- 919 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:09:34 ID:LPOyqarA0
-
知らねえよ。
.
- 920 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:10:06 ID:LPOyqarA0
-
○登場人物と能力の説明
( ^ω^)
→この世界の『作者』。
/ ,' 3 【則を拒む者《ジェネラル・キャンセラー》】
→あらゆる力及び力の法則を『解除』する《特殊能力》。
从 ゚∀从 【正義の執行《ヒーローズ・ワールド》】
→『英雄』が負けない『世界』を創りだす《特殊能力》。
( <●><●>) 【連鎖する爆撃《チェーン・デストラクション》】
→相手の手負いを『連鎖』させる《特殊能力》。
( ・∀・) 【常識破り《フェイク・シェイク》】
→自然のうちに『嘘』を混ぜる《拒絶能力》。
(゚、゚トソン 【???】
→『ワールド・パラメーター』と呼ばれる少女。
( ´ー`) 【???】
→『オール・アンチ』と呼ばれる男。
_
( ゚∀゚) 【未知なる絶対領域《パンドラズ・ワールド》】
→存在してはならない『領域』を創りだす《特殊能力》。
( ´_ゝ`) 【771《アンラッキー》】
→『不運』を引き起こすが、『能力者』でも『拒絶』でもない男。
(*゚ー゚) 【最期の楽園《ラスト・ガーデン》】
→『楽園』を『保守』し、そちらにワープする《特殊能力》。
.
- 921 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:10:38 ID:LPOyqarA0
-
○前回までのアクション
( ・∀・)
→劣勢
_
( ゚∀゚)
从 ゚∀从
/ ,' 3
( <●><●>)
→モララーを追い詰める
(゚、゚トソン
→気絶
.
- 922 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:12:13 ID:LPOyqarA0
-
第三十三話 「vs 」
――それが涙だ、と気づいたのは、いつの間にか肉薄していたハインリッヒに蹴られたあと、だった。
モララーはハインリッヒに蹴られ、ジョルジュとアラマキの間を通って
そのまま十メートル弱、飛ばされた。
(; メ∀ )「――ッ!!」
从 ゚∀从「………?」
ハインリッヒは蹴ったあと、己の脚に目を遣った。
蹴った感触が、想像していたものとまるで違っていたから、だ。
蹴った感触がしない――わけでは、ない。
ちゃんと、「蹴った」という実感はできた。
脚に残る感触が、それを雄弁に物語っている。
だが、どこか、「強敵を蹴った」というような実感は、思いのほか、なかった。
少なくとも、実の詰まったものを蹴ったような感触ではなかった。
空のダンボールを思いっきり蹴ったときのようなものである。
そしてハインリッヒは、蹴り飛ばされているモララーが静止したあたりで、ふと、その正体がわかった。
充足感、達成感ではなく―――虚無感。
言い換えるならば、今のモララーは脆かった、ということだ。
.
- 923 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:12:45 ID:LPOyqarA0
-
(; メ∀・)「く……ソっタレ……!!」
从;゚∀从「も、モララー?」
砂を躯の右側に塗りつけ、モララーはのそり、と起き上がった。
その動きはどこかぎこちなかった。
怒りに震えた者が起き上がる動作にそれは似ていたが、モララーの場合は違った。
どちらかというと、大きな病に侵されている脆弱な者のそれに似ていた。
それを見てハインリッヒは、明らかに『異常』を感じた。
(; メ∀・)「み……みせてやろうじゃねえか……」
ホンキ
(; メ∀・)「俺の……『大嘘』を……っ!」
やがて、モララーは立ち上がった。
しかし、生まれたての小鹿のようにその足取りは覚束なく、
まるで立っているだけでやっと――であるかのように思わせられた。
――いや、実際に、彼は立っているだけでやっと、の状態だった。
.
- 924 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:13:33 ID:LPOyqarA0
-
从;゚∀从「いつの間に、ここまでダメージ喰らってやがんだ……?」
_
( ゚∀゚)「……今の飛ばされ様を見て、身を以てわかったんだろうよ」
从 ゚∀从「え?」
ぼそ、とつぶやくと、ジョルジュが訊かれてもないのにそれに答えた。
この間、モララーから不意打ちがやってくる――そんな気配は、感じられなかった。
_
( ゚∀゚)「一見ふつうのように見えるが、今のモララーの精神は、ズタズタだ」
从 ゚∀从「なに…?」
_
( ゚∀゚)「もう、俺たちが手を下すまでもねえ。勝手に死ぬぞ、あいつ」
从 ゚∀从「!」
それを聞いてハインリッヒは目を見開いた。
また、モララーもそれに食いついた。
彼の声は、ジョルジュの主張を裏付けするかのようなものだった。
(; メ∀・)「……ずいぶん、勝手なこと、言ってくれんじゃねえか……!」
_
( ゚∀゚)「お前の、モララー=ラビッシュの生みの親だぜ。判るよ、ンなこと」
(; メ∀・)「ッるせえ!!」
(; メ∀・)「『消えていなくなれ』ッ!!」
.
- 925 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:14:17 ID:LPOyqarA0
-
――そしてジョルジュは、モララーに飛び掛った。
(; メД )「 ッ 」
_
( ゚∀゚)「精神が安定してないのに、意志の弱ぇ『嘘』が吐けるかよ、ボケ」
(; メД )「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」
ジョルジュは両手をポケットに突っ込んだまま、右脚でモララーの腹を捉えた。
メリ、と何かが軋む音が聞こえては、モララーはすぐ背後の壁にぶつかって、その場にくずおれた。
壁、とは言うが、言うまでもなく『領域』である。
もう、己にかけていた『ジョルジュの能力は効かない』という『嘘』でさえ、効かなくなっていた。
(; メ∀ )「ま……待て! 待ってくれ!」
_
( ゚∀゚)「生きる時間を一秒でも無駄にしたいのか」
(; メ∀ )「な、なんで『嘘』、吐けねえんだよ! なんで『拒絶』できねえんだよ!!」
_
( ゚∀゚)「……」
オレタチ
(; メ∀・)「答えてくれ! 『拒絶』の元凶だろ、てめえ!」
_
( ゚∀゚)「………」
.
- 926 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:15:12 ID:LPOyqarA0
-
モララーは反撃するかと思えば、うずくまったまま、腕だけをジョルジュの足に伸ばしてきた。
彼の足首を掴んでは、そのまま、かすれた声で叫んだ。
それを聞いて、ジョルジュは目を細めた。
その目が、己を哀れむそれのように見えて、モララーは叫びを強くした。
ジョルジュの呼吸の一つひとつが大きくなる。
モララーは全身の毛穴が広がってきた。
_
( ゚∀゚)「……お前は、な」
(; メ∀・)「…?」
_
( ゚∀゚)「怖くなった≠だよ。『拒絶』するのが、な」
(; メ∀・)「……なんだと……?」
ジョルジュは腕を組んだ。
彼はよく腕を組むかポケットに手を突っ込むのだが、
物事を軽視するさいは後者、真剣になるときは前者になることが多いようだ。
_
( ゚∀゚)「お前は、『真実』を拒絶する人生のなかで、唯一…かは知らねぇが、信頼できるものができた」
_
( ゚∀゚)「あそこの、女だ」
(; メ∀・)「……」
モララーはうずくまったまま、そちら――トソンに目を遣った。
平生から肌がきれいなわけではないが、今のトソンはその平生と比べてずいぶんと肌を荒らしていた。
目じりのあたりにしわが窺える。
生気の感じられないその様子を見て、モララーは眉をひそめた。
.
- 927 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:15:58 ID:LPOyqarA0
-
_
( ゚∀゚)「――だというのに、その信頼を、壊された」
_
( ゚∀゚)「壊した原因は、『拒絶』そのものだ」
(; メ∀・)「違う!」
恫喝に近い声でモララーが言う。
しかしジョルジュはお構いなしに続けた。
_
( ゚∀゚)「せっかくそこに信頼ができたのに、あろうことか『拒絶』に潰されたんだもんな。
. 本末転倒だ。入り組んだパラドックスだ。そりゃ、『拒絶』が怖くなるわ」
(; メ∀・)「……勘違いしてるぜ、おまえ」
_
( ゚∀゚)「なんだ?」
(; メ∀・)「俺は……トソンのことなんざ、ハナから信頼して…ねえよ」
(; メ∀・)「あいつは『拒絶』のなり損ない」
(; メ∀・)「完成品の俺が、あいつを同格と見なすわけがねえ」
_
( ゚∀゚)「……」
(; メ∀・)「なんとか、言えよ。息すんのも、つらくなってきた」
ジョルジュの足を掴んでないほうの彼の手は、自分の胸のあたりにまわしていた。
そして、服を、皮膚を鷲づかみにしている。
呼吸が困難なときに見られる所作だ。
この言葉に、「嘘」は感じられなかった。
.
- 928 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:17:00 ID:LPOyqarA0
-
_
( ゚∀゚)「確かに、互いを『拒絶』として見てたら=Aお前はだーれも信頼なんざしてねーよな」
_
( ゚∀゚)「むしろ、この世でもっとも信頼しちゃならない存在なんだからな、『拒絶』なんてシロモノは」
_
( ゚∀゚)「人の、考えられる限りもっとも黒い精神で構成された存在なんだから」
ジョルジュは右手で左腕の肉を掴んだ。
服にしわができる。
――が、彼の眉間には更にしわが刻まれていた。
しかし、それは怒りを表すものではない。
彼の今の心の険しさ、を表現するものであった。
(; メ∀・)「ワタナベが、その好例だろーよ」
(; メ∀・)「『同じ拒絶同士なんだから、きっと心の底では通じ合えているさ』」
(; メ∀・)「なーんて……『嘘』でも言えねえな」
_
( ゚∀゚)「あいつは単なる心の黒さならお前にも勝ってたしな」
_
( ゚∀゚)「だが、それでもお前は、あの女を信頼していた」
(; メ∀・)「ジョーダンも、たいがいにしやがれよ……!」
( メ∀・)「『俺のフェイク・シェイクはまだ死んでない』んだからな……!!」
.
- 929 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:17:38 ID:LPOyqarA0
-
そう言うと、モララーはすッと立ち上がった。
【常識破り】――己の『拒絶』で、己の負荷を取り払ったのだろう。
彼のこの言葉にも、「嘘」はなかったようだ。
ジョルジュ自身も、「意志の弱い『嘘』は吐けない」としか言ってない。
意志があれば――
自分のその一瞬一瞬の思いに「嘘」がなければ、スキルはまだ死なない、ということのようだ。
だが、今の彼は、自分の精神体に「嘘」を吐いていた。
_
( ゚∀゚)「……そもそも」
( メ∀・)「あ?」
_
( ゚∀゚)「信頼することを『拒絶』したやつが誰かを信頼するなんて、本来ならありえねえよ」
( メ∀・)「よぉぉ〜〜くワカってんじゃねーか。
だから、さっきのおまえの推理はまったくのデ・タ・ラ・メって――」
_
( ゚∀゚)「人の話聞かねえ奴だな。『本来』つっただろ」
( メ∀・)「……なに?」
.
- 930 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:18:41 ID:LPOyqarA0
-
モララーはどうやら、徐々に調子を取り戻しつつあるようだ。
この感情の起伏の激しさは、ワタナベの前例を見ているため、彼らが不審がることはなかった。
「『拒絶』とは負の精神体の具現化」――そう、わかっているのだ。
先ほどまでか細かった声はどこにいったのか、モララーは野太い声を発した。
しかし、ジョルジュの声は、それよりも更に低かった。
_
( ゚∀゚)「それまで、モララーのなかにあったものじゃねえんだ、この信頼は」
( メ∀・)「悪いな、俺は科学者サマのおまえほど賢くはねえんだ」
_
( ゚∀゚)「こういう言葉で表現すんのは苦手なんだが……端的に言ってやるよ」
( メ∀・)「なにをォ?」
_
( ゚∀゚)「おまえが今まで押し隠してきた、信頼の皮に覆い隠された『真実』だよ」
そしてジョルジュは、深く息を吸った。
同時にうつむけた顔をあげ、彼は組んでいた腕をとき、指をトソンのほうに向けた。
彼の声は無意識のうちに大きなものとなっていた。
_
( ゚∀゚)「お前はな」
.
- 931 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:19:14 ID:LPOyqarA0
-
_
( ゚∀゚)「あいつを、オンナとして¢zっていたんだよ」
.
- 932 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:19:56 ID:LPOyqarA0
-
( メ∀・)
从 ゚∀从「…? どゆこと?」
( <●><●>)「貴様には縁のなさそうなハナシだな」
从 ゚∀从「……おい、ジジィ。どういうハナシだ」
傍らにいた三人が、そのときに各々が口を開いた。
ハインリッヒは首を傾げて、きょとんとした顔で。
ゼウスは依然、無表情のままで。
アラマキは、なにやら渋い顔をしては、ハインリッヒの問いに応じてやった。
/ ,' 3「儂の冗談が通じた、ってとこじゃな」
从 ゚∀从「?」
ハインリッヒがもう一度首を傾げる。
今度は誰も応じてはくれなかった。
.
- 933 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:20:51 ID:LPOyqarA0
-
_
( ゚∀゚)「それまでのお前は、調査によると
. とにかく拳ひとつで暴れまわっていただけの、ただのアウトローだったようだな」
_
( ゚∀゚)「『拒絶』となってからもそれは変わらずだ。
. ただ、ショボンやワタナベっつー同志…にもならない同志ができただけで」
_
( ゚∀゚)「ワタナベは、あれはもう狂人だから『オンナ』には入らないからな。
. この手のことに関しては、以前と変わらずだ」
( メ∀・)
_
( ゚∀゚)「だが、そこにあの女が来た」
_
( ゚∀゚)「どうやって『拒絶』の集団に潜りこんだかは知らねーが……
. ひとつ言えることは、当時は『拒絶』じゃなかった」
_ オマエラ
( ゚∀゚)「ふつうのオンナだったんだよ。ただ、ちょっと『 拒絶 』と話ができるだけの、な」
( メ∀・)
( メ∀・)「……おまえ、結構つまんねーこと考えてたんだな」
( メ∀・)「そーゆーのは非科学的だ、とか言って一蹴しそうなのによ」
.
- 934 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:21:29 ID:LPOyqarA0
-
ジョルジュの言葉を聞いて、最初にモララーが発したのは、
そんな、呆れたような声色をひそめた、力のないものだった。
_
( ゚∀゚)「でも、そうすっと、お前が『拒絶の精神』を乱したことに合点がいく」
( メ∀・)「なに?」
_
( ゚∀゚)「お前は、あの女に殴られたことで嘘の鎧が砕けたんじゃない」
_
( ゚∀゚)「あいつが『拒絶』化したって『真実』を身を以て知ってしまったから=v
_
( ゚∀゚)「お前は壊れてしまったんだ」
.
- 935 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:22:08 ID:LPOyqarA0
-
( メ∀・)「!」
_
( ゚∀゚)「お、わかったみたいだな」
(; メ∀・)「ッ!」
ジョルジュは、明らかに動揺したモララーを見てそう言った。
その言葉を聞いてもう一度、モララーは動揺を見せた。
今度は上体を少し屈めて、だ。
モララーはそれを信じようとはしなかった。
不覚ながら動揺してしまった自分に「嘘」を吐くように、彼は声を大きくさせた。
(; メ∀・)「……あまり、人の神経を逆撫でするもんじゃ……ねえぞ…!」
_
( ゚∀゚)「じゃあ試すか?」
(; メ∀・)「なに…?」
言うとジョルジュは続けて、白衣を翻しながら振り返り、ゼウスのほうに上体を向けた。
モララーもゼウスも、なんだと思ってジョルジュの顔を見る。
ジョルジュはなんてことなない様子で、しかしあまりに重い言葉を投げかけた。
_
( ゚∀゚)「ゼウス、その女殺していいぞ」
.
- 936 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:22:44 ID:LPOyqarA0
-
( メ∀・)「 」
( <●><●>)
ゼウスがその言葉の真意を測ると、持ち前の初速を生かして、
すぐさま近くに横たわっているトソンのほうに飛び掛った。
砂煙が舞う。
なんの躊躇いもなく、ゼウスはトソンの首を切り落としにかかった。
一秒にも満たない、瞬間移動とも呼べそうな攻撃。
彼の、決して腕とは思えない手刀を、やはりいつものように振りかざす。
しかし――
というより、おそらくハインリッヒとしぃ以外の誰もが予測できたことではあったが――
.
- 937 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:23:33 ID:LPOyqarA0
-
( メ∀・)
( 、 トソン
( <●><●>)「……フン」
/ ,' 3「…ほ」
从;゚∀从「……モララー…?」
――モララーよりも、ゼウスのほうがトソンとの距離は短かった。
モララーの足は彼らのなかでもハインリッヒに次ぐほど速いが、
それでも初速に限って言えば、モララーでもゼウスには敵わない。
しかも、モララーは完全に出遅れていた。
ゼウスは最初からわかっていたのか、ジョルジュの言葉とほぼ同時にスタートを切ったのに対し
モララーは、ゼウスが砂煙を撒き散らしたときにようやくジョルジュの言葉の意味を理解したのだ。
だが、それでも
.
- 938 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:24:43 ID:LPOyqarA0
-
( メ∀・)「………殺すぞ」
( <●><●>)「一度殺した男が言うと、洒落にならない言葉だな」
モララーはトソンの前に立ちはだかって、ゼウスのその手刀を、受け止めていた。
つまり、これは『嘘』――彼は、【常識破り】を使って、ゼウスを止めにかかったのだ。
そのときの姿勢は、先ほど声を震わせて、崩壊を感じさせていた男とはまるで違って見えた。
嘗て――ハインリッヒとアラマキ二人を同時に相手をして、且つ簡単にいなしていたときのような。
あのときのようなモララー=ラビッシュに見える男が、目の前でゼウスの手刀を止めていた。
それを見て、ゼウスは不覚にも関心してしまった。
同時に、「戦闘狂」に相応しい興奮も感じてしまった。
( メ∀・)「おまえに言ってねえよ」
( メ∀・)「白衣、テメーに言ってんだ」
_
( ゚∀゚)「……自分から聞いておいてコレたあ、な。
. 飼い犬に手を噛まれるってやつだぜ」
ジョルジュは依然変わらぬ態度で、苦々しく言った。
この間も、ゼウスとモララーは膠着状態に似たその姿勢を保っていた。
( メ∀・)「人の心を抉って、人の心を弄んで、人の心を試して」
( メ∀・)「ああ、認めるよ。テメーは、『拒絶』の天敵だ」
( メ∀ )「テメーがいなけりゃーなあ……」
( <●><●>)「――ッ」
.
- 939 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:25:23 ID:LPOyqarA0
-
――その膠着状態は、モララーが破った。
ゼウスの手刀を掴んでいた腕を大きく振り上げたのだ。
しかも、やはり高速で、だ。
( メ∀ )「『拒絶』になることも!」
( メ∀ )「もう一度死ぬことも!!」
( メ∀ )「この女を助けるなんざ!!!」
その腕を、『ゼウスを抵抗できなくさせ』た上で振り回し、
ジョルジュたちのいるほうに、思いっきり投げ飛ばした。
.
- 940 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:26:39 ID:LPOyqarA0
-
( メД )「なかったのによおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオああああああああああああああッッッ!!!!!」
.
- 941 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:27:37 ID:LPOyqarA0
-
「 んなもん、知るかよ 」
.
- 942 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:28:31 ID:LPOyqarA0
-
( <●><●>)「ッ!」
_
( ;゚∀゚)「!?」
( ;゚ω゚)「……ッ?!」
( ;゚ω゚)「お―――お前――ッ!!」
―――このときになって、今まで黙って事の成り行きを見守っていた内藤が、声帯を震わせた。
いや。
特筆すべきは、震わせさせるのに値する男が現れた≠アとなのだ。
.
- 943 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:29:23 ID:LPOyqarA0
-
「……やっぱ、アレだ。」
「おめーも『なり損ない』だよ。」
「それも、そのアマ以上に、中途半端だ。」
男は突如として現れては、投げ飛ばされたゼウスを片手で受け止めた。
その腕は太く、ゼウスを受け止めても一ミリもぶれなかった。
しかし、それでは語弊が生じた。
彼の腕は、ぶれなかったのではない。
ム シ
ゼウスから伝わる衝撃を、『拒絶』したのだ。
( ´ー`)「……答えろよ。 モララー=ラビッシュ」
この男――ネーヨ=プロメテウスは。
.
- 977 名前:>>944訂正 :2013/03/17(日) 00:35:44 ID:Ms8sK/Pc0
-
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘
├┼┘
└┘
B o o n s t r a y e d i n t o h i s
P a r a l l e l W o r l d : P a r t .U → A n t i
E p i s o d e . t h i r t y - t h r e e → 『 A l l a n t i .T 』
┌┐
┌┼┤
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┼┼┤
└┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘
.
- 945 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:31:55 ID:LPOyqarA0
-
第三十三話 「vs【全否定】T」
(; メ∀・)「………旦那……じゃねえ、か…」
ようやく絞り出せたその声は、先ほどとはまた違う細さを感じさせるものだった。
彼の存在を認識したところで、モララーの
先ほどまで漂わせていた『拒絶のオーラ』はとたんに薄くなった。
ネーヨを見て、一気に萎縮してしまったのだろうか。
それとも、彼の言葉――お前も中途半端だ――を聞いたからだろうか。
とにかく、ネーヨの言葉を聞いて、モララーの声は一変した。
ゼウスは地に倒れこむように着地した。
彼が着地を失敗するなど、日頃では考えられない話だ。
人形のように地に落ちた彼を見て、
ハインリッヒとアラマキは――ネーヨの登場も含めて――驚愕をあらわにした。
――しかし、一番驚いていたのは、ゼウス自身だった。
驚いた原因は、無様に地に落ちた自分、ではない。
後ろに現れた男が放った声、である。
.
- 946 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:32:31 ID:LPOyqarA0
-
( <●><●>)「……」
( ´ー`)「……」
(; メ∀・)「……?」
ゼウスは立ち上がりながら、ネーヨの顔をじっと見た。
そして、平生では決して彼が見せるはずのないような、呆気にとられた顔をした。
アラマキとハインリッヒはその顔を見て、先ほどの驚愕もあいまって、
いま、異常事態が発生していることを感じ取った。
その間、おそらく十秒ほど。
彼らにしてみれば、あまりにも長すぎる時間。
その時を経て、先に口を切ったのはネーヨだった。
( ´ー`)「久しいな、ゼウス。……そして、パンドラ」
( <●><●>)「………」
_
( ゚∀゚)「……顔を合わせんのは、確かに久しいぜ。プロメテウス」
ネーヨはモララーのことなど忘れた、と言わんばかりに、注意を彼ら二人に向けた。
ジョルジュが、二人のもとに歩み寄ってくる。
その行動が、ハインリッヒたち外野の人間にとっては、異様のもののように見えた。
――この男は、誰なのだ。
ゼウスと旧知の仲だと?――
.
- 947 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:36:58 ID:LPOyqarA0
-
从 ゚∀从「……ぷろめ…てうす……?」
/;,' 3「……! ま、待て……待て!」
( ^ω^)「……一応、二十四時間は同じ世界を生きた人間として、忠告してあげるお」
从 ゚∀从「いた、のか」
先ほどまで陰に隠れていた内藤だが、
ジョルジュがゼウスとネーヨのもとに向かうのを見て、小走りで二人のもとに駆けつけた。
毒づくハインリッヒに苦笑を浮かべ、内藤はゴホンと咳払いをした。
そのときの顔がどこか、「内藤」ではない男のような気がして、ハインリッヒはどきりとした。
( ^ω^)「……【ご都合主義】を、倒した」
( ^ω^)「【手のひら還し】を、やり込めた」
( ^ω^)「【常識破り】を、追い詰めた」
( ^ω^)「……正直、この『拒絶』を拒絶する戦い≠ェはじまる前からしてみれば、考えられない戦績だお」
( ^ω^)「………でも。それも、ここでオシマイ」
「 僕たちに、これ以上の未来はないお。 」
「 ここで……死ぬ。 」
.
- 948 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:38:09 ID:LPOyqarA0
-
/ ,' 3「ほっほっ」
从 ゚∀从「へッ……。戦ってねぇ奴がナニをぬかすかと思えば」
/ ,' 3「……いま、儂とこやつは、おぬしに質問をひとつ、したがっている」
/ ,' 3「おぬしが今から言おうとしていることと、それは一緒かの?」
依然ハインリッヒは毒づくが、どこか、それすら心地よく感じられた。
また、布を被った戦慄を感じるアラマキは、内藤にそう訊いた。
それに、内藤はうなずいた。
アラマキの嫌な予感が、的中したときだった。
( ^ω^)「あいつは、ネーヨ=プロメテウス」
( ^ω^)「……そして、いま拒絶するべき、最後の『拒絶』だお」
从 ゚∀从「…!」
/ ,' 3「……ねーよ…ぷろ…メ……テウス!」
ネーヨ=プロメテウス。
謎の異空間にてジョルジュが放った言葉と、合致した。
それを聞いて、「戦闘狂」の二人は意識せずとも拳を握った。
なにも、強敵が現れたから――ではない。
正体不明の威圧感に、一気に襲われたからだ。
.
- 949 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:38:39 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「……なつかしいぜ。まさか、おめーと、も一度ツラ合わせるなんてよ」
_
( ゚∀゚)「昔話、嫌いなんじゃなかったか?」
( ´ー`)「さすがの俺も、仏さんに対しての礼儀くれーはわきまえてるっつーこった」
_
( ゚∀゚)「その礼儀で、事は穏便に済ませてもらいたいトコなんだが、な」
( ´ー`)「それじゃー俺が礼儀を払う意味がなくなる」
( ´ー`)「……だよなあ。ゼウス」
( <●><●>)「……貴様」
ハインリッヒたち三人は、少し距離のある場所からその光景を見る。
特に、『拒絶』の、ネーヨを。
筋骨隆々、が一番似合いそうな男だ。
肩幅の広さ。
腕や足、首もとの太さ。
ラフな恰好が、彼のがたいの良さをより引き立てている。
また、涼しげな顔のその裏からは、得体の知れないものを感じ取れた。
それは『拒絶のオーラ』ではない。
ただ――圧倒的な、威圧感にそれは近かった。
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- 950 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:39:20 ID:LPOyqarA0
-
从;゚∀从「ぜ……ゼウスっ! そいつァ、知り合いなのか!?」
その威圧感を拭おうと思ったのだろうか、ハインリッヒが声をあげた。
ネーヨという男のことはあらかじめ聞かされていたが、彼とゼウスの関係など知らないのだ。
迫ってくるかのような威圧感に後押しされ、言葉と同時に足も踏み出した。
しかし、ゼウスは応じない。
その間に、ハインリッヒの頬を二筋の汗が通っていった。
それを見かねたのだろう。
ネーヨはゼウスとジョルジュを置いて、のそり、のそりとハインリッヒたちのほうに足を向けた。
ポケットに手を突っ込んでは、一歩ずつ、ゆっくり、しかし大きな歩幅で近づいてくる。
それを見て、ハインリッヒは二歩、後ずさりした。
( ´ー`)「……そっか。おめーが、カゲキの娘か」
从 ゚∀从「…! お袋を……知ってんのか?」
( ´ー`)「昔、ちょっとな」
从 ゚∀从「な……なんで、お袋が、テメェみてーな奴と知り合いなんだよ」
( ´ー`)「お、意外そうだな。……そうか。自己紹介、まだだったっけな」
从 ゚∀从「………?」
.
- 951 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:39:54 ID:LPOyqarA0
-
そのことを思い出して、ネーヨは視界にハインリッヒとアラマキを据える。
内藤も目に入ったが――今の彼にとってはどうでもよかった。
ただ内藤が一方的に緊張を感じて、一方的に汗を垂らしているだけなのだ――彼は、そう割り切った。
――しかし、なんだ、この涼しげな様子は。
ハインリッヒが「自己紹介」と言われて、ふと、思う。
ジョルジュの言葉によれば、彼は『拒絶』の親玉的存在なのだ。
各地に散りばめられた『パンドラの箱』を次々に開けて、
意思の残っている状態で『拒絶』を助け出した、という。
そして、彼自身が『拒絶』とのことだ。
しかし、そのわりには
从 ゚∀从「(……感じねぇな……『拒絶』)」
( ´ー`)「…」
彼から、威圧感こそ感じ取れるものの、しかし『拒絶のオーラ』は感じ取れなかった。
また、ワタナベやショボンのように、見るからに歪んでいる――ような容姿ではなく
工事現場にでもいそうな、ごくふつうの男性、といった印象を与えられる。
なにより、ずっと――ゼウスの前に立とうが、ずっと、涼しい顔を保っているのだ。
彼が体臭のように放っている「恐怖」を前にまったく屈しないとは、まるで信じられなかった。
なにやら観察されているな――
ネーヨはそう思ったのだろうか、ハインリッヒの感じている不審が大きくなる前に、と口を開いた。
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- 952 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:40:38 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「はじめまして、の人が三人もいるみてーだから、一応自己紹介としゃれこもうじゃねーか」
从 ゚∀从「三人……」
( ´ー`)「俺の名は、ネーヨ=プロメテウス」
( ´ー`)「またの名を―――」
从;゚∀从「!」
/ ,' 3「――ッ」
――直後、ネーヨの背後にジョルジュが飛び掛った。
ゼウスを髣髴とさせる不意打ちに、味方のはずのハインリッヒとアラマキが驚いた。
しかも、ただの不意打ちではない。
その、眉間に刻み込まれたしわに、険しい表情。
動作の何においても、とてつもない殺気が感じられるものだった。
そして、二人の声帯が震える前に
ジョルジュは、ネーヨの後頭部に、思いっきり殴りかかった。
結果、破裂音にも似た打撃音が周囲に響き渡った。
破裂音をすぐさま包み込む静寂が、よりそれを強調した。
.
- 953 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:42:17 ID:LPOyqarA0
-
――そして
なんてことない様子で<lーヨは言葉を続けた。
( ー )「 またの名を―― 『 オールアンチ 』 。」
_
( ゚∀゚)「……クソ」
从;゚∀从「――なああああああああああッ!?」
/;,' 3「殴られてビクともせん、とな?!」
――確かに、破裂音はした。
打撃の音が破裂音に聞こえた、とは、それほど、凄まじく鋭い打撃だったはずなのだ。
しかし、殴られたはずのネーヨは、ぴくりとも動かなかったし、動じなかった。
それが、あまりにも異様のように思えて、二人は目を丸くした。
ついに、戦闘がはじまる。
そう思った内藤は、なんとか平静を保とうと努めながら、声を放った。
その声は、無意識ながらも大きいものとなっていた。
.
- 954 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:43:11 ID:LPOyqarA0
-
( ;^ω^)「今更驚くべきことじゃないお!
. それが、ネーヨって男のスキルだお!!」
/;,' 3「じゃあ、なんじゃと申すんじゃ!」
すぅ、と、意識せずに内藤は大きく息を吸った。
. スベテ ム シ ウチケ
( ;^ω^)「『拒絶』を『拒絶』し『拒絶』してし……いや!」
――内藤はそこで、言葉を変えた。
( ;゚ω゚)「なにも効かない!! なにも受け付けないスキルなんだお!!」
オールアンチ
( ;゚ω゚)「 その名も、【 全 否 定 】 ッ ! 」
.
- 955 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:44:29 ID:LPOyqarA0
-
从 ゚∀从「……?」
ム シ
( ;゚ω゚)「いまのあいつは、あらゆる攻撃を『拒絶』してるんだお!」
( ;゚ω゚)「つまり、どう攻撃しても、いまのあいつにはさっぱり通じない<b!!」
从;゚∀从「は――ハアアアアアアッ!? んなわけあるか!」
( ;゚ω゚)「あァるから言ってんだお! なにをどーやっても勝ち目なんざない!」
/;,' 3「な……なに!?」
( ´ー`)「勝ち目がどうこうっつー話じゃねーよ」
/;,' 3「ハァ?―――」
/ 。゚ 3「ッ!!」
从;゚∀从「!? ――ッ!?」
「いつの間に」なんて言葉は、それがあまりにも
一瞬の出来事だったため、脳裏に浮かべることすらできなかった。
ネーヨが突然、三人の間に立っていたのだ。
先ほどまでは、前方にいたはずなのに――と。
ネーヨは、今の言葉を聞くところによると、
決してモララーやショボンのような多芸なスキルではないはずだ。
――なら、どうやって一瞬で移動したというのだ。
.
- 956 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:45:36 ID:LPOyqarA0
-
などと思うも、彼らはまず本能的に、左右に展開するように後退した。
着地してからはじめて、心臓の鼓動がこの上ないほどに速まっていることに気がついた。
冷や汗を浮かべつつも、二人はとたんに、険しい表情を浮かべる。
ネーヨはその二人の様子を見て、呆れたような顔をした。
( ´ー`)「なんだァ? 急に驚いてよ」
( ´ー`)「まさか、『人間が瞬間移動するなんて、物理的にありえない』とか思ってんじゃねーよな?」
从;゚∀从「…」
/;,' 3「…」
( ´ー`)「んなもん、知らねえよ」
( ´ー`)「瞬間移動できるもんは瞬間移動できんだよ」
( ´ー`)「甘受しな」
「甘受しな」。
この言葉には、ネーヨの涼しい顔からは決して想像もつかないような、重いものが籠められていた。
そのため、この言葉ひとつに威圧感が漂っているように思わせられた。
実際に、その言葉を聞いて、ハインリッヒはぞわり、とした。
ほんとうはそこには『拒絶のオーラ』などないのに、それを、感じてしまったのだ。
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- 957 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:46:49 ID:LPOyqarA0
-
/;,' 3「……心筋の…、運動……じゃな」
从;゚∀从「…!」
アラマキも心地は一緒だったのか。
それを払拭するのも兼ねてか、アラマキはぽつり、と「それ」をつぶやいた。
聞き取れたのは、向かいにいたハインリッヒくらいのものだっただろう。
彼は続けて、右腕を前に突き出した。
そして
/ ,' 3「……『解除』ッ!」
ネーヨの「心筋の運動」を、止めにかかった。
そして、手ごたえからして、ネーヨの心臓は「止まった」。
直後、アラマキは背後から¥Rり飛ばされた。
.
- 958 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:48:12 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「知らねえよ」
从;゚∀从「ッ!!」
/;。゚ 3「――ガッ……!」
从;゚∀从「あ――アラマキィィッ!!」
アラマキは無防備だった。
意識を、完全に『解除』することに向けていたためである。
そしてそのせいで、アラマキは想像以上に飛ばされてしまった。
その距離、二十メートル。
『武神』たるアラマキにしては、ありえないと言っていい数値だ。
そしてその攻撃を喰らって、アラマキはひとつ、ネーヨについてわかったことがあった。
ネーヨの持つ『拒絶』、【全否定】。
彼が強い原因は、なにもそのスキルのおかげ――というだけではない。
ネーヨの戦闘能力そのものが、抜きん出ているのだ――
.
- 959 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:49:14 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「おら、かかってこいよ『英雄』」
从;゚∀从「……なに?」
( ´ー`)「カゲキの娘ってことだからトーゼン、鍛えられてんだろ?」
( ´ー`)「あの反則じみた能力、【劇の幕開け】。いっぺん、使われてみたかったんだ」
从;゚∀从「ハン! ……あいにく、『英雄』はちょっくら休業中でね」
( ´ー`)「なに? おめーが?」
ハンリッヒは、心臓の鼓動こそ凄まじいものになっているものの
このときだけは、凛とした様子で、言い放つことができた。
从;゚∀从「いまは……そうだ」
从 ゚∀从「この、情けねェヤロウどもに手を貸してやってる……のさ」
.
- 960 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:49:56 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「……ゼウスとそこのオイボレの、か」
从 ゚∀从「ちげェよ」
( ´ー`)「…?」
「違うのか?」
そう思ったネーヨだったが、その次の瞬間に、その謎は解けた。
从 ゚∀从「ゼウス、アラマキ、私。そして………」
从 ゚∀从「ジョルジュ」
( ´ー`)「…!」
从 ゚∀从「そうだな、この四人で、さしづめ……」
从 ゚∀从「 『革命』 」
.
- 961 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:50:41 ID:LPOyqarA0
-
_
( ゚∀゚)「…!」
( <●><●>)「……。」
/;,' 3「ほ……?」
从 ゚∀从「『拒絶』を拒絶するがためだけに組まれた」
从 ゚∀从「敵対する私たち四人を唯一つなぐ、同盟の名……だ」
.
- 962 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:51:24 ID:LPOyqarA0
-
( ;^ω^)「革命……ねぇ」
内藤が、ぼそっとつぶやく。
そのときの顔はどこか、気持ちの悪い笑みが含まれていた。
その笑みには二つの理由がある。
そのうちの一つは、彼らが【常識破り】との戦いを渇望したときに感じたものと、まったく一緒だった。
勝算こそ絶望的なのに、負けることを感じさせない魅力的な『登場人物』たち。
『作者』として、これ以上に勇気を与えてくれるものは存在しなかった。
.
- 963 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:52:06 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「……へェ。かっちょいいこと言うんじゃねーか」
从 ゚∀从「テメェ、自分が勝つ気しかねーだろ?」
( ´ー`)「?」
从 ゚∀从「せいぜい、今のうちに慢心に浸っておけよ」
从 ゚∀从「……ショボン、ワタナベ、そしてモララー」
从 ゚∀从「コイツらを拒絶したときのように……」
从#゚∀从「 『革命』 を起こしてやらァ!!」
从#゚∀从「『イッツ・ショータイム』――ッ!」
.
- 964 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:52:54 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「ッ――」
( <●><●>)「…!」
ゼウスとネーヨは、とっさに視線を変えた。
――いや、依然として、視線が捉えるものは変わっていなかった。
彼らはずっと、ハインリッヒを見ていた。
変わったのは、ハインリッヒの位置≠ナある。
【正義の執行】を開始するハインリッヒには、『英雄』たる者としての、ある程度の補正を受ける。
その結果、二人がとっさに向きを変えなければならなくなる程度には動きが速くなったのだが――
その機動力が、ゼウスがかねてより知っていたもののそれよりも更に高まっていたのだ。
从 ゚∀从「遅ェ!!」
( ´ー`)「……ぐッ」
从;゚∀从「―――ッ!?」
.
- 965 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:53:27 ID:LPOyqarA0
-
ハインリッヒはそのまま、蹴りかかった。
『あらゆる攻撃』を『拒絶』しているネーヨに、だ。
ネーヨは、自分が『英雄』の資格を剥奪されていることを知らない。
だから、はったりも兼ねて、彼女は一か八かで蹴りかかってみたのだ。
当然、普通ならネーヨにその蹴りは効かない。
しかし――いや、だからこそ=Aハインリッヒは戸惑った。
ネーヨが苦痛の声を発したのだ。
( ´ー`)「……カゲキの娘だけ、あるわ」
从;゚∀从「ッ!」
ネーヨはそう言って、ハインリッヒを掴みにかかった。
予想外のことが起こったため一瞬思考が停止したハインリッヒだったが、
本能的に、その手に捕まる前に後退する。
二人の距離が空いてから、ネーヨは変わらない語調で、続けた。
.
- 966 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:54:33 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「一応、同僚のムスメってことだからな。いっぺん、おめーの攻撃、受けてみたかったんよ」
从;゚∀从「う、……受けてみたかった<@!? ……って、同僚=I?」
( ´ー`)「……ああ。そういや、自己紹介が途中で終わってたな」
从;゚∀从「…?」
ネーヨは、ハインリッヒに蹴られた箇所――背中をぽんぽんと叩きながら、言った。
それを見て、ハインリッヒは一つ、気づいた。
自分の渾身の蹴りを喰らってなお、涼しい顔をしていられていることに=B
.
- 967 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:55:09 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「しっかしよ」
( ´ー`)「パンドラと同盟を組む≠ネんざ、笑えるな」
从;゚∀从「なに…?」
( ´ー`)「俺らのことを少しでも知ってんだったら、まずそんな愚行はしでかせねーたァ思うんだがなァ」
从 ゚∀从「……いちいち回りくどいこと言ってっと、女子高生に嫌われるぜオッサン」
( ´ー`)「敵の一端を見ただけで知った気になってっと、オッサンに嫌われるぜ女子高生」
从 ゚∀从「………もう成人してるわ、ボケ」
( ´ー`)「わりィな、俺は年齢と身長は比例してるって考えてるもんでね」
从#゚∀从「……ッ……! さっさと言え、カス!!」
( ´ー`)「おーおー怖い。せっかく忠告≠オてやってるってのにな」
从#゚∀从「忠告だア!? なんだってんだよ!」
_
( ゚∀゚)「奴のペースに持っていかれるな、『英雄』」
从#゚∀从「………チッ」
ジョルジュが、言う。
仕方なく思い、ハインリッヒは舌打ちをするだけして、閉口した。
それを見てネーヨは笑った。
やりこめられたハインリッヒに、ではない。
そう言葉をかけてきた男、ジョルジュに、だ。
.
- 968 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:55:54 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「おー、サマになってるねェー」
_
( ゚∀゚)「……ンだよ」
( ´ー`)「今度は『革命』とか云う組織に入ってるみてーだが」
_
( ゚∀゚)「ただの成り行きだ。ほっとけ」
( ´ー`)「楽しみだわ。」
( ´ー`)「今度は、どーやって仲間≠裏切るのかが、な」
从 ゚∀从「………ウラ……切る……?」
_
( ゚∀゚)「耳を貸すな、『英雄』。ただの戯言だ」
( ´ー`)「戯言? ソレが戯言じゃねーか、パンドラよ」
从 ゚∀从「……? どういうこと…だ?」
( ´ー`)「じゃあ、あらためにあらためて、自己紹介といきましょーか」
从 ゚∀从「?」
.
- 969 名前:同志名無しさん :2013/03/16(土) 22:57:14 ID:LPOyqarA0
-
( ´ー`)「俺の名は、ネーヨ=プロメテウス」
( ´ー`)「またの名を、【全否定】」
( ´ー`)「そして……」
「 パンドラに裏切られ″。はなき自警団。 」
「 『開闢』 の者だ。 」
.
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