484 名前:名も無きAAのようです :2012/08/27(月) 01:35:15 ID:pqFrgDAM0

どうせなら、もっと科学をしてみたかった。


僕は別段難しいことを言ってる訳じゃない。
ただ、ものすごい技術力があるのなら、とてつもないものを発明したいとか、
そういう種類の漠然として子供じみた願望の一つなのだ。

そんな事を考えていた折、僕はある男に出会う。

朝日アサビー。彼はそう言って軽く右手を上げ、僕に挨拶する。



ところで僕はイカよりも断然、タコ派だ。寿司にしても、サラダにしても。

ただ、時折、パエリアやパスタの中に見受けられるイカリングの戦闘力は侮れない。
濃厚なソースと絡みあった弾力のある歯ごたえ。にわかには抵抗し難いものがある。

そんなわけで、昼食はパエリアをオーダー。アサビー氏はその重さに顔をしかめたが、
こう見えて僕は、案外欲望に忠実な男なのだ。

485 名前:名も無きAAのようです :2012/08/27(月) 01:35:59 ID:pqFrgDAM0

(-@∀@)「えっと……それでなんだっけ?」

( ・∀・)「研究の話ですよ」

(-@∀@)「ああ、そうね研究ね……昼時にする内容じゃないんだけどなあ」

( ・∀・)「俄然、興味深いですね」

(-@∀@)「……」

( ・∀・)「構いませんよ」

(-@∀@)「……死体を使った兵士というものが可能なのではないか、そういう類の与太話さ」

なるほど確かに、昼向きの話題ではなかったようだ。
僕の眼の前で湯気を立てているパエリアも、そのような実験の果ての産物と言えなくもない訳で、
スパイスに絡まれた貝やイカたちに対して、些か申し訳のない気持ちになってくる。
勿論、おいしく頂くことに変わりはないのだけれども。

486 名前:名も無きAAのようです :2012/08/27(月) 01:36:40 ID:pqFrgDAM0

( ・∀・)「スポンサーがつきそうもない研究ですね」

(-@∀@)「そう思うだろう? ……あまり大きな声では言えないけど、製薬大手がついてるんだ」

アサビー氏は声のトーンを落とし、頬を緩ませながら嬉々として話す。
僕自前の指標では、氏はかなりの趣味人に属すると思われた。

そして僕は氏の研究所に招かれ、その申し出を快諾する。


そこは郊外の外れにあり。趣に欠けた三階建のコンクリート建築だった。

(-@∀@)「ミソは脳出力の記述化、つまり意識を出力するコードを保存、再生、生成することさ」

( ・∀・)「……人体実験を伴う必要があると思えますが?」

(-@∀@)「当然さ、その辺りも融通されている。所謂、人身売買ってやつだな」

( ・∀・)「なるほど……」

487 名前:名も無きAAのようです :2012/08/27(月) 01:37:47 ID:pqFrgDAM0

ここで研究に使われている生体は、初期のロケットで打ち上げられた犬や猿と同じというわけだ。
なかなか素敵なところだと、僕は改めて思う。

欲望がすべての指標を塗り替え、タブーにメスを入れてゆく。
そして一つ、また一つとハードルは乗り越えられ、知見は新たな領域を見定めていく。

進歩とは、そういう種類の運動に他ならず、
それらを効率良く管理する為の方法論が科学と呼ばれるようになって久しい。


( ・∀・)「……実験を見せてもらっても?」

(-@∀@)「君も物好きだなあ ……そのエレベータで降りよう、F4を押してくれ」





(-@∀@)マッド・サイエンティストのようです(・∀・ )


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