- 60 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:43:26
〜東塔の兵〜
●( ^ω^) ブーン=トルネード
18歳 新兵
使用可能忍者刀:と
現在地:ハルヒ城
●('A`) ドクオ=オーバーゼニス
18歳 新兵
使用可能忍者刀:わ
現在地:ヴィップ城
●(´・ω・`) ショボン=ルギラウ
28歳 大将
使用可能忍者刀:刀
現在地:ヴィップ城
●( ,,゚Д゚) ギコ=ガルガンダー
26歳 少将
使用可能忍者刀:?
現在地:シャナ城
●( ^Д^) プギャー=アラモード
24歳 中尉
使用可能忍者刀:ヨ
現在地:ハルヒ城
〜西塔の兵〜
●( ゚∀゚) ジョルジュ=ライトニングボルト
33歳 大将
使用可能忍者刀:波
現在地:ハルヒ城
●<ヽ`∀´> ニダー=ランジェリー
34歳 中将
使用可能忍者刀:?
現在地:ハルヒ城
●(-_-) ヒッキー=ウタダ
37歳 大尉
使用可能忍者刀:?
現在地:ハルヒ城
- 61 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:43:54
【第6話 : 危うしブーン!ソウサク国最強の男、ベル=リミナリー登場!】
※前回のあらすじ
ブーンは戦で伝令をすることになった
(#゚∀゚)「うおおおおっ!」
ソウサクとの初戦はジョルジュの知略の勇猛さによって大勝利であった。
( ^ω^)「おー?勝ってるのかお?」
<ヽ`∀´>「大勝利ニダよ。今回の戦術は……」
ブーンはニダーから魚鱗の陣だとか鉦の打ち方だとか騎兵だとか敵将だとか色々言われたがよく分からなかった。
( ^ω^)「わかんないお!」
- 62 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:44:06
<;`∀´>「仕方のない奴ニダねぇ…… ジョルジュ大将が凄かったと思っていればいいニダ」
( ^ω^)「わかりましたお!」
鳥肌が立った。
これが、ジョルジュ=ラダビノード。ヴィップ軍が全土に誇る名将。
二倍もの相手に、圧勝してみせた。それも、一瞬で。
ジョルジュの強さに憧れて西塔を希望する兵の気持ちが、分かった気がした。
――翌日――
――ハルヒ城前の森――
( ^ω^)「晴天だお!ご飯だお!」
( ^Д^)「よう、ブーン。イヒヒヒ」
( ^ω^)「プギャー中尉!」
( ^Д^)「お前にも干し肉をくれてやろう」
( ^ω^)「わーい、ありがとお!」
- 63 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:44:17
( ^Д^)「昨日は快勝だったな。言いたくねーけど、さすがはジョルジュ大将って感じだった」
( ^ω^)「びっくりしましたお。負けたかと思ったら、勝ってるなんて……」
( ^Д^)「しっかり吸収しろよ。お前はいつか、上に立つ人間になるんだ」
(;^ω^)「そ、そんな……まだブーンは未熟ですお」
( ^Д^)「だから"いつか"だって。とにかく、しっかり勉強しろ。がっちり力をつけて、ショボン大将の許に帰るんだ」
( ^ω^)"
頷いた。
- 64 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:44:34
( ^Д^)「ペラペーラ」
( ^ω^)「す、すごいお!」
プギャーが終わった戦について"分かりきったことを"偉そうに語った。
ブーンは純粋にスゴイなあと思った。 (若さ故の無知と未熟さである)
( ^ω^)「じゃあ、やっぱり大将は凄いんですおね……」
( ^Д^)「まぁ、スゲーのはジョルジュ大将だけじゃねーけどな。
オオカミとの戦にお前もいずれ参加する。そのときに、分かるよ。
ショボン大将の凄さもな」
ジョルジュ一人だけでも、他国にとっては充分脅威となるだろう。
それが、二人。
弱小国ヴィップが他国と張り合っていけるのは、やはりこの二大将によるところが大きい、と思った。
( ^Д^)「さて、昨日の戦に勝って、勢いに乗ってるヴィップだが……
そんなに甘くはない。次からは間違いなく、ベル=リミナリーが出て来る」
( ^ω^)「ベル……?」
( ^Д^)「イヒヒヒ、ソウサク随一の忍者だ」
- 65 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:45:03
( ^Д^)「二十三年前、当時最大国だったヒナンジョを滅亡に追いやった名将。
ソウサク軍内最古参で、大将を務めている。
平和時には自ら民政も行う、オールラウンダーな武将だ。
使用ニンジャトウは"佐"」
(;^ω^)「忍者刀"さ"!?ジョルジュ大将やショボン大将よりずっと上ですお!」
( ^Д^)「イッヒッヒ、今回の戦で、間違いなく立ちふさがってくる相手だ。
ジョルジュ大将がどんな策を立ててるのかは分からねーが、易い敵じゃない」
(;^ω^)「勝ち目は、あるんですかお?」
( ^Д^)「イヒヒ、あるに決まってる。しかし、負ける可能性のほうが高いと俺は見てる。
ジョルジュ大将次第さ。ベル=リミナリーを上手く抑えられれば、ヒグラシ城の奪取も夢じゃない、ってとこだ」
(;´ω`) ガラガラガッシャン
先ほどまで抱いていた、妙な信頼が、崩れた気がした。
敵の大きさを、知らなさすぎた。初戦の勝ちだけで、調子に乗ってしまった。
( ^Д^)「イヒヒヒ、お手並み拝見といこうぜ。これは西塔の戦だ。
お前は戦争に参加するわけじゃないし、しっかり飯食っていつでも走れるようにだけしとけよ。
夜になったら俺と訓練だ。 イヒヒヒ、可愛がってやろう……!」
(;^ω^)「お、オッス……」
- 66 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:45:21
――二週間後――
――ハルヒ城近郊――
( ^Д^)「やっぱスゲェよ、お前は……この分なら次のアルファベットも余裕だろうな」
(*^ω^)「でへへ……」
ブーンは褒めてもらってその言葉の裏にある意図にも気づかずに素直に喜んだ。
たとえ無能な上司からと言えど褒められて嬉しくないことはない。
仕事のできない人間はそうやって人の心を掴んで派閥を広げるのである。 (サラリーマン金太郎より)
兵が一人、幕舎の中に入ってきた。
(兵D_D)「ブーン=トルネードさんですね?」
( ^ω^)「はいですお!」
(兵D_D)「ショボン=ウーラギル大将からの配達物をお届けにあがりました」
( ^Д^)「誰も見てないとこで渡すように頼まれたんだろ? 悪いな」
確かに、今は幕舎の中に二人きりだった。
プギャー用に与えられた幕舎で、ブーンも用がなければここに来る。
自分が東塔の人間であるからか、どうしても周りからの視線が気になってしまうのだ。
それを逃れられる場所であり、安らげる場所だった。
(兵D_D)「では、確かにお届け致しました」
兵士は去っていった。
- 67 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:46:20
( ^Д^)「でも、新しい忍者刀にしては小さいな……」
( ^ω^)「あ、中に手紙が」
( ^Д^)「どれどれ?」
(´・ω・`)「
拝啓、プギャー殿、ブーン殿
この手紙を書いている段階でお二人がヴィップ城を離れてもう10日以上立っています。
お元気ですか?風邪ひいてませんか?怪我もしていませんか?疲れてませんか?
ショボン大将は元気モリモリです。今日も忍者刀の訓練を朝から頑張りました。デスクワークもバッチリです。
さて、先日ブーンに渡すと約束した新しい忍者刀ですが残念なことに完成が間に合いませんでした。
実はツンさんの忍者刀工房に崩れた城壁が落っこちてきて鉱炉が破壊され大火事になってしまったそうです。
ショボン大将には全く理由はわかりませんが…… 珍しい事もあったものですね。
ツンさんに怪我はないようですので工房の修繕が終わってから改めて作ってもらいます。
人生何が起こるかわかりません。お二人もよくよく気をつけて戦場ではご自愛くださいね。敬具
PS.プギャーはあまり無理をしてソウサク兵を倒しすぎないように。怪我をしたり命を落としたりしては元も子もありません。
ブーンもソウサクの兵士と出会ったら逃げることを優先してください。
」
( ^Д^)「イヒヒヒ、ツンさんの工房がねえ。何があるかわからんな。
ブーン、忍者刀のことは残念だが、気を落とすことなく逆に引き締めていこう」
( ^ω^)「はいですお!」
※無論、城壁が落っこちてきたのは、ブーンが戦に向かう前にショボンが壁を殴って壊したからである
- 68 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:46:42
――夜――
( ^Д^)「イヒヒヒ、軍議で言ったんだけど、近々総力戦になるとよ」
(;^ω^)「ひえぇ〜、こりゃあことですお」
( ^Д^)「戦場は森のなかになりそうだ。ブーンの伝令も大忙しになるぞ」
(;^ω^)「が、頑張りますお!」
――二日後――
――ハルヒ城・城外――
三(斥`ロ´) ウオオオッ!!!
三(斥`ロ´) ウオオオッ!!!
( ^ω^)「斥候忍者隊が頑張ってるお!」
( ゚∀゚)「お、ブーンか。これを持っとけ」
( ゚∀゚)「きたねー木片だと思っただろ?」
(;^ω^)「い、いえ……」
黒ずんで、形も整ってはいない木片。
何か特別な力を発する物でもなさそうだった。
- 69 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:47:10
( ゚∀゚)「それは"伝令章"さ。伝令兵であることの証になる」
( ^ω^)「……あっ……なるほどですお」
( ゚∀゚)「こないだ森が燃えた時に沢山回収したんだ」
( ^ω^)「ああ、あの森火事ですおね」
( ゚∀゚)「マツボックリとか、ドングリとか、欲しい?」
( ^ω^)「今は大丈夫ですお」
(;゚∀゚) (うーむ、今の18歳が欲しがるものがなんなのかよくわからんなあ。俺も年をとったということか?)
( ゚∀゚)「偽の伝令に惑わされないための工夫だ。テキトーなモノを伝令章にすれば偽造の心配もないしな。
伝令を行うときは必ずそれを見せろよ。まぁ、お前はもう顔も売れてるし、大丈夫だと思うが」
( ^ω^)「頑張りますお!」
( ゚∀゚)「……よし、最初の伝令いくぞ。プギャー=アリスト中尉に伝令。
南東方向へ小さく固まって進軍。斥候を出しながら慎重に進め。
三里進んだ場所で待機。敵軍に遭遇した場合もその場所からは動くな。退けろ。
包囲されたら一点を突き破ってハルヒ城へ退却。その他、追って指示を待て。以上だ」
プギャーの許へ走り寄っていくと、プギャーもそれに気付いて近寄ってくれた。
( ^Д^)「出陣か?」
( ^ω^)「ですお!カクカクシカジカ!マルマルヒツジヒツジですお!」
( ^Д^)「了解した」
- 70 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:47:22
( ^Д^)「ところで、見てくれよ俺の兵」
( ^ω^)「忍者刀"の"隊ですおね。 2000人ほどの」
( ^Д^)「そー、あんま重要でもないとこよ」
(;^ω^)「僕も忍者刀"の"なんですけど……」
( ^Д^)「イヒヒヒヒヒ!!そうだったっけ?スマンスマン」
( ^Д^)「ブーン、今回は中々厳しい戦だが……しっかり頑張れよ。
東塔に帰ったら二人で酒でも飲もうぜ」
(*^ω^)「はいですお!」
このようにして高価な食事で釣るのも人心掌握には有効である。
女、金、食事、人は欲から逃れることは出来ない。適切な機会設定を行った上で与えれば確実に好意と弱みを掴める。
自分の魅力や自社の仕事が他に劣るときでも接待攻勢によって情勢が一転することは大いにある。(サラリーマン金太郎より)
( ^Д^)「よし、出陣!」
(*^ω^)「がんばってくださいお〜!」
- 71 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:47:35
――ジョルジュのとこ――
( ゚∀゚)「……ご苦労さん」
( ゚∀゚)「……ブーン、お前……プギャーに気に入られてるみたいだな」
(;^ω^)「……え?」
( ゚∀゚)「……あいつは無能だぜ……ついていくなら別の奴にしろ。
戦場での決断力はない、発想力もない、即応力もない……。
せいぜい、戦が終わったあとに"分かりきったことを"偉そうに語れる程度だ。
ショボンに気に入られてるおかげで昇進してるが、西塔なら少尉すら危ういぜ。
顔もイケメンじゃないし、背もそこそこだし、色々小さいらしい
あいつと一緒に居るくらいなら、一人のほうがマシだ」
(;´ω`)「そんな、酷いお……」
(;゚∀゚)「い、いや、そんなこともないかな?プギャーも頑張ってる、うん。
ははっ、まあ他にも沢山将校はいるし、色んな人と話して親睦を深めようってことよ」
( ゚∀゚)「だから、ブーン、西塔に来いよ。東塔で馴れ合いのぬるま湯に浸かってちゃ、体が錆びちまうぜ。
ショボンみたいな"新参"の許じゃ、お前の才も」
( ^ω^)「だーかーらー!西塔に行くつもりは、ありませんお!」
( ゚∀゚)「あぁ、だよねぇ……」
( ^ω^)「せっかくのお誘い、申し訳ありませんお」
( ゚∀゚)「ははは、気にするな……」
( ゚∀゚) (はぁ、俺も嫌われたもんだぜ……落ち込むわぁ。激おちマリアナ海溝なんですけど……)
- 72 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:48:01
( ゚∀゚)「さぁブーン、伝令だ。相手はニダー=ラングラー中将。
ニダーには昨日の軍議で"敵兵を打ち破ったあとは北に向かえ"と伝えてある。
ブーン、お前は先に北へ行ってニダーを待つんだ。そこで、ニダーに待機するよう伝えろ。
その後もお前はニダーについていけ。夜になったらこっちに戻って来い」
小さく頷いて、反復もせずに森へと向かった。
早くジョルジュの側から離れたかった。口を開くと、何を言ってしまうか分からない。
鬱蒼とした森に入って、進軍のあとを辿った。
( ゚∀゚)「…………」
(-_-)「……ジョルジュ大将」
( ゚∀゚)「ヒッキー大尉。聞いていたか」
(-_-)「……昨日の軍議で……話されました、『あれ』ですね」
( ゚∀゚)「ああ、『あれ』だ」
(-_-)「……つまり、今、森の北には……」
( ゚∀゚)「それより、進軍するぞ。森の中で戦だ。お前にも役割がある」
(-_-)「……はい……」
- 73 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:48:46
――ハルヒ城−ヒグラシ城間の森――
――通称 "牢乎の森"――
(;´ω`)(ヤバイお。ヤバイお。ニダーさん、どこにもいねぇお)
(;´ω`)「ニダーさぁん、どこですかおー?」
(ソ1~ -~)「今何か、声がしたな」
(ソ2~ -~)「確かに、しましたね」
(;゚ω゚)(ッ!! やばいお!!)
- 74 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:49:01
(ソ3~ -~)「なんだなんだ?」
(ソ4~ -~)「向こうも見てみよう」
(;゚ω゚)(ソウサク忍者に遭遇してしまったお……暗くてよく見えないけど、五百くらいの固まりかお……?)
(;゚ω゚)(ホフク前進で逃げるお!)
しかし、ソウサク忍者は少し辺りを探したあと、再び隊を組みだした。
いくつもの足音と、聞き取れない会話音を響かせて、ラウンジの兵は去っていった。
どうやら諦めてくれたようだ。
(;^ω^)(あ……危なかったお……)
( ^ω^)(気を取り直して、北に進……む……お……)
(;^ω^)(……お……?)
闇が、濃くなった。
起き上がりかけて、両手と膝で地面に接している状態。
顎や髪の先から、雫が滴る。
まるで、冷や汗のように。
ゆっくり、恐怖の蓋を開けるように、ゆっくりと、顔を上げた。
- 75 名前:宇宙忍者クロカゲ ◆BL/KGtS44s :2013/12/04(水) 03:49:25
視界に映ったのは、俯瞰の視線を向けている、一人の男。
確実に、ブーンを見下ろしていた。
(;゚ω゚)「お……お……お……」
銀の具足を身に纏った、長身の男。
ただの兵ではないことが、空気で分かる。
雷鳴が轟いた。
稲光が男の背中で光り、男のシルエットを映し出す。
その右手に握り締めているのは、間違いなく、アルファベットV。
あまりの恐怖で、何も考えられなくなった。
(;゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
叫び声が木々に反射して、こだました。
第6話 終わり
〜to be continued
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