43 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:16:57 ID:WRtY/ewc0



     第二話「ハイウェイ・ピストルズ @」

44 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:17:55 ID:WRtY/ewc0
  _
( ゚∀゚)「おーっす、つー」

(;*゚∀゚)「!!」

次の日の朝だった。
いつものように登校し、目の前に友達の姿を見かけたのでジョルジュは声をかける。
だが、その友人は酷く怯えたような顔をして、教室の方へ走り去ってしまった。
  _
( ゚∀゚)「……? どうしたんだ、あいつ?」

いつもではありえない、いつもらしくない態度。
その謎は、校舎に入り昇降口で靴を履きかえる、という段階に入るまでに解けた。


「あいつが、呟影団にケンカ売った奴か?」

「うわー、命知らずだねー」

「どうなっても知らねーぞ」

「関わるのはよしておこうぜ。こっちが目をつけられちまう」

「ああ、そうしよう」

45 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:19:32 ID:WRtY/ewc0
口々に聞こえてくる、ひそひそとした会話。
それだけで、決して頭の悪くないジョルジュは理解する。


昨日の夜、尋問した呟影団の一員、ニダーが漏らしたのだろう。

次の日の朝には、もう自分の顔が割れていて、更に危険人物として知れ渡っているとは。

  _
( ゚∀゚)(呟影団の情報力、あんまり甘く見ないほうが良さそうだな)


とはいえ、彼は気落ちすることはなかった。
喧嘩を売った以上は、いずれこうなることはわかっていたから。

予想を大きく超える早さなのには驚いたが、覚悟は既にできている。


いつか呟影団を叩き潰した後に、笑顔が戻ればそれでいいのだ。
孤独なヒーローだって、悪いことではない。


逆に言えば、無用な危険を一般人にさらすことを意図せずに避けられるのだ。

46 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:22:16 ID:WRtY/ewc0
  _
( ゚∀゚)(恐ろしいことに、呟影団の人員は全員が全員『スタンド使い』って言ってたしな。
     普通の人が、巻き込まれたら流石にマズイからちょうどいいさ)

一人さびしくジョルジュは教室に入り

まるでいじめられているかのように、わざと前後左右の間隔があけられた机に鞄を置いた。





――――。


昼休み。

  _
( -∀-)「さーて」 ガタッ!

(*゚∀゚)「!」

(;* ∀ ) サッ


ジョルジュが席を立つと、つーはどこかへ逃げるように去っていった。

47 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:24:29 ID:WRtY/ewc0
  _
( ゚∀゚)(……ま、辛いのはわかってたことだしな)

ため息をついて、少し寂しげな背中でジョルジュは教室を出ていく。
手に持った、今朝コンビニで買ったおにぎりやパンの袋を携えて。

  _
( ゚∀゚)(迷惑にならねー場所にしておくか)


第二チャンネル高校には、サッカーや野球、陸上競技などが出来るメイングラウンドが広がっている。
そこの脇にある坂を下った場所には、テニス部やハンドボール部が使う小さなサブグラウンドが設置されていた。

休みの日などは別だが、平日の休み時間だと、そこは校舎からは陰にもなって人目がつかない。
もちろん、人気もない。一人になるには、絶好の場所だ。

メイングラウンドで、昼食後に練習に励んでいる陸上部を横目にジョルジュは歩く。
斜面を下り、適当な木陰を探してジョルジュは座った。

季節はまだ蝉も鳴かない春の候。
やきそばパンを咀嚼し、ペットボトルのお茶で流し込む。

心地よい風にまぎれ、たんぽぽの胞子が舞っていた。
ようやく寒さから解放された虫たちも、元気に空を散歩している。

のどか。

その一言で完結できる、ゆったりとした時間。

48 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:27:28 ID:WRtY/ewc0
  _
( ゚∀゚)(これで、一人じゃなけりゃ良いんだけどな。ま、贅沢か)

おにぎりの袋を開けて、口に入れる。

ゆっくりと噛んで、喉に通す。
これで食事はおしまいだ。もともと、あまり食べる方でもないのでこれで十分。

最後にお茶をまた嚥下し、満足げにジョルジュは息を吐いた。

遠くの高所にある、校舎時計を確認する。
昼休みはまだまだ長い。

  _
( ゚∀゚)(することねーし、ちょっと昼寝でもすっかなー)

大きく伸びをした。
それから、目の前に飛んできた虫とおぼしきものを確認する。

遅くはないが、かなりのスピードだった。
蜂ではなさそうなので、手持ちのペットボトルで叩き落とそう。

そう思って、ペチンと空ボトルを振り下ろした。

49 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:29:52 ID:WRtY/ewc0
  _
( ゚∀゚)「……?」


感覚はあった。
確かに当たった。

でも、それは叩き落とした感触ではなかった。

違和感を覚え、手のペットボトルを見る。

底に残っていたお茶が漏れていた。
もちろんだが、蓋は閉めてある。
先ほどまで、不自由なくお茶を貯めていたのだ。不良品だったわけでもない。

なのに、お茶が流れ出ている。量は少ないけれど、それは明らかなる『異常』!

50 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:32:36 ID:WRtY/ewc0
 _
(;゚∀゚)「なっ!?」

気づいた時には遅かった。

綺麗な円を描いて、『穴』が空いたボトル。
それを確認する前に動くべきだった。

飛んできた虫のような何かが、ジョルジュの右太ももにめり込む。
 _
(;゚∀゚)「ぐああ!?」

皮膚を破り、固い筋肉で留まると、冷たい異物はまるで霧のように雲散する。

  _
(;-∀゚)「な……んだ!?」

流血した腿を押さえて、ジョルジュは声をあげる。
しかり周りの風景に変化はない。
人の気配だってしない。

51 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:35:19 ID:WRtY/ewc0
けれど、わかる。
彼は、生まれながらの『スタンド使い』

稀な存在ではあるけれど、他の使用者と、出会ったことがないわけじゃない。

生きていくうえで、何度か経験したことのあるこの感覚。


 _
(;゚∀゚)(スタンド攻撃を受けている……!!)



力が入りにくい足庇いながら、周囲をしっかりと見渡す。
風のざわめきを、木の影を、何かが居ないか探し続ける。
 _
(;゚∀゚)(……どうせ、面は割れているんだろうし。隠す必要もないよな)

52 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:37:33 ID:WRtY/ewc0
  _
( ゚∀゚)三・∀・) ドキューーン!

ジョルジュはスタンド『キャッチ・ザ・ハンド』を呼び出す。
意識の共有が出来るスタンドだから、周りを見るならこちらの方が有利。

元々高い動体視力などが強化されるから。
また2程度ならば自分から離れられる。もちろん、上空にだって。

      つ     ⊂
   キョロ (・∀・ 三 ・∀・) キョロ
 _
(;゚∀゚) (そもそも打ち込まれたアレはなんだったんだ……?
      やけに光を反射していたから、虫かと思ったんだが……
      でも、このペットボトルを見るに、虫じゃあない。
      こんな組織も破壊せず、綺麗に円形に抉るなんて、出来るはずもない)

手元に残った証拠と、足を貫いた跡を見る。
制服のズボンは、同様な形で穴が開き、そこからは血が流れている。
大事な血管の多い太ももだ。出血量を見るに、もしかしたら傷がついている可能性もある。

その前に、なんとかしなくては……。

53 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:39:29 ID:WRtY/ewc0

           ⊂
        ( ・∀・) ! 
 _
(;゚∀゚)「ん?」          ⊂三)


          ⊂     
       ( ・∀・)
 _
(;゚∀゚)       ⊂三)


       つ
       (・∀・ )
 _
(;゚∀゚) て ⊂三)



「これだキャッチ・ザ・ハンド! 『吸い寄せろ』!!」

       (・∀・⊂)
 _
(;゚∀゚) ⊂三)

54 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:41:26 ID:WRtY/ewc0
左手をキャッチ・ザ・ハンドが開く。
そこへ吸い寄せられるように、見えた『弾丸』が飛んで行った。
  _
(;゚∀゚)「そのまま、ぶち壊すぜ!」





┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
    
   =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
    =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
(# ・∀・) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
    =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
   =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ

『モラモラモラモラモラモラァッ!!!』

55 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:43:41 ID:WRtY/ewc0
渾身のラッシュだった。
キャッチ・ザ・ハンドは、スピードこそ凄まじいものがあるが
破壊力に関しては、先日戦ったニダーの『チープ』ほどもない。
故に、速さを活かした手数で攻める戦法を取る。


しかし、それでも。

 _
(;゚∀゚)「!?」


( ・∀・)   ⊂三) 〜
         ユラァ
 _
(;゚∀゚)「なっ……オレのラッシュを躱したのか!?」

そして確認し、確信した。
一度は、キャッチ・ザ・ハンドに引き寄せられた弾丸は、再び軌道を変えてジョルジュへと迫っている!
 _
(;゚∀゚)「自動追尾型か!」

56 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:46:23 ID:WRtY/ewc0
スタンドには、様々なタイプが存在する。

ニダーやジョルジュのような、接近戦を主に得意とする近距離パワー型
遠方でも力が衰えにくい、遠距離操作型。
自身に装着できるものや、実態を持たない形も存在する。

今回の、『銃弾が常にジョルジュを付け狙う』のは自動追尾型だ。
基本的に何か条件があるが
それさえ達成すればよっぽどのこと――上回るパワーで破壊されるか、使用者が行動不能になる――がない限り
絶対に、遂行するまで追い続ける。

 _
(;゚∀゚)(理由はわからんが、既に『条件』は達成されているみたいだ
     つーことは、とにかくスタンド使いの『本体』を探さないと
     どっちみち、二撃目をくらっちまう!)

ジョルジュは駆けだす。
血の出る足をかばいながらも、懸命に!

                 _
  Σ= (三⊃       (;゚∀゚) ・∀・)
   ズギュー!

当然のように、軌道を変えて銃弾は迫ってくる。

57 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:49:01 ID:WRtY/ewc0
銃弾にしては非常にすっとろい速度ではあるが、追いかけるには十二分のステータス。
特に足を負傷したジョルジュ程度では、切り返しで引き離した距離なんて、大した意味をなさない。
 _
(;゚∀゚) ・∀・)つ 『キャッチ・ザ・ハンド!』

スタンドの左手を開いた。
ジョルジュの視界に映る物を、強制的に吸い寄せる特殊能力。

幼い頃から、常に共にある能力だからこそ、彼は応用法も心得ている。

『吸い寄せる』以外にも、これは『吸い付く』ことだって可能なのだ。

      _
(三⊃ (;゚∀゚) ・∀・)つ三=─
          ズォア!


                        _
 (三⊃          ─==三三三(;゚∀゚) ・∀・)つ ギュン!

58 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:52:34 ID:WRtY/ewc0
これを繰り返し、普段の移動速度の倍以上で距離を稼ぐ。
直線軌道しか描けないこと、吸い付きの後に何か異物を入れられると回避が困難なこと
それらを除けば、彼にとってかなり優位な移動法である。

 _
(;゚∀゚) ・∀・)つ(距離が離せている……これなら、なんとかなるな)
        ズォア!

移動しながら、ジョルジュは考える。


何故、急に攻撃を受けたのか。
どういう『条件』によるものか。
『本体』はどこなのか。

  _     ズォア!
(;-∀゚) ・∀・)つ(ごちゃごちゃ考えるとかえって混乱する。
            まずは一個一個『納得』の上で、推理していこう)


まず、どうして攻撃を受けたのか。

十中八九、ニダーのせいだ。
いわゆる報復行動だろう。

59 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:55:27 ID:WRtY/ewc0
昨日、呟影団の実態を話してもらえるだけ話させた。
拷問というほどでもなく、単に聞き出せることを尋ねただけ。

曰く、呟影団はスタンド使いのみの集団なこと。
七人の幹部、『七天柱』がいること。
その上に立つ、誰よりも強い『ボス』がいること。

連絡後、七天柱の一人『モナー』が動くはずであろう、ということ。

それだけだ。

 _     ズォア!
(;゚∀゚) ・∀・)つ(……ということは、これはきっと……『モナー』による攻撃!)


どんな奴かはしらないが、考えられる結論はそれだけ。

では次、どういう『条件』でスタンド攻撃が行われたか。

既にジョルジュは、校舎まで戻ってきていた。
しかし、後ろを見ると遠くにまだ銃弾は存在している。
居場所は関係ない、やはり『自分』を狙って飛んできているのだ。

60 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 18:58:05 ID:WRtY/ewc0
距離も稼いでいるし、ここでキャッチ・ザ・ハンドの移動法を使うと流石に不振がられる。
スタンドは出しっぱなしだが、ジョルジュは自分の足を使って校舎内を走る。

途中、学ランの内側に入れておいたハンカチで止血だけはしておいた。
血が滴ることもないから、怪しくないはず。
 _
(;゚∀゚) ・∀・)(オレを狙うののは、そういうものだとまずは『納得』だ。
         問題は『どうして、今起こったのか』だろうな)

昼休みに入るまで、攻撃はなかった。
周りの目は、別の意味で気になったけれど……特に、怪しい感じはしてない。

ということは、攻撃の発生……いや、『条件の達成』自体は、この休み時間で行われたもの。

つまり、『実際の接触』による条件ではない。
遠隔からでも、確実に達成可能な条件。

 _
(;゚∀゚) ・∀・)(……弾丸、ってことは多分『銃』のスタンドだ。
          つーことは、多分……狙撃したんだろう)

狙撃からの自動追尾。
そう仮定するなら、一体どこからどうやって?

61 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 19:00:37 ID:WRtY/ewc0
  _
(;-∀-)・∀・ )(弾丸のスピードを考慮するなら、昼休み開始時に撃たれたわけがない。
        オレが飯を食い終わった前後のはず。
        けど、周りの気配は特になかった。近くじゃない)

少しずつ少しずつ

散らばったパズルを、頭の中で当てはめていく。
頭の回転の良さは、彼の強力な武器の一つだ。
キャッチ・ザ・ハンドの、攻撃力の低さを補うのも彼の作戦力。

 _
(;゚∀゚) ・∀・)(オレが見える箇所……といえば)

こちらから見えないけれど、相手からは確認できる位置。


 _
(;゚∀゚) ・∀・)(高いところ……)



そう、その場所はこの第二チャンネル高校には一つしかない。

62 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 19:02:33 ID:WRtY/ewc0
 _
(;゚∀゚) ・∀・)「屋上か!!」



一般的に、高校の屋上というのは危険性が高いので閉鎖されている。
第二チャンネル高校も、当然その例に当てはまる。

しかし、全くいけないわけではない。
扉自体は存在しているし、『スタンド使い』ならそれぐらい容易だ。

誰も寄りつかないから、狙撃を仕掛けるには、絶好の場所。
それしかない。

階段を駆け上がり、ひたすら真っ直ぐ目的地を目指す。

4階建ての校舎
その4階についた、唯一の昇り階段。屋上への道。

そこを進んだ先には、鎖で施錠された扉がある。

63 名前: ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 19:04:19 ID:WRtY/ewc0
いや、あるはずだった。


硬度以上の強さで破壊された南京錠とチェーンは、無残にも床に落ちている。

  _
(;゚∀゚) ・∀・)「ビンゴだな!」

警戒しながら、ジョルジュは扉を開ける。



( ´∀`)


そこには、来るのがわかっていたといわんばかりに
燦然とした立ち姿の、一人の男子生徒が居た。




  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
  \┌────────┴┘

64 名前:おまけ ◆N91v81g8eE :2013/05/01(水) 19:05:52 ID:WRtY/ewc0
『スタンド(幽波紋)能力とは』

・生まれつき備わっている、または物事を極めた者に発現する
 近しい人間の影響により発現する例も稀に存在する

・スタンド像は人それぞれ。

・スタンドは一人一体のみ

・スタンドはスタンド使いにしか見えない

・スタンドはスタンドでしか触れない

・スタンドのダメージは使用者に直接伝わる

・人知では再現できない特殊な能力を持っている

・扱える距離に限界がある

・スタンドは成長する

                       ――――以上


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