342 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:26:32 ID:wZS2IFAEO
 
 
 

 
 俺は昨夜、同じ大学のメンバー間で催された、
 合コンを兼ねたカラオケパーティーに参加していた。
 仲のいい友人や、違う学部の人間とで、
 合わせて男三人女三人の、小規模なものだ。
 
 すぐに打ち解けあい、カラオケで盛り上がった。
 夜通しのカラオケのため、テンションもすこぶる高く、
 どういうことかふつうに口づけをしたりもしていた。
 いや、俺はしていない。
 
 カラオケが終わり、気がつけば朝の九時だった。
 一夜を寝ずに過ごし、はしゃいで酒も呑んだため、
 思いのほか疲労は溜まりに溜まっていた。
 
 そしておひらきになり、皆が店を出て、各々が帰路に着いた。
 
  _
( *゚∀゚)「じゃ、おひらきっつーことで」
 
(,*゚Д゚)「うぃーす」
 
 とやかく言う俺だが、案の定呑みまくり、酔っていた。
 おぼつかない足取りだったし、舌もまわりづらかった。
 
  _
( *゚∀゚)「ハインちゃん、家行っていい〜?」
 
从 ゚∀从「だめ」
  _
( *゚∀゚)「いいじゃんかよぉ〜」
 
从 ゚∀从「やだ」
 
 
.

343 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:30:32 ID:wZS2IFAEO
 
 店を出て、俺は帰路に着かなかった。
 俺は、ある人を追いかけたのだ。
 全速力で走ると転びそうだったので、早足で。
 
川 ゚ -゚)「……」
 
( ,,゚Д゚)「クー、クール!」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
 
 クールとは高校時代からの知り合いだが、仲は最悪だった。
 俺は友好的に接しているが、どうも彼女のほうが警戒を解かないでいる。
 これには事情があるのだが、いまは話したくない。
 
 とにかく、一刻も早く仲直りしたかったのだ。
 呼び止め、話をしたかったが、彼女は許さなかった。
 
 
( ,,゚Д゚)「話を聞いてくれ」
 
川 ゚ -゚)「……ふん」
 
(;,゚Д゚)「な、すぐ終わるから」
 
 カラオケの時も常に静かで、俺の友人のジョルジュが
 「ドライすぎる」と称したほどだ、
 日常でもこんなことが多い。
 
 しかし、今日を逃すと会えない、そんな気がした。
 だがら、強引にでも和解したかったのだ。
 俺は先回りし、地に膝をつけ、頭をさげた。
 
 彼女の歩みは一瞬止まった。
 
 
( ,,゚Д゚)「頼む、まだ怒ってるんなら、許してくれ。
     ほんとうに改心したんだ」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
( ,,゚Д゚)「……」
 
( ,,-Д-)「頼む」
 
川 ゚ -゚)「………よりを戻したいとか言うのなら、ごめんだ」
 
.

344 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:33:21 ID:wZS2IFAEO
 
 
(;,゚Д゚)「違――わないけど、でも!」
 
川 ゚ -゚)「断る」
 
 俺とクールは、高校時代、付き合っていた。
 性格面で対照的な俺らが付き合えるとは思ってもみなかったが、とにかく惹かれ合った。
 
 俺はクールを、心の底から愛した。
 だが、あることがきっかけで別れた。
 いや、彼女に拒絶された、と言っていい。
 
 そして、途方にくれたわけだが、どういうことか、
 この度の合コンで、偶然にも俺はクールと出会うことができた。
 神の思し召しかとさえ思い、すぐにこうやって謝った。
 よりを戻してくれとまでは言わないから、許してくれ、と。
 しかし、まあ、許してくれないわけだが。
 
 
川 ゚ -゚)「帰ってくれ」
 
(;,゚Д゚)「よりを戻そうとは言わないから」
 
川 ゚ -゚)「とかいって……、………?」
 
(;,゚Д゚)「ど、どうした?」
 
川;゚ -゚)「おい、車!」
 
( ,,゚Д゚)「え」
 
 
 
 
 
 
 そこからのことは覚えていない。
 頭にひどい衝撃を感じ、倒れた。
 覚えているのは、それだけだ。
 
 薄れゆく意識のなかで、クールが焦った顔で
 俺に近づいてくるまでは視認することができたが。
 
 
 
 
 
.

345 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:34:59 ID:wZS2IFAEO
 
 
 

 
 
 次に目を覚ました時の光景が、異常だった。
 目を覚ました場所は、一言で言えば、カジノだ。
 
 まわりに多くの人間がいて、俺はここがどこか一瞬わからなかった。
 気づくと隣にクールがいて、俺の肩に手を当て、立っていた。
 
 
川 ゚ -゚)「気づいたか」
 
(;,゚Д゚)「……」
 
 
 ここは、どこだ。
 いったいなにがあった。
 
 それをクールに訊いても、返事はどれも一緒だった。
 「気を失った。気がつくとここにいた」と。
 
 辺りを見渡すと、おそらく皆も同じく
 突然連れてこられただけの人間のようだった。
 きょろきょろして、必死になにかを訴えたり、出口を探している者もいる。
 
 
 すると、カジノホールの天井から、巨大なモニターが下りてきた。
 機械音とともに、ゆっくり現れたので、皆がモニターのほうをみた。
 ざわめきが大きくなりはじめた頃合いに、モニターの電源が入った。
 
 
 
|::━◎┥
 
 
(;,゚Д゚)「おい、なんだあのロボットみたいなの」
 
川;゚ -゚)「おともだち……ではなさそうだ」
 
 
 モニターには、金メッキのロボットが映っていた。
 
 
.

346 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:38:32 ID:wZS2IFAEO
 
 
 
|::━◎┥〈《遊技(ゲーム)》だ。〉
 
 
 
( ,,゚Д゚)「!」
 
川 ゚ -゚)「!」
 
 モニターのロボットは、開口一番にそう言った。
 俺は、最近読んだ小説を思い出した。
 ゲームの参加者が無理矢理連れ出されて、殺し合いなど
 といったようなゲームを強制的に参加させられる、という。
 
 そういった類の小説の、冒頭に酷似していたのだ、この展開は。
 
 
 
|::━◎┥〈《競技者(プレイヤー)》よ。
      神の娯楽のために戦え。
      殺せ。生き延びよ。〉
 
 
 
 嫌な予感しか、しなかった。
 
 
 
|::━◎┥〈《競技者》のひとりひとりに一枚、《トランピオン》を配布した。
      《トランピオン》を失った者が敗北、《トランピオン》を十三枚得た者が勝利だ。〉
 
 
 それを言われて、《競技者》と呼ばれた俺らは、各自ポケットのなかを探った。
 すると俺は、硬い、長方形状のなにかが手に触れたのを確認した。
 なにかと思い見てみると、見慣れた絵柄と数字が目に入った。
 
 
( ,,゚Д゚)「……トランプ?」
 
川 ゚ -゚)「……どういうことだ」
 
 
.

347 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:40:16 ID:wZS2IFAEO
 
 
 ロボットは続けた。
 
|::━◎┥〈《トランピオン》の奪取の如何は問わない。
      その代わり、《競技(プレー)》を行うことを許す。〉
 
|::━◎┥〈《支配人(ディーラー)》の支配下のもと《競技》を行い
      それによる勝者は敗者の《トランピオン》を得る。〉
 
|::━◎┥〈以上。ではこれより、《遊技》の開始とする。〉
 
 
 そう言って、モニターは引きあがった。
 
 
( ,,゚Д゚)「……え?」
 
川;゚ -゚)「お、おい、見ろ」
 
 
 クールに急かされ、言われるがまま俺は右手のほうをみた。
 筋肉隆々な男が、ひ弱な男を殴りつけたのだ。
 そしてトランプを落としたのを見て、筋肉隆々な男はそれを拾い上げた。
 
 
(;-_-)「いてて……なんですか!」
 
( ΦωΦ)「……これが《トランピオン》か」
 
 
 ひ弱な男が、殴られた箇所を撫でながら立ち上がった。
 するとどうだ。
 
 
 
.

348 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:42:59 ID:wZS2IFAEO
 
 
(-_-)「―――?」
 
( ΦωΦ)「…? どうしたのだ、少年」
 
(;-_-)「か……からだが……」
 
 
 少年が、ぶるぶる震えながら、しゃがみこんだ。
 もう片方が、どうしたのかと思い、尋ねると
 
 
(;゚_゚)「うわあああああああああああッ!」
 
 
( ゚_゚)
 
 
( ゚_,,,
 
 
( ゚,,,
 
 
,,,
 
 
 
 
 
( ;ΦωΦ)「………なにっ!?」
 
 
 
.

349 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:45:03 ID:wZS2IFAEO
 
 
 痩身の男が、絶叫し、硬直した。
 直後、身体の一部分が黒い粉となり、はらはらと粉が散っては
 徐々に身体がこの粉に変化していき、
 最終的に男は跡形もなく消えてしまった。
 
 黒い粉だけが舞い、筋肉隆々な猫目の男は、仰天した。
 続けて、まわりにいた推定五十人強の人たちは、慌てふためいた。
 
 《トランピオン》と呼ばれる、トランプを象ったこのカードを失うと、死ぬ。
 このことだけは、しっかりと理解したからだ。
 
 そしてそれは、いかなる手段で奪われても、死んでしまうのだ。
 
 
( ΦωΦ)「………」
 
 
 つまり、相手を殴ろうが蹴ろうが、最悪殺そうが、カードを奪いさえすればいいのだ。
 それを、この猫目の男を含め、皆がわかった瞬間――
 
 
 
 
(;'A`)「に、逃げよう!」
 
(; <●><●>)「言われなくてもわかってます!」
 
 
 
 皆が、逃げ始めた。
 猫目の男のように、喧嘩が強い者ならともかく、
 腕っ節に自信のない者がここにじっとしていると、やがては狩られるだろう。
 
 そのため、カードが奪われないように、逃げるのだ。
 腕っ節が良さそうなのは、猫目の男だけではない。
 ほかにも何人か、巨躯を持つ男はいた。
 いったんは逃げ、彼らから逃れないと、ここで死ぬことになる。
 
 
.

350 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:47:04 ID:wZS2IFAEO
 
 
 
 俺も、そのうちの一人だ。
 
(;,゚Д゚)「クー、逃げるぞ!」
 
川;゚ -゚)「……ああ」
 
 
 出口のなかったホールが一転、四方八方に出口が出現していた。
 八つの方角に出口が現れたので、
 俺とクールは、一番近い北東の扉から逃げた。
 
 
 
( ΦωΦ)「《トランピオン》、いただくぞ!」
 
(;'A`)「わあああッ! こっちくるな!」
 
 
 ひ弱そうな男を追いかける猫目の男に、
 
 
( ・∀・)「あっははははハハハ!」
 
(;*゚ー゚)「来るな変態!」
 
 
 この男は包丁を振り回しながら女を追いかけ、
 
 
( ^ω^)「待て!」
 
从;゚∀从
 
 
 同じく特定の女にねらいを定め、追う男も。
 皆が、追う者か、若しくは追われる者となった。
 
 
 
.

351 名前:名も無きAAのようです :2012/06/28(木) 18:49:17 ID:wZS2IFAEO
 
 
 
 
 
   こうして、弱肉強食の鬼ごっこがはじまったのだ。
 
 
 
 
 
 
    ―――−−- - - ( ,,゚Д゚)トランピオン・コレクターズのようです
 
 
 
  >完結する見込みがないため
  >上映日無期限延期とします。
 
 
 
 
.


戻る inserted by FC2 system