308 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:19:54 ID:uI0sXnnI0
「僕はここで何をやっているのだろう」


何をするでもなく、ただなんとなく向かった机で、ふと思い浮かんだ言葉だった。

これまでに幾度もこの言葉にぶつかった。

しかし、霞のかかったように朧な思考回路では、答えはいつも見つからない。


煮詰まった頭を冷やそうと、立ち上がり、ベランダへと続くガラス戸へと歩を進める。

その時、足に何かがぶつかった。

足元に目を向ける。

それは日記帳だった。

最後に書き込んだのがいつだか分からないほど放置していたものだ。

一瞥した後、ガラス戸の前に立った。


ガラス越しに見える景色は、いつだって霞がかかったように見えた。

まるで僕の頭のように。

309 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:20:50 ID:uI0sXnnI0
取っ手に手をかけ横へと動かす。

ほんの少しの力を要しただけで、ガラス戸は無音の部屋にカラカラという音を与えながら開いた。


ベランダは澱んだ空気で満ちていた。

不快感を感じながらも、転落防止の柵の前まで歩く。

柵を掴み、頭で再び繰り返す。


「僕はここで何をやっているのだろう」


しかしその考えは、強烈な風によって中断させられることとなった。

澱んだ風が全身を撫で、包み、突き放していく。

風が通り抜けた後に残るものは、やはり不快感だった。


空を見上げた。

灰色の空。いつもの景色だ。

この空が晴れている時なんて見たことが無い。

この空気だって、澄んでいる時を感じたことが無い。

310 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:22:49 ID:uI0sXnnI0
踵を返し、部屋へ戻ろうと再びガラス戸に向かい立った時だった。

ガラス越しに見た部屋は、霞などかかったようには見えなかった。

むしろ透き通っていて――

それでいて、どこか歪みを感じるものだった。


部屋の中はやはり今までと変化は無かった。

歩く音のみが聞こえ、それ以外の音は全く無い。


結局、疑問の答えは見つからなかった。

頭の中の霞は何をしても晴れることはないのだろうか。

考えながら、ベッドへ寝転がった。

灰色の天井が視界いっぱいに広がる。

オーバーヒート寸前の頭を冷やすには、強制終了させるしかない。

瞼を閉じ、思考をシャットダウンし、僕は眠りへ落ちていった。

311 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:23:47 ID:uI0sXnnI0
――――また、いつもの悪夢だ。


(-_-)「一面の黒」

(-_-)「それでも僕は歩き、探さなければいけない」






――――何を?


(-_-)「そんなこと知るもんか」

(-_-)「でも僕はこの夢の中で、何かを見つけなくてはいけないんだ」

(-_-)「例え、どんなに残酷なことだったとしてもね」

(-_-)「……そんな、気がするんだ」

312 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:24:35 ID:uI0sXnnI0
――――秩序なんか無い。


( ^ω^)「君がここに来ることは分かっていたお」

( ^ω^)「さぁ、これを持って行くんだお」

( ^ω::::::「きっと、君の助けになる」

(::::::::::::::::::「……そんな、気がするんだお」






――――希望なんか無い。


('A`)「お前また来たのかよ」

('A`)「俺のことはいいから早く帰れよな」

('A::::「どうしてそんなこと言うのかって?」

(::::::::「……そんな、気がするのさ」

313 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:25:21 ID:uI0sXnnI0
――――全てが存在し、全てが存在しない世界。


(´・ω・`)「やぁ。よく来たね」

(´・ω・`)「でも、いつまでも君に協力するなんて思わないことだ」

(´・ω:::::::「いや、別に今すぐ君を裏切ったりするわけじゃないよ。ただ――」

(:::::::::::::::::「……そんな、気がするだけさ」







――――全てが混じり合い、全てが傷つけあう世界。


( ゚∀゚)「何しに来たんだよお前」

( ゚∀゚)「――いや、分かってたさ」

( ゚∀:::「いつかはこうなるって……分かってたはずだった」

(:::::::::::::「……そんな、気がしてたんだ」

314 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:26:05 ID:uI0sXnnI0

――――そんな世界で、見つけたモノは。


(-_-)「僕は何をしたかったんだろう」

ξ゚听)ξ「それは――――」









――――足掻いて足掻いて、足掻いた末に待ち受けている結末は。


(-_-)「僕は何者なんだろう」

(-_-)「僕はいつからこうだったんだろう」

315 名前:名も無きAAのようです :2012/04/28(土) 16:27:17 ID:uI0sXnnI0










(-_-)「……僕はここで、なにをやっているのだろう――」













――(-_-)ゆめひっきのようです――


Sleeping Now...


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