あの少女を助けてから数日が過ぎた。かといって僕の暮らしに変化があったわけじゃない。

……いや、それは嘘か。僕はあの日以来、賭博場へ顔を出していなかった。

自分でも何故か分からないがあの賭博場でデュエルをする気にはならなかったのだ。

あの少女との出会いが無意識ながら僕の生に対する未練を強めてしまったのかもしれない。

彼女がこんな裏路地に再び足を踏み入れる筈はない。会うことなんて無い。そう頭で理解しているはずなのだが。

(´・ω・`)(……僕は何を考えているんだ)

自分ではどうしようもないことを考えるのは止めよう。考えを切り替えるため目の前に広げた雑誌へ視線を落とす。

僕の読んでいる雑誌は様々なデュエル情報が掲載されている『君もデュエル!』最新刊。

雑多な記事の中でも僕のお気に入りは詰めデュエルのコーナーだ。迷わずいつも最初にこのページを開く。

ひとたびデュエルの事になれば他のことは忘れられる。僕は詰めデュエルに没頭していた。

(´・ω・`)「ん……。ここでクリッターをリリースに使えばいける、か」

(´・ω・`)「いや、待てよ。リリースして上級を出してしまったら召喚権が足りない……」

(´・ω・`)「ここはクリッターがリミリバで蘇生されている事に注目するべきだな」

(´-ω-`)「守備自壊でモンスターをサーチすれば……」

思いつく範囲で方法を模索するも正解にはたどり着けなかった。

深呼吸を一つして瞳を閉じ、ソファーの背もたれに背中を預ける。天井が見えるくらい体をそらした。

(´-ω-`)「ふー、残りは明日にしよう」

「デュエル、やっぱり好きなんですか?」

(´-ω-`)「ん?」

集中しすぎたせいで僕は客の到来に全く気づいていなかった。はっとして瞳を開ける。

('、`*川「ごめんなさい」

('、`*川「何度呼び鈴を鳴らしても反応が無かったので鍵も掛かってなかったし勝手に入っちゃいました」

天井を見上げる僕の顔を覗き込むように上から顔を突き出して少女はそう言った。

(´・ω・`)「……!」

唐突に現れたあの日の少女。何かを言いたかったけど人との関わりが乏しかった僕はすぐに言葉を紡げない。

(´・ω・`)「……君も、デュエルはするのかい?」

暫しの沈黙の後、僕がやっと口にした言葉はこれだった。

デュエルばかりをしてきた僕が提供できる話題は結局デュエルだけなのだ。洒落の聞いた冗談など言えるわけが無い。

('、`*川「いいえ」

それもそうだろう。富裕層のお嬢さんがデュエルをやっている、という話は僕も聞いたことが無い。

(´・ω・`)「そう、か」

唯一の話題も事切れてしまい、いよいよ僕は困ってしまった。どうしたものか。

('、`*川「でも……」

('、`*川「でも、やってみたいです! デュエル!」

思いがけない少女の提案。僕は再び驚いていた。



……

………

―予想以上に彼女は飲み込みが早かった。

(´・ω・`)「この橙色のカードが効果モンスターで……」

―僕の話す言葉を一字一句聞き落とさないように必死で聞いている。

('、`*川「なるほど、なるほど」

―キラキラと光る絵柄のカードを見せれば目を丸くして驚き、バニラモンスターのフレーバーテキストにさえ興味を示す。

(´・ω・`)「緑は魔法、紫は罠だ」

―その姿は過去に置き去りにした自分のようで。

('、`*川「はい、覚えましたー!」

―僕は、胸が苦しくなった。



……

………

(´・ω・`)「こんなところかな」

('、`*川「ルールはばっちりです!」

とは言っても大方のカード処理はデュエルディスクがやってくれる。

つまり僕の講義は必要ないといえば必要ないのだ。

しかしながら真剣な彼女の手前、止めるのも気が引けた僕は一通りの解説をしていた。

('、`*川「ショボンさんとこれでデュエルが出来ますね!」

('、`*川「……って、私デッキ持ってないや」

(´・ω・`)「それなら僕の余っているカードでデッキでも組むかい?」

('、`*川「ほ、本当ですか!?」

(´・ω・`)「うん。構わないよ」

本棚の隣のスペースに収まっていた大きな箱を運び、机の上に置く。

黄色、橙、緑に紫。様々な種類のカードが大量に放り込まれた箱を少女は覗き込んでいる。

('、`*川「うわぁ、いっぱいカードがありますね!」

実のところ、この箱の中にどんなカードがどれくらいあるのかは持ち主である僕でもさっぱり分からない。

裏路地を気まぐれに彷徨う度にカードを拾っていた僕は整理という行為をした試しがないからだ。

そんなことを考えている間にも彼女はデッキを組んでいた。

('、`*川「これと、これ! 後これも」

(´・ω・`)「……」

デッキを組む際に色々と口出しをするのは僕としては余り好ましくない。なので僕は黙ってみていることにした。

('、`*川「……。39、40! ちゃんと40枚になりました!」

どうやら組みあがったらしい。さて、どんなデッキになっているか。

(´・ω・`)「デッキ、見せてごらん」

('、`*川「えぇ……。ちょっと恥ずかしいですけど。はい」

渡されたカードの束をパラパラと捲りながら確認していく。

(´・ω・`)「……」

多少ギミックに無理があるように感じたが、初めてでこれなら及第点だろう。

(´・ω・`)「よし、これなら大丈夫かな」

('、`*川「はふぅ、良かった……」

(´・ω・`)「じゃ、やってみようか」

('、`*川「へ?」

デッキを胸元に抱えた彼女は不思議そうな顔で僕を見ていた。

(´・ω・`)「デュエル。やらないの?」

僕は手早く自分のデッキをデュエルディスクへはめ込んだ。

('、`*川「は、はひ! やりましゅ!」

彼女も慌てて目の前のディスクにデッキをはめ込む。

(´・ω・`)「先攻は君に譲るよ」

('、`*川「じゃあ、お言葉に甘えて……。ドローします!」

('、`*川「モンスターとリバースカードをセットしてターンエンドです」

(´・ω・`)「僕のターン。ドロー」

自身の手にある六枚のカードを素早く確認する。良い手札だ。

(´・ω・`)「速攻魔法、手札断札を発動」

《手札断殺(てふだだんさつ)/Hand Destruction》 †
速攻魔法
お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。

(´・ω・`)「チェーンドッグとスクラップ・ビーストを落として二枚ドロー」

('、`*川「うへぇ、捨てたくないカードしかないのに……」

恨めしそうな顔をしながらも少女は二枚のカードを選んで捨てた。

('、`*川「リミット・リバースとジャンク・アタックを捨てて二枚引きます」

相手が初心者でも僕は手加減をするつもりはなかった。最初から飛ばす。

(´・ω・`)「スクラップ・キマイラを通常召喚。効果を使うよ」

《スクラップ・キマイラ/Scrap Chimera》 †
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻1700/守 500
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついた
チューナー1体を選択して特殊召喚する事ができる。
このカードをシンクロ素材とする場合、
「スクラップ」と名のついたモンスターのシンクロ召喚にしか使用できず、
他のシンクロ素材モンスターは全て
「スクラップ」と名のついたモンスターでなければならない。

(´・ω・`)「墓地のビーストを僕の場に蘇生。さらにチェーンドッグの効果」

《チェーンドッグ》 †
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻1600/守1000
自分フィールド上に獣族モンスターが表側表示で2体存在する場合、
このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、
ゲームから除外される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
獣族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

(´・ω・`)「僕の場に獣族二体が存在することにより特殊召喚」

鉄屑の合成獣が起点となって墓地に眠る獣を呼び覚ます。

('、`*川「す、すごい! 一気に三体も並んだ!」

(´・ω・`)「レベル4スクラップ・キマイラにレベル4スクラップ・ビーストをチューニング」

(´・ω・`)「欠けた心に壊れた体、二つを一つに集積せよ! シンクロ召喚、打ち砕け! スクラップ・ドラゴン!」

スクラップ・ドラゴン
ATK2800

(´・ω・`)「スクラップ・ドラゴンのモンスター効果発動」

(´・ω・`)「チェーンドッグと君のセットモンスターを破壊する」

裏側のモンスターは打ち砕かれて墓地へ落ち、チェーンドッグは次元の彼方へ吸い込まれた。

('、`*川「うー、破壊されます」

(´・ω・`)「ドラゴンでプレイヤーに直接攻撃。スクラップ・エリミネイト」

('、`*川「待ってください! 罠カード発動です。くず鉄のかかし!」

《くず鉄(てつ)のかかし/Scrap-Iron Scarecrow》 †
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。

竜の息吹と彼女の間に鉄の案山子が反りあがる。脆そうな外見とは裏腹にそれは全てを受けきった。

(´・ω・`)「ふむ……」

(´・ω・`)「僕はターンエンドだ」

Turn1
('、`*川LP:4000 手札:4
壱□□□□ 魔・罠 壱:かかし
□□□□□ モ   

F□□□□ モ   F:スクドラ
□□□□□ 魔・罠 
(´・ω・`)LP:4000 手札:4


('、`*川「ドローです」

('、`*川「ワン・フォー・ワン、使います!」

《ワン・フォー・ワン/One for One》 †
通常魔法(制限カード)
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。
手札またはデッキからレベル1モンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する。

('、`*川「レベル・スティーラーを墓地に送ってチューニング・サポーターを特殊召喚です」

《レベル・スティーラー/Level Eater》 †
効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
レベル5以上のモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。
このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

《チューニング・サポーター/Tuningware》 †
効果モンスター
星1/光属性/機械族/攻 100/守 300
このカードをシンクロ召喚に使用する場合、
このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され
墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

('、`*川「ここからが本番ですよー! ジャンク・シンクロンを召喚!」

《ジャンク・シンクロン/Junk Synchron》 †
チューナー(効果モンスター)
星3/闇属性/戦士族/攻1300/守 500
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する
レベル2以下のモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

('、`*川「ジャンク・シンクロンの効果でスティーラーを蘇生します」

レベル・スティーラー
DEF0

('、`*川「さらにさっきドラゴンに破壊されたボルト・ヘッジホッグの効果も使います」

《ボルト・ヘッジホッグ/Quillbolt Hedgehog》 †
効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻 800/守 800
自分フィールド上にチューナーが表側表示で存在する場合、
このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、
ゲームから除外される。

ボルト・ヘッジホッグ
DEF800

('、`*川「レベル2扱いのチューニング・サポーターにレベル3ジャンク・シンクロンをチューニング!」

('、`*川「シンクロ召喚、ジャンク・ウォリアー!」


《ジャンク・ウォリアー/Junk Warrior》 †
シンクロ・効果モンスター
星5/闇属性/戦士族/攻2300/守1300
「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードの攻撃力は
自分フィールド上に表側表示で存在する
レベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップする。

チューニング・サポーターの効果で一枚カードを引くと彼女は人差し指をピンと立てた。

('、`*川「モンスター効果により攻撃力があがります!」

ジャンク・ウォリアー
ATK2300→2900→3700

('、`*川「スクラップ・ドラゴンを上回りましたね! バトルです」

ジャンク・ウォリアー(ATK3700) vs スクラップ・ドラゴン(ATK2800)

(´・ω・`)LP:4000→3100

(´・ω・`)「相手によってドラゴンが破壊されたことにより墓地のビーストを蘇生する」

ガラガラと音を立てて崩壊した後、竜は獣へと生まれ変わる。

スクラップ・ビースト
ATK1600

('、`*川「カードを伏せてターンエンドです!」

(´・ω・`)「僕のターン。ドロー」

(´・ω・`)「通常魔法、死者転生を発動」

《死者転生(ししゃてんせい)/Monster Reincarnation》 †
通常魔法
手札を1枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。

(´・ω・`)「手札のスクラップ・ソルジャーを捨ててキマイラを手札に加える」

(´・ω・`)「キマイラを再び通常召喚」

スクラップ・キマイラ
ATK1700

(´・ω・`)「勿論効果は発動させる。墓地から今捨てたスクラップ・ソルジャーを特殊召喚」

《スクラップ・ソルジャー》 †
チューナー(効果モンスター)
星5/地属性/戦士族/攻2100/守 700
フィールド上に表側守備表示で存在する
このカードが攻撃対象に選択された場合、
バトルフェイズ終了時にこのカードを破壊する。
このカードが「スクラップ」と名のついた
カードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、
「スクラップ・ソルジャー」以外の自分の墓地に存在する
「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。
このカードをシンクロ素材とする場合、「スクラップ」と名のついたモンスターの
シンクロ召喚にしか使用できない。

(´・ω・`)「レベル4スクラップ・キマイラにレベル5スクラップ・ソルジャーをチューニング」

(´・ω・`)「砕けた鋼の魂が鋭利な刃へ姿を変える! シンクロ召喚、スクラップ・ツイン・ドラゴン」

《スクラップ・ツイン・ドラゴン》 †
シンクロ・効果モンスター
星9/地属性/ドラゴン族/攻3000/守2200
「スクラップ」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分フィールド上に存在するカード1枚と
相手フィールド上に存在するカード2枚を選択して発動する事ができる。
選択した自分のカードを破壊し、選択した相手のカードを手札に戻す。
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
シンクロモンスター以外の自分の墓地に存在する
「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。

(´・ω・`)「ビッグバン・シュートをスティーラーに装備」

《ビッグバン・シュート/Big Bang Shot》 †
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターをゲームから除外する。

(´・ω・`)「ここでツインドラゴンの効果を発動」

(´・ω・`)「ビッグバンシュートと君の場のジャンク・ウォリアー、くず鉄のかかしを対象に指定」

(´・ω・`)「手札に戻ってもらうよ。スクラップ・リジェクター!」

('、`*川「あぁー! せっかくシンクロしたのにぃ!」

(´・ω・`)「それだけじゃないさ。ビッグバン・シュートが場を離れたことでスティーラーも除外される」

('、`*川「ほへぇ……」

(´・ω・`)「今度こそ通るかな。ビーストでヘッジホッグに、ツインドラゴンで直接攻撃」

スクラップ・ビースト(ATK1600) vs ボルト・ヘッジホッグ(DEF800)

スクラップ・ツイン・ドラゴン(ATK3000)→('、`*川

('、`*川LP:4000→1000

(´・ω・`)「ターンエンド」

Turn2
('、`*川LP:1000 手札:2
□■□□□ 魔・罠 セットカード
□□□□□ モ   

FG□□□ モ   F:ツイン G:ビースト
□□□□□ 魔・罠 
(´・ω・`)LP:3100 手札:2


('、`*川「うう……。ドローします」

('、`*川「!」

引いたカードを見た途端、彼女の顔が明るくなった。

('、`*川「デブリ・ドラゴンを召喚します!」

《デブリ・ドラゴン/Debris Dragon》 †
チューナー(効果モンスター)
星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を
攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

('、`*川「墓地からチューニング・サポーターを特殊召喚!」

チューニング・サポーター
ATK100

この状況でデブリ・ドラゴン、か。

しかしこの組み合わせで呼び出せるドラゴン族シンクロモンスターは存在しない。

(´・ω・`)(ということはあのカードを引いたのかな)

彼女のデッキを確認したときを思い出す。状況をひっくり返す切り札の存在を僕は記憶していた。

('、`*川「私はフィールドのこの子達と墓地のジャンク・シンクロンを除外して―」

('、`*川「The アトモスフィアを特殊召喚します!」

《The(ジ) アトモスフィア》 †
効果モンスター
星8/風属性/鳥獣族/攻1000/守 800
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在するモンスター2体と自分の墓地に存在する
モンスター1体をゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを
装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。
このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備した
モンスターのそれぞれの数値分アップする。

('、`*川「モンスター効果を使ってツインドラゴンを装備しますっ」

アトモスフィア
ATK1000→4000

風の球に双頭の竜はあっという間に吸い込まれてしまった。

('、`*川「これだけじゃ終わりません! 最後のリバースカード、異次元からの帰還!」

《異次元(いじげん)からの帰還(きかん)/Return from the Different Dimension》 †
通常罠(制限カード)
ライフポイントを半分払う。
ゲームから除外されている自分のモンスターを
可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。
エンドフェイズ時、この効果によって特殊召喚されたモンスターを
全てゲームから除外する。

('、`*川LP:1000→500

('、`*川「除外されているデブリ、ヘッジホッグ、スティーラー、チューサポを特殊召喚します」

(>、<*川「行きますよー!」

('、`*川「レベル2ボルト・ヘッジホッグ、レベル1レベル・スティーラー、チューニング・サポーターに―」

('、`*川「レベル4デブリ・ドラゴンをチューニング!」

('、`*川「心をつないで天翔ける。あなたに届け、思い星! シンクロ召喚、またたいて、スターダスト・ドラゴン!」

《スターダスト・ドラゴン/Stardust Dragon》 †
シンクロ・効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ
魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。
この効果を適用したターンのエンドフェイズ時、
この効果を発動するためにリリースされ墓地に存在するこのカードを、
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

僕の部屋で星が弾けた。眩いばかりに輝く星屑の竜がこちらを静かに見下ろしていた。

(´・ω・`)「……!」

僕は目をそらせなかった。あまりに澄んだ輝きに心奪われ硬直する。

('、`*川「アトモスフィアでビーストに攻撃します」

The アトモスフィア(ATK4000) vs スクラップ・ビースト(ATK1600)

(´・ω・`)LP:3100→700

('、`*川「スターダスト・ドラゴンで直接攻撃です! シューティング・ソニック!」

白銀に煌く風が吹き抜けた。それと同時に僕のライフがゼロになったことを告げるブザー音が鳴る。

(´・ω・`)LP:700→0

(´・ω・`)(僕の負け、か)

本当に、本当に久しぶりに僕はデュエルに負けた。

不思議と悔しさはなかった。寧ろ肩の荷を降ろしたかのような心地よさが体を支配する。

(´-ω-`)(……)



……

………

 夕日差し込む裏路地を僕らは二人で歩いていた。長く伸びた影法師が歩みにあわせて揺れ動く。

('、`*川「うふふ」

(´・ω・`)「?」

('、`*川「やっぱり、ショボンさんは優しい人ですね」

初心者相手に本気でデュエルをする人が果たして優しい人なのか。

(´・ω・`)「……そうでもないさ」

('、`*川「いいんです! 私はちゃんと知ってますから!」

眉をひそめる僕とは対照的にオレンジ色の光の中で今日も彼女は笑っていた。

何の穢れもなく幸せそうな笑顔。そんな横顔に影響されたからなのか僕の口角もつりあがる。

('、`*川「むー! なに笑ってるんですかー!」

そうか、僕は笑っているのか。……とても久しぶりのことだった。

(´・ω・`)「ははは……。すまない」

幼子のように頬を膨らめた少女に対して僕はすぐに謝った。デュエルも対話も僕は彼女には勝てないらしい。

('、`*川「うふふ。そういうなら、許してあげます!」

('、`*川「あの、ショボンさん」

(´・ω・`)「ん?」

('、`*川「また私、会いに来ますから!」

力強く。そして迷いなく彼女はそう告げた。

(´-ω-`)「あぁ」

(´・ω・`)「いつでもおいで。僕はいつもここにいる」

真っ直ぐで曇ることのない少女。僕には隣を歩く彼女のそんな姿があの星屑の竜と重なって見えた。

 でもこのときの僕は知らないのだ。再び悪夢がやってくることを―。

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