- 656 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:08:17 ID:AJmYEIS20
ぴとん。
「ん」
ぴとん、とん。
('A`)「朝……か」
朽ちかけた石畳の牢獄の中で、その音だけが夜明けを報せる合図だった。
四方を苔むした冷たい石に囲まれて、隙間からは時折地下水が染みだしてくる。
この場所に来てからというもの、毎晩、毎夜、その音に耳を傾けた。
粗末な食事で死なない程度の栄養を摂ることと、排泄することと、寝る事しか出来ないからだ。
- 657 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:09:19 ID:AJmYEIS20
雫が落ちる間隔に耳を研ぎ澄ませている内に、気づいた。
天井の石畳に張った結露が、雫となって寝床の傍に落ちてくるのは、朝方ごろだった。
だがここでは時間など知るすべはないため、だいたいそれぐらいという目安でしかない。
見張りが起きだしてくるのも、いつもこのぐらいだった。
ノシ`i゚ 益゚i以「メシだ」
('A`)(またコレか)
正面の格子の下から滑らせるように渡された木製のボウルは、緑色の半ば固形化したスープで満たされていた。
もとは暖かかったんだろうが、手で持った器の生ぬるさが、食欲をさらに萎えさせる。
臭いはなく、味も無味に近い。
ヨーグルトと、リゾットの中間ぐらいのような食感に、初日は吐き気さえ催した。
ときどき表面に見える茶色の物体は、きのこかなにかのようだった。
- 658 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:10:55 ID:AJmYEIS20
('A`)「なぁ、出してくれないか」
ノシ`i゚ 益゚i以「……」
('A`)「……頼むよ」
哀願も虚しく、この見張りはこちらの言葉を聞き入れてなどくれない。
それもそのはず、この地底人たちの存在を知っているのは、恐らく地上で自分一人。
逃してくれるはずなどないのだ、彼らの目的を、知ってしまっているから。
ノシ`i゚ 益゚i以「ダメだ、まだまだお前から情報を引き出さねばならんからな」
海外旅行で密林ツアーの探検中、不注意から底なし沼へと落ちた。
まさかその先が、人の言葉を話す地底人達が住み暮らす場所につながっているとは思わなんだ。
当然口をぱくぱくさせるぐらいに驚いたが、向こうの驚きも同じようだった。
部族のような格好をした多数の地底人に尋問を受ける中で、自分は彼らの目的を知ったのだ。
- 659 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:12:07 ID:AJmYEIS20
ノシ`i゚ 益゚i以『地上に攻め込み、我らの植民地とするのだ』
('A`)(そんな馬鹿げたことができるはずがない)
そう思いながらも、随分とフェイクを織り交ぜて、地上の文明力を彼らへと話した。
これは毎日自分に課せられた、虜囚としての義務だった。
彼らはまだ知らない。
地上には、銃火器や自動車というものが存在していることさえ。
彼らと似たようなレベルのテクノロジーしかない風を装って、尋問の都度伝えた。
何故ならば、彼らが地上の侵略を諦めてしまうような事を話せば、自分の利用価値が無くなるからだ。
すぐに殺されてしまう、そんなワケにはいかない。
この劣悪な環境下で自ら命を絶たずにいるのは、夢を叶えるのだという希望があるからだ。
だが、そんな自分に容赦なく、石製の独房の冷たさが、心の芯を締め上げてくる。
会話できる相手も、この無愛想な見張り番しかいない。
- 660 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:13:12 ID:AJmYEIS20
今日でここに押し込められてから、一週間ぐらいだろうか。
狂おしいまでの人恋しさから、背中越しに、見張りの地底人に話しかけてみた。
('A`)「なぁ、今って、朝なんだろ?」
ノシ`i゚ 益゚i以「違う、夜だ」
('A`)「……」
考え違いをしていたようだ。
底なし沼に落ちて意識を失い、それからこの地底の王国へと落とされた。
そこで気づいた時から、自分は時間の間隔が狂っていたということか。
彼ら地底人は、地上の自分たちとは違い昼夜逆転の生活をしているのだろう。
まして暗く閉ざされた地の底などでは、時間という概念自体が必要ない物なのかもしれない。
- 661 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:14:03 ID:AJmYEIS20
ノシ`i゚ 益゚i以「死にたそうな顔をしているが、俺がいる限りそうはいかんぞ」
('A`)「死にたい……もんかよ」
自分には、夢がある。
生涯で一度だけ見た、ただ一つの夢。
それを叶えるために、あくせく仕事で働き溜めた貯金で海外旅行へ出向いた。
逃げ出すチャンスは、今も伺っている。
だが、地底から再び地上まで登るには、どうすればいい?
自分がいなくなってから、レスキュー隊は探してくれているだろうか。
冷静に考えれば、どれほどの距離があるのかも知れない。
再び地上に上がるのは、絶望的といっていい。
もしも夢を叶える事が出来たら――その時には、この場所で死んだって構わないのに。
- 662 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:15:04 ID:AJmYEIS20
栄養不足か、心神耗弱か。
震えにつかれた自分の手をじっと見つめていた時、いつもの門番の横から誰かが話しかけていた。
「この男か?」
ノシ`i゚ 益゚i以「……ハッ! ツン様!」
('A`)「……!?」
ぴんと背筋を伸ばして敬礼のような仕草をした見張り番の様子から、それがこの王国では
高貴な身分の地底人にあたるのだと、すぐに分かった。
それにも増して驚いたのは、その声。
地の底に沈んだこの場所にあっても、透き通るように綺麗な女性の声だったからだ。
声の主は、間もなく格子の向こうから見張りを横切り、すぅっと姿を表した。
- 663 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:16:17 ID:AJmYEIS20
ξ゚听)ξ「ふむ、貧相な顔立ちをしているな。
やはり地上人……話に聞いていたとおり、劣等民族のようだ」
('A`)「!!」
彼らの文化レベルは旧石器時代と変わらぬものと思っていたが、どうやらそうではない。
他の腰みのを巻いた地底人とは一線を画すその出で立ちは、絵本の童話に出てくる
プリンセスそのものだった。
ドレスというにはあまりに布の量が足りないが、彼女の縦に巻かれた金色の頭髪は、
この地底にあって、何よりも眩しい鮮やかな衝撃だった。
ノシ`i゚ 益゚i以「ツン様、このような場所ではお召し物が汚れてしまいます」
ξ゚听)ξ「何、噂の地上人とやらに興味があってな。
父上には伝えていない、お前も口外はせぬように」
ノシ`i゚ 益゚i以「ハッ、かしこまりました」
- 664 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:17:19 ID:AJmYEIS20
('A`)「……」
現代の日本人女性のレベルと同じ、いや、そこらの女など比較にならないぐらいに綺麗だった。
思わず種付けをしてしまいたいと、もしくは顔にかけたいと、そう――思った。
今、なのだろうか。
そうだ。脱出が不可能なのであれば、きっと、その瞬間は今しかない。
こんな地の底で、俺の希望が光り輝く瞬間は、この時だけなのだ。
早鐘のように脈打つ胸の鼓動を抑えながら、片手ではベルトに手をかける。
気づけば、自分はいつの間にか立ち上がり、格子の向こうにいる彼女にふらふらと歩み寄っていた。
- 665 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:18:59 ID:AJmYEIS20
ξ゚听)ξ「む?」
('∀`)「もう、君でいい。
いいや、むしろ、君しかいないんだ」
ベルトを緩めると、おもむろにパンツごと。
左手は添えるようにして、そして右手では力強く。
自分はその場に、ツータックパンツを降ろした。
そして希望の女神の眼前で、生まれたままの姿を披露する。
ξ )ξ
('∀`)「おちんちんびろーん!!」
まさしく言葉通りだろう、この日のために下半身は念入りに剃毛してきたのだから。
つるつるな肌触りを彼女にも手で感じてもらいたいところだが、生憎と自分にそんな変態的趣味はない。
- 666 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:19:42 ID:AJmYEIS20
ノシ`i゚ 益゚i以
('∀`)「おちんちんびろびろーん!!」
大自然の中、健康的で美しい現地ガイドの女性に向けて、僕は感謝の言葉とともに別れ際にこれをするはずだった。
窮屈で行き詰まる現代社会、日本ではまず行えない行為ではあるが、これこそが人間としてあるべき姿なのだ。
即ち、本能。衣服など拘束具に過ぎないのだと気づいている人間が、一体この世にどれほどいる事か。
勉学、仕事、人付き合い。
面倒なことこの上ない人生をどうにか耐え忍んでこれたのは、この解放感を味わうため。
ツンといったか、彼女のように美しい女声になら、自分の全てを見せてやりたい。
ξ )ξ
じっと熱のこもった眼差しを向ける彼女は、微動だにしなかった。
- 667 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:21:01 ID:AJmYEIS20
('A`)(……む)
('∀`)ピコン!
('∀`)(ただムササビのように広げるでは芸がない、バリエーションをつけてやらねば!)
手の平の上でもてあそぶように、ぽむぽむとしわ玉を跳ねさせる。
この躍動感を彼女も感じてくれているだろうか。
('∀`)「……にいぃぃぃぃ〜」
ξ )ξ
次いで、おもむろにコックをしごき、半ば硬質化しつつあった息子を本気にさせてやる。
その上で表皮を剥いてやると、ドリルのような先端から、窮屈さから薄紫に変色した海綿体がお出ましだ。
その形状は彼女の調髪された縦ロールとお揃いのようでいて、なぜだか可笑しみを憶える。
ξ )ξ
ノシ`i゚ 益゚i以「……あ、あの、ツン様……」
- 668 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:22:05 ID:AJmYEIS20
('∀`)「ドゥフフフフ」
今この瞬間は、自分一人だけの舞台だ。
堺さんにも海老蔵にも負けない、それだけの輝きをたたえた瞳を、今の自分はしているのだろう。
恥ずかしがってそっぽを向いてしまった彼女も、内心には灰皿でウィスキーを飲まされたような衝撃を受けているはずだ。
そう、これが、この自然体が人間というものなのだ。
これまで醜悪でムサい見張りの地底人たちに囲まれて、くさいメシを食ってきた。
そうして今得た、解放のカタルシスに――
- 669 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:23:58 ID:AJmYEIS20
('A`)「ドゥフ……ウッ!!」
思わず、絶頂を迎えてしまった。
それにも挫けず、踵をかえして遠ざかっていく彼女の背に、自分は全力で叫び続ける。
人間としての本能を訴える魂からの叫びが、地下深くの牢獄に、いつまでも響き渡っていた。
ξ゚?゚)ξ「処刑しろ」
ノシ`i゚ 益゚i以「仰せのままに」
('∀`)「おちんちんびろーん!」
- 670 名前:名も無きAAのようです :2014/02/21(金) 01:26:07 ID:AJmYEIS20
おちんちんびろろーん!
おちんちん…… おちんちん……
オチンチン... オチンチン... オチンチン... オチッ―――ワギャナドゥッ
次の瞬間、白む意識。
遠い昔に心筋梗塞で亡くなったはずの祖父と、祖母が迎えに来ていた。
二人の手を取って虹色の綺麗な河を渡る間まで、自分の叫びはずっと響いていたようだった。
('A`)野望の地下王国のようです おしまい
【お題】
希望・地下王国・独房・昼夜逆転・おちんちん出したい
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