- 44 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:43:12 ID:8f66oaMM0
初めて飲み会に参加する。
小説なんてまともに読んだこともない。部員とも話が合わない。
それでもサークルに顔を出し続けたのは、彼女がいたからだ。
その彼女が、遠い外国へ留学する。
彼女の送別会が行われると聴いたのは、偶然だった。
酒は飲めない。親しい友人もいない。けれど、ぼくは参加した。
もう二度と彼女に会えないかもしれない。そう思うと、動かずにはいられなかった。
彼女は人気者で、ぼくはいつも、周りから眺めているだけだった。
男女は問わない。彼女の周囲には、自然と人が寄ってくる。今日もそうだった。
これでは何も変わらない。そう思っても、どうしていいのかわからない。
何時間経過しただろうか。だれかが、お開きにしようかと言い出した。
間延びした空気のまま、だらだらと解散する流れになっていく。
彼女の周りに群がっている人々も、別れの言葉を口にしだしていた。
このままでいいのか。
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- 45 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:43:33 ID:8f66oaMM0
ぼくは、大ジョッキに並々と注がれたビールを片手に立ち上がった。
テーブルに足を乗せた。踏み鳴らした音が、店一杯に広がった。
( ゚ω゚)「不肖ブーン! イッキします!」
ジョッキを一気に傾ける。胃液のような臭いに頭が痛くなる。
とにかく口に流し込んだ。顔にも首にも、飲みきれなかったビールがこぼれた。
逆流しかけたものも一緒に消化し、とにかくジョッキは空になった。
音が遠い。色がない。立っているのもままならない。
その中で、ぼくは彼女を見つけた。空のジョッキを、放り投げた。
( ゚ω゚)「ツン!」
ぼくは彼女を指差した。
有象無象の視線が集る。そんなものは物の数に入らない。彼女しか見えない。
彼女がぼくを見ている。ただ、ただ、彼女の瞳を見つめる、それだけしかなかった。
( ゚ω゚)「ぼかぁっ、きみがあっ! すきだあっ!!」
世界が傾いた。傾いて、傾いて、倒れて、閉じた。
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- 46 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:43:57 ID:8f66oaMM0
眼が覚めると、彼女の顔が目の前にあった。
怒った顔をして、ぼくを見ていた。ぼくは膝枕をされていた。
( ゚ω゚)「すきです」
なぜだか。
( ;ω;)「付き合ってください」
涙が溢れてきた。
ξ )ξ「バカ」
彼女の声はふるえている。
ξ )ξ「私だって、私だって――」
水滴が、ぼくの顔に降ってきた。
ξ;ー;)ξ「私だって、すきです」
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- 47 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:44:21 ID:8f66oaMM0
ぼくたちは、また会うことを約束した。
どんなに時間が経とうとも、絶対に、お互いのことを忘れないと誓って。
しかし――
再会のときは、思いの外早く訪れた。
最悪ノ 形デ
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- 48 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:44:37 ID:8f66oaMM0
闇夜に浮かぶ紅き双眸。腐った臭い。
千切れ飛んだ腕、脚、頭。異形の、怪物。
(;゚ω゚)「ツン、なのかお……?」
――あなたのなかに わたしはいるの
(´・ω・`)「この色も、感触も、世界のすべては擬自化した現象によって成り立っている」
毎夜繰り返される殺人事件。
凄惨な現場。こびり付いた血糊。奇妙な、噂。
( <●><●>)「検死の結果、遺体は食い千切られたことがわかりました」
(,,゚Д゚)「食い千切られただぁ?」
( <●><●>)「はい。ただし、内部から、ですが」
――わたしのなかに あなたはいるの
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- 49 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:44:52 ID:8f66oaMM0
――わたしはあなた
変貌していく街、人、世界。
(;・∀・)「溶けるんだ、溶けていくんだよ。僕の手が、体が。もう、しゃべ、る、の――」
欠けていく月。明けない夜。濁りだす、海。
(´・ω・`)「もし仮に、今ある己を剥ぎ取られたら、世界には何が残るだろう」
从;Д从「いやあ! 出さないで! やだ、産まれるのやだあっ!」
知恵以前へ還るもの。
(-_-)「世界は差別と偏見で満ち満ちていました。……今のほうが、よっぽど平等だよ」
知恵より先を目指すもの。
(´・ω・`)「前提に立脚した“我々の現実”が、“彼女の妄想”に蝕まれていく」
(; ∀ )「信仰するんだ信仰だ信仰しないと信仰すれば信じれば信じれば信じないと信じないと――」
――あなたはわたし
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- 50 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:45:30 ID:8f66oaMM0
――あなたはあなた?
空の光は飲み込まれ、地にはアリスが満たされる。
('ー`*川「すきだって気持、いつまでも忘れちゃだめよ?」
从;Д从「お゛か゛あ゛さ゛ん゛! お゛か゛あ゛さ゛ん゛!」
黒き獣の咆哮が、彼女の眠りを呼び覚ます。
そして――
(´・ω・`)「彼女が、来た」
――わたしは――
(;゚ω゚)「ツンはツンだお! しっかりするお、ツン、ツゥゥゥンっ!」
ξ; )ξ「いやだ、こんなの、どうしよう、私、だって、ブーン、ブーン――」
ξ; )ξ「助ケテ、ブーン、助ケテ、私――」
( )「ワタシ――」
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- 51 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:45:42 ID:8f66oaMM0
ブーンヲ 殺シタイ
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- 52 名前: ◆y7/jBFQ5SY :2011/01/31(月) 00:46:08 ID:8f66oaMM0
妄想
アリスの
アリスワークス
コノ物語ハ
公開ナンテ
サレナイ
ヨウデ
ス
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