゚`lリ白「遠足……!!素直お前!!まさか!!」


『で?どうするんだ?』


N|;"゚'` {"゚`lリ白「バカ!!お前らはジッとしてろ!!俺達がなんとかするから!!」


『あっあー♪そういうのは求めてないし、今更止めても遅いんだよなぁ…」


『なぁ!!お前らァ!!』


N|;"゚'` {"゚`lリ白「…?」


スピーカーを通して


『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』


N|;" '` {" `lリ白そ『ッ!?』


大勢が応える叫びが店内に響き渡った

754 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 03:59:38 ID:Y2FDzKcU0
『…これはいくら阿部先生と言えども、止めるのは難しいんじゃあないか?』


N|;" '` {" `lリ白「バ……鼓膜が破けると思ったぜ…」


『それは何よりだ。わかったらそこのホモホモしいお友達と一緒に学校まで来るんだな』


( ´ー`)「誰 が ホ モ だ ヨ」

(´・ω・`)「お見通しか…たまげたなあ」

(`^ω^´)「ガハハ!!あの学校はなんっにも変わってねえんだな!!」

N|;"゚'` {"゚`lリ白「……ああクソッ、難儀な生徒を持ったもんだぜ」


『お互い様だ』


N| "゚'` {"゚`lリ白「…わかった、お前らの面倒、しかと請け負った」


『良し、では一人を松千代病院まで向かわせろ』


N| "゚'` {"゚`lリ白「病院…まさか!!」


『ああ』




『この事件に一番キレてる奴が、目を醒ました』


『あいつらを加えて、全員でハインを救出する!!』

755 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:00:31 ID:Y2FDzKcU0
―――――
―――


病院では

(ナ#'A`)「うおおおおおおおおおおおおおモグモグモグモグあああああああああああああああああ!!!!!!」

(#^ω^)「ハフハフハフハアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!オオオオオオオオオオ!!!!」


ドクオとブーンは全力で白米とみそ汁をかっ込んでいた
『病院の炊事室』で


(゚、゚;トソン「あ、あなた達何やってんですかーーーーーーーーーーーーー!!!!」

ζ(゚ー゚;ζ「誰かーーーーーーーーー!!!!男の人呼んでーーーーーーーー!!!!!」

(ナ#'A゚)「るせーーーーーーーーーーーー!!!!据膳食わねえ奴は全員タマナシ女の子だーーーーーーーーー!!!!!!」

(#^ω^)「もっと固めに炊いたご飯盛ってこいやーーーーーーーーーーーー!!!!みそ汁に塩分加えろーーーーーーー!!!!」

(゚、゚;トソン「えええええええええ!?病院食でそんな無茶は通りませんよーーーーーーーー!!!!」

(ナ#'A゚)「院長持って来いやーーーーーーーーーーーー!!!!」

(;´∀`)「君達何をやっているモナーーーーーーーーーーー!!!!???」

ζ(゚ー゚;ζ「あ、今来ました!!院長です!!」

(;´∀`)「き、君は!!交通事故でついさっきまで意識不明だった欝田くんモナ!!」

(ナ#'A゚)「俺が欝田ドクオじゃーーーーーーーーーーーー!!!!!」

(#^ω^)「モグモグおーーーーーーーーーーーー!!!!モグモグおーーーーーーーーーーー!!!!」

(;´∀`)「食べるのをやめるモナーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

(ナ#'A゚)「るせーーーーーーーーーーーー!!!!据膳食わねえ奴は全員タマナシ女の子だーーーーーーーーー!!!!!!」

(#^ω^)「もっと固めに炊いたご飯盛ってこいやーーーーーーーーーーーー!!!!みそ汁に塩分加えろーーーーーーー!!!!」

(゚、゚;トソン「こ、これじゃあ埒があかないわーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

ζ(゚ー゚;ζ「誰か別の男の人呼んでーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

756 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:01:56 ID:Y2FDzKcU0
(;´ー`)「……あの」

(゚、゚;トソン「ああーーーーーーーーー!!!知らない男の人だわーーーーーー!!!」

ζ(゚ー゚;ζ「この際知らない男の人でもいいからあいつらを止めてーーーーーーーー!!!!」

(;´ー`)「うるさっ…おい、そこのバカ二人、迎えに来たヨ」


(ナ'A`) ( ^ω^) ピタァ…


(;´∀`)「た、助かった…さぁ、欝田くんは病室に戻る…」

(;´∀`)そ「『迎えに』!?」

(ナ'A`)「お手数かけてすいません、シラネーヨさん」

( ^ω^)「待ちわびたお」

(;´∀`)「待つモナ!!欝田くん!!」

(ナ#'A゚)「待たぬーーーーーーーーーーーーー!!!!」パァン!!

(;´∀`)そ「ヒィ!!何か鳴った!!でも、ここで引くわけには行かない!!」

(;´∀`)「欝田くん!!君の体の怪我は治ったかに見える!!だけど、内臓や脳はまだ完全に回復しているわけじゃない!!事実君は、ついさっきまで目覚めなかった!!」


(ナ'A`)「…」


(;´∀`)「僕は医者として、君をこの病院から出すわけにはいかない!!何をしでかすかは知らないが、今度またあんな事故や怪我に遭ったら、君の命は失われてしまうかもしれない!!」

(;´∀`)「もっと自分を、命を大切にするモナ!!」


(ナ'A`)「…院長先生」

757 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:03:08 ID:Y2FDzKcU0
(ナ'A`)「あんた、自分の命より大切なものって、あるか?」

(;´∀`)「ああ、あるモナ!!家族や、ここで働く人々、それに、ここに訪れる患者さん達!!」

(;´∀`)「誰一人だって死なせるわけにはいかない、悲しませるわけにはいかない人たちモナ!!」

(ナ'A`)「…」

(;´∀`)「君が死んだら、大勢悲しむ人達がいる筈モナ!!だから、行かせるわけにはいかない!!」

(ナ'A`)「…俺にも、あるんですよ先生」

(;´∀`)「!!」

(ナ'A`)「自分の命より、大切なもの」


(ナ'A`)「今ここで俺が止まれば、傷は癒えても魂が死ぬ。積み上げてきたものが、消える」

(ナ'A`)「あんたにとっちゃ酷な話だが、俺は今日死んでも、『あいつが無事に帰れるなら』一向に構わない」

(ナ'A`)「誇りを持って死ねたなら、何の悔いも無い」


(;´∀`)「…」

(ナ'A`)「お世話に、なりました先生」

( ^ω^)「お騒がせしてすいませんでしたお」

758 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:04:34 ID:Y2FDzKcU0







(゚、゚;トソン「い、いいんですか先生!?あの子達行かせちゃって!!」

(;´∀`)「…あの手のバカには、何を言っても無駄モナ」

ζ(゚ー゚;ζ「そんな…」

(;´∀`)「全く、昔を思い出してしまったモナ…荒巻のバカや、教え子の無茶…思えば、ボクが手を煩わせてきた患者はああいう手合いばかりモナ…」

ζ(゚ー゚;ζ「どうするんですか?」

(;´∀`)「どうもこうも無いモナ。救急患者に備えるモナ」

(゚、゚;トソン「そ、それは当然ですけど、どうして?」

(;´∀`)「…彼らが、命あって運ばれてくることを祈ろう…」

759 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:05:52 ID:Y2FDzKcU0
ハイン救出作戦まで、一時間を切った
ドクオとブーンを乗せた車が、夜道を走る


(;´ー`)「全く、お世話になった病院で騒ぎ起してんじゃネーヨ」

(ナ'A`)「ムシャムシャしてやった。まだ物足りない」

( ^ω^)「腹八分目って所かお」

( ´ー`)「そんなら、そこの袋の中に黒髪のねーちゃんがこさえたお握りが入ってるヨ」

(ナ'A`)「姉御が?明日は九一式徹甲弾でも降ってくるんじゃね?」

( ^ω^)「終末の始まりやんけ…」

(ナ'A`)「あ、シュウマツっていうすげえ抜けるNTR小s(;´ー`)「緊張感ネーヨお前ら」

(#^ω^)「シリアスが続いた分を回収しなきゃなんねえんだお!!!!!」

(;´ー`)「知らねーヨ何キレてんのお前!?」

(ナ'A`)「で、姉御からはなんて?」


お握りにかじりつき、本題を促す
程よい塩気と梅干の酸味が、更に食欲を増した


( ´ー`)「今からハインが居るであろう敵の本拠地の数キロ前の地点に向かう」

(ナ'A`)「直接殴りこみじゃねーのか?」

( ´ー`)「全員まとめて奇襲を仕掛けるんだとヨ…女子高生の発想じゃネーヨマジで…」

( ^ω^)「姉御をそこらのJKと一緒にしたらそこらのJKに失礼だお」

(;´ー`)「お前ら黒髪ちゃん嫌いなの?」

760 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:06:43 ID:Y2FDzKcU0
(ナ'A`)「…この方角は、VIP市に向かってんのか?」


道路標識を見上げて、ドクオが問う
松千代市の隣に面するこの街は、物騒な事件の多さから『ジェットコースター・シティ』と呼ばれていた


( ´ー`)「その通り、お前らは『バブル景気』って知ってるか?」

( ^ω^)「この歳でバブル知らないとか小学校からやり直したほうがいいレベル」

( ´ー`)「そん時の都市開発で、VIP市がポンポンビル建ててな…で、建設中に崩壊して、工事は中断。今の今まで中途半端に廃ビルが残ってる」

( ´ー`)「悪ガキどもにはうってつけの集会場所になったってわけヨ」

(ナ'A`)「マジこいなら金曜集会が開かれてんな…」

( ´ー`)「で、そこに集まってる悪ガキ共の規模だが…」

( ´ー`)「どうやら三百人を越えてるらしい」

( ^ω^)「ちょwwwwwwwwww警察なんで動かないしwwwwwwwww」

( ´ー`)「VIP市は頻繁に怪事件が起こってるからな。ガキの遊び場に手ェ回すほど暇じゃネーヨ」

(ナ'A`)「で、こっちの戦力は?」

( ´ー`)「ラグビー部が五十ちょい、サバゲー部が十人ちょい、ガチホモが十人、お前らの友達四人、そしてお前ら二人」

(ナ'A`)「…ん?」

( ^ω^)「ラグビー部とサバゲー部も気になるけど、ガチホモ十人ってどういうことだお」

(;´ー`)「いや…スマン…俺のダチが、仲間を引き連れて…」

(ナ;'A`)「阿部さんと…ショボンさん兄弟か…」

( ^ω^)「また阿部さんのテクで昇天するオスが増えるのか…ケツが疼くな!!」

761 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:07:45 ID:Y2FDzKcU0
(ナ'A`)「で、ラグビー部とサバゲー部もどうして頭数に加えられてんだ?それと、四人?誰か抜けたのか?」

( ´ー`)「一気に説明すると、部活連中も喧嘩してーつって参加。お前らのダチは一人病院送りにされた」

(;^ω^)「な…誰だお!?」

( ´ー`)「メガネだヨ。あいつの犠牲で居場所が知れたらしい」

(ナ'A`)「アサピー…漢じゃねえか…」

( ^ω^)「また一つ、戦う理由が増えたな…」

( ´ー`)「一方、俺を除くエクスタシーズは悪ガキ一人を性的な尋問して聞きだした…」

(ナ'A`)「阿部さん……」

( ^ω^)「ペロッ…この感じ…間違いない!!俺達の尻assが帰ってきた!!!!」

( ´ー`)「数では圧倒的に負けているが、お前らを見てると負ける気がしネーヨ…」

( ´ー`)「ハインを頼む、必ず助けてくれ」

(ナ'A`)「たりめーだ」

( ^ω^)「任せとけお」


車は、人気の無い場所で止まった

762 名前:名も無きAAのようです :2013/11/30(土) 04:08:40 ID:Y2FDzKcU0
( ´ー`)「着いたぞ、ここからが本番だ」

(ナ'A`)「あざっす、ネーヨさん」

( ^ω^)「ネーヨさんはどうするんだお?」

( ´ー`)「俺も、俺なりの戦い方があるんだヨ。元記者なりの、戦い方がヨ」


助手席に乗せられている、カメラバッグをポンと叩いた


(ナ'A`)「…そんじゃ、ラグビー部とサバゲー部と、ガチホモとイカレ野郎どもと俺ら、それに記者追加だ」

( ^ω^)「心強いですお!!」

( ´ー`)「…ハッ、バカヤロー共が」

( ´ー`)ゝ「じゃあな!!お互い、良い仕事しヨーぜ!!」

(ナ'A`)ゝ( ^ω^)ゝ「「ウッス!!」」


敬礼を交わし、車は走り去った


(ナ'A`)「…で、俺らはここでどうしろと?」

( ^ω^)「さぁ…?」


暗い道路に置き去りにされた二人であった

776 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:06:39 ID:MX5pJIvY0
( ^ω^)<インザネイビー♪




マナー解除したブーンの携帯がタイミングよく鳴る
クールからの着信だった


(ナ'A`)「ケツにクる着信音だぜ…流石だな」

( ^ω^)「よせやい…お?」


FaceTimeでの着信だった
内カメに二人顔を寄せ、通話アイコンを押した


(ナ'A`)^ω^)「もしもしお!!もしもし!!」


『川 ゚ -゚)「うわっ、キッモ」』


(ナ'A`)^ω^)「ご挨拶じゃねえか!!近くて何が悪いお!!」


『川 ゚ -゚)「二人いっぺんに喋るな、聞き取りにくい」』


(ナ'A`)^ω^)「つーかここ何もnどうせいっつうんだお」※いっぺんに喋ってます


『川 ゚ -゚)「その位置から真っ直ぐ進め。3キロ先に件のビルがある」』


(ナ'A`)^ω^)「随分遠いんdお前らどこいるんだ」※


『川 ゚ー゚)「何、タイミングを計っているのさ」』


(ナ'A`)^ω^)「なんのd俺らはどうすればいいんだお」※


『川 ゚ -゚)「私からお前らに指示することは何もない」』


『川 ゚ -゚)「好きに、暴れるんだな」』

777 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:08:14 ID:MX5pJIvY0
(ナ'A`)^ω^)「「言われるまでもねえ!!!!」」


『川 ゚ー゚)「…打ち上げに『サンフランシスコ』の満干全席を予約した。もちろん、阿部のおごりでな」』


『川 ゚ー゚)「それでは、また後で会おう」』


(ナ'A`)^ω^)「「おうよ!!」」


( ^ω^)「さぁ、盛 り 上 が っ て ま い り ま し た」

(ナ'A`)「ケツが鳴るぜ…」パァン!!パァン!!



道の先は、心許ない外灯がポツポツと立っているだけ
その周りは、建築予定地だった更地が広がっていた


( ^ω^)「…」

(ナ'A`)「…」


耳を澄ませば、微かなリズム感のある重低音が聞こえる
この先で、大音量で音楽を流しているのがわかった


( ^ω^)「行くかお」

(ナ'A`)「おう」

778 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:10:18 ID:MX5pJIvY0
暗い夜道を、二人が歩く
病院着のまま飛び出したドクオの、スリッパの音がペタペタと響いた


(ナ'A`)「…なあ」

( ^ω^)「なんだお」

(ナ'A`)「夢を、見てたんだよ」

( ^ω^)「…」

(ナ'A`)「それが何の夢かは、忘れちまったけどな…ただ、それを見たとき『起きないと』って思ったんだ」

( ^ω^)「…」

(ナ'A`)「でも、俺の意思だけじゃ起きれなくて、誰かの手引きが必要だった」

( ^ω^)「…」

(ナ'A`)「……お前が、俺を目覚めさせてくれたんだ。これから何が起こるか分からない。だから今、言わせてくれ」



(ナ'A`)「『ありがとう、お前は俺の最高の相棒だ』」



( ^ω^)「…礼なんていらねえお。それが当たり前なんだから」

( ^ω^)「俺らは二人で一つ、二人で最強、二人でヒーロー」

( ^ω^)「一人が折れたら、一人が直す。その繰り返しで俺達は強くなった。だから…」



( ^ω^)「俺達が揃っている限り、西川の勝ち目は万に一つもない!!」

779 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:11:37 ID:MX5pJIvY0
(ナ'A`)「…」

( ^ω^)「…」






(ナ'∀`)b「いいケツだ!!」

( ^ω^)b「お前もな!!」


(ナ'A`)「さて、長いことお休みしていた分を取り戻そうぜ」

( ^ω^)「おうよ相棒!!」


ドクオは、歩きながら羽織っていた病院着を脱ぎ、スリッパを遠くに蹴り投げた
ブーンも、荷物を道路に置き、制服を一つずつ脱いでいく


肌寒いと感じる秋の空気に、二人の体から戦意の蒸気が立ち込めた


(ナ'A`)「……手始めに、アップといこうぜ」

( ^ω^)「上等だ。しっかり着いて来いよ」

(ナ'A`)「ほざけ」


歩みは徐々に早くなり、駆け足となり、疾走となった
蒸気汽車のようなパワーを放ちながら、二人のヒーローは駆け抜けて行った

780 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:13:23 ID:MX5pJIvY0
―――――
―――



チンピラや暴走族、ヤクザの下っ端、果ては薬の中毒者まで
掃いて溜めたように、街のDQN共が一つの場所に集まっていた

吹かしたバイクの爆音が響き、排気ガスと煙草の煙が夜空に立ち上る

塗装が行われていないビルには、電気が通っていた
電力は、どこからか盗んできたガス式の発電機で賄っている

恐らく、会社が入居する予定だったのだろう
応接室か社長室か、どちらかになるはずだった個室は


( ^ω^)「…」


悪党共からも恐れられる、アウトローの居住地となっていた


( ^ω^)「それで?」

(’e’;)「あ、はい!!今日は村人学園の生徒と思われるメガネを一人ボコりました!!}

( ^ω^)「『思われる』?」

(=;゚д゚)「い、いえ!!制服を着ていたので間違いありません!!」


街中や学校を我が物顔でのし歩いているであろうチンピラ共が、唯一恐れる人物
『西川ホライズン』。この事件の首謀者が、革張りのソファーに深く座っていた


( ^ω^)「ふーん…じゃあそのまま続けて。俺が良いと言うまで」

(’e’;)「わ、わかりました!!」

(=;゚д゚)「あ、あの!!」

( ^ω^)「…ん?」

781 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:15:01 ID:MX5pJIvY0
(=;゚д゚)「に、西川さんがしようとしてることって何っすか?」

(’e’;)「バ、バカ!!」


予想外の質問に、相方は焦燥する
まるで、いつ爆発するか分からない爆弾を前にしているような反応だった


(=;゚д゚)「だって、気になるじゃねえか…数々の伝説を作った西川さんの、新しい偉業がさぁ…」

( ^ω^)「…」


『伝説』と言えども、褒められたことではない
実際、『ヤクザの事務所を傘下に置いた』だとか、『警察の弱みを握り支配した』だとか、眉唾物ばかりだ
その中でも確実なのが『怒髪天を圧倒した』こと
近隣の不良共を抑え付けていた彼女を、複数人でリンチし、その存在を抹消したのがこの男なのだ


( ^ω^)「…別に、大したことじゃねえけどな」

( ^ω^)「あえて言うなら、『コレの為』…かな」


そう言って、小指を立てた


(=*゚д゚)「おお!!その為の下ごしらえってわけですか!?」

( ^ω^)「ま、そんなとこだ」


喉の奥でクックッと笑う
そんなクールな立ち振る舞いに、二人のチンピラは思わずドキリとした

ここに集まっているのは、そんな連中ばかり
西川という『悪のカリスマ』に惹かれ、集った者共なのだ
親兄弟や教師の言葉より、この男の命令に従う
それこそが、自らの使命だと妄信していた

782 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:16:48 ID:MX5pJIvY0
( ^ω^)「今日の俺は機嫌がいいから、特別にお前らに…」


と、何かを見せようとしたその時


(’e’;)<セーノッデモソーンナーンジャダーメ♪


一人のチンピラから、アニメソングが流れた


(=;゚д゚)「おまっ…なんだその着信音」

(’e’;)「いやっ!!知らねえ!!いつの間にこんな…」


携帯を取り出すと、男の表情が青ざめた


(’e’;)「俺の携帯じゃ、無い…?」


型は同じ機種だったが、今の今まで立ち上げなかったため、気付くのが遅れた
着信を知らせる画面には、『素直先輩』と記されていた


(’e’;)「あっ、えっ?どうして?」

( ^ω^)「…出てみたらどうだ?」

(’e’;)「は、はい…」


通話アイコンを押し、耳に近づける


『…』


(’e’;)「オ、オイコルァ!!てめえ俺の携帯どこやった!!」

783 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:19:03 ID:MX5pJIvY0
『貴様らのボスに代われ』

(’e’;)「ハァ!?」

開口一番、思わず素っ頓狂な声を上げた
電話の主は女性のものだったが、有無をも言わせない圧力があった


( ^ω^)「…おい」

(’e’;)「あ、はい!!」


西川に携帯を手渡す
側面を指で摘み上げながら、スピーカーを耳に近づけた


( ^ω^)「…」


『西川、ホライズンか?』


西川の肩眉が僅かに上がる
知らない携帯からの、知らない電話主
だが、向こうはこちらを知っている


( ^ω^)「だったら、なんだ?」


『……始めまして、私は素直クール』


『村人学園を代表して、貴様に一つ忠告をしてやろう』


( ^ω^)「ほう?」


『「死にもの狂いで逃げ回れ」。そうでないと、お前は明日の朝日を拝めなくなるだろう』


( ^ω^)「…」


西川の胸中がぞわりと蠢く
恐怖ではない。むしろ、悦びに近い感情が
こんなに正々堂々と宣戦布告を受け取るのは久しかった

784 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:20:33 ID:MX5pJIvY0
( ^ω^)「…で、素直クールさんよ。あんた、何をしでかすつもりだ?こっちには数百人のクズ共が集まってる」

( ^ω^)「まさか、あんた一人でなんとかするとか言わないよなぁ?」


電話の主が、クスリと笑った


『もちろん。何とかするのは私じゃない…そこから外が見えるなら、覘いてみたらどうだ?』


ソファーから立ち上がり、薄汚れた窓ガラスを開けた




(ナ A ) (  ω )




( ^ω^)「…」


外は酷くざわついていた
それも当然だろう。『パンツ一丁の男が二人、腕を組み仁王立ち』していたら、誰だって戸惑う

785 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:21:22 ID:MX5pJIvY0
(ナ A )「ここにいるッ!!全員に告ぐッ!!」


(  ω )「高岡ハインを差し出し、全員で土下座すればッ!!半殺しで勘弁してやるッ!!」


明らかな挑発に、気の短い悪党共は激昂した


「てめえら!!俺達を誰だと思ってやがる!!」


(ナ A )「てめえらこそッ!!俺達を誰だと思っているッ!!」


(  ω )「村人学園二年M組ッ!!阿部高和の生徒ッ!!」





(ナ'A`)「欝田ドクオ!!」


( ^ω^)「内藤ホライゾン!!」




(ナ'A`)「このクソ溜から、高岡ハインを救いに馳せ参上したッ!!」


( ^ω^)「文句がある奴はかかって来いッ!!」

786 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:22:28 ID:MX5pJIvY0





(ナ#'A゚)「全員ッ!!」


(#^ω゚ )「まとめてッ!!」




(ナ#'A゚)(#^ω゚ )「「ぶちのめすッ!!!!!!」」




.

787 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:23:59 ID:MX5pJIvY0
その場にいた、悪党全員が一瞬だけ怯んだ
だが、数の優位を思い出し、嘲笑が湧き上がった


「お前ら二人に何が出来るってんだ!?」


一人のチンピラが問うた


二人は、こう応えた



(ナ#'A`)(#^ω^)「「二人だけじゃあ、ねえッ!!!!!」」







高所にいた西川は、その意味を理解した
二人の後ろで、黒いものがはためいていた
それが、取り払われると


(#゚∀゚)「村人学園決死隊ッ!!行くぞオラァッッッ!!!!!」


闇に隠れていた数十名の男達が、一斉に飛び出した

788 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:26:14 ID:MX5pJIvY0
( ^ω^)「…」


階下で始まった乱戦を見て、西川の口角が僅かに上がる
『面白い』、そう思った


『ゲームスタートだ。精々足掻け、クソ野郎』


そういい残し、電話は切れた


( ^ω^)「やってくれるじゃねえか…気に入ったぜ」


(’e’;)「あ、あの…西川さん?一体何が…」

( ^ω^)「ああ、お前に褒美をやらなきゃな」


携帯を『別のもの』と取り替えられたチンピラの頭を掴み、むき出しのコンクリート壁に叩きつける
壁と頭から鈍い音を響かせ、派手に血を噴出し倒れた


( ^ω^)「久々に味わうスリルの褒美をよ…」

(=;゚д゚)「ヒィッ!!」

( ^ω^)「おい、そこで何してる?さっさと下に行ってあいつらぶち殺して来い」

(=;゚д゚)「はっ…はい!!」


逃げるように飛び出した男を見送り、西川は再びソファーに座った
そして片腕を背もたれに回し、あるものを掴む

789 名前:名も無きAAのようです :2013/12/03(火) 04:27:11 ID:MX5pJIvY0
( ^ω^)「随分と、お友達が多いじゃねえか。ハインちゃんよ」


从メ∀从


痣と血で汚れ、鎖に繋がれているハインだった


( ^ω^)「あれを全部壊したら、お前の心もブッ壊れるだろうなぁ…そうしたら」


( ^ω^)「もっと可愛がってやるよ…」


从メ∀从


ハインは、何も応えなかった
判断も、記憶も、何もかもが曖昧だった

出来ることは一つだけ

この数日間、西川に躾けられて覚えた



『主の手を舐める』行為だけだった



( ^ω^)「いい子だ…」


自分の手に触れる舌の感触を楽しみながら、西川は待った
ここに辿りつくであろう、『最もハインを想っている人物』を

838 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:29:04 ID:BDmf./TQ0
(ナ#'A゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!このッッッ……」

(ナ#'A゚)「うんこ漏らし共がああああああああああああああああ!!!!!」

(#^ω゚ )「オラアアアアアアアアアア!!!僕の体当たりを受けてみろっピーーーーーーーーー!!!!」


二人を筆頭に、村人学園対DQN群の激突が始まった
数ではあちらが圧倒しているが、体躯では村人学園の生徒達が上回っている
それに加え、奇襲による混乱を与えたことで、有利に戦いを進めていた


(#゚∀゚)「おいそこのバカ二人!!てめえらはさっさと御山の大将を目指しな!!」


鉄パイプを持って襲い掛かってきた不良の顔面を殴りながら、長岡が怒鳴りつける
奴らも切り替えが出来てきたようで、徐々に反撃が始まっていた


(#゚∀゚)「高岡さえ救えりゃこんなとことっととおさらば出来るんだからよ!!怪我人増える前に早くしな!!」

(ナ#'A゚)「俺に命令するなーーーーーーーーーーーー!!!!!ムカデ人間にされてえかーーーーーーーー!!!!」

(;゚∀゚)そ「ええええええええええええええええええ!!??それが助太刀してやってる奴に掛ける言葉ーーーーーーーー!?」

(#^ω゚ )「志村ーーーーーーーーー!!!!後ろーーーーーーーーーーーー!!!!」


(^o^)「死ねえええええええ!!!」

(;゚∀゚)そ「しまっ…」


気を取られている内に背後から忍び寄ってきた不良が金属バッドを振り上げていた
避ける余裕は無いと判断した長岡は、咄嗟に両腕で頭を庇う

839 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:30:51 ID:BDmf./TQ0
その時であった


(^o^)そ「あでっ!?」


不良の動きが一瞬止まった
その隙を、長岡は見逃さない


(#゚∀゚)「オラッ!!」

(^o^)「ぐええええええええ!!!」


ラグビーで鍛えられた脚力を込めて、腹を蹴り飛ばす
不良は勢い良く吹っ飛び、悶絶した


(=゚ω゚)「ダメですょぅ先輩、油断したら」

(#゚∀゚)「今のはどう見ても欝田の責任だろうがアアアアアアアアアアア!!!!」


G&G製電動ライフル『FNC』を構えた木戸が、尚も不良たちに的確な射撃をしながら近づいた
良く見ると、暗闇に乗じてサバゲー部員が援護射撃を行っている
玩具の銃だと侮ってはいけない、当たれば思わず怯んでしまうほど痛いし、当たり所によっては流血する場合もある
敵にとっては充分に脅威となりえる援護なのだ


(=゚ω゚)「素直先輩からの伝言です。『サバゲー部員二人とラグビー部三人を連れてビルに上がれ。奴はそこにいる』と」

(ナ#'A`)「おお!!了解と伝えとけ!!」

(=゚ω゚)「それと、これはサバゲー部から」


木戸が手渡したのは、ショルダーホルスターに入ったSIG P226
ドクオの愛銃だった


(=゚ω゚)「必ず、高岡さんを救ってくださいょぅ」

(#゚∀゚)「無様に負けるようなことがあったら俺がぶっ殺すからな!!」

(ナ#'A`)「任せとけ!!」

840 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:31:55 ID:BDmf./TQ0
(ナ#'A`)「行くぜブウウウウウウウウン!!!」

(#^ω^)「おうよドクオオオオオオオオオオオ!!!!」


目指すは、西川がいるビル
並み居る敵は、二人にとって邪魔にもならない
変態プレイでなぎ倒しながら、邁進した


( ´_ゝ`)「おいおい、援護するものの立つ瀬が無いぞ」

(´<_` )「全くだな兄者」


それに、サバゲー部二人と


ミ,;゚Д゚彡「もうあいつらだけでいいんじゃないかな…?」

(・∀ ・;)「勢いヤバイっすね…キレたら恐い奴らだってわかってたけど」

(-_-)「…」


ラグビー部三人が続いた


二人は気付かなかったが、敵戦力が想定されていた数より減っていた
右と左、その両方から30ずつの不良が、姿を消していたのだ


( ・∀・)「…」


右と


ノパ听)「…」


左の


囮によって

842 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:33:19 ID:BDmf./TQ0
( ・∀・)「おいそこの能無しのフニャチン野郎共!!逃げるならこっちから回れるぞ!!」


右往左往していた不良共の前に、村人学園の制服を着たモララーが挑発する
一瞬、唖然としていたが不良はアホなので全員で囲って殺せばいいと


(^o^)「うおおおおおおおおおおおお!!!!殺せえええええええええええ!!」


一斉に追いかけたのである


(;・∀・)「うわわっ!!」



普通に考えれば、罠だと分かるだろう
でも不良はアホなのでホイホイとモララーを追った
その先に、地獄♂が待ち受けているとも知らずに…

843 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:34:21 ID:BDmf./TQ0





(´・ω・`)「おいでなすったようだぜ、カズ」

N| "゚'` {"゚`lリ「ああ…」

844 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:36:10 ID:BDmf./TQ0
(;・∀・)「先生!!お願いします!!!!」


N| "゚'` {"゚`lリ「よく引き連れてきてた。後は俺達に任せな」


不良達がたどり着いた先は、阿部さんを初めとしたいい♂男の集団
誰もが彼もが、股間は高くそびえ勃たせていた


N| "゚'` {"゚`lリ「俺の生徒達を、随分可愛がってくれたようじゃないの…」



(^o^)「なんだてめえら!?殺されてえか!!」

(´^ω^`)「活きのいいボウヤ達じゃないのさ…ああ言うのを啼かせると興奮するよね!!」ビンビン!!

(`^ω^´)「全くだ!!自分が強いと勘違いしているバカなら尚更だな!!」ボッキボッキ!!

(;^o^)「あ、ああ!?てめえら教師か!?せんせーが暴力を振るって許されるとでも…」

845 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:37:09 ID:BDmf./TQ0





(;^o^)そ「うひぃいい!?」

846 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:38:29 ID:BDmf./TQ0
N|#"゚'` {"゚`lリ「俺はもう教師じゃあ無い…だが、生徒達を傷つけたケジメはしっかりと払ってもらう…」


(;・∀・)「えっ…先生…?」


N|#"゚'` {"゚`lリ「上条、お前はここから逃げろ…この中には、性欲を抑えきれない奴もいるからな…」


(;・∀・)「でも先生!!もう教師じゃ無いって!!」


N|#"゚'` {"゚`lリ「いいから行くんだッ!!上条!!」


(;・∀・)「ッ……」


モララーはそれ以上何も言わず、手筈通りクール達がいる場所へと走り出した




(^o^)「逃がすか!!あいつを追え!!」

(´^ω^`)「おっとぉ!!君達の相手はこのいい男軍団さぁ!!」

(`^ω^´)「ゆっくりシてイってね!!!」


いい男の包囲網が、30人の不良達を取り囲む

847 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:39:17 ID:BDmf./TQ0




阿部さんは、短くなったタバコを地面に落とし、足で揉み消した
そして、ツナギのホックを外し始め―――――

848 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:41:02 ID:BDmf./TQ0










合図と共に、男勃ちの宴♂が始まった
夜空に、不良共のアッーえぎ声が轟いた

849 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:42:16 ID:BDmf./TQ0
一方、ヒート側はと言うと


川 ゚ -゚)「お手柄だヒート。良く頑張ったな」

ノハ;゚听)「ハァッ、ハァ…はい!!」


劣情に釣られ寄ってきた不良共の前に、クールと


<ヽ`∀´>「…」


ニダーが立ちふさがった

30人を前にして、こちらはたった3人
戦力差は十倍だった


(^o^)「げへへ…かわいこちゃんを追ってみたらとんだ収穫だ!!こいつは楽しめそうだぜ」

(^o^)「安心しな!!そこの大男を殺したらじっくり楽しませてやるからよ!!」


故に、不良達は油断しきっていた
彼らは知らなかった。余りにも知らなさすぎた


川 ゚ -゚)「ヒート…我々の背後に抜けた連中をやれ。一人残らず、だ」


村人学園を牛耳るカリスマと


<ヽ`∀´>「危なくなったら、一目散に逃げるニダ」


村人学園最強の肉体を持つ漢


ノパ听)「ご心配なさらず!!負けませんから!!」


その二人に認められた、じゃじゃ馬娘

『たった十倍の戦力差』で、どうにか出来る相手ではないと

850 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:43:43 ID:BDmf./TQ0
川 ∀ )「『ハズレ』を引いたな貴様ら…残念だ…実に、残念な連中だ」


(;^o^)「ヒッ…!!」


不良共は、感じたことのある気迫を感じた
『西川』が放つそれと、ほぼ同位のモノだったからだ
『悪のカリスマ』。暴虐非道の悪魔がもう一人、この場所に立っていた


川 ∀ )「必要なら仲間も呼んで来い…私を満足させてみろ、ゴキブリ共」


その日、不良達は知る
『敵に回してはいけない相手と戦うということ』を





851 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:45:16 ID:BDmf./TQ0
―――――
―――



(ナ#'A`)「セイッ!!」パァン!!

(;^o^)「ぎゃあああああああああああ!!!!」

(#^ω^)「ホライゾンラリアットォ!!!」ドコーン!!

(;^o^)「ぐええええええええええええ!!!!」


ビルへ進入することが出来たドクオ達は、まだ中に大勢いる敵を相手にしていた


ミ,;゚Д゚彡「くっ…俺達だけじゃ少なかったんじゃ無いのか?」

( ´_ゝ`)「弱音吐いてる暇があるなら、あいつらに続いてくださいよ副会長」


二人の勢いは今だ衰えず、不良達をちぎっては投げちぎっては投げしていた
そんな様子を見て、戦わずに外に逃げ出そうとする連中も現れるが


(ナ#'A`)「どこへ行こうと言うのかね!!」

(#^ω^)「一人も逃しゃしねえお!!」


そんな奴らの首根っこ引っつかんでボコボコにする始末だった


(・∀ ・;)「つーかこれマジ俺らいらないん」

( ∀  ;)そ「ガッ!?」


最後尾にいた斉藤が奇声を上げる
振り返ると、頭から血を流し倒れこむ彼の後ろで懐かしい顔が並んでいた

852 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:47:16 ID:BDmf./TQ0
( ゚∋゚)「おいおい、チョーシ乗るのもいい加減にしろやキモオタ野郎共」


鳥岡クックル


(  ゚∀゚ )「何しにここにきやがった?忘れ物でも取りに来たのか?」


林家アヒャ


( ^^)「ボコられに来たんじゃないっすかねwwwwww」


山崎捗


中学のクラスメイト達が、ドクオ達の前に姿を現した


ミ,;゚Д゚彡「またんき!!」

(・∀ ;)「つつ…平気ス…」


吉川は斉藤を受け止め、三人から距離を取った
立ち止まった彼らの後ろで、不良達が占めたと言わんばかりに攻勢に出た


(ナ#'A゚)「ふんぬッ!!」パパパパパパ!!

(;^o^)「ぎゃあああああああああああ!!!!」

(#^ω゚ )「ホライゾンラリアットォ!!!」ドコーン!!

(;^o^)「ぐええええええええええええ!!!!」


だが、攻勢に出た所で結果は同じであった

853 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:48:55 ID:BDmf./TQ0
(ナ#'A`)「久しぶりじゃねえか…ここで何してやがる」

( ゚∋゚)「おい…口の利き方に気をつけろよ。またボコられてえのか?」

(  ゚∀゚ )「靴舐めるなら許してやんねえこともねえぞ。嘘だけど」

( ^^)「ですよねwwwww校舎裏コース確定ですわwwwww」

( ´_ゝ`)「…松千代第二中の同窓会だな」

(´<_` )「最悪の連中と、だけどな」

ミ,;゚Д゚彡「知っているのか…?」

(#^ω^)「ハインの一喝で黙るようなヘタレ野郎共だお。恐れるに足らないお」

( ゚∋゚)「『ハイン』?」


三人が大声をあげて笑い出す
ドクオとブーンの怒りのボルテージが上がった!


( ゚∋゚)「怒髪天なぁ…ある日急に転校したから、心配したぜえ」

(  ゚∀゚ )「一体何があったんだろうなあ捗?知ってるかお前?」

( ^^)「西川さんにボコられたとかじゃ無いっすかねwwwww」

(#^ω^)「ッ!!お前ら、まさか…」

(  ゚∀゚ )「こそこそと誰かさんと逢引してっからよお…その隙を突いたらチョロかったぜえ…そこのキモオタが割り込んできた時は笑えたしな!!」


そう言ってドクオを指差した


(#^ω^)「お前らが…お前らがハインを…」

(ナ# A )「…」

854 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:50:43 ID:BDmf./TQ0
( ゚∋゚)「女子の癖に調子に乗りすぎだったんだよあのアマは!!目障りだった!!」

( ゚∋゚)「あいつが消えてからの学校生活は楽しかったぜぇ!!カツアゲし放題暴力振るい放題だ!!」

( ^^)「しかも、西川さんの側近になれたっすからねwwwwwそこらの不良はみんな俺らに頭下げてったしwwwww」

(  ゚∀゚ )「そういう点では、いい活躍したよなぁ高岡は!!あの女も今じゃ西川さんのペットだ!!」


(ナ A )「……おい、今…なんて言った?」


(  ゚∀゚ )「聞こえなかったか露出魔!?今じゃ人間の尊厳すらねえペットに成り下がったっつってんだよ!!いや、『成り上がった』が正しいか?」

( ゚∋゚)「ちげえねえwwwwww」

(´<_`;)「なんて事を……」

(ナ A )「『いるんだな?』ハインはここに、いるんだな?」

( ^^)「そこにたどり着く前にお前らは死ぬんだけどなwwwwwwwww」

( ゚∋゚)「その通り!!西川さんの敵は俺たちが殺す!!」

(  ゚∀゚ )「っつーわけで、お前ら!!まとめてやっちまえ!!!!」


やり取りを見ていた不良達と、上の階からの新手が
命令を聞き一斉に襲い掛かってきた

855 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:52:40 ID:BDmf./TQ0




(ナ# A )「目ぇ閉じて耳塞げ」




村学班は同時に、瞼をキツく閉じ耳に手を当てた
不良達はその指示を、聴く事が出来なかった






瞬間、爆発に匹敵する『破裂音』と『閃光』が、ドクオの尻から発せられた
窓ガラスは爆音の振動で割れ、階下に降り注ぐ
外で戦っていた連中は、敵味方関係なく一瞬だけ動きを止めた

856 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:54:34 ID:BDmf./TQ0
(; ∋ )「ぐぁッ…」


音と光をまともに受けた不良の殆どが失神
比較的軽度の者でも、目と耳を一時的に使えなくなるダメージを受けた


(ナ# A )「ありがとよ、元クラスメイト諸君。お前らゲス野郎共のお陰で、俺はまた一つ強くなることが出来た」


ドクオは鳥岡の頭を掴みあげ、廊下に叩き付けた
ブーンはもう二人の胸倉を掴み、壁に押し付ける


(;´_ゝ`)(なんて奴だ…スタンに匹敵する光と音を『尻』から放ちやがった…どこまで人間離れしていくんだこいつは…)

(;-_-)「チカチカする…」


防御体勢を取っていた村学班でさえ、しばらくは立ち上がれないダメージを受けた
まともに立っていたのは、放った本人であるドクオと


(#^ω゚ )「さぁ、連れてってもらうお。お前らのボスの所に」

(; ∀ )「はyあs…」

(;  )「ア……」


怒りに燃えるブーンだけであった


因縁の激突が、近づいていた

857 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:55:47 ID:BDmf./TQ0
―――――
―――



( ^ω^)「…おいおい、穏やかじゃあねーな」


先ほどの爆発音で、屋根から埃がパラパラと降る
まさか爆弾まで持ち合わせているとは思いもしてなかった


从メ∀从「…」


驚きからか、手を舐めるハインの動きが止まった
西川の指は既に、彼女の涎でふやけていた


( ^ω^)「…どうした?続けろ」

从メ∀从「…」


頬を叩き再開を促すが、ハインは固まったままだ
もう一度躾ける必要があるか、と西川は考えたが
これ以上ハインを痛めつけ、汚すのは忍びないと改めた


从メ∀从「ド…ク……」

( ^ω^)「…?」


それは、虫の息に近い擦れ声だったが
『どく』と、ハインが喋ったのを耳にした
『毒』とは何か?と考えを廻らせていると


扉が派手な音を立て、破られた

858 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:57:16 ID:BDmf./TQ0
(メ ∋ )「」


( ^ω^)「…」


扉を壊した主は、意識の無い鳥岡
額には大きな瘤が出来ており、何者かに倒されたことがわかる

西川は、扉の方向に顔を向けた



「三年……鍛え続けた」


聞き覚えのある、声だった
ハインを拉致した夜、隣にいた男の声


「今度こそ、ハインを救うために。お前を、ぶちのめすために」


( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ん…?」


西川は、自分でも気がつかない内に座っていたソファーから立ち上がっていた
ドアの向こう側から発せられる『プレッシャー』が、彼を動かした


( ^ω^)「…そう言えば、お前の名前聞いていなかったな」

( ^ω^)「誰、お前」






(ナ'A`)「欝田ドクオ、ハインを救うヒーローだ」




.

859 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 02:58:58 ID:BDmf./TQ0
( ^ω^)「ハッ…ヒーローと来たか…まるでRPGの勇者様だな」


「そしてこの俺がァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


ヒーローは、一人だけじゃ無かった
勢い良く飛び込み、殴りかかってきたそいつの攻撃を、寸での所で避ける



(#^ω^)「内藤ッ…ホライゾン様じゃあああああああああああああああああ!!!!!」


( ^ω^)「…」


( ^ω^)「お前か、俺とクリソツの男ってのは」

(#^ω゚ )「死ねッ!!」

( ^ω^)「おっと」


ブーンのパンチを避け、踊るようなステップで間合いを取る


( ^ω^)「おいおい、会話もロクに出来ねえのかよ」

(#^ω^)「てめえと話すことなんざねえよ!!」

( ^ω^)「つれねえこと言うなよ!!俺たちゃ生き別れの双子かもしんねえんだぜ!?」

(#^ω^)「内藤の血筋にてめえみてえなド外道はいねえよ!!ケツにTENGAぶち込むぞ!!」

860 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:01:07 ID:BDmf./TQ0
(ナ'A`)「おい、ハインはどこだ」

( ^ω^)「あー?俺のハニーほらそこに繋いでるだろうが」


親指でソファーの方向を指す
部屋の隅に打たれたに鎖が繋がれてあり、ソファーの後ろまで続いていた
その先に、ハインがいると言うことだろう


(ナ;'A`)「ハイッ…」

( ^ω^)「っとぉ!!」


西川が投擲したバタフライナイフが、ドクオの頬を掠める
ナイフは壁に当たり、床を撥ねた


( ^ω^)「連れて行きたきゃ、俺を倒してからにするんだな?ん?」


(ナ'A`)「元から…」


(ナ#'A゚)「そのつもりだッ!!」


床を蹴って西川の顔面へと殴りかかる
同時に、ブーンも動いた


(#^ω゚ )「だおッ!!」


ボディ狙いのパンチを放つ



( ^ω^)「…」

861 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:02:40 ID:BDmf./TQ0
(;^ω゚ )そ「!?」


頬に鋭い痛みを感じ、ブーンの拳は空を切る


(ナ;'A゚)そ「ガッ!!」


顎に爪先の蹴りを喰らい、ドクオの体は宙に浮いた
そして、二人同時に地面へと崩れ落ちた


( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ショボイ」


マッチョ二人の攻撃を、同時に反撃
西川は上げた左足をゆっくりと下ろした


(ナ;'A゚)(…つ……)

(;^ω^)(……つっ…)


(ナ;'A゚)
      (強いッ!!)
(;^ω^)


一撃喰らっただけで分かる、相手の強靭さ
伊達に数百の不良を一まとめにするボスでは無かった

862 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:04:05 ID:BDmf./TQ0
(ナ;'A゚)(だがっ…俺達だって!!)

(;^ω^)(強くッ…なったんだお!!)


二人は立ち上がる
この三年間で手に入れた強さを支えに


戦える強さを
逃げ出さない強さを


(ナ#'A゚)「ここでッ…倒れてる場合じゃッ…!!」

(#^ω゚ )「ねえええええええんだよおおおおおおおお!!!!!」


( ^ω^)「いいねえ、シビれるねえ…これは壊し甲斐がありそうだぜ」


( ^ω^)「そんなお前らにご褒美をくれてやろう」


西川は、ソファーの縁を踏み、勢い良く蹴り滑らせる
その後ろから、二人がずっと捜し求めていた人物が姿を見せた




(ナ;'A゚)「……ハ」



从メ∀从「」



(ナ;'A゚)「ハイン…!!ハイン!!」

863 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:06:21 ID:BDmf./TQ0
(;^ω゚ )「嘘…だろ…」


変わり果てた彼女の姿に呆然とする二人を余所に、西川は話を進める


( ^ω^)「徹底的に躾けることで、俺好みに調教させてもらった…今やハインは犬と同じようなもんさ」

( ^ω^)「お前らの学校の生徒を『ニセ怒髪天』に襲わせたのは、外部の繋がりを消すため…事件が大事になりゃ、ハインは大手を振って歩けなくなるからな」

( ^ω^)「その点は警察に『協力者』がいて助かったぜ…しばらくすりゃ捜査は中断、高岡ハインは危ない人物として世間に知れ渡る。そこで、この俺が面倒を見てやるってワケだ」

( ^ω^)「最後の仕上げは、こいつの目の前で『決定的な何か』をぶっ壊すこと…この意味は分かるか?」


(ナ;'A゚)「…」

(;^ω゚ )「…」


二人は答えなかった
話が頭に入っているのかも定かではなかった
目の前の惨状に、言葉も思考も止まってしまった
『手遅れだったのか』という後悔だけが、じわじわと広がっていった

864 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:07:58 ID:BDmf./TQ0
( ^ω^)「それは…なっ!!」


ドクオの腹を蹴り飛ばす
まるで人形のように力無く、ドクオは床を転がった


(ナ;A;)「ハイン……ハイン…」

从メ∀从「…」


目の前には、変わり果てた愛しの人の姿
その有様に、ドクオはむぜび泣いた


( ^ω^)「助けにきたお前らを、目の前でぶっ殺すことで、『最後の希望』を消す」

( ^ω^)「そうすりゃあなっ!!」


ドクオの『尻』を勢い良く踏みにじった


( ^ω^)「二度と正常には戻れない、『廃人』が出来上がるのよ…」


(;^ω゚ )「お前…は……」

(#^ω゚ )「お、おおおお、おおおおおおおおおおおお!!!!!!」


再び怒りを燃やしたブーンが飛び掛るが


( ^ω^)「人の恋路はッ!!」


肘打ちで迎撃され、右瞼がパックリと割れた
その勢いで、壁に衝突する


(;メω )「あぐっ!!」

( ^ω^)「邪魔するもんじゃねえぜ…内藤ホライゾン君よ…」

865 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:09:33 ID:BDmf./TQ0
(ナ;A;)「ハイン…ハイン…」


ドクオは、届いているのかも分からない彼女の名前を繰り返す
こんなにも近くにいると言うのに、余りにも遠いと感じられた


从メ∀从「…」


(ナ;A;)「俺は…遅かった…遅すぎた…」


从メ∀从「…」


震える腕を伸ばし、彼女に触れようとする
その手が届く前に、西川の片足に踏み潰された


( ^ω^)「おい、人の女に気安く触るんじゃねえよ」

(ナ;A;)「おお……おおおおおおおお!!!」


从メ∀从「…」


廃人寸前のハインを前に、心が折れかけようとしていたその時


(ナ;A;)「あ…」


彼女の口が、僅かに動いている事に気がついた

866 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:10:39 ID:BDmf./TQ0
母音の『お』

母音の『う』

母音の『お』



この三つを、繰り返していた



(ナ;A;)「…」



『ドクオ』と、繰り返していた


声は、想いは、確かに届いていた
手遅れじゃないと、まだ彼女の『心』は西川に支配されていないと


ドクオの魂が、再び熱く、燃え上がった

867 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:11:20 ID:BDmf./TQ0




♪Linkin Park - Given Up





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868 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:12:57 ID:BDmf./TQ0
『パァン!!』


(;^ω^)そ「ッ!?」


破裂音と共に、『尻』を踏みつけていた足に激痛が走り思わず飛びのいた


(;^ω^)「なんだ…?」


(ナ A )「…」


また、『パァン!!』と破裂音
その音は、今まで踏みつけていた男の『尻』から聞こえてきた
今までに無い反撃に、西川は唾を飲み込む


(ナ A )「……」


その音はリズミカルに、手拍子のように続いた
自らを鼓舞するかのように


(ナ A )「まだ…最後まで、壊れちゃいない…ッ!!」


ゆっくりと立ち上がり、西川と対峙する
涙は引き、後悔の念は去り、残っているのは怒りと闘争心


(ナ# A )「だったら俺らもッ!!最後まで壊れるわけにはいかねえよなぁ!!ブーン!!」


(#メω^)「おおッ!!」

869 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:14:07 ID:BDmf./TQ0
(;^ω^)(しまった…挟まれた!!)


背後にはブーン、正面にはドクオ
しかも闘志は今まで以上
思わぬ失態に、西川は自らに舌打ちした


(ナ#'A`)「勝負はッ……これからだッ!!覚悟しやがれ西川ホライズン!!」

(#メω^)「ぶっ壊れるのは、お前だおッ!!」


( ^ω^)「ほざけ…」


(#^ω^)「ザコ共がッ!!」

870 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:15:00 ID:BDmf./TQ0





从メ∀从「…」


从メ∀从(あれ?ここは?)


从メ∀从(どこだろう?)


从メ∀从(誰か…)




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871 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:17:23 ID:BDmf./TQ0
高岡ハインは、ある『音』に導かれ目を醒ました
手拍子のようで、それにしては力強い
なんだか懐かしく、可笑しく、暖かい音を


そんな音を放つ人物に、心当たりがあった


从メ∀从「…」


霞んでいた視界が、ゆっくりと晴れ
彼女に影を差す『誰か』を見上げた



大きな、背中だった



大きくて、強靭で、しっかりと立つそれは

相反するはずの『小さな背中』と、ピッタリと一致した



从メ∀从(…ああ、お前はまた、俺を助けにきてくれたんだ……)



探していた王子様は、意外なほど近くにいた



从メ∀从(ドクオ…)



いつか見た背中と共に、再び彼女の前に参上した

872 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:18:16 ID:BDmf./TQ0
今度は『王子様』では無く


『救いのヒーロー』として










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873 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2013/12/08(日) 03:19:34 ID:BDmf./TQ0
次回

『マーケティング・レンタルコミックス』



最終話

『あの日をもう一度』


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