从 ゚∀从「貴様らにはこれからバトルロワイヤルをしてもらう―」

黒服を着た男達がいきなり教室に現れ、唐突にそう言い放ったのは、もう三日も前の事だった―



〓遊戯王BR〓 「序曲」



('A`;)「クッ・・・、いつになったらこの地獄は終わるんだ・・・」


この地域は周囲からは陸の孤島と揶揄されている。

何も無い・・・、在るのは、数棟に渡る巨大な学園の校舎と、その周りに点在する学生寮、どこぞの熱帯雨林の様に、シダ科の植物でも乱生していそうな程よく繁った森林・・・。

娯楽施設はおろか、日常品や食料を買うべき商店も見当たらない・・・。

そして、舗装された道路が見当たらない事からも、まともな交通機関が通ってなく、外界からきっぱりと遮断されている事が容易に想像出来る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

男子生徒「行くぜェ・・・、グォレンダァ!!」

女生徒「キャーッ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

('A`;)「クソ・・・」

('A`;)「またどこかで殺り合ってるってのか・・・」


有名な建築家により設計された新築の校舎に寮、そして、最新の教育設備と豊富な自然がこの学園の売りであった・・・

今年開校したばかりの学校ではあるが、初年度から既に入学の応募が殺到しており、生徒を抽選で選ぶ始末だった。

来年からは入試制度になる様だ。今年俺が入る事が出来たのは相当ラッキーだったのかもしれない・・・。

そう思っていた・・・。

三日前のあの事件が起きるまでは―

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

―三日前―

( ^ω^)「ドクオー!!」

('A`) 「おう、どうした?」

( ^ω^)「今日授業が終わったら、僕の部屋に遊びに来いお!!」

('A`) 「何するんだ?」

( ^ω^)「夜通しデュエルやるお!ショボン達も来るお!」

('A`) 「ほほう・・・?いいだろう・・・分かった」

( ^ω^)「んじゃ、放課後すぐに来いおー」

('A`) 「了解した」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キーンコーン♪カーンコーン♪

('A`) 「この時間も寝てやり過ごすか・・・」

ガラッ・・・

从 ゚∀从「・・・」

从 ゚∀从「全員席に着いて静かにしたまえ」

('A`) 「(誰だあいつ・・・!?古文の先生はどうした・・・?)」

从 ゚∀从「先生方は暫くお休みです」

('A`) 「(何だ代理か・・・)」

('A`) 「(ん・・・?先生“方”・・・?)」

从 ゚∀从「つまり、今日から皆さんは、私の言う事に全て従って頂きます」

('A`;)「(いきなりなんだ?)」

从 ゚∀从「よって―」

从 ゚∀从「貴様らにはこれからバトルロワイヤルをしてもらう」

('A`;)「は?」


  ざわ・・・  
   
                  ざわ・・・


男子生徒A「せんせー!言ってる意味がちょっと分かんないっすー!」

从 ゚∀从「先程言った通りだ、貴様らにはこれからバトルロワイヤルをしてもらう」

男子生徒A「だからその、バトルロワイヤルっての?それが何なのか意味不明なんですけどー?」

从 ゚∀从「貴様らには、デュエルで殺し合ってもらう・・・」

('A`;)「(はぁ?)」

男子生徒A「えっ?いや、殺し合いってwww」

从 ゚∀从「何だ・・・?殺し合いの意味も知らんのか・・・?」

男子生徒A「いや、意味は分かりますけど・・・。いきなり何なんスか?授業やるんすよね?」

从 ゚∀从「ああ、実習をしてもらう」

男子生徒A「それで、何でいきなり殺し合いとか言い出すんスか?冗談にも程ってもんが・・・」

从 ゚∀从「信じていないようだな」

从 ゚∀从「仕方が無い・・・」

从 ゚∀从「行け、『ダーク・ネクロフィア』!!念・眼・殺!!」

男子生徒A「・・・!?」

男子生徒A「グハッ・・・!!」

ドサッ・・・

('A`;)「(えっ・・・?)」

男子生徒「―――ッ!!」

女子生徒A「キャーッ!!」

从 ゚∀从「貴様らには、これからこのデュエルディスクを付けて決闘し合ってもらう・・・」

从 ゚∀从「そしてデュエルで負けた者は―、この様に仮死状態に陥る・・・」

从 ゚∀从「いつ目覚めるかは知った事では無いが」

女子生徒B「な、なによコレ!!こ、こんなのおかしいわ!!誰か、他の先生を―」

男子生徒B「え・・・、アイツマジで死んでんの・・・?」

男子生徒C「ちょ・・・、意味分かんないんですけど?こんなのやる訳ねーじゃん!!」

从 ゚∀从「貴様らに拒否権は無い」

从 ゚∀从「初めに言っただろう・・・?これから私の言う事に全て従ってもらう、と」

男子生徒C「そこから意味分かんねーよ!!いきなり来て何勝手な事ほざいてんだよ!!」

从 ゚∀从「ふむ・・・、貴様も先程の男の様になりたいようだな・・・」

男子生徒C「うっ・・・」

从 ゚∀从「他に異論のあるものはいるかね?」

シーン・・・

从 ゚∀从「では、これから貴様らにデュエルディスクとデッキを一つずつ配ろう・・・」

从 ゚∀从「なお・・・、全てのカードは1枚ずつ・・・」

从 ゚∀从「同じカードは二つとして存在しない」

从 ゚∀从「欲しいカードが与えられる確率はかなり低いという事だ」

从 ゚∀从「ま、せいぜい強いデッキが当たることを祈るんだな・・・」

―パチンッ

ザッザッザッザッ・・・

黒服の男「こちらがデュエルディスクとデッキになります・・・」

('A`;)「(いきなりこんなものを押し付けやがって・・・)」

('A`;)「(てゆーかこいつら何者なんだよ・・・?)」

从 ゚∀从「さぁ・・・、早速装備したまえ・・・」

ガチャッ・・・

('A`;)「なッ・・・!!取れねぇ・・・ッ!!」

从 ゚∀从「ククク・・・」

从 ゚∀从「そのデュエルディスクはこれから一週間は外したくても外せないから気を付ける様に・・・」

男子生徒D「なっ・・・、こんなのずっと着けてたら邪魔だっつーの!!」

从 ゚∀从「そして、それらを使用して、これから一週間このクラスの生徒同士で決闘し合ってもらう」

男子生徒D「シカトかよ・・・」

从 ゚∀从「デュエル自体はOCGの公式ルールに則って行ってもらう訳だが―」

从 ゚∀从「ただし、負けた者は先程の男の様になり―」

从 ゚∀从「勝者は敗者のデッキから好きカードを抜き取って使うがよい・・・」

从 ゚∀从「死して屍拾うもの無し・・・だ」

从 ゚∀从「そして、最後まで勝ち残った者は私とデュエルをし―」

从 ゚∀从「勝った場合、多額の報酬と、その者の願いを一つ・・・、無論何でもよいが・・・叶えてやろう」

从 ゚∀从「どうだ、悪くないだろう・・・?元より貴様らに拒否権は無い訳だが・・・」

从 ゚∀从「文字通り死ぬ気でやらないと、先程の男の様になる事を忘れるな」

从 ゚∀从「生き残りたければ・・・、栄誉が欲しければ・・・、仲間の屍をも越えてゆけ!!」


  ざわ・・・  
   
                  ざわ・・・


从 ゚∀从「フィールドは、この学園の敷地全域!!」

从 ゚∀从「敷地内でデュエルディスクを装備した者に出会った場合、強制的にデュエルモードに入り、決闘をする両者の内どちらかのライフが“0”になるまでデュエルディスクは起動したままとなる―」

从 ゚∀从「又、デュエルディスクを無理やり外そうとした者―」

从 ゚∀从「敷地内から逃げようとした者―」

从 ゚∀从「丸一日デュエルを行わなかった者―」

从 ゚∀从「これらの者には、先程の男子生徒よりも厳しい制裁が待っている事をお伝えしておこう・・・」

('A`;)「(クソッ・・・、どうなってやがる・・・?)」

('A`;)「(何でいきなりこんな事に・・・?)」

('A`;)「(これは悪い夢だ・・・、そうだ!夢に決まってる・・・!)」

从 ゚∀从「猶・・・、このバトルロワイヤルは5クラス合同・・・、つまり200以上の人の生徒が参加している・・・」

从 ゚∀从「その頂点に立たなければ生き残れない事をよく覚えておくんだな」

('A`;)「(アレ・・・?いつになったら覚めるの?この夢・・・)」

('A`;)「(200人・・・?頂点・・・?一週間・・・?)」

('A`;)「(いくら夢とはいえ、無理でしょwww)」

('A`;)「(最低7回はデュエルしなきゃいけない・・・?つまりは7連勝しないといけない・・・?)」

('A`;)「(いやいやwww)」

从 ゚∀从「さて、今日の深夜零時よりこのバトルロワイヤルは開始される・・・」

从 ゚∀从「すぐに闘いたくない者は、今の内に身を潜めておくんだな・・・」

从 ゚∀从「無論、いつかは闘わないといけない訳だが・・・」

从 ゚∀从「ククク・・・、それでは諸君!!健闘を祈る!!」

バサァッ・・・

从 ゚∀从「ハァーッハッハッハッハァー!!!!」

パチン!

('A`;)「(電気を消していくな電気をwww)」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何分間だろう・・・

それから暫く、教室は静まり返っていた。

誰も動こうとはせず、誰も喋ろうとはしなかった。

消された電気をつけようとする者もいなかった。

無理もない話だった。

いきなりこんな事態に陥って冷静な思考を保てる訳も無く、事態を飲み込めていても、自分から動こうとすれば、それは黒服の男達の発言を素直に受け入れた事になる。

俺はそんな周りの心境を考えつつ、自分もただ黙って席に座り、この先の事なんて考えようともしなかった・・・

もうだいぶ日は暮れ、月明かりが教室に差し込んでいる・・・

そのやわらかな月光にデュエルディスクが照らされ、教室の天井に光を反射する―

―俺は我に返った

自分は何をしているんだろう・・・?

これは夢では無いと、自分で既に理解しているはずだ・・・

バトルロワイヤル開始まであと何時間あるのか・・・?このままここでじっとしていていいのか・・・?

おまけに、重要な事を俺は見落としていた―

自分に与えられたデッキさえもまだ見ていなかった。

デュエルディスクに既に設置されているデッキを外し、カードを眺めてみる・・・

あの男の言った通り二枚以上入っているカードは一つとしてなかった・・・

('A`;)「(ハイランダー構築か・・・、皆こうなんだろうか・・・?)」

('A`;)「(それにしても・・・、こんなむちゃくちゃな構築のデッキでどうやって戦えって言うんだよ・・・)」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分に与えられたデッキの構築の杜撰さを嘆いている間に、随分と教室にいる生徒の数も減ってきた・・・

皆、徐々に移動を始めたのだ・・・

初めの一人が動けば後は早い。

つられるように、次々と生徒が教室から出て行った・・・

彼らは他の人に見つからない様なところに隠れるつもりなんだろうか・・・?

この学園の敷地はとても広い。200人程度の人数なら、全員が隠れるのに十分過ぎる広さと建物があるだろう・・・

だが、隠れているだけでは生き残れない。

それは皆も分かっているはず・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やがて、教室には俺一人だけになった・・・

もう月明かりだけではカードはよく見えない。

俺はカードをデュエルディスクにセットし直し、立ち上がった・・・

この理不尽な争いを生き残る為に―


to be continued…


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