400 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:26:45 ID:igDqTG8M0
『おいしい? ギコくん』


『あぁ、うまい』

『しぃが作る料理はどんな一流シェフが作る料理よりも最高だな』


『もう、大袈裟だよ』

『でもありがと、ギコくん』


『そうだ、それと今度の週末、久しぶりに休みがとれそうなんだ』

『久しぶりにどこかに出かけないか』


『ほんと?』

『だったらわたし、海がいい!』


『いいのか?そんな場所で』


『うん、わたし海好きだもん』

『それにね、海を見てると世界ってすごく広いなーって思うの』

『こんなに世界って広いのに、ギコくんと出会えて幸せだなって』


『お前は昔から、よくそんな小恥ずかしいセリフを言えるよな』


『それはギコくんだってお互い様だよ?』


『・・・そうだな』

『じゃあ週末は海に行こう』


『やったぁ!』

『えへへ、ギコくん。大好きだよ』



401 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:28:18 ID:igDqTG8M0
(,,-д-)「ん・・・、しぃ・・・」

(,,-д゚)「・・・しぃ?」


(´・ω・`)「おはようございます、猫目さん」

(´・ω・`)「体調はいかがですか?」

(,,゚д゚)「あ・・・」

(´・ω・`)「そうですよね、突然ですいません」

(´・ω・`)「まだ状況が飲み込めませんよね」

(´・ω・`)「私は医者をやっております、垂眉ショボンと申します」

(´・ω・`)「3日前、猫目さんは車整備のお仕事中に突然倒れ、こちらの病院に

(,,゚д゚)「いや、いい。思い出した」

(,,゚д゚)「ただの過労だろ? 」

(,,゚д゚)「3日も倒れてちゃ工場が潰れかねん。いつ頃退院できるんだ?」


402 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:29:21 ID:igDqTG8M0

(´・ω・`)「・・・早くても1ヵ月」

(´・ω・`)「長くて1年でこの病院から出られると思います」

(,;゚д゚)「1年!?」

(´・ω・`)「猫目さん。冷静に聞いていただけますか」

(´・ω・`)「あなたがここに運ばれてきた時、血液中の尿酸値や電解質が異常に上昇していました」

(´・ω・`)「倒れる前、体調不良などはありませんでしたか?」

(,,゚д゚)「あぁ、体が重くて微熱があったな」

(,,゚д゚)「でもあれはちょっと疲れてただけだろう」

(´・ω・`)「いえ、それは血中の毒素が増えていたせいです。意識を無くしたのもそのせいですね」

(´・ω・`)「猫目さん。検査の結果、あなた腎臓に腫瘍が見つかりました」

(,,゚д゚)「・・・」

(,,゚д゚)「そういう宣告って、もう少しオブラートに包むもんだと思ってたが」

(,,゚д゚)「それで?」

(´・ω・`)「細胞診の結果が出ておりませんので悪性かどうかはまだ分かりませんが」

(´・ω・`)「肺とリンパ節にも転移が見つかりましたので、恐らく悪性腫瘍でしょう」

(,,゚д゚)「それで、治療は?治療中も仕事はできないのか?」


403 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:30:24 ID:igDqTG8M0

(´・ω・`)「お仕事はお辞めになられた方がよろしいかと思います」

(,,゚д゚)「それはどういう?」

(´・ω・`)「全身に転移してしまった癌は外科的に取り除くことが困難です」

(´・ω・`)「内科的、分かり易く言えば抗がん剤で治療を行うことになるのですが」

(´・ω・`)「抗がん剤は副作用が強く、治療中はほとんど寝たきりの状態になります」

(´・ω・`)「それに腎機能が弱くなっていますので、持続的に血液浄化をしないといけません」

(,,゚д゚)「そうか」

(,,゚д゚)「先生、1ヵ月から長くて1年で退院できるといったな」

(´・ω・`)「・・・えぇ」

(,,゚д゚)「退院後はすぐに仕事に復帰できるのか?」

(´・ω・`)「いえ、元に戻ることは難しいでしょう」

(,;゚д゚)「は? それはどういう・・・後遺症が残るのか?」

(´・ω・`)「先ほど申し上げた期間は、猫目さん」

(´・ω・`)「あなたの余命です」


404 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:31:52 ID:igDqTG8M0


『うるせぇ! 俺が何しようが勝手だろうが!』


『ダメだよギコくん!』

『そんなにお酒飲んだら死んじゃうよ!』


『・・・なんだ』

『お酒をやめたらお前が俺を殺してくれるってのか?』


『えっ』


『そっか、お前も俺のこと気に入らないんだな』

『邪魔だと思ってるのか?』

『どいつもこいつも、俺が死んでほしいんだ』

『今まで俺をだましていたんだな!!? そうなんだ『違う!!!』


『・・・っ』


『ギコくんは何があってもギコくんのまま』

『わたしはギコくんに何があっても、ずっと味方のままだよ』




405 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:33:16 ID:igDqTG8M0
(,;-д-)「しぃ・・・」

(,;゚д-)「・・・あぁ、またか」

(,,゚д゚)「結構つらいもんだな抗がん剤、ドラマで見るのとは大違いだ」


( ^ω^)「おいすー」

(,,゚д゚)「あぁ、内藤さん」

(,,゚д゚)「お見舞いならノックくらいしたらどうっすか」

( ^ω^)「いやいやお見舞いだなんてw」

( ^ω^)「可愛い部下が死にかけなのを目に焼き付けに来ただけだおww」

(,,゚д゚)「治ったら真っ先にぶん殴りに行ってやる」

( ^ω^)「お土産のフルーツ。ここにおいておくお」

(,,゚д゚)「あっ、わざわざ気を遣わせてすんません・・・」

(,,゚д゚)「ってこら、話を紛らわせるな」


( ^ω^)「・・・」

( ^ω^)「猫目、余命宣告されたんだって」

(,,゚д゚)「・・・はい」

(,,゚д゚)「でも治療がよければ治る可能性もあるって」

(,,゚д゚)「忙しいのに仕事ほったらかしにしてすいません」

( ^ω^)「おっおっ、お前はそんなこと心配しないで自分のことだけ心配してればいいんだお」

( ^ω^)「お前がいなくても俺たちじゅーぶんに優秀だからなwwww」

(,,゚д゚)「ナースコールボタン押して追い出すぞピザ」

406 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:34:48 ID:igDqTG8M0
( ^ω^)「そうそう、治療費だけど会社名義で少し振り込んでおいたお」

(,;゚д゚)「は!? 一体なにして」

( ^ω^)「社長さんがそうしろって言ったんだお」

( ^ω^)「猫目、お前どれだけ給料をもらおうが必死に働き続けていただろう」

( ^ω^)「理由は聞かないお。でも、お金に困ってるんだったらもう少し周りに頼ってもいいんじゃないか」

(,,゚д゚)「・・・すんません、助かります」

( ^ω^)「おっおっ」

( ^ω^)「お前とは高校からの付き合いだ、困ったときはお互い様」

( ^ω^)「ぼくがパチンコで負けた分は、猫目の財布から補充させてもらうおww」

(,,゚д゚)「ピザの具材にすんぞゴラァ」

( ^ω^)「じゃあ、ぼくはそろそろ仕事に戻るお」

( ^ω^)「ばいすーぼくのお財布ちゃん!」

(,,゚д゚)「二度とくんな!!!」




(,,゚д゚)「・・・」



(,,うд-)「・・・」


407 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:36:00 ID:igDqTG8M0


『飲んだ飲んだ。まともに立ってられねぇや』

『・・・あれ、いつも玄関の電気付いてんのになんで真っ暗なんだ』

『まぁいいか、冷蔵庫の中に確か昨日買ったビールが・・・』

『・・・・・・?』

『・・・しぃ!? どうしたんだしぃ!!』

『おい、誰か救急車を・・・』


408 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:36:54 ID:igDqTG8M0

(,,゚д゚)「・・・」

('A`)「採血しますね」

('A`)「ご気分は悪くないですか?」カチャカチャ

(,,゚д゚)「あんたの顔で気分が悪くなりそうだ」

('A`)「やだこの患者気分悪い、刺してやる」ブスッ

(,,゚д゚)「いや、男の看護師なんて珍しいって思ってな」

('A`)「いまどき男の看護師なんて結構普通っすよ」

('A`)「おかげで看護学科の倍率は上がるわ、国家試験の合格率は下がるわ大変だったんすから」

(,,゚д゚)「へー」

('A`)「やだ無関心」



409 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:38:21 ID:igDqTG8M0

(,,゚д゚)「あぁ、そうだ」

(,,゚д゚)「この前うちの会社から俺の治療費が振り込まれてると思うんだが、どれくらいの額なんだ?」

('A`)「あー」

('A`)「あんまりこんなこと患者に言ったら怒られちゃうんすけどね」

('A`)「給料3ヵ月分ほどらしいっす」

(,,゚д゚)「そうか・・・」

('A`)「でも猫目さんの治療だと、まだまだ足りないんじゃないっすかね」

(,;゚д゚)「なに? 総額だとどれくらいかかるんだ?」

('A`)「長期の多剤治療に放射線治療も併用してますから、1ヵ月あたりだとだいたい

(´・ω・`)「鬱田くん? 何喋ってるのかな」

(;'A`)「あっ、雑談ですよショボンさん」

(´・ω・`)「今夜は楽しみだなぁ、仕事終わったら呑みにでも行こうか」

(;-A-)「まじ勘弁してください・・・」


411 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:40:23 ID:igDqTG8M0


(´・ω・`)「新米君がお邪魔してたようですまない」

(,,゚д゚)「いや、大丈夫だ」

(´・ω・`)「治療費の話だね」

(,,゚д゚)「・・・」

(´・ω・`)「どれくらいの期間治療を続けるかにもよるけど」

(´・ω・`)「月に50万vip以上は見越しておいた方がいいかもしれないね」

(,,゚д゚)「・・・」

(´・ω・`)「・・・」


(´・ω・`)「この前、会社の方から少しだけお話を伺いました」

(´・ω・`)「猫目さん、お給料のほとんどを借金の返済に充てているそうですね」

(,,゚д゚)「・・・」

(´・ω・`)「抗がん剤治療はお金のかかる治療です」

(´・ω・`)「費用が払えない方向けに、抗がん剤の治療給付金を受け取れる制度があるのですが

(,,゚д゚)「いや、違う」

(,,゚д゚)「借金じゃない」

(´・ω・`)「といいますと?」

(,,゚д゚)「すまん、抗がん剤で気分が悪くなってきた」

(,,゚д゚)「先生席を外してくれないか?」

(´・ω・`)「・・・はい」

(´・ω・`)「何かありましたら全力でサポートいたしますので、またお知らせください」

(,,゚д゚)「あぁ」



(,,-д-)「・・・しぃ」


412 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:41:48 ID:igDqTG8M0


『猫目さん、あなたをしぃと会わせるわけにはいきません』


『そんなこと言っている場合か!』

『しぃはどうなったんだ、大丈夫なのか!?』


『しぃは今、集中治療室で面会謝絶ですから』

『あなたが会いたくても会えませんよ』


『馬鹿野郎! 家族が会いに行けるんだったら俺だって


『しぃを苦しめていたのはてめぇだろうが!』


『ッ』


『・・・病態が安定してきたらまた教えてやる』

『だが、もうお前にしぃを会わせるわけにはいかん』

『今日はもう帰ってくれ』



413 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:43:10 ID:igDqTG8M0

(,;-д-)「あー」

( ^ω^)「・・・」

(,;-д-)「うー」

( ^ω^)「むさ苦しい毛むくじゃらの男が、そんな声出したって誰も萌えないお」

( ^ω^)「あっww もう毛むくじゃらじゃなくなったんだっけwww」

(,;゚д゚)「なんで昼間っからいんだよ内藤さん」

(,;゚д゚)「仕事クビになればいいのに」

( ^ω^)「おっおっ、今日は有給休暇だお」

( ^ω^)「あとクビになると食費が払えなくなるからそれは無理」

(,,゚д゚)「だから太るんっすよ」


( ^ω^)「・・・なぁ、猫目」

(,,゚д゚)「?」

( ^ω^)「ぼくが今の工場勤めを誘った時に付き合ってた子、最近どうしたんだお?」

(,,゚д゚)「・・・」


415 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:44:29 ID:igDqTG8M0

( ^ω^)「高校でもずっと一緒にいたけど、もしかして別れたのかお?」

(,,゚д゚)「・・・あー、そんな感じっすね」

( ^ω^)「嘘つけ、棒読み感はんぱなかったお」

(,,゚д゚)「いや本当ですよ」

(,,゚д゚)「俺が職に就いてない間、ちょっと荒れちゃいまして」

(,,゚д゚)「そんで見切られちゃいました」

( ^ω^)「そうかお」

( ^ω^)「あんなに仲が良かったのに、別れてしまうなんてこともあり得るのかお」

(,,゚д゚)「突然そんなこと聞いて、どうしたんすか?」

( ^ω^)「お?なんでもないお」

( ^ω^)「この前知り合った女の子がしぃちゃんを少し知っていたってだけで・・・」

(*^ω^)「別に、ぼくが人生で初めてその女の子と付き合い始めたのを自慢しに来たわけじゃなぁいお」

(,,゚д゚)「あーこのスーパー巨乳男児、早く帰んないかなー」



416 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:45:27 ID:igDqTG8M0

『先生、しぃはどんな状態なんですか?』


『申し訳ありません』

『ご家族から他言無用でお願いしますと言われておりまして』


『頼む、状態だけでいいんだ』

『教えてくれ、しぃは助かるのか?』


『・・・今のところ先行きは分かりません』

『意識が回復するかもしれませんし、ずっとこのままということもあり得ます』

『それに治療には多額の費用もかかります』


『そう・・・そうですか』



417 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:47:11 ID:igDqTG8M0

(´・ω・`)「猫目さん、気分の方はいかがでしょうか」

(,,゚д゚)「すこぶる悪い」

(,,゚д゚)「この口のマスク、外してくれないか」

(,,゚д゚)「目も乾燥するし、口がかゆくてしょうがない」

(´・ω・`)「申し訳ありません、それは我慢してください」

(,,゚д゚)「だよなぁ」


(´・ω・`)「そうそう、猫目さん」

(´・ω・`)「今日は一つお知らせをしに来ました」

(,,゚д゚)「なんでしょう」

(´・ω・`)「検討した結果、癌の摘出手術を行えるかもしれません」

(,;゚д゚)「!?」

(,;゚д゚)「それはどういう、治るってことですか?」

(´・ω・`)「いえ、完治には至りません」

(´・ω・`)「それでも成功すれば苦痛が和らいで、ある程度は通常生活に戻ることもできるでしょう」

(,,゚д゚)「仕事にも戻れるのか?」

(´・ω・`)「リハビリが必要ですが、それも可能になります」


419 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:49:32 ID:igDqTG8M0

(,,゚д゚)「そりゃ、是非ともすぐに受けたい」

(,,゚д゚)「早く手術してくれ」

(´・ω・`)「・・・ですが、相応のリスクがあります」

(´・ω・`)「まず、手術が予定通りに成功する確率は50%です」

(´・ω・`)「ただし予定通りに成功しても、期待したとおり日常生活に戻れるとは限りません」

(´・ω・`)「それに手術は長時間かかります」

(´・ω・`)「手術中に万が一の事態が起こることも十分にあります」

(,,゚д゚)「構わん、助かるかもしれないならやってくれ」

(´・ω・`)「えぇ、それともう一つ」

(´・ω・`)「手術費用が2000万vipはかかるかと」

(,;゚д゚)「2000万・・・」

(´・ω・`)「ギコさんの私費では、かなり厳しい額になります」

(´・ω・`)「早まらず十分に時間を使って考えてみてください」

(´・ω・`)「それでは・・・」


420 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:50:48 ID:igDqTG8M0


『毎月毎月振り込んできおって、どういうつもりだあの小僧は・・・』


『償いのつもりでしょうかね』

『どうしますかお父さん? そのお金』


『ほうっておけ、あの小僧の金だ』

『どうせろくに働いたこともないだろう、汚れた金かもしれんぞ』

『しぃの治療費は俺たちだけで支払う』



421 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:52:35 ID:igDqTG8M0
('A`)「あー・・・」

('A`)「あー・・・あー・・・」

('A`)「うー☆」


('A`)「夜勤かったるいなぁ、やることがない」

('A`)「トイレ行きたいからとかでもいいから、誰かコールしてくれないかなぁ」


ピピピ… ピピピ… ピピピ…


('A`)「おっ!来た来た、510号室ね」

('A`)「今からトイレにつれていきますよー」


('A`)「失礼しまーす」

('A`)「どうなされました・・・えっ」

(,; д )フー フー

(;'A`)「ちょ、ギコさん!ギコさん!!」

(;'A`)「呼吸不全か、今から先生を呼ぶからな」

(;'A`)「ギコさん、もうちょい我慢していてくれよ!」



422 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:53:35 ID:igDqTG8M0


「しぃ」

「世界って広いんだな」

「どれだけ頑張って泳いでも、お前に近づけやしない」


424 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:54:41 ID:igDqTG8M0

(,, д )スー スー

( ^ω^)「先生、猫目はどんな状態なんですかお?」

(´・ω・`)「呼吸が不安定になっているため、気管挿管による呼吸管理に切り替えました」

(´・ω・`)「会話はできませんが、症状は安定しています」

( ^ω^)「そうですかお・・・」

(,, д )スー スー

( ^ω^)「それで、摘出手術の方は?」

(´・ω・`)「少しずつ、今も猫目さんの体力は減り続けています」

(´・ω・`)「待っても3日以内には手術を行いたいところですが・・・」

( ^ω^)「お金かお・・・」



425 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:56:05 ID:igDqTG8M0

ξ゚听)ξ「ねぇブーン、やっぱりあたしこの人知っているわ」

( ^ω^)「なんだおツン、勝手に着いてきたと思えば藪から棒に」

ξ゚听)ξ「猫目なんて聞いたことある名前だから知り合いだと思ってついてきたけど」

ξ゚听)ξ「まさかギコくんだったなんて」

( ^ω^)「知り合いかお?」

ξ゚听)ξ「知り合いも何もあたし、ずっと前にしぃちゃんからこの人へ手紙を渡されてるわ」

(,, д )スー スー

( ^ω^)「な ん で す と」

ξ゚听)ξ「一度だけお見舞いに行った時に渡されたの」

(´・ω・`)「その手紙・・・、読んでもらってもいいかな」

ξ゚听)ξ「え、えぇ」


426 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:57:57 ID:igDqTG8M0


『・・・・・・お母さん・・・?』


『・・・しぃ? しぃ!!』

『先生!しぃが!』

『よかったぁ、もうずっと目を覚まさないのかと・・・』


『・・・ギコくんは?』


『あの子はもういないわ』

『もう大丈夫。あなたはなにも心配する必要はないのよ』


『ギコくん・・・』





『ギコくん・・・!』


427 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 19:59:19 ID:igDqTG8M0

(´・ω・`)「・・・」

( ^ω^)「それは本当かお!?」

ξ;゚听)ξ「ほ、ほら。ちゃんとカードと、暗証番号も書いてあるわ」

( ^ω^)「それだけあれば十分だお、残りはぼくが貯金を叩いてどうにかするお!」

( ^ω^)「先生、手術をしてもらえますか?」

(´・ω・`)「・・・」

(;^ω^)「先生?」

(´・ω・`)「あ、うん。それだけあれば手術が行えます」

(´・ω・`)「明日の午前中までには準備をしておきましょう」

( ^ω^)「よろしくお願いしますお」

( ;ω;)「猫目を、どうか助けてやってください」

(´・ω・`)「・・・はい。任せてください」


428 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 20:00:57 ID:igDqTG8M0

(´・ω・`)(猫目さん、君はしぃさんのために頑張って生きていたんだろう)

(´・ω・`)(この話を聞いてもきみはまだ)

(´・ω・`)(まだ生き続けたいと思うかい?)

429 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 20:02:59 ID:igDqTG8M0

『海を見てると世界ってすごく広いなーって思うの』


「そうだな、すごく広い」


『こんなに世界って広いのに、ギコくんと出会えて幸せだなって』


「しぃ、もしまた会えたら」

「俺と一緒にいて幸せって言ってくれるか?」


『うん、ギコくん』

『わたしはね、ずっと幸せだったよ』

『これからもずーっと幸せだよ』




(*゚ー゚)『またね、ギコくん』


(,,゚д゚)「あぁ、またな」



430 名前:名も無きAAのようです :2015/12/06(日) 20:05:42 ID:igDqTG8M0

(,,-д-)「ん・・・、しぃ・・・」

(,,゚д゚)「・・・」

(´・ω・`)「おはようございます、猫目さん」

(´・ω・`)「ご気分はいかがですか?」

(,,゚д゚)「あぁ」

(,,゚д゚)「この光景は人生二度目だ」

(,,゚д゚)「先生、俺は生きてるんだな」

(´・ω・`)「手術は無事成功しました」

(´・ω・`)「リハビリを重ねれば、1ヵ月経たずとも仕事にも復帰できますよ」

(,,゚д゚)「そうか」

(,,うд゚)ゴシゴシ


(,,゚д゚)「先生」

(´・ω・`)「はい?」

(,,゚д゚)「助けてくれてありがとうな」

(´・ω・`)「いえいえ。命が助かってよかったです」

(´・ω・`)「命を助けるのが、医者の仕事ですから」



おしまい


戻る




inserted by FC2 system