839 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:15:30 ID:00QeErxU0
空の色は水色だった。
大空と言う無限のキャンパスの中でこれでもかとLED電球さながらの自己主張する真ん丸の天体はタコの吸盤みたいなクレーターが浮かんでいてて、ああ、もう。タコ繋がりなのかは分からないけれど、ほらやっぱりタコの脚みたいにビヨーンってあっちこっちに曲がりくねったような謎の建物が建ち並んでる。

吸盤の変わりに真ん丸の窓っぽいのがいっぱい引っ付いてて、それに見とれてホゲーっとしてると空飛ぶ車がミョインミョインとあちらこちらで走り回っている。

いや、なんで空飛ぶ車にタイヤが付いとんねんとか色々突っ込みたかったのは山々だったのだけれどとりあえず自分自身、一番気になってた事を、そりゃあもうノロマの亀さんもビックリするくらいにマッタリと考えてみた。

840 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:17:11 ID:00QeErxU0
Q.『やあ、ベイビー。このカオスな状況は一体全体何だってんだい?』








( ´ー`)「シラネーヨ」

841 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:18:00 ID:00QeErxU0
( ´ー`)未来を振り返るようです。

842 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:23:42 ID:00QeErxU0
気がついたら空の色はマーブルな虹色に染まり、さっきまで辺りを飛び回っていた用途不明なタイヤ付きの車達はゆで卵型の小さなロケットに代わって、その速度を増しながらやっぱりあっちこっちをビュンビュンしていた。
虹色に浮かぶ、ゆで卵の色は金属の色。

アルミホイル色した金属のメタル(決して部屋のドアでは無い)はなかなかスリリングでエキサイティングだとは思ったのだが、あれ?ちょっと待てよ。よくよく考えたら、「あれって中に人が入ってたらヤバイんじゃね?」って感じの速度でビュンビュンビュ―ンしていたので背筋がゾワゾワっとした。

(メ._凵j「やあ。お元気?」

843 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:24:44 ID:00QeErxU0
大乱闘、ゆで卵ブラザーズに見とれていた自分に声をかけてきたのは真っ白白白な兎だった。
何故か二足歩行で可愛いレディーな淑女の声をしていて、どっかの童話に出てくる王子様みたいな何かよく分かんない豪華なオベベをお召しになり、なおかつ人語を喋りやがるという大変セクシーでキュートな点を除けばただの兎だったものだったから、自分は安心して思わず涙が出そうだった。

( ´ー`)「元気か元気じゃないかの二択で答えなきゃならないなら、俺は元気ダーヨ」

(メ._凵j「なるほど。つまり二択で無かったら貴方は死にたいって事なんですね」

( ´ー`)「どうしてそうなるんダーヨ」

(メ._凵j「観よ!この蒼天を!!」

宇宙人でも呼び出したいのかよと突っ込みたくなるような勢いで、お空を仰ぐ兎につられ空を眺めると空の色は真っ赤に染まっていた。

844 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:25:24 ID:00QeErxU0
おいこら、蒼天でも何でも無いじゃね―かこの野郎が目玉抉って目玉焼きにするぞとイライラしたわけですが何となく周りの光景が気になりましてね。
こう、視線を戻して辺りをもう一度グルリと見回してみたんだよ。

そしたらだね、さっきまでニョキニョキしていた建物なんかがすっかり無くなりやがりやがりやがりやがりまして?辺り一面真っ黒黒黒助の廃墟に変わってやがりましたよこん畜生が。

一体全体どうなってんのかともう少し目をこらしてみると黒い鉄屑みたいなものが地面から所々生えていたものですから、ああなるほどあれだよ、あれ。つまりは戦争的なそれでドカーンって感じなのねと理解した。

845 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:26:17 ID:00QeErxU0
(メ._凵j「青がはるか昔」

(メ._凵j「赤がつい先程」

(メ._凵j「貴方は今、虹色に」


ドラクエも真っ青な厨二全開のその呪文(呪怨ってあれ怖いよね)に呼応するかのように赤の空がぱっくり割れて、なんだか毒毒しいサイケでデリックな虹色の渦巻きがグルグル産まれてきた。

赤のお空は右側に。いつの間にか再生した水色のお空は左側に。
この前食べた気がするモーニングプレートみたいにきれいに別れてた。

846 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:27:35 ID:00QeErxU0
(メ._凵j「昔は綺麗な未来を見てた」

( ´ー`)「大きいお月様が地球を眺めてるんだ。建物はスッゴク変わった形でさあ、車はもう地面なんかじゃ我慢出来なくなってさあ。空を走るんだよ。ああ、今思えばタイヤなんて要らなかったんだけどなあ」

(メ._凵j「そんな貴方のつい先程の未来は?」

( ´ー`)「何にも無いのさ。失う物も、者も。なんも無いのさ。だから未来を夢見る必要なんか無いんだ。だから俺は、きっと〇〇しか無いと思ったんだ」

(メ._凵j「今の貴方は虹色にいるんだ。ぐにょぐにょぐちょぐちょ。そんな虹色。昔の夢見て、決めたかい?」

( ´ー`)「ああ、昔はこんなにも面白い夢を見てたんだな。こんなにも奇妙な未来を信じてたんだな」

(メ._凵j「一本いっとくぅ?」

847 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:29:01 ID:00QeErxU0
兎の耳がニョキニョキと延びて、やがて日本がグルグルと絡み合い巨大なチョココロネみたいになった時、その中から巨大な鎌が産まれました。


(メ._凵j「一本いっとくぅ?」

( ´ー`)「決めなきゃダメなのカーヨ?」

(メ._凵j「イエスフォーリンラブ!考える時間はあげた筈さ」


兎の耳はいつの間にか沢山のラブリーてクールなウジ虫の群れに早変わり!
その顔はいつの間にか頭蓋骨に早変わり!これぞ今時流☆出来る女の小悪魔メイク?


( ´ー`)「兎さん兎さん」

(メ._凵j「いいえ。それはケフィアです」

( ´ー`)「チェ・ホンマンさんチェ・ホンマンさん」

(メ._凵j「いいえ。それは死神です」

( ´ー`)「死神さん死神さん」

848 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:30:29 ID:00QeErxU0
頭蓋がカタカタと笑った。
ウジ虫は黒と赤が混じったグログロな色になって沸騰したみたいにグツグツと声をあげる。


( ´ー`)「教えておくれ」

(メ._凵j「簡単、簡単」

( ´ー`)「そんなに簡単なのかい?」

(メ._凵j「二択さ、二択。」

(メ._凵j「生きたいか?」

(メ._凵j「逝きたいか?」

( ´ー`)「俺は……」






(# ´ー`)「―――――――ッ!」

849 名前:名も無きAAのようです :2014/09/20(土) 21:31:09 ID:00QeErxU0
空の色が真っ黒に染まった。
死神さんは頭を195°右回りに回したとこで満足気にハッスルダンスを踊ると耳で掴んでいた大鎌を振り上げた。


(メ._凵j「一名様ごあんな〜い♪」


キラリと光った刃の切っ先。
まるで俺の眼球に刺さったかのように、何時までも何時までもその視界にこびりついていた。







おしまひ


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