- 292 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 00:30:09 ID:646RN0qA0
- 因果応報って、知ってるかい。そう、彼は尋ねた。
わたしは知っていると首肯する。
知っている。授業で習ったことがある。
( ・∀・)「そうかい」
整った目鼻立ちの彼と会うときはいつもにわか雨が降っていた。
何回も、なんかいも、この公園で彼と会っている。
不審者なんだろうか。
でも、わたしは彼を好きで。
( ・∀・)「僕はね、死神だよ」
嘘を平気な顔をして吐く物だと思った。今時そんな事を間に受けるのなんて小学生でも無理だ。
わたしは首を横に振った。
恋をした相手は死神だったらしい。
信じてないけど。
( ・∀・)「まあ、信じなくても、構わないけれど」
ジーパンにTシャツでそんなこと言われても困る。
わたしと彼は並んでブランコに腰掛けている。
猫のトイレと化した砂場。錆びた鉄棒。塗装のはげた滑り台。
空気が抜けたタイヤ、バネがうまく跳ねない動物の遊具。
- 293 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 00:30:51 ID:646RN0qA0
- ( ・∀・)「因果応報ってさ、した事の報いをうけるのさ」
飄々と笑う。蝉の声は降り注ぎ、汗が吹き出る。
彼は、涼しいカオだ。
( ・∀・)「僕が死神になる前の話をしようか?」
まだその話、続けるの?
眩しそうに眇めた目を、わたしに向けて笑う。
二重の目尻が下がる。とても、きれいだと思う。
( ・∀・)「僕には愛する人がいたよ。二人で料理するのが好きだった。けれどね、僕は死んでしまった。病気だったからね。」
簡単な話だ。と淡白に話す。
訥々と語る。
横顔の美しさにわたしはいつも見とれている。
( ・∀・)「でもね、遺した彼女は強かったよ。立ち直ってくれた。それにね、お腹に子供がいたんだ。僕は気付かなかったけれど」
傾き始めた陽が作るフェンスの影が彼の顔にかかる。
( ・∀・)「一人で、その子を、育ててくれたんだ」
わたしは、つぶやく。
そんな、嘘聞きたくない。
- 294 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 00:32:34 ID:646RN0qA0
- ( ・∀・)「どうして?嘘だったら君にはなんの関係もないさ」
いやだ。
わたしは。
わたしは。
錆びたブランコの鎖がぎいぎいなる。
耳障り。手が、ざりざりする。
( ・∀・)「ねえ君、因果応報ってしってるかい」
知らない。知りたくない。
( ・∀・)「彼女を一人にした報いなんだ」
( ・∀・)「彼女に手紙を残したんだ。 誰を好きになってもいいよって。 天国に来たら僕に愛に来てねって」
嘘。
だから、わたしには関係ないの。
だってこんなにも。
( ・∀・)「けれど僕は死神さ、もう天国で彼女に会うことはない」
恋してるのに。
( ・∀・)「僕に合わなければよかったと思うかい」
- 295 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 00:33:15 ID:646RN0qA0
- 首を横に振る。
けれど、少しだけ思う。
会わなければ辛い思いもせずにすんだのに。
会わなければこんな気持ちも知らなかったのに。
( ・∀・)「僕は旧い君を殺す。 新しい君を生む。」
目の端にぎらりと光る何かを捉えた気がして身が竦む。
けれどわたしは彼の嘘を信じたことはない。
( ・∀・)「僕のことは忘れておしまい」
ね、と美しい顔が笑う。美しい刃物が踊る。
わすれたくないわすれないねえ、ねえ。
こんなに恋をしていたことを
( ・∀・)「ぼくのうそをしんじてくれてありがとう」
心のどこかが切り離されてしまう。
( ・∀・)「僕の愛しい×××」
にわか雨が、頬を、濡らし
とおく
セミの
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
- 296 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 00:34:15 ID:646RN0qA0
从´ヮ`从ト「おかえりなさい〜このごろいつも雨に濡れてくるから風邪が心配だわ〜」
ふわふわと笑うお母さん。
そうだったかな?いつも、濡れて帰っていたっけ?
宿題、もう終わったっけ?
从´ヮ`从ト「あら〜、どうしたの?きょとんとして」
だいじょうぶ。なんでもない。
でもね
从´ヮ`从ト「あらら〜泣かないで、おねがいよ〜何があったの?」
わからない。なみだがとまらない。
从´ヮ`从ト「今日は父さんの命日だからかしらね?わるいお父さんだわ〜」
メッ、と仏壇を叱っているお母さん。
お父さんの遺影。
从´ヮ`从ト「ほら、今日はあなたの好きなカレーよ〜福神漬もあるから、たくさん食べてね?そしたら元気になるわ」
从´ヮ`从ト「生きる、基本だからね〜」
なんでだろう?
もう小さい子供じゃないの。でも。
从´ヮ`从ト「よしよし」
すこしだけ、抱きしめて。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
- 297 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 00:35:13 ID:646RN0qA0
- ( ・∀・)「ひとつだけ僕はウソをついたよ」
( ー∀ー)「みんなの未練を消すのが僕の報いなんだ」
( ・∀・)「いつか、彼女には会えるのさ」
( ・∀・)「君を育て終えて、幸せに眠りについたあとに」
( ・∀・)「僕が、彼女を一人にした報いを受けたあとに」
( ・∀・)「君に会わなければ君の未練を消すこともなかったなんて、そんな、皮肉も僕の、」
( ・∀・)「ごめんよ、僕のーーーーー」
ひと夏の恋のようです
戻る