- 53 名前:名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 02:29:19 ID:M9JAjegk0
- 吹き荒れる暴風の中、傷だらけの体に鞭打って、立ち上がった。
意識は朦朧としている。
死の風が吹き荒れるこの空間では、立ち上がることがやっとだろう。
何もできないまま、ここで、このまま終わるのかもしれない。
――何のために俺は生まれたのか。
前を見据える。嵐の中心には、黒い騎士の姿。
「――――。」
騎士が言った。暴風に遮られ、声は聞こえなかった。けれども、何を言ったのかは痛いほど解った。その言葉は、痛いほどに自身の胸へと突き刺さった。
――何をして俺は生きるのか。
痛い。体が、そして、何よりも心が悲鳴を上げている。
分からない。何を答えればいいのか、分からない。
もとより、そんなものなど自分には無かったのか。
――答えられないまま、終わる。
――違う。
- 54 名前:名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 02:30:41 ID:M9JAjegk0
- 拳を握り締めた。もう一度、漆黒の騎士と対峙する。答えは確かにそこにあった。
今まで気付くことは出来なかった。けれども今ならば解る。
('A`)「……そんなのは、嫌だ。」
( ゚д゚)「そうか。」
騎士がゆっくりと、夜色の槍を前へ突き出す。
それに呼応するように、自身も剣を突き出した。
黒の騎士から静かに闘気が吹き上がる。静かでいて、どこか荒々しい。
この騎士は、怒っていた。絶望していた。
その悲しみを、内に眠る静かな怒りを、この騎士は全てぶつけようというのだ。
――騎士が静かに構える。
( ゚д゚)「ならば、語ろう」
('A`)「……ああ」
構えはない。全て砕け散った。
あるのは傷だらけの鎧と剣。俺が最初に見た輝きはもうない。
あるのはただ、これまでの戦いの軌跡。俺が今まで出会った人々の足跡だけだ。
黄金の輝きは消え失せた。残ったのは――。
- 55 名前:名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 02:32:19 ID:M9JAjegk0
- 今まで漠然としたもののために、この身を捧げてきた。
人々の平和を守る、そんなバカみたいなことのために、この身を血で染めた。
結果的には無駄だったのだが。
残ったのは無残な結果。
俺が守ろうとしたものは、既に壊れていたのだ。
――人々は、壊れていたのだ。
俺は戦う意味を失った。
( ゚д゚)「では、何故戦う。今のお前は空っぽ、粉々に砕け散り、中身も全て消え去った、ただの残骸だ」
- 56 名前:名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 02:33:14 ID:M9JAjegk0
- ――しょうがない奴だお……。いつまでその幻想に縛られるつもりだお……?
――全員守る? 俺には一人の笑顔を守るだけで手一杯だね。
ふと蘇る、そんな言葉。
誰が言ったのか、今はもう思い出せない。
それでも、その言葉だけは覚えている。
その信念だけは刻まれている。
絶望に生きる人々? そんなもん知るか。勝手に死んでろ。
頑張らないで、最初から諦めてる奴を救うなんて、俺は御免だね。
( ゚д゚)「ならば、何故」
一生懸命戦って、苦しんで、足掻いた人々。
それが報われないはずがない、報われないわけがない。
今なら――。
俺が何のために戦うのか。
――俺が守るのは、未来だ。
――俺が通すのは、ただのエゴだ。
俺には誰も救えない。誰も守れない。
けれども、共に戦うことぐらいは出来る。
肩を並べて、共に歩んでいくことは出来る。
- 57 名前:名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 02:36:49 ID:M9JAjegk0
- ( ^ω^)「遅いお」
( ゚∀゚)「遅かったじゃねえか」
かつて、己の信じたものを、大切なものを守るために殉じた友が、呟くように言った。
「ワリィ……遅れた」
- 58 名前:名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 02:37:30 ID:M9JAjegk0
自身の意志を、答えを、覚悟を乗せ――剣を、自身の信念を掲げた。
――迷いを、絶望を断ち切った。
意味不すぎて放置。誰か俺の絶望を断ち切って。
- 59 名前:>>58 ミス :2013/01/23(水) 02:38:23 ID:M9JAjegk0
- ('A`)「そんなの、俺のために決まってんだろ」
自身の意志を、答えを、覚悟を乗せ――剣を、自身の信念を掲げた。
――迷いを、絶望を断ち切った。
意味不すぎて放置。誰か俺の絶望を断ち切って。
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