- 457 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:27:42 ID:s4w1/STs0
- 瓜畑ニダーは模範的な『良い子』だ
学校から帰って先ずすることは、うがいと手洗い
その後、宿題を済ませてからお風呂掃除をし、日課のトレーニング
入浴し、夕食を摂り、就寝するのは11時
遅くても12時には眠りに着く
夜更かしなんて持っての外。余程の理由が無い限り深夜まで起きていたり、外に出歩いたりすることは無かった
<ヽ`∀´>「今日も疲れたニダ…」
そして今日も、健全な生活を全うし明日に備えようと就寝の準備をしていたその時、枕もとの携帯が振動した
画面には、『素直クール』と発信者の名前が表示されている
<ヽ`∀´>「…んー」
彼女が電話を掛けてくる理由は二種類ある
『単純に暇だから構え』か『厄介ごとを持ち込む』か、である
後者に関しては滅多に無い事なので、今回の電話は無視しても良かったのだが
明日、拗ねたクールの相手をするのも面倒なので、ニダーは寝不足を覚悟して画面をタップした
<ヽ`∀´>「もしもし?」
だが、今夜ばかりは勝手が違った
- 458 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:28:27 ID:s4w1/STs0
『助けてくれ…』
.
- 459 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:30:04 ID:s4w1/STs0
- <ヽ;`∀´>「ッ!?」
今にも消え入りそうな声で、助けを求めてきた
今までも、そしてこれからもありえないだろうと思っていた事態が、突如として訪れた
<ヽ;`∀´>「クー!?どうしたニダ?」
『私の中に…だ、誰か…「別の誰かが入ってくる」…ああ!!』
ニダーは、携帯を持っていない手で頭を抑えた
クールは一人暮らしだ。女子高生の一人暮らしなど、変態共の格好の獲物だろう
だが、『そんなこと』はありえないと、誰よりも近くで彼女を見ていたニダーは知っていた
例え十人が、いや百人が襲い掛かってきても、平然と切り抜けるだろう
<ヽ;`∀´>「状況を説明するニダ!!クー!!」
抵抗する物音は聞こえないが、クールのうめき声は断続的に響いてくる
最も身近な苦しみとしては、『病気』があるが、熱でうなされているようにも思えない
幻覚や、幻聴など、ありもしないモノに迫られているような、そんな印象を受けた
「ニダー…」
<ヽ;`∀´>「クー!!しっかりするニダ!!」
「頼む…」
そういい残すと、スピーカーから『ゴトン』と衝撃音が聞こえた
携帯が、手から落ちたのだろう。失神した可能性が高い
<ヽ;`∀´>「くっ!!」
眠気が吹き飛んだニダーは、ダウンジャケットを引っつかむと
親への説明もそこそこに家から飛び出した―――――
- 460 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:31:25 ID:s4w1/STs0
.
- 461 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:34:34 ID:s4w1/STs0
- 川 - -)「…」
( ´∀`)「んん…心拍は安定しているし、熱も無い…血液検査も問題無いし、CTスキャンで脳を調べても異常は見つからない…」
N|;"゚'` {"゚`lリ「それで、素直は大丈夫なんですか!?」
( ´∀`)「問題ないとは思うモナ…瓜畑君が言うには、『助けてくれ、別の誰かが入ってくる』と言っていたようモナね」
( ´∀`)「精神的疲労…いや、そうだとしても先ず体になにかしらの支障が現れる。それの欠片も見つからないとは一体…」
<ヽ;`∀´>「…」
クールが暮らすマンションに駆け込んだニダーは、トイレで倒れているクールを見つけ、すぐさま救急車を呼んだ
親は海外へ赴任しているため、阿部さんが付添い人として駆けつけてくれた
ベッドで安らかに寝息を立てる彼女は、何の問題も無いように見えるが
ニダーの耳にはずっと、助けを求める懇願の声がへばりついていた
( ´∀`)「身体に問題が無い以上、彼女が目を醒まさない限り、この異変を解決することは出来ないモナ…力不足で申し訳ないモナ」
N|;"゚'` {"゚`lリ「いえ…体に異常が無い事がわかっただけでもありがたいですよ」
<ヽ;`∀´>「…」
( ´∀`)「だが、念のため今日と明日は入院してもらうことになるモナ。ドクオ君の時のように、何日も目を醒まさない、なんてことが無ければいいが…」
(゚、゚;トソン「院長先生ーーーーーーーーーー!!!!ちょっと来てーーーーーーーーーー!!!!」
ζ(゚ー゚;ζ「武田さんが深夜にも関わらず国語の授業始めましたーーーーーーーーー!!!!!!」
(;´∀`)そ「君ら今何時だと思ってるモナ!?すみません、席を外しますモナ!!」
- 462 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:36:41 ID:s4w1/STs0
- N| "゚'` {"゚`lリ「瓜畑、もう遅い。素直は俺が見とくから、お前はもう帰って寝ろ」
<ヽ`∀´>「いくら先生でも、それは聞けませんニダ」
N|;"゚'` {"゚`lリ「明日も学校だろう…それに、親御さんが心配するぞ?」
<ヽ`∀´>「クーが大丈夫だと分かれば登校します。親には連絡をいれましたニダ」
N|;"゚'` {"゚`lリ「うむむ…気持ちは分かるがな」
<ヽ`∀´>「先生、クーはウリに『助けてくれ』と言いました。他の誰でもない、ウリに」
<ヽ`∀´>「彼女が目を醒まして、一番に話をしたいのは、ウリだと思うんです。そしてウリは、その要求に応えなければならない」
N|;"゚'` {"゚`lリ「…やれやれ、お前はクラス一の優等生だが、素直の事となると頑固だな……」
<ヽ`∀´>「申し訳ございません…罰も甘んじて受け入れます。でも、クーが目覚めるまでは見逃してください…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…何も間違いを犯していない生徒に、罰を与えるなんて俺には出来っこないさ。わかってるだろ?」
<ヽ`∀´>「知ってる上でのお願いです」
N| "^'` {"^`lリ「ハハハ、この悪ガキめ。わかったよ、素直が目を醒ますまで、傍にいてやれ」
<ヽ`∀´>「ありがとうございます。先生はもう…」
N| "゚'` {"゚`lリ「俺も帰る気は無いさ。とことん付き合ってやるよ」
時計の両針が、真上を指す頃であった
病室の壁に掛けてある時計を目にし、『長い夜になるな』とニダーは思った
- 463 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:38:18 ID:s4w1/STs0
- <ヽ`∀´>「……はっ!」
いつの間にかベッドに突っ伏して眠っていたニダーは、シーツの僅かな動きで目を醒ました
窓からは朝日が差し込み、目が眩む
後ろからは、ソファーに座っていた阿部さんの静かな寝息が聞こえていた
<ヽ;`∀´>「クー?」
目を擦りながら、体をゆっくりと上げる
肩からは、誰かが掛けてくれたであろう毛布が、床にズレ落ちた
川 ゚ -゚)「…」
先ず、クールが目覚めた事に安堵した
次に、名前を呼んでも反応が無い事に違和感を覚えた
視線は窓の外を向いており、ニダーが目覚めた事に気がついていないかに見えた
<ヽ;`∀´>「クー…クー?」
名前を二度呼んで、やっと彼女が窓から目を放す
昨夜のヘルプ・コールから、初めて伺えた彼女の表情は
川 ゚ -゚)「…?」
『きょとん』としているかに見えた
- 464 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:39:54 ID:s4w1/STs0
- 川 ゚ -゚)「あの、お尋ねしたいのですが」
<ヽ;`∀´>「えっ!?」
心臓がビクリと飛び上がった
姿も声も、間違いなくクールだが、人格だけは別物に思えたのだ
川 ゚ -゚)「貴方はどなたで、ここはどこでしょうか…?」
と言って、首を傾げる
『ふざけてるのか』と、怒鳴りたくなったが、言葉が喉から先に出てこない
何より、『ふざけている』ようには見えなかった
誰より近くでいたニダーだからこそ、それがわかってしまった
そして思い出した
彼女との電話で聞いた、あのワードを
<ヽ;`∀´>「『別の誰かが…入ってくる…』」
_, ,_
川 ゚ -゚)「?」
クールの姿をした『誰か』が、『答えになっていないぞ』と眉を寄せるが
そんなことを気にする余裕は、今のニダーには無かった
- 465 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:41:03 ID:s4w1/STs0
長い一週間が、始まろうとしていた
.
- 466 名前:mkdHuman ◆XksB4AwhxU :2014/01/24(金) 03:43:01 ID:s4w1/STs0
『マーケティング・レンタルコミックス』
特別編
『俺達の勝利の女神のようです』
.
- 480 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 02:55:00 ID:fM2y5zhw0
- (;'A`)白「何ィ!?アカメが斬るアニメ化だと!?」
『そんな話していないニダ…』
ヤングジャンプの発売日である木曜日
朝食を食べながら、ドクオはニダーと電話していた
『食事中』にも関わらず、行儀が悪いと注意する両親は不在で
『しばらく家を空けるぞ』と行ったきり、二日ほど帰っていなかった
そんなことは日常茶飯事なので、ドクオは一人の、もとい、ブーンとの生活を謳歌していた時だった
( ^ω^)「昨日からそればっかだなお前…」
朝はご飯派なブーンは、納豆を練りながら呆れた声を出した
『真面目に聞いて欲しいニダ』
('A`)白「わかってるよ…姉御の様子が昨晩からおかしいって話だろ?」
ドクオは耳と肩で電話を挟みながら、冷蔵庫から牛乳を取り出した
席に戻ると、コップにそれを注ぎ、こんがりと焼けたトーストにジャムをたっぷりと塗りこんだ
('A`)白「話をまとめると、姉御が昨夜お前に『私の中に別の誰かが入ってくる』と助けを求めて、家に行ったら気を失っていた。病院の検査で異常は無かったが、目を醒ましたら姉御が姉御じゃなくなっていた…」
( ^ω^)「なんじゃそりゃ」
('A`)白「頭でも打って記憶がごっちゃになってんじゃねえのか?」
『頭部に怪我は無かったし、CTスキャンの結果も異常なし。院長先生も頭を捻っているニダ』
- 481 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 02:56:43 ID:fM2y5zhw0
- 『とにかく、ウリと阿部先生は今日はクー…いや、『彼女』に付いているニダ。皆も、学校が終わったら病院に来て欲しいニダ』
('A`)白「わかった、見舞い品持って行くわ。そんじゃ」ピッ
( ^ω^)「姉御、大丈夫なのかお?」
('A`)「んー、なんか別人になってるらしいなぁ」
( ^ω^)「何それ超面白えじゃん」
('A`)「ああ、超面白い…アカメが斬るアニメ化嬉しいなぁ…」
( ^ω^)「ネネちゃんママの手料理並みにしつこいなお前…」
ブーンは箸を咥えながら、リモコンの電源ボタンを押した
朝のニュース番組では、松千代市の新しい施設の紹介がされていた
テレビ<こちらは昨日松千代市で新しくオープンした大型ショッピングモール『オーカ 松千代』です
テレビ<着工から二年というスピードで建造されたこのモールは円柱型をしており…
('A`)「あー、これオープンしたの昨日だったんだな」
( ^ω^)「なんでも、中央が上から下まで吹き抜けになってて、こう、囲むようにショップが並んでる構造らしいお」
('A`)「へー…オシャンティなモンが出来たんだな」
( ^ω^)「オシャンティって何?」
('A`)「知らん」
- 482 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 02:58:09 ID:fM2y5zhw0
- テレビ<それでは、オーナーの稲荷フォックスさんにお話を…
('A`)「別のに変えてよ」
( ^ω^)「ん」ピッ
テレビ<VIP市内の『勝良神社』から歴史的価値の高い品を盗み、窃盗の容疑で逮捕された『金シナー氏』が昨夜、留置所内で死亡しているのを所員が発見しました
('A`)「えっ、この犯人死んだの?」
( ^ω^)「確か、盗まれた品はまだ見つかって無いんだっけ?」
('A`)「らしいな。勝良神社といやあ…」
テレビ<勝良神社はその名前から『勝利のご利益がある』と評判で、毎年多くの受験生や就活生が参拝することで有名でした
('A`)「そうそう、この辺りの学生なら一度は訪れる場所だろ」
( ^ω^)「俺らも受験の時に行ったおね」
('A`)「ああ…しっかし、これで盗品の捜索が困難になったな…」
テレビ<警察は自殺と見て捜査を続けています
('A`)「姉御のことと言い、物騒な事件が多い気がするぜ…」
( ^ω^)「早く見つかる事を祈るばかりだお」
- 483 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:00:06 ID:fM2y5zhw0
- ―――――
―――
―
(;・∀・)「クッククククククックク!!」
('A`)「鶏かお前は…」
(;・∀・)「クールさんが倒れたって!!本当なの!?」
( ^ω^)「何を言ってるかわかんねーと思うが、俺らも何を言われたかわからなかった…天変地異や魔王襲来なんてチャチなもんじゃあ断じてねえ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
从;=∀从「人間扱いしなさ過ぎだろ…いくらあの人でも一生に一度くらいは倒れたりするってーの…」
(;-@∀@)「いやあの、ハインさんも結構言うね…」
朝礼前
2−Mクラスは、いつもより一人少ないメンバーが集まっていた
もちろん話題はクールが倒れたこと
全員に連絡が行き渡っていたが、電話で詳しい話を聞かされたのはドクオだけだった
(;・∀・)「たっ、確か!!クールさんって一人暮らしだったよね!?誰かに襲われてクロロホルム吸わされたとか!?」
('A`)「ねーよ」
( ^ω^)「ねーお」
从 ゚∀从「ねーよ」
(-@∀@)「ちょっと一旦落ち着こうモララー。クールさんに限ってそれは無い」
('A`)「バラライカとガラミィとココと勇次郎掛けて四で割ったような女だぞ?そんなことある訳ねーだろ」
( ^ω^)「一人性別が違うんですがそれは」
- 484 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:01:08 ID:fM2y5zhw0
- ('A`)「怪我も病気も見つからなかったらしいんだがな、ニダーが言うには…」
*(#‘‘)*「オラアアアアアアアアアアアア!!!!朝からピーピーピーピー騒いでんじゃねえぞガキ共オオオオオオ!!!!阿部のバカに変わってアタイがHRしてやっから席着けやゴルアアアアアアアアアア!!!!」
('A`)「おっと、沢近先生が来ちまった。また後でな」
从 ゚∀从「はいよっと。相変わらず沢近ちゃんはロリ体型の割りにこええ」
(;・∀・)「ああ、なんて生殺しな…あの人に何かあったら僕は…」
(-@∀@)「ほらモララー、席行こう。ね?」
( ^ω^)「大げさだろ…」
*(‘‘)*「よっし、席着いたな…そんじゃあ出席を…」
代理の先生が出席簿を開いたその瞬間
教室の扉が勢い良く開き
ノハ;゚听)「クール先輩が倒れたって!!本当ですかあああああああ!!!!!」
メンバーの中で一番姦しい人物が飛び込んできた
*(#‘‘)*「るせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
その日の2−Mの朝は、いつも以上に賑やかだったという
- 485 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:03:56 ID:fM2y5zhw0
- そしてあっという間に放課後である
('A`)「見舞い品…ヤンジャンでいいか」
( ^ω^)「良くねーよ」
('A`)「でも今週のヤンジャン、キングダムが表紙の上に東京喰種アニメ化特報、更にはローゼンメイデンの最終回が載ってるんだぜ?これ貰って嬉しくないやつなんているの?」
从 ゚∀从「おーい、そのジャンキーにいくら突っ込んでも無駄だからちゃっちゃと果物買って病院行こーぜ」
( ^ω^)「ドクオの扱いが上手くなってるお…」
('A`)「ヤンジャン…ヤンジャンヤッター…」ブツブツ
ノパ听)「ついでにドクオ先輩の頭も見てもらいましょうよ」
(-@∀@)「それは名案だね。でもきっと治療法は見つからないと思うよ」
(;・∀・)「これください!!一番高いやつ!!」
从 ゚∀从「おいちょっと待て、ドリアン入ってる見舞い篭なんて持ってけるわけねーだろ。ほどほどで良いんだよほどほどで」
( ^ω^)「いいじゃん面白そうだし」
从;゚∀从「散々世話になった病院で臭いテロなんて起こせるかっての…」
( ^ω^)「大丈夫、院長先生そういうの好きだから」
从;゚∀从「おめーは先生をストレスで入院させる気なの?」
- 486 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:04:51 ID:fM2y5zhw0
- 松千代病院に辿り着いた一行を迎えてくれたのは、見知った顔であった
ζ(゚ー゚*ζ「あ、皆さんお久しぶりーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
从;゚∀从「ご、ご無沙汰してますデレさん…相変わらず声でかいですね」
('A`)「あの、素直クールの見舞いに来たんですが」
ζ(゚ー゚*ζ「ああーーーーーーーーーーーーーー!!!!!クールちゃんですねーーーーーーーーーー!!!!!!!それなら168号室ですよーーーーーーーーーー!!!」
('A`)「イムヤ号室ですね、わかりました」
( ^ω^)「ゲーム脳乙」
(;・∀・)「クールさーーーーーーーん!!!!!今行きますよーーーーーーーーーーー!!!!!!!」ドタドタドタ
ζ(゚ー゚#ζ「コラーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!病院内は叫んだり走ったりしないーーーーーーーーーー!!!!!!」
(;-@∀@)「説得力が皆無ですね…」
ノハ;゚听)「うう…」
从 ゚∀从「走るんじゃねーぞヒート」
ノハ;゚听)そ「!!」
我先にと走り出したモララーの後を、五人はゆっくりと歩きながら後に続いた
('A`)「しっかし、生きてる間に姉御の見舞いするたあ思わなかったな」
( ^ω^)「MAXスピードの新幹線とぶつかっても打ち勝つような女だもんな」
(;-@∀@)「クールさんを神格化しすぎでしょ!!」
('A`)「地上に降り立った邪神を人間扱いしろってのが…お?」
などと、失礼な会話を繰り返していると
前方から、見慣れた青いツナギの男性が歩いてきた
- 487 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:07:24 ID:fM2y5zhw0
- N|;" '` {" `lリ「…」
('A`)「阿部先生…だよな?」
いつもとは違う担任の様子に、五人の足は止まる
はつらつとした姿は無く、顔に疲れが表れていた
从 ゚∀从「せんせー」
N|;"゚'` {"゚`lリ「お、ああ…お前らか」
( ^ω^)「どうしたんだお先生。いい男の顔じゃなくなってるお」
ノハ;゚听)「まさか!!クール先輩に何か!?」
N|;"゚'` {"゚`lリ「いやいや、素直自身は到って健康だ。問題『さえ』無けりゃ今日で退院出来る」
('A`)「問題があるんすか?」
N|;"゚'` {"゚`lリ「見てくりゃわかる…瓜畑は流石だな。本当に素直に対して献身的だ…」
と言って、阿部さんは胸ポケットからタバコを取り出し、咥えて火を付けようとして
済んでの所で思いとどまった
N|;"゚'` {"゚`lリ「ああ、しまった…喫煙所で吸わないとな…」
(;-@∀@)「先生、大丈夫ですか…?」
('A`)「はい、榛名は大丈夫です!!」
( ^ω^)「ゲーム脳乙」
N|;"゚'` {"゚`lリ「ちょっと一服してくるが…くれぐれも取り乱さないようにな…上条は窓から飛び降りかけた」
('A`)「何やってんのあいつ…」
阿部さんは覚束ない足取りで、喫煙所まで歩いていった
- 488 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:08:52 ID:fM2y5zhw0
- ('A`)「…お前何やってんの?」
( ・∀・)「…縛られてる」
168号室前では、シーツで縛られたモララーが転がされていた
その顔は、どこか悟りを開いたかのように穏やかで、気持ちが悪かった
( ^ω^)「窓から飛び降りかけたんだってな」
( ・∀・)「ああ…そうなんだ…」
从;゚∀从「こいつ、目が死んでるんだけど…」
(;-@∀@)「とにかくシーツを…結び目硬っ!!解けない!!」
( ・∀・)「ああ…お気遣い無く…しばらくここで往来を行きかう人々を眺めてるから…」
('A`)「おう、じゃあ遠慮なく」ギュムッ
(; ∀ )∴「おうふ!!」
(;-@∀@)そ「踏むなーーーーーーーーーーー!!!!」
:(; ∀ ): ビクンビクン!!
- 489 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:10:40 ID:fM2y5zhw0
- ('A`)「ヘーイ姉御ーーーーーー!!!!触ってもいいけどサー、時間と場所を弁えなヨーーーーーー!!!!」
勢い良くドアを開け、第一声
普段のクールならここで鋭いツッコミが飛んでくるところだが
川 ゚ -゚)「…」
不思議そうな顔を向けると
('A`)「…?」
川 ^ー^) ニコッ
にっこりと微笑んだ
(;'A゚) ゾクッ!!
- 490 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:11:55 ID:fM2y5zhw0
- ドクオのテンションと、クールに対する『大丈夫だろう』という想いは、その笑顔で一気にぶち壊された
彼の知るクールの笑顔は二種類。『口角を少し上げるニヒルな笑み』と、『悪魔が玩具を見つけた時のような、邪悪な笑顔』
彼女が今、ドクオに向けるそれは、そのどちらにも分類しない、『年相応の少女の笑顔』だった
だからこそ、ドクオは恐れ慄いた!!
『シャイニング』で、ドアを斧で壊し、その隙間から『お客様だよ』と愉快に迫るジャック・ニコルソンよりも
『ムカデ人間2』で、念願のムカデ人間を創り、愉悦に浸り嗤うローレンス・R・ハーベイよりも
もっともっと恐ろしいモノが、ドクオの目の前にいた
川 ^ー^)「こんにちは、いいお天気ですね」
(;'A゚)「ア…ア……」
<ヽ;`∀´>「あー、ドクオ?信じられないかもしれないけど…」
(;'A゚)「こんなの!!姉御じゃなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!」
数分後、モララーと同じ過ちを繰り返したドクオは
二人仲良くシーツでギチギチに縛られ、床に転がることとなった
- 491 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:13:31 ID:fM2y5zhw0
- ―――――
―――
―
川 ゚ -゚) シャクシャク
从 ゚∀从「リンゴ、うまいっすか?」
川 ^ー^)「ええ、アダムとイブが禁忌を犯してでも食べたくなる気持ちがわかります」
从;゚∀从「そ、そうっすか…」
両手を使って小動物のように切り分けたリンゴを食べる彼女を見て、その場の誰もが歯がゆい気持ちになる
例えるならば、『狼の皮を被った羊』だろうか。普段のクールとのギャップが、より不安を煽った
('A`)「どう言う事だ…ハインもヒートもスカートの中に短パン穿いてやがる…」
( ・∀・)「本当だ…御坂だね…」
ノパ听)「だって寒いんですもん」
从 ゚∀从「ジャージじゃないだけありがたいと思え」
( ^ω^)「この二人を地面に転がしといても女性陣が動じない理由はそれか…」
(-@∀@)「女性はお腹冷やすとダメって聞くしね…」
川 ゚ -゚)「私も、寝るときは腹巻をしますよ」
ノパ听)「私はですね!!湯たんぽも使います!!」
('A`)「湯たんぽって何?」
( ^ω^)「ゆとり乙」
<ヽ`∀´>「現実を見たくない気持ちはわかるけど、ちょっと一回話を聞いてもらえないニカ?」
- 492 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:16:07 ID:fM2y5zhw0
- ('A`)「そんな小事どうでもいいよニダー…俺らはこうやって地面を這い蹲って生きていくから…」
( ・∀・)「芋虫のように這って動き、犬のように手を使わずにご飯食べて、所構わず糞尿を垂れ流しながら生きるから…」
( ^ω^)「ネガティブすぎだろ…」
川;゚ -゚)「そんなこと言ってはダメです!!」
クールの姿をした『誰か』は元気良くベッドから降り、縛られて床に転がる二人に近寄った
川;゚ -゚)「立って歩き、前を進みましょう。あなた方には立派な足があるではありませんか…!!」
('A`)「エ…エドワード!!」
( ・∀・)「エ…エルリック!!」
<ヽ;`∀´>「あー、もー…話が進まないニダ…」
从 ゚∀从「もうアレほっといて俺らに話してくれね?」
(-@∀@)「ツッコミ不在の恐怖にいつまでも付き合ってらんない」
<ヽ;`∀´>「いつもはクーがストッパーだしね…わかったニダ。じゃあ、ウリが彼女の話をするニダ」
川 ゚ -゚)「いえ、それには及びません」
二人の頭を撫で回していた『誰か』は、すっと立ち上がり、再びベッドの上に昇った
そして正座をし、三つ指を着いて深々と礼をした
川 ゚ -゚)「お初にお目にかかります。私、天界から参りました『勝利の女神』で御座います」
- 493 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:19:52 ID:fM2y5zhw0
- 病室の時が止まった
クールのお辞儀もそうだが、口から飛び出したとんでもなくファンタジーな自己紹介に
ニダーを除くメンバー全員の頭が着いていかなかった
(;^ω^)「お、おう…姉御、あんた今年で18だよな?そろそろそういうの卒業したほうがいいんじゃね?」
最初に気を取り直したブーンが、『おふざけだろう』と注意する
しかし、『誰か』はきょとんと首を傾げ
川 ゚ -゚)「いえ…正確な年齢は忘れましたが、恐らく紀元前から存在していましたが…」
('A`)「紀元前!?キングダムの世界どうだった!?王騎将軍強かった!?」
从 ゚∀从「ヒート、そいつの顔踏み抜け」
ノハ#゚听)「セイッ!!」ズドン!!
(メ)A゚)∴「ゲイバァ!!」
川 ゚ -゚)「きんぐだむ…?ごめんなさい、存じ上げません…」
从;゚∀从「いや、あんたは謝らなくていいよ…こいつの持病だから」
川 ゚ -゚)「まぁ、お大事になさってくださいね」
( ^ω^)「それより、いつまでその小芝居続けるつもりなんだお?いい加減寒いんだが?」
川 ゚ -゚)「服を着なさっては?」
( ^ω^)「おっといけねえ、全裸だった。でもムスコは皮被りねって誰が包茎やねん!!」
('A`)「おめーだよ」
( ^ω^)「うるさい黙れ仮性はノーカンだし」
- 495 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:22:42 ID:fM2y5zhw0
- ( ^ω^)「ふざけてるだけなんだろ?ニダーは本気で心配してるし、そこで転がってるバカ二人は窓から飛び降りかけた。ここまで人に迷惑掛けといてその小芝居続けるってどういう神経してんだお」
川;゚ -゚)「…」
<ヽ`∀´>「ブーン」
( ^ω^)「この場の雰囲気でわかんねえかお?マジで頭打っておかしくなったんじゃねーのってみんな心配してるんだぜ?ここまでくりゃ悪戯通り越して迷惑行為だ。アンタ、そんな構ってちゃんだったのかお?」
川;゚ -゚)「…あ、あの」
<ヽ`∀´>「ブーン」
( ^ω^)「わかったらいつもみてえに尊大な口調で『悪かった』って謝れよ。今ならまだ性質の悪いジョークで済む。でも、これ以上その態度とり続けてたらいくら姉御でも俺h」
ブーンの言葉は、平手打ちで遮られた
ヒートとアサピーの肩が、破裂音でビクリと痙攣した
( ^ω^)「…痛えお。ニダー」
<ヽ`∀´>「気に食わないなら、後で幾らでもウリを殴ればいいニダ。でも…」
川 ; -;)「ごめ、ごめんなさい…で、でも…ほっ、本当なんです…」
『ごめんなさい、ごめんなさい』を繰り返しながら、彼女は涙を流していた
その姿はふざけている様には見えず、しゃくりあげながら寝巻きの袖で止め処なくあふれ出る涙を拭っていた
(;^ω^)「ッ…」
<ヽ`∀´>「まずは『彼女』に謝るニダ」
- 496 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:24:41 ID:fM2y5zhw0
- (;^ω^)「…」
(;‐ω‐)「すまんかったお…俺も冷静じゃなかった…話の信憑性は別として、責めた事は謝るお。許して欲しい」
川 つ-;)「スン、いえ…貴方が正しいのです。許すことなど御座いません」
从 ゚∀从「まーとにかく、先ずは話聞こうぜ。この際、先入観は捨ててさ」
(-@∀@)「そうだね。どうも『クールさん』のイメージが邪魔してたね」
ノパ听)つ□「どうぞ、ハンカチ使ってください」
川 つ-;)「ありがとう…」
『彼女』はヒートからハンカチを受け取ると、目元に添えた
涙を拭きながら話始めようとする彼女の背中を、『落ち着いてからで良い』とニダーが擦った
('A`)「…」
( ・∀・)「…」
('A`)(これ俺らも悪くね?)
( ・∀・)(心が痛い)
从 ゚∀从(しばらく転がってろバカ二人)
('A`)(こいつ直接脳内に…!!)
- 497 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:26:55 ID:fM2y5zhw0
- 川 ゚ -゚)「…もう大丈夫です。取り乱してすみませんでした」
目は赤く腫れたままだが、一先ず泣き止んだ彼女は再びメンバーと真っ直ぐ向かい合った
その表情は、『クール』とはまた別の種類の『凜』とした色を放っていた
<ヽ`∀´>「じゃあ、最初から詳しく説明してもらえますニダ?」
川 ゚ -゚)「はい。先ほど申し上げたとおり、私は『勝利の女神』と呼ばれる、所謂『神』に分類される存在です」
川 ゚ -゚)「現在はこの『素直クール』さんのお体をお借りして、こうして皆様とお話出来ています」
从 ゚∀从「その…キツい言い方になるんですが、それを証明出来るものは在りますか?」
ハインの質問に、彼女は首を振った
川 ゚ -゚)「残念ながら、現在は『人の身』である状況。力をお見せすることは不可能です」
从 ゚∀从「じゃあ、どうしてこの…現世?地上?…うーん…」
( ^ω^)「『こっち側の世界』でいいだろ」
从 ゚∀从「ああ、うん。地上へとやってきたんですか?何か、人類に対する警告とか…」
( ^ω^)「俺の意見ガン無視?」
川 ゚ -゚)「それが…私にも良くわからないのです」
(-@∀@)「わからない、とは?ご自分の意志でやって来たのでは無いと?」
川 ゚ -゚)「ええ、気がついた時にはこの部屋で眠っていました。しばらく状況が掴めず、ぼんやりとしていると」
川 ゚ー゚)「傍らにいたニダーさんが心配そうに声を掛けてくれました」
ふわりとした笑みを向けられたニダーは、照れくさそうに頬を掻いた
- 498 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:28:30 ID:fM2y5zhw0
- 川 -ー-)「ニダーさんと、阿部さんには色々と説明して貰いました。ご自身の事、素直さんの事、皆さんの事…」
川 -ー-)「そして、皆さんの反応を見て思いました。『素直クール』と言う方は、とても信頼されている、素敵なお方なんだなって」
( *・∀・)「ええ!!世界中どこを探してもあんなパーフェクトな女性はいませんよ!!」
ノハ*゚听)「美貌!!強さ!!頭脳!!カリスマ!!どこを取ってもクール先輩の右に出るものはいません!!」
( ^ω^)「お前ら姉御に幻想抱きすぎだ」
俄然盛り上がる二人を見て、彼女は口元に袖を添えてクスクスと笑った
川 ^ー^)「フフフ、こんな楽しい人達が集まるんだもの。人徳が成せる技なんでしょうね」
<ヽ`∀´>「ええ…その通りですニダ」
('A`)「質問、いいっすか?」
川 ゚ -゚)「あら、失礼しました。まだお話の最中だと言うのに…」
('A`)「俺らは基本こんな感じだ。気にしなくても良いさ」
川 ゚ -゚)「はぁ…」
('A`)「それじゃあ質問なんだが…現在、『素直クール』の体には『アンタ』という人格…いや、『神格』と言うべきかな?が、入ってる状態だ」
('A`)「では、肝心の『素直クールの人格』はどこへ行ったんだ?」
- 499 名前:名も無きAAのようです :2014/01/27(月) 03:31:40 ID:fM2y5zhw0
- 場の空気が再び凍りついた
ここにいる誰もが最も聞きたい質問であり、最も聞きたくない質問でもあった
『素直クールの人格を見失った』。そんな答えが返ってくれば、勘の良い者ならそれがどんな意味を孕んでいるかわかるだろう
『人格の消失』。それは即ち、『素直クールの死亡』に等しい
二度と素直クールには出会えないという、残酷な答え
川 ゚ -゚)「…」
その事をわかっているのか、彼女は一呼吸置いてドクオの質問の答えを口にした
川 ゚ -゚)「『います』。素直クールさんは、ここに」
と言って、胸元に手を添える
川 ゚ -゚)「私がこの体に入り込んだ瞬間、恐らく彼女の魂は『防衛手段』として『人格を眠りにつかせた』のでしょう。一つの体に二つの魂は相容れない」
川 - )「ましてや私は『神』。最悪の場合、彼女の人格を全て消し去って『上書き』をしてしまう可能性だってあった…」
ありえたかもしれない『最悪』に、彼女の体は震えだした
:川; - ):「私は、人を殺す所でした…いえ、殺すよりもっと恐ろしい…輪廻の理にさえ導けない、『魂の消失』をしてしまう所だった…」
:川; - ):「今でも、ふとした弾みに彼女を消してしまうのでは無いのかと…恐ろしくて堪らないのです…」
- 507 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:01:32 ID:d8J/y8us0
- ('A`)「ああ、そりゃありえねーわ」
そんな彼女の不安を、ドクオはあっさりと否定した
('A`)「あの姉御がそんな簡単に居なくなるかよ。一人で駆逐艦を沈めるくらいの女だぜ?」
川;゚ -゚)「くち…?」
(-@∀@)「えっ、沈めたことあるの?」
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
<ヽ`∀´>「…」
(;-@∀@)「ひ、否定してよ…」
<ヽ`∀´>「彼の言うとおりです。素直クールは並大抵のことでは動じない女性です」
<ヽ`∀´>「そこに彼女の『我』があるのなら、何があっても消えなどしません」
<ヽ`∀´>「ここにいる全員、そんな心配はしていませんニダ」
川;゚ -゚)「…」
『彼女』はメンバーの顔を見渡すが
誰一人、不安げな顔をしている者などいなかった
('A`)「な?杞憂だよ杞憂」
川;゚ -゚)「…はい」
从 ゚∀从「先輩のことより、自分の心配したほうがいいですよ。その…天界っての?に戻る方法とか無いんですか?」
- 508 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:03:16 ID:d8J/y8us0
- 川;゚ -゚)「その…天界でも類を見ない事態なので、私にも対処法が…」
ノハ;゚听)「じゃ、じゃあ!!ずっとこのままってことですか!?」
( ・∀・)「あるいは二重人格者みたいにスイッチを切り替えながら過ごすとか?」
川;゚ -゚)「そ…」
川;∩-∩「そうなったらどうしましょう…」ズーン…
ノハ;゚听)そ「あ、いえ!!別に貴方のことが嫌だとかそういうのじゃなくて!!」
(;・∀・)「二重人格設定も僕的には美味しいんで願ったり叶ったりなんですけど!!」
( ^ω^)「もうお前ら喋るな。話がややこしくなる」
川;゚ -゚)「わ、私、人間界でちゃんと生活していけるでしょうか…?神でも運転免許取れますか?」
<ヽ;`∀´>「だ、大丈夫ですニダ!!今は何度失敗しても追加料金を取られないプランもありますから!!」
从 =∀从「おーい、落ち着けー」
('A`)「ちょっと冷静に考えてみろよ。『来れた』ってことはだ、帰れる可能性だって十分ありえるだろ」
(-@∀@)「まぁそれが何年先なのかは誰にもわからないんだけどね」
川;∩-∩「大学受験とか!!就職活動とか!!神でも受けられますか!?」
( ^ω^)「黙ってろクソ眼鏡。眼鏡チェックワンツーかますぞ」
(;-@∀@)そ「僕のアイデンティティ!!」
- 509 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:04:29 ID:d8J/y8us0
- ('A`)「天界からの迎えとか…なんかの拍子にぽっと抜け出すとか…そんな感じでゆるく解決出来るんじゃね?知らんけど」
从;゚∀从「もはや投げやりじゃねーか」
('A`)「床冷たい…誰か起こして…」
川;゚ -゚)「そ、そうですよね!!試しに天界に向けてSOSを発信してみます!!」
从 ゚∀从「どうやって?」
川;゚ -゚)「うー…」
\川;>Д<)ノ「はーッ!!」
<ヽ`∀´>「…」
('A`)「…」
从 ゚∀从「…」
( ・∀・)「…」
ノハ*゚听)「…」トゥンク…
(-@∀@)「…」
( ^ω^)「…シバかよ」
(-@∀@)「あえて誰も突っ込まなかったのに…」
- 510 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:06:20 ID:d8J/y8us0
- 川;T -T)「ダメです役立たずでごめんなさい」
<ヽ;`∀´>「いえ!!大丈夫ですニダ!!諦めずに続けてたらきっと届きますニダ!!」
ノハ*゚听)「今のムービーに抑えときたいんでもう一回いいですか!?」
从 ゚∀从「気持ちはわかるけどやめとけ…元に戻ったら携帯叩き割られるぞ」
川;T -T)「うう……神パワーが使えない私なんてネットが出来ないパソコンです…」
(-@∀@)「それでも割りと使える気がしますけど…」
( ^ω^)「中身の無いコーラとかでいいんじゃね?」
川;TДT)「ただの資源ゴミじゃないですかー!!!!」
<ヽ;`∀´>「いやっ、ほら!!お茶入れて凍らせたら夏場に便利ですニダ!!」
('A`)「…ん?」
( ・∀・)「どうしたのドクオくん?床の冷たさがそろそろ癖になってきた?」
('A`)「いや…気のせいかな?姉御の腹になんか…」
( *・∀・)「え!?お腹!?そりゃ大変だすぐに確認しよう!!」
从 ゚∀从「ヒート」
ノハ#゚听)「テリャッ!!」ズドム!!
(; ∀ )∴「東京食種アニメ化ァ!!」
从 ゚∀从「もう一方のも」
(;'A`)「ウェイウェイウェイちょい待って!!マジだって!!なんか、刺青みたいなのがチラッと見えたんだよ!!」
从 ゚∀从「…本当か?」
(;'A`)「なんなら確認しろって!!言っとくが、姉御の腹を見たのは偶然だぞ!?不可抗力なんだからな!!」
- 511 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:07:29 ID:d8J/y8us0
- 从 ゚∀从「…よーしわかった、そこまで言うなら確認してやる。男共は一旦退室しろ」
( ^ω^)「腹くらい良いじゃねーか…夏休みん時散々見たっつーの」
从 ゚∀从「あれは『先輩』だろ?今ここにいる人は別人…いや、別『神』だ。恥ずいに決まってんだろ。ですよね?」
川;゚ -゚)「は、はい…出来ればご退席願いたいと…」
从 ゚∀从「っつーこった。さ、出てった出てった」
ノパ听)「シッシ!!ハウス!!」
( ^ω^)「俺らは犬かよ…」
ハインとヒートに押し出され、または『蹴りだされ』
男性陣は一度退室した
ちょうどその時、一服終えた阿部さんが戻ってきた
N| "゚'` {"゚`lリ「…着替えでもしてるのか?」
(-@∀@)「お腹見てます」
N|;"゚'` {"゚`lリ「ハァ?」
(;'A`)「…」
( ・∀・)「チラッとでもクールさんのお腹を見た君が恨めしい」
( ^ω^)「だから夏休みに散々見たって……」
( ^ω^)「どうした、ドクオ?」
まだ何か言いたげなドクオの表情を、ブーンは察した
(;'A`)「いや…おっかしーんだよな…」
( ^ω^)「何が?」
- 514 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:10:45 ID:d8J/y8us0
- (;'A`)「性格や雰囲気もそうだが、もっと表面的に変化してる気がするんだよ…」
( ^ω^)「表面?」
(;'A`)「ああ…さっき見た姉御の腹、いや腹筋が」
<ヽ`∀´>「『割れていなかった』ニダ」
ドクオが言い切る前に、ニダーがその異変を口にした
<ヽ`∀´>「それだけじゃない、腕や足の筋肉も衰え、丸みを帯びているニダ。クーは元々アスリート体型。皆も知っての通り、彼女の腹筋は『割れていた』」
<ヽ`∀´>「検査結果を見ても、体重『だけ』がガクッと落ちていたニダ…院長先生が言うには、『女性として理想』の体重、体格に」
( ・∀・)「それってつまり…」
( ^ω^)「姉御は『普通の女の子』になったってワケか?」
<ヽ`∀´>「…恐らくは」
( ^ω^)「…ハッ、こりゃマジでオカルトの領域じゃねーかお」
('A`)「ドッピオとボスみたいなもんか…あれほどはっきり分かれちゃいねーが」
<ヽ`∀´>「『彼女』の話を信じたのも、そういった『変化』が見て取れたからニダ。性格は偽れても、『体格』までは偽れない。ましてや、昨日今日の短期間で、『マイナス』の方面に偽装させるなんていくらクーでも無理ニダ」
(-@∀@)「そんなとこまで見てたんだね…」
<ヽ`∀´>「…」
<ヽ* ∀ >「っ…」
(;-@∀@)「あっ、いや、別に変な意味として言ったわけじゃないよ?」
- 515 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:12:11 ID:d8J/y8us0
- 「入ってもいいぞ」
('A`)「…さて、鬼が出るか蛇が出るか」
( ・∀・)「いい加減拘束解いてくれない?移動するのも面倒でしょ?」
<ヽ;`∀´>「そ、そうニダね…とりあえず、入ってから解くニダ」
阿部さんを含む男子メンバーが、再び入室する
川*∩-∩「お嫁に行けない…」
( ^ω^)「神の世界にも結婚とかあるのか…で、何か見つかったのかお?」
从 ゚∀从「あー、ドクオの言うことはマジだった。刺青…っつーか『タトゥー』かな。マークが入ってた」
ノパ听)「こんな感じ…ですかね?」
ヒートはノートに描き込んだ絵を、男性陣に差し出す
( ^ω^)「なんだこりゃ…」
(-@∀@)「ワンピースの『タイヨウの海賊団』の焼印みたい…だね」
('A`)「えっちょっと俺も早く見たい!!ニダー早く解けよ!!」
<ヽ;`∀´>「待って…固く結びすぎたニダ…」
N|;"゚'` {"゚`lリ「どんだけ力入れたらこんなギチギチになるんだ…」
( ・∀・)「一生簀巻きで生きる覚悟、するしかないのかな…」
- 516 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:14:40 ID:d8J/y8us0
- そのタトゥーは、鳩尾から臍までの大きさの『円』が描かれており
それを中心に『花びら』の形をしたマークが、円にそって規則正しく並んでいる
また、下腹部から胸元にかけて『一本の棒』が真っ直ぐ敷かれてあった
先端が鋭利になっていたことから、『槍』のように見えた
('A`)「これが、体に刻まれてあったってのか…」
シーツから解放されたドクオは、スケッチされた紙を手に取る
横から、ヒートが覗き込むように顔を近づけた
ノパ听)「こんなの掘ってたら、停学じゃ済まないですよね?」
('A`)「あー、宮村みてーに耳にブツブツピアス開けて夏でもセーター着ないとバレるくらいタトゥー入れたらいくら姉御でも退学になるわな」
( ^ω^)「伝わりにくい例えやめろよ…」
从 ゚∀从「先輩がこんなバカするとは思えねーしな。それにこのマークだせーし」
<ヽ`∀´>「このマークに見覚えはありますニダ?」
川;゚ -゚)「んん…どうでしょう…?」
从 ゚∀从「つーかさっきまで気がついてなかったんだぜ?胸が邪魔で見れなかったって」
川*∩-∩「言わないでください恥ずかしい…」
ノパ听)「…」
( ^ω^)「大丈夫!!貧乳は正gいや違うこれ俺の言葉じゃなくてまゆしぃのd
(メ)ω(メ)「誰かお医者先生呼んで」
('A`)「良かったな、ここには充分すぎるほどいるぞ」
( ^ω^)「まぁいらないんですけどね」ポン
川;゚ -゚)そ「怪我が治った!?貴方も神なのですか!?」
( ^ω^)「とんでもねえあたしゃマッチョ様だよ」
- 517 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:16:15 ID:d8J/y8us0
- ('A`)「面白人間大集合は置いといて」
从 ゚∀从「お前もその一人だけどな」
('A`)「おうサンキューこれからも応援よろしく。今のところ有力な手がかりが『コレ』だけなんだが、本当に見覚えが無いのか?」
川;゚ -゚)「んー…数千年も存在してますからね…あるような…別物のような…」
( ・∀・)「見ようによっては家紋や神社の紋章にも見えるね」
( ^ω^)「つーか先ず日本の神様なの?」
川;゚ -゚)「えと、私は『勝利の女神』なので…割りとどこにでもいる存在と言うか…」
( ^ω^)「オーケーわかった。莫大過ぎてついてけねえ」
N| "゚'` {"゚`lリ「さっきから何のやりとりしてるかわからないが、そのマークの出所が知りたいならネーヨに調べさせようか?」
从 ゚∀从「ネーヨさんそういうの詳しいんですか?」
N| "゚'` {"゚`lリ「仕事柄、情報屋とのコネがあるのさ」
(-@∀@)「でもお高いんでしょう?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ネタによるな」
('A`)「新鮮なモララーの体でここは一つ」
(;・∀・)「平然と友達売るのやめてよ!!」
N| "゚'` {"゚`lリ「それもいいが、むしろ年配の男性の方が好みらしい」
( ^ω^)「ま た ホ モ か」
('A`)「それなら院長先生持ってけばいいよ」
从;゚∀从「お前らは院長先生を軽視しすぎだろ…それに、その情報屋gN| "゚'` {"゚`lリ「ホモだ」せめて『女性かもしれない』って言い切らせて」
- 518 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:18:30 ID:d8J/y8us0
- N| "゚'` {"゚`lリ「ま、そこはネーヨの交渉次第だろう。お前らは金の心配なんてするな。いざとなったら俺が何とかするから」
頼もしく言い切る阿部さんの眼光は、獲物を狙う野獣のそれと変わらないものだったと
後に、ブーンは語ったという
川;- -)「申し訳御座いません…私が到らぬばかりに…」
N| "゚'` {"゚`lリ「ん?ああ、気にする必要なんてねえぜ?例え神様だろうとなんだろうと、俺が生徒だと思った奴はみんな生徒さ。先生は生徒に頼られる存在じゃねえとな」
川;゚ -゚)「生徒…先生?」
N| "゚'` {"゚`lリ「突拍子もねえ話を信じるのも、先生の役割ってわけさ。そんじゃ、俺は早速ネーヨに話を着けてくる」
阿部さんは手をヒラヒラと振ると、電話と二度目の一服をしに病室を後にした
('A`)「で、これからどうする?」
川;゚ -゚)「これから、とは?」
('A`)「いやさ、アンタが天界に帰るまではずっと姉御の体にいるわけだろ?姉御には姉御の生活があるわけだよ」
ノパ听)「学校は行かなきゃダメですよね!!」
川;゚ -゚)「が、学校!?じ、自動車教習所ですか?」
(;-@∀@)「なわけ無いでしょ…高校生はまだ取れないですよ」
川;゚ -゚)「が、学校って言うと、制服を着て桜並木を歩き、卒業式には伝説の木の下で告白されるという、あの?わ、私恋愛とかそういうの疎くて、も、もしかしたら相手にご迷惑をかけてしまうかも…」
( ^ω^)「かーなーりー捻じ曲がった学校イメージ持ってんだなアンタ…ときメモかっての」
- 519 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:20:17 ID:d8J/y8us0
- 从 ゚∀从「つーか先輩はもう学校行かなくてもいいんじゃね?三年だしこの時期だし」
('A`)「そこを突くとは…やはり天才か!!」
从;=∀从「いやいや…」
ノパ听)「確か、クール先輩って推薦合格してましたよね?」
<ヽ`∀´>「割りと早い段階で受かったニダ。大学側がどうしてもって頼み込んだらしいニダ」
( ^ω^)「姉御はニダー以上のハイスペックだからな…」
('A`)「んー…じゃあ退院して、普段は姉御の家にいりゃ良いワケだ」
( ^ω^)「なんだよじゃあ全然大丈夫じゃん。誰にも怪しまれないし姉御の評判も面白い事ににならないじゃんクソが」
( ・∀・)「君はクールさんをどうしたいのかな?」
<ヽ`∀´>「いや、ひとつ問題があるニダ」
( ・∀・)「何?」
<ヽ`∀´>「家事、出来るニカ?」
川 ゚ -゚)「『かじ』って…建物が燃えることですか?」
(-@∀@)「それは火事ですね」
川 ゚ -゚)「船の進路を操作する…」
从 ゚∀从「舵な」
川 ゚ -゚)「逆境無頼…」
('A`)「そりゃカイジだ…おいこれいつまで続くんだ?」
- 520 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:22:56 ID:d8J/y8us0
- <ヽ`∀´>「お料理や、掃除の経験はありますか?」
川;゚ -゚)「か、神だって炊事や掃除くらいできます!!」
<ヽ`∀´>「…お米の研ぎ方は?」
川;゚ -゚)「と、研ぐ!?研石が必要なのですか!?」
<ヽ;`∀´>「言い方を変えましょう。お米の洗い方をご存知ですか?」
川;゚ -゚)「えっと…まず洗剤を…」
('A`)「はいダメ!!ぜんっぜんダメ!!」
川;゚ -゚)そ「ええ!?お米を洗うのでしょう!?」
从;゚∀从「人の口に入るもんを洗剤で洗っちゃダメだろ…中国くらいだぜ?食い物を洗剤で洗うの」
ノパ听)「そうなんですか?」
(-@∀@)「うん、向こうには『野菜洗剤』とかあるからね」
( ^ω^)「洗わずに食うほうがヤバイらしいな」
<ヽ;`∀´>「うーん、一人でクーの家に置いておくのは不安ニダ…」
川;´-`)「うう…役立たずでごめんなさい…」
- 521 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:37:47 ID:d8J/y8us0
- ('A`)「じゃあしばらく俺ん家で預かろうか?」
从 ゚∀从「えっ?」
('A`)「ん?」
从 ゚∀从「あっ、ごめん。なんでもない」
('A`)「あ、そう?じゃあ続けるぞ」
( ^ω^)(気ぃ使えよ…)
('A`)「家いま両親いねーし帰って来ても説明したらしばらくは面倒見れると思うんだよ」
( ^ω^)「俺もいるしNE!!」
( ・∀・)「君ドクオくん家どんだけ入り浸ってんの?」
('A`)「神さん一人で放っておくよりよっぽど安心だと思うぜ?」
ノパ听)「そう言ってエロい事するつもりなんでしょ!!」
(-@∀@)「エロ同人みたいに!!」
パチン
ノハ*><)人(@∀@-*)「「イエイ!!」」
('A`)「しねーよ……仲良いなお前ら」
<ヽ;`∀´>「んん…みんな家に親が居るし、何日も泊まりに行けないし…結局その案がベターニダね」
川;゚ -゚)「あの、私はどうすれば…」
('A`)「話をまとめるとこうだ」
- 522 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:40:43 ID:d8J/y8us0
- ・『素直クール』の体に『勝利の女神(仮)』が入った
・『素直クール』の人格は眠っている状態
・『勝利の女神(仮)』は『天界』に戻りたいが、方法がわからない
・入れ替わった裏づけとして体格まで変化し、体に『紋章』が刻まれている状態
・唯一の手がかりが『紋章』。これから調査していく
・『勝利の女神(仮)』はドクオ家で預かる事に
・『勝利の女神(仮)』をアメーバで検索しても何も引っかからない
('A`)「こんなもんかな…」
从 ゚∀从「つーか勝利の女神って呼びづれーしなんか名前決めようぜ」
('A`)「そこを突くとは…やh从 ゚∀从「もういいから」
ノパ听)「それもそうですね!!向こうではなんて呼ばれてたんですか?」
川 ゚ -゚)「そのまま『勝利の女神』とか『勝利の』とか…」
( ・∀・)「味気無いんですね…」
('A`)「勝利の女神…勝利…女神…メガネ…」
(-@∀@)「呼んだ?」
('A`)「ひらめいた」
( ^ω^)「通報した」
('A`)「『鬼龍院翔』で」※推奨BGM『女々しくて』
川*゚ -゚)「それにします!!」
<ヽ;`∀´>そ「即答!?もうちょっと考えてもいいんですよ!?」
川*゚ -゚)「かっこいい!!」
('A`)「せやろ?」
(;-@∀@)「いや、流石に有名人の名前使うのはマズイでしょ…」
- 523 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:42:23 ID:d8J/y8us0
- 喧々諤々の議論の結果
从 ゚∀从「じゃあ『しょーちゃん』で決定な」
ノハ*゚听)「よろしくお願いします!!しょー先輩!!」
川*゚ -゚)「せ、先輩?先輩かぁ…えへへ」
('A`)「じゃあ俺が樽美酒するから、ブーンが歌広場でモララーが喜矢武な」
( ^ω^)「まとも枠じゃねーか嫌だよ」
(;・∀・)「一番体張る枠じゃないか!!」
(;-@∀@)「いつまでゴールデンボンバーの話引っ張るの!?それに樽美酒はニダーくんが適任だよ!!」
<ヽ;`∀´>「ウリにあのキャラは無理ニダ!!」
('A`)「わかったわかった。お前にキリショー譲るから俺が樽美酒な」
<ヽ;`∀´>「遠慮しとくニダ…」
川*゚ -゚)「じゃあ私がキリショーします!!先輩の!!私が!!」
('A`)「よし、じゃあカメラあっちな…始めるぞ!!」
从 ゚∀从「何を始める気だよ…」
<ちょおねえまってよほんとに…ちょお謝ってんじゃんか!!ちょおほんとに捨てないでよ!!ごめんなさい!!
<触んじゃねえよ!!おめえ女かよ!!
从;゚∀从「何々!?何このやりとり!?どこから聞こえるの!?」
- 524 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:44:26 ID:d8J/y8us0
- ( ・∀・)9m 女々しくて!!
川*゚ -゚)9m 女々しくて!!
( ^ω^)9m 女々しくて!!
ドウウウウ('A`)ウウウウン!!!
↑('A`)∩↑
↑( ^ω^)∩↑川*゚ -゚)∩↑( ・∀・)∩↑ 辛いよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
从;゚∀从「ドタドタうるせー!!」
<ヽ;`∀´>「一体どこからBGMが!?」
ノパ听)白「あ、私の着信音でした。もしもし?」
(;-@∀@)「よ、吉本だ!!大阪旅行で観に行った新喜劇でこんな流れ見た!!」
ノパ听)白「あ、阿部せんせー。どうしたんですか?」
- 525 名前:>>1 :2014/02/01(土) 02:53:25 ID:d8J/y8us0
- 『今すぐそこから逃げろ』
ノパ听)白「えっ…?」
『素直の事を嗅ぎ回ってる連中が居る。少なくとも俺には見覚えが無い』
『今は受付で押し問答をしてるが、いつ強行に出るかわからない。とにかく、すぐに病院を出て逃げるんだ』
ノハ;゚听)白「えっと、先生?」
その瞬間
ヒートの携帯のスピーカーから、階下から
『ダン、ダン』と、連続して『銃声』が聞こえてきた
直後、その何倍もの大きさの悲鳴と足音が病院内に響き渡った
- 530 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:25:59 ID:FEvGSyQk0
- 『おいおい嘘だろ、拳銃ぶっ放しやがった…』
ノハ;゚听)白「せ、先生、わ、わ、私達どうすれば…」
('A`)「ヒート、代われ」
ドクオは半ば強引に携帯を取り上げ、耳に当てた
スピーカーの向こうからは、怒号と悲鳴がノイズのように鳴り響いている
('A`)白「先生、下の連中の狙いは『姉御』なんだな?」
『ああ、名前までは言ってなかったが、奴らが探している女性の特徴は、『昨日の夜運ばれてきた』『長い黒髪の』『女子高生』。素直でほぼ間違いないだろう』
('A`)白「わかった…先生、足止めなんて考えずにすぐにそこから逃げてくれ」
『待てドクオ!!何をするつもりだ!!』
('A`)白「怪我人や病人を巻き込むわけにはいかない。狙いが姉御ってんなら、『エサ』で奴らを釣る」
『バカなことは考えるな!!死んだらどうするんだ!!』
('A`)白「…すみません先生。『絶対に』なんて言えませんが」
('A`)「『できれば』、無傷で脱出してみせます」
『ドク』
一方的に電話を切り、ヒートに投げ返した
ノハ;゚听)「先輩…」
从;゚∀从「おい、まさか…だよな?」
('A`)「そのまさかのようだな…時間が無いから手短に言うぞ。しょーちゃんを狙ってる連中がここに来た。今から俺らは全力で逃げる」
- 531 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:28:06 ID:FEvGSyQk0
- 川;゚ -゚)「私…ですか?」
<ヽ;`∀´>「クーとしょーさんが入れ替わった事を知っている人物が他にもいるってことニカ?」
('A`)「らしいな。胡散臭さからきな臭さに変わって来たぜ…」
( ^ω^)「どうするんだお?全員殺す?」
(;-@∀@)「真顔で恐いこと言わないでよ…」
川;゚ -゚)「あの、私が大人しく捕まれば問題ないのでは…?」
('A`)「病院内で銃ぶっ放す連中だぞ?そんな野郎共に大事な友達渡せるかっての」
川;゚ -゚)「っ…申し訳ございません。素直さんの体をお借りしてる身であることを失念していました…」
('A`)「それに、アンタにも恐い目に遭ってほしくねえしな」
川;゚ -゚)「えっ…?」
( ・∀・)「もう手遅れな気もするけどね…で、作戦は?」
('A`)「あるに決まってんだろ。名付けて、『人を隠すなら』作戦だ!!」
- 532 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:30:55 ID:FEvGSyQk0
- ―――――
―――
―
N|;" '` {" `lリ「あぐっ…!!」
<゚Д゚#=>「馬鹿が!!銃持ってる相手に丸腰で勝てるわけねえだろ!!」
蹲る阿部さんの脚から夥しい量の血液が流れ出る
三発目の銃弾は、天井ではなく、抵抗してきた彼を撃ち抜いた
(*;゚∀゚)「ちょっとアニさん!!殺しちゃダメだって!!」
<゚Д゚#=>「知った事か!!このバカが思いっ切り殴ってくれたお陰で噛み合わせがズレやがった!!」
トカレフを阿部さんに向ける男は、切れた口から血の塊を吐き、怒りに任せ喚いた
その隣の、少し小柄な女は肩を掴んでトリガーを引こうとする彼を制止させる
【+ 】ゞ゚)「バカはお前だ義虎。病院内で拳銃をぶっ放すバカがいるか」
<゚Д゚#=>「ああ!?ここのナースが渋るからいけねーんだろうが!!」
義虎と呼ばれた男は、トカレフを受付嬢に向ける
受付嬢は腰を抜かし、両手を挙げながら泣き叫んだ
<゚Д゚#=>「うるせーぞビッチ!!頭ぶち抜いて黙らせてやろうか!?」
(*;゚∀゚)「だーかーら!!殺しちゃダメなんだってば!!」
<゚Д゚#=>「黙れつー!!つーか腕にぶら下がるんじゃねえ!!重いんだよ!!」
- 533 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:33:11 ID:FEvGSyQk0
- 【+ 】ゞ゚)「全く…」
トレンチコートと中折れ帽に身を包んだ長身の男が、義虎と受付嬢にの間に割ってはいる
<゚Д゚#=>「邪魔だボケ!!てめえごと撃つぞ!!」
【+ 】ゞ゚)「お騒がせして申し訳ない。目的さえ果たせれば直ぐにでも撤退するので、我々が探している女性の居場所を教えてもらえないだろうか?」
【+ 】ゞ゚)「ああ、安心して欲しい。彼女はもちろんのこと、患者や病院関係者には危害を加えるつもりは無い。まぁ…今となっては説得力は無いが、信じてもらえないだろうか?」
『邪魔だ邪魔だ』と喚く義虎を無視し、落ち着いた口調で受付嬢に話しかける
受付嬢は依然として涙を流し嗚咽を漏らしているが、銃口を遮ってくれた男の言う事に従い、患者名簿を捲り始めた
そして、目的のページを見つけ、声には出さず指をさして彼らの目的地を伝えた
『168号室、素直クール』
【+ 】ゞ゚)「ご協力感謝する。ああ、この名簿をお借りしてもよろしいかな?」
受付嬢はコクコクと頷き、名簿を差し出した
男は受け取ると、軽く会釈をし義虎に向き直った
【+ 】ゞ゚)「結果オーライだ。行くぞ」
<゚Д゚#=>「ああ!?テメーがでしゃばらなくても俺が吐かせたっつーの!!」
(*゚∀゚)「もー、いいじゃないですか。わかったんだし」
N|;" '` {" `lリ「待て…」
【+ 】ゞ゚)「…」
- 534 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:34:47 ID:FEvGSyQk0
- 床を這いながらも、阿部さんはリーダー格であるだろう男の足首を掴んだ
【+ 】ゞ゚)「…無茶をするな、出血が多い。幸い、ここは病院だ。直ぐに処置をしてもらえ」
N|;" '` {" `lリ「…」
返事は無い
代わりに、足首を掴む力が強くなった
【+ 】ゞ゚)「……済まない」
男は一言、謝罪を述べると
掴れていない方の踵で阿部さんの顎を蹴り上げた
N|;" '` {" `lリ「ッ…!!」
手の力が弱まった一瞬を突き、阿部さんの手から足を離す
そのまま、足早に走り去った
<゚Д゚#=>「しつけえなこの野郎…」
(*;゚∀゚)「ほらほら、早く行かないと置いてかれますよ!!」
トドメを刺そうとする義虎を、女がぐいぐいと押しながら後に続いた
:N|;" '` {" `lリ:「く…そ…」
阿部さんは、顎に喰らった衝撃に加え
出血多量の影響で意識を失ってしまった
ζ(゚ー゚;ζ「担架急いで!!」
すかさず、近くにいた看護婦が応急処置を施す
三人は目もくれず、目的の病室へと足を運んだ
- 535 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:36:57 ID:FEvGSyQk0
- 168号室があるフロアに辿り着いた三人は先ず、ナースステーションを訪ねた
ロビーほどの混乱は無いものの、義虎の持つトカレフに恐々とした視線を向ける
【+ 】ゞ゚)「お騒がせして申し訳ないが、168号室はどこか教えてもらえないかな?」
川;@-@)「…」
メガネを掛け、長い髪を結ったナースが、おどおどと指をさす
すぐ近くに『168』と刻まれた扉があった
<゚Д゚=>「なんだよ聞くまでもねえじゃねえか…」
(*゚∀゚)「兄さん、生け捕りだからね?殺しちゃダメだからね?」
<゚Д゚#=>「ってるよ!!うるせえな!!」
二人は病室に向かうが、長身の男だけはその場で立ち止まった
【+ 】ゞ゚)「…」
川;@-@)「…」
【+ 】ゞ゚)「…貴方」
ナースのメガネを外そうと、手を伸ばしたその時
168号室の扉が、勢い良く開いた
- 536 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:41:04 ID:FEvGSyQk0
- (#'A`)「よっしゃあああああああああああああああああ!!!!!!逃げるぜえええええええええ!!!!!」
(#^ω^)「追いつけるもんなら追いついてみろバーーーーーーーーーーーーーーーーカ!!!!!!!」
高校生が『二人』、『病院着を着た患者』を車椅子に乗せ、飛び出した
<゚Д゚;=>「あ?」
(*;゚∀゚)そ「ええ!?」
突然の出来事に、二人は足を止める
その間に、ドクオは突き当たりの右へと、ブーンは左へと走り去った
【+ 】;ゞ゚)「しまった!!おい追え!!逃がすな!!義虎、撃つんじゃないぞ!!」
<゚Д゚#=>「難しい注文すんじゃねえよ!!」
(*゚∀゚)「アニさんは右のを!!ウチは左のを追います!!」
【+ 】;ゞ゚)「っ…失礼ッ!!」
最後にナースを一瞥し、男も二人の後に続いた
- 537 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:47:20 ID:FEvGSyQk0
- 川;@-@)「…」
「…危ねえ賭けだったな」
三人がドクオ達を追って、姿が見えなくなったのを見計らい
彼女の後ろから、別のナースが話しかける
从;゚∀从「マジで…」
ノハ;゚听)「奇策過ぎて心臓止まりそう…」
制服からナース服へと着替えた、ハインとヒートだった
言わずもがな、眼鏡を掛けたナースは、クール改め『勝利の女神』である
<ヽ;`∀´>「『相手の標的を変装させて一番目立つ場所に置く』…相手の心理を逆手に取った作戦だったけど、本当にギリギリだったニダ」
受付の死角から、もしもの時の為に待機していたニダーが現れる
ドクオの作戦はこうだ
まず、ナースに『狙われている』とだけ説明をし、協力を得る
女性陣にはナースの格好をさせ、ステーションへ配備
変装を施した勝利の女神をあえて前面に出し、追っ手を騙す
ニダーを残す男性陣は、アサピーとモララーに『患者』の格好をさせ車椅子に乗せ
ドクオとブーンがそれを押しながら、派手に逃走し、追っ手の注意を引きつける
残るニダーはステーションで待機し、バレた場合の対処を取る…といったものだった
:川;@-@):「ド、ド、ドクオさんは、お、お、思い切った人、ですね…」
从;゚∀从「ごめんな…俺らがもっと頭の回転が早ければ良い案が出せたんだけど…」
ノパ听)「でも、結果的にはうまく行きましたね!!」
- 538 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:48:35 ID:FEvGSyQk0
- 从 ゚∀从「よし、さっさとずらかろうぜ」
ノパ听)「そうですね!!迅速に!!かつ空気のように!!」
女性陣はブラウスの上から着ていたナース服を手早く脱ぐ
勝利の女神だけは手間取っていたので、ニダーが万歳させて脱がせた
从 ゚∀从「じゃあ、そのパジャマの上からこれ着てくれ」
川;@-@)「これ、なんですか?」
从 ゚∀从「俺の体操服だ。洗ってないけど、まぁ汗とか掻いてないから臭くないだろ多分」
と言って、学校指定のウインドブレーカーを手渡す
川;@-@)「ほああ…シャカシャカしますね」
从 ゚∀从「あと適当にマフラー巻いて耳当てでもしてりゃ…うん、部活帰りに見えねえこともねえだろ」
ノパ听)「あと鞄も、こんな感じで背負ってください!!」
川;@-@)「あの、これボストンバッグですよね?」
ノパ听)「こうやってリュックみたいに背負う人もいるんです!!私もその内の一人ですから!!」
从 ゚∀从「おー、それっぽいそれっぽい」
- 539 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:50:40 ID:FEvGSyQk0
- <ヽ`∀´>「準備は出来たニダね?それじゃあ逃げるニダよ!!」
看護士達に礼を言い、応援を貰い
ニダーを含む女性チームはドクオ達とは別方向の出口へと向かった
川;@-@)「ドクオさん達、大丈夫でしょうか…」
从 ゚∀从「あー、大丈夫だろ。多分」
<ヽ`∀´>「多分て」
ノパ听)「絶対、大丈夫ですよ!!ドクオさんもブーンも二、三回くらい死に掛けてますから!!」
川;@-@)「し、死に…それってダメなんじゃ…」
勝利の女神の不安を余所に、囮チームは
<゚Д゚#=>「待てゴルアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!そいつ渡せやああああああああああああ!!!!!」
(#'A`)「誰が渡すかバーーーーーーーーーーーーーーカ!!!!!!家帰ってコロコロコミックでも読んでろーーーーーーーーーー!!!!!」
<゚Д゚#=>「俺はボンボン派だボケエエエエエエエエエエエ!!!!撃つぞオラアアアアアアアアアア!!!!」
【+ 】;ゞ゚)「撃つなーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
元気いっぱいに逃げ回っていた
- 540 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:52:44 ID:FEvGSyQk0
- (;・=・)「ムー!!ムーーーーーーーーーーーー!!!!」
ドクオが押す車椅子には、病院着と、タオルを入れてボリュームをだした医療用帽子を被り
声を出さないように口にガムテープを巻いたモララーが座っている
<゚Д゚#=>「あいつクソ速えええええええええええええええええ!!!!!!!!!」
【+ 】;ゞ゚)「焦るな!!ここは四階!!タイミングよくエレベーターがやってこなければ、階段や行き止まりで追い込める!!」
('A`)(その通り、その通りだ…)
追っ手を騙し、引きつける所までは上手く行った
だが、ドクオはこれから先の『プラン』を考えていなかった
囮であるモララー、アサピーを車椅子に乗せたのは、『病人』というディテールを植え付け
かつ、突発的な変装がバレないために、ドクオやブーンの体の陰に隠すという理由があった
病院着を着た患者が、元気いっぱいに走っているのを見れば誰だって『おかしい』と思うからである
しかし、車椅子に出来る行動は限られている
いくらバリアフリーを充実させている病院内と言えども、階段を駆け下りることは出来ない
頼みの綱はエレベーターだが、都合よく開いてくれる可能性は限りなく低い
('A`)(こっから先は俺らの機転次第だぜ…ブーン)
『袋小路』は、確実に迫っていた
- 541 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:56:27 ID:FEvGSyQk0
- 一方、ブーンはと言うと
(;^ω^)「ハァー、ハァー…」
(*;゚∀゚)「ハァー、ハァー…」
(*;゚∀゚)「そ、そんなのって、ありなのー…?」
(;^ω^)「あると思います!!」
エレベーター前で、追っ手の女を押し倒していた
事のあらましはこうだ
ドクオと同じく、全力疾走で逃げていたブーン
しかし、女の足の方が勝っており、一気に距離を詰められる
焦ったブーンは車椅子に強かに足をぶつけ、その衝撃で手を離してしまう
その後、転んだブーンに躓き、のしかかるように女も転ぶ
アサピーを乗せ、すっぽ抜けた車椅子は閉まりかけのエレベーターにギリギリで滑り込み
そのまま階下へと運ばれてしまったというワケである
そして、なんやかんやで上下が逆転した今に到る
(;^ω^)「こういうのってアニメだけの展開だと思ってたお…」
(*;゚∀゚)「君らに都合良くね…所で、そこをどいてくれない?あの車椅子を追いかけなきゃいけないんだけど」
(;^ω^)「別の理由なら喜んで道をお譲りするお。でも悪いな。ここを退くわけにはいかねえお」
(*;-∀-)「だよねー…ハァー、アニさんに叱られる…」
(;^ω^)「お姉さん銃持ってる?」
(*;゚∀゚)「持ってないよ。クナイならあるけど」
(;^ω^)「アイエ…ニンジャ?ニンジャナンデ?」
現状、ブーンは女の両手を抑え込み、マウントポジションに近い体勢を取っている
速さに自信がある女でも、力ではマッチョに及ばないようで、文字通り手も足も出ない状況であった
- 542 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 02:58:58 ID:FEvGSyQk0
- 問題があるとするならば
「ママー、あの人達廊下で総合格闘技PRIDEごっこしてるー!!」
「見ちゃいけません!!ああいうのは大人になって薄い本が買える年齢になってからよ!!ほら!!お部屋に入って!!」
病院内のモラルが危ないという点だろうか
(*;-∀-)「…君の評価が地に落ちる前に放したほうがいーよ」
(;^ω^)「てやんでえバーローめ他人の目を気にしてマッチョやってられるかってんだい地に落ちたら天に上げるまでよ」
(*;-∀-)「うわっ、アニさんとはまた違うベクトルだけど同じくらいのバカじゃん…」
( ^ω^)「ところでお姉さん、美人だおね。車椅子追うのやめてお茶しない?」
(*゚∀゚)「じゃあ手ェ放して」
( ^ω^)「放したら追うじゃん」
(*゚∀゚)「わかった。車椅子を確保して、その後いろいろ終わったらデートしてもいいよ?」
( ^ω^)「マジで?」
(*゚∀゚)「マジマジ、だからさ、ほら…」
( ^ω^)「だが断る」
(*; ∀ )「もーやだよー…放してよー…」グスッ
( ^ω^)(あっやばいなんか新しい性癖に目覚めそう…ドクオ、ごめん…俺は汚い人間です…)ゾクゾク
- 543 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:01:17 ID:FEvGSyQk0
- そして、アサピーはと言うと
( 3∀3)「…」
<ヽ;`∀´>「…ブーンは?」
( 3∀3)「追ってきた女の人の足止めをしてるよ」
これまたタイミングよく、脱出しようとしていた女性陣達と合流していた
ロビーは未だ混乱状態だが、職員が手際よく避難誘導をしている
警察が来るのも、時間の問題に見えた
从 ゚∀从「あいつ、大丈夫そうか?」
( 3∀3)「わかんない…でも、ドクオくん達よりはまだマシって所だと思う。追ってきたのは一人だけだから」
ノハ;゚听)「女の人…って言ってましたよね?もしかして、ドクオ先輩の方に向かったのは…」
<ヽ;`∀´>「あのリーダー格と、銃を持った男…ごめん、先に行ってて欲しいニダ!!」
ニダーは人の波とは逆方向へと進みだした
川;@-@)「ニダーさん!!」
从;゚∀从「おい待て!!あんたが行っちゃ本末転倒だ!!」
衝動的に着いて行きそうになった勝利の女神を、ハインが抑え付ける
彼女の体は、小刻みに震えていた
从;゚∀从「不安だろうが堪えてくれ!!あいつらはアンタを逃がすために体張ってんだ!!だったら今、アンタに出来ることは安全圏まで逃げることだ!!」
川;@-@)「うう…はい」
肩を抱いて、やや強引に足を進める
勝利の女神の足取りは重かったが、女性陣とアサピーは、無事に病院の外へ出ることが出来た
- 544 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:03:38 ID:FEvGSyQk0
- ノハ;゚听)「これからどうするんです?」
从;゚∀从「振り返るな。とりあえず『サンフランシスコ』へ向かう」
从;゚∀从「協力者は多いほうが良い。あの変態店長は顔が利くから、なんとか解決まで騙し通せる人物を呼んでもらおう」
(;3∀3)「信じてくれるかな?」
从;゚∀从「信じ込ませるしかねえよ…」
川;@-@)「……」
勝利の女神は、一瞬だけ病院を振り返った
多くの人が批難する中で、渦中の人物を相手にしている男達の身を案じながら
その時、四階の窓ガラスが
『閃光』と『破裂音』で割れんばかりに揺れた
从;゚∀从「…」
ノハ;゚听)「…」
(;3∀3)「…」
川;@-@)そ「な、何ですか今の!?魔法ですか!?」
从;゚∀从「…さぁ行くぞ、下手したら俺らも警察に捕まりかねない」
川;@-@)「え?何か悪いことしたんですか!?」
三人は知らん顔して
一人はうろたえながら
病院を後にした
- 545 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:05:42 ID:FEvGSyQk0
- ('A`)「…結局、この方法に頼るしかなかったワケだが」
盛大にケツを鳴らし、光らせたドクオは
エレベーターの下りボタンを押した
('A`)「やりすぎちゃったぜ」
< Д ;=>「ぎゃああああああいいああああああああ!!!!!目がァアアア!!耳があああああああ!!!」
【+ 】;ゞ )「っっっっ〜〜〜〜〜!!!!」
( = )「」チーン
銃を持った男は、目を抑えのた打ち回り
長身の男はその場で蹲り
モララーはショックで気絶した
('A`)「トカレフたぁ…随分色気のねえ銃使ってるな…っと!!」パァン!!
足下に滑ってきた銃を拾い上げ
スライドをケツで挟み、破壊する
< Д #=>「てめ…今、何を」
(#'A゚)「もういっちょオラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」パァンパパァンパァン!!!!
< Д ;=>「ぎゃああああああああああああああああ!!!!!」
('A`)「手こずらせやがって…」
そうこうやってるうちにエレベーターが到着
ぐったりとしたモララーと共に乗り込み、閉まるボタンを押した
- 547 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:08:13 ID:FEvGSyQk0
- 【+ 】;ゞ )「ぐぬっ!!」
ドアが閉まる直前、長身の男が腕を滑り込ませる
安全装置が作動し、ドアは再び開いた
('A`)「…見上げた根性じゃねえかオッサン。だが無意味だ」
男の襟首を掴み、エレベーターから引きずり出す
間際に『閉』ボタンを押し、モララーだけを乗せたまま階下へと動き出した
【+ 】;ゞ゚)「っ…」
('A`)「どうする?追いかけっこを続けるか?」
('A`)「まぁ…時間切れみたいだけどな」
外からサイレンの音と、大勢の人間が踏み込む音が聞こえてくる
直にこの階にまで辿り着くだろう
【+ 】;ゞ゚)「その様だな……しかし、君は一体…?」
('A`)「名乗るまでもねえ、通りすがりのエクスペンダブルズだ」
【+ 】;ゞ゚)「どうみても高校生にしか見えないのだが…」
- 548 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:16:25 ID:FEvGSyQk0
- <゚Д゚#=>「俺の愛銃がアアアアアア!!!!てめえ絶対ぶっ殺す!!」
【+ 】ゞ゚)「止せ義虎、引き上げだ。やれやれ、簡単な任務だと侮っていたのが間違いだったようだ。また改めて伺わせてもらおう」
('A`)「もう来るんじゃねえよボケ。次はケツで挟むぞ」パァンパァン!!
【+ 】;ゞ゚)「尻の音だったのか…バケモノだな君は」
長身の男は義虎を連れ、昇りの階段へと向かう
その去り際に、ドクオへと語りかけた
【+ 】ゞ゚)「…君は」
('A`)「あん?」
【+ 】ゞ゚)「アレの『正体』を分かっていながら、我々の邪魔をするのか?」
('A`)「…」
('A`)「正体もクソも、俺達には関係ねえよ」
('A`)「彼女は俺達の友達だ。文句あるか?」
【+ 】ゞ゚)「…フッ、これは手こずりそうだ」
【+ 】ゞ゚)「また会おう高校生くん」
('A`)「お断りだ」
<゚Д゚=>「おいガキ。次は手足ぶち抜いてやるからな」
('A`)「そのへしゃげたトカレフでか?そいつは楽しみだプークスクス」
<゚Д゚#=>「てめえ…」
【+ 】;ゞ゚)「やめないか。いい大人が恥ずかしい…」
二人は階段を昇り、見えなくなった
- 550 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:18:45 ID:FEvGSyQk0
- ('A`)「…上に行って、どうするつもりなんだあいつら」
ドクオの疑問は、すぐに解決された
外から聞こえてきた『ヘリの音』によって
('A`)「…なるほど。随分と贅沢な逃走経路だ…ん?」
今度は、下の階段から大急ぎで上ってくる足音が聞こえた
<ヽ;`∀´>「ハァッ、ハァッ!!ドクオ!!大丈夫ニダ?」
('A`)「ああ、何とかなったぜ。そっちは?」
<ヽ;`∀´>「無事に…ハァッ、脱出したみたい、ゲホッ!!ニダ…ハァ…」
('A`)「オーライ、後はブーンだが…」
('A`)「…見ての通り、無事みたいだな」
<ヽ;`∀´>「見てのと…ん?無事…えっと、うん、そうみたいニダね」
- 551 名前:名も無きAAのようです :2014/02/11(火) 03:20:54 ID:FEvGSyQk0
- ( ^ω^)「ドクオ、ニダーも。お前ら怪我無いかお?」
('A`)「ああ、大丈夫だ。ケツもこの通りツルンツルン」ツルツルーン
( ^ω^)「見せなくてもいいお。なら良かったお」
<ヽ;`∀´>「安心するのはまだ早いニダ。病院を出て、皆と合流するニダ」
('A`)「そうだな、モララー回収してとっとと行くか」
<ヽ;`∀´>「これから、どうなると思うニダ?」
('A`)「さぁな…手がかりが少ない現状じゃ、成り行き任せしか無いか…」
( ^ω^)「…」
ドクオがエレベーターのボタンを再び押す
二人が会話している間、ブーンはずっと窓の外を見ていた
('A`)「どうしたブーン?ポケーッとして」
( ^ω^)「……いや」
ヘリの音が遠ざかる中
( ^ω^)「なんでもないお」
ブーンは、手のひらの感触を思い出していた
- 568 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:35:19 ID:QP./7ld60
- ―――――
―――
―
レストラン&バー『サンフランシスコ』
ハインのバイト先である個人経営の飲食店
手ごろな値段で一流の料理と酒を提供してくれる名店だが
一つ問題があるとするならば
(´^ω^`)「セックスしてーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
店主の人格がアレな事だ
(´^ω^`)「決めた、次あのドアを開けた奴をファックしよう。この際、男でも女でもどっちでも構わない。俺はセックスがしたい」
(´^ω^`)「フフ…この滾る熱情…誰にも止められないぜ!!!!!!!」
そんな物騒な情熱を燃やしていると
タイミングよく店のドアが開いた
(´^ω^`)「セックスーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
从 ゚∀从
(´^ω^`)「あっ…」
ショボンは、押し倒そうと広げた両腕をすぐさま交差させ防御しようとした
だが、その『盾』が完成するよりも早く
(´゚ω゚`)∴「げぷなっぱあああああああああああああああ!!!!!!!」
ハインのボディブローが、腹を打ち抜いていた
- 570 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:41:01 ID:QP./7ld60
- (;´・ω・`)「違うんだ…俺はただセックスがしたかっただけなんだ…人間以外の動物は誰とでもセックスしてもいいのにどうして人間だけは…」
从#゚∀从「モラルってもんを考えろや……人前で裸になるドクオやブーンの方が数億倍マシだぞ…いい大人が恥ずかしくないのか?」
(;´・ω・`)「いい大人は気取らないってさみだれのお母さんも言ってたじゃないか!!」
从#゚∀从「てめえのそれは常識の欠落だよ」
川;゚ -゚)「あの、この方は…?」
ノパ?゚)「阿部先生のお友達のショボンさんです。ちょっとアレだけど、信用できる人ですよ」
川;゚ -゚)「そ、そうなんですか…」
(;-@∀@)「第一印象は最悪だね…」
(´・ω・`)「つーかお前ら、今日は中途半端なメンバーだな。バカ二人とイケメンとニダーきゅんはどうした?」
从 ゚∀从「気持ち悪い」
(´・ω・`)「答えになってねえぞ」
从 ゚∀从「あー、ちょっと現実味のねえ問題があってだな…」
(´・ω・`)「は?」
【少女説明中…】
(;A;)「阿部さあああああああああああああああああああああん!!!!」
( ;ω;)「うおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!ごめんなさいおおおおおお!!!!!」
ζ(゚ー゚;ζ「命に別状は無いって言ってるでしょーーーーーーーーーーーーー!!!!」
N|;"゚'` {"゚`lリ「…」←本当は無茶をした事を叱りたいけど余りに心配されすぎて怒るに怒れない阿部さん
【少女説明中…】
- 571 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:43:03 ID:QP./7ld60
- 从 ゚∀从「と、言うわけなんだ]
川;゚ -゚)「あの、信じてくれますか?」
(´^ω^`)「信じるわけねーーーーーーーだろバーーーーーーーーーーーーーーーカ!!!!!!!」
メコォ
(メ)ω・`)「すいませんバカは言いすぎました…でも今一信憑性に欠けると言うか…決定的な証拠が欲しいと言うか…」
从 ゚∀从「チッ、めんどくせえクソだな…」
:川;゚ -゚):「ハインさん恐い…」ガタガタ
(-@∀@)「ほんとなんでここでバイトしてるんだろうね彼女」
ノパ听)「このお腹の紋章を見ても信じないんですか!!」バッ!!
川;゚Д゚)そ「キアーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
(´^ω^`)「良く見えないからもっと近くで見t」
ドゴォ
(メ)ω・`)「すいません調子乗りました…いえ、もういりません死んでしまいます」
从 ゚∀从「信じた?」
(メ)ω^`)「信じねーーーーーーーーーーよバーーーーーーーーーーーーーーーーーーカ!!!!!!」
メメタァ
(メ)ω(メ)「前が見えねえ」
(-@∀@)「なんか一周回って仲良しに見えてきた」
从 ゚∀从「メガネ替えろ」
- 573 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:46:23 ID:QP./7ld60
- ノパ听)「あ、そうだ。テレビ見てましたか?」
(´・ω・`)「いや?休憩時間中はずっと艦これしてたが?」
ノハ;゚听)「ショボンさんもやってるんだ…じゃあ、今ちょっとテレビつけてもらってもいいですか?」
(;´・ω・`)「いいけどよ…なんだってんだよ全く…」ピッ
テレビ<松千代市の病院で発砲事件が発生し、現在警察は犯人の行方を…
(;´・ω・`)そ「ハァ!?すぐそこじゃねーか!!」
テレビ<死者はいませんでしたが、松千代市在住の阿部高和さんが脚を撃たれ重傷。命に別状は無いとのことです
(;´゚ω゚`)そ「しかもカズ撃たれてんじゃねーーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
从;゚∀从「ちょ、ちょ…マジかよ!!」
川;゚ -゚)「無事なんですか!?あの先生は無事なんですか!?」
从;゚∀从「電話で確認を…って、着暦すげえことになってる!!」
- 574 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:47:25 ID:QP./7ld60
- 着信履歴の一番上をタップし発信
一回目のコールが終わらぬうちに、ドクオが電話に出た
从;゚∀从白「もしもし!?今ニュース見て阿部さんが…」
『阿部さんが撃たれたああああああああああああああうおおおおおおおおおおおおん!!!』
从;゚∀从白そ「うるさっ…!!泣いてんのかお前!?」
『阿部さんが死んだらどうしよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』
『だから死なないって言ってるでしょーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!』
『ドクオ…電話貸せ。あとちょっと外で頭冷やせ』
从;゚∀从白「阿部さん!?大丈夫なのか!?」
『ああ…ちょっと脚撃たれて顎に皹入って血を流しすぎた程度だ。心配するな』
从;゚∀从白「それ『程度』で済む怪我じゃないんだけど…」
『それよりも、ずいぶん無茶をしたようだな』
从;゚∀从白「う…うん…」
『…まぁ、今回は事情が事情だ。周りの大人に助けを求めても何か出来たとは考えにくいし、お前らが無事なのも結果オーライと言える』
『だが、無茶をする前にその内容をキチンと俺に説明しろ。分かったな?」
从;゚∀从白「わかった…ごめんなさい」
『よし…サンフランシスコにいるんだな?ショボンに替わってくれ』
从;゚∀从「わかった…店長、阿部さんから」
- 575 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:48:13 ID:QP./7ld60
- (;´・ω・`)白「カズ!?大丈夫か!?」
从;゚∀从「ハァ…」
ノハ;゚听)「先輩方は?先生は!?無事でした!?」
从;゚∀从「無事たぁ言いがたいけど…なんとかな」
(;-@∀@)「どうして先生が…」
从;゚∀从「俺らが無茶するって知ったからだろうよ。時間稼ぎをしてくれたんだ」
川;゚ -゚)「っ……」
从;-∀从「ッハァー……思ってた、以上に、ハードな事になってんな…」
(;-@∀@)「漫画や映画じゃあるまいし…って言いたいところだけど、現実なんだよね」
川;゚ -゚)「…申し訳ございません、巻き込んでしまって」
从;゚∀从「なんで謝るんだよ。巻き込まれたのはアンタもだろ?」
川;゚ -゚)「ですが…」
从;゚∀从「過ぎた事をグチグチ言うな。それより先の事を考えようぜ」
川;゚ -゚)「……」
从 ゚∀从「返事!!」
川;゚ -゚)そ「はっ、はい!!」
从 ゚∀从「よし」
(-@∀@)「有無をも言わせないね」
ノハ;゚听)「本当に神様なのかな…?」
- 576 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:49:35 ID:QP./7ld60
- (;´・ω・`)白「…ああ、ああ…わかった。任せておけ。それじゃあ…」
ショボンは通話を終えると、携帯をハインに投げ返し
从;゚∀从「っと…信じた?」
(;´・ω・`)「ちょっと整理させろ…」
椅子に座って手を組み、それに頭を乗せた
(;´・ω・`)「…ああ、クソッタレ…神様…」
川;゚ -゚)「な、何ですか?」
(;´・ω・`)「お前じゃねえ!!ジーザスの方だ!!」
川;゚ -゚)「イ、イエス様ですか!?彼なら友人のお釈迦様とバカンスに出かけていますが…」
从;゚∀从「おいちょっと待てどっかで聞いた事ある設定だぞ」
(-@∀@)「映画化もしたね…」
(;´・ω・`)「くっ…こ……」
ショボンは何か言いたげに手を振りかざし
そのまま自らの膝へと叩き付けた
(;´・ω・`)「とにかく!!早い話が!!クールの嬢ちゃんを、クソッタレな追っ手から見つからないようにすればいいんだな!?」
从 ゚∀从「そうだよ。何とかしろ」
(;´・ω・`)「物頼む態度じゃねえー……いいんだけどさ…」
- 578 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 00:50:35 ID:QP./7ld60
- 川;゚ -゚)「あのっ!!」
(´・ω・`)「あん?」
川;゚ -゚)「お手数お掛けして申し訳御座いません…」
(´・ω・`)「…」
(;´-ω-`)「っあー!!調子狂うなあオイ!!」
川;゚ -゚)そ ビクッ!!
(´・ω・`)「お前ら、腹減ってねえか?とりあえず飯だ!!あれこれ考えるのはその後だ!!」
从 ゚∀从「おごり?」
(-@∀@)「おごり?」
ノハ*゚听)「おごりですか!?」
(;´・ω・`)「言われなくてもご馳走してやるっつーの!!おい素直の…あー、今は違うのか、おいアンタ名前は?」
川;゚ -゚)「はっ、はい!!『勝利の』…」
川;゚ -゚)「いえ、『しょーちゃん』です!!」
(´・ω・`)「勝利のしょーちゃん?けったいな名前だな…まぁいい。アンタ、何食いたいんだ?」
川;゚ -゚)「何…と、申されますと?」
(´・ω・`)「何でも良いよ好きなもん言え。俺ァ魔法使いでな。メニューにねーもんだって作れるんだよ」
川;゚ -゚)「ええと、では……」
- 580 名前:名も無きAAのようです :2014/02/26(水) 01:15:35 ID:QP./7ld60
- ―――――
―――
―
N| "゚'` {"゚`lリ「…」
<ヽ`∀´>「…」
電話を終えた阿部さんは、携帯を棚の上へ乗せた
デレが強引にドクオとブーンを外へと連れ出したため、この病室には彼とニダーしかいない
クールの異変からまだ一日と経っていないが、目まぐるしく迫る状況に疲労と困惑を感じずにはいられなかった
N| "゚'` {"゚`lリ「…とりあえずは、ショボンに協力を求めたが…俺達は所詮一般市民だ。いつかは追い詰められる」
<ヽ`∀´>「させません」
ニダーは断固たる意志を込めて言い放った
<ヽ`∀´>「彼女には、指一本触れさせない。その為にはどんな手段も選びません。例えウリが罪人になろうとも、決して」
N| "゚'` {"゚`lリ「おい、滅多なことを言うもんじゃないぜ。お前がいくら強かろうと『限界』がある。それは何も身体面に関してだけじゃない」
阿部さんは自分の胸を拳で叩いた
N| "゚'` {"゚`lリ「『ここ』にも、底はあるんだよニダー。お前はどんな手段も選ばないといったが、お前に『それ』が出来るのか?」
<ヽ`∀´>「……出来なければ」
<ヽ ∀ >「出来なければ、ウリはただの『木偶』です」
N| "゚'` {"゚`lリ「木偶…だと?」
<ヽ ∀ >「……失礼します」
ニダーはそれ以上、何も言わずに退室した
- 582 名前:>>581訂正 :2014/02/26(水) 01:17:33 ID:QP./7ld60
- N| "゚'` {"゚`lリ「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「クソッ…」
阿部さんは悔しげに、拳をベッドへと叩きつける
N| "゚'` {"゚`lリ「担任、失格だな…自分のクラスの生徒の事ですら、まだまだ理解してやれてねえ…」
夕陽は既に落ち、松千代には夜が訪れていた
- 595 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:44:48 ID:hD1R8frE0
- ―――――
―――
―
その日、『サンフランシスコ』は臨時休業としていた
そうでなくとも、病院で起こった銃撃事件の犯人がまだ捕まっていないことから、松千代の住人は警戒して外出を控えていた
近隣の小中学校も事態解決まで学校閉鎖の措置を取り、村人学園もそれに続いた
('A`)「銃社会のアメリカでも大事件なんだ、日本でこんなこと起こせば引っくり返るわな…」
ハインとヒート、モララーとアサピーは親からの連絡が入り、既に帰宅していた
店に残っているのは、後から来たドクオとブーン。ニダーと勝利の女神だ
川 ゚ -゚)「おまわりさんに助けを求めるのは…」
('A`)「地方権力とは言え、完全に信用するのもどうかと思うぜ?それにまず、なんて説明すりゃあいい?」
川;゚ -゚)「それは…」
( ^ω^)「…」
<ヽ`∀´>「…」
全員、口数は少なく
男三人は、勝利の女神が所望したオムライスを静かに口へ運んでいた
(´・ω・`)白「ああ、そうだ……出来るだけ急いで欲しい。頼んだ」
と、そこに電話を終えたショボンが奥から現れる
受話器を置いてから、通夜のような雰囲気が漂うホールを見て、軽く笑った
- 596 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:47:11 ID:hD1R8frE0
- (´・ω・`)「どうした?こういう時こそお前らの底力ってもんが発揮されるんじゃあないのか?」
('A`)「…目標が、見えてればな」
デミグラスソースに浮かぶふわふわの卵の島をスプーンで崩しながら、ドクオは返事をした
『西川』の時とはワケが違い、今度の相手は正体不明
更に、勝利の女神返還の手がかりもほとんど無い状況だ
現状は『手詰まり』。暗闇を手探りで歩くかのような難解さに陥っていた
( ^ω^)「西川の時はほんともう…サクサク行ってたからな…」
('A`)「それぞれの活躍があったとはいえ、姉御が総指揮を担当してたから…」
(´・ω・`)「なぁるほどねぇ…クールの嬢ちゃんは『ブレイン』の役割をこなしていたってワケかい」
ドクオとブーンの二人が西川撃破とハイン救出を成し遂げたのは、仲間の協力があってこそだった
そして、その大勢の仲間をまとめ上げ、指揮をしたのは『素直クール』だ
西川の索敵に加え、阿部さんやショボンを初めとした協力者への指示
決死隊の奮起を促し、高い士気で突入させたのも彼女だ
二人に比べて目立った活躍はしていないが、その陰では最大の功績を挙げていたのだ
川;゚ -゚)「…」
('A`)「…ああ、ダメだダメだ。どうも落ち込んじまうな」
勝利の女神の不安そうな顔を見て、ドクオは頭を振り、笑顔を向けた
('∀`)「大丈夫だ、何とかしてやっからよ」
川*゚ -゚)「はっ、はい!!過ぎたことより先のこと、ですね!!」
そんなドクオの顔を見て、勝利の女神も顔を綻ばせた
( ^ω^)(大丈夫じゃない…いつものドクオなら『落ち込んじまうな』を『おちんこでちゃうな』ってボケるハズ…全然大丈夫じゃないお…)
<ヽ`∀´>「…」
- 597 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:48:44 ID:hD1R8frE0
- (´・ω・`)「そうさ、落ち込んでる場合じゃねえぞ。事件解決の鍵はしょーちゃんだ。キバってイけよ」
(´・ω・`)「さて、ささやかながら俺から出来ることは、『しょーちゃんの正体を誤魔化す』ことと、『体に刻まれた紋章を調べさせる』ことだ」
ショボンは『まず一つ目』と、人差し指を立てた
(´・ω・`)「俺の知り合いに変装のスペシャリストがいてな。そいつに頼んでしょーちゃんを別人へと変貌させる」
( ^ω^)「どーいう人脈だお…」
(´・ω・`)「常連だよ。だが今日はもう来れないらしい。奴にも予定ってモンがあるからな。明日の午後には来てくれるそうだ」
('A`)「明日か…しょーちゃんの居場所が知られてないとは言え、結構厳しいな…」
(´・ω・`)「とりあえず仮の変装だけでもして、外へ一歩も出ないってのはどうだ?送り迎えは俺がやるから」
('A`)「ああ、現状それがベターかな」
(´・ω・`)「で、二つ目だ」
人差し指に続き、中指を立てる
(´・ω・`)「ヒートの嬢ちゃんがエッチスケッチワンタッチしたこの『紋章』をネーヨに送った。これが唯一の手がかりだが、解明まで時間が掛かると思われる」
( ^ω^)「さすがショボンのオッサン。言うことが古い」
(´・ω・`)「お前らの連絡先をあいつに教えといたから、いつでも出れるようにしとけよ」
('A`)「ああ、わかった。ありがとうオッサン」
(´・ω・`)「体で礼してくれても良いのよ?」
('A`)「それは『バイト』って意味だよな?性的な意味じゃないよな?」
(´・ω・`)「性的な意味に決まってんだろカマトトぶってんじゃねえてめえ乳首噛み切るぞ」
('A`)「そんなハードなプレイお断りだ」
- 598 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:50:24 ID:hD1R8frE0
- (´・ω・`)「そんじゃ、店閉めてお前ら送りますかね…片付け手伝え」
('A`)「はいよ」
川 ゚ -゚)「私もお手伝いします」
( ^ω^)「みんな、頑張って!!」
('A`)「お前も手伝えや…ん?」
<ヽ`∀´>「…」
('A`)「…ニダー、机、拭いといてくれ」
<ヽ`∀´>「あ…わかったニダ」
ニダーは、まるでさっきまで話を聞いていなかったかのように返事をし
彼らしくない、ゆっくりとした動作で片づけを始めた
( ^ω^)「…」
川;゚ -゚)そ「わぁ!!」ツルッガッシャーン!!
(#´^ω^`)「面倒を増やすなーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
川;T -T)「ごめんなさーい!!」
- 599 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:52:28 ID:hD1R8frE0
- ―――――
―――
―
ニダーを先に自宅まで送り届けた後、ショボンは車をドクオ宅へ向けて走らせていた
後部座席の勝利の女神は、今日一日の疲れからブーンの肩に頭を乗せて寝息を立てていた
( ^ω^)「助けて」
('A`)「貴重な経験じゃねえか、大人ライオンを膝に乗っけるよりはマシだろ」
( ^ω^)「いやむしろそっちのほうがマシ」
(´・ω・`)「お前らの中でクールの嬢ちゃんがどんな扱いなのかはわかった」
('A`)「…結局、ニダーは無口なままだったな」
ドクオが不意に話を変える
病院を出てから、ニダーの態度がどこと無くおかしい
物思いに深けるような、何かを待っているかのような、そんな態度
( ^ω^)「思うとこがあるんじゃねえのかお?姉御の右腕みたいなもんだったし」
('A`)「そりゃそうなんだがな…」
(´・ω・`)「気をつけたほうがいい」
ショボンが真剣な声色で二人に話しかける
(´・ω・`)「俺も昔、ああ言う目をした人間を何度か見てきた。そいつらはこぞって『何かをしでかした』」
(´・ω・`)「うまく言えねえが…水底に石を沈めるように、自分の中に『覚悟』を埋める。激しい覚悟じゃなく、『静』なる覚悟」
('A`)「静なる覚悟…?」
(´・ω・`)「物の例えだ、あんま深くつっこまねーでくれ。だが、ニダーの動向にはちゃんと目を向けておいたほうがいいってのは確かだ」
('A`)「ああ…」
- 600 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:54:25 ID:hD1R8frE0
- (´・ω・`)「お前らとニダーは対象的な人間だと思ってたが、何しでかすかわからねえあたり、似てんのかもしんねーな」
( ^ω^)「でもニダー人前で全裸になったことないお」
(´・ω・`)「おかしいよね…マッチョなのに脱がないって…ほんと美味しい身体してんのになぁ…」
('A`)「阿部さんでさえ生徒は襲わねえってのにこのオッサンは…おっと、到着だ」
車はドクオ宅前でゆるやかに止まった
( ^ω^)「あの、着いたんだけど…」
川 つ -)「ん…もうお腹いっぱい…」
( ^ω^)「なにベタな夢見てんだよさっさと起きろてめえ」
ブーンは頭が乗る肩をクンッと跳ね上げた
ゴツりと鈍い音が響き、勝利の女神は側頭部を押さえながら目を醒ました
川;゚ -゚)「痛いです…あれ?ニダーさんは?」
( ^ω^)「おめーが寝てる間に帰ったお。ほら着いたからショボンさんにお礼言って降りろ」
川;゚ -゚)「あっ、はい。ありがとうございました」
(´^ω^`)「礼を言うなら今ココでしゃぶれよ」
('A`)「ニダーに言いつけるぞ」
(;´^ω^`)「うっ…ニダーきゅんにしばかれるのも捨てがたい…」
( ^ω^)「さすがショボンのオッサンは変態の格が違った」
- 601 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:56:05 ID:hD1R8frE0
- (´・ω・`)「明日は臨時休校だったな。昼前に迎えに行くから、それまで家から一歩も出るなよ」
('A`)「わかってるよ。いろいろありがとうなオッサン」
(´^ω^`)「なぁに、カズのカリもあるしな。そんじゃ、おやすみ」
ショボンの車は走り去り、その場には三人だけが残った
( ^ω^)「俺も今日のところは帰るお。親にも事情を説明しとかなきゃならないしNE」
('A`)「ああ…いや、ありのままを伝えるんじゃねえぞ?その辺なんとか誤魔化せよ?」
( ^ω^)「わかってらい。そんじゃ、また明日」
('A`)「おお」
ブーンは軽く手を振り、自宅方面へと歩いていった
('A`)「よし、じゃあ俺らも家入ろうか」
川 ゚ -゚)「はい、お邪魔致します」
ドクオはズボンのポケットから自宅の鍵を取り出し、ドアを開けた
いつもと変わらぬ手ごたえに、安堵の息を漏らした
- 602 名前:>>1 :2014/03/09(日) 17:58:08 ID:hD1R8frE0
- 川 ゚ -゚)「ドクオさんは、この家にお一人で?」
('A`)「いんや、父さん母さんと一緒に暮してるが、仕事で家空けることが多くてね…」
リビングの電灯を点け、荷物を乱雑に置いてダイニングキッチンへと向かう
勝利の女神は家の中をキョロキョロと見回していた
('A`)「適当に楽にしてくれ。お茶飲む?」
川 ゚ -゚)「はい、戴きます」
食卓の椅子に腰掛け、軽く組んだ手を膝の上に乗せる
ドクオはキッチンからその様を眺めていたが、普段の『素直クール』の仕草や出で立ちが残っているように見えた
('A`)「…なんで姉御だったんだろうな」
川 ゚ -゚)「え?」
('A`)「いや、なんでもない…」
やかんに水を入れ、コンロに乗せ火を点ける
その後、流しに浸け置きにしていた朝食の皿を洗い始めた
('A`)「…そういや」
川 ゚ -゚)「はい?」
('A`)「着替え、どうしよう…」
川;゚ -゚)「あっ…」
- 603 名前:>>1 :2014/03/09(日) 18:00:16 ID:hD1R8frE0
- ―――――
―――
―
('A`)白「なんとか事なきを得たよ」
『新品下着のストックが都合よく置いてあって良かったな』
('A`)白「母さんになんて説明すりゃいいんだろう…」
『オカズにしたって言えよ』
('A`)白「何が悲しくて親の着用予定だった下着で抜かなきゃならねーんだよ…」
『コロッケで抜こうとした奴が何を』
('A`)白「忘れろ、出来心だった」
午前1時を回り、勝利の女神が眠りに就いた頃
ドクオはブーンとスカイプ通話をしていた
『様子はどうだお?』
('A`)白「疲れてたんだろうな。風呂に入れさせてベッド連れてったら直ぐに眠っちまったよ」
『襲うんじゃねえぞ』
('A`)白「そんな恐ろしいことする位ならハイター博士の家に侵入するほうを選ぶ」
『あるあ…いや流石にねーよ。恐すぎるだろJK』
('A`)白「しかしアレだな…」
『お?』
('A`)白「このシチュエーション、『青春真っ只中のようです』を思い出すな!!」
『ドクオ、貴方疲れてるのよ』
- 612 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:24:44 ID:bcAFOTCA0
- ('A`)白「そっちは?変わりないか?」
『帰りが遅くてパロ極められたこと以外はいつも通りだったお』
('A`)白「そりゃなによりだな」
『明日からどうするんだお?』
('A`)白「そうだな…」
('A`)白「情報を待つだけってのも、なんだかな…」
『でも出来ること無くね?』
('A`)白「無くはねえよ。確実たぁ言えねえが、『手がかり』があると思われる場所が一つある」
『マジで?』
('A`)白「『姉御の家』だよ」
『あっ…』
('A`)白「ニダーは『自宅のトイレで気を失っている姉御を見つけた』っつってたよな?つーことは、もしかしたらその原因を作った何かが残っているかもしれない」
『なるほど…だけど姉御の家って…』
('A`)白「『虎穴』ってやつだな…踏み込むにゃちょいと危なすぎる。阿部さんの事もあるし、こっちの『奥の手』の対策がされてるかも知れねえ」
『……あいつらって、そんなに悪い奴らなのかな?』
(;'A`)白「はぁ!?」
相棒の発言に、ドクオは思わず素っ頓狂な声を出してしまう
その後、勝利の女神の眠りを妨げないように、さっきよりも声を抑えて通話を再開した
(;'A`)白「アホかお前は、阿部さんが撃たれたんだぞ?そうでなくても、拳銃持って病院脅す連中なんざ、考えるまでも無く悪党だろうが」
『……』
(;'A`)白「…ブーン、あなたも疲れてるのよ」
『そうみたいだお。悪い、忘れてくれ』
('A`)白「…じゃあ、また明日な。おやすみ」
『おやすみ』
- 613 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:26:10 ID:bcAFOTCA0
- ('A`)「ふう…」
スマートフォンをテーブルに置いて、すっかり冷めきった茶を飲み干す
('A`)「…しっかりしねえとな」
深い眠りにつくクールへ
そして自分自身に言い聞かせ
ドクオは、リビングの灯りを消し眠りに就いた
ちょうどその頃
<ヽ ∀ >「…」
ニダーはクールの自宅で
( α ;)「も、もう…やめてください…」
<ヽ ∀ >「話す気に、なったか?」
( α ;)「だ、だから俺はッ!?」
見知らぬ男の頭を、水を張った浴槽に沈めては
息が続く限界を狙って引き上げる
( α ;)「ゴボッゲボガボゲボボゴガガガ!!!」
<ヽ ∀ >「…」
『尋問』を繰り返していた
- 614 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:28:18 ID:bcAFOTCA0
- 【翌日…】
『どうしても恩返しをしたいと言うので朝ごはん作らせてみた結果、案の定失敗したの図』
川;゚ -゚)「…焦げました」
(;'A`)「ああ、うん。ある程度予想してたから、それ食う覚悟は完了してる」
川;゚ -゚)「何がいけなかったんでしょう…」
(;'A`)「さぁ…?逆にどうやったらたまご焼き作る工程でコンロから火柱が上がるのか教えて欲しいくらいだ」
【翌日…】
- 615 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:29:51 ID:bcAFOTCA0
- サンフランシスコにて
(;;・∀・;;)「アタシの魔法でシンデレラになりたいって子はどこかしら?」
顔のデカイ色黒のオカマが、何か変なポーズとって立ってた
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「…」
(´・ω・`)「紹介するぜ。今回の協力者、『黒井マラ男』。特殊メイクのプロだ」
(;;・∀・;;)「『マラピー』って呼んでね♪」
(;;・∀<;;)ミ☆ バチコーン
( ^ω^)「ご協力感謝します黒井さん」
川;゚ -゚)「あっ、あの、よろしくお願いしますマラピーさん!!」
(;;・∀・;;)「やだ、男の子の事務的態度でアタシのガラスハート崩壊間近」
(´・ω・`)「見た目も中身も残念な奴だが、腕だけは確かだ。ここは我慢して仲良くしてやってくれ」
(;;・∀・;;)「んもー、マスターったら相変わらずSI☆N☆RA☆CHU…でもそこが良いわぁ!!燃えちゃう!!」
(´・ω・`)「そうか、良かったな」
( ^ω^)(オッサンすげえ冷め切ってる…実際にIK○Oとかクリス松○を前にするとこんなもんだろうな…)
川 ゚ -゚)(マラピーって可愛いな…私もピー付けで呼んでもらおうかな…)
- 616 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:31:05 ID:bcAFOTCA0
- (;;・∀・;;)「さーて、このお嬢ちゃんを変身させろってオーダーね」
(´・ω・`)「ああ、もう思いっきり別人にしてやってくれ」
(;;・∀・;;)「オーケー!!もうデロンデロンのぐにゃんぐにゃんにしてあげちゃうわ!!!」
川;゚ -゚)「お、お手柔らかにお願いします…」
(;;・∀・;;)「腕が鳴るわね〜。こう見えてアタシ業界では『リアル辻彩』とか『生きるガイアファンデーション』って呼ばれているのよ?」
( ^ω^)「スタンド使いと帝具に例えられるとか…人間の顔じゃねえお」
(;;・∀・;;)「えっ?」
( ^ω^)「あっ、違いますお。人間の域を越えてるって言いたかったんですお」
(;;・∀・;;)「ああそうなのー!!嬉しい事言ってくれる坊やね!!ハグしてあげましょうか?」
( ^ω^)「あっ、そういうのいいんで早く始めてください」
(;;・∀・;;)「もー、照れちゃってかわいいんだからー!!!」
( ^ω^)(…俺もドクオに着いて行けばよかった)
- 617 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:32:17 ID:bcAFOTCA0
- ―――――
―――
―
('A`)(さて、来てみたはいいものの…)
('A`)(どーやって入りましょうかねーっと…)
ドクオは勝利の女神の面倒をショボンとブーンに任せ
衣類調達と事件調査の為に、クールが住むマンションへと訪れていた
('A`)(エントランスはオートロック式、インターホンで入館許可を得るタイプか…)
('A`)(監視カメラもあるし、あんまウロチョロしてたら怪しまれちまうか…そもそもニダーは姉御からSOSが届いた時、どうやって入ったんだ?)
ポケットから携帯を取り出し、発信履歴を確認する
数件連続してニダーへ電話を掛けているが、一向に繋がらなかった
('A`)(当の本人は音信普通だし、LINEもメールも返しゃしねえ…どうすっかね…)
マンション管理人を説得、または襲撃して部屋に入ろうかと思案したその時
<ヽ ∀ >「…」
エントランスに繋がる出入り口から、キャリーバッグを持ったニダーが現れた
- 618 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:34:09 ID:bcAFOTCA0
- ('A`)「ニダー」
<ヽ ∀ >「…」
<ヽ`∀´>「ドクオ、こんな所で何をしているニダ?」
('A`)「…お前こそ」
<ヽ`∀´>「これ」
ニダーはキャリーバッグをドクオへと差し出す
('A`)「!」
<ヽ`∀´>「クーの着替えとか生活用品とかが入っているニダ。ナプキンの使い方、ウリにはわからないからハインさんかヒートさんに聞いて欲しいニダ」
('A`)「あ、ああ…ありがと…って、今お前とんでもない要求してきたなオイ」
ドクオがそれを受け取ると、ニダーは
<ヽ`∀´>「それじゃ、ウリは帰るニダ」
足早に去ろうとした
('A`)「待てよニダー」
ドクオはそれを、手首を掴んで引き止める
ギチリと音が鳴るくらい、強く
<ヽ`∀´>「…痛いニダ」
('A`)「そーかいそりゃ結構だ。ニダーお前、昨日から寝てねーだろ」
- 619 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:35:47
- <ヽ`∀´>「どうしてそう思うニダ?」
('A`)「目の充血と隈を見りゃ一発だ。それに…」
キャリーバッグを地面に落とし、ニダーの服の裾を捲り上げた
先ほどまでキャリーバッグを持っていた腕には、無数の『引っかき傷』があった
('A`)「これは何の傷だ?」
<ヽ`∀´>「別に…ちょっと虫に刺されたから、強く掻き毟っただけニダ」
('A`)「吐くならもうちょいマシな嘘を吐け。二月の半ばに虫刺されなんて聞いた事ねーぜ」
<ヽ`∀´>「ドクオには関係ないニダ」
('A`)「ニダー、俺達は敵じゃない。友達だ、仲間だ。姉御の事が心配なのは良くわかる。だが一人で突っ走るのは…」
<ヽ ∀ >「ドクオにッ!!」
声を荒げ、強引に手を振りほどく
その力強さに、流石のドクオも尻餅をついた
(;'A`)「っつ…」
<619
- 620 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:37:08 ID:bcAFOTCA0
- (#'A゚)「オラアアアアアアアアアアアア!!!!!」
<ヽ; ∀ >そ「ニダッ!?」
渾身の飛び膝蹴りでニダーの背中を蹴り飛ばす
二メートル近い巨体が、前のめりに倒れた
(#'A゚)「昨日からウジウジと何考えてんだてめえ!!!男なら全力パンチ全力スラム一本で勝負せんかいってアシモフさんも言ってただろうが!!!」
<ヽ ∀ >「ッ…」
背中を抑え、よろけながら立ち上がる
顎には擦り傷が出来てあり、血が垂れ落ちた
(#'A`)「…それにさっきの態度、『昔のお前』そっくりだぜ。他人を避け、自分だけの殻に篭ってた、『こけおどしの瓜畑』にな」
<ヽ# ∀ > ビキッ!!
<ヽ#`∀´>「それを言うなッ!!」
激昂したニダーは、裏拳を見舞う
ドクオの頬に直撃したそれは、体ごと浮き上がらせ跳ね飛ばした
:(;'A゚):「ッ…!!」
脳が激しく揺さぶられ、立ち上がることが出来ない
視界はぼやけ始め、迫るニダーの姿が歪んで見えた
<ヽ;`∀´>「っ…」
ニダーはそれ以上追撃することも無く、ただドクオの姿を見ていた
:(;'A゚):「に……だ…」
:(; A ):「あ…」
ドクオの意識は、立て直すことが出来ず
仰向けに倒れたまま気を失った―――――
- 621 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:39:07 ID:bcAFOTCA0
- ―――――
―――
―
('A`)「すげえ顔痛いんだけど、もしかして俺イケメンになった?」
( ^ω^)「目覚めて第一声がそれかよ。安心しろ、いつも通りの残念フェイスだお」
ドクオが目を覚ましたのは、日も既に暮れたの頃であった
『サンフランシスコ』にあるソファーに寝かされてあり、頬には湿布が貼られていた
川 ゚ 々゚)「ドクオさん、具合は如何ですか?」
('A`)「顔すっげ痛いけど…大丈夫だ」
('A`)「ところでアンタ誰」
川 ゚ 々゚)「しょーちゃんです」
('A`)「マジかよ姉御感ねえな」
額に手を当て、頭を軽く振って起き上がる
その場にはブーンと、変装を施した勝利の女神、そして
見覚えのあるキャリーバッグが置いてあった
('A`)「…ここには、ニダーが?」
( ^ω^)「ああ、お前と荷物置いて、サッサと出て行ってしまったお。引き止める間も無くな」
川;゚ 々゚)「喧嘩、したんですか?」
('A`)「ああ、久しぶりにな…結果は見ての通り一撃KOだ」
( ^ω^)「ニダーパネエ…代わりに謝っといてくれって言ってたお」
('A`)「バカかあいつは…そんなもんてめえで言えってんだ…」
- 622 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:41:12 ID:bcAFOTCA0
- 川 ゚ 々゚)「どうして喧嘩なんてしたんですか?」
('A`)「あいつの煮え切らない態度についカッとなってな…思わずひでえことも言っちまった」
( ^ω^)「じゃあお前が十割悪いんじゃねえか死ね」
('A`)「お前が死ね」
川;゚ 々゚)「ヒィ!!こわい!!」
( ^ω^)「乳繰り合いはさて置いて、とりあえず話を聞かせてもらおうか」
('A`)「ああ…あいつはこう言ったよ」
('A`)「『ナプキンの使い方、ウリにはわからないからハインさんかヒートに聞いて欲しいニダ』ってな…」
( ^ω^)「もう一回失神するか?お?」
('A`)「いやマジで言ってたことだから…しょーちゃん、後でハインかヒートかモララーに電話して、生理用品の使い方教えてもらってくれ」
川;゚ 々゚)「えと、モララーさんって男性…ですよね?」
('A`)「だからこそ聞くんだよ」
( ^ω^)「純然たる嫌がらせやめてやれよ…その内あいつ泣くぞ…」
('A`)「泣くほうが悪いんだよ」
( ^ω^)「いじめっ子の発想じゃねえか…」
- 623 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:43:46 ID:bcAFOTCA0
- ドクオはマンション前での一部始終を話した
( ^ω^)「ああ…そりゃ俺でも殴るわ…」
('A`)「せやろ?」
川;゚ 々゚)「手を出さないって選択肢は無いんですか?」
('A`)「頑固な奴にゃ何言っても無駄さ。それなら肉体言語で語り合ったほうがよっぽどマシだ」
( ^ω^)「腕のひっかき傷ってのが引っ掛かるな。本当に自分でひっかいたか、それとも…」
('A`)「『誰かの抵抗の痕』か…だな」
川;゚ 々゚)「て、抵抗って…?」
('A`)「誰かを押さえつけようとして、暴れられた時に付いた傷…とか」
川;゚ 々゚)「ニダーさんはそんな人じゃないですよ!!」
勝利の女神は思わず立ち上がり、店内に響き渡る大声を張り上げた
その抗議に、二人は驚いた素振りも見せず
( ^ω^)「ニダーは聖人君子じゃねえお。それどころか、仲間内で誰よりも繊細で臆病で、熱くなり易い奴だ」
('A`)「そんなニダーだからこそ、姉御はあいつを気に入った。忠実で、慎重で、凶暴なニダーをな」
('A`)「もしかしたら、姉御は最初から『これを見越して』たのかもしれねえ」
川;゚ 々゚)「ま、待ってください…クールさんは、ニダーさんが暴走すると知ってた上で助けを求めたと言うのですか?」
('A`)「敵がどうなろうと姉御は知ったこっちゃねえだろうからな…ニダーもそれをわかって行動を起こしてる」
川;゚ 々゚)「それでも!!ニダーさんが傷つくことには変わりないじゃないですか!!」
('A`)「そう熱くなるな、あくまで推測だ。だが…」
( ^ω^)「ニダーの今の状況を鑑みるに、最も濃厚な線かもしれないってのも確かだお」
川;゚ 々゚)「っ…」
- 624 名前:>>1 :2014/03/22(土) 01:45:31 ID:bcAFOTCA0
- ( ^ω^)「それにしても…『昔のニダー』か…」
友人ですら突き放す、ニダーの冷たい態度は
二人と出会ったばかりの彼を思わせた
川;゚ 々゚)「その…昔のニダーさんって、どんな人だったのですか?」
('A`)「見た目通りの奴だったよ。誰よりも鍛えられた肉体と、産まれながらの強面。高一とは思えねえ迫力で、誰一人寄せ付けねえ一匹狼…」
( ^ω^)「第一印象は暗くて冷たい奴だったお。無表情で、話しかけても反応しない。他人との関わりを持とうとしなかった」
川;゚ 々゚)「…えと、その……」
('A`)「信じられねえだろ?アンタがブーンに責められてた時、真っ先に叱り付けて謝罪させたあのニダーがだぜ?」
( ^ω^)「もう許してくれよ俺だっていっぱいいっぱいだったんだよ」
川;゚ 々゚)「い、いえ!!そんな…」
勝利の女神は一度否定しかけたが
川;゚ 々゚)「…はい、余りにも私が知ってるニダーさんとかけ離れていて…なんて、可笑しいですよね。まだ出会って数日も経っていないのに、わかった様な顔して…」
うな垂れて肯定した
('A`)「いや、アンタが知るニダーこそがあいつの本質だよ。他人を思いやり、友達の為に叱ってやることが出来る。聖人君子にゃ程遠いが、それでも良い奴だと言える」
('A`)「その本質を引き出したのが、アンタが入れ替わった『素直クール』ってバケモン女だ」
川;゚ 々゚)「クールさんは、ニダーさんに何をしたのですか?」
('A`)「さぁな…あの二人の関係は、俺らにも良くわからん」
( ^ω^)「仲の良い姉弟にも見えるし、主従関係のようにも見える…あの二人には、俺らとはまた別種の『絆』があるように思えるお」
川 ゚ 々゚)「絆…」
('A`)「だから姉御はニダーに託し、ニダーはそれに応じた…んだと思う」
川 々 )「…」
ドクオが話し終えると、勝利の女神はうな垂れたまま沈黙した
二人もそれから何も言わず、ただ壁時計の音だけが延々と響いていた
- 646 名前:>>1 :2014/04/13(日) 23:40:13 ID:s0Vg0gEo0
- 川 々 )「…でも」
沈黙を破ったのは、勝利の女神
か細い声に、二人は耳を傾けた
川 ゚ 々゚)「それでも!!」
掻き消えそうだった声が、力強いものへ
不安げな表情から、『挑む』ような顔つきへと変化した
川 ゚ 々゚)「ニダーさんが傷ついていい理由にはならない!!クールさんはそれを認めていいはずが無い!!」
川 ゚ 々゚)「エゴだと言われようとも、私は二人に『間違っている』と教えなきゃいけない!!」
ここに来て始めて見せた彼女の『断固たる決意』をした目の色
黙って聞いていた二人は、勝利の女神の言葉に不敵な笑みを返した
( ^ω^)「いいねえその顔、その言葉。気に入ったお」
('A`)「ああ、燃えてくるじゃねえか」
川;゚ 々゚)「と言っても、具体的にどうするかなんて考えてないんですけどね…」
その色を見せたのはほんの一瞬で、直ぐに自信なさげな表情へ戻った
('A`)「それでいいんだよ。後からどうなるかなんて考えねえで足を動かせば、良くも悪くも結果が着いてくるんだから」
川;゚ 々゚)「悪くなったらマズイんじゃ…」
( ^ω^)「そん時は俺らがフォローしてやるお」
- 647 名前:>>1 :2014/04/13(日) 23:42:15 ID:s0Vg0gEo0
- ('A`)「いよっし!!そんじゃあ女神様もマジになったところで、一発気合入れるか!!」
( ^ω^)「そうこなっくっちゃあな!!!」
川;゚ 々゚)「わ、私も気合入れます!!」
('A`)「そうかじゃあ良く見とけ!!俺ら流の気合注入法!!」
( ^ω^)bd('∀` )「「こうだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
('A`)「さぁ!!次はアンタだ!!ケツ出せ!!」
川 ゚ 々゚)「お断りします」
その時見せた彼女の瞳は、養豚場の豚を見るかのように冷たいものだったと、後にブーンは語ったという
- 648 名前:>>1 :2014/04/13(日) 23:44:06 ID:s0Vg0gEo0
- ―――――
―――
―
その日は、ドクオが長い時間気絶していた事や、マラ男のなんか良くわからない長い話(不死身の探偵がどうのこうの)を聞かされたこともあり
調査は土日へ持ち越されることとなった
( ^ω^)「今日は泊まるお」
('A`)「親の了解は得たのか?」
( ^ω^)「なんか察した目で『いいよ』って言われた」
('A`)「なら安心だな」
川 ゚ 々゚)「それなんか誤解されてないですか?」
因みに、勝利の女神の特殊メイクとは
川;゚ -゚)「っぷああ…これ着けると、顔がなんかぬぺっとするんですよね…」
('A`)「あのオッサ…お姉さん、ただ者じゃねえな…」
( ^ω^)「そんなもん顔見れば一発でわかるだろ…」
『ダークマン』の人口皮膚のような超リアルな質感を持たせつつ、着脱可能な変身マスクだった
- 649 名前:>>1 :2014/04/13(日) 23:46:00 ID:s0Vg0gEo0
- ('A`)「さて、無事着替えも手に入ったし、飯の前に風呂入って来い」
川;゚ -゚)「あの、良いんですか?今日も先に入っちゃって…」
('A`)「いいよいいよ。俺は後でブーンと一緒に入るから」
( ^ω^)「背中流しっこが日常になってるんだお」
川;゚ -゚)「せ、狭くないですか…?わかりました。お先に戴きます」
勝利の女神はキャリーバッグから荷物を取り出そうとして
川 ゚ -゚)「…」
固まった
('A`)「…?」
( ^ω^)「どうした?早く入れお」
川 ゚ -゚)「あの…」
川 ゚ -゚)「これどうやって開けるんですか?」
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
二人は、『めんどくせえ』と思うと同時に、腹から湧き上がる萌えを感じてなんかもう思考回路はショート寸前だった
- 650 名前:>>1 :2014/04/13(日) 23:48:19 ID:s0Vg0gEo0
- ('A`)「めんどくせえお嬢様だな…いいか、これはこうやって…」
ドクオはバッグの留め金を外し、取っ手を持って押し上げた
中にはクールらしいシンプルな衣服や下着、生理用品等が几帳面に収納されていた
( ^ω^)「おいこれ見ちゃアカンやつじゃ」
('A`)「不可抗力だ。もしこれでボコられても後で文句は言えるから心配すんなよさやか」
( ^ω^)「誰がさやかちゃんや」
川 ゚ -゚)「ほぉー…地上にはこんな便利なものがあるんですねー…」
当の持ち主、改め勝利の女神は、気にすることなく寝巻きと思われるスウェットと長袖を手に取る
すると、『カサッ』と、布には出せない乾いた音がした
川 ゚ -゚)「ん、あれ?なんでしょうこれ…」
バッグの底にあったのは、茶色い『封筒』だった
('A`)「金か?いや、それにしちゃあ随分平べったいな…」
厚みも重みもないそれをドクオが拾い上げ、中を確認する
その後、封筒をひっくり返し、入ってた物を手のひらへ落とした
小さく軽く、黒く四角いその物は、勝利の女神にはゴミにしか見えなかったが
( ^ω^)「マイクロSDカードかお…」
川 ゚ -゚)「?」
('A`)「…そのようだな。ニダーの野郎、アレだけの拒絶をしといてちゃっかりヒントは残していきやがったか…」
この小さな記憶媒体に、新たな手がかりがあると二人は確信した
- 651 名前:>>1 :2014/04/13(日) 23:49:54 ID:s0Vg0gEo0
- 川 ゚ -゚)「はー、こんな小さな板に、写真や動画が入る時代なんですね…」
( ^ω^)「天界ってこういうデジタル機器ねーのかお?」
川 ゚ -゚)「家にあるパソコン、まだ98なんですよ」
('A`)「また古いなオイ。もうすぐXPのサポートも終わるってのに…つーかパソコンあんのかよ」
ドクオの部屋のパソコン前では、三人がディスプレイを注視していた
PCの起動が完了し、SDカード(正確にはマイクロSDをアダプターに差し込んだ物)を挿入した
('A`)「ファイルは一つしかねえな…」
慎重にクリックを進め、ファイルを確認する
入っていたのは数枚の写真。サムネイルでは良く見ることは出来ないが、部屋の風景写真と予想できた
('A`)「…いいな、見るぞ」
二人の了解を得る前に、ドクオはその中の一つをクリックする
拡大されて表示された画像は、予想通り部屋の内部写真だった
( ^ω^)「…姉御の部屋、かお?」
('A`)「さぁな…入ったことねえからわっかんねえや。しょーちゃんは?」
川;゚ -゚)「むー…私も目が覚めたら病院にいましたから…」
( ^ω^)「…あっ、これ姉御の部屋だわ。ほれここ」
写真の一角を凝視していたブーンは、その場所を指差す
四角い棚…恐らく本棚であろう場所に、ぎっしりと『ある漫画』が詰まっていた
その漫画は、このドクオの部屋の本棚にも置いてあるものであった
('A`)「…姉御だな、間違いない」
川;゚ -゚)「えっと…私にはわからないんですが、どうしてそうだと言い切れるんですか?」
- 652 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:01:53 ID:Iatd2RFY0
- ( ^ω^)「姉御、筋金入りのジョジョラーだからな。ジョジョ全巻と関連書籍、それにウルジャンのジョジョ表紙バックナンバーは大切に保管してるってのは有名な話だお」
('A`)「それにこの紫色の分厚い本あるだろ?これジョジョ展でしか買えない画集なんだよ。姉御は仙台も東京も行ってるから、確実に手に入れてんだよ」
('A`)「本棚の上に飾られてるのは複製原画だな。それにASBの黄金体験BOXの特典もある。これはもう姉御ですわ」
川;゚ -゚)「は、はぁ…お二人がそう言うのなら、そうなんでしょうね…」
『理解不能』と言いたげに首を傾げる勝利の女神を余所に、二人は部屋のあちこちに配置されているジョジョグッズを見つけるのに夢中になっていた
そこでふと、ドクオがある物に気付く
('A`)「…あれ?なんだこれ、染みか?」
( ^ω^)「どれだお」
('A`)「ほらここ、天井の辺り」
マウスカーソルが指す場所には、『黒くて丸い』染みのようなものが天井に張り付いていた
( ^ω^)「ちょっと拡大して」
('A`)「はいよ…あ、ダメだ。画質荒くなってよくわかんねえ」
( ^ω^)「オカルト板にうpして解析頼もうぜ」
('A`)「仮にも姉御の部屋をネットにアップするのは人道に反してるだろ…」
川 ゚ -゚)「あの、写真は他にもあったのでは?」
('A`)「あ、そうだった。頭いいなしょーちゃん」
川*゚ -゚)「そ、そんな…天才だなんて…」テレリコテレリコ
(;'A`)「そこまで言ってねえよ…本当に神様っぽくねえ神様だな」
クリック音と同時に、ディスプレイは次の画像を映し出す
- 653 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:03:54 ID:Iatd2RFY0
- (;'A`)「…おい、これ」
(;^ω^)「…」
『染み』の正体は直ぐにわかった
しかし、謎は深まるばかりだった
川;゚ -゚)「私の、いえ、クールさんのお腹の…」
クールの体に刻まれた『紋章』が、同じように天井へと『焼印』のように押されていたのだ
(;'A`)「染み…じゃねえな、これは『焦げ』だ。天井が紋章型に焦げている」
(;^ω^)「どういうことだお…」
川;゚ -゚)「……焼けたって、ことですか?」
(;'A`)「わかんねえよ…いや待て、これの下は…」
最初の画像へと戻す
焦げのの下には、『ベッド』が置かれていた
('A`)「さてさて、これをどう見るブーン」
( ^ω^)「どうもこうも…考えられるのは二つ」
( ^ω^)「上から『押された』か、下から『押した』か。だお」
川 ゚ -゚)「つまり…空からこの刻印が体に刻まれたか、私…クールさんの体から刻印が空に向かって放たれたかって事ですね」
('A`)「それも、寝ている間にな…」
- 654 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:05:59 ID:Iatd2RFY0
- ( ^ω^)「疑問点は、これが作為的なものか偶然の産物かってことだおね」
('A`)「それもまた可笑しな話になるんだがよ。しょーちゃんが誰かに狙われてる時点で仕組まれたことはほぼ確定だ。だが、何故奴らは姉御の特定に遅れたんだろうか?」
( ^ω^)「事前にわかっていたなら、姉御宅周辺で待ち伏せすりゃあいいだけの話。だが、真っ先に到達したのはニダーだった」
川;゚ -゚)「つまり…どういうことですか?」
('A`)「わかんね」
川;゚ -゚)「ですよね!!私もチンプンカンプンですから!!」
( ^ω^)「やっぱこの紋章が最大の謎なんだお。早いとこネーヨのおっさんに調べて貰わないと」
('A`)「この…なぁ、『円』に、棒…『槍』?あと『花びら』…か、何を意味してんだ…?」
川 ゚ -゚)「……『盾』、ですかね」
('A`)「盾?」
川 ゚ -゚)「勝利とは常に、戦いの上で成り立っています。その最たるものが『戦争』」
川 ゚ -゚)「…戦争の歴史の大半は、敵を屠る槍…即ち『矛』と、身を守る『盾』を武器としてきました。その事を鑑みれば、妥当かと思います」
('A`)「盾…盾か…」
ドクオはショボンから教えてもらった、ネーヨへの番号へダイアルした
2コール立たず、抑揚の無い声が返ってくる
スピーカーモードに切り替え、音量を上げて机の上に置いた
『はいヨ。ボーズか?』
('A`)「ご無沙汰っすネーヨさん」
『まーた厄介ごとに巻き込まれやがって。記者目指したらどーだヨ。毎日がスクープだぜ?』
('A`)「そのうち世界滅びそうなんでやめときます」
( ^ω^)「どんな規模の厄介ごとだよ…」
- 655 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:09:48 ID:Iatd2RFY0
- 『用件はわかってる。素直のお嬢に関することだろ?』
('A`)「そうです。その紋章についてなんですが」
『大体の目星は付いてんだヨ。だが確証が無くてな』
('A`)「今はその情報すらありがてえ。まずはそっちの話を聞かせてくれ」
『ああ、俺は先ず『紋章』について調べたが、『完全一致』したものは見つからなかった』
川;゚ -゚)「地上には無い…と」
『あん?お嬢もいるのか?』
( ^ω^)「説明めんどいから続けてくれお」
『お、おお…で、次にその紋章を創りだす『パーツ』に着目してみた』
『円なら「珠」や「鏡」、棒は『矢』や『槍』、花びらは『桜』…てな具合に、『物』に置き換えて見たんだよ。するとだな…』
『灯台なんとやらってな。意外なほど近くで手がかりが見つかったヨ』
『VIP市内の「勝良神社」。そこで盗まれた盗品が『槍』と『盾』だったそうだ』
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
川 ゚ -゚)「…」
三人は声こそ上げなかったが、拳には無意識の内に力が入り
『ガッツポーズ』を取った
('A`)「ありがとうネーヨさん。充分だ」
『悪いな。確実な情報を得られなくてよ』
( ^ω^)「いやホントマジで充分だお。流石エクスタシーズ一まともな男」
『あれらと比べられてもいまいち嬉しくネーヨ…』
- 656 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:12:49 ID:Iatd2RFY0
- ('A`)「そうだよどうして思い浮かばなかったんだ。『勝良神社』!!勝利のご利益があって、盗難の被害があった。偶然にしちゃあ出来すぎだ」
通話を終えてから、ドクオは大きなため息と共に天を仰いだ
非現実な問題や襲撃によって、彼らの頭からすっぽりと抜け去っていたのだ
( ^ω^)「つーかニュースにもなって、しかも見てたってのに気付かない俺らって…」
('A`)「ここ数日色々あったもんよ…失念すんのも仕方ねーよ」
('A`)「叛逆の物語の円盤も発売されたもんよ。そりゃ忘れるわ」
( ^ω^)「発売日は四月の頭じゃねーか今二月半ばだぞ」
('A`)「現実世界ではもう四月の半ばなんだよ察せよ」
(;^ω^)「お、おう…すまん…ん?」
川 ゚ -゚)「その、勝良神社って、どの辺りにあるんですか?」
('A`)「ああ、そうだな…」
ドクオはグーグルアースを開き、住所を入力した
松千代市とVIP市周辺の画像が映し出された
('A`)「ここが俺らの学校だろ?そんで…」
村人学園から、ドラッグを繰り返しVIP市内へ
市街地から少し離れた小高い山の上に、鳥居と古めかしい建物がある敷地があった
('A`)「ここだ、ちょっと遠いがいけねえ距離じゃねえ。時速10キロで走って一時間掛るか掛らないかくらいだ」
川 ゚ -゚)「つまり十キロ前後ですね?」
( ^ω^)「ドクオが時速8キロで動き始め、その4分後に俺が時速10キロで追いかけました。さて、俺は何分後にドクオに追いつくでしょうか?」
川;゚ -゚)「…紙とペン貸してください」
('A`)「これ就活で良く出る問題だから、マジでしっかり勉強しといたほうがいいぞ」
('A`)「とにかく、明日はすぐにでも神社へ向かおう。どんな些細なことでもいい」
('A`)「ここから、解決への糸口を掴むんだ」
- 657 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:15:10 ID:Iatd2RFY0
- 【Eye catch…】
【Eye catch…】
- 658 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:18:37 ID:Iatd2RFY0
- ―――――
―――
―
電車やらバスやらを乗り継いで数十分
VIP市中心街から少し離れた場所に『勝良神社』はある
その名前から、地元住民からは『勝利のご利益』があると親しまれ
受験シーズンには多くの受験生などがご利益にあやかろうと訪れるのだが
先日の病院襲撃事件や、盗難事件のこともあり、三人のほかに参拝客は見当たらなかった
('A`)「頼もう!!!!!」
( l v l)「誰や!!!!!!」
('A`)「通りすがりの……」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> ('A`)「スパルタ兵だ!!!!!」 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
('A`)9m「漢筋肉熱演!!最強の戦士達再び!!『300 帝国の進撃』は6月20日公開!!みんな、絶対に観にいけよな!!!!」
( l v l)「自分なんやねん!!この神社何しにきたんや!!」
(#'A`)「ステマに決まってんだろ!!!」
( ^ω^)「ちげえよめんどくさいテンションで話進めんじゃねえお」
唯一の参拝客を出迎えたのは
( l v l)「悪ガキがまた神社のモン盗みにきたんか!!」
(#l v l)「殺す!!!!!!!!!!!」
殺気立った神主であった
( ^ω^)「やべえよ、ここの神主SAN値ゼロだよ」
川;゚ 々゚)(帰りたい…お家(天界)に帰りたいよ…)
- 659 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:21:41 ID:Iatd2RFY0
- ('A`)「おいおい、仮にも神さんに仕える人たぁ思えねえな…武器の密輸でもやってんのかここァ?」
( ^ω^)「いくらブラックラグーンの最新刊がもうすぐ発売だからって現代日本でそりゃねえだろ…」
(;l v l)「…」
( ^ω^)「否定してもいいのよ?いやむしろしてくださいお願いしますこれ以上話を抉らせないで」
( l v l)「そ、そんなことより何しにきたんや!!もうここには盗まれるモンは賽銭くらいしか…ハッ!!」
(#l v l)「賽銭泥棒か!!!!!!殺す!!!!!!!!!」
('A`)「あ、いや、そうじゃないんすよ。俺ら大学生で、神社の歴史と神品について取材してレポ書かなきゃなんねーんすわ」
( l v l)「大学生ェ…?」
神主は顎を擦りながら向けながら三人を見定める
無精ひげがジョリジョリと下品な音を立てる
( ^ω^)「そっす、俺らテニサーとかに入ってて毎日飲み行ってつれーんすわー」
('A`)「うぇーい」
川;゚ 々゚)(何そのやる気の無い大学生アピール!?怒られますよ!!)
( l v l)「なんや…大学生か…」
川;゚ 々゚)そ(信じたーーーーーーー!?そして何故か残念そうーーーーーーーーーー!?)
( l v l)「スマンの、最近物騒な事件が多くて神経質になっとったんや。堪忍してや」
('A`)「うぇーい、いいっすよー。ワンチャンワンチャンー」
( ^ω^)「昨日の酒残っててつれーわー」
川;゚ 々゚)(いつまで続けるの!?)
- 660 名前:>>1 :2014/04/14(月) 00:23:53 ID:Iatd2RFY0
- ('A`)「そんで、本題なんすけど…」
( l v l)「ああ、待ち待ち。こんな寒い所で立ち話もなんやから、茶でもしばいてゆっくりしてきや」
川 ゚ 々゚)「よろしいんですか?突然出向いて何ですか…」
( l v l)「かまへんかまへん。どうせ暇なんや。それに、若者が神さんに興味持つってのは嬉しいこっちゃからな」
神主は手招きし、社務所へと向かう
三人は顔を見合わせ
('A`)「…お言葉に甘えようか」
後に続いた
( l v l)「熱い茶でええな?」
('A`)「お構いなく、ありがとうございます」
熱いほうじ茶が入った湯のみがテーブルに置かれ、全員がそれに一口つける
勝利の女神は小さく『アチッ』と悲鳴を上げた
( l v l)「なんや姉ちゃん、猫舌かいな。氷持ってこよか?」
川;゚ 々゚)「だ、大丈夫です。すみません…」
( l v l)「せなやならええんやけどな…ほんならまず自己紹介からはじめよか。ワイは矢矧宗男っちゅーもんや」
('A`)「欝田ドクオです」
( ^ω^)「内藤ホライゾンですお」
川 ゚ 々゚)「しょっ…正木くるうです」
勝利の女神は本名(?)を口走りそうになりながらも、事前に打ち合わせしておいた偽名を使った
神社にいる人間がこの騒動とは無関係だとしても、念には念をと考えたドクオとブーンの判断からであったが
それでも彼女は、神に仕える人間に、例えそうでなくとも、嘘を吐く事に罪悪感を覚えた
- 670 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:15:46 ID:A1jO9PqE0
- ( l v l)「そんで、何を聞きたいんや?」
宗男は癖なのか、顎鬚を擦りながら質問を促した
('A`)「えっと、そうですね…ちょっと待ってください」
ドクオはノートを広げ、ボールペンをノックし
親の所持品であるICレコーダーのスイッチを入れた
('A`)「はい、では先ずこの勝良神社のなりたちを教えて戴けますか?」
( l v l)「よっしゃ、いっちょ気合!!入れて!!語ろか!!」
( l v l)「その昔、このVIP…旧名は『厄土』っちゅー土地は災いと争いの中心部やったんや」
('A`)「と、言うと…?」
( l v l)「戦火に疫病、飢饉に反乱…ありとあらゆる混乱が長年に渡って蔓延っとった。川は血で染まり、地は死体が埋め尽くすほどの…まぁ誇張表現かもせーへんけど、とにかく酷い場所やったそうや」
( l v l)「その現状を変えようと立ち上がったのが、隣町の名前にもなっとる『松千代』様や]
( ^ω^)「松千代ってマッチョを漢字にしたアレじゃなかったのかお…」
川 ゚ 々゚)「マッチョって外来語じゃないですか…」
( l v l)「松千代様は厄土の災厄は『祟り神』の仕業やと踏んで、『神』に戦いを挑んだ。しかし相手が悪かった」
('A`)「人間と神って戦えるもんなの?」
( l v l)「いや知らんがな、あくまで伝説やし。大体、神っちゅー存在すら眉唾モンやろ」
( ^ω^)「アンタ神主だろ…」
( l v l)「続けるで。祟り神は猛威を振るい、松千代の軍の半分以上を掻っ攫った。厄土も松千代の土地も血に染まる地獄絵図と化した」
- 671 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:19:13 ID:A1jO9PqE0
- ( l v l)「追い詰められた松千代様は巫女に助言を求めた。ここでの巫女っちゅーのは祈祷や占いを行い、神託の伝言をするモンや。今流行の萌えーな巫女さんとはちゃうで?」
('A`)「『萌えー』も若干古いと思うが」
( l v l)「巫女はこう言った。『屍が眠る厄の土地で桜が咲く時、血を吸った月に供物を捧げよ。夜空を突く槍、月を映す盾と共に。さすれば天より勝機がもたらされる』」
( ^ω^)「なんだ…ただの中二病か…」
川 ゚ 々゚)「供物と言うのは?」
( l v l)「まー、早い話が生贄やな。やけど、松千代様は無関係の人間を供物とするのを良しとせえへんかった」
( l v l)「だから、自らを生贄として差し出すことにしたんや。後の事を他のモンに託してな」
('A`)「漢…!!」ガタッ!!
( l v l)「赤い月っちゅーのは所謂『ブラッドムーン』やな。今は科学やらなんやらで現象がはっきり解明されとるけど、昔は不吉の前兆なんかと思われとったんや」
( l v l)「さて、赤い月が昇った夜。厄土に咲く満開の一本桜が立つ丘に、松千代様と一人の戦士。そして巫女が訪れた」
( l v l)「槍は空気さえも切り裂いてしまいそうに鋭く、盾は浮かぶ月と、血を吸った紅桜をくっきりと映し出すほど磨き上げられとった」
( l v l)「ただ、槍の向き先は松千代様の心の臓。逆握した槍で、自らを供物として捧げようとしとった」
川;゚ 々゚)「…」
( l v l)「松千代様は最後に『俺の屍を越えて勝て』と言い残し、えいやと気合を込めて槍を突き立てた!!」
宗男は気合の入った語り口と共に、右拳を胸にドンと突きつける
勝利の女神が反射的にビクリと身を震わせた
( l v l)「槍は容易く松千代様の体を貫き、鮮血が噴出す!!血は桜の幹を濡らし、傍にいた巫女にも降りかかる!!その時!!」
( l v l)「月光が一際眩しく輝き、盾に反射され巫女を照らした!!」
- 672 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:21:53 ID:A1jO9PqE0
- ( l v l)「月光に当てられた巫女はがくりと頭を垂れ、松千代様は力なく膝を着き絶命する」
( l v l)「残された戦士は、固唾を飲んで見守った!!さぁするとどうや!!巫女は青白く輝きだした!!」
( l v l)「次に頭を上げたのは、巫女とはまた別の『存在』!!そう、『戦の神』が降りたんや!!」
('A`)「展開はえーなおい」
( ^ω^)「まぁ一人死んでるしな」
川;゚ 々゚)「なんでそんな冷めてるんですか…?」
( l v l)「戦の神の加護を受けた戦士は祟り神と相見え、見事撃退することが出来た。祟り神が消えると同じくして戦の神も空へと還った」
( l v l)「厄土から災いは去り、平安が訪れた。戦士と巫女は一本桜の丘に神社を建て、人々の為に自らを天に捧げた松千代様と、戦の神を奉った…」
( l v l)「それがこの『勝良神社』の成り立ちっちゅーわけや」
語り終えた宗男は、温くなったほうじ茶を一気に飲み干した
('A`)「へぇー…地元の名前とか気にしたこと無かったが、ちゃんとした由来があったんだな」
( ^ω^)「つーか可笑しくね?松千代が活躍した土地にその名前付けないで、なんで隣町の名前になってんの?」
( l v l)「今の松千代が彼の領土やったからな。昔っからその地名やったそうやで」
( ^ω^)「…あー、ちょっと質問、いいかお?」
( l v l)「なんや?」
( ^ω^)「戦士は普通の人間だおね?どうして戦いの神を宿した巫女が戦わないで、戦士が戦ったんだお?」
( l v l)「さぁー…」
( ^ω^)「さぁーてアンタ…」
- 673 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:25:20 ID:A1jO9PqE0
- ( l v l)「諸説あるんやけどな。戦いの神の有り余るパワーは人間の手には余るから、ほんの少しだけ力を貸しただとか…」
( l v l)「また、そのまま『戦闘力』として貸すのではなく、『勝ち目』を呼び込む…つまり時の運を呼び寄せるご利益を与える方だったとか、色々な言い伝えが残っとる」
('A`)「つまりは『神風』ですね」
( l v l)「せやな」
川 ゚ 々゚)「それであの、その槍と盾はどうなったんですか?」
( l v l)「…」
(#l v l)「うおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
川;゚ 々゚)そ「アアアあああああああああああああああああああああああ!!!!!!??????」
槍と盾の話になった瞬間、宗男は激昂し
勝利の女神の両肩を掴み大きく揺さぶった
(#l v l)「その槍と盾が!!!!!!!!盗まれたんや!!!!!!!!二週間くらい!!!!!前に!!!!!」
:川; 々 ):「あばばばばばばばば」ガクガクガクガク
( ^ω^)「ああ、例の盗品がアレ…」
('A`)「お茶うめえな」
:川; 々 ):「あがががががががががたすけえええええええええ」
(#l v l)「お前アレどんだけ神聖なもんかわかってんのかと!!!!!神を呼び込み神を倒した神品やぞ!!!!!しかもその犯人死んでもうたんやで!!!!!居場所も!!!!!!伝えずに!!!」
(#l v l)「ああ忌々しい!!!!!!ワイがもう一度殺してやろうかってくらい忌々しい!!!!!」
- 674 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:26:41 ID:A1jO9PqE0
- ('A`)「まぁおちんこついてくださいよ宗男さん。正木がバターになっちまいます」
(;l v l)「おっ……スマンなねえちゃん。ワイ、頭に血が昇るとどうも…」
川 々 )「」
( ^ω^)「返事が無い、ただの屍のようだ」
(;l v l)「ほんまワシも余裕無いんや…昨シーズンのクライマックスシリーズの阪神くらいに…」
('A`)「ああ…前半は調子良かったのに後半からどんどん力を落としていく感じが…なぁ…」
( ^ω^)「つーか広島がすげえ強くなってるおね。今シーズンとかもうどうなってるかわからんでこれ」
( l v l)「やめて、ワシの希望を打ち砕かないで」
('A`)「野球はさて置き、その槍と盾…が、あれば、戦いの神を呼び寄せることが出来るんですかね・・・?」
( l v l)「知らへん。やったことないからな」
( ^ω^)「人が死ぬねんで…?」
('A`)「口調移ってんぞ…」
( l v l)「それもあるけどな、もう一つ呼び寄せられない理由があるんや」
('A`)「『理由』?」
( l v l)「ちょっと、外でよか」
- 675 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:28:43 ID:A1jO9PqE0
- 宗男に連れられ向かった先は、一本の大きな木の下
木柵で囲いがされてあり、幹にはしめ縄が巻かれてあった
('A`)「こいつぁ…」
( l v l)「例の桜の木…神を導く標となったことから、『神導桜』と呼ばれとる」
川 ゚ 々゚)「『しんどうおう』…」
( ^ω^)「なんか四天王の内の一人みたいな呼び名だお」
('A`)「きっと地属性だな…」
川 ゚ 々゚)「この桜が、理由の一つなんですか?」
( l v l)「せや。この桜な、もう枯れてんねん」
木の枝を良く見てみると、春を待ちわびているはずの蕾が一つも見当たらない
彩のないその桜の木は、むき出しになった白骨を連想させた
( l v l)「桜の花が咲かなければ、神は道標を見つけられず彷徨ってまう。生贄を捧げただけで、後はなーんも起こらんのや」
( ^ω^)「それじゃただの頭おかしい自殺だお」
( l v l)「せやな。もしかしたら、神品を盗んだアホはそれを知らんとグサリやってもうたんかもな…」
('A`)「…」
川 ゚ 々゚)「…」
大きな風が、吹いた
蕾をつけぬ枝がぶつかり合い、カタカタと寂しげな音を鳴かせた
- 676 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:30:47 ID:A1jO9PqE0
- ―――――
―――
―
日も傾き始めた頃
三人は宗男に礼を言い、引き上げようとしていた
('A`)「本日は貴重なお話をありがとうございました」
( l v l)「おお、また遊びにきいや。物は盗まれても神のご利益は残っとるからな」
川 ゚ 々゚)「神品…見つかるといいですね」
( l v l)「せやな…ポリのあんちゃんらにはキバってもらわんとな」
( ^ω^)「阪神…今年は勝つといいですね」
( l v l)「切なくなるからマジでやめてマジで」
('A`)「それでは、失礼します」
( l v l)「あ、ちょっと待ち」
宗男はポケットから新品のお守りを取り出し、三人へ差し出した
『勝利』と刺繍されたそれは、勝良神社で販売されているものだった
( l v l)「おみやげや。もうとき」
川;゚ 々゚)「あ、いえ、そんな…突然押しかけてお話を聞かせて戴いたのに」
( l v l)「ええから!若いモンが遠慮しなや!」
半ば強引に、勝利の女神にお守りを握らせる
その後、ドクオとブーンにも順に手渡していった
- 677 名前:名も無きAAのようです :2014/04/29(火) 23:34:45 ID:A1jO9PqE0
- ( l v l)「勝良神社のお守りは、『勝ち目』を呼び込むお守りや。デカイ勝負出たときにそれ握って挑んでみィ、バシッと勝つで!!」
('A`)「バシッと…ね。ありがとうございます」
( ^ω^)「阪神の選手にこれ渡せばいいんじゃね?」
( l v l)「おいワシの心遣い台無しにすなや」
( ^ω^)「サンキューな、オッサン」
川 ゚ 々゚)「あの、ありがとうございます!!」
( l v l)「ん、頑張れよ!!若人諸君!!」
宗男から貰ったお守りを、勝利の女神は大事そうに
残りの二人は割りと雑に仕舞いこみ、帰路へ着いた
( l v l)「…変わった学生もおったもんやな」
宗男はその背中が見えなくなるまで見送った後、神導桜を見上げた
( l v l)「あんだけ真剣な目で話聞いてくれた奴は始めてや。態度はおちゃらけとったけど…ん?」
夕陽に照らされた枯れ木の、違和感に気付く
( l v l)「…折られとる」
大きな枝が一本、根元からポッキリと折られていた
風の仕業だとしても、『地面に折れた枝』が転がっている筈
その『筈』だが、綺麗に清掃された神社内には、枯葉がごく僅かに落ちているだけだった
( l v l)「…まさか、な」
自分が先ほど話した伝説を思い返し、不安の渦が巻く
宗男はおとぎ話を信じるほど子どもでは無いが、神などいないと言い切れるほど大人でもなかった
寒風が再び、枝をカタカタと鳴かせた
まるで、恐怖に身震いするかのような、そんな鳴き声だった
- 688 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:36:53 ID:KX/IjPMo0
- ―――――
―――
―
('A`)「今更だが、まるで映画の世界だな」
( ^ω^)「マジで今更だなオイ」
VIP市内のレストランでパスタを巻きながらドクオは独りごちた
たった一口食べただけだが、二口目を進める気にはならない味だ
川 ゚ 々゚)「…」
勝利の女神に至ってはフォークに手を付けようともしない
( ^ω^)「神社の、伝説を、真に受けるアホがいました。そのアホが、神社から品を盗んで伝説の通りに事を成しえました」
( ^ω^)「だけどそのアホはアホなので手順を一つ抜かして、勝利の神様を取り逃がし、現在目下捜索中」
( ^ω^)「肝心の神様は俺らに保護され、元いた場所に戻る方法を探してる…まるで三流脚本家が書いたシナリオだお」
('A`)「全く、その通りだな…食わねえの?」
川 ゚ 々゚)「……亡くなったの、ですね」
( ^ω^)「え?」
('A`)「…」
彼女が言いたいのは、恐らく『生贄』のことだろう
自分自身が呼び出された代償は、デリケートで慈しみ深い彼女に暗い影を落としていた
- 689 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:39:00 ID:KX/IjPMo0
- ( ^ω^)「あのな、アンタ犠牲者だぞ?生贄のどうのこうのはさて置き、殺したのはアンタとは何の関係も無いアホの仕業だ。気にするこたあねえよ」
川 々 )「……だとしても、いい気分にはなれません」
('A`)「だろうな…俺も料金以下のマズイ飯食わされて最悪の気分だ」
ドクオは遂にパスタを弄くる手を止め、フォークを皿に投げ出した
('A`)「だがなしょーちゃ……ん?」
語りかけようとしたドクオの目は、掛け流しのテレビに吸い込まれていった
('A`)「…」
( ^ω^)「あれ…お説教タイムは?」
川 ゚ 々゚)「…?」
続けて二人も、振り返ってテレビを見る
なんてことは無い、昼のワイドショーだった
ただ唯一、いつもと違うところを上げるとすれば
『松千代病院襲撃事件、犯人逮捕』
素っ気無く添えられた緊急速報だ
(;'A`)「これが映画なら…」
(;'A`)「捕まったのはニセモノだろうな…」
ドクオの言葉は、それこそ神の予言のように適格だった
そのことが身をもって証明されたのは
犯人逮捕により、『臨時休学』が解除された月曜日のことであった
- 690 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:41:48 ID:KX/IjPMo0
松千代市、郊外
昭和の香りが色濃く残る喫茶店で、彼は人を待っていた
( 'α`)「はい、ブレンドのホットね」
<ヽ`∀´>「…」
化粧の濃いウエイターに目も向けず、礼も言わず
運ばれてきたコーヒーを機械的に口に含んだ
「コーヒーはブラック派ですか?」
<ヽ`∀´>「…」
背後で、誰かが話しかけてきた
聞き覚えのある声だった。病院で聞いた、名も知らぬ女の声
「私、苦いの苦手で、いっつもカフェラテとか甘いの頼むんですよ」
<ヽ`∀´>「…どうでもいいニダ」
「あらら、随分と嫌われたものですね」
持ち上げたコーヒーカップを、音を立てずソーサーに置き、振り返ろうと身じろぎをした瞬間
ニダーの首筋に、冷たい物が押し当てられた
「そのまま聞いててください。コーヒーを自分の血で台無しにしたくは無いでしょう?」
<ヽ`∀´>「…」
ズズズと、静かにカフェラテを啜る音を間に、彼女は話を進めた
- 691 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:43:11 ID:KX/IjPMo0
- 「さて、まずはお礼をしときましょうか。我々の…」
<ヽ`∀´>「前口上はいい。用件だけを手短に話せ」
<ヽ`∀´>「『素直クールを元に戻す方法』とやらを」
ニダーは懐から、家のポストに投函されていた手紙を取り出し、肩越しから床へ落とす
問題の解決法の提示と、喫茶店の名前が単調にワープロで刻まれていた
「まぁまぁ、そう焦らず…一朝一夕でなんとかなるものじゃあ無いんですよ?」
<ヽ`∀´>「なら何故ウリをここに呼んだ?」
「ご協力を、お願いしたくて」
再び、カフェラテの間
甘ったるい匂いが鼻につき、ニダーは無糖のコーヒーをやや多めに口に含んだ
それを暫く、口の中で飴玉のように転がす
舌の上に苦味が広がり、鼻の奥に昇る香りが気分を僅かに落ち着かせた
「彼女の確保、思ってた以上に手こずってましてね。女子校生一人見つけるくらい、造作も無いことなんですが…これも神の為せる業、ですかね?」
<ヽ`∀´>「…」
「とは言え、すでにもう目星は付いているんです。明日、あなた方の学校で彼女を確保します」
手元のコーヒーカップの取っ手が、ビキリと音を立てた
- 692 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:44:29 ID:KX/IjPMo0
- <ヽ`∀´>「…それを何故、ウリに話した?」
「『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』ですよ、瓜畑さん」
「彼女に最も執着しているあなたは、私達の障害です。事実、何人もの調査員がやられました。驚きですよ。たかだか16、17の子どもが、訓練を重ねた大人を病院送りにして、あろうことか『トラウマ』まで植えつけるなんて」
<ヽ`∀´>「…」
ニダーは無意識に、引っかき傷の残る腕を擦った
「別に、報復に来たワケじゃありません。むしろ、『誤解を解きに』来ました」
<ヽ`∀´>「誤解…?」
「我々は素直クールを『殺そう』としているワケでは無く、『戻そう』としています」
「正確に言えば、『掘り起こす』と言ったところでしょうか?」
<ヽ`∀´>「…」
病院での会話を思い出す
素直クールの人格は、『勝利の女神』が侵入した事によって眠りに着いた
言ってしまえば、『女神を取り除き』さえすれば、人格は目を醒ます
<ヽ`∀´>「その方法を、知っていると?」
「ええ、だからこそこうやってご協力を願いにきたのです」
「もちろん、彼女は無傷でお返しします。なんなら、アフターケアもお付けいたしましょう」
<ヽ`∀´>「…女神は」
「ん?」
<ヽ`∀´>「勝利の女神は、その後どうなる?」
- 693 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:46:14 ID:KX/IjPMo0
- 背後の女はクスリと笑い、三度目のカフェラテの間を置いた
「そんなこと、あなたには知ったこっちゃ無いでしょう?あなたの目的は『素直クール』の奪還で、それ以外は些細な事に過ぎない。そうでしょう?」
「それとも、情でも移りましたか?素直クールを支配している彼女に、惚れでもしましたか?」
<ヽ`∀´>「…」
<ヽ`∀´>「『在り得ない』」
「…おや意外、てっきり、『友達はどうのこうの』と啖呵を切ると思っていましたが」
<ヽ`∀´>「…」
「…ま、答えは行動を持って示してください。どちらに転んでも、明日が激動の日になりますから」
首の冷たい物が離れ、ガタンと椅子が下げられる音が響く
肩越しにチラリと背後を見ると、そこに残っていたのは
まだ中身が半分残っているカップその下に挟まれた千円札だけであった
<ヽ`∀´>「……『それ以外は、些細なこと』」
ニダーは残ったコーヒーを一気に飲み干すと、椅子に掛けていたコートを羽織った
<ヽ`∀´>「その通りニダ。家族も友人も、この身ですら、彼女の前では塵に等しい」
千円札を机の上に残し、店員に挨拶もせず外へと出た
いつの間にか空を覆い尽くした雨雲が、か細い雨の針を降らせていた―――――
- 694 名前:名も無きAAのようです :2014/05/10(土) 16:48:57 ID:KX/IjPMo0
後編へ続く
戻る / 後編→