365 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:08:10 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
○登場人物と能力の説明
 
( ^ω^)
→この世界の『作者』。
 
/ ,' 3 【則を拒む者《ジェネラル・キャンセラー》】
→あらゆる力及び力の法則を『解除』する《特殊能力》。
 
从 ゚∀从 【正義の執行《ヒーローズ・ワールド》】
→『英雄』が負けない『世界』を創りだす《特殊能力》。
 
( <●><●>) 【連鎖する爆撃《チェーン・デストラクション》】
→相手の手負いを『連鎖』させる《特殊能力》。
 
( ´ー`) 【全否定《オールアンチ》】
→なにも受け付けない《拒絶能力》。
 
( ・∀・) 【常識破り《フェイク・シェイク》】
→自然のうちに『嘘』を混ぜる《拒絶能力》。
 
(゚、゚トソン 【暴君の掟《ワールド・パラメーター》】
→『拒絶』化してしまった、それまでは『拒絶』ではなかった少女。
  _
( ゚∀゚) 【未知なる絶対領域《パンドラズ・ワールド》】
→存在してはならない『領域』を創りだす《特殊能力》。
 
( ´_ゝ`) 【771《アンラッキー》】
→『不運』を引き起こすが、『能力者』でも『拒絶』でもない男。
 
(*゚ー゚) 【最期の楽園《ラスト・ガーデン》】
→『楽園』を『保守』し、そちらにワープする《特殊能力》。
 
(#゚;;-゚) 【夢幻の被写体《エン・ドレッサー》】
→『夢幻』に続く『世界』を創りだしてしまう少女。
 
 
.

366 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:08:40 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
○前回までのアクション
 
( ^ω^)
→説得
 
( ´ー`)
→     
 
 
.

367 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:09:10 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
( ^ω^)「―――え?」
 
 
(     )「知るか。」
 
 
( ^ω^)「いや、ちょ――」
 
 
(   ー )「どうして俺が、んなもんを甘受する必要があんだ?」
 
 
( ;^ω^)「――ハ!? あんた、何を言って―――」
 
 
( ´ー`)「知らねえよ。殺すぞ」
 
 
( ;゚ω゚)「―――……ッ!?」
 
 
 
 
 ――ネーヨは、すぐそこまで歩み寄ってきていた内藤の胸倉を、掴みあげた。
 
 
 
.

368 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:09:43 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
从;゚∀从「でッ―――でぃ!」
 
 
(#゚;;-゚)「う…うん、」
 
 
 
 
 一瞬、誰もが、確信した。
 
 ネーヨが改心し
 
 このたびの戦いは、終わったのだ、と。
 
 
 
 
 
.

369 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:10:13 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
( ;´_ゝ`)「………なに?」
 
 
(   ー )「やっぱり……」
 
 
 
 
 
 再び『撮りなおし』された『世界』。
 
 『作者』の胸倉を掴んだ『拒絶』はアンチされ
 
 もう一度見ることになる光景を前にして、ネーヨは口角を吊り上げた。
 
 
 
 
 
.

370 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:10:45 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
.            オ レ タ チ      オメエ
(   ー )「所詮、『登場人物』が、『作者』に刃向かうってのは、無理だったのか」
 
 
( ;^ω^)「な、なにを急に……」
 
 
(   ー )「……薄々、勘付いていたんだ」
 
 
(   ー )「あのとき……おめえが、バーボンハウスに、乗り込んできたとき」
 
 
(   ー )「俺は、妙な、胸の昂揚を、感じた」
 
 
 
 
 
(   ー )「………拒絶≠セ」
 
 
( ;^ω^)「なんだって……?」
 
 
 
.

371 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:11:15 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
(   ー )「おめえたちが、俺を見て感じるのと、一緒のモンだ」
 
 
(   ー )「ただ、形のない、混沌のうねりだけが、胸中に生まれる、この感じ」
 
 
(   ー )「忘れもしねえ」
 
 
(   ー )「あのとき≠ノ感じたものと、一緒だ」
 
 
( ;^ω^)「あの……とき?」
 
 
 
(   ー )「パンドラが……」
 
 
 
 
 
 
 
 
( ´ー`)「………パンドラが、俺らの仲間を殺したときだ」
 
 
 
 
 
 
.

372 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:11:48 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
从;゚∀从「!」
 
( ´_ゝ`)「…ッ?」
 
/ ,' 3「……。」
 
 
  _
( ゚∀゚)
 
 
 
(   ー )「……思えば」
 
(   ー )「俺を俺にした≠フも……おめえなんだよな」
 
(   ー )「つくづく、すげえわ」
 
(   ー )「ほんッとうに、てめえは、『拒絶』の、天敵なんだかんなァ」
 
 
(   ー )「………アニジャの件も、だ」
 
(   ー )「アンチ・オールアンチ≠連れてきたのは……てめえの、右腕だ」
 
(   ー )「とッことん、徹底して、てめえは、俺を、拒絶しにかかる」
 
(   ー )「その度胸………」
 
 
 
.

373 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:12:18 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( 。ー )「あのときにも………見せて、ほしかった」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

374 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:12:50 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「!!?」
 
 
( <●><●>)「――ッ!」
 
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「………ね、……ネーヨ………?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

375 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:13:22 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
(   ー )「ああアアアァァァァァアアアアああああッっはっはっはっはッハッハッハッハ!!!」
 
 
 
 ―――内藤とゼウスは同時に異変を察知したが、
 二人とも一緒のことに気づいた、わけではなかった。
 
 ゼウスがなにを異変と見受けたのかはわからない。
 だが、内藤が見受けた異変の正体は、わかる。
 
 
                     ピエロ
(   ー )「俺は、選ばれなかった 道化 だ!」
 
 
 
 『作者』だからこそ―――
 無根拠ながらもふと勘付くことのできた、直観。
 
 
 
 
(   ー )「んな『世界』に縛られるくらいなら――――」
 
 
 
 
 
 
.

376 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:13:52 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
   ( ´_ゝ`)『旦那は、「全否定」できないんじゃない』
 
 
   ( ´_ゝ`)『「拒絶」したくない≠チてところだ』
 
 
   ( ´_ゝ`)『「拒絶」したら、そこに自我はいなくなる』
 
 
   ( ´_ゝ`)『そして、『拒絶の精神』はその自我にあるんだからな』
 
 
   ( ´_ゝ`)『一度現在≠踏み外すと………なにも存在しない次元≠ヨ直行する』
 
 
   ( ´_ゝ`)『……そして旦那は、その一線の一歩手前で……踏ん張っている』
 
 
 
 
 
.

377 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:14:23 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 ―――ネーヨが、消える。
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「ッ!! やめろ、それだけはやめるんだ!!!」
 
 
(   ー )「俺はこの『世界』なんざ甘受しねえッ!!」
 
 
( ;゚ω゚)「ンなことしたら、あんたが消えちまうんだお!!?」
 
 
(   ー )「『世界』を拒絶できねえッてんなら―――」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( ´ー`)「――……消えたほうが、ましだ」
 
 
 
 
 
 
 
 
.

378 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:14:57 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「           
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

379 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:15:31 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   「オールアンチ」
 
 
 
   「拒絶に満ちたこの『世界』を」
 
 
 
   「すべて……すべて、だ」
 
 
 
 
 
 
 
.

380 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:16:06 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                   拒 絶 す る 。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

381 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:16:45 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

382 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:17:20 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    ――― 拒 絶 を 拒 絶 す る 戦 い  ◆
 
 
                      ◇  終 幕 ま で ―――
 
 
 
 
 
 
 
               === 第三十九話 ===
 
 
.                     ALL ANTI
.             「  v s 【 全 否 定 】 Z 」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ―――― 残り、
 
 
 
 
.

383 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:17:53 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
   第三十九話  「vs【全否定】Z」
 
 
 
 
( ;゚ω゚)
 
 
 
 消えた。
 
 
 それまで、拒絶、威圧、恐怖、窮境、
 そういったものを感じさせてきたからこそ、わかることだ。
 
 ネーヨがそれまで放っていたそれらが、
 この瞬間、ぱたりと、途絶えた。
 
 
 
.

384 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:18:27 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 既に、触れられていた。
 
 ほんとうに、『世界』を『拒絶』すれば
 
 その人は、その『世界』から、消えてしまう。
 
 
 
 因果律からも
 
 空間座標からも
 
 異次元からも  異世界からも
 
 
 
 影も形も  生きた証も
 
 体臭も  口臭も  湿気も  拒絶も
 
 なにもかも
 
 
 
.

385 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:19:14 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 嘗てネーヨは、『運命』を『全否定』できないことを嘆いていた。
 その理由は、至極単純だ。
 
 
 自分が『世界』の上で生きることにおいて、『運命』は決して切り離すことのできないものであるからだ。
 必然という言葉は、『運命』を前に、無力になる。
 必然が必然になるのも、『運命』が先行しているのだ。
 
 
 もし『運命』を『拒絶』してしまえば、自分は『世界』と完全に矛盾した存在になってしまう。
 矛盾。つまり、「存在できない」「存在してはならない」存在になる。
 それを、誰よりも――内藤よりも、ネーヨは、理解していた。
 
 
 【全否定《オールアンチ》】の最大の弱点は、「『全否定』できない」ところにある。
 だからこそ、『世界』を操る者が出てきてしまえば、ネーヨはそのスキルを甘受して且つ勝利しなければならない。
 そして、ディの【夢幻の被写体《エン・ドレッサー》】を甘受すれば、ネーヨは負けが確定してしまう。
 
 
 まさしく『アンチ・オールアンチ』なのだ。
 
 
 
.

386 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:19:47 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 ディが登場した時点で、ネーヨの負けは確定した。
 ネーヨは、ディの能力を甘受しなければならない。
 だが、一方でネーヨは、是が非でも、甘受するわけにはいかなかった。
 
 
 それを甘受するということは、己の『拒絶』の敗北を認めること。
 『拒絶』が生の源となっている以上、それを甘受すれば、死につながる。
 意識の崩壊、自我の断絶、本能の自決。
 なんらかの精神的ダメージにより、ネーヨは、死ぬしかなくなるのだ。
 
 
 
 
 逃げる手段は、「それ」しかなかった。
 
 
 
 
从;゚∀从「待て!! どこいきやがった!!」
 
/ ,' 3「また瞬間移動……か?」
 
 
.

387 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:20:19 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 元の話に戻ると。
 【全否定】のネーヨが、もし『世界』を『全否定』すれば、
 矛盾し存在することのできなくなった自身は、その場で消える。
 
 今までのネーヨにとって、その制約はいわば、大きな足枷だった。
 どんなものが相手であれ、多少はその何かを甘受しなければならないのだから。
 
 
 だが、そんな制約が、今回に限り、彼にとっての、大きなメリットとなった。
 目の前に存在する拒絶すべきものから、逃げられる。
 文字通り、拒絶できるというのだから。
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「……やりやがった、か」
  _
( ゚∀゚)「……」
 
( <●><●>)「……詳しく、話してもらおうか」
 
 
.

388 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:20:55 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 ネーヨは、極度のわがままだ。
 戦闘力ではゼウス、武術ではアラマキ、サポートではハインリッヒに劣るネーヨだが
 有する《拒絶能力》はさることながら、なによりも彼らに勝るものがあった。
 それが、彼のわがままさなのだ。
 
 たとえ甘受しなければならないものがあったとして、
 嫌だと思うようなものがそれに当たったら、それがなんであろうと、ネーヨは『拒絶』する。
 
 半ば、小学生よりも精神力の弱い男なのだ、ネーヨは。
 実際は、【全否定】などという最強の『拒絶』を容易く扱うのを見ればわかるように
 その有する精神力は他の追随を許さない絶対的な強さを誇っているのだが
 その本質は、精神力の強さが逆転して本能に逆戻りしている、パラドックスじみたものとなっていた。
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「詳しく、もなにもないだろう」
 
( ´_ゝ`)「………旦那は、逃げたんだ」
 
( ´_ゝ`)「この、辛くて、耐え難い世界から」
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「奴は、逃げ出したんだ」
 
 
 
.

389 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:21:33 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 「嫌だから、したくない」
 「苦いから、食べたくない」
 「暑いから、冷房はつけたい」
 
 「頭が痛くなるから、勉強はしたくない」
 「汗を掻くと気持ち悪いから、運動はしたくない」
 「目が疲れるから、本は読みたくない」
 
 
 精神的な抵抗があっても、しなければならないものはしなければいけないし
 精神的な嫌悪があっても、苦くとも栄養バランスを考えれば食べざるを得ず
 精神的な希望があっても、環境や電気代を考えれば冷房は我慢しなければならない。
 
 生理的な苦痛が襲っても、学は生きるうえで必要だし
 生理的な不快が襲っても、身体を鍛えないと生きられないし
 生理的な刺激が襲っても、目や耳を使わないと生きていけないのだ。
 
 
 
 
从;゚∀从「………逃げ……た…?」
 
( ´_ゝ`)「その娘がいる限り、ネーヨの『拒絶』は絶対的なものではなくなる」
 
( ´_ゝ`)「そんな、ディ=カゲキという目の前の存在を拒絶するために、消えたんだよ」
 
 
.

390 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:22:05 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 ハインリッヒが、顔を顰める。
 認めたくなかった――のではなく、信じたくなかった、ようだ。
 自然のうちに握られていた拳に、より力が籠められる。
 
 ハインリッヒは、もとより、『英雄』だ。
 具体的な功績をあげたとか、ではなく、
 「ヒーローでいることが約束された」存在なのだ。
 
 そんな身分だからか、自然と、『英雄』の名に相応するような考えが、身に染み付いていた。
 正々堂々、がモットーなのは、もう言うまでもないことだろう。
 
 
 
 このとき、『英雄』のそんな意識が、彼女の拒絶心を増幅させつつあった。
 
 
 
从;゚∀从「………」
 
从;゚∀从
 
从;゚∀从「あんなわがままヤローに、」
 
从;゚∀从「それも、もういない奴にこんなこたァ言ってもしかたないんだけど、よ」
 
( ´_ゝ`)「……なんだ、『英雄』」
 
 
.

391 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:22:57 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从; ∀从「………ず、ずりイじゃねーのか、それは! 逃げる、って!」
 
从; ∀从「な、なんで、自分の思い通りにならないからって……その全てを、放り投げるんだよ!」
 
从; ∀从「なにもかもが思い通りになんて、ならねえに決まってるじゃんか! それが『生きる』ってことだろ!」
 
 
 
从; ∀从「いや、『生きる』に限った話じゃねえ! すべて、すべてだ!」
 
从; ∀从「誰かと殴りあうってことは、絶対にどちらかは、負けるんだ!」
 
从; ∀从「じゃ、じゃあ、喧嘩するってことは、自分の負ける可能性を受け入れるってことだ!」
 
 
 
 
 
 
从; ∀从「あいつ、俺の蹴り、受け止めたじゃねーか! で、痛みも感じたじゃねーか!」
 
从; ∀从「『甘受』できるんだよ、あいつは!!」
 
 
 
 
.

392 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:23:37 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从; ∀从「いくらバケモノみたいだからって、強いからって、自分が可愛いからって……『拒絶』だから、って」
 
从; ∀从「人間なんだろ! 生きてンだろ! な、なんで、なんで逃げるんだよ!」
 
从;゚∀从「なあ!!」
 
( ´_ゝ`)「……あいつらは、人間じゃない。『拒絶』という名の、精神体だ」
 
从;゚∀从「変わンねーよ! 拒絶なんて精神を持てんの、人間だけじゃねーか!」
 
( ´_ゝ`)「理屈としてはそうだが、『拒絶』に、そんな理屈、感情論は通じな……」
 
从;゚∀从「なんでそんなこと言えんだよ!」
 
( ´_ゝ`)「曲がりなりにも、俺は『拒絶』の陣営に混じっていた」
 
( ´_ゝ`)「およそ精神異常者ですら感じ得ないであろうことを、常時感じているようなやつらだ」
 
( ´_ゝ`)「……人間であることに違いない、ということに目を瞑るとしても」
 
 
 
( ´_ゝ`)「それでも、あいつらは『亜種』だ。俺たちと、同種ではない」
 
( ´_ゝ`)「アンチに、まともな奴はいないんだよ」
 
 
.

393 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:24:32 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从;゚∀从「じゃ、じゃあてめえは知ってんのか!」
 
( ´_ゝ`)「なにを、だ」
 
从;゚∀从「『拒絶』の……アンチの!」
 
 
 
从;゚∀从「アンチだからこその、その……人情味に溢れた、姿!」
 
 
 
( ´_ゝ`)「……あんたはさっきから、何が言いたいんだ」
 
从;゚∀从「『拒絶』の……少なくとも、俺の見てきた連中は、みんな、いい意味で『人間』をしてやがった!」
 
从;゚∀从「ショボンも、ワタナベも、モララーも……みんな、だぞ!」
 
 
 
从;゚∀从「ショボンは最期で、自我もプライドもなげうってきた。きったない人間だったよ」
 
从;゚∀从「ワタナベも、へらへら笑う奴だった。その笑顔が、奴という人間味を示してた」
 
从;゚∀从「モララーも、ショボンとワタナベの死を、悲しく受け止めていた。まるで、友だちが死んだかのように、な」
 
( ´_ゝ`)「………」
 
( ´_ゝ`)「……時に、落ち着け。どうやらあんたは、混乱していると見た」
 
从;゚∀从「……、………ッ」
 
 
.

394 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:25:06 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从;゚∀从「………お前は、向こうに混じっときながら、あいつらのこと、なんも見てないじゃねーか」
 
( ´_ゝ`)「なぜ、そう言える?」
 
从;゚∀从「見てたんなら、なんで……」
 
从;゚∀从「あの拒絶ヤローが、消えた……ってのに、そんなに落ち着いていられンだよ!!」
 
从;゚∀从「お前、あいつらとツルんでたんじゃなかったのか!」
 
( ´_ゝ`)「確かに、一緒にいた。だから、俺はこの戦いを終わらせたい、とも思った」
 
( ´_ゝ`)「あんたの後ろに、その娘がいるのがいい証拠だ」
 
从;゚∀从「……、」
 
(#゚;;-゚)「…?」
 
 
                   スベテ
( ´_ゝ`)「………旦那が『世界』を甘受するか、拒絶するか」
 
( ´_ゝ`)「俺としては、前者を望んだ。それは、言ったはずだ」
 
( ´_ゝ`)「だが……結果として、奴は後者を選んだ」
 
( ´_ゝ`)「しかたのなかったことなん―――」
 
从;゚∀从「しかたなく、ねえ!」
 
 
.

395 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:25:48 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
( ´_ゝ`)「………」
 
从;゚∀从「お、俺は、あいつが、だいッ嫌いだ」
 
从;゚∀从「さっきまで、散々、拒絶という拒絶を、植えつけられた。
.       いま、こうして立っていられるのが不思議なほどだ」
 
 
 
从;゚∀从「だからこそ、俺は……勝ちたかった」
 
从;゚∀从「たとえ、オールアンチを突破できなくても、だ」
 
从;゚∀从「いくら俺がやられても、最期の最後まで、這いつくばって見せたかった」
 
从;゚∀从「あいつの拒絶を拒絶すっことで、勝ちたかったんだよ!」
 
从;゚∀从「こっちは、いくら嫌なことがあっても、逃げずに、戦ってきた!」
 
 
 
从;゚∀从「………なのに!」
 
从;゚∀从「ネーヨは、たった一人嫌なやつが出てきただけで、逃げやがった!」
 
从; ∀从「………悔しく、ねえのかよ!!」
 
 
 
.

396 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:26:25 ID:s2sNBMOk0
 
 
  _
( ゚∀゚)「そこまでだ」
 
从;゚∀从「てめッ………、」
 
 
 ジョルジュが傍らから入り、ハインリッヒの口元に右手を突きつけて、制止した。
 その厳格な顔つきと威圧感とが、ハインリッヒの口を縫いつけた。
 
 口を閉じて、ハインリッヒは、口の中がからからだったことに気がついた。
 乾いた喉がこすれあう。気持ち悪い感じがした。
 晴れているのに、身の回りに、雨が降った後であるかのような湿気を感じた。
 
 
  _
( ゚∀゚)「なにをごたごたヌカしてやがる、『英雄』。やつはもう、いないんだ」
  _
( ゚∀゚)「なに、殴りあったことで友情でも芽生えたか? そんなクセえ『劇』、おウチでやってくれ」
  _
( ゚∀゚)「俺たちの、目的。それは、『拒絶』を拒絶することだ」
  _
( ゚∀゚)「それを、忘れちゃあいないだろうな」
 
从;゚∀从「………」
 
 
.

397 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:26:59 ID:s2sNBMOk0
 
 
  _
( ゚∀゚)「お前の言いたいことは、わかる」
  _
( ゚∀゚)「納得できないんだろ?」
  _
( ゚∀゚)「一方的に拒絶を植えつけてきて、こっちがやり返そうとしたら、逃げやがった」
  _
( ゚∀゚)「ただの、ガキだ。それが、気に食わないんだろう。更なる拒絶が生まれるんだろう」
 
从;゚∀从「……」
 
 
  _
( ゚∀゚)「だが」
  _
( ゚∀゚)「それは、避けようのなかった事実」
  _
( ゚∀゚)「最初から定められていたルートだったんだ」
 
 
 
 
  _
( ゚∀゚)「『拒絶』と戦うことが決まった時点で、この結末も、決められていた」
  _
( ゚∀゚)「それが、『拒絶』を拒絶する戦いだった、ってことだ」
 
 
 
 
.

398 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:27:32 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从;゚∀从「なんで……なんだよ、それ!」
 
从;゚∀从「おい、どういうことだ、テメエ!」
  _
( ゚∀゚)「……」
 
从;゚∀从「『拒絶』をつくったのは、テメエだろ!」
 
( ´_ゝ`)「それは、違う」
 
从;゚∀从「――……?」
 
 
 まくし立てるようにハインリッヒが詰め寄ると、アニジャが横からそれを制してきた。
 ジョルジュが言ったように、彼女はいま、興奮している。
 水をさされたことで、つい、喉が詰まってしまった。
 出掛かっていた、流れるように出ていたそれまでの言葉の続きが、胃のほうに引き返していった。
 
 
 
( ´_ゝ`)「こんな話を、これ≠前提にしてこんなことを言うのもおかしな話だが……」
 
( ´_ゝ`)「『拒絶をつくったのはジョルジュだ』」
 
( ´_ゝ`)「これは、違うぞ」
 
从;゚∀从「は……ハア? なに言ってんだ、ボケ」
 
从;゚∀从「こいつは、自分で、言った。白状した」
 
从;゚∀从「ショボンやモララーたちを、『拒絶』にしたのは俺だ、と」
 
 
从;゚∀从「パンドラの箱をつかって……だ」
 
 
.

399 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:28:06 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
( ´_ゝ`)「ああ。行動を起こしたのは、確かにジョルジュだ」
 
从;゚∀从「………なにが、言いたい」
 
( ´_ゝ`)「簡単なことだ」
 
( ´_ゝ`)「この、『拒絶』を拒絶する戦い。それを、最初に創りあげたのは―――」
 
 
 
 
 
 
 
 
( ´_ゝ`)「確かあんただったよな」
 
 
( ´_ゝ`)「……『作者』とやら」
 
 
 
 
 
.

400 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:28:40 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
( ;^ω^)「……」
 
 視線が内藤に向けられる。
 『登場人物』が、『作者』をにらむ。
 内藤はその光景にいささか奇妙なものを感じつつ、しかしそれを口にはしなかった。
 
 
 
( ;^ω^)「……」
 
( ;^ω^)「『拒絶』……アンチ……。」
 
( ;^ω^)「これが、没ネタ……現実世界での没ネタってのは、もうみんな知ってると思うお」
 
 
 うなずきは、しない。誰も。
 しかし、求めても、いない。誰も。
 
 静まった空気を見て、それが肯定を表していることを内藤は察した。
 そのため、彼は、険しい顔つきのまま、続けた。
 
 
 
( ;^ω^)「じゃ、じゃあ。質問だお」
 
( ;^ω^)「……考えたこと、あったか?」
 
 
         コ レ
( ^ω^)「 『拒絶』編 が、没になった理由を」
 
 
.

401 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:29:13 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 既に、幾度となく言われてきたこと。
 なぜ、この話は、編集者には認められなかったのか=B
 
 内藤はこの話を、彼らの強さを表現するために持ち出してきた。
 そのため、彼らは意識せずとも、その理由を、覚えていた。
 
 
从;゚∀从「………」
 
从;゚∀从「ただ、強すぎるから……だろ?」
 
( ^ω^)「ああ、そう」
 
从 ゚∀从「それが、どうし――」
 
 
 
 
( ^ω^)「それが、一点」
 
 
 
.

402 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:29:52 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从 ゚∀从「―――え?」
 
/ ,' 3「待て。それが理由なんじゃろうて」
 
(  ω )「違う」
 
( <●><●>)「ほかに理由など――」
 
 
 ただ、強すぎるから=B
 それは、当然、あった。
 
 もう、幾度となく言われてきた、その強さ。
 【常識破り】、【ご都合主義】、【手のひら還し】、【暴君の掟】、【運の憑き】、【全否定】。
 内藤のこの「理由」を持ち出されなくとも、自然のうちに理解することすらできるだろう。
 
 その理由が至極適当すぎて、ほかの理由が存在するなど、考えるはずもない。
 黙っていたアラマキとゼウスでさえ、口を挟まずにはいられなかった。
 
                      オカ
(  ω )「あんた達に、『拒絶』の狂しさを説明するために。それを先に、言っていた」
 
( ^ω^)「……わかりやすかったでしょ?」
 
 
.

403 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:30:35 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从 ゚∀从「………言え」
 
 ハインリッヒが、威圧するように、言う。
 内藤としても、それは言われるまでもなかった。
 
 
( ^ω^)「強すぎるから……」
 
( ^ω^)「それは、物語を続けるがために懸念されたんだお」
 
( ^ω^)「主人公たちが勝てなかったら、それはとても人に見せられる物語とは言えない」
 
从 ゚∀从「……」
 
 
 
( ^ω^)「そして、もう一つ」
 
( ^ω^)「『拒絶』編が没になった理由」
 
( ^ω^)「そのとき、編集者に、これは連載することができない、と言われた理由」
 
 
 
 
( ^ω^)「今のあんたがそれだ、ハインリッヒ」
 
从 ゚∀从
 
 
.

404 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:31:15 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 静かに、言い放った。
 指を突きつけもせず、睨みもせず、具体的な言葉を並べもせずに。
 そのため、ハインリッヒは、ただきょとんとするしかなかった。
 
 
从 ゚∀从
 
从 ゚∀从「………」
 
 
 内藤の言わんとすることが今一飲み込めず、少し、呆然とした。
 ネーヨの消えた今、ほかに音を発するものは存在しない。
 ハインリッヒの前髪を揺らす風の音さえ、聞こえた。
 それほど、その一瞬は、静かだった。
 
 
从 ゚∀从「……」
 
从 ゚∀从「なんだよ」
 
从 ゚∀从「ハッキリした答えを言いやがれ、デブ」
 
( ^ω^)「ハッキリ? 言おうか?」
 
从 ゚∀从「言え」
 
( ^ω^)「んなもん、言うまでもない」
 
 
 
.

406 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:31:54 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
( ^ω^)「後味が、悪すぎるから」
 
 
 
 
 
 
 
.

407 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:32:39 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从 ゚∀从「…ハ?」
 
从 ゚∀从「後味だと? なんの話だ?」
 
( ^ω^)「あんたは、今でこそ強がっているものの、心の底には、拒絶心が残っている」
 
从;゚∀从「ッ」
 
 強がっていることが、あろうことか内藤に見抜かれたため、図らずも動揺してしまった。
 それをなるたけ察させないよう、強気にハインリッヒは振舞った。
 
 
( ^ω^)「その理由は、なんだ?」
 
从;゚∀从「それこそ、言うまでもねーわ、ボケ」
 
( ^ω^)「なんだってんだお」
 
从;゚∀从「あいつが、」
 
 
从 ゚∀从「ネーヨが……正々堂々戦わず、途中で逃げた、から」
 
 
.

408 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:33:15 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
( ^ω^)「それを、『読者』に見せてみろ。……どうなる?」
 
从 ゚∀从「…?」
 
从 ゚∀从「……、……」
 
 
 
从;゚∀从「………………。」
 
 
 ハインリッヒは、「そのこと」に気がついた。
 頬を伝う一筋の汗が、それを雄弁に物語っている。
 
 ハインリッヒも、気づいてしまった。
 これは、「描くことのできない物語」だったのだ。
 
 
 
( ^ω^)「ネーヨが、ボスが【全否定】である以上、」
 
( ^ω^)「で、【全否定】だといつでも逃げることができる以上」
 
( ^ω^)「どうしても、たとえ追い詰めることができても」
 
( ^ω^)「この結末≠避けることは、できなかった」
 
从;゚∀从「…!」
 
 
.

409 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:34:12 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
( ^ω^)「『読者』に、絶望を与える」
 
( ^ω^)「それを、最後の最後でひっくり返したら、確かに面白い」
 
( ^ω^)「でも、それが、できない」
 
( ^ω^)「つまり、」
 
( ^ω^)「読み終わっても、」
 
( ^ω^)「話が終わっても、」
 
( ^ω^)「誰も報われない、それこそ拒絶に満ちた、最悪な話と、なってしまう」
 
 
 
 
( ^ω^)「そう………言われたんだお」
 
 
 
.

410 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:35:01 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
/ ,' 3「言われた……か」
 
 アラマキが、ちいさく、言う。
 その声は、内藤には届いていなかっただろう。
 それは、声が小さかったから、というのもある。
 
 しかし、それ以外に。
 いま、内藤の記憶は、混乱していた。
 そんな要因もまた、彼の聴覚を弱まらせていたのだろう。
 
 
 
从;゚∀从「んなもん!」
 
从;゚∀从「死闘の末、ネーヨに純粋な心が芽生えて、」
 
从;゚∀从「円満に解決、戦いが終わる――で、いいじゃねーか!! なに言ってやがんだ!」
 
(  ω )「それをご都合主義っつーんだお!!」
 
从;゚∀从「!」
 
 
 
 
 
从;゚∀从「………ご都合、主義……!」
 
 
 
 
.

411 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:35:42 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 書き手によって、都合のいいように展開を迎えさせることを、ご都合主義と言う。
 そのことは、ハインリッヒが『劇』に通じていて、
 またそうでなくても、嘗てそのスキルを使っていた『拒絶』がいたのもあって、
 それに関してはすぐに、彼女は飲み込むことができた。
 
 
   从 ゚∀从『ご都合主義ねぇ』
 
   ( ^ω^)『あんたならわかるかお、ハインリッヒ』
 
   从 ゚∀从『知ってるも何も、ウチの世界じゃ、んなもんはご法度なんだよ』
 
 
 
 しかし、彼女が圧倒されたのは、その言葉の意味に圧倒されたからではない。
 内藤の言葉に、それ以上に重いものが籠められていた、ように感じられたからである。
 そして、なぜそれが重かったのか、については、すぐに予測を立てることができた。
 
 
 
 内藤は、『作者』 なのだ。
 
 
.

412 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:36:38 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
(  ω )「だから、ボツになったんだお!」
 
(  ω )「だから、現実では、報われる話を代用したんだお!」
 
从;゚∀从「ま、待てよ! 曲りなりにも、テメエ、『作者』だろ!」
 
从;゚∀从「じゃーなんで、そんな見せられねえような話を、考えたんだよ!」
 
(  ω )「なんで、だと?」
 
(  ω )「んなもん、あんたらに言われる筋合い、まるでないお!」
 
(  ω )「あんたらは『登場人物』だ! 『作者』じゃない!」
 
(  ω )「物語を創ることが許されるのは、『作者』だけだ!」
 
 
 
( ;ω;)「あんたらが口を出せる権利なんて、ない!」
 
 
.

413 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:37:35 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
从;゚∀从「……、……。」
 
(  ω )「この戦いのなかで、だァーれが、一番拒絶心を抱いたと思ってんだ!!」
 
(  ω )「報われないことがわかったからボツになったのに、」
                       ム シ                   アンチ
(  ω )「そんな事情なんざ『拒絶』されて、この『世界』じゃあ、『拒絶』が動いてやがる!」
 
(  ω )「……僕に、なにをしろって、……言うんだよ」
 
 
 内藤が、ぽつり、ぽつりと言い終えたかと思うと、彼は、その場にくずおれた。
 一筋だけ垂れた彼の涙は、ようやく、乾いた土の上に落ちた。
 
 『拒絶』たちの持つ力は、確かに、凄まじいものであったようだ。
 既に皆が目の前から消えたというのに、未だに、彼らを拒絶の呪縛から解き放とうとしていない。
 それが、内藤を、ハインリッヒを、皆を、苦しめていた。
 
 嘗て編集者がボツにした、と言われたのは正しかった。
 皆に、報われない気持ちのみをばら撒くだけの戦いとなってしまったのだ。
 
 
.

414 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:38:11 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 まず、ショボンを倒した。
 あらゆる『現実』を操られたにも関わらず、
 彼を凌駕する『ご都合主義』、【正義の執行】で倒した。
 
 次に、ワタナベを倒した。
 あらゆる『因果』を拒まれたにも関わらず、
 そもそもの因果関係が拒まれている【則を拒む者】で倒した。
 
 続けて、モララーを倒した。
 あらゆる『真実』を隠されたにも関わらず、
 彼の心を覆っていた鎧を、信頼を壊すことで倒した。
 
 最後に、ネーヨを倒した。
 あらゆる『拒絶』を拒絶されたにも関わらず、
 その更なるアンチの存在により、その他一切のアンチを拒絶することで倒した。
 
 
  アンチ
 『拒絶』は、拒絶した。
 
 しかし、彼ら『革命』は、結果として、負けた。
 
 拒絶心を、拒絶することができなかったのだから。
 
 
.

415 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:38:43 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 『拒絶』を拒絶することはできても
 
 
 拒絶を拒絶することが、できなかったのだ。
 
 
 
 
 
.

416 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:39:15 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

417 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:39:47 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
从;゚∀从「……は、ハ」
 
从;゚∀从「な、なんだよ、それ」
 
从;゚∀从「私たちは、負けた……負けたのか?」
 
从;゚∀从「連中を、みんな倒したのに、負けたのか?」
 
 
 
(  ω )「……」
 
 
 
从;゚∀从「冗談だろ? なあ、おい」
 
从;゚∀从「おい、なんか言えよ、クソジジィ」
 
从;゚∀从「テメエ、勝った≠カゃねーか。その破壊の拳でよお」
 
从;゚∀从「倒した、だろ? 殺しただろ? 勝っただろ?」
 
 
 
/ ,' 3「……」
 
 
 
.

418 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:40:20 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
从;゚∀从
 
 
从;゚∀从
 
 
从;゚∀从「……か、…勝った……」
 
 
从;゚∀从「勝った……勝ってる……!」
 
 
从;゚∀从「この戦いに、私たちは……勝った!」
 
 
从;゚∀从「勝ったんだろ!? きれいさっぱり、終わったんだろ!?」
 
 
从;゚∀从「な、なあ! 答えてくれ!」
 
 
从 ;∀从「答えてくれ! なあ!」
 
 
 
.

419 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:40:56 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
  _
( ゚∀゚)「………」
 
从 ;∀从「なあ! 違うのか?」
 
从 ;∀从「た、助けてくれ! お、襲われる! 拒絶に!」
  _
( ゚∀゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「精神療養に一番効果的な療法は、日にち薬だ」
 
从 ;∀从「やめろ! そ、その前に、死ぬ! 死ぬ!!」
  _
( ゚∀゚)「落ち着け。……ついに、拒絶心が氾濫したのか?」
 
从 ;∀从「違う! 勝った! 勝ったんだ、私たちは! 『革命』は!」
 
从 ;∀从「まだあいつらに呪われてる? 嘘だ、嘘だ! 嘘だ!!」
 
从 ;∀从「お、おい、ネーヨ! 出てこい!! どこだ!!」
  _
( ゚∀゚)「あいつは、いない。消えたんだ。」
 
从 ;∀从「違う! ありえない! 隠れてるだけだ! 嘘だ!!」
  _
( ゚∀゚)「……」
 
 
.

420 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:41:28 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 ハインリッヒの精神は、ついに崩壊を向かえた。
 ネーヨが消えてから崩壊するなど、異端としか思われなかった。
 異端としか思えないほど――拒絶の力は、凄まじかったのだ。
 
 ハインリッヒは、虚勢が一般人の内藤に見抜かれてしまうほど、精神的に不安定だった。
 『拒絶』との連戦のせいで、立ち直れなくなるほど、後遺症を残してしまうほど、心を、痛めた。
 それを払拭するには、彼と――ネーヨと、正々堂々戦って、勝って、
 彼女が言うところの「円満に」全てを終わらせるしかない。
 
 だが、それは、不可能だ。
 避けようのない現実だ。甘受するしかない。
 
 そう言われた途端、彼女のなかの何かが崩壊し、
 さながらダムのように、そのひびから、禍々しいものが溢れ出てきたのであった。
 
 
  _
( ゚∀゚)「……お前は、もう、逃げられないんだよ」
  _
( ゚∀゚)「『拒絶』の呪縛から、それも永遠に……な」
 
 
 
从 ;∀从「……」
 
从 ;∀从「………う、嘘……。」
 
 
 
.

421 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:42:36 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
从 ;Д从「あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああああああ
.      あああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 
 
 
 
.

422 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:43:06 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

423 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:43:40 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                「 嘘だぜ。 」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

424 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:44:12 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
( <●><●>)「―――ッ」
  _
( ゚∀゚)「っ…」
 
 
 
 ハインリッヒが、拒絶に完全に呑まれてしまいそうになった時。
 背後、それもずっと遠くから、ちいさく、短く、速く、そんな言葉が聞こえてきた。
 それに、ハインリッヒ以外の皆が、反応した。
 
 反応せざるには、得られなかった。
 その声が示すところの光景は、紛れもない『異常』となってしまうからである。
 見るものがアニジャであろうと、アラマキであろうと、「それ」が異常な光景であることに、違いはなかった。
 
 
 
/ ,' 3「……っ」
 
( ;´_ゝ`)「い、今、何て言った……?」
 
 
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「………『嘘』?」
 
 
 
 
 
.

425 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:44:44 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 ハインリッヒも、皆の反応に気づいた。
 そして、皆が、「それ」のほうに振り向いた。
 
 
 彼らは、悪寒と興奮を同時に感じた。
 
 
 
 
 
 
 
 ネーヨがそこに、横たわっていたのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

426 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:45:14 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
   「嘘だ。ああ、『嘘』だ。」
 
 
   「あっ、いっけね。どんな『嘘』か、言ってなかったな」
 
 
 
 
 
( <●><●>)「……! 貴様――ッ」
 
 
( ;´_ゝ`)「ど、どうして、あんたが……ッ!」
 
 
 
.

427 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:45:46 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
   「ああ、悪かったな。俺、嘘を三つ、ついてた」
 
 
   「一つ、俺は死んでないし、気絶してもない」
 
 
   「一つ、旦那は『全否定』していない」
 
 
   「一つ、」
 
 
 
 
.

428 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:46:23 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( メ∀ )「『旦那が消えたのは全否定を使ったからだ』」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

429 名前:同志名無しさん :2013/06/30(日) 17:46:59 ID:s2sNBMOk0
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「―――ッ!!?」
 
 
( ;゚ω゚)「も―――モ………っ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( ;゚ω゚)「 モララーッ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.


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