162 名前:名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 00:56:56 ID:KkaZFYwQ0

どこかの駅から歩いて、何本目かの道を右か左へ。
少し進んだところに、それはある。


『流石シニト探偵』

163 名前:名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 00:57:48 ID:KkaZFYwQ0

(´<_` )「して、今回は、どのようなご相談で?」

( ´_ゝ`)「はあ、それはまた、大変ですねえ。間違いなくシニトといえるでしょう」

シニト。
死んでいるのにそれに気付かないで、変わらず日々を過ごしている人々。
幽霊とは違い、実体をもつ。

(´<_` )「ええ、ええ、任せてください。我々、流石シニト探偵が、必ず成仏させてみせましょう!」

成仏。
死と向き合うことができずに苦しむシニトを、いるべき場所へと還すこと。

これは、シニトの発見から成仏までを請け負う、ある双子の物語である。

164 名前:名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 01:00:02 ID:KkaZFYwQ0

( ´_ゝ`)「成仏は、さっさとしてやったほうがいいだろう?なぜ世間は成仏に批判的なんだ?」

(´<_` )「そりゃあお前、考えても見ろよ。自分がシニトかそうじゃないかもわからないのに、むやみやたらと成仏させてみろ」

もし自分がシニトだったら、消えたくないだろう?
消えたくないから、消さないんだ。
人間ってのは、ずるい生き物だよ。

165 名前:名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 01:02:03 ID:KkaZFYwQ0

「あああああああああああああ!!!!
そんな!そんな!俺は死んでなんかないぞ!見ろよ!こんなにピンピンしてるんだ!シニトなわけが!!」

(´<_` )「シニトじゃないのなら、これに触れてください。あなたが轢かれたバイクの破片です」

記憶とは、残酷なものである。

物から溢れる記憶が、死の真相を明るみへと引きずり出す??

「ああ。俺、こんな死に方して......」

「あんたらには迷惑かけたな。人を殺すのは、辛いな」

(´<_` )「......それでも俺たちは、これをやらなきゃいけないんです」

「そうか。あんたらの母親たちにも、いっておくよ......息子は元気でやっているってな....」

166 名前:名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 01:03:17 ID:KkaZFYwQ0

死と向き合うシニトと向き合う。
死を引きずり出すようなその行為は、殺人とも比喩される、残酷な行為であった。

それでも彼らはやめられない。
シニトを成仏させる。
それが、彼らの使命だったから。

川 ゚ -゚)「わたしの妹は、恐らくシニトなんだ」

( ><)「いやなんです!消えたくないんです....」

('∀`)「ありがとう。救われたよ」

( ^ω^)「うすうすそんな気はしていたお、でも....やっぱり怖いものだおね」

(´・ω・`)「死にたくないといっても、もう死んでいるんだね」


「「「さよなら」」」

167 名前:名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 01:04:25 ID:KkaZFYwQ0

見なければいけない。
人一人が消えていく、その瞬間を。
目を逸らしては、いけない。



そしてまた、


(<_ )「ああ、ごめん」


「どうやら、俺???」



シニトが一人。


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