- 658 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:19:21 ID:.txmPNuY0
-
○登場人物と能力の説明
( ^ω^)
→この世界の 『作者』 。
(゚、゚トソン 【暴君の掟 《ワールド・パラメーター》 】
→ 『選択』 を自称する少女。
.
- 659 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:20:08 ID:.txmPNuY0
-
◆ 第四十三話 「vs【暴君の掟】V」
「原作最強」 を言わしめた【夢幻の被写体】ではあるが、
しかしそれは 「必ず勝つことができない」 という点において
「最低でも引き分け以上には持ち込める」 からこそ 「最強」 なのだ。
内藤は【夢幻の被写体】とは別にもう一人、 「原作」 における 「最強」 を認めていた。
もっとも、いまとなっては 「原作」 の範疇には属さなくなっているのだが――
ジョルジュ=パンドラの持つ【未知なる絶対領域 《パンドラズ・ワールド》 】。
あらゆる法則や因果から矛盾し、独立された存在。
質量の持たない物質を操ることができるその 《特殊能力》 は、確かに 「ありえない」 ものであった。
物を殴ったときに拳が痛みを感じるのは、対象が少なからず質量を持ち合わせているからである。
どのような虫を殴ろうがはたこうが蹴ろうが、その虫の持っていた質量が、該当箇所に感触という抵抗を与える。
だからこそ、その虫を殺そうと考えた人はなんらかの認識を得ることができるというものなのだ。
その質量を、完全に消した。
つまり、 「絶対という言葉は絶対存在しない」 というパラドックスを打ち破る、唯一にして絶対の存在なのである。
.
- 660 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:20:41 ID:.txmPNuY0
-
たとえば、戦闘力が最強と設定付けられていたゼウスと対峙したら、どうなっていただろうか。
もし、互いが本気でぶつかり合ったとするならば、勝敗は出会った瞬間に決していた。
ジョルジュがゼウスを 『パンドラの箱』 に閉じ込めれば、あとは何らかの形でゼウスは抵抗なく死ぬしかなくなるのだ。
取り入れることのできる酸素がなくなり、絶命。
何らかの精神的異常が発生して、絶命。
寿命が訪れて、絶命。
自決。
――確実に相手を絶命させることができる、わけではなく、その前に自分が別の要因で死ぬかもしれない。
『パンドラの箱』 から抜け出す能力が存在するかもしれないし、
そもそもジョルジュの洞察力と瞬発力を総合的に上回る敏捷性を持つ者が相手ならば必ず勝利になるとは限らない。
そういった意味ではやはり【夢幻の被写体】が最強となるのだろう、内藤はそこを考慮したのかもしれない。
問題は、
なにがどうであれ、
ジョルジュも強い、ということだ。
―――トソンが圧縮された時間のなかからジョルジュの研究所を見つけたとき。
その時間におけるジョルジュは、その 「強さ」 から信憑性を根こそぎ奪いかねない恰好で倒れていた。
それも、どこかで見覚えのある少女と一緒に。
.
- 661 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:21:13 ID:.txmPNuY0
-
最初に気づいたのは内藤だったが、しかし状況に希望は見出せなかった。
内藤の読んだとおり、ハインリッヒが会っていた 「医者」 とはジョルジュであった。
例によってジョルジュは白衣を纏っていたが、その白衣の大部分を占めていた色は赤だった。
引き裂かれたりした跡はないのだが、巨大なもので殴られた痕がところかしこに見受けられた。
とても人間の拳で殴られたとは思えない、その打撲痕。
『開闢』 という自警団においてゼウスと常に同じ次元に立っていたこの男の息が浅いのを見ると、
その打撃の威力はよほど深刻なものと見ても間違いはないだろう。
ハインリッヒもハインリッヒで、同様のダメージが見受けられた。
彼女の場合、体躯はジョルジュよりかなり小振りなものの、彼女には【正義の執行】がある。
「主人公補正」 が、それも今となってはゼウスを大きく上回るほどに付加されたそれがあった筈である。
しかし、それでもなお、ジョルジュと何ら変わらぬダメージが察せたことに、内藤は驚きを禁じ得なかった。
なんとかして起こしてやろうと試みるが、今までの戦いでもなかなか
見られなかったそのダメージ量を前に、内藤はどうすればいいかがわからなくなった。
そもそも、今まではゼウスの屋敷にあった謎の液体によって治癒されていたのだ。
そのゼウスが協力を引き受けてくれない今となっては、もはや手の打ちようはない。
抱えていたハインリッヒの躯をゆっくりと再び地に委ねて、内藤は立ち上がった。
顔には困惑と動揺と不安の色がびっしりと塗りたくられていた。
( ;^ω^)「………うええ……。」
( ;^ω^)「なんで……こいつらが、え、……。」
( ;^ω^)「この世でもっとも負荷を受けづらい筈の二人なのに……」
( ;^ω^)「まさか……もう、 『選択』 が………?」
.
- 662 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:22:03 ID:.txmPNuY0
-
(゚、゚トソン「内藤、こっちだ」
( ;^ω^)「あ、トソ……、……え、いまなんて呼ん――」
内藤が呆然と立ち尽くしていると、研究所の奥のほうからトソンが歩いてきた。
無愛想な顔つきのまま、カツカツと音を立ててこちらにやってくる。
そして、内藤の反応は気にも留めず、ジョルジュとハインリッヒを両肩にそれぞれ担いだ。
細腕にして人間二人を何となしに担ぐのに一瞬戸惑ったが、
そもそもこの 『世界』 にはそのような奴らしかいなかったな、と内藤は自己解決した。
そんなどうでもいい戸惑いがために、内藤は本来の聞くべきことを一瞬聞きそびれた。
ツカツカと再び奥のほうへ歩いていくトソンを追いかけ、内藤は声をかけた。
( ;^ω^)「なにかあったのか?」
(゚、゚トソン「……ん。」
( ^ω^)「…?」
.
- 663 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:22:35 ID:.txmPNuY0
-
トソンが先に、遅れて内藤が足を踏み入れたその部屋は、ほかとは少し様子が違っていた。
寂れている景観で観葉植物すら置かれていない点は共通しているのだが、
ここには、ほかでは見られなかった水槽らしき装置が並べられている。
内藤に訪ねられたあと、遅ればせながらにして、トソンは顎でこの水槽にコンタクトを遣った。
なかにはホルマリン漬けのそれのように液体中をぷかぷかと浮かんでいる何かが入れられているものもある。
それが人間らしき物体であることに気づいて、内藤の心臓は一瞬浮遊感に見舞われた。
が、やはりそんな内藤の動揺には目もくれず、トソンはそのうちの一つ、空いている装置のほうに足を向けた。
それを見て我に返った内藤はやはり彼女のあとを追うのだが、その最中で、内藤はあることに気づいた。
ゼウスの屋敷に治癒を施す装置があったのなら、それは同じくジョルジュの研究所にも設置されているのではないか。
『開闢』 のドクターがジョルジュだったのだから、可能性としては濃厚だろう。
だとするとこの水槽は――
(゚、゚トソン「この水……治癒効果があるみたい」
( ^ω^)「…!」
トソンがそう言うと、ふたを開けてあった二つの水槽の片方にジョルジュを、もう片方にハインリッヒを投げ入れた。
呼吸できなくなるのでは、と懸念したが、数秒経ってもなにも変化は起こらず、
それどころか、気泡が鼻から水面に向かって浮かび上がってゆく様が見受けられた。
水中で呼吸したら、それがふつうの水だったならばもがいたり溺れる筈だ。
しかしそれがなく、また二人はまだ死んでない以上、これはふつうの水ではない――治癒効果を持った液体、となるのだろう
そう考えると、トソンの言葉にも合点がいった。
.
- 664 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:23:38 ID:.txmPNuY0
-
ただそうなると、気になるのは、どうやってトソンがそれを調べたか、だ。
トソンのような聡明な者が、無鉄砲にも自らが実験台となってこの液体に浸かったとは思われない。
内藤がその点を問うと、 「そこらを走っていた鼠で試した」 と表情を変えずに言った。
さらっと言うあたりに、また躊躇をしないあたりに、 『拒絶』 の面影が感じ取れた。
こぽこぽと気泡の成す音が聞こえる。
その間、内藤とトソンの間には痛いほどの沈黙が綴られた。
トソンはどうとも思っていないのだが、内藤にとってはあまりにも気まずすぎる沈黙だ。
二人に共通する話題―― 『選択』 のことについて何か話そうと思ったりもしてみたが、
トソンの性格を考えると、一言二言交わしただけで終わるな、と思い、できなかった。
トソンの思考には、今一ついていけないところがある。
それは、 『拒絶』 の一員だったところを踏まえればむしろ納得がいくのだが、
「 『拒絶』 でないのに 『拒絶』 と一緒にいた」 ことや 「 『選択』 なのに 『選択』 の暴走を止めたがっている」 ことに、未だに合点がいかない。
それを聞くのは野暮なのであろうが、聞かなければならない。
だが、いま聞くのは難しそうにも思え、内藤はただ悶々とするばかりになった。
トソンと内藤が黙って水槽を見ていると、二人のうち片方、ジョルジュのほうに変化が訪れた。
それまで水中を漂うが如く安置されていたジョルジュが、急に動きを見せたのだ。
目をぱちりと開き、近況把握に数秒。
何者かにやられ自分がこの水槽に押し込められた、そんな一連の動きを察したのだろう。
まの抜けていた顔にとたんにジョルジュらしさが戻ってきた。
そして、
_
( ゚∀゚)「……」
水槽を思いっきり殴っては、水槽から脱出してきた。
.
- 665 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:24:12 ID:.txmPNuY0
-
そこら一帯に治癒効果を持っているであろう液体が飛散、流出する。
それにまるで気を払わず、ジョルジュは水槽から飛び出しては、地に足をつけた。
突然の行動に、トソンは無反応だったのに対して内藤は眼を丸くさせた。
その理由の一つは言うまでもなく水槽の破壊にあるのだが、
もう一つはこの短時間であの負傷が治癒されたとはとてもではないが思えなかったためだ。
大破、が似合うダメージだった。
それを、高々数分、数十分で治す効果が、この液体にあるとは思えない。
というのも、ハインリッヒのほうにはまるで回復の兆しが見えないのだ。
ジョルジュは立って、トソンと対峙する。
今にも戦闘が勃発しかねないその様子は、内藤に不安を与えた。
だが、戦闘がはじまることはなかった。
ジョルジュが、ちいさく言葉を発するだけだったのだ。
_
( ゚∀゚)「……なんでお前がここにいるんだ?」
_
( ゚∀゚)「検体ナンバーゼロ、トソン……えっと、ナントカ」
(゚、゚トソン「さあ」
.
- 666 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:24:50 ID:.txmPNuY0
-
『拒絶』 とは、ジョルジュがつくりだした存在だ。
言い換えれば、ジョルジュの知らない 『拒絶』 はいない。
だが、それでもジョルジュは、彼女のことは知らなかった。
それは、彼女がほんとうは 『拒絶』 ではなかった、ということで解決した。
だが、それでも依然、 「トソンは何者なのか」 という謎が解決できていない。
ジョルジュにとって、トソンは一番の不確定因子となるのだ。
( ;^ω^)「パンドラ!」
_
( ゚∀゚)「ん……お前もだ。 どうしてこんなところにいるんだ」
( ;^ω^)「そんなことはどうだっていいお! ……大丈夫なのか、あんた!」
「んー?」 としか、ジョルジュは返さない。
だが、そんな態度をとれているのを見れば、決して危篤にさらされているわけではないのだな、とはわかる。
その点においては安心したのだが、それでもまだ万全の状態に戻っているとは思いがたい。
内藤の懸念は、まだ取り払われることはなかった。
だが、その懸念は、驚愕へと変わった。
ジョルジュは、着ている赤みを帯びた服を白衣ごと掴んでは破り捨てた。
それはどうとも思わなかったのだが、そのあとの光景が、あまりにも異様過ぎた。
_
( ゚∀゚)「損傷……せいぜい二割程度、か」
ジョルジュの肉体が、常人のそれとは違った色彩、構造を有していたのだ。
.
- 667 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:25:20 ID:.txmPNuY0
-
( ゚ω゚)
(゚、゚トソン「……お前、 『人間』 か?」
_
( ゚∀゚)「なに?」
所々に、継接ぎに似ていなくもない大きな傷が見られる。
サイボーグが如く鉄板が貼られた場所もあるし、
その痩身に見合わない筋肉が張り巡らされている。
その肉体は、とても 「人間」 のそれとは思えなかった。
かといって、 「人外」 と呼ぶに相応しいようなものでもない。
中途半端で、また、異端で、また、狂おしくて。
内藤がジョルジュのその肉体を見て最初に思った言葉。
それと、放たれた言葉とが、完全に一致していた。
(゚、゚トソン「その、鉄板だの、手術跡だの……」
_
( ゚∀゚)「それがどうした」
(゚、゚トソン「お前……、」
(゚、゚トソン「………改造人間=c…だった、のか?」
.
- 668 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:25:58 ID:.txmPNuY0
-
「改造人間」 。
ジョルジュの容姿を一言で表すのに、もっとも相応しい言葉だった。
そして内藤は、その情報を知らなかった=B
パラレルワールドの所為だとは知りつつも、まるで疑ったことすらなかった。
立て続けに発生する驚愕に、内藤は心なしか眩暈がしてきた。
_
( ゚∀゚)「話す必要がないな」
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン「そっちの 『英雄』 よりも手っ取り早く回復したのは?」
_
( ゚∀゚)「それも話す必要がないが……お察しの通りだ」
(゚、゚トソン「改造人間……だから、治癒速度が段違い、と」
_
( ゚∀゚)「その通り」
直後、ジョルジュはトソンを 『パンドラの箱』 に押し込めた。
.
- 669 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:26:37 ID:.txmPNuY0
-
(゚、゚トソン「ふん。 へたな不意打ちね」
_
( ゚∀゚)「……ほう」
( ゚ω゚)
( ゚ω゚)「?」
――が、トソンはそれを察知して、能力の対象外の位置へ移動していた。
結果、彼女が 『パンドラの箱』 に入ることはなかった。
(゚、゚トソン「顔の筋肉の動き。 それにはまるで変化がなかった。
. ……うまいポーカーフェイスだこと」
(゚、゚トソン「でも、右腕の筋肉が、膨張した。 数ミリ分ほど。
. 例の 『箱』 をつくるための所作というか、クセなんだろうけど」
(゚、゚トソン「そんな前兆を見せるなんて、はじめっから避けてくれって言ってるようなものだ。
. あまり、私を侮らないでほしい」
トソンのスキル、【暴君の掟】によって圧縮された時間のなかで、トソンはその僅かな変化を察したようだ。
そして、ジョルジュが自分に 『パンドラの箱』 を使おうとしているのをも察して、逃げた。
おそらく、そういうことなのだろう――と、内藤は無理やり納得した。
.
- 670 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:27:19 ID:.txmPNuY0
-
_
( ゚∀゚)「なーに言ってんの。 『避けてくれ』 って言うためにわざとわかりやすくしてやったんだぜ」
(゚、゚トソン「…!」
――よけいなこと言うなお!
_ コイツ
( ゚∀゚)「ちょっと試してやっただけだ。 なるほど、 『英雄』 よりは遣えるみたいだな」
(゚、゚トソン「………そういや、そいつは」
_
( ゚∀゚)「まあ待て。 いま、治してやっから」
(゚、゚トソン「?」
そう言うと、ジョルジュはハインリッヒの入っている水槽のほうに近づき、
様々なレバーやスイッチ、モニターなどが備えられている基盤に触れた。
少しすると水槽の底から気泡が大量に溢れてきた。
地獄の釜と形容するのが相応しそうなほどには、沸騰に似たそれが数分の間続いた。
地震でも起こっているかのように、水槽をはじめこの部屋が揺れ始める。
内藤が混乱しそうになる直前で、その揺れは収まった。
いったいなにがあったのだ、と思うと、ようやく、ハインリッヒも目を開いた。
衣服の破れなどには何ら変わりが見られないが、しかし嘗て見受けられた傷は見られなくなっていた。
なにが起こっているのかわからない、把握できない。
そう言いたげな顔をしたため、ジョルジュは呆れた顔をして、その水槽を破壊した。
先ほどのジョルジュのときと同様に、液体は流れ出て、ハインリッヒも遅ればせながら水槽から出てきた。
.
- 671 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:27:57 ID:.txmPNuY0
-
从 ゚∀从「……? …?」
_
( ゚∀゚)「……治癒能力が高かったら、コレとの相乗作用で、ちゃっちゃと回復するものなんだがな」
从 ゚∀从「?」
_
( ゚∀゚)「とにかく……お前ら全員、この部屋から出て行け」
从 ゚∀从「あ、おい……」
ジョルジュが言うと、彼は一足先にこの部屋から出て行った。
残された三人も、ほかにすべきことがわからなかったため、仕方なくジョルジュの後についていった。
ジョルジュはそのまま、三人をソファーとガラステーブルのある部屋に案内した。
この研究所では似つかわしくない部屋だったため、おそらくは来客用なのだろう、とわかった。
不遜な態度でジョルジュが一人がけのソファーに腰を下ろす。
同じく、トソンも半ば不遜な態度で腰を下ろした。
内藤とハインリッヒは、なにがどうなっているのかがわからないまま、二人がけのソファーに座った。
_
( ゚∀゚)「……なにしにきた」
(゚、゚トソン「その質問に答えるためにこちらから質問をさせてもらう。
. いったい、誰にやられたんだ」
_
( ゚∀゚)「……ってことは、ある程度の予測はついてんのか?」
(゚、゚トソン「…」
.
- 672 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:28:52 ID:.txmPNuY0
-
不覚の質問にトソンは言葉を詰まらせた。
それを見て、ジョルジュはそれが肯定を意味すると確信した。
そのためか、ジョルジュは、若干苦い顔を浮かべた。
_
( ゚∀゚)「……、まあいいだろう」
_
( ゚∀゚)「別に、経緯から話す必要もないんだが、そうしたほうがよさそうだな」
(゚、゚トソン「…」
_
( ゚∀゚)「相手が何者かは、わからねえ」
_
( ゚∀゚)「だが……これだけは言える」
_
( ゚∀゚)「やつらは、 『人外』 だ」
_
( ゚∀゚)「 『拒絶』 と同様か、それ以上の……な」
.
- 673 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:29:25 ID:.txmPNuY0
-
◆
从 ゚∀从『……なに?』
_
( ゚∀゚)『お前の妹、ディ=カゲキを、俺に貸してほしい』
从 ゚∀从『……ハ?』
_
( ゚∀゚)『ディ=カゲキ。 【夢幻の被写体】だ』
从 ゚∀从『寝言言ってるつもりなんなら、許してやる』
_
( ゚∀゚)『拉致じゃなくて、あくまで平和的解決を望んでんだ。 答えろ』
从 ゚∀从『てめえ。 殺されてーか』
_
( ゚∀゚)『まあ、落ち着け。 こっちも、なにもタダでいただこうとは思っていない』
从 ゚∀从『カネで買うってか? ふざけんのも――』
_
( ゚∀゚)『ヒート=カゲキ』
从 ゚∀从『 』
_
( ゚∀゚)『やつと交換、でどうだ』
从 ゚∀从
.
- 674 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:29:56 ID:.txmPNuY0
-
_
( ゚∀゚)『単刀直入に言おう』
_
( ゚∀゚)『ヒート=カゲキの命は、俺が握っている』
从 ゚∀从『………ひー……と?』
_
( ゚∀゚)『―――あの日。 お前とゼウス、あとジジイが戦った日』
从 ゚∀从『!』
_
( ゚∀゚)『ゼウスによって、ヒートは 「爆撃」 を喰らった』
_
( ゚∀゚)『まあ、ほっとけば、死んでいただろうな』
_
( ゚∀゚)『そこを、俺が、助けてやった。 今は、後遺症まで完治させた状態で安置してある』
从 ゚∀从『………』
_
( ゚∀゚)『……どうだ? 応じるか?』
从 ゚∀从『……』
.
- 675 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:30:31 ID:.txmPNuY0
-
从 ゚∀从『いくらだ』
_
( ゚∀゚)『?』
从 ゚∀从『いくら出せば、お前は応じる』
_
( ゚∀゚)『カネなんざ腐るほどある。 欲しいのは、ディ=カゲキだけだ』
从 ゚∀从『地位か、権力でも欲しいのか?』
_
( ゚∀゚)『あいにくだが』
从 ゚∀从『………返せよ』
_
( ゚∀゚)『?』
从 ゚∀从『…………ヒートを、……返せ……よ』
_
( ゚∀゚)『だからこうして、平和的に取引を申し出てやってるんだ』
从 ゚∀从『………てめえ………ぶっ殺すぞ』
_
( ゚∀゚)『………やれやれ。 やっぱり応じてくれねえか』
.
- 676 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:31:11 ID:.txmPNuY0
-
_
( ゚∀゚)『しかたない。 この話はなかったことにするか』
从 ゚∀从『…………帰れると、思っ 』
从 ゚∀从
_
( ゚∀゚)『あー、うるせえうるせえ』
_
( ゚∀゚)『ちっくら 「箱」 のなかで黙っててもらうぜ』
_
( ゚∀゚)『マ、俺が研究所に帰ったら解放してやるよ』
_
( ゚∀゚)『俺としてもお前に死なれちゃあ困るからな』
从#゚Д从
_
( ゚∀゚)『おーおー、怒ってる怒ってる』
.
- 677 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:31:48 ID:.txmPNuY0
-
◆
( ^ω^)
(゚、゚トソン
_
( ゚∀゚)
从;゚∀从
( ^ω^)「……あの」
( ^ω^)「やっぱり、経緯はなしでいいです」
_
( ゚∀゚)「そう?」
( ^ω^)「あんたらを打ちのめした連中の話だけで」
_
( ゚∀゚)「ここからがまた長いんだけどなァ……」
_
( ゚∀゚)「……で、なんだっけか。 俺らを打ちのめした連中、の話だけでいいんだな?」
( ^ω^)「はい」
_
( ゚∀゚)「調子狂うなあ…」
.
- 678 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:32:38 ID:.txmPNuY0
-
_
( ゚∀゚)「……あのあと、俺がここについて、 『英雄』 を 『箱』 から解放した」
_
( ゚∀゚)「これからどうしようか、と考えてたら、 『英雄』 がここにまでやってきた」
( ^ω^)「!」
_
( ゚∀゚)「なんとなく、こっちだと思った≠セとよ。 ふざけてやがる」
_
( ゚∀゚)「もっとも……そこまでは、いい」
_
( ゚∀゚)「問題は、やってきたのは、こいつだけじゃなかった」
_
( ゚∀゚)「あとから、三人の女がやってきた」
.
- 679 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:33:39 ID:.txmPNuY0
-
( ^ω^)「!」
(゚、゚トソン「……女」
内藤とトソンは、その言葉に反応した。
その反応を見て、ジョルジュは更に反応した。
_
( ゚∀゚)「……で」
_
( ゚∀゚)「お前らがここにきた理由も、それか?」
(゚、゚トソン「厳密に言えば、違う。 『英雄』 に会いにきたつもりだった」
从 ゚∀从「……私か?」
(゚、゚トソン「――だが。 結果論的に言うと、理由は重なっていたようだな」
_
( ゚∀゚)「……おもしれえ。 話してくれや」
(゚、゚トソン「………かまわない、けど」
.
- 680 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:34:12 ID:.txmPNuY0
-
( ^ω^)「…」
(゚、゚トソン「…」
( ^ω^)「…」
(゚、゚トソン「…」
( ^ω^)
(゚、゚トソン
( ^ω^)「?」
(゚、゚トソン「はやくしろ」
( ^ω^)
( ^ω^)「え?」
( ^ω^)「あ、え? 僕?」
(゚、゚トソン「ほかに誰か?」
( ^ω^)「いや、その……流れ的に……」
(゚、゚トソン「……」
( ^ω^)「……」
(゚、゚トソン
( ;^ω^)「―――わァーったお! チクショイ!」
.
- 681 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:35:20 ID:.txmPNuY0
-
( ;^ω^)「えっと、どこから説明すればいいのやら」
( ;^ω^)「その、 『拒絶』 がもとは僕がつくった元ネタ、ってのはわかってるおね?」
_
( ゚∀゚)「…」
( ;^ω^)「それと、いわば同じ境遇の存在」
( ;^ω^)「あまりにも強すぎる、 『人外』 な連中」
( ;^ω^)「で…… 『運命』 を改竄する体質的なものを持ってるんだお」
( ;^ω^)「もし複数人集まったら、 『崩壊』 が起こる」
_
( ゚∀゚)「……」
( ;^ω^)「そ、そんな連中なんだお!」
( ;^ω^)「で、名前が………」
トル゚〜゚)「ワルキューレ……か?」
.
- 682 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:35:53 ID:.txmPNuY0
-
( ^ω^)「あ、そうそう……」
( ^ω^)
トル゚〜゚)
( ^ω^)
( ;゚ω゚)「……!!?」
_
( ;゚∀゚)「―――どけ!」
――突如として、背後から音がした。
いや、これを音、と表現してはならない。 立派な、肉声なのだから。
低く、中性的な声色で、訛りや雑音のようなものは聞こえない。
問題は、そのような声を発する者が本来ならばこの場にいなかった、ということだ。
トソンでさえ、もう少し高めの声を発する。
いなかった――つまり、その声の主は外部から唐突にやってきた、ということ。
唐突。
それだけならば、よかった。
もし、ここに敵意がはらめば、それは立派な敵襲となる。
敵意の有無。
それは、次の瞬間の攻防に全てが映っていた。
.
- 683 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:36:32 ID:.txmPNuY0
-
トル゚〜゚)「また 『壁』 か=v
_
( ;゚∀゚)「お前ら! 今すぐ逃げろ!!」
( ;^ω^)「な、なん……――ッ!?」
次の瞬間の攻防。
本来は存在し得なかった筈の声を放ったのであろう少女が、自分の体長ほどの槌を振りぬこうとしていた。
槌の軌道の先は内藤の頭部を通過しており、
槌が振りぬかれてしまえば、内藤の頭部は吹き飛ばされていたと思われる。
だが、その軌道は途中で妨げられていた。
目に見えない壁のようなもので£ニが振りぬけなくなっていたのだ。
といのも、少女の襲来を見た瞬間、ジョルジュは反射的に軌道になり得そうな箇所に 『壁』 を張っていた。
そして、ほかの皆もその事の 『異常』 性に気づいた頃。
ジョルジュが今までには発さなかったような大きな声で、避難を警告した。
だが、この一瞬で反応できるのは、できてせいぜいトソンくらいだ。
一般人であり凡人の内藤が、その声に反応できるわけがない。
その一瞬が、命取りだったのだろうか。
突如としてやってきた謎の少女は、無表情のまま、槌を構えなおした。
言い換えるならば、構えなおさせる隙を与えてしまった≠フだ。
トル゚〜゚)「まっ」
トル゚〜゚)「今更 『壁』 なんざ張っても……」
トル゚〜゚)「あとの祭り≠ナすから」
.
- 684 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:37:10 ID:.txmPNuY0
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( ;^ω^)「――――ッ!!」
从;゚∀从「逃げ 」
ハインリッヒが立ち上がったところで、少女が槌を振りぬいた。
その軌道には先ほどの 『壁』 があったのに、槌はその 『壁』 をすり抜けた。
イル#゚Д゚)「おらッ!!」
_
( #゚∀゚)「ドラァッ!」
トル#゚〜゚)「―――ッ…」
ジョルジュは槌がすり抜けることを知っていた≠謔、で、
すかさずその槌の軌道に 『壁』 を張った。
音を鳴らさず、衝撃も出さず、槌の軌道が遮られる。
この距離では槌の攻撃が効かないと見た少女は、後方へ跳躍した。
その動きは、一般人や並大抵の 『能力者』 ではまず不可能なものであった。
ワルキューレ
つまり――― 『 選 択 』 。
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- 685 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:37:43 ID:.txmPNuY0
-
イル#゚Д゚)「キャオラッ―――」
( ;^ω^)「止まれ、ワルキューレ! 『トール』 !」
イル#゚〜゚)「――ッ!」
――内藤はジョルジュの後ろのほうから、ひときわ大きな声で叫んだ。
「トール」 と叫ばれたのを聞いて、その少女は止まった。
走っているところで石に足をとられたかのような光景だった。
内藤の言葉に、周囲が静まり返る。
その一瞬は、彼らにとっては大きすぎた一瞬だった。
少女は、見た目に関して言えば、そこらの人間と変わりはなかった。
赤く、癖の強いセミロングで、十代相当の容姿をしている。
ただ、手に持っている大きな槌が、彼女を 「人外」 と成り立たせていた。
その重量は、先ほど振りぬいたその二回を見た――聞いた≠セけである程度の察しはつく。
轟音に近いその音から察するに、数キロ、数十キロの次元では収まらない。
彼女が万全の状態でそれを振りぬいたなら、おそらく象程度なら簡単に吹き飛ばすか、爆散させるだろう。
それほどの威力を、槌、ひいてはその身体に宿していると思われた。
だからこそ。
内藤も、トソンも、いままでの話とこの光景を統合させることで、確信に至った。
間違いなく、この少女は、ワルキューレだ。
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- 686 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:38:19 ID:.txmPNuY0
-
トル#゚〜゚)「……おい」
( ;゚ω゚)「はッはい!」
トル#゚〜゚)「どうして……私の名前を知っている…!」
( ;゚ω゚)「え、あ、その……」
( ;^ω^)「(………あれ……。 どうして…だ?)」
内藤はそのとき、無意識のうちに 「トール」 と叫んでいた。
トール――この敵襲の少女の名を、内藤は、知っていた。
だが、それがどうしてかは、本人にもわからなかった。
元々は、知らなかった≠フだ。
だが、この局面に至るやいなや、いきなり、記憶の深度が大きくなった。
原理はわからないが、内藤は意識せずとも、この少女の名を言い当てる≠アとができた。
なにはともあれ、トールが隙を見せた今がチャンスだ――
内藤は、先ほど引っかかった、トールが放った一つの言葉≠武器に、
内藤にしかとることのできないスタイルで――言い当てる≠アとで、時間を稼ぐことにした。
( ^ω^)「―――あんたの能力、見極めさせてもらった! トール!」
トル#゚〜゚)「………ッ!」
( ;^ω^)「(ひえええええええッ! あっれ、誰だコイツ!)」
.
- 687 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:38:53 ID:.txmPNuY0
-
トル#゚〜゚)「貴様…… 『相手のことを知る』 ことができるのか」
( ;^ω^)「だったら、もう一度言ってやろうか? あんたの名は、トールだ!」
トル#゚〜゚)「…………。」
図星だったようで、トールは、言葉を詰まらせた。
そこまではいいのだが、内藤は咄嗟に浮かんだ 「トール」 という名前以外、
彼女に関しての情報は何一つ握れていない。
そのため、内藤も内藤で、言葉を詰まらせるしかなかった。
おそらく、ジョルジュとハインリッヒが戦ったのは、このトールだ。
だから、彼らからトールの戦い方、スタイルを聞くことができれば、あるいは能力だけでも思い出せるかもしれない。
そう思うのだが、しかし本人が目の前にいて、そのようなことができる筈もない。
だから内藤は、ただハッタリをかますしかなかった。
こうして時間を稼いでいるうちに、ほかの三人がなにかしてくれることを祈って。
( ;^ω^)「そして――― 『あとの祭り』 !」
トル#゚〜゚)「!」
( ;^ω^)「ずばり、それこそがあんたの 《選定能力》 ――違うかお!?」
トル#゚〜゚)「………貴様。」
( ;^ω^)「(やった! 合ってた!)」
.
- 688 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:39:33 ID:.txmPNuY0
-
トル#゚〜゚)「どうして……私の名、能力、あと…… 『選択』 のことを知っている」
( ;^ω^)「え、え!? ―――そーゆー能力なんだお!」
トル#゚〜゚)「ほう…」
( ;^ω^)「えっと…………そッそう!」
カンニング・ペーパー
( ^ω^)「――― 【 消えゆく記憶 】 ッ!!」
( ^ω^)「そいつが、僕の名だ!」
( ^ω^)「(……決まっ)」
イル#゚Д゚)「キャオラッ!!」
( ゚ω゚)「―――ぎゃああああああああああああ!!」
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- 689 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:40:03 ID:.txmPNuY0
-
_
( #゚Д゚)「ドラァ!!」
イル#゚Д゚)「
( ;゚ω゚)「!? !?」
_
( #゚∀゚)「ハインッ!」
从#゚∀从「ッ――!」
内藤がトールに襲われそうになった時、ジョルジュが動いた。
いや、もとから動いていたのかもしれない。
だが、それが目に見えたのは、そのときだった。
飛び掛っていたトールに、ジョルジュが掛け声とともに右手を伸ばす。
すると、トールは空中で停止した。
それが 『パンドラの箱』 ――つまり【未知なる絶対領域】によるものだということはすぐにわかった。
『パンドラの箱』 が決まったのを見て、待ち構えていたと言わんばかりにハインリッヒが飛び出した。
絶対不可侵の 『箱』 になにをするのか、と思ったが、次の瞬間、ハインリッヒはトールの腹を脚で貫いた=B
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- 690 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:40:41 ID:.txmPNuY0
-
( ゚ω゚)「!!?」
トル; 〜)「 ッ!」
ハインリッヒの脚は 『箱』 から脱出していた<gールの腹に刺さった=B
敏捷さもさることながら、そのオーバーパワーな様を見て、内藤は一つ目の驚きを得た。
二つ目の驚きは、そもそもトールが 『箱』 から脱出していた≠ニいうことだ。
ひょっとすると、ハインリッヒが攻撃する瞬間を見計らって
ジョルジュが 『箱』 からトールを解放しただけなのかもしれないが、
この切羽詰った高速戦闘のなかで、ピンポイントで息が合うとは思えない以上
おそらくはトールが自力で 『箱』 から脱出したことになるのだろう、内藤はそう考えた。
三つ目の驚き。
それは、いつの間にか背後に立っていたトソンが、背後からトールを殴ったことだった。
殴られたトールは、文字通り 「爆散」 した。
( ゚ω゚)「!!?!?」
( 、 トソン「ッ」
トル Д)
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- 691 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:41:21 ID:.txmPNuY0
-
肉片――と表現することすら躊躇われるほど粉末状になって、躯が飛散した。
血や組織液などは全て飛沫となって、スプレーが如くそこらに噴出される。
ジョルジュの 『パンドラの箱』 からはじまって、
ハインリッヒの槍以上の蹴りで腹に穴が開き、
強化されたトソンの拳がトールの胸を爆散させた。
この連携を、一般人の内藤が目で追うのには無理があった。
内藤が目を白黒させ終え、最初に目に入ったのは、地面に倒れる元人間の頭部と下半身のみである。
それがトールであるとわかるには、髪色と槌が必要であった。
内藤が眼球を剥き出しにしているのを見て、トソンは俯けていた顔をあげた。
目の前で即死したトールを見て、深くも浅い息を吐いた。
(゚、゚トソン「……呆気なかったけど……」
(゚、゚トソン「内藤。 ほんとうに、こいつが 『選択』 なのか?」
( ゚ω゚)
( ;^ω^)「―――僕に聞くなお。 こいつらに聞け、こいつ――」
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- 692 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:41:54 ID:.txmPNuY0
-
内藤が、ジョルジュとハインリッヒのほうに顔を向けた。
だが、その前に、二人が口を開いた。
_
( ;゚∀゚)「落ち着くな!」
从;゚∀从「こいつ―――生き返るんだぞ=I!」
(゚、゚トソン「―――え?」
トル゚〜゚)「はい。」
(゚、 トソン「 ッ!」
トソンは、背後から槌で殴られた。
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- 693 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:42:35 ID:.txmPNuY0
-
( ;^ω^)「トソン――!?」
トル゚〜゚)「けっこー痛かったなあ」
トル゚〜゚)「マ、そんなこと言っても、あとの祭り≠セけど」
( ;^ω^)「…!」
( ;^ω^)「(あとの祭り=c…!)」
(、 ;トソン「……ぐ………ッ!」
トル#゚〜゚)「仕上げッッ!」
_
( #゚∀゚)「ドラァッ!!」
なんとか生き長らえた――そもそも、この打撃を受けて
生きていられるとは思われなかったのだが――トソンに、トールがとどめを刺そうとした。
させまいと動いたのがジョルジュで、やはり、トールの槌が振りぬかれることはなかった。
トールが構えを変えて、今度は上段の構えが如く柄を握り、上から振り下ろした。
それを防ぐために更なる 『領域』 を張ろうとしたが、今度は槌が遮られることはなかった。
_
( ;゚∀゚)「ッ!」
( ;^ω^)「トソン!」
.
- 694 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:43:42 ID:.txmPNuY0
-
トル゚〜゚)「……できあが」
(゚、゚トソン「り?」
トールの頭が爆散した。
_
( ゚∀゚)「!」
( ゚ω゚)「―――?!」
(゚、゚トソン「……この研究所に水槽≠ェなかったら、完治にコンマ三秒はかかったでしょうね。
. もっとも……あったから、コンマ一秒足らずで完治したわけだけど」
(゚、゚トソン「これで……そろそろ生誕から四世紀は経ちましょうか」
ワールド・パラメーター
【 暴 君 の 掟 】 。
トソンの喰らった負傷が自然治癒で完治できるように、時間が 『操作』 された。
.
- 695 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:44:25 ID:.txmPNuY0
-
トル#゚〜゚)「貴様……ぁぁ………!」
(゚、゚トソン「……なぜ、生きていられる」
トル#゚〜゚)「………、……」
トソンが質問をしたとき、トールはその隙を衝いて再び殴りかかろうとした。
だが、そうしても徒労になる気がしたためか、トールは構えようとした槌をおろした。
戦闘に発展しそうになかったため、今度はジョルジュもハインリッヒも応援に入る姿勢を見せなかった。
トル#゚〜゚)「……」
(゚、゚トソン「 『領域』 ができても、負傷ができても、ぜんぶ……」
(゚、゚トソン「 『あとの祭り』 の一言で済ませているみたいだけど」
.
- 696 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:45:03 ID:.txmPNuY0
-
( ゚ω゚)「!」
(゚、゚トソン「……内藤?」
( ゚ω゚)「………お……思い出した=I」
トル#゚〜゚)「思い…?」
キーワードは、 「あとの祭り」 だった―――
( ゚ω゚)「トール!」
( ゚ω゚)「あんたの 《選定能力》 、それは………!」
.
- 697 名前:同志名無しさん :2014/01/05(日) 20:45:33 ID:.txmPNuY0
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アフター・カーニバル
( ゚ω゚)「 【荒野祭】 ッ!」
ケッカ
( ゚ω゚)「あらゆる 『因果』 を、すべてなかったことにする能力!!」
To be continued ...
.
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