906 名前:名も無きAAのようです :2012/11/28(水) 17:24:56 ID:FOF8C5Y20


ある町の大きな広場の中心に、それは豪華な王子の像があった。
両の瞳はサファイアがはめ込まれ、
腰にさげた剣の柄には赤いルビーが輝いている。
体中を金箔に覆われた王子は、空を見て。
心の中で一つ、ため息をついた。

( ・∀・)「なーんで、俺がこんなに金にまみれているのかねぇ」

いつか、渡り鳥から聞いたことがある。
この世界には貧しさのために、生きることすらままならない人間が溢れていると。
その日の食事のために娘を売る母親が。
生きる楽しみを知らずに野垂れ死んでいく少年が。
奪い合いの日々に心を荒ませ目の光を失った、そういう人間が。

この世界には溢れているのだと。

( ・∀・)「やりきれねぇ、本当にやりきれねぇよ」

王子は空から反らすことの出来ない瞳に苛立ちすら覚えて、
今日もただ身の輝きのことを思う。

この瞳を貧しい人に手渡せるなら。
この剣を幸せのために鋳とかせるなら。
今すぐにでも、そうしたい。
悲しいのは王子もまた一つの像でしか無いことで。
彼女に出会ったのはそんなある日の、暖かな午後のことだった。


( ・∀・)幸福の王子のようです( ><)

後三、四作童話ものが書き溜められたらそのうち投下


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