84 名前:(´・ω・`)寝不足のようです :2014/10/23(木) 00:34:58 ID:3f.KePBY0

(´・ω・`)「ただいま」

 誰もいない部屋に半ば口癖となっている言葉を言いながら扉を開ける。
 今こなしている仕事に目処がついたところでショボンはそれを同僚に引き継ぎ、会社から出た時は東の空から朝日が登り始めていた。

 激務に次ぐ激務によって疲れ切った体に鞭打って酷使した体はボロボロだった。比較的空いている始発の電車に乗ったショボンは電車に揺られながらも容赦なく襲いかかる眠気に抗っていた。もし電車で寝てしまったら寝過ごすのは必定。欠伸を噛み殺しながらショボンは眠気に耐えていた。
 覚束ない足取りで何とかアパートに辿り着いた時に見上げた空は雲ひとつない晴天。
 自室に帰ってきたショボンは鞄とスーツの上着を床に放り投げ、ショボンはベッドに体を投げ出した。
 ちゃんと着替えをしないとカッターシャツやズボンが皺になるのだが、そんなことはどうでも良かった。

 普段なら寝心地の悪いこのベッドも、今のショボンには羽毛のベッドで寝ているような寝心地だ。
 ベッドに身を委ねもう寝ようと瞼を閉じる。

85 名前:(´・ω・`)寝不足のようです :2014/10/23(木) 00:37:06 ID:3f.KePBY0

 しかし。
 
(´・ω・`) 「電話か……」

 寝ようとした時に鳴り響く電話にショボンはねかせてくれよ、と愚痴りながらも仕事の電話かもしれないので出ないわけにはいかない。

(´・ω・`) 「はい、ショボンですが」 

「あっ、もしもしショボンさんですか?」

 電話から聞こえてきたのは後輩のビロードからだった。詳細を聞き出すと今受けている仕事に必要な資料の在り処を聞いてきた。
 種類別にファイリングしたものがデスクに入っているからそこから見つけろと言って電話を切った。
 これでようやく寝れる、とショボンは大欠伸をしながらベッドへ戻ろうとするが、またもや電話が鳴り出した。

(´・ω・`) 「はいショボンですが」

「ショボンさんですか? ビロードですが資料がーーー」

(#´・ω・`) 「一番下の引き出しに入っているピンクのファイルだ!」

 ショボンは電話越しに怒鳴りつけるように喋って電話を切った。その後電話が鳴り止まなかった。
 何度かの応対をしたあとショボンは電話から電話線を引き抜いた。普段ならそんなことはしないが、一刻も早く眠りたいショボンの目には電話が安眠妨害装置にしか見えなかった。

(;´・ω・`) 「これでようやく寝れる……」

 セットしていた目覚まし時計が鳴った。ショボンは目覚まし時計を壁に投げつけた。
 沈黙した目覚まし時計に目もくれずショボンはベッドで横になる。

86 名前:(´・ω・`)寝不足のようです :2014/10/23(木) 00:38:39 ID:3f.KePBY0

 またしても。

「ショボンさんはお見えでしょうか? 新聞代の徴収に来ました」

 寝かかっていたショボンに玄関をノックする音に起こされる。無視しようと思ったが、次第に大きくなるノック音に観念したショボンは扉を開ける。

i!iiリ゚ ヮ゚ノル 「ショボンさん居るなら早く出てくださいよ。新聞代2500円です」

(´・ω・`) 「はい3000円。釣りは要らないから早く帰ってくれ」

 そう言ってショボンは扉を閉める。
 もう寝かせてくれ、と半ば懇願しているように聞こえるショボンの声が部屋に響く。
 しかし一度悪い流れに乗ると中々変えることが出来ない。それから眠ろうとする度に。

从´ヮ`从ト「回覧です」

( '∀')「お届けものです」

 エトセトラ、エトセトラ。代わる代わるショボンのもとにやってくる人間。何度も安眠妨害されたショボンの中の何かが切れた。

(´゚ω゚`) 「何で! 何で僕を寝かせてくれないの?! 僕の安眠妨害してそんなに楽しいか!」

 部屋でアヒャヒャヒャヒャ、とショボンが叫ぶ。徐に冷蔵庫に向かうとショボンは冷蔵庫を開けて缶コーヒーを飲み始めた。

(´゚ω゚`) 「僕は寝ない。寝ない寝ない寝ないーーー!」

 呪詛のように呟きながらショボンは冷蔵庫の中にある全ての缶コーヒーを飲み干した。
 その日は結局寝ずに一日を過ごしたショボン。次の日も仕事なのだがショボンは過労と寝不足が祟って会社で倒れ、入院したのは言うまでもない。

             【ー了ー】


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