2 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 17:58:32 ID:YaleLxqA0




ミセ*゚ー゚)リ「ねぇ、ショボンくん」

(´・ω・`)「わ、はい。何?」

ミセ*゚ー゚)リ「今日は練習出られる?」

(´・ω・`)「あ、あー……えーっと、今日は、僕……」

ミセ*゚ー゚)リ「……」

(´・ω・`)「……ちょっと、出られない、かな……」

ミセ*゚ー゚)リ「……また?」

(´・ω・`)「うん……ごめん……家遠くて。遅くなっちゃうと家不味いから」

ミセ*゚ー゚)リ「……遠いのは聞いてるし知ってるけど、ショボンくん自転車でしょ? 電車やバスの子だって残って練習してるのに、」

o川*゚ー゚)o「ミセリー、ショボンくん出られるってー?」

(´・ω・`)「あ、すなおさん。ごめん、僕今日はちょっと」

o川*゚ー゚)o「そっか。いいよいいよ、じゃあまたね」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとー、指揮者! そんなんでいいのー?!」

「いいから。ほら、みせりちゃんパート練習の方行って。半になったらみんなで練習ね」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……じゃあ、僕、ごめんね」

3 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:01:18 ID:YaleLxqA0



(´・ω・`)「♪」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「♪」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……」

从 ゚∀从「ただいまー」

(´・ω・`)「あ、姉ちゃん。おかえり」

从 ゚∀从「疲れた! おなか減った! ご飯何?」

(´・ω・`)「親子丼。もうちょっとでできるから待ってて」

从 ゚∀从「いやーアンタホントに便利だね。お母さんも喜んでたよ」

(´・ω・`)「はいはい」

从 ゚∀从「明日もパート遅くまでらしいから、夕飯頼むってさ。あしたくらいはあたし代わりに作ろうか?」

(´・ω・`)「簡単なのだし平気」

4 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:03:32 ID:YaleLxqA0

从 ゚∀从「ふーん」

从 ゚∀从「でもいいのかー? アンタ今この時期っつったら合唱コンだろ? あんま練習サボってるとハブられんぞー」

(´・ω・`)「……べっつに。練習だるいし、いいよ。女子仕切ってて面倒臭いし」

从 ゚∀从「あーあー言っちゃった。しーらない」

(´・ω・`)「うるさいなぁ」

从 ゚∀从「あとアンタ歌ってるの外まで聞こえてるから。恥ずかしいからやめろよ」

(´・ω・`)「……歌ってない」

从 ゚∀从「何あれ課題曲? やっぱ今も聖歌歌わされんの?」

(´・ω・`)「…………あと温まったら出来上がりだから姉ちゃん先食べてて」

从 ゚∀从「はいはーい」










〜♪

(´・ω・`)「あ、メールだ」

5 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:04:53 ID:YaleLxqA0


ミセ*゚ー゚)リ『みんなで話し合ったけど、このままの練習量じゃショボンくんは足を引っ張るだけなので
 発表会では歌わないで口パクにしてくれる?
 だから練習も来なくていいよ 来たかったら好きにしてね』



(´・ω・`)←テノール

( ^ω^)←テノールのパートリーダー

o川*゚ー゚)o←指揮者



ミセ*゚ー゚)リ←メゾの普通の歌う人



(´・ω・`)「……」




ミセ*゚ー゚)リ←メゾの普通の歌う人




(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……」


(´・ω・`)「……なんでお前からメールがくんねん」


(´・ω・`)「…………」

(´・ω・`)「…………」

6 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:06:18 ID:YaleLxqA0





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しぃへ



 ぼくはなんだか重い病気にかかって床にでも伏したいような気分です。

 とある短編小説からの受け売りですけれど、重い病にかかって寝込んで、うんうん唸って、
周りの人々にこんな自分で申し訳ないと思いながら、うんと汗をかいたなら、誰かや何かを憎んだり、
嫌ったり、呪ったりする自分の嫌な、汚い部分も全部、汗と一緒に流れてしまうと思うのです。

 もうこの容姿は変えたりなんて出来ないけど、ぼくは内面だけでもまっさらにきれいになりたい。
 あいつのせいだこれのせいだと、自分の欠点の原因を何かに押しつけたくなるこの気持ちは、とても気分が悪いです。
 しぃ、君はこんな気持ちにはならないんだろうね。

 ぼくは一応、誰の迷惑にもなりたくないのに、どうしてそんな事も出来ないんだろう。
 けれどもう、ぼくはどうすればいいかわかりません。他人の気持ちが分からないのです。
 彼女がどんな気持ちでぼくにああいう事を伝えたのか、ぜんぜん見当が付かない。

 義憤とかいう感情をどうやら僕は持ち合わせていなくて、母の腹の中に置いてきたかしてしまったらしい。
 だから、いや、それより以前にどうしてあんな風に怒れるのかすらぼくにはわからない。なんだかぽかんとしてしまう。

 あの文を見たとき、酷く悲しくて、酷くむず痒くて、そうじゃない違うんだと弁解したかったのに、
けれどそれを表現しようとするとふと自分には正当性がないと思って、ぼくの手は止まってしまった。


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.

8 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:09:09 ID:YaleLxqA0

(´・ω・`)カチカチ



『どうして_』


『どう_』


『 _』



(´・ω・`)


(´・ω・`)カチカチカチ



『ごめんなさ_』


『ごめん_』


『 _』


(´・ω・`)


(´・ω・`)カチカチカチカチ



『これからは頑張るから、_』


『これからは頑_』


『 _』

9 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:10:23 ID:YaleLxqA0




(´・ω・`)「…………」












カチカチ
カチカチカチカチ



『分かった。迷惑かけてごめんね』






(´-ω-`)「…………」

10 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:11:15 ID:YaleLxqA0






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 そうじゃないわけじゃなくそうだった。違わないことはなく大正解だった。
 何にも間違っちゃいない。ぼくが怠惰だったばかりに怒りを買ってしまっただけなのです。
 ……何故その売り主が彼女だったのか、ぼくにはぜんぜんわからないけれど。

 まぁ、きっと、そんなことって、時々あるよ。
 たとえば、あの子とあの子が一緒に帰る帰り道で、あの子がぼくのことを溜息吐いたら、きっと
優しいあの子は放っておけなくて、怒ってしまって、そうして、ああいうことをぼくにつたえようと思ったんでしょう。

 けれど、もし彼女の立場にぼくがいたらと思っても、こんな風に、たぶんなれないのです。
 あのこの立場だったとしても、そんな風に、たぶんできないのです。
 ねぇしぃ、そんなにぼくがわるかったのでしょうか。

 たぶんきっと、わるかったんだろうね。
 あの子はすごいなあ。


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11 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:12:15 ID:YaleLxqA0







从'ー'从「えー、今日が本番ということでね。みなさんすっごく頑張って練習してるのを見てきたので、きっと最優秀賞を取れると思います」

从'ー'从「取れなくっても、クラスが一丸となって取り組めたっていうことが先生はすごく嬉しいです」

从'ー'从「じゃあ、思う存分に歌ってきてください」





( ^ω^)「今日半ドンだけど、終わったら遊びに行かないかおー?」

(´・ω・`)「あ、僕今日ちょっと用事あるから」

( ^ω^)「おっお、そっかー。いやーしかしとうとう本番だお。これが終わったらあの地獄のような練習ともおさらばだおー」
  _
( ゚∀゚)「部活まで休まされたもんなぁ、あれは酷かった」

('A`)「女子たちどんだけ本気なんだよっていうな」
  _
( ゚∀゚)「でもやっぱ本番ってなるとちょっと緊張するよなーうおお五組に勝てる気がしねぇ」

('A`)「あそこかなり寄せてきてるもんな」

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「どったお、ショボンも緊張してるのかおー? 人人人だお、人人人」

(´・ω・`)「しないよ、ジョルジュじゃあるまいし」
  _
( ゚∀゚)「人人人……」

('A`)「それマジでやってるやつ初めて見たわ」

12 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:13:21 ID:YaleLxqA0

('A`)「それマジでやってるやつ初めて見たわ」

(´・ω・`)「歌わないのに緊張なんてしないよ」

( ^ω^)「お? ショボン、何か言ったかお?」

(´・ω・`)「ううん、何にもー」

ξ゚听)ξ「うぉら! ないとう! 入場するんだから早く並べーっ!」

( ^ω^)「おっお、つんやる気モリモリすぎてキモイお」

ξ゚听)ξ「あぁん?!」

(´・ω・`)「……」





〜♪


〜♪♪


〜♪♪♪



(´・ω・`)「…………」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……♪」



(´・ω・`)「……」

13 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:14:08 ID:YaleLxqA0





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 一つくらい人に誇れるようなことがあったって良いんじゃないかって、時々思うんだけど、なんだか悲しいくらいに何にも出来ないよ。
 人を笑顔にすることも、喜ばせることも、不快でなくさせることすら出来ません。
 頭も良くなければ、麗しい見目もない。

 ねぇ、君にだってこうやってまき散らすだけで。ぼくは一体、誰のために何が出来るんだろう。
 頑張ってるなんて言いますが、きっとこんなの口先三寸、ぜんぜん足りてないのでしょうね。
 この怠惰症をどうにかしてやりたいよ。世の人々はどれだけ耐えて忍んで努力しているというのでしょうか。みんな、すごいなぁ。

 こんなぼくを、誰が無条件で愛してくれましょうか。
 世にはほんの少し、けれど誰でも、誰かは無条件で愛してくれると言います。けれどぼくにはそれが信じられません。
 だって本当に愛すべき所がないのです。

 それくらいは自覚あるってことに、しといたっていいでしょう?


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14 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:17:32 ID:YaleLxqA0





o川*゚ー゚)o「やったねー!!」

ξ゚听)ξ「頑張った甲斐あったー!」

('A`)「まっさか五組にも勝てると思わなかったよな!!」

( ^Д^)「ってか超僅差だったじゃんよ! 名勝負!!」

(*゚∀゚)「記念撮影しよ記念撮影!」

o川*゚ー゚)o「黒板誰か書いて! 美術部!」


( ^ω^)「おっおー! ショボン! この後皆で祝賀会やろうって話あるんだけどお、ってあー、ショボンは用事だったか」

(´・ω・`)「……うん、残念だけど」
  _
( ;∀;)「なんだよぉ、ショボンもこいよぉ!」

(´・ω・`)「うっわジョルジュめっちゃ鼻声」

ξ゚听)ξ「アンコールの時隣だったけどジョルジュヤバかったもん。ぐっすぐす言ってた」

('A`)「お前……」
  _
( ;∀;)「うるへーやい!!」

15 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:19:43 ID:YaleLxqA0


o川*゚ー゚)o「それじゃぁみんなー!! 写真撮るから並んでー!!」

ミセ*゚ー゚)リ「ほらショボンくんも入って入って! はみでてるよそこ!」

(´・ω・`)「あ、うん」

o川*゚ー゚)o「はいっチーズ!!」




ξ゚听)ξ「私のデジカメでもとってー!」

( ^Д^)「焼き増し頼んでいいか、これ」





(´・ω・`)「……」





(´・ω・`)「うわ、母さん、きてたの」

('、`*川「合唱コンクールかつ息子の誕生日よ。そりゃ仕事くらい休むわよ」

(´・ω・`)「……別に良かったのに」

('、`*川「何ショボンとした顔してんのよアンタはもう! 優勝したんだからもっと喜んで見せなさいな!」

(´・ω・`)「良いじゃんべつに。っていうか高校生にもなってそんな祝って貰おうとかないし……」

('、`*川「あー辛気臭い! ほら、ケーキ買って帰るわよ! クラスのほうは? もういいの?」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……うん、もうみんなも帰るってさ」

16 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:20:59 ID:YaleLxqA0



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 お母さんは、きっと自分が腹を痛めて産んだ子供でなければ、ああは優しくして下さいません。
 あの優しさすら、ぼくは穿ってみてしまう。もうなんだか消え失せてしまいたいです。
 夢も勉強したいこともやりたいこともすべて諦めて、世の中の端に小さくしがみついて居きることは出来ましょう。

 けれどぼくはまだ夢を諦められなくて、やはり誰かにほめて貰いたいような気がして、何にも出来ないままにいます。
 だれがぼくの事なんて褒めてくれましょう。褒めるべきぼくなんてどこにもいなくて、ただぼくは悲しい人間です。

 ねぇしぃ。ぼく、全部出来る人になりたいんだ。
 なんでも出来る完璧なひとになりたいんだ。
 汚いところも醜いところも何もない、堅い硝子みたいに透明な人。

 幼稚と笑うかな。あり得ないと吐き捨てるかな。
 けれど、死んで生まれ変わったら、ぼくきっとなってみせます。
 誰も恨まず呪わず失敗なんてしなくて、好かれて好いて、努力も怠らずにけして負けない。そんな強くて格好良い人に。



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(´-ω-`)




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 ねぇしぃ。そしたらきみを好いてもいいですか。



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17 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:24:24 ID:YaleLxqA0








ミセ*゚ー゚)リ「合唱コン終わってすぐにテストとかサギだよね、サギ」
  _
( ゚∀゚)「つーか最終日に数Vと英語被せてくんの反則だろ……」

( ^ω^)「おー……」

('A`)「ブーンがしなびとる」
  _
( ゚∀゚)「ショボンどうだった?」

(´・ω・`)「え? うん?」
  _
( ゚∀゚)「あ、こいつ駄目な奴だ」

('A`)「ショボン俺の前の席で開始三十分で寝てたからな」

(´・ω・`)「いや眠くて」

ミセ*゚ー゚)リ「それは何?! 余裕の眠気?!」

(´・ω・`)「余裕なんてあると思う……?」
  _
( ゚∀゚)「駄目な奴だ!!」

('A`)「外見頭良さそうな癖に!!」

(´・ω・`)「うるさいなー」

18 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:25:11 ID:YaleLxqA0





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しぃへ


 ぼくはやっぱり上手にできません。
 卑屈なのはいけないことだと聞きました。
 そういわれると、そうなのか、いけないのかぁと悲しくなって、ぼくはまた卑屈に思い沈んでしまいます。

 けれどだって、ぼくはずっとそれが美徳であると信じてるんだ。
 でもできれば、ぼく明るい卑屈でありたい。
 他人を見上げて生きるような人は、ほんとうに幸いで、苦しくない生き方と知っていてやってるんだろうなと思うのです。

 ぼくも未熟ながらそれを真似ますが、巧くいったとき確かにそれはらくちんで、世の中全部が優しく感じられて、ほんとうしあわせです。
 けれど、ふとその先に意地汚いじぶんのほんとうの思い、楽したいだとか、見上げるつもりで見下していたりだとか、
を見つけると、もう本当につらく、暗く暗く沈んでいくようです。

 ねえしぃ、ぼくはぼくよりだめなひとって見たことないくせに、心の奥底ではどこか自分が優れた存在だとか、思ってはばからないのです。
 こんななら心の底からおちこぼれだと分かっているひとのがよっぽど賢しい。
 ぼくはおちこぼれです。わかっている筈なのに、数字にされて尚、ぼくはそれをみとめようとしない。嫌だな。



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19 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:27:46 ID:YaleLxqA0

o川*゚ー゚)o「ショボンくーん、次だって」
  _
( ゚∀゚)「うわーいってらショボン」

('A`)「恐怖の面談!」

( ^Д^)「死ぬなよー」

(´・ω・`)「骨は拾ってね」
  _
( ゚∀゚)「了解了解! 任せとけ!」

('A`)「ジョルジュはミイラ取りがミイラになる奴だよな」







从'ー'从「はい、ショボンくんね。有難う。えーっと、で、進路希望は、……ソーサク大かぁ」

(´・ω・`)「はい。理工学の方に行きたくて」

从'ー'从「……国立ねぇ」

(´・ω・`)「はい」

从'ー'从「…………とっても言いにくいんだけどね、ショボンくんの今のテストの感じじゃ、ちょーっと厳しいかなーって」

(´・ω・`)「はぁ」

从'ー'从「もちろん応援はするよ? でもね、ほら、うちの学校って推薦枠が多いからね。そういうの使ってみてもいいんじゃないかなって」

(´・ω・`)「……はぁ」

从'ー'从「ショボンくんの評定なら、そうだな、ニー速大ならとれるんじゃないかな」

(´・ω・`)「えっと、僕、ソーサク大の受験方法について相談に乗ってもらいたいんですけど」

从'ー'从「それからちょっと学科は違っちゃうけど、こっちの……、ってああ、うん、ソーサク大ね。そうだねー、やっぱり中央試験は必須かなー」

(´・ω・`)「そうですか」

从'ー'从「ショボンくん、こっちの大学はどうかな。シベリア大! ここなら自己推薦で……」

(´・ω・`)「……はぁ」

20 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:29:46 ID:YaleLxqA0



( ^Д^)「どうだった、ショボン」

(´-ω-`)「……」
  _
( ゚∀゚)「あっ沈んでる!」

('A`)「さすがのショボンも沈ませるのか。すげぇな面談」
  _
( ゚∀゚)「やべぇこえぇ」






(´・ω・`)「母さん、この皿何処だっけ」

('、`*川「ああ、それはそっちの棚の奥」

(´・ω・`)「ん」

('、`*川「こっちも拭けたから片付けて」

(´・ω・`)「分かった。……お母さん、あのさ」

('、`*川「何よ?」

(´・ω・`)「……僕さ、塾行きたいんだけど」













.

21 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:31:39 ID:YaleLxqA0

.











从'ー'从「そうですねぇ。ショボンくんはソーサク大……国立のって言っているのは聞いてるんですが」

('、`*川「具体的にはどういう感じでしょう?」

(´・ω・`)「……」

从'ー'从「やっぱりちょっと厳しいというか、そうですね……やっぱり本人の努力次第ってところもあるとは思うんですが」

('、`*川「はぁ……本人が言うんで塾とか通わせてるんですが、やっぱり駄目ですかね」

从'ー'从「ああいえ、駄目なんてことは! ちょっとずつは伸びてきてるとは思いますよ。ただ、このペースで来年の受験となると……」

(´・ω・`)「……」

从'ー'从「もちろん学校としましてもぜひ応援したいのですが、それ一本としぼってしまうと後々ショボンくんが苦しい思いをするんじゃないかって」






('、`*川「あのね、ショボン。アンタが頑張ってるっていうのは、まぁ、分かってるつもりだよ」

(´・ω・`)「……」

('、`*川「でも、うちにはおねえちゃんも居て、お父さんの事故の怪我もまだ治ってないし、私の家のほうもごたごたしてるしね、」

(´・ω・`)「……」

('、`*川「ショボンの行く塾だってお金がかかってるんだし、そこに行く電車代だってばかになってないの、わかるでしょ」

(´・ω・`)「……うん」

('、`*川「お母さん、疲れてるの」

(´・ω・`)「……うん、知ってる」

22 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:33:59 ID:YaleLxqA0

('、`*川「ううん、知ってない。アンタ分かってない。ホントはお母さんこんなこと言いたくないのよ。言いたくないけど、結果出してくれなきゃ」

('、`*川「お母さんだって、何にも無いのにずっとアンタ愛してあげられるって訳じゃないんだから」

(´・ω・`)「……」

('、`*川「……と、とにかく、」

(´・ω・`)「分かったよ」

(´・ω・`)「塾、来月で辞める」

(´・ω・`)「ごめんね、母さん」









( ・∀・)「続けなくちゃ意味無いよ?」

(´・ω・`)「はぁ」

( ・∀・)「……どーしても辞めちゃうの?」

(´・ω・`)「……はい。ごめんなさい」

( ・∀・)「いやいや、まぁ、君と君の家が決めることだからね。ぼくは何にも言いません」

( ・∀・)「でも、ショボンくんはほんとにそれでいいの?」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……短い間でしたがありがとうございました」








.

23 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:37:54 ID:YaleLxqA0


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しぃへ


 こうやって連絡を入れるのは久しぶりかな。
 僕の方はと言うと、風邪を引いたりもしたけれど、身体的には元気です。寒くなってきたけど、君は風邪なんて引かないんだろうね。

 ねぇ、しぃ。僕は一つ勘違いをしていたらしいです。
 それで驚いてしまって、もう、なんだか泣きそうです。
 知ってた? 僕は親って言うひとは、無条件で子供を愛してくれるだなんて信じてたんだ。

 ドラマや小説の読み過ぎなのかな。笑っちゃうね。本当はそんなこと、無いんだって。
 ねぇ、だったら僕はもう居なくなった方がいいんじゃないかって思うんだ。
 彼らはどうやらただ居るままの僕を愛してはくれないらしいし、僕どうやっても彼らに報いれるような気がしないんです。
 これでも、すきだったんだよ。でも、だったらこれ以上に迷惑をかける前に、もう死んじゃいたい。

 ごめん、ほんとうはそんな殊勝なばっかりの理由じゃないんだ。

 彼らも愛してくれないのに、僕生きてく意味があるのかなって思って、つらいんだ。
 友達とか、親友とか、恋人とか、よく分からないんです。何を考えてるのか、なんでそんなこと言えるのか、全然。
 でも、家族のことだったらちょっとは分かるつもりだった。

 ほかはほんとにぼくのこと好きなのかなって、疑ってしまってなんだか悲しくなるけど、家族ならそんなことないって、
ぜったいだなんて、信じてたんだ。
 僕は母さんや父さんにとって、いらなかったのかな。

 お金ばっかりかかってだめだから、いなくなったほうがいいんじゃないのかな。
 ねぇ、どう思う?

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24 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:39:00 ID:YaleLxqA0




(´・ω・`)「ただいま」

('、`*川「おかえりー」

(´・ω・`)「塾、辞めて来たから」

('、`*川「……あ、そう」

('、`*川「ほんとに辞めてきたの」

(´・ω・`)「……」

('、`*川「そう。アンタがそれでいいなら、いいの」

('、`*川「ほんとに大学行きたいんなら、泣いてでもつづけたんでしょうけど」


(´・ω・`)「……」



('、`*川「アンタがそれでいいならね」

27 名前:名も無きAAのようです :2013/09/23(月) 18:41:17 ID:YaleLxqA0




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 正直言うと、僕はもうわかんないんだ。きみに何を言って貰いたくてこの文を書いてるのかも、わからないのです。
 ほめてもらいたいのかな。しぃは絶対僕を褒めないよね。
 でも、それでも、褒めてって言うの位は受け入れてくれるよね。情けないけど、聞いて下さい。

 ねぇ、ほめて。慰めて。哀れんで。がんばってるよねって。つらいねって。
 かわいそうにねって、ぼくは言ってくれる人が居ません。みんなみんな、僕のことどころじゃあないんだそうです。
 僕も僕で、本当に本当につらいのだけど、じぶんはもっとつらいのだって言われてしまったら、
なんだか僕のつらいのなんて、どうだっていい、些末なことのような気がするのです。

 でもそんな些末なことでも、僕の心とってもよわっちいから、つらいんです。
 ねぇ、しぃ、つらいよ。悲しいよ。死んじゃいたいよ。逃げたいよ。もう誰も居ないところでひとりでいたいよ。
 つらいんだ。君のところへ行きたい。

 僕はどうやったら強くなれるんでしょう。誰にも負けないくらい。誰もいらないくらい、強くなりたいです。
 そうやってつらいことを全部ふきとばせるようなひとになりたい。
 誰にもいらないって言われても平気なかおして「あ、そう」って言って笑えるようなひとに、なりたいです。

 そんなひとならきっと、たくさんの人にいるだけで良いって、言って貰えるんじゃないかな。
 母さんや父さんも、誇りに思ってくれるんじゃないかな。そんなふうに、思います。



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