229 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:11:37 ID:HmWHnTSY0

戦争犬。

戦場を駆けまわり戦いの中でしか生きられない者達。
奴らは人を殺し、報酬を貰い生を得る。

人々は奴らを蔑むことだろう。

しかし、私は彼らに親しみをこめてこう呼ぶ。

ウォードッグ
戦争犬と。

彼らは、あいつは幼い私を戦地で救ってくれたんだ。
どんな立派な思想を掲げた善人にも、清廉潔白な聖職者にも私に手を差し伸べることはできなかっただろう。
血を求め死体の山を駆けまわり煤と血にまみれた彼らにしか、私を救う事ができなかった。

彼に、彼らに助けて貰った私もまた、日々血で汚れていっている。

そんな私に助けられる資格などあったのだろうか……。

お前は私になんて言う?あなたは何を想い私を救ってくれたのですか?

いくら問答しようとも、答えが出ることは無い。

だがそれでも、私の力を完璧に振るうには、生かされた私の力を活かすには、今の職場が最適なのだと思う。
それならば私はこのまま駆けよう。

10年前のカラマロスDNで起きた戦争から始まった、私の戦場を駆け抜けていこう。

230 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:13:10 ID:HmWHnTSY0

******

从'ー'从 「二足歩行戦車に核ミサイルを搭載する……これで、ニューソクはどこからでも核を撃てるようになりますね。
      いったい、この国はどこへと向かっているのでしょうか……」

軍事大国ニューソク。
10年前のニーソクとの戦争に敗れたこの国は、軍備の強化が急務となっていた。

革新的な進化と増強が行われていくニューソク軍はニーソクへの進行戦を目前に控えていた。

(’e’) 「"さえじま"だと? 貴様、どこで嗅ぎつけた?
     調べても、無駄さ。奴らは場所を調べても出てきやしない。
     他機関との情報交換のいっさいおこなわず、暗躍する組織。
     私ですらただの駒でしかない。私はただ、奴らに仕事を依頼されただけで何も知らされてはいない」

その中枢に根付いた、闇の存在を知らぬまま――――。

「10年前、戦場となったカラマロスDNから脱出した"さめじま"の能力を持った少女。
 壊滅した部隊"GJ"、その唯一の生きのこりをお前なら知っているはずだ。
 嘘を言ってもわかる。言え! 奴はどこにいる!? ハインリッヒ最後の弟子はどこだ!?」

10年前に戦地カラマロスDNから脱出した一人の少女。
そして一匹の戦争犬を、巨大な組織が狙う。

231 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:14:18 ID:HmWHnTSY0
川 ゚ -゚) 「悪いが、奴とはもう何年も会っていない。私に聞いても無駄だ」

―――銃を突きつける兵士を、少女は俊敏な動きで組み伏せる。

10年の月日が立ち、生き延びた少女は立派な強い女性へと成長していた。

    「動くな! その男から手を離せ。付いてきてもらおうか。
     見れば分かるだろう? ハチの巣にはなりたくあるまい」

―――だが、気付けばすでに包囲されてしまっていた。

川;゚ -゚) 「……」

少女は、"国家総合案内所"から狙われていた。
10年前、"チャネラー"と呼ばれる存在であることを知ったあの時から。

     「なにッ!?」

だがしかし、

―――無音にして一瞬によって兵士達は壊滅させられ、頭に血の花を咲かせていく。

―――少女の回りに出来た死体の山には目もくれず、真っ直ぐに彼女の下へ駆ける。

('A●) 「久しぶりだな、クー。無事か?」

少女の傍らには片目を失った戦争犬がおり、彼はその鋭利な牙を"国家総合案内所"へと向けていた。

( ・∀・) 「生き急ぐなよドクオ君。戦場では、いつどこでどこから弾が飛んでくるかわからないからね?」

戦争犬ドクオはニューソクの闇を知る為、闇の中を駆け続ける。

232 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:15:17 ID:HmWHnTSY0

(`・ω・´) 「取引といこうじゃないか。君には報酬1億モリタポと大将のポストを約束しよう。
        そして君は"さえじま"の下で働き、"さえじま"素直クールを引き渡す……どうかね?」

"国家総合案内所"とは、"チャネラー"とは、そして彼らの口にする"さえじま"とは一体何なのか―――。

( ゚д゚ ) 「あのハインリッヒの最後の弟子とやりあえるとはねぇ。
      "さえじま"の邪魔するなんて、粋なことをしてくれる。
      そういう馬鹿は嫌いじゃないが……ここで死んでけ」

クーに迫る刺客。

( ´∀`) 「全ては、彼女の意思を叶える為―――――。
        ドクオ君、総合案内所を倒すという目標は同じなのに、何故君は僕を裏切るモナ?」

国家総合案内所の打倒を目指し、国ごと粉砕しかねない野望を抱く組織、"ジョン=ドゥ"。

( ・∀・) 「君は知り過ぎたのだ……消えて貰う」

そしてその姿を現す、"案内人"達。

国を、そして世界を動かす闇に成す術も無く敗れた戦争犬。

233 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:15:44 ID:HmWHnTSY0
だが―――


<_プー゚)フ「無事ですかい!? 少佐」

(゚、゚トソン 「少佐、救出に参りました。さあ、立ってください。早く!」

(;'A●) 「お前達……どうしてここに?」

/ ,' 3 「ハインリッヒ嬢の忘れ形見を、ここで失いたくはなかったのでな。
     ここにいる若い連中は、わしが彼女を慕うように少佐殿を慕っているんじゃよ。
     まぁ、このお嬢さんがどんな気持ちでこんなところに来たのかはしらんがな」

川 ゚ -゚) 「御託はいい。早くここから脱出するぞ」

戦争犬が死ぬことを、少女は許さなかった。
そして少女は戦争犬の手を引いてゆき、共に駆け抜けていく。

その前には、"最強"の壁が立ちはだかっていることも知らずに。

(゚、゚トソン 「ここは私達に任せて逃げてください」

<_プー゚)フ「後でな、少佐」

/ ,' 3 「世話の焼ける小僧達じゃわい……付きあうぞ。
     少佐殿、生きなされ。ハインリッヒ高岡、最後の弟子よ」

―――迫る軍勢。

234 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:16:35 ID:HmWHnTSY0

そして、

(;゚A●) 「は、ハイン!? なんでアンタがここに!? どうしてだ!? どうしてなんだ!!」

从 ゚∀从 「誰だ、お前は? どうやら旧知のようだが、"アタシ"は知らねえ。こっから先は通れないぜ」

戦争犬と少女の前に現れた、"最強"。

川 ゚ -゚) 「ドクオ! 奴はハインさんじゃない!! 戦うんだ!!」

かつて自らが助けられたように、少女は戦争犬を助けようとする。
     
川 ゚ -゚) 「ニューソクも総合案内所も、関係ない。私は―――」

二人で、生き抜く為に。

少女と戦争犬は駆ける――――。

     ウォードッグ
川 ゚ -゚) 「戦争犬、今度は私が守る」

235 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/08/03(水) 12:17:43 ID:HmWHnTSY0

*****



       川 ゚ -゚) 少女と('A`) 戦争犬が駆け抜けるようです



        「私達は10年前から走り続けていたんだ
         ニューソクという戦場を、お前とずっと」


     「私はこの戦場を走り続けていく。お前が走り続けるように」


  「戦争犬よ、お前さえよければ……この戦場を駆け抜けた先も一緒に行こう」


           「共に駆けよう―――ドクオ」


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