4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:04:07.51 ID:e0XHb8Jd0

市内のマンモスデュエルアカデミアに通う、どこにでもいる学生決闘者:内藤ホライゾン。
彼の物語のプロローグは《神の警告》を食らうところから始まる。

( ´∀`)「君、留年決まったから」


( ^ω^)


( ^ω^)「は?」

いや、《警告》ではなく《宣告》だった。すでに留年は決まっていた。

( ´∀`)「いやー、なんていうのかな。その、ごめんね?」

( ´∀`)「この前の話。校長にバレちゃった☆」

( ^ω^)

( ^ω^)「は?」


職員室に呼び出された時、内藤が頭にまず浮かんだのは『ふざけるな』という5文字である。
というのも数日前、彼は悪友たちと冗談半分に突入したデュエルキャバクラでこのモナー教師と遭遇しているのだ。


5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:04:53.90 ID:e0XHb8Jd0

わかりやすい授業に気さくな態度、それとは裏腹に厳格かつ圧倒的なデュエルが持ち味のモナー。学生からの人気も高い。女生徒からの人気も高い。
そんな男がキャバ嬢に入れ揚げているのだ。なんと愉快な話だろうと内藤は内心ほくそ笑み、モナーは自身の優しく強いイケメン先生像が崩壊することを恐れた。
しかし内藤もまた同罪である。火遊びに手を出そうとしながらそこで教師に見つかった以上、もはや無傷では帰れない。そこで彼らは激突した。
身分も年齢も実力も、ありとあらゆる"差"を忘れ、男たちは己のプライドと処遇を賭けて激突したのである。


若者たちの屍の上にモナーが座る形で決着したのは実力差から言って当然だ。
しかしながら。学校ではどちらかというと劣等生寄りな内藤たちが、学校では決して見せることのない熱く激しいデュエルを魅せ、火柱を上げて散っていったことに。教師モナーはいたく胸を打たれたのである。
よってこの件は双方沈黙で手を打とうやとモナーは持ちかけ、悪ガキどもも首肯した。

あれで決着はついたはずだ。だというのに、まだ何か言うつもりなのか。
約束を破って自分を、それも自分だけを罰するつもりなのかと、内藤は憤ったのだ。
しかし蓋を開けてみると、待っていたのは《神の宣告》。《光の護封剣》を1ターン延長するという。


( ´∀`)「黙ってるつもりだったんだけどねえ。どこから漏れたのか知らないけど校長の耳に入っちゃって」

( ´∀`)「僕のほうも保身のために口が滑っちゃったんで。教師への暴力(決闘)も合わさって、たぶん君2週間くらい停学になると思うよ」

(;^ω^)「2週……間……?」

( ´∀`)「うん。で、2週間休んじゃうってことは2週間僕の講義に出られないってことだよね。『番号学概論』。必修の」

( ´∀`)「月曜の一限だし気持ちはわかるけど、かなり出席が足りないからねー。ここで2回休まれると単位出せなくなっちゃうんだよねー」

(;^ω^)(ああああああああああああ迂闊だった!! この時期の火遊びは迂闊だった!! ドクオの誘いなんか蹴るべきだったああああああ!!!)

6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:06:08.87 ID:e0XHb8Jd0

( ´∀`)「まあ、それはそれとして。なにか疑問が残ると思わない?」

(;^ω^)「え?」

( ´∀`)「なぜ校長ではなくこの僕が、なぜ君だけを呼び出したのか。気にならない?」

( ^ω^)「……出席ヤバいのが僕だけだから、最初に忠告してくれたんですかね」

( ´∀`)「いやー、ちょっと違う。『番号学概論』の単位を取らせてあげようと思ってね」

( ^ω^)「……はい?」

( ´∀`)「この前のデュエルでわかったよ、君はなかなか見込みのある生徒だ。ここで留年なんかされて、変に腐ってしまうと困る。だからチャンスをあげようと思う」

(;゚ω゚)「ま、マジですか!? 単位出してくれるんですか!?」

( ´∀`)「うん。"特別授業"に出てもらえればの話だけど」

( ゚ω゚)「出ます! 出ます!! 何でもします!! 何でもしますから単位くださいお願いします!!」

( ´∀`)「はい、今何でもしますって言ったね。これで成立だよ」

.............

7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:07:41.29 ID:e0XHb8Jd0

どこにでもいる普通のクズ学生決闘者、内藤ホライゾン。
彼の物語は《テラ・フォーミング》で《無人島》をサーチするところから始まる。


( ^ω^)


( ^ω^)「は?」

『実技なので少し移動するよ』と言われ車に乗り、『ちょっと見られちゃまずいからねー』と途中でデッキとデュエルディスクを没収され代わりに目隠しと耳栓をされた。
『まだ少しかかるから』と飛行機に乗り、『もはや逃れられんぞ』と潜水艦に乗せられ、たどり着いた場所は無人島であった。道中の抵抗はモナーによって物理的に黙殺された。

( ^ω^)「いや。ダメだろこれは。人権とか。ダメだろ……」

火山はもくもくと煙を噴いており、麓のほうには立派な建物。
そういえば、海馬コーポレーションが最初に作ったデュエルアカデミアはこんな感じだったと聞いた覚えがある。
生徒たちはみな寮に住み込みでデュエルの修行を積んだのだ、と。

( ^ω^)「6号室……ここで合ってる……おね?」

内藤は今それと同じような寮らしき建物の前にいた。
モナーは潜水艦で帰ったが、その際「とりあえず6号室に入れ」と言い残し、内藤にカギを渡していったのである。
わけのわからない状況に怒り怯える内藤だったが、今やることがわからないのも事実。
6号室がどこなのか探り当てるのにいくらか時間を食ったが、言われた通りとりあえず部屋に入った。


8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:08:16.89 ID:e0XHb8Jd0

(^ω^ )「しょぼい部屋だおねー……っと」

そんな軽口を叩きつつ、部屋の中を軽く見回して、まず目に入ったのは……

( ^ω^)「まあ……絶対なんかあるおね……」

机の上に置かれている、ノートパソコンと――デュエルディスク。
内藤が普段使っているものと同じ型、学校指定のデュエルディスクだ。デッキはセットされていないが、モンスターゾーンには1枚のカードが置かれている。
そのカードを無造作に拾い上げ、しげしげと観察する内藤。


( ^ω^)「……」


《No.6 先史遺産アトランタル》
ランク6/光属性/機械族/攻2600/守3000
レベル6モンスター×2
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、
自分の墓地の「No.」と名のついたモンスター1体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。
このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
このカードの効果で装備したモンスターを墓地へ送って発動できる。
相手のライフポイントを半分にする。
この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。


( ^ω^)

( ^ω^)「なぜに?」


9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:09:25.16 ID:e0XHb8Jd0

何度見ても《アトランタル》だった。ひたすらアトランタルだった。
が、名前は赤字になっており、光り方もシークレットレア仕様。《アトランタル》には存在しないはずのレア度。
そんなわけで、万感の思いを込めて発した「なぜに?」その台詞がキーだったのかどうか、それはわからないが――

突如、ノートパソコンが起動した。

(;^ω^)「おオッ!?」

それまで真っ暗だった画面が。触れもしないのに、内藤が《アトランタル》のカードを手にした途端――
まるで《デーモンの宣告》のような、石碑に刻まれた碑文のような文字列が、彼に《宣告》を突き付けた。




【成績不振者救済措置】
【特別講義――遊戯王NBR】




10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:10:46.58 ID:e0XHb8Jd0

―NBRルール―
・島内に散らばった現存するナンバーズを全て集めた者のみが単位を獲得する
・決闘ルールは遊戯王OCG準拠
・勝者は敗者のナンバーズを総取り
・ナンバーズを除いた使用可能モンスターカードは、攻撃力:所持しているナンバーズの上一桁×100のもの、あるいは守備力:所持しているナンバーズの下一桁×100のものに限る(一部例外あり)
・デュエルディスクを装備した者と接近した場合、強制的にデュエルモードとなる。
・敗者は修得済み単位をすべて失い、仮死状態となり、その時点でNBRから脱落。
・講義中、規定フィールドから抜けだそうとした者、デュエルディスクを外そうとした者は、その時点でNBRから脱落し、相応の制裁が加えられる―






( ^ω^)


( ^ω^)



( ^ω^)「……帰りてえ……」


彼の物語は彼自身が異次元に迷い込んでしまったことを自覚してから始まる。
しかし悲しいかな、《異次元からの帰還》は既に禁止カードなのである……


11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/05/20(火) 20:11:12.64 ID:e0XHb8Jd0


遊戯王NBR 

     「No.00」

            ――ここまで




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