422 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:22:35 ID:NUNCIp6I0

('A`)「……」

 八月二十四日。
 高校二年、夏休みの最終日。

 晩夏の気配が漂う、夕暮れ時の畦道を散歩していたら見つけた、小さな廃墟。

 朽ち果て、赤茶けた、小屋のような廃墟。
 そこにあったぼろぼろの机には、あるノートが放置されていた。

 この場所にまったく似つかわしくない、真新しいノート。
 表紙には「夏泊」と書かれている。


('A`)(あの場所の……?)

 表紙を捲る。

 書かれていたのは、いくつかの名前と――。

423 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:23:19 ID:NUNCIp6I0

('A`)「!?」

 そこで異変に気付く。
 さっきまでと、空気が違う。

 思わず後ろを振り向くと、そこには。


(;'A`)「……は?」

 抜けるような青空と、風に揺れる緑の田園が、どこまでも広がっていた。

424 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:24:08 ID:NUNCIp6I0

 * * *


( ^ω^)「お? 明日も夏休みじゃないかお」

('A`)「いや……え?」


 * * *


 そこには理想の景色があった。


 * * *

425 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:25:02 ID:NUNCIp6I0

('A`)「出られない?」

ξ゚听)ξ「土砂崩れで道が塞がってるの。だから駅に電車も来ない」

( ^ω^)「それでも夏は大好きだから、近くの海とか山に行って存分に楽しむお!」


 * * *


 閉ざされた、夏色の町。


 * * *

426 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:26:35 ID:NUNCIp6I0

川 ゚ -゚)「なぜ君がこんな所に?」

('A`)「俺が聞きたいよ。二日もここにいるけどな、全く分からん」

川 ゚ -゚)「私は三布町にいたはずだ。どうやったら帰れるんだ? 明日は学校だぞ」

('A`)「明日は? え、もう始まってるんじゃないのか?」

川 ゚ -゚)「今日は八月二十四日。夏休みの最終日だろう」

(;'A`)「んなバカな……!」


 * * *


 永遠に変わらない。


 * * *

427 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:27:21 ID:NUNCIp6I0

(´・ω・`)「君は、存在の証明について考えた事があるかい?」

('A`)「あんまり無いな。それより誰?」

(´・ω・`)「あー……じゃあ、ショボンでいいよ」

('A`)(じゃあって何だよ……)


 * * *


 綺麗なままの世界。


 * * *

428 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:28:07 ID:NUNCIp6I0

川 ゚ -゚)「どうしても行くと言うのか。どうなっても知らないぞ」

('A`)「分かってる。でも行くよ」

川 ゚ -゚)「どうしてだ? どうして他人の為にそこまで出来る?」

('A`)「どんなに頑張っても、手足をばたつかせても――誰にも認めてもらえない寂しさを、俺は知ってる。
   一人きりで、誰にも気付いてもらえない辛さを、俺は知ってるんだ」


 * * *

429 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:29:08 ID:NUNCIp6I0

 * * *


 『もし出来るのならば、


 * * *


「ブーンという生徒は存在しません」


 * * *


 全ての景色を夏に閉じ込めてみたい。


 * * *


川 ゚ -゚)「いや、ツンは……」

430 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:29:55 ID:NUNCIp6I0

 * * *


 そこには。


 * * *


( ・∀・)「そうだよ。僕があのバトンを受け取った」


 * * *


 僕の望む世界が、


 * * *


( ^ω^)「僕は僕だお?」

431 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:30:54 ID:NUNCIp6I0

 どこまでも広がっているはずだから』


 * * *


('A`)「まだ学校には来ないって言っておくよ。俺の夏休みは、まだ――」








     ('A`)の夏休みは終わっていないようです

432 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:31:58 ID:NUNCIp6I0
 * * *


「……本当にこれで良かったのかい?」

「……」

「ドクオ君、凄く怒ると思うよ」

「……」

「まあ、君が望んだ通りにすればもうここには……それに、僕らも……」


 * * *

433 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:32:45 ID:NUNCIp6I0
 * * *




 空を見上げなければ、星の輝きを知る事は出来ない。




 * * *

434 名前:名も無きAAのようです :2012/08/12(日) 18:33:45 ID:NUNCIp6I0






     「タビと道づれ」アニメ化後に公開予定!





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