- 311 名前:li イ ゚ -゚ノl|川 ゚ 々゚)秋の夜長のようですリi、゚ー ゚イ`! :2014/10/03(金) 01:26:03 ID:KiF6eAN20
どっぷりと夜が暮れた夜空には今宵の主役が雲に隠れることなく輝いている。
リi、゚ー ゚イ`!「今日は中秋の名月で十五夜か」
川 ゚ 々゚)「団子食べたい」
li イ ゚ -゚ノl|「今から持ってくるから待っててね。くるう、外からすすき持ってきて」
川*゚ 々゚)「はーい、団子、団子、団子」
リi、゚ー ゚イ`!「あまり遠くには行くなよ」
――=≡川 ゚ 々゚)「はーい」 ピュー
リi、゚ー ゚イ`!「まったく」
日中あんなに動き回っていたのに庭へと駆けていくくるうは元気だ。
衰え知らずの体力の源はどこから来るのだろう?
庭に生えてるすすきと格闘しているくるうの姿を縁側から眺めていた狼娘はそんなことを考えていた。
li イ ゚ー゚ノl|「そこがくるうちゃんのいいところですよ」
お供え台に載った団子を置いて、雪苺は狼娘の隣に座ってくるうを優しく眼差しで見守っている。
li イ ゚ -゚ノl|「ところでオオカミさんは変身しないんですか?」
リi、゚ー ゚イ`!「……変身?」
何を言っている? と首を傾げる狼娘に微笑む雪苺。
- 312 名前:li イ ゚ -゚ノl|川 ゚ 々゚)秋の夜長のようですリi、゚ー ゚イ`! :2014/10/03(金) 01:27:53 ID:KiF6eAN20
li イ ^ー^ノl|「だって今日は満月ですよ。さ、早くガオーって変身してください気合で」
リi、゚ー ゚;イ`!「……は? いや出来ないからな、お前完全にイメージが先行してるだろ!」
li イ ゚ー゚ノl|「冗談です。今日の為に買ったオオカミの着ぐるみは奥の部屋にありますよ」
リi、゚ー ゚;イ`!「何も状況変わってないよね! まったくどこの誰だ十五夜とハロウィンを一緒にしようって言い出した奴は」
li イ*^ー^ノl|「くるうちゃんですよ。ほんとかわいい」
リi、゚ー゚イ`!「わかったよ、で? ……お前もちゃんとコスプレするんだよな?」ズィ
いたずらを思いついた子供のような意地悪そうな笑みをたたえる狼娘、ズィッと息が吹きかかるくらい近くまで雪苺ににじり寄る。
得体のしれない不思議な迫力が狼娘から感じる雪苺にたじろぐ。
li イ;゚ー゚ノl|「えっ、私は見るだけで……、顔近いですって!」
リi、^ー^*イ`!「俺だけ仮装をするのは不公平だろ?」
li イ;゚ー゚ノl|「何でそんなに嬉しそうなんですか、笑顔が怖いですって! ちょっ、引っ張らないでください。イヤー!」ズリズリ
さあ、いくぞ、と狼娘に襟首を捕まれされるがまま奥の部屋へと引きずられ部屋の中へと消えていく。
部屋からは衣擦れ音と雪苺の「ちょっ、どこ触ってるんですか?!」や「なんでこんなの着なきゃいけないんですか?!」と羞恥が入り混じった矯声が聞こえる。
- 313 名前:li イ ゚ -゚ノl|川 ゚ 々゚)秋の夜長のようですリi、゚ー ゚イ`! :2014/10/03(金) 01:29:21 ID:KiF6eAN20
◇◆◇
すすき拾いに夢中になっていたくるうは取れ高十分の量を持って戻ってきた。
川 ゚ 々゚)「ただいま、……あれみんなどこ?」
戻ってきたくるうは縁側にいるはずの雪苺と狼娘の姿が見当たらない。
居なくなったことが心配だが、くるうの眼は縁側に置かれているお月見の団子に目を奪われていた。
もう一回周囲を見渡して自分以外に誰もいないことを確認したくるうは、そっと団子に手を伸ばす。
「くるう」
Σ川 ゚ 々゚)っ
「駄目じゃないかくるう。汚れた手で月見団子に触っちゃダメだ」
団子へと手を伸びていたくるうの手が止まる。
声の方向に向くとさっきまで姿が見えなかった二人がいた。
ハ ** ハ
リi、^ー^*イ`!「おかえりくるう。帰ってきたらまず手洗いからだろ」
/⌒ヽ /⌒\
(_ノ\/|/ヽ_)
** li イ;//-/ノl|「お、……おかえりなさい」
川*゚ 々゚)「わー、ハロウィンだ!」
- 314 名前:li イ ゚ -゚ノl|川 ゚ 々゚)秋の夜長のようですリi、゚ー ゚イ`! :2014/10/03(金) 01:33:08 ID:KiF6eAN20
/⌒ヽ /⌒\
(_ノ\/|/ヽ_)
?? li イ;//-/ノl| 「こんなの私が買った覚えはありませんよ。なんでオオカミさんが着ぐるみで、私がバニーガールなんですか!」
リi、゚ー゚イ`!「部屋にあったんだからお前が買ったんだろう? こんな服を買うとはお前も物好きだな」
/⌒ヽ /⌒\
(_ノ\/|/ヽ_)
?? li イ;//-/ノl|「白々しい嘘つかないでください! どこで買ったんですかこれ?!」
リi、^ー^イ`!「通販」
狼娘のバレバレの嘘に憤慨しているが恥ずかしさから蹲っている雪苺。
すすきを持って帰ってきたくるうを待っていたのはオオカミの着ぐるみをきた狼娘と、露出多めのバニーガール(白兎ver.)の格好で恥ずかしいのか杵を抱え込んで縮こまっている雪苺。
リi、^ー^イ`!「そんなに恥ずかしいか、それ? 俺は似合ってると思うぞ」
/⌒ヽ /⌒\
(_ノ\/|/ヽ_)
?? li イ//-/ノl|「私だったらこんなのよりもフリフリした可愛い服―――何を言わせるんですか!」
リi、゚ー゚イ`!「自分で口を滑らせておいて何を―――」
狼娘はそれ以上言えなかった。
羞恥に悶ながらも立ち上がった雪苺は杵を振り上げていた。
リi、゚ー ゚;イ`!「おいおい、雪苺、それは洒落にならないって」
あれに当たってはたまらないと狼娘は逃げ出す。
/⌒ヽ /⌒\
(_ノ\/|/ヽ_)
?? li イ;//-/ノl|「逃げるな!」
羞恥と怒りがないまぜになった雪苺が杵を振り回して狼娘を追いかけ回す。
広くない庭を狼の着ぐるみを着た狼娘とブンブンと唸りを上げる杵を振り回す雪苺の姿にくるうは「私も!」とその輪へと加わる。
今宵の主役は月のはずだが、彼女たちには関係ないようで―――。
月が騒がしい三人を見守るように、月明かりが三人を照らしていた。
ちなみに、火が出るほど恥ずかしい思いをした雪苺はそのことを思い出すたびに顔を真っ赤にして身悶えるのは別の話。
【ー了ー】
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