- 90 名前:名も無きAAのようです :2011/11/03(木) 07:37:00 ID:EmAKLR2.0
〜1〜
───────ロード・ヴァンパイア。
レッサー種などとは違い、血の盟主としての真なる力を持つ者。
幾百人ものヒトの生き血を啜り、幾百年の歳月をも生きながらえてきた存在。
身体能力、擬態能力は元より、恐らくは魔術に対してもそれなりの知識があろう。
この大陸中、掃き捨てる程に存在する妖魔の類を山ほどかき集めても、その足元にも及ばない。
本当に強大な"魔"は、人の精神を蝕み、そこから心の死をもたらす事すらあり得る。
弱点と言えばニンニクや杭を心臓に打ち込まれる事など良く言われるが、
恐らくそれら全て、"彼女"に対しては通用しないであろう。
昼間の闘技場内を闊歩していた事からもすでに伺えるが、陽の光すらをも克服している程の相手だ。
非のうちどころの無い、あまりにも強力で完璧な人外は、なおも冒険者達の前で余裕を見せ付ける。
(?)「どうした……もっと抵抗してみろよ。足掻いて見せろ、ボウケンシャ」
(; °ω°)「はぁ……!はぁ……ッ!」
肩で息をしながらも、どうにかまだ剣を向けて対峙できる。
だが、それすらも出来なくなってしまえばこの首が胴と分かたれるのも、一瞬の内だ。
- 91 名前:名も無きAAのようです :2011/11/03(木) 07:38:51 ID:EmAKLR2.0
〜2〜
(;´・ω・`)「もう一度だ、三人共。"爆炎の法"を使えば─────」
爪;'ー`)「珍しく冷静じゃねぇなショボン……今この状況で、あの時みたいに時間を稼げると思うか?」
(;´・ω・`)「ッく………!」
爪;'ー`)(だが……考えろ、何か───何かがあるはずだ)
(?)「見逃して欲しいだろ?……そうだな、そこの女二人の生き血をくれるんなら、考えてやってもいいぜ」
川メ ゚ -゚)「………ッ」
ξ;゚听)ξ「この……ッ」
(?)「悪くねぇハナシじゃねぇか、どいつもこいつも助かりたい───"殺さないで下さい"ってツラ、してんぜ?」
(; ω )「言いたい事は─────」
これまでずっと挑発的だった吸血鬼の言葉。
その中でも今発せられた言葉はことさらに、ブーンの闘志を再び滾らすに十分だった。
- 92 名前:名も無きAAのようです :2011/11/03(木) 07:41:37 ID:EmAKLR2.0
〜3〜
─────自分の最も大切な仲間達を差し出して、おめおめと逃げ帰れ?
……ふざけやがって───────
再度、剣を肩に乗せていつでも振り下ろせる構えを取ると、疾駆する。
怒りを力に変えて、畏怖の念を押さえ留めるようにして、吼える。
(#`ω´)「──────それだけかおぉぉぉぉぉーーーッ!!」
斬っても、切れぬ相手。
決して、死なぬバケモノ。
それなら─────効くまでこの剣を叩きつけ続けてやるだけだ。
なおも静かに、不敵に微笑みながら、血の盟主は佇む。
(?)「よくやるぜ……ま、付き合ってやるさ────死ぬまでな」
_
( ゚∀゚)VIP WIRTHのようです
第VI話 「血界の盟主」 遠日投下予定!
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