169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 22:48:00.97 ID:dteTPVlX0
 
大晦日、それは一年の終わりであり、子どもにとっては、滅多に許されることのない夜更かしを許される日でもある。
除夜の鐘を聞く子ども。紅白歌合戦を聞く子ども。笑ってはいけないを見る子ども。
一年最後の夜、そして一年最初の夜をどう過ごすのかは家庭によって様々だ。

*(- -)*「あけまして、おめでとーござい、ます」

('、`*川「明けましておめでとうございます」

( ´∀`)「おめでとうモナ」

この家もまた、古い一年を終え、新たな一年を迎えた。

*(- -)*「おかーさん、おとーさん、お年玉は?」

('、`*川「起きたらあげるから、とりあえず寝たらどう?」

*(- -)*「うん……」

西湖家の一人娘であるヘリカルは眠気眼で頷いた。
今年、否、既に年が明けたことをふまえると去年、小学一年生になったばかりの彼女に、年越しは酷なものであったらしい。
母や父の真似をして紅白歌合戦を聞きながら年越し蕎麦を食べたのはいいものの、彼女の眠気は今までにない域へ達している。

*(- -)*「おやすみなさい……」

( ´∀`)「いい初夢を見るモナよ」

*(- -)*「……いちふじ、にたか、さんなすび」

最近覚えたばかりの知識を口にしながら、ヘリカルはリビングから出るため、ドアノブに手をかけた。

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 22:50:18.57 ID:dteTPVlX0
  
('、`*川「そういえば、明日、リリちゃんとちょっとだけ会うって言ってたわよね?」

ヘリカルがドアを少し開けたところで、母が問いかけた。

*(- -)*「うん……。
     おめでとーございます、言う、の」

('、`*川「お洋服を汚さないようにね。
     あと、明日は叔父さん達がくるから早めに帰ってくるのよ。
     きっとお年玉貰えるから」

*(- -)*「はーい」

立ちながら船をこぎ始めたヘリカルは、母の言葉を薄っすらと聞き流しながら返事をする。
彼女の頭の中はすでに半分ほど夢の中に入ってしまっているのだ。

('、`*川「おやすみなさい」

*(- -)*「おやすみ、なさい」

今度こそヘリカルはリビングを後にした。
背中から聞こえてくる父と母の楽しそうな声が聞こえる。
いつもは羨ましく思う大人の時間だが、今回ばかりは羨ましく思えなかった。

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 22:52:14.49 ID:dteTPVlX0
  
*(う‘)*「おはよー」

('、`*川「おはよう。お雑煮食べる?」

*(‘‘)*「うん!」

いつもよりも短い睡眠を取ってヘリカルが起きると、台所には既に母が立っていた。
いつ起きたのか、そもそもあれから眠ったのかすらヘリカルにはわからない。

('、`*川「お餅は一つでいい?」

*(‘‘)*「いいよー」

( ´∀`)「モナは二つ欲しいモナー!」

('ー`*川「はいはい」

前日のうちに作ってあった雑煮が温められ、ヘリカルの前に出される。
父や母のお椀には餅が二つ。
ヘリカルのお椀には餅が一つ入っている。

*(‘‘)*「いただきまーす」

本当は急いで食べたいところなのだが、相手は餅だ。
油断して喉に詰まらせでもしては洒落にならない。
ヘリカルは急く気持ちを落ち着かせ、ゆっくりと雑煮を食べた。

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 22:54:39.17 ID:dteTPVlX0
  
*(‘‘)*「じゃあ、リリちゃんのとこに行ってくるねー!」

('、`*川「寒いからマフラーを取っちゃ駄目よ?」

( ´∀`)「早く帰ってくるモナよ」

雑煮を食べ、ヘリカルはいつもよりも少しばかりお洒落な格好をしていた。
何を言っても元旦だ。
一年の初めに会う親友には、良い所を見せたい。

*(‘‘)*「わかってるってば!」

ヘリカルは腰に手をあてる。
昨日と今日で特別に何か変わった、というわけではないのだけれど、
誕生日と元旦というのは、不思議と子どもを成長した気分にさせる。

*(‘‘)*「私も、いつまでも子どもじゃないのよ!」

('、`;川「そういうところが子どもなのよ」

*(#‘‘)*「もー!」

可愛い眉間に少しばかり渓谷ができる。
今にも地団駄を踏みそうな様子だ。

( ´∀`)「ほら、母さんは放っておいて、早く行った方がいいモナよ。
      リリちゃんが待ってるかもしれないモナ」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 22:56:14.63 ID:dteTPVlX0
  
父が仲裁に入り、ヘリカルはハッとした顔をする。
玄関に立ってから、時間は然程経っていないはずだ。
しかし、気の弱いリリは、遅刻を恐れて少し早い時間に待ち合わせの場所にいるのが常だ。

*(;‘‘)*「いってきまーす!」

('、`*川「こけないようにねー」

*(#‘‘)*「おかーさんうるさい!」

( ´∀`)「帰ったらお年玉モナよー!」

*(‘‘)*「はーい!」

父と母に見送られ、ヘリカルは待ち合わせの場所に向かう。

天気は一年の初めに相応しく晴天だ。
ヘリカルの口から出る息は白いが、風があまり吹いておらず天気予報で示された気温ほど冷たくは感じない。

*(‘‘)*「リリちゃん、もう来てるだろうな」

白い息をはきながら、ヘリカルは駆け足で進む。
クラスメイトのリリは同じ年ではあるものの、気の弱さと天然さが相まって妹のように思えるときが多々あった。
守ってあげないと、と日頃から思っている相手を長い時間待たせるわけにはいかない。
ヘリカルは気合を入れなおし、先ほどよりも足に力を入れて駆ける。

179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 22:58:29.11 ID:dteTPVlX0
  
目的地である公園にヘリカルが入ると、ベンチにリリが座っているのが見えた。
公園に設置されている時計は約束の時間ピッタリを指している。

*(‘‘)*「リリちゃん!」

⌒*リ´・-・リ「あ、ヘリカルちゃん」

*(‘‘)*「ごめんね、待たせちゃった?」

⌒*リ´・-・リ「ううん。私も今きたところだよ」

ヘリカルはリリに駆け寄る。
同時に、リリはベンチから立ち上がり、ヘリカルを向かえた。

⌒*リ´・-・リ「それよりも、あけましておめでとうございます」

リリが頭を下げる。
髪を二つ括りにしているゴムの飾りが、シャラリと綺麗な音をたてた。
どうやら、彼女の服装や装飾品も元旦仕様となっているらしい。

*(‘‘)*「あけましておめでとうございます」

少し見とれてしまっていたが、ヘリカルも慌てて頭を下げる。
二人は小学生に入ってからの友達だが、およそ一年でずいぶんと仲良くなった。
年明けに会いたいと思い、実際に会える友人ができたというのは、良いことなのだろう、と
ヘリカルは小学生ながらに思っている。

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:00:13.81 ID:dteTPVlX0
  
⌒*リ´・-・リ「今年もよろしくね」

*(‘‘)*「私の方こそ、よろしくね」

二人は顔をあげて笑いあう。
四月になれば学年が一つ上がり、クラス替えがある。
次もまた同じクラスになれるかはわからないが、クラスの一つや二つ隔てたところで、彼女達の友情は変わらないだろう。
何せ、彼女達自身がそれを確信しているのだから。

⌒*リ´・-・リ「ヘリカルちゃんの服、可愛いね」

*(‘‘)*「リリちゃんこそ!
    その髪のやつ可愛いよ!」

⌒*リ´*・-・リ「えへへ。ありがとう。
        これ、お母さんがお正月用に、って買ってくれたの」

*(‘‘)*「とっても似合ってるよ」

二人は互いの姿を褒めあう。
幼くとも女は女。
見た目を褒めるのは日常の一つであり、素通りできない部分なのだ。

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:02:16.76 ID:dteTPVlX0
  
*(‘‘)*「リリちゃんはお年玉で何買う?」

⌒*リ´・-・リ「うーん。考え中」

一通り姿を褒め終えた二人は、お年玉の話に移行していた。

⌒*リ´・-・リ「可愛いなぁ、と思ってるぬいぐるみがあるんだけど……」

*(‘‘)*「リリちゃんぬいぐるみ好きだもんね」

⌒*リ´・-・リ「うん。でも、もういっぱい持ってるし、とか考えちゃって」

*(‘‘)*「あるある!
    私も可愛いキーホルダー見つけたんだけどさ」

⌒*リ´・-・リ「たくさんあってもね」

*(‘‘)*「お洋服とかは高いしね」

⌒*リ´・-・リ「ねー」

お年玉の殆どは、貯金を名目に両親に奪われてしまうのだ。
あまり高いものを独断で買うことはできない。
かといって、駄菓子屋でお菓子を買う、というような選択肢は彼女達に存在していなかった。

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:04:20.84 ID:dteTPVlX0
  
どことなく現実的な話をしている彼女達ではあるが、その程度では小学生女子の可愛さは崩れない。
おめかしをし、楽しそうに話している二人は、公園の横を通る大人達をほのぼのさせた。

爪'ー`)「お嬢さん」

だが、ほのぼのするだけでは終わらない男がいた。

⌒*リ´・-・リ「……誰?」

爪'ー`)+「あしながおじさん、とでも呼んでくれ」

現れた男はダウンジャケットに身を包み、白い歯をきらめかせている。
格好をつけて親指で自身の顔を指しているが、彼女達はいまいちピンとこない様子だ。

*(‘‘)*「普通の長さだけど……?」

爪;'ー`)「あれ、今の子ってあしながおじさんの話知らない?」

男はがっくりと肩を落とす。
世界の名作の名を騙ったつもりだったのだが、上手く伝わらなかったらしい。
残念ではあるが、現実世界では格好をつけることすら簡単ではない、といういい例だろう。

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:06:42.91 ID:dteTPVlX0
  
爪'ー`)「まあいいや」

すぐに落ち込みから気持ちを立て直した男は、改めてヘリカルとリリに向きあう。
男は既に成人しており、当然のことながら、彼女達よりも背が高い。
そのため、二人は少し見上げる形をとらざるえを得なかった。

爪'ー`)「おっと失礼。
    お嬢さん方の首が痛くなってしまうね」

格好をつけることは諦めていないのか、やけに芝居がかった口調だ。
ふっと笑みをもらした男は、その場に膝を折る。
丁度、三人の目の高さがピッタリあった。

⌒*リ´・-・リ「あの……?」

爪'ー`)「ああ、心配しなくていいよ。
    ボクは怪しい人じゃないからね」

*(‘‘)*「いえ、怪しいです」

ヘリカルがキッパリといい放つ。
最近の子どもを甘く見てはいけない。
伊達にオブラートを知らぬ世代ではないのだ。

爪;'ー`)「あらら。
     おじさん、ずいぶんと警戒されちゃったねぇ」

男は苦笑いを浮かべる。

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:08:19.64 ID:dteTPVlX0
  
爪'ー`)「でもね」

そう言うと、男はダウンジャケットのポケットを探る。
彼の行動に、リリは不思議そうに首を傾げ、ヘリカルは半目で警戒心を露わにた。

爪'ー`)「ほーらお年玉だ」

取り出されたのは可愛らしい色合いのポチ袋が二つ。
少し膨れているので、中身もしっかりと入っているのだろう。

⌒*リ´・-・リ「ふぇ?」

爪'ー`)「これを、キミ達にあげようじゃないか」

男は満面の笑みだ。
だが、対照的にヘリカルの顔は真っ青になっている。

*(;‘‘)*(これは……)

ヘリカルはゆっくりと唾を飲み込む。
話には聞いたことがあった。
先生や、両親から何度も聞かされてきた。


*(;‘‘)*(変態ロリコンおじさんだ!!!)

  

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:10:39.56 ID:dteTPVlX0
  
ヘリカルは一歩後ずさる。
すぐに逃げ出さなければならない。

⌒*リ´*・-・リ「え、いいんですか?」

爪*'ー`)「ああ、もちろんだよ」

*(;‘‘)*(ダメだ! リリちゃんを置いていけない!
     というか、気づいてリリちゃん! そのおじさんはダメなおじさん!)

こんなところで天然を発揮しないで欲しいものだが、そういうときに限って発揮してしまうから天然なのだ。
ヘリカルは頭を抱えたい気持ちを抑え、リリの手を掴む。

⌒*リ´・-・リ「ヘリカルちゃん?」

*(;‘‘)*「逃げよう!」

⌒*リ´・-・リ「へ?」

戸惑いの表情を見せたリリを無視して、ヘリカルは走りだす。
幸い、力はヘリカルの方がずっと強い。
半ばリリを引きずるようにして走るのは、難しいことではなかった。

爪;'ー`)そ「あ、待って!」

*(;‘‘)*「待ちません!!」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:12:10.08 ID:dteTPVlX0
  
ヘリカルは男の横をすり抜け、公園を飛び出す。

⌒*リ´・-・リ「どうしたの? あのおじさん、良い人だよ?」

*(;‘‘)*「騙されちゃダメ!
     あの人は、ああして私達みたいな女の子をゆーかいする人なんだよ!」

爪;'ー`)「違います!!」

走っていることもあって、ヘリカルの声はそこそこ大きい。
後を追ってきている男は、彼女の言葉を遮るようにして否定の言葉を吐いた。

*(;‘‘)*「あんなの嘘だからね!
     あのおじさん、リリちゃんをゆーかいして、食べちゃうつもりなんだよ!」

⌒*リ´;・-・リ「た、食べられるの?!」

*(;‘‘)*「そうだよ!」

爪;'ー`)「待って待って!
     年端もいかぬ女の子がそんなこと言っちゃダメです!」

ヘリカルとリリの後ろを男が微妙な距離を保ちつつ追いかけてくる。
彼女達が全速力で走っているとはいえ、男は盛りを迎えた大人だ。追いつけぬはずがない。
その事実が、ヘリカルをさらに怯えさせる。

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:14:18.73 ID:dteTPVlX0
  
*(;‘‘)*「とりあえず、私の家まで行こう!」

⌒*リ´;・-・リ「うん!」

二人は手と手を取り合い、懸命に走る。
とても可愛らしい姿ではあるが、彼女達が置かれている状況はこれっぽっちも可愛くない。
そして、運命は、彼女達にさらなる試練を与える。

('A`)「んー?」

進行方向に、一人の男が現れたのだ。
貧相な体をしているが、小学生の女の子と比べれば十分に大きい。

*(;‘‘)*「おじさん、そこどいてー!」

ヘリカルが叫ぶ。

爪;'ー`)「いいとこに!
     ドクオー! 二人を捕まえてくれー!」

同時に、男も叫んだ。
ヘリカルは目を見開く。

*(;‘‘)*(仲間?!)

変態ロリコンおじさんというのは、単体で出るものではなかったのか。
まさか、仲間がいるとは想定外だ。

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:16:25.42 ID:dteTPVlX0
  
('A`)「お前、何遊んでるんだよ」

前方の男が呆れたような声を出し、腰を軽く屈めた。
二人を受け止めるつもりなのだろう。

*(;> <)*「ここまで、なの……?」

⌒*リ´;-;リ「ヘリ、カルちゃん……」

彼女達の顔が絶望に染まる。
まさか、新しい一年と同時に、人生を転げ落ちるとは思ってもいなかった。
二人の脳裏に、両親の顔や友人達の顔が駆け巡る。
もう会えないかもしれない彼らの笑顔が、何故か懐かしく思えた。

*(。‘‘)*「リリちゃん、私、この手は離さないよ」

立ちふさがる男までは、まだ少し距離がある。
ヘリカルはリリの手をギュッと強く握った。

⌒*リ´;-;リ「リリも、離さないよ。絶対に」

二人の瞳には決意の色があった。
この先、何があっても互いを守る、という。


('A`)「しっかし、ヘリカルちゃん、大きくなったなぁ」

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:18:30.00 ID:dteTPVlX0
*(‘‘)*「え?」

⌒*リ´・-・リ「え?」

二人の足が止まる。

爪;'ー`)「おー。やっと止まってくれたかぁ」

そして男が追いつく。

*(‘‘)*「……なんで、私の名前、知ってるの?」

('A`)「え?」

ヘリカルの質問に、男がきょとんとした表情を浮かべた。

爪;'ー`)「やっぱり覚えてなかったかー」

追いついてきた男は額に手をあて、少し悲しげな声をあげる。
そして、気を取り直すように笑顔を見せ、ヘリカル達の隣に膝をついた。

爪'ー`)「オレは、ヘリカルちゃんの叔父。
    西湖フォックス。最後に会ったのは幼稚園に入ったときだったもんなぁ。
    覚えてなくてもしかたないよなぁ」

*(‘‘)*「え……」

⌒*リ´・-・リ「あら」

*(;‘‘)*「うっそおおおお!!」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:37:25.29 ID:dteTPVlX0
  

('、`*川「で、ごめんなさいは言ったの?」

*(;‘‘)*「……うん」

あの後、ヘリカルはリリと別れ、フォックスともう一人の叔父であるドクオと共に伊藤家へと帰ってきていた。

(*'∀`)「まあ、しかたないよ。
    覚えてもらえてるって思ったコイツが馬鹿なんだから」

爪;'ー`)「うっせ。こんなイケメンを忘れてるなんて思わないだろ」

(*'∀`)「弟が結婚してるのにまだ独身のままのイケメンですか」

爪#'ー`)「てめぇもまだ独身だろーが」

二人はヘリカルの父の兄弟なのだという。
兄のフォックスと弟のドクオ。どちらもヘリカルの記憶にはない。

( ´∀`)「兄さん、すまんモナね。
      ご近所さんの誤解はちゃんと解いておくモナ」

爪;'ー`)「ああ、それは頼む。本当に。
     オレ、これから弟と、その嫁さんの顔見にこれなくなっちゃう」

*(;‘‘)*「あの……。本当にごめんなさい」

ヘリカルは改めて頭を下げた。

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:39:46.70 ID:dteTPVlX0
  
自分の勘違いと、それによって出た言葉が、相手の社会的地位を貶めることになるのは漠然とわかっていた。
とてつもなく悪いことをしたのだろう、とも思っているのだ。

爪'ー`)「いや、いいよ。
    認めるのはムカツクけど、ドクオの言ってることも正しいし」

('A`)「そうそう。むしろ、知らない人についていかない、関わらないって、正しい防犯方法だしね」

成人男性の大きな手が二つ、ヘリカルの頭に乗せられた。

('、`*川「でも、元はと言えば、ヘリカルが帰ってこなかったのが悪いのよ」

一人、母だけは厳しい顔を崩さない。
そもそも、何故フォックスがあの公園に現れたのかといえば、いつまで経っても帰ってこないヘリカルを迎えに行くためだったのだ。

おそらくはリリと共にお喋りに夢中になっているのだろう、と母は心配していなかったのだが、
久々に姪と会えると楽しみにしていたフォックスとしては、一刻も早く顔を見たかったのだ。
そこで、共にいるであろうリリの分もお年玉を用意し、
滅多に会えない分の株上げもしておこう、と欲を張ったのがヘリカルの勘違いを加速させる原因となってしまったのだ。

*(;‘‘)*「はい……」

ヘリカルは素直に自分の非を認め、叔父二人に撫でられながらうな垂れている。

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:40:58.68 ID:dteTPVlX0
  
('、`*川「反省してる?」

*(;‘‘)*「してます」

母は笑う。


('ー`*川「それじゃ、叔父さん二人から貰ったお年玉は、ぜーんぶお母さんが預かりますからね」


*(;‘‘)*「えええ!
     それは酷いよぉ!」

ヘリカルの悲痛な叫び声と共に、男三人分の笑い声が西湖家に響いた。


こうして、子どものお年玉は、親に奪われていくのであった。




お年玉の行方のようです
                おわり

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:41:47.45 ID:dteTPVlX0
以上
猿が手ごわくてビックリした

使用お題
>>95,97
*(‘‘)*+「あけおめ」
爪'ー`)+「ほーらお年玉だ」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/12/30(月) 23:44:28.30 ID:dteTPVlX0
待って
ヘリカル「あけおめ」言ってない
リリに「あけおめ」って言わせるつもりだったのに書いてない
お題くれた人すまん本当にごめん


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