- 80 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:11:57 ID:gGtCieYA0
-
○登場人物と能力の説明
( ^ω^)
→この世界の『作者』。
/ ,' 3 【則を拒む者《ジェネラル・キャンセラー》】
→あらゆる力及び力の法則を『解除』する《特殊能力》。
从 ゚∀从 【正義の執行《ヒーローズ・ワールド》】
→『英雄』が負けない『世界』を創りだす《特殊能力》。
( <●><●>) 【連鎖する爆撃《チェーン・デストラクション》】
→相手の手負いを『連鎖』させる《特殊能力》。
( ´ー`) 【全否定《オールアンチ》】
→なにも受け付けない《拒絶能力》。
( ・∀・) 【常識破り《フェイク・シェイク》】
→自然のうちに『嘘』を混ぜる《拒絶能力》。
(゚、゚トソン 【暴君の掟《ワールド・パラメーター》】
→『拒絶』化してしまった、それまでは『拒絶』ではなかった少女。
_
( ゚∀゚) 【未知なる絶対領域《パンドラズ・ワールド》】
→存在してはならない『領域』を創りだす《特殊能力》。
( ´_ゝ`) 【771《アンラッキー》】
→『不運』を引き起こすが、『能力者』でも『拒絶』でもない男。
(*゚ー゚) 【最期の楽園《ラスト・ガーデン》】
→『楽園』を『保守』し、そちらにワープする《特殊能力》。
.
- 81 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:12:31 ID:gGtCieYA0
-
○前回までのアクション
( ´ー`)
→『世界』を『拒絶』
( <●><●>)
→下半身をちぎられ気絶
/ ,' 3
→四肢をもがれ気絶
从 ゚∀从
→顔面を壊され気絶
_
( ゚∀゚)
→左目を潰され気絶
.
- 82 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:13:10 ID:gGtCieYA0
-
( ー )「おめえが『作者』で」
( ー )「俺らが『登場人物』だから」
( ー )「必然的に、おめえには敵わねえ―――」
( ´ー`)「そんなもん、知らねえよ。」
( ´ー`)「んな『世界』、俺が『拒絶』してやった」
( ´ー`)「……俺の名は、オールアンチだ」
( ´ー`)「覚えといてくれよ……おめえら。」
.
- 83 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:13:53 ID:gGtCieYA0
-
( ;゚ω゚)「(ありえない!!)」
内藤はその『拒絶』された『世界』を目の当たりにして、
ただそれを否定することしかできなかった。
この『世界』が、内藤が『作者』として手がけたのと同一のものであるならば
そこでは必然的に、内藤が「設定」として設けたルールが絶対であるはずなのだ。
今回の場合では、それが「時には抗えない」だった。
だからこそ、内藤は、ただかぶりを振るうことしかできなかった。
( ;゚ω゚)「(【全否定】の、唯一のデメリット!)」
( ;゚ω゚)「(全否定できない≠アとこそがすべて!)」
( ;゚ω゚)「(時だとか運だとか刺激だとか、そういうものに対しては『全否定』はできない……のに!)」
『全否定』とは、文字通り、対象を完全に自分のなかからシャットアウトすることである。
たとえば運を『全否定』すれば、つまり以降の自分は全て運と無縁な存在となる。
生に運は決してほどけないほど複雑に絡まっているため、その運を完全に無視してしまえば、
自分は世界の基軸と完全に食い違う存在となってしまい、消滅するか即死するか――
とりあえず、なにか、現実ではありえないようなことが起こってしまう。
時を『全否定』できない理由は、嘗てネーヨ自身がアニジャに言っていた。
ネーヨがその知識を持っていたのは、その掟を知っているように内藤が設定づけたためである。
概念的、抽象的、形而上の問題となるが、とにかく、
ネーヨがこのたびの『拒絶』をしたのは、内藤の視点からすれば「ありえなかった」。
.
- 84 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:14:23 ID:gGtCieYA0
-
( ;゚ω゚)「(これも……パラレルワールドの影響なのかお!?)」
( ;゚ω゚)「(『英雄』は急成長するし、モララーは恋心をいだくし……)」
( ;゚ω゚)「(……だとしたら……)」
( ;゚ω゚)「僕は……帰れないのかお…?」
( ; ω )「元の世界に……帰れないのかお?」
.
- 85 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:15:07 ID:gGtCieYA0
-
◆
从;゚∀从「な、なにが……。」
( <●><●>)「……」
从;゚∀从「ゼ、うす。なんか言ってくれよ」
( <●><●>)「………」
从;゚∀从「ゼウス?」
ネーヨが感慨深いものに浸っているのか、だんまりとしている。
身の危険を感じなかったハインリッヒはそれを機に、ゼウスの元に向かった。
彼は、ハインリッヒの声こそ聞こえていたが、しかし答えるつもりはまるでなかった。
ハインリッヒがゼウスの元に向かうのを見て、ジョルジュも、アラマキも。
皆、ひとつの場所に集っていった。
今しがた起こった「不可解」を前に、「戦闘狂」としてのプライドなど、まるでなかった。
/;,' 3「儂は……四肢をもがれたよーな気がするんじゃがの…。」
从;゚∀从「………」
当時の地獄絵図を思い出し、ハインリッヒは軽い眩暈を起こした。
ふらっと揺れ、倒れそうになるのをなんとか踏みとどまる。
.
- 86 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:15:38 ID:gGtCieYA0
-
( <●><●>)「……パンドラ」
_
( ゚∀゚)「なんだ」
( <●><●>)「いまいち解せない」
( <●><●>)「奴は……我々を回復させた≠フか?」
【全否定】のことは知っているが、わからなかったのはそれをした理由と、そのからくりだ。
前者はどうとでもこじつけできるとして、後者はどうしてもわからなかった。
ネーヨの《拒絶能力》は、あくまで「否定」。「拒絶」。
否定も拒絶も、自分が好まないあることを拒むという意味合いのものだ。
つまり、自分が対象となったものを無視する、打ち消す――それが、スキルではないのか、と。
ジョルジュはうつむいて、ゆっくり、かぶりを振るった。
彼がポケットに手を突っ込む姿を見られるのは、これが最後かもしれない。
彼の表情を見てふと、ハインリッヒは思った。
.
- 87 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:16:37 ID:gGtCieYA0
-
_
( ゚∀゚)「それに関しては、もう内藤が言っている」
( <●><●>)「?」
_
( ゚∀゚)「進化≠オちまった――そんなところだろう、とよ」
/ ,' 3「進化…!」
_
( ゚∀゚)「俺ぁ、この手のことを研究してるから、よくわかる」
_
( ゚∀゚)「『時間軸』は、絶対の存在なんだ」
_
( ゚∀゚)「いくら【全否定】のプロメテウスでも……抗えない」
_
( ゚∀゚)「……本来は=v
/ ,' 3「本来は、ちゅーと……」
_
( ゚∀゚)「ああ。」
_
( ゚∀゚)「プロメテウスは、その『世界』の掟さえ、『拒絶』しやがった」
.
- 88 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:17:26 ID:gGtCieYA0
-
そして、ゼウスの呼吸が深くなった。
彼も、ジョルジュと同じ考えに至ったのだ。
ネーヨの【全否定】。
本来は、自分への干渉をシャットアウトするスキル。
しかし、その概念的ルールをも――拒絶した。
となると、彼がいまからする行動は一つ。
彼は、「満たされたい」のだ。
それも、心の底から、充足に満たされたがっている。
【全否定】の概念的な制限は、いま、取り払われた。
いま、彼の充足への探究心を妨げる存在は――ない。
_
( ゚∀゚)「……ゼウスよ」
( <●><●>)「なんだ」
_
( ゚∀゚)「どうやったら、逃げれそうだ」
( <●><●>)「逃げる、か」
ゼウスは、ふッと笑った。
( <●><●>)「そんな方法があれば、既に私はここにいない」
.
- 89 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:17:56 ID:gGtCieYA0
-
◆
( ´ー`)「………。」
ネーヨは、いま自分が『拒絶』できた『世界』を見て、悦に浸っていた。
ついに自分は、『拒絶』できないものまで『拒絶』してしまったのだ。
この『真実』が、あまりにも清々しく、またそれだけで既にある程度の充足感を得ていた。
呼吸が、ゼウスとは違った意味で、深くなる。
いま自分がこうして立って、息を吸って、光景を見て、香を感じ、風を聞き、躯でそれを受け止めている
この、『世界』を前に感じられるその全てが、どれも心地よく思えた。
風情だ。風流だ。趣き深い。
――気づけば、そんなセンチメンタルな領域にまで、彼の思考は達していた。
それほど、この『真実』が気持ちよかったのだ。
( ´ー`)「……で」
ネーヨは、一歩を踏み出す。
玩具――は、一箇所に固まっている。
嘗ての同輩で、人類最強のステータスを誇るゼウス。
『革命』のなかでトップクラスの能力を持つハインリッヒ。
単純な破壊力とその武術なら、ゼウスをも凌ぐアラマキ。
世界の規律と完全に矛盾する存在を生み出すジョルジュ。
彼らを視界に納め、一歩一歩を確かに踏み出しながら
ネーヨは、ついにこのときがきた――と、拳を握りしめていた。
.
- 90 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:18:35 ID:gGtCieYA0
-
( ´ー`)「俺は、このときを待っていた」
『革命』の面々が、その恐るべき『拒絶のオーラ』を察して、一斉にネーヨのほうに向いた。
それまでは、彼は己の持つ『拒絶のオーラ』は完全に『拒絶』していた。
また、今の場合、一緒に気配も『拒絶』していた。
そのため、彼がその両方を一気に解放した瞬間
異臭――では到底形容が追いつかないほどの、恐ろしい空気がその場に流れた。
オノレ
( ´ー`)「いつか、『世界』に『拒絶』を知らしつける……」
モララーとワタナベとショボンが三人横に並んでいても、味わうことのないであろう『拒絶のオーラ』。
生理的、心理的にではなく、もはや物理的に彼に近づくことはできない――
そう思わざるを得ないほど、彼の持つ『拒絶』は桁外れのものとなっていた。
「『拒絶』の最大の武器は、その『拒絶のオーラ』」。
ジョルジュの言っていたことが、このときになってようやく、現実味を増した。
目の前にその好例がいては、認めざるを得ないだろう。
( ´ー`)「ついに……俺は、満たされる。」
――このオーラには、逆らえない。
.
- 91 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:19:08 ID:gGtCieYA0
-
◆
从;゚∀从「なッ――なんだ、コレ!」
_
( ゚∀゚)「『拒絶のオーラ』だ! さっき話しただろ!」
/;,' 3「……さすがの儂でも、戻したくなるのォ。」
( <●><●>)「……。」
アラマキが言ったその表現は、決して誇張ではなさそうだった。
顔色がみるみるうちに青くなっていく。
元々しわだらけの顔だったが、加えて顔がしかめられていた。
このなかで冷静でいられたのは、ジョルジュとゼウスだけだった。
ゼウスは、自分の心に生まれるこのマイナスの感情を、
同じくらいの強さを持つ抵抗の心で打ち消すようにしている。
つまり、意識せずとも、堪えていた。
_
( ゚∀゚)「今からは、絶対に気を抜くな」
_
( ゚∀゚)「気を抜いた瞬間、あいつの『拒絶』に呑まれる」
_
( ゚∀゚)「過ぎ去った時を『拒絶』する術を身につけてしまった以上――」
_
( ゚∀゚)「一度呑まれたら、生きたまま地獄がはじまると思え」
.
- 92 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:19:40 ID:gGtCieYA0
-
( ´ー`)「―――おせえ。」
_
( ;゚∀゚)「ッ!!」
/;,' 3「跳べ!」
―――ジョルジュが皆にそう言ったあと、気がつけば、真上からネーヨが飛び降りてきていた。
物理法則を『拒絶』することで宙に瞬間移動をして、奇襲を仕掛けてきたのだ。
右の拳を握りしめ、彼らが集まっていた場所の中央にそれが下りるように、それを振り放つ。
最初に、彼らの間にできたネーヨの影に気づいたのは、ジョルジュとアラマキだった。
ジョルジュは、自分の視界に偶然にも影ができたから。
アラマキは、視線をうつむけていたから、いち早くネーヨの奇襲に気づくことができた。
ゼウスを髣髴とさせる奇襲を見せられジョルジュが動転したとき
アラマキは彼とは対照的に、落ち着いて、「跳べ」と命令した。
本能的にかそれを聞いてかは定かでないが、その場にいた四人は後退するようにその場から飛び退いた。
.
- 93 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:20:12 ID:gGtCieYA0
-
从;゚∀从「さ……避けれ、た…?」
( ´ー`)「……ほー。」
――ネーヨの奇襲は、ほんとうに一瞬だった。
頭上三メートルほどのところから、重力によって落下速度が加速された状態で現れたのだ、
高速戦闘を旨とするハインリッヒとゼウスが避けられたのはいいにしても、
そうでないジョルジュとアラマキは、彼の奇襲の右拳は喰らうことが必至ではなかったのか。
ふとそう思うも、その理由はなんとなくではあるが掴めていた。
後退したとき、身体が軽かった≠フだ。
ハインリッヒはそれを反芻してから、アラマキのほうを見た。
彼は「間に合った」と言いたげな顔をしていた。
( ´ー`)「……まさか。」
( ´ー`)「例のナントカってスキルを、そーやって使うたァな」
( ´ー`)「………アラマキ=スカルチノフ。」
/ ,' 3「則を拒む者、よ」
.
- 94 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:20:42 ID:gGtCieYA0
-
_
( ;゚∀゚)「(重力かなにかを『解除』して、身体を軽くしたってのか……!)」
ジョルジュの咄嗟の解析は、しかし的中していた。
主にカウンターの用途で使われることが多い【則を拒む者】が
まさかこのような用途で使われるとは――
ジョルジュは解析が終わってから、ふとそう思った。
そしてそれは、内藤も一緒だった。
( ;^ω^)「……。」
( ;^ω^)「(やっぱり……進化≠オてやがるお、どいつもこいつも……。)」
( ;^ω^)「(一瞬だけ重力を『解除』して後退の補助をする=\―)」
( ;^ω^)「(んな発想、本来のアラマキなら考えることすらないのに)」
そう思って、内藤はため息を吐いた。
もう、わけがわからなくなっていたのだ。
目まぐるしく変わり行く、このパラレルワールドが。
.
- 95 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:21:19 ID:gGtCieYA0
-
◆
( ´ー`)「おら、かかってこいよ」
ネーヨが言う。
( ´ー`)「いま、俺は『拒絶』を解除してる」
( ´ー`)「今なら、俺にダメージを与」
――直後、ゼウスがネーヨの背骨に右脚を放った。
そして、ゼウスは顔面の右半分が砕かれた。
.
- 96 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:21:50 ID:gGtCieYA0
-
( r#゙゛><○>)「ッ!」
( ´ー`)「……なんちって。」
_
( ;゚∀゚)「なに!?」
――ネーヨは、途中でゼウスに遮られこそしたが、こう言いたかったのだ。
「いまは『拒絶』を解除している。今ならダメージを与えることができる。だから、かかってこい」と。
そのセリフを途中まで聞いて、言わんとすることを理解したゼウスは
ネーヨが慢心に浸ったがゆえに生まれたチャンスだと思い、不意打ちで彼にダメージを与えようとした。
後退したとき、ゼウスは偶然、ネーヨの背が見える位置に立った。
ネーヨが慢心に浸って呑気にしゃべっていて、『拒絶』は解除されている上に、
不意打ちの名手である自分がその背後に立っている。
ゼウスは、この上ない、そして唯一のチャンスだ――と、思ったのだ。
結論から言うと、それは『嘘』だった。
それ――つまり、『俺は「拒絶」を解除している』ということが。
.
- 97 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:22:55 ID:gGtCieYA0
-
ゼウスはその『嘘』にまんまと騙されて、彼に攻撃してしまった。
ほんとうは、いま彼はあらゆる負荷を『拒絶』しているため、殴っても蹴っても、彼は怯まない。
ゼウスの不意打ちを予測でもしていたのか、彼の蹴りを受け止めたと同時に
ネーヨは、左の裏拳でゼウスの左の頬骨を打ち砕いた。
――これが、今の一瞬で起こった一部始終だった。
( *´ー`)「ぶっはははははは!! あのゼウスが、俺に騙されるたァーな!!」
( r#゙゛><○>)「くッ…!」
从;゚∀从「(ゼウスが……喘いでやがる……!?)」
ゼウスが、はじめて苦痛に喘ぎ、顔を歪ませ、声を荒げた=B
アラマキやハインリッヒとの戦いでは常に涼しげな様子でいて
ワタナベにやられるときも、決してここまで劣勢を感じさせるような声は発しなかったゼウスが。
そんな、「人外」のゼウスが。
いま、明らかに焦った=B
.
- 98 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:23:28 ID:gGtCieYA0
-
ハインリッヒは虚を衝かれるも、冷静にそれを見つめなおす余裕など、彼女にはなかった。
ゼウスは不意打ちが失敗したのを見て、すぐさま後退――いや、逃げようとした。
だが、ネーヨが、せっかく釣れた#゙をそうやすやすと逃がすはずもなかった。
( *´ー`)「逃がさねえぜ、ゼウス」
( r#゙゛><○>)「…!」
ゼウスはさながらとんぼ返りでもするかのように一瞬で引き返したが
しかし、それでも「瞬間移動」には敵わなかった。
ネーヨに背を向け逃げるゼウスの背後に現れては
ネーヨは、ゼウスの足首を掴んだ。
そして、ネーヨはそれを引っ張る。
当然、物理法則によって、ゼウスは転ばざるを得ない。
転倒しそうになって重心が浮くのを見て、ネーヨは足首を持ち上げた。
ふわり、とゼウスが浮く。
その隙に、ネーヨは手早く、空いているほうの足首も掴む。
ネーヨが両手で、ゼウスの両足首を握っている状態となった。
そして、右足は右方向に、左足は左方向に
ネーヨは、思いっきり引っ張った。
.
- 99 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:23:58 ID:gGtCieYA0
-
結果、ゼウスは胴体を横に二分割するようにして引き裂かれた。
.
- 100 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:24:28 ID:gGtCieYA0
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Parallel World → No.35
vs "ALL ANTI" III
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
- 101 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:25:10 ID:gGtCieYA0
-
第三十五話 「vs【全否定】V」
( r#゙;:,;'´ _,.
",,li'、○>)
从 ゚∀从
/ 。゚ 3
_
( ゚∀゚)
.
- 102 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:25:41 ID:gGtCieYA0
-
彼らは、硬直した。
まるで、ミシン目の入った紙でもちぎったかのように
きれいに、ゼウスは真っ二つに引き裂かれた≠フだから。
骨だの、内臓だの、脳だの、お構いないで、だ。
そのため、その引き裂かれたゼウスの断面には、
人体模型などで見られるような臓器などの様子が、鮮明に残っていた。
当然、頭蓋骨も真っ二つだ。
ふと頭に目を向ければ、脳の断面図が見受けられた。
そしてそれは、人間ならば、決して見たくないであろう地獄絵図だった。
また、彼らの場合、それにも増して、これは見たくない光景であった。
それも当然だろう。
戦闘能力としては最強のゼウスが、
ただの雑魚にしか見えなかったのだから。
【全否定】、ゼウスという人外を――否定。
.
- 103 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:26:15 ID:gGtCieYA0
-
_
( ;゚∀゚)「チッ――」
( ´ー`)「おめえも逃がさねえよ」
その様を見て、ジョルジュはつい先ほど見せられた惨劇を思い出した。
白衣を翻して、ゼウスと同様に退散の手をとる。
が、それが無駄であることは、誰よりもジョルジュがよく知っていた。
だがそれでも、逃げるという選択肢をとらなければ、『拒絶』に呑まれるような――
そんな気がした、のである。
从;゚∀从「テメェ―――!」
そして、惨劇を見たくないのはハインリッヒも一緒だった。
彼女は、『革命』のなかで唯一、メンタル面が弱いのだ。
若い女性で、加えて『英雄』として育ってきた彼女は、「惨劇」を知らなかったためである。
ジョルジュを助けるべく、それこそ無駄とわかりつつも、彼女はネーヨに無謀にも立ち向かった。
アラマキはそれを止めたかったが、しかし足がすくんで、動けなかった。
戦争では、如何なる惨劇を見せ付けられても涼しい顔をしていたのに。
そんな国家最強の戦士でさえ、この信じがたい、恐るべき惨劇は甘受できなかったのだ。
.
- 104 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:26:50 ID:gGtCieYA0
-
_
( ;゚∀゚)「来るな――」
( ´ー`)「……へえ」
从;゚д从「あ―――。」
瞬間移動でジョルジュの背に立っていたネーヨは
立ち向かってくるハインリッヒの声と気配と足音を聞いて、振り返った。
そのときのネーヨの顔は、悪魔のそれと形容するのがもっとも相応しかった。
顔に、影が映えて。
口角が裂ける勢いで吊りあがっていて。
その細い目の向こうには、限りなく黒に近い瞳が広がっていた。
ネーヨは踵を返して、無謀にも突っ込んできたハインリッヒの右腕を掴んだ。
このときにして、ハインリッヒは「近づきすぎた」と思った。
腕を掴まれたハインリッヒを見て、今度はジョルジュが彼女を救おうとする番となった。
このとき、ジョルジュがとろうとした救済策は、彼女と同じように飛び掛る――ものではなかった。
近寄ってしまえば、ハインリッヒもろとも殺されてしまう。
そのため、使おうと思ったのは、足ではなく――【未知なる絶対領域】だった。
.
- 105 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:27:29 ID:gGtCieYA0
-
. パンドラズ ・ ワールド
【未知なる絶対領域】。
. パンドラズ・エリア
絶対不可侵の『領域』をつくるという点においては、【 絶 対 領 域 】と差異はない。
変わっている点は、モララーとの戦闘のときに、既に遺憾なく発揮している。
概念論、物理法則、因果律のどれもから独立した存在、『領域』。
それを「自由なかたちで」「自由な動きで」――すなわち、自由自在に扱うことができる。
それが、進化したジョルジュ=パンドラの《特殊能力》、【未知なる絶対領域】だった。
彼が真っ先に思いついた方法は、「前方に進む『領域』」を生み出すこと。
波のように進むそれを、ネーヨとハインリッヒの二人に向けて放つ。
ネーヨは、アラマキが心筋の動きを停止させようとしたときに既に明らかになっているのだが、
おそらく、あらゆる能力を『拒絶』している。
すると、ジョルジュのこの『領域』も当然効かないはずだ。
しかし、ハインリッヒには、モララーのときと同じように、通じる。
そのため、モララーのときのように、彼女は『領域』に押し出されるのだ。
――つまり。
ネーヨとハインリッヒとを、無理やり断つことができる。
_
( ;゚∀゚)「……ッ!」
.
- 106 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:28:09 ID:gGtCieYA0
-
そううまくいくことを信じて、ジョルジュは『領域』を放った。
三メートル四方、傾斜なしの地面と垂直に交わるようなそれを、百キロ毎時、七時の方角に。
腕を、突きつける。
この所作を挟む理由は、至極単純。
アラマキやハインリッヒが『解除』、『優先』の対象を違えないようにそれを口にするのと同じものだ。
能力の誤作動を、防ぐため。
「あの男」がいない限り、猶予さえあれば、ジョルジュはこの能力を誤作動することはない。
冷静に、落ち着いて、沈着に、ハインリッヒを救出に出た――
『領域』に押し出されるように、風が先行して動く。
それを肌で感じたネーヨは、この上ない悪魔のような笑みを浮かべた。
( ー )「………馬鹿め」
_
( ;゚∀゚)「…?」
.
- 107 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:29:52 ID:gGtCieYA0
-
―――能力が、誤作動したのか?
違った。
誤作動したのは、ジョルジュの思考だった。
ハインリッヒは、確かに『領域』に押し出され、
ジョルジュの目論見どおり、ネーヨと距離をとることに成功した。
掴まれていた右腕を残して=B
.
- 108 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:30:23 ID:gGtCieYA0
-
从ii! ∀从「!!!」
_
( ;゚∀゚)「―――あ」
_
( ;゚∀゚)「ああああああああああああああああああああ!!!」
ジョルジュは「そのこと」に気づいて、慌てて『領域』を解除した。
ハインリッヒはどさり、と地に落ちる。
しかし、このときには既に、遅かった。
ネーヨがハインリッヒのほうに歩み寄りながら、しかしジョルジュに向けて声を放つ。
ちいさな声のはずなのに、やはり、その声は心に重くのしかかってきた。
( ー )「おおかた、『領域』で俺と『英雄』をふるいにかけよーとでもしたんだろうが」
( ー )「結果として、おめえは守れなかったわけだ、同志を」
( ´ー`)「……バーカ」
.
- 109 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:31:24 ID:gGtCieYA0
-
从ii! ∀从「ああああああアアアアアアアアアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ!!!」
ハインリッヒは、五体不満足に陥ったことなど、一度もない。
――というより、アラマキがただ異例なだけで、一般的な思考を持つ人間が
四肢のうち一つだけでも失えば、しばらくの間は精神が狂ってしまうのが常だ。
ハインリッヒは、肩――根元からずぼっと抜けた右腕を左手で触れて、
またいつものように右腕を動かそうと意識したりして、そして、叫んだ。
動かない。
神経が届かない。
意思が伝わらない。
ない。
右腕がない。
動かせない。
頭を掻こうにも右腕に感触がない。
痺れている、ギプスをしているなんてものではない。
「ない」。
ただ、肩のところにまで来た脳の信号だけがむなしく消滅する。
流れ出る血、溢れてくる痛みなんかよりも
ハインリッヒは、ただ「右腕がない」ということが何よりも苦痛だった。
.
- 110 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:31:54 ID:gGtCieYA0
-
だが、ハインリッヒにとっての苦痛は、それだけではなかった。
ネーヨが、歩み寄ってくる。
自分から右腕を奪い、今まで一度も、ほんとうに一度も味わったことのない恐怖――
「拒絶」を、植えつけた男、ネーヨ=プロメテウス。
彼の足音が、消えかかっていた意識のなかで唯一、反響していた。
その、彼が音を刻む足が、死の宣告以上に恐ろしいもののように思えた。
――まだ、これ以上の「拒絶」が、自分を待っている。
その確実性のある予想が、更にハインリッヒに「拒絶」を植えつけた。
彼女は泣き叫びながら、しかしなんとかして、逃げ出した。
.
- 111 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:32:24 ID:gGtCieYA0
-
/;,' 3「重力を……『解除』ッ!」
四肢を奪われたばかりのアラマキは、その恐ろしさを知っていた。
少なくとも、失った瞬間、意識が全壊したほどには、恐ろしい。
だからこそ、彼はジョルジュと同じように、ハインリッヒを逃がそうとした。
真っ先に思いついたのは、「宙に逃げる」。
重力を数秒だけ『解除』して、ハインリッヒを遠くへ逃がす。
空中でのすばやい移動手段がないハインリッヒにとっては、それはただの足掻きにしかならないのだが
それでも、このままみすみす見捨てるよりは、よっぽどましなように思われた。
所詮は、足掻きだったわけだが。
从ii! ∀从「ア゛ア゛ア゛ア―――…?」
ハインリッヒが、飛ばされた事実を、空気が薄くなったのを感じてから察する。
そして、アラマキが自分を逃がしてくれたのか――と、かろうじて理解した。
重心を前方に預け、少しでも地上にいるネーヨから逃れようとする。
直後、そのハインリッヒに、影ができた。
.
- 112 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:32:57 ID:gGtCieYA0
-
从ii!゚∀从「…………あ」
( ー )「迎えにきたぜ。感謝しな」
両手を絡ませたネーヨは、それをハインリッヒの背中に振り下ろした。
――所詮は、足掻きだったのだ――
.
- 113 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:33:30 ID:gGtCieYA0
-
/;。゚ 3「ぐ……ぬゥ!!」
アラマキの誤算は、ネーヨの反射神経だ。
そもそも、ジョルジュの『領域』を見てからハインリッヒの腕をもぐことを咄嗟に考えたネーヨが
アラマキの能力で宙に飛ばされたハインリッヒを見て、
即座に「打ち落とす」という発想を浮かべないとは考えにくかったのだ。
このときは既に、もうハインリッヒに重力を『入力』している。
通常の則に従い、背中をひどく強く殴られたハインリッヒは、隕石のように、落下した。
この光景は、アラマキとハインリッヒ、両方に覚えがあった。
从;゚∀从『石に―――』
/ ,' 3『……勝った』
从; ∀从『っギィ!』
.
- 114 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:34:03 ID:gGtCieYA0
-
――ここで、出会いのときを思い出したのは
彼自身が、ここで命を落とすのを予想していたからなのだろうか。
――気がつけば、ハインリッヒは地に打ち付けられていた。
胴体が切断されていないのを見ると、彼は物理的にハインリッヒを攻撃したようだ。
一度目のゼウスのときのように、切断しないのか――
そう思ったアラマキだが、彼がそうしない理由は、彼の動きを見ていたら、わかった。
( ´ー`)「じーさんは特別メンタルがつえーみたいだったから、おめえにするわ」
从ii!゚∀从「 え 」
/;。゚ 3「―――!! ま、待――ッ」
ネーヨが、彼女の背に右脚を重しとして″レせる。
そしてネーヨは、ハインリッヒの両足を、付け根から―――
.
- 115 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:34:39 ID:gGtCieYA0
-
从 ゚∀从「
( ´ー`)「で、左も――」
/;,' 3「させん!」
( ´ー`)「お」
先ほど、ゼウスが彼女を助けたときのように。
アラマキも見よう見真似で、彼――彼女に、飛び掛った。
彼女を地面と並行に蹴ることで、遠くに逃がすのだ。
予想でもしていたのか、ネーヨが視線をそちらに遣る。
迎撃態勢はとらないが、視線が彼を射抜く。
( ´ー`)「……こいつァ、おもしれ――」
_
( ;゚∀゚)「跳べ!」
( ´ー`)「――なに?」
.
- 116 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:35:16 ID:gGtCieYA0
-
/ ,' 3「!」
そのとき、アラマキは跳んだ。
見たのだ。砂煙が、「なにか」に押し出されている様を。
――ジョルジュは、ネーヨがハインリッヒから手を離したのを見て、もう一度。
先ほどと同じように動く『領域』を、放ったのだ。
それを見た上でジョルジュの言葉を聞いて、アラマキはとにかく跳んだ。
ネーヨは浮いていた口角を沈めた。
ハインリッヒが押し出されていく様を見ながら=B
( ´ー`)「……。」
_
( ;゚∀゚)「飛ばすぞ!」
( ´ー`)「……うぜってェんだよ」
_
( ;゚∀゚)「!」
ジョルジュは、もう一度腕を前方に振ろうとした。
彼の、アラマキに向けて放った言葉から察するに、
「次はお前に『領域』を放つ。だから、逃げろ」――そう言いたかったのだろう。
だが、ジョルジュは『領域』を飛ばすことはできなかった。
背後に立っていた<lーヨに、両方の肺を指で貫かれたのだ。
.
- 117 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:35:50 ID:gGtCieYA0
-
_
( ;゚Д゚)「―――! ――――ッ!!」
( ´ー`)「肺に穴を開けてやった。数分、そーやって酸素を求めてな」
_
( ; Д )「!!!」
ジョルジュは、胸に両手を伸ばし、服を鷲づかみにして、がくん、と膝をついた。
口を大きく開き、遠く離れていても聞こえるほど、大きく息を吸う。
しかし。
吸えども吸えども、酸素はすぐに穴から抜けていく。
躯をコンクリートで固められて海に沈められたような錯覚。
違うのは、空気を吸っているという実感はするのに、酸素は得られないことだ。
――常時窒息状態。
通常の窒息状態よりも長い時間、酸素を求め、彼はもがくことしかできなくなった。
.
- 118 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:36:24 ID:gGtCieYA0
-
/;,' 3「な――ッ!!」
( ー )「おめえはパンドラのまぬけ面を拝んどきな」
/;,' 3「っ!」
一瞬だけ、ネーヨがアラマキの背後に現れては、そう言い残す。
アラマキが即座に振り返ったが、次の瞬間には、ネーヨは再び瞬間移動をしていた。
次に彼が現れたのは、両足と右腕を失ったハインリッヒの、前。
アラマキは、もう目をそらすことしかできなかった。
ハインリッヒは、残された左腕だけを必死に使って、なんとかネーヨから逃げ出そうとしていたのだ。
.
- 119 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:36:54 ID:gGtCieYA0
-
从ii!;Д从「ひァっ… 。 !」
( ´ー`)「鬼ごっこ……にしちゃあ、おッせーな。足が自慢の『英雄』じゃねーのか?」
从ii! Д从「……ッァ!!」
ハインリッヒは、顔面を涙と、涙に張り付いた土でいっぱいにしている。
もう、既に「拒絶」の限界をかいま見た――つもりだったのに。
いま、その限界の更に上を、見ている。体感している。そこにいる。
もし、自分の声帯がもっと頑丈だったなら、張り裂けそうなほど悲鳴をあげていただろう。
もし、自分の左腕の力がアラマキやゼウスほどあれば、地面を思いっきり殴っていただろう。
もし、自分に四肢が残っていれば、地面をのた打ち回り破壊活動に勤しんでいただろう。
―――どれも、拒絶心を体内に生み出してしまったがゆえの狂気じみた思考だった。
.
- 120 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:37:48 ID:gGtCieYA0
-
そして、ハインリッヒの左腕はもぎとられた。
.
- 121 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:38:21 ID:gGtCieYA0
-
从ii! Д从「 ア 」
神経がつながっていた感覚が、消えた。
動くのは、首と、せいぜい、腰くらい。
いつものように、立って、走って、跳んで。
そんな動作をしてくれる四肢に力を、信号を送るが
しかし、なんの反応も、感覚もない。
動きたいのに、動けない。
躯を拘束されたとは違う。
酸素を求め苦しみもがいているジョルジュと一緒で
「そこにあるのにできないもどかしさ」、そんな感じだった。
.
- 122 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:38:54 ID:gGtCieYA0
-
( ´ー`)「サッカーでもすっか」
从ii!;Д从「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
. ああああああああああああああああああああああああああああ
. あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
. ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
四肢を失ったハインリッヒを待っていたのは、
まるで彼女をボールと見立てたのか、
彼女を、殺さないように優しく蹴ってくるネーヨの足だった。
抵抗できない。
ただ、漠然と、意識だけが残っている。
抵抗する術のないまま、ハインリッヒは、蹴られ、転がっていく。
四肢はない――だるま=B
蹴られるがまま、物理法則に従って転がる。
途中で何度か、ハインリッヒは吐い
.
- 123 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:39:37 ID:gGtCieYA0
-
◆
( ゜ω゜)
たのは、内藤も一緒だった。
顔面をかきむしったため、爪痕が残っている。
血が若干にじんでいる。
心なしか急激に老けたような面構えだ。
髪はぼさぼさになり、口は常に半開きだ。
目は見開いている。
四肢を失ったときのアラマキと同じように、血管が眼球に張り巡らされていた。
彼は今、戦闘――?――に、背を向けている。
.
- 124 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:40:09 ID:gGtCieYA0
-
ここまで――とは、思っていなかった。
いや、ただの予想としては、この戦いが始まる頃からついていたはずだ。
ネーヨ=プロメテウスがいる限り、『拒絶』と戦うということはつまり「これ」を予期していたはずだった。
ならば、最初から『拒絶』を相手に逃げていればよかったのか。
――いや、違った。
元々は、『拒絶』のほうから申し入れをしてきた戦いなのだ、これは。
( ・∀・)『俺はいま、モーレツにおまえらを殺したい。満たされたい=B
だけど、それだと他の「拒絶」との約束を
破っちまうから、今回は忠告にきただけ、さ』
今は、失意の果てに――「拒絶」に自ら呑まれた果てに――
倒れた、『拒絶』イチの好戦家、モララー=ラビッシュ。
思えば、彼との出会いが全ての始まりだった。
.
- 125 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:40:46 ID:gGtCieYA0
-
フェイク・シェイク
【 常 識 破 り 】を最初から躊躇いなく見せて、彼ら――『革命』――に危機感を植えつける。
逃げ道、選択肢はない――そう知らしつけたところで、『拒絶』を拒絶する戦いを強制する。
そのため、モララーに目をつけられてしまった時点で、もうこの未来は確定していたのだ。
ならば、回避する方法はあったのだろうか――
そう思ったところで、内藤ははッとした。
そもそも、最初に『拒絶』に触れたのは、ほかならぬ――
( ω )「(僕が……奴らを、招いたのかお……?)」
内藤武運。 己なのだ。
.
- 126 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:41:25 ID:gGtCieYA0
-
むろん、最初からモララーは隠れてそこに潜んでいたため、
「自分が口にしたから」彼らがやってきた、というわけではない。
しかし、ここがパラレルワールドで、自分が『作者』である以上、内藤はそれを疑わざるを得なかった。
――もし、このパラレルワールドの進行に、自分の意識が干渉していたら――
そこまで思って、内藤はかぶりを振った。
惨劇から目を背けて、もうだいぶ、落ち着いてきていた。
( ω )「(そんなはずはないお。望んでもない展開がきた以上、ありえないお)」
( ω )「……ワルキューレ。」
.
- 127 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:42:23 ID:gGtCieYA0
-
――黒髪の少女を脳裏に浮かべながら、内藤はそうつぶやいた。
( ω )「(僕の意識が『世界』に干渉するなら、彼女≠ェ僕の前に現れるはずはなかったんだお)」
( ω )「(なのにああして出会って、しかもフラグまで立てられた以上……この仮説は、はずれ)」
自分もこの『世界』の一部でありながら、あくまで客観的視点を以て、内藤は考えていた。
いつまでたっても「自分は作者だ」という意識が脳から離れないのだ。
( ω )「(それに……【全否定】。 あれの進化も、おかしい)」
( ω )「(概念的に、おかしいんだお。 『時』まで『拒絶』するのは)」
( ω )「(……でも、奴は『拒絶』した)」
( ω )「(じゃあ………、)」
( ^ω^)「……パラレルワールド。」
( ^ω^)「ここは、僕の知っている『世界』じゃあ、ない」
( ^ω^)「……僕は、もう……この『世界』から、脱出できないのかも……しれない。」
.
- 128 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:43:08 ID:gGtCieYA0
-
内藤は、悟った。
逃避でも、諦めでも、絶望でも、拒絶でもない。
悟った≠フだ。
从'',;:;Д゙リ「ああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああ!!!」
_
( ; Д )「――カ―――ぁ――――っ―――」
( ^ω^)「………」
.
- 129 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:44:11 ID:gGtCieYA0
-
―――僕が、作者なら
―――ここで、このパラレルワールドは
―――絶望、失意、拒絶にまみれたまま
―――終わらせるんだろうなぁ……
( *´ー`)「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!
. イイ、イイぞ!! もっと鳴け、喚け!!」
( ω^)「……。」
.
- 130 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:44:43 ID:gGtCieYA0
-
( ω )「…。」
.
- 131 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:45:17 ID:gGtCieYA0
-
…………ごめん……。
.
- 132 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:45:50 ID:gGtCieYA0
-
.
- 133 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:46:20 ID:gGtCieYA0
-
答えたのは、少女だった。
.
- 134 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:46:51 ID:gGtCieYA0
-
「………あ、あの。」
.
- 135 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:47:22 ID:gGtCieYA0
-
( ω )「…?」
( ;^ω^)「! な、なん――」
『拒絶』に、ついに呑まれそうになったとき。
内藤の肩を、叩く者がいた。
.
- 136 名前:同志名無しさん :2013/04/05(金) 01:47:55 ID:gGtCieYA0
-
(;*゚ー゚)「………は、…はじめまして……、……じゃなかった」
(;*゚ー゚)「……ナイトー、……?」
パラレルワールドは、まだ動いている。
.
←第三十四話 / 戻る / 第三十六話→