- 196 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:27:05 ID:IoG3pGAU0
-
○登場人物と能力の説明
( ^ω^)
→この世界の『作者』。
/ ,' 3 【則を拒む者《ジェネラル・キャンセラー》】
→あらゆる力及び力の法則を『解除』する《特殊能力》。
从 ゚∀从 【正義の執行《ヒーローズ・ワールド》】
→『英雄』が負けない『世界』を創りだす《特殊能力》。
( <●><●>) 【連鎖する爆撃《チェーン・デストラクション》】
→相手の手負いを『連鎖』させる《特殊能力》。
( ´ー`) 【全否定《オールアンチ》】
→なにも受け付けない《拒絶能力》。
( ・∀・) 【常識破り《フェイク・シェイク》】
→自然のうちに『嘘』を混ぜる《拒絶能力》。
(゚、゚トソン 【暴君の掟《ワールド・パラメーター》】
→『拒絶』化してしまった、それまでは『拒絶』ではなかった少女。
_
( ゚∀゚) 【未知なる絶対領域《パンドラズ・ワールド》】
→存在してはならない『領域』を創りだす《特殊能力》。
( ´_ゝ`) 【771《アンラッキー》】
→『不運』を引き起こすが、『能力者』でも『拒絶』でもない男。
(*゚ー゚) 【最期の楽園《ラスト・ガーデン》】
→『楽園』を『保守』し、そちらにワープする《特殊能力》。
.
- 197 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:27:37 ID:IoG3pGAU0
-
○前回までのアクション
( ´ー`)
→胴体が切断される
从 ゚∀从
→胴体を切断する
(*゚ー゚)
→能力を発動
_
( ゚∀゚)
( ^ω^)
( <●><●>)
/ ,' 3
→逃亡に成功
.
- 198 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:28:09 ID:IoG3pGAU0
-
( <●><●>)「……【手のひら還し】だと?」
_
( ゚∀゚)「『劣後』? どういうことだ」
( ;^ω^)「あ。えっと、……」
そのときになって、またも話がややこしくなった――と内藤は思った。
いま、それを逐一話している時間的猶予など、残されているはずもない。
この、ネーヨに一矢報いることができた今のうちに、次の策を練らなければならないのだ。
だが、ゼウスもジョルジュも、完全に注意がそちらに向かっていた。
彼らを無視して先に進むのは不可能だろう。
『革命』のブレイン二人がつっかかっているから、だ。
しかし、どうやって説明すればすぐに終わるか。
混乱に近い状態の内藤がその情報処理に費やす時間は、平生より大きくなるだろう。
内藤が言えることは、ひとつだけだった。
「あの少女」が―――
.
- 199 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:28:47 ID:IoG3pGAU0
-
. テノヒラガエシ
从 从『「優先」を「劣後」に 「 反 転 」 させました』
『因果』を拒絶し
从 ー 从『「ああすればこれがこうなります」。そんな「因果」は、クソ喰らえだ』
『異常』を植えつけてきた
从'ー'从『こっからは常識の通じない世界だぜ』
―――イレギュラー・バウンド、ワタナベ。
彼女が、この局面においてイレギュラーを引き起こした。
.
- 200 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:29:35 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ゚∀゚)「……じゃあ」
_
( ゚∀゚)「『英雄の優先』は、今は――」
( ^ω^)「……『対象に優先される』、いままでのとは真逆の効果となってるんだお」
从 ゚∀从「………。」
( <●><●>)「……なるほど」
_
( ゚∀゚)「しかし――これは、いいぞ! 勝機が見えてきた!」
戦闘の場に居合わせていなかったジョルジュとは違い、
実際に当時その場にいたゼウスは、それを聞いて全てを把握した。
一方のジョルジュは当時のことこそ知らないものの、
それでも今回のからくりを納得することはできたようだ。
先ほどまで拒絶に呑まれていたというのに、もう元に戻っていた。
それは、『世界』がリセットされたからなのだが――
.
- 201 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:30:08 ID:IoG3pGAU0
-
从;゚∀从「わッ――私がヤれ、ってか!?」
( ω )「そいつはできないお」
从 ゚∀从「…え?」
ハインリッヒは、話の流れからして、自分が戦場に立たされるのかと思った。
現在のネーヨに、唯一負荷を与えることのできる、自分が。
しかし、それだけは嫌だった。
四肢を奪われ、死以上の拒絶を植えつけられて、
未だに戦意が残っているというのもおかしな話だろう。
自分が、それもひとりでネーヨと戦うのは――
なんて思っていたところ、それを否定したのは、意外にも内藤だった。
その双方の面において、ハインリッヒはきょとんとした。
从 ゚∀从「でき、ねえ…?」
/;,' 3「しかしじゃな、現にこやつは――」
( ^ω^)「『劣後』は『拒絶』しない――」
/ ,' 3「――!」
.
- 202 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:30:44 ID:IoG3pGAU0
-
( ^ω^)「『全否定』なんて名前だけど」
( ^ω^)「『拒絶』の対象は、取捨選択できるんだお」
( ^ω^)「現に、最初……」
( ´ー`)『一応、同僚のムスメってことだからな。いっぺん、おめーの攻撃、受けてみたかったんよ』
( ^ω^)「奴は、一度、ハインリッヒからの攻撃をわざと喰らってたお」
从;゚∀从「……」
/;,' 3「じゃあ……」
( ^ω^)「これで、ネーヨはひとつ、学習した」
( ^ω^)「『英雄の優先』は『拒絶』してはならない≠ニ」
( ω )「……もう一度、チャンスがあるなんて思わないほうがいいお」
.
- 203 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:31:29 ID:IoG3pGAU0
-
ネーヨの拒絶の手から逃げ出せた――どころか、こうして彼に一矢報いることができた。
それも、ちいさなものではなく、胴体切断というかなり大きな負荷である。
加えて、ネーヨの『拒絶』を――二度も立て続けに破った。
賭けには、大勝ちしたのだ。
だが、それでもやはり、倍率はちいさかったようだ。
勝機。
ハインリッヒの『劣後』で、ネーヨを押し込む。
そんなものなど、現実には存在しなかった――
_
( ゚∀゚)「バーカ。誰が、『劣後』を使うと言った」
.
- 204 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:32:00 ID:IoG3pGAU0
-
从;゚∀从「……え?」
/;,' 3「なに? ……それ以外に、方法などないじゃろうに!」
( ;^ω^)「……? ほかに、勝機なんて―――」
一瞬浮かんだ希望が、呆気なく沈んだ、その挫折感。
ただのぬか喜びが彼らの壊れかけの心に追撃を図ろうとした。
そんななか、ジョルジュだけは、あっけらかんとした様子で、そう言った。
今回ばかりは、内藤も、彼がなにを考えているのか予想だにできなかった。
『作者』が知識において『登場人物』に負けるなど――
( <●><●>)「時間はない。はやく言え」
_
( ゚∀゚)「モララーんときと一緒だ」
_
( ゚∀゚)「……壊してしまうんだよ。あいつの、『拒絶の精神』を」
.
- 205 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:32:33 ID:IoG3pGAU0
-
モララー=ラビッシュ――。
この広場の傍ら、トソンの近くで彼も倒れている。
様々な『真実』によって、ついに彼は、『拒絶の精神』を崩壊させてしまった。
それと、一緒。
そこまで言えば、続きを言わなくとも、彼らに「方針」は伝わった。
とにかく、精神的な攻撃を続ける――
( ;゚ω゚)「バァーカなのはあんただお!」
_
( ゚∀゚)「……なに?」
ジョルジュが眉間にしわを寄せる。
内藤も負けないように声を張り上げた。
( ;゚ω゚)「あいつの『拒絶』は、モララーなんかの比にゃあならない!」
( ;゚ω゚)「モララーのときはたまたまうまくいったけど……今回ばっかりは、そんなラッキー、起こるはずねーお!」
.
- 206 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:33:07 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ゚∀゚)「それはなんでだ?」
( ;゚ω゚)「あいつの『拒絶』は強大で、強固で、強靭!」
( ;゚ω゚)「こっちからなにをしようと、涼しい顔で――」
_
( ゚∀゚)「だからこそ、勝機なんだよ」
( ;゚ω゚)「―――、」
( ;^ω^)「……え?」
_
( ゚∀゚)「考えてみろ」
_
( ゚∀゚)「あんたが焦るほどには、あいつの『拒絶』は、デカすぎる」
_
( ゚∀゚)「……そんなあいつは、『拒絶』できなかったんだぜ」
_
( ゚∀゚)「こんな、ショボい、さっきまで拒絶に呑まれてた『英雄』の……蹴りを」
( ^ω^)「!」
.
- 207 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:33:38 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ゚∀゚)「俺の予想で言えば………」
_
( ゚∀゚)「現時点で、あいつの『拒絶の精神』は、もうズタズタだ」
_
( ゚∀゚)「自我も半壊してるだろうよ」
――そのとき、ほかの皆は顔色を変えた。
はッとしたような顔に、なった。
そのなかには、内藤も、どうしてか、混じっていた。
/ ,' 3「高く積み上げた本、と一緒じゃな」
从;゚∀从「……一応、聞いてやる。なんだそれ」
アラマキは、咳払いをする。
/ ,' 3「高く積み上げた本は、その重量から、崩そうにもなかなか崩れない」
/ ,' 3「じゃが、いっぺん崩してしまえば、一気に本の塔全体が崩壊する」
/ ,' 3「……儂らは、ようやく導火線に火を点けることができたんじゃ」
.
- 208 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:34:10 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ゚∀゚)「そういうことだ。わかったか、内藤」
( ;^ω^)「……!」
内藤が、苦い顔をする。
言い負かされたから、とか云うわけではない。
そのことに気づかなかった自分が、わからなくなったのだ。
( <●><●>)「しかし、導火線に火が点いたからといって、すぐに爆発するわけではない」
( <●><●>)「貴様は、どうやってその火を、本体に届くまで残すつもりなんだ」
_
( ゚∀゚)「………」
( <●><●>)「答えろ、パンドラ」
威圧するように、ゼウスが促す。
しかしこれは、彼がジョルジュを嫌っているから、ではない。
このままもたもたしていると、せっかく点けることのできた火も、
すぐにネーヨに鎮火されるのが目に見えているからだ。
それは、言われずともジョルジュも理解していた。
提案者の彼は、当然そのことも考えていた。
ただ、言うのが忍ばれただけだ。
.
- 209 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:34:43 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ゚∀゚)「……」
_
( ゚∀゚)「んなもん、一つしかねーだろ」
一つ。
ゼウスが、眉を数ミリ、落とす。
_
( ゚∀゚)「俺たちが、拒絶に呑まれないように、精神体で抵抗する」
_
( ゚∀゚)「 『拒絶』 を、拒絶するんだ。」
.
- 210 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:35:18 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「―――ッ!」
――今まで、何度もでてきた言葉。
「『拒絶』を、拒絶する」。
現実の世界で、この話に割り当てようと思っていた、キャッチコピーだ。
だが、このときのジョルジュのそれは
どうしてか、今までのそれとは違って、なにか、特別な意味を帯びているかのように思えた。
心に、突き刺さったのだ。
まるで、自分が、その言葉に魅了でもされたかのような―――
.
- 211 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:36:17 ID:IoG3pGAU0
-
そう感じた理由を、即座に内藤は解析した。
当時のこの話の中軸を担うフレーズ、それが今になって輝いた。
それの意味するところは、一つしかない。
『拒絶』 を拒絶する戦い。
それが、終わりに差し掛かっている。
この戦いは、もう、クライマックスなのだ―――
.
- 212 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:36:54 ID:IoG3pGAU0
-
-----------------------------------------------------------------------
ブーンは自らのパラレルワールドに迷いこんだようです
第二部 第三十七話
「vs【全否定】X」
-----------------------------------------------------------------------
.
- 213 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:37:31 ID:IoG3pGAU0
-
◆
「だああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアッッ!!!」
( ;゚ω゚)「!?」
_
( ;゚∀゚)「なっ――」
内藤が感慨深いものに浸った次の瞬間、
その場に、爆音に近い雄たけびが聞こえた。
ほんとうに、爆音そのものだった。
無の状態から、一気に空気が震えた。
ゼウスでさえ、その唐突さと音量に反応を示したほど、それは凄まじい爆音だった。
从;゚∀从「き――きやがった!!」
(;#´ー`)「…………ずいぶんと、ナメてくれたじゃねーか……!」
.
- 214 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:38:14 ID:IoG3pGAU0
-
――ネーヨ=プロメテウスが、遅ればせながらも、還ってきた。
『拒絶』の再来。
むろん、誰一人として、それを歓迎する者はいなかった。
早くも忘れかけていた絶望が、蘇る。
そのとき、彼ら――特にハインリッヒが、身震いをした。
しかし、また同じ展開が待っているのか――
などと思う者は、いなかった。
それは、彼の様態を見ればわかった。
_ カ ワ
( ;゚∀゚)「……ずーいぶんと、豹変っちまったな」
_
( ;゚∀゚)「お前、そんな、顔怖かったっけ?」
.
- 215 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:39:01 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)
――ネーヨの顔面の筋肉は、引きつっていた。
左の目じりが、筋肉の硬直ゆえ、ヒクヒクとしている。
同様に左の口角が吊りあがっており、そこから大きな犬歯が見える。
筋肉は、膨れ上がっていた。
少し前、「あの男」を始末しようと思ったときに見せたそれと、同じだった。
肩から肺まわりから腕、脚――
とにかく、一通りの筋肉が、いっそうぶ厚くなっていた。
それは、ネーヨが『拒絶』であるなどと云うものを抜きにしてでも、畏怖を感じざるにはいられなくものだった。
そして、その腕も、目じりのようにヒクヒクと震えているのだ。
ところが、ハインリッヒが彼に与えた負荷は、どこにも見られなかった。
.
- 216 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:39:58 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ;゚∀゚)「(やっぱり……モララーと違って、こいつは回復できたか……!)」
ジョルジュはそこに、僅かばかりの希望を見出していた。
モララーの左目の傷と同じように、あわよくば、己の『拒絶』が適用外になるのではないか、と。
しかし、その点においては、内藤の言葉が正しかった。
モララーとはまるで別物なのだ、ネーヨ=プロメテウスの『拒絶』は。
いくらネーヨがプライド――以外の的を射た表現が存在しない心情――の塊と言えど、そううまくはいかなかった。
ネーヨが、のし、のし、と、迫ってくる。
足音だけで相手に恐怖心と拒絶心を同時に植えつけられるのは、ネーヨだけだろう。
そう思うほど、彼の足音には、彼の憎悪がたっぷりと籠められているように思われた。
(;#´ー`)「………まさか……」
(;#´ー`)「この、俺が、ほんとうに……ダメージを負うたァ、なあ……っ!」
ネーヨが、苦しそうにしゃべる。
物理的なダメージは『拒絶』したものの、精神的なダメージは『拒絶』できなかったようだ。
対象を『拒絶』する大本、『拒絶の精神』が、ダメージを負ったのだ。当然だろう。
.
- 217 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:40:31 ID:IoG3pGAU0
-
しかし、それでも、致命傷というわけにはいかなかったようだ。
彼は、明らかに『異常』を見せているものの、それと命とは直接リンクしていないと見受ける。
ただ、ようやくまともなダメージを与えることができた――程度のものであった。
(;#´ー`)「そうこなくっちゃ、なあ」
(;#´ー`)「モララーたちを駆逐しただけ、あるわ」
(;#´ー`)「俺は……おめえたちを、甘く見すぎていた」
(;#´ー`)「だから、その非礼を……詫びさせてくれ」
_
( ;゚∀゚)「……なに…?」
.
- 218 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:41:08 ID:IoG3pGAU0
-
ネーヨが、頭を、顔に影ができるようになるまで下げる。
そして、ヒクついていた腕や目じりを止めて、ちいさく
( ;# ー )「すまねえ、な。」
( ;# ー )「正直言うと、俺ぁ、飽きていた」
( ;# ー )「認めるぜ。 俺は、もう負けもイイところ≠セ」
( ;# ー )「……だから…………」
(;#´ー`)「………死んでくれ。」
.
- 219 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:41:45 ID:IoG3pGAU0
-
次の瞬間、ハインリッヒの頭部は爆発した。
., _
.;' _., ゙ ,
ル';。’*`',゜
_
( ;゚∀゚)「―――ッ!?」
( ;# ー )「…。」
そして、今度はジョルジュが
/;,' 3「なッ―――」
( <●><●>)「下がれッ!!」
.
- 220 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:43:02 ID:IoG3pGAU0
-
この、唐突な戦闘に、ハインリッヒ、ジョルジュは、立て続けに殺された。
その動きの一つひとつに、戸惑いや躊躇いなんてものはない。
「すぐに殺したら満たされない」
そんなものをまるで気にしていないかのような、速すぎる動きだった。
それの意味するところは、ひとつ。
ネーヨは、終わらせようとしたのだ。
自分の『拒絶』が通じなかった、この戦いを。
彼は、負けを認めた。
言い換えれば、『革命』の皆は、勝ったのだ。
この、『拒絶』を拒絶する戦い、に。
勝ったのに―――
( ;# ー )「逃がすかアアアアァァッ!!!」
(#'゙<○>< >)「くッ―――
/;,' 3「ゼウス!!」
.
- 221 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:43:56 ID:IoG3pGAU0
-
◆
( ;゚ω゚)「ど……どうなってるんだお!?」
(;* − )「……っ。」
ネーヨが現れた途端、シィは咄嗟に、内藤に飛びついた。
内藤も内藤で、その瞬間に、ネーヨから逃げ出した。
わからないこと続きで、思考回路が停止したのだ。
わきに抱えたシィを引きずりながら、なんとか逃げようとする。
その間に考えていたことは、ネーヨの異常行動について、だった。
( ;゚ω゚)「(ネーヨは……認めた! 己の『拒絶』が、通じなかったことを……!)」
( ;゚ω゚)「(そんなことを認めたら、己の『拒絶』を否定するのと同義!)」
( ;゚ω゚)「(んなもん、フツーだったら自己の否定! すぐに『拒絶の精神』は崩壊する……ハズなのに!)」
ネーヨは、なぜか、急に謝った。
そして、妙なことを口走った。
負けだ、と。
そのときに想起させられたことと言えば
嘗て、彼ら『拒絶』が、『革命』の面々に戦いを申し込んだ――
.
- 222 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:44:29 ID:IoG3pGAU0
-
( ^ω^)『……で、なんだお』
( ´ー`)『こっちとしてもな、あの二人を仕留めるような連中を野放しにするわけにはいかねえんだよ。
他の「能力者」は放置して、ちとおめえらを優先させてもらうぜ』
( ´ー`)『………モララーでさえ手こずるようなら、俺が出る、ともな』
( ;・∀・)『じょ、冗談キツいぜ。俺が負ける、とでも?』
( ´ー`)『同じことをショボンやワタナベにも言えんぞ。
不可能を可能にする奴らなんだ、「負ける筈がない」と思う方が不可能だな』
( ´_ゝ`)『あんたに暴れられると、なにが起こるかわからんからな……俺はとめておくぞ、一応』
( ´ー`)『俺を相手になにか≠起こさせた時点で、あっちの勝ちだ。
そん時は俺は殺されてるだろうよ』
.
- 223 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:45:38 ID:IoG3pGAU0
-
そして、先ほどのネーヨの言葉。
つまり、彼は認めたのだ。
「なにか≠起こされた」ということを。
また当時、ネーヨは言った。
「なにか≠起こされることは、殺されることと同義」と。
しかし、現状はどうだ。
ネーヨは負けを認めて引き下がるどころか、
当の『革命』の面子を、抹殺にかかっているではないか。
( ;^ω^)「……っ!」
――そこで、内藤ははッとした。
思えば、簡単なことだったのだ。
ネーヨは、『革命』に、己の『拒絶』を拒絶された。
そんななか、ここで『革命』を抹殺すると、どういうことになるのか。
『拒絶』を拒絶する存在を、拒絶する。
.
- 224 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:46:51 ID:IoG3pGAU0
-
( ;^ω^)「………、」
( ;゚ω゚)「…………ッ!」
――気づいた。
これは、小説なんかではないのだ。
「勝負がついたから、戦いは終わる」
そんなもの、小説の『世界』でのみ起こる出来事なのだ。
パラレルワールドはパラレルワールドでも、限りなくリアリティを兼ね備えている『世界』だ。
そんなきれいごとが横行することなど、それもネーヨに限っては、ありえなかった。
それに気づくことができたのは、
目の前にそのネーヨが立っていたときのことである。
.
- 225 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:47:52 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「………『作者』。」
( ;゚ω゚)「―――ッ」
いつの間に―――。
内藤がこの『世界』に迷いこんでから、幾度となく抱いていきた言葉。
しかしそれでも、内藤はそう思わなければならなかった。
内藤は、シィを連れて後退しながら、慌てて戦場だった場所に目を向けた。
状態は――言うまでも、なかった。
ゼウスも、ジョルジュも、アラマキも、ハインリッヒも
皆、急所を大破された状態で殺されている。
それを見て、内藤の眼のまわりの筋肉に力が籠められた。
ネーヨの、こちらに近寄ってくる足音が聞こえる。
内藤ははッとして、よりスピードをあげ、彼から逃げようとする。
これが、内藤にできる、唯一の「拒絶」だった。
(;#´ー`)「……っ。」
( ;゚ω゚)「……、……?」
.
- 226 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:48:51 ID:IoG3pGAU0
-
ふと、ネーヨは視線を、内藤から外す。
なにかに気づいたようなしぐさを見せた。
細い目を一瞬だけ、数ミリ開く。
その視線の先には――
(;*゚−゚)
(;#´ー`)「ああ……忘れてた。」
(;#´ー`)「真っ先に、おめえを殺すべきだったのによ。」
( ;゚ω゚)「!! ちょ―――」
――ネーヨは内藤のまん前に瞬間移動して、シィの頭部を鷲掴みした。
そのまま、シィの頭は、スイカでも割られたかのように、飛散した。
.
- 227 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:51:02 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「――! シィっ!!」
内藤の服に、血や、脳の残骸などが、付着する。
内藤の引っ張っていたシィの躯から、重みがすッと抜ける。
するッと己の腕から落ちたシィを見て、内藤は涙がこぼれそうになった。
(;#´ー`)「…………。」
( ;゚ω゚)「……ど………どう、して……」
(;#´ー`)「………………?」
.
- 228 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:51:52 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「どうして……殺したんだお?」
(;#´ー`)「…………」
( ;゚ω゚)「あんたは、負けたんだ!」
( ;゚ω゚)「ハインリッヒから、致命的なダメージを食らった!」
( ;゚ω゚)「つまり、『拒絶』できなかったってことだ!」
( ;゚ω゚)「あんたは、己を……『拒絶』を押し通すのに、失敗したんだお!」
(;#´ー`)「……。」
( ;゚ω゚)「なァーにが、『全否定』だ!」
( ;゚ω゚)「結局、否定できてないじゃねーかおッ!」
( ;゚ω゚)「【全否定】なんてスキルまであるのに、あんたは、己を、『拒絶』を、押し通せなかったんだ!」
( ;゚ω゚)「それは敗北……すなわち、死だ、と、あんたは認めていたお!」
( ;゚ω゚)「そして今、あんたは確かに、認めた! 己の、敗北を!」
( ;゚ω゚)「『拒絶』を拒絶する戦いに、敗れたんだお!」
( ;゚ω゚)「『拒絶』の代名詞、ネーヨ=プロメテウス!!」
( ;゚ω゚)「おまえは、負けたんだ!!」
.
- 229 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:52:46 ID:IoG3pGAU0
-
( ;# ー )「………うるせえ。」
( ;゚ω゚)「……ッ」
ネーヨが、ちいさく吼える。
思わず、内藤はたじろいだ。
(;#´ー`)「なんで、俺が、んなもんを……甘受しねえといけねえんだよ」
( ;゚ω゚)「なッ―――、あんたは……!」
(;#´ー`)「ンなもん、知るかよ」
( ;^ω^)「――ッ」
ネーヨの手が、内藤の胸倉に触れる。
服を引っ張られ、内藤はネーヨに引き寄せられた。
ネーヨのぶ厚く膨れ上がった胸板にぶつかる。
その筋肉量と、
溢れんばかりの『拒絶のオーラ』を間近で受けて、
内藤は思わず、失神しそうになった。
.
- 230 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:54:02 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「おめえ、俺が誰だか、わかってんのか?」
( ;^ω^)「……っ…。」
ネーヨが顔をずいッと近づける。
鼻息さえ顔にかかる距離だ。
内藤は拒絶心ゆえ、心臓が文字通り張り裂けそうになった。
(;#´ー`)「『拒絶』を拒絶させてしまった?」
(;#´ー`)「負けた? 敗れた? 敗北した?」
(;#´ー`)「どうして殺したってか?」
(;#´ー`)「一貫性がない?」
(;#´ー`)「『全否定』しきれてなかった?」
(;#´ー`)「んなもん、」
(;#´ー`)「全部、全部だ」
(;#´ー`)「んなもん…… 知らねえよ。」
.
- 231 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:54:39 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「もう一度、名乗ったほうがいいのか?」
(;#´ー`)「そうだな。いいじゃねーか。冥土への、俺からの土産だ」
(;#´ー`)「受け取れ、『作者』。」
そう言って、ネーヨは内藤の胸倉から手を外した。
乱暴に、放り投げるように、押す。
内藤は数メートル後退して、ふらつきながら、直立した。
アンチ スベテ
(;#´ー`)「俺の『拒絶』は、『拒絶』だ」
スベテ. ム シ ウチケ
(;#´ー`)「『拒絶』を、『拒絶』し、『拒絶』してやる」
(;#´ー`)「ヒトの持つ最悪の感情、拒絶の、代名詞」
(;#´ー`)「俺の名は―――オールアンチ。」
.
- 232 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:55:57 ID:IoG3pGAU0
-
何度言ったか、
何度聞いたか、
何度恐れたかわからない、その口上。
――なのに。
このときのそれは、どこか、寂寥感で溢れていた。
そして、内藤がその理由を知る由など、なかった。
ネーヨが、静かに、目を瞑る。
内藤は、どきりとした。
なにもかもが、終わる予感。
リアリティなど皆無に等しい、空間。
嫌な予感が的中する、という予感。
( ;# ー )「……あっという間、だったぜ。」
( ;# ー )「もうちっとばかし、長引くもんだと思ってたが……」
( ;# ー )「………いや。」
( ;# ー )「人外の域に達したやつらが戦ったら、得てしてこーなるわな」
( ;# ー )「俺も、その領域にいたんだがな……失念してたぜ」
( ;# ー )「人外=c…いや。」
(;#´ー`)「………欠陥≠フ領域に足を踏み入れてた、ってのに……よ」
.
- 233 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:57:58 ID:IoG3pGAU0
-
「…………終わりだ。」
「『拒絶』も、『世界』も、『作者』も……」
「終わらせてやる。」
.
- 234 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:58:29 ID:IoG3pGAU0
-
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- 235 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 06:59:01 ID:IoG3pGAU0
-
「逃げるのか?」
.
- 236 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:00:02 ID:IoG3pGAU0
-
( ; ω )
( ;^ω^)「………え……?」
(;#´ー`)「――なんだと?」
ネーヨがこの『世界』を終わらせようとしたとき
ネーヨの背後から、なにか、声が聞こえた。
それを不審に思ったのは、ネーヨと内藤、両人だった。
当然だろう。
もう、この場には、本来ならば「誰もいない」はずなのだ。
『革命』の皆は殺され、シィまであやめられてしまった。
ネーヨは『世界』をリセットしていないため、彼らが蘇るはずは―――
( <●><●>)「また………逃げるのか?」
.
- 237 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:00:58 ID:IoG3pGAU0
-
( ^ω^)「―――、」
( ;゚ω゚)「!!? なにィィィイイイイッ!?」
(;#´ー`)「――ッ!」
その瞬間、二人の思考は止まった。
存在してはならないはずの人物がいたから≠セ。
_
( ゚∀゚)
从 ゚−从
/ ,' 3
(;*゚−゚)「……? …?」
.
- 238 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:01:33 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「ちょ、待て、あ、―――ッ!?」
(;#´ー`)「まさか――」
ゼウス、ジョルジュ、ハインリッヒ、アラマキ、――シィ。
殺されたはずの皆が、その場に、立っていた。
そんなことは、起こり得てはならない。
一度死んだものは、蘇らないのだ。
それは、言うまでもない。
今までは、ネーヨが『世界』をリセットしていたから、蘇っていた。
蘇って――― もう一度、拒絶に、呑まれて。
しかし。
今のネーヨは、決して、『世界』を『拒絶』していなかった。
だとすると、彼らが蘇る術は、ないはずなのだ。
そのため、内藤はもう一度、目を見開いた。
一方のネーヨは、がばッと、ある方向に目を遣った。
(;#´ー`)「(まさか――― モララーか!?)」
.
- 239 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:02:15 ID:IoG3pGAU0
-
( メ∀ )
( 、 トソン
(;#´ー`)「(………違う……あいつじゃあ、ねえ)」
(;#´ー`)「(なら、どうして―――)」
死者を、蘇らせる。
そのような手品ができるのは、この場にいる者で考えると、モララーしかいない。
『あいつらは死んでいない』とでも『嘘』を吐けば、それでいいのだから。
しかし、彼は、ネーヨが登場してから少しして、
徐々に尽きつつあった『拒絶の精神』がついに尽きて、その場に倒れてしまっている。
そしてそれは依然変わっていないため、彼がなにかした、わけではなかった。
内藤も内藤で、現状を解析しようとする。
面食らったため、ネーヨよりもそれがはじまるのはだいぶ遅れた。
が、落ち着いては改めて現状を把握し、その実態を解き明かそうとする。
しかし。
解析なんて、する必要などないではないか。
どっちにしろ、自分にとってはプラスのことなのだから――
そんな考えが脳の片隅にあったため、解析しようと努めても、なかなか集中できなかった。
.
- 240 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:03:24 ID:IoG3pGAU0
-
内藤が、なにが起こったのか、をいつまで経っても言わなかったせいか
なにが起こったのかがわからないネーヨは、やり場のない憤りを感じ、ただ大声を発した。
(;#´ー`)「ちょっと、待てや」
_
( ゚∀゚)「……なんだ」
しかし、応対したジョルジュは彼とは相対的に、落ち着いている。
それがどこか憎らしく思え、ネーヨは、更に眉間にしわを寄せた。
――彼が顔に露骨に情を見せるのは、にわかには信じられない話だった。
ネーヨといえば、なにが起ころうとも、まずそれを顔に出したりはしない男だったのだ。
常に涼しい顔でいて、常に心を無にしていて、常に事象を『拒絶』していて――
しかし、いまのネーヨは、どうみても、
心の中の黒い感情を『拒絶』できていないように見受けられた。
それが、ジョルジュの言う『拒絶の精神』の損壊に当たるのだろうが――
しかし、だからといって、モララーのときのようにここから勝てるだろう、
とは、少なくとも『革命』のその他の三人は思うことができなかった。
.
- 241 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:03:55 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「……どーして、おめえらが、生きてンだよ」
_
( ゚∀゚)「……。」
(;#´ー`)「俺は、まだ、『世界』を『拒絶』しちゃいねえぜ」
(;#´ー`)「………それどころか、終わらせてやろう、なんて思ってたトコだ」
(;#´ー`)「…………どうして、みんな、生き返ってンだ?」
_
( ゚∀゚)「………。」
ジョルジュは、黙る。
わからないから答えられないから、答えたくないから答えないのか。
そのどちらかまではわからないが、しかし応対すらしないというのを見て、
ネーヨの苛立ちは余計に積もることになった。
彼は、プライド――のようなものの塊なのだ。
極度のわがままで、自尊心の高さは随一だし、自我が揺らぐことは、まずない。
あらゆる面において、彼の精神体は、強いのだ。
それは、彼の『拒絶』にも現れている。
【全否定】という、内藤が認める「トップクラスの能力」からも、それがわかるだろう。
それほど、彼の精神体は、それこそモララーなんかの比にはならないほど、強いのだ。
そんな自分の精神体――『拒絶』が、弄ばれている。
それが、彼にとって、何よりも悔しく、辛く、苛立ち、急き、焦り、そして拒んで然るべきことだった。
.
- 242 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:04:30 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「答えろ」
_
( ゚∀゚)「……。」
ジョルジュは、黙る。
(;#´ー`)「答えろ」
_
( ゚∀゚)「……。」
答える姿勢を見せない。
(;#´ー`)「……答えろ」
_
( ゚∀゚)「……。」
どころか、彼の眼差しを、しかと受け止めていない。
( ;# ー )「…………。」
.
- 243 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:06:01 ID:IoG3pGAU0
-
ネーヨは次第に、眼差しに宿す力を緩めていった。
眼光が弱まり、その視線からは、『拒絶のオーラ』があまり感じられなくなってきた。
呼吸が荒げる。
歯をきりきりと軋ませる。
肺の上下が大きく、深くなる。
うなり声に近いため息のような息を吐く。
握りしめた拳を、ぷるぷると震わせる。
口角を気味の悪いほど吊り上げる。
だんだんと、ネーヨの「怒り」が、腹の底から込みあがってきた。
それは、彼の様態を見れば手に取るようにわかることだった。
突如としての『革命』たちの復活。
その謎の現象を、解き明かせない。
どころか、それを知ろうにも、自分に知る手段がないのを見てか、
事情を知っていそうなジョルジュは、彼にその答えを言おうとはしない。
その双方の面において、苛立ちは溜まる。
だんだんと、ネーヨという強靭な狂人が、壊れつつあった。
.
- 244 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:08:31 ID:IoG3pGAU0
-
―――そして、「怒り」がかたちに成った。
( ;# ー )「答えろッつってんだろ!」
キョゼツ
( ;# ー )「俺は、『全否定』は発動してねえ!」
( ;# ー )「どーして、てめえが、のこのこと生き返ってやがンだ!!」
(;#´ー`)「答えやがれ、パンドラアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
.
- 245 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:09:49 ID:IoG3pGAU0
-
_
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)「………」
_
( ゚∀゚)「言えることは……ひとつ。」
――それまで黙っていたジョルジュが、ちいさく、口を開いた。
すっかり取り乱してしまっているネーヨが、それを見て、言葉を止めた。
彼の口の動きに注視し、聴覚を彼の言葉に捧げる。
それを見たジョルジュは、笑いも怒りも嘲りもせず、続けて、口を動かした。
(;#´ー`)「……」
_
( ゚∀゚)「たったひとつ、言えることは…………」
.
- 246 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:10:21 ID:IoG3pGAU0
-
残念だったな。
.
- 247 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:11:30 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「………なんだって……?」
_
( ゚∀゚)「……、……。」
――確かに、声が聞こえた。
しかし、方角と声色と声量からして、
いまの声は、ジョルジュのものではなさそうだった。
そのため、ネーヨと同じ境遇にいる内藤は、首を傾げた。
( ;^ω^)「い、いまの声は………?」
(;#´ー`)「……あ?」
( ;^ω^)「………」
( ^ω^)「……」
( ω )「………、……?」
.
- 248 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:12:06 ID:IoG3pGAU0
-
( )「あんたの失策は、これ≠己のスキルと勘違いしていた≠アとだ。」
――― 聞いたことの、ある声。
.
- 249 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:12:42 ID:IoG3pGAU0
-
( ゝ )「………いや。それよりも、根本的なものがあったな。」
――― 聞く者を、まるで
.
- 250 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:13:22 ID:IoG3pGAU0
-
( _ゝ )「あんたがしでかした、一番の『不運』は――― 」
――― そう、 『不運』 にしてしまうような
.
- 251 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:13:58 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「―――……あッ…! ああああああああああああああああああああああッ!!」
( ;゚ω゚)「まッ……まさか!!」
――そのときになって、その声の正体が、わかった。
ジョルジュの右腕兼、『拒絶』のお墨付き。
ジョルジュの研究所から出て、ネーヨに殺されかけた――
.
- 252 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:14:47 ID:IoG3pGAU0
-
( ´_ゝ`)「『不運』にも、俺をしとめ損ねたこと……だ。」
アンラッキー
【 7 7 1 】
この世でもっとも『不運』な男、アニジャ=フーン ―――
.
- 253 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:15:26 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「―――ッ!」
(;#´ー`)「………アニジャ……っ…!」
( ´_ゝ`)「もう『拒絶』はウンザリだったんだがな……事情が変わった。」
( ´_ゝ`)「これも一つの『運命』だ。………甘受しようぜ、旦那。」
―――突如として現れたのは、『不運』を携える男、アニジャ=フーンだった。
いつものように、暗く、ゆったりとした語り口で。
彼の近くにいるだけで、自分にどうしようもない『不運』が襲い掛かってきそうな――
.
- 254 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:16:59 ID:IoG3pGAU0
-
ネーヨが全身の筋肉を強張らせる。
しかし一方のアニジャは、ジョルジュと同じように、ただ沈着のままでいた。
それがあまりにも『異常』なことのように思えて、
傍らにいた内藤は、だんだん現状を把握できないようになってきた。
いま、なにが起こったのだ。
まず、ネーヨが『世界』を終わらせようとしたとき、誰かが声をかけた。
その誰か――は、死んだはずのゼウス。
ゼウスのみならず、ジョルジュ、シィなど、ネーヨに殺されたはずの皆が、蘇っていた。
この謎が、まず、解けていない。
だというのに、立て続けにやってきた謎、それがアニジャの存在だ。
どうして、ネーヨはなにもしていないのに蘇ったのか。
どうして、アニジャがここにいて、ネーヨと対峙しているのか。
――今の内藤には、わかる術などないものばかりだった。
.
- 255 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:17:55 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「アニジャあああああああああアアアアアアアアッ!!!」
( ´_ゝ`)「…ッ」
――しかし、内藤がそのことを考えるよりも、前。
痺れを切らしたのか、「怒り」が我慢の限界にきたのか
ネーヨは、アニジャの姿を見納めるやいなや、すぐに彼に飛び掛った。
ゼウスやジョルジュのいたとされる『開闢』にいたというだけあって、
ネーヨの戦闘力は、折り紙つきだ。
少なくとも、『武神』のアラマキをうならせるほどには、力には覚えがある。
そんな彼が、アニジャに飛び掛る。
つまり、その場ですぐ戦闘がはじまる、というわけだ。
しかし、アニジャは厄介な能力――?――こそ持っているものの、
「戦闘狂」と比べると、彼の戦闘能力は、まるで赤子のようなものだ。
. ムシ
『不運』をも『拒絶』できる【全否定】に、アニジャが勝つ術はない。
内藤は、このまま、すぐにアニジャは殺されてしまう、と思った。
.
- 256 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:18:27 ID:IoG3pGAU0
-
_,.
r l!,,_ `*,.>゙)
(;#´ー`)「………ッ。」
( ;゚ω゚)「!? ……!?」
―――そして、アニジャの首は、すぐさま胴体から外れた。
ネーヨが、彼の首を狙って殴りかかったのだ。
――のこのことやってくるくらいなら、対抗策など用意しているはずではないのか。
そんな内藤の予測を悪い方向で裏切ったアニジャは、そのまま、地に横たわった。
飛散する血液や肉、骨などを見て
ただでさえ謎が積もっている内藤に、更に重しが載せられた。
内藤はもはや、思考を放棄しているに近い状態だった。
.
- 257 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:19:18 ID:IoG3pGAU0
-
―――そして
思考を放棄していたから、こそ、次の声に意識を傾けることができた。
ちいさい、千切れてしまいそうなほどちいさい、その声に。
カ ッ ト
「 『 撮 り な お し 』 」
.
- 258 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:20:51 ID:IoG3pGAU0
-
(;#´ー`)「……なに?」
――「カット」。
その言葉が聞こえたとたん、ネーヨはあることに気がついた。
自分以外の皆の立ち位置が、元に戻った≠フだ。
この、元に戻った≠アと。
加えて、「カット」という、フレーズ。
その両方を見て、久々に、内藤は『作者』としての記憶を掘り下げることができた。
思い出した≠フだ。
なにかにつけて『時間軸』を『撮りなおし』しては、
『夢幻』に続く『世界』を創りだしてしまう、凶悪な少女≠フ存在を―――
.
- 259 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:21:30 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「!!! ――――、――ッ!!」
先ほどから大きな声を立て続けに出していたため、
内藤は、叫びたくても、声を出すことができなかった。
しかしそれでも、わかる。
見つけてしまった≠フだ。
広場の、奥。
最初からそこにアニジャがいたのであろう後ろに、
ちょこんと隠れている、背の低い少女、を。
『作者』としての記憶が、フラッシュバックでもするかのように脳裏に浮かび上がってくる。
一つ二つではなく、立て続けに、大量の記憶が。
それだけでは、ない。
内藤が先ほどまで抱いていた、疑問。
「どうして、彼らは蘇ったのか」。
それに、完璧な答えを見つけることが、ようやく、できた。
.
- 260 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:22:11 ID:IoG3pGAU0
-
( ;゚ω゚)「まッ―――待て!!」
( ;゚ω゚)「い、いまのいままでのアレは、ぜ、ぜんぶ!」
( ;゚ω゚)「ぜんぶ、あんたの仕業だったのかお!!」
.
- 261 名前:同志名無しさん :2013/04/13(土) 07:23:02 ID:IoG3pGAU0
-
(#゚;;-゚)
エン・ドレッサー
( ;゚ω゚)「………【夢幻の被写体】!」
( ;゚ω゚)「ディ=カゲキ!!」
.
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