459 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:13:00 ID:Cbz1yRlE0

 その日。

「……αλλων……και……」

(;´-_ゝ・`)「……ん? う、ううん……」

/ ,' 3「γνωστο πρσωπο」

 盛岡デミタスは激しい頭痛としわがれた老人の声で目が覚めた。

(;´・_ゝ・`)「…………え? あんたら誰? ……というか、どこだここ?」

ノパ听)「Откуда вы пришли?」

 そこは、見慣れた自宅の寝室ではなかった。
 簡素で、ほとんど家具もない家。その藁敷きのベッドの上に、デミタスは寝っ転がらせられていた。

 目の前に居たのは知らない老人と少女。
 そのどちらもが日本人らしくない容姿で、聞いたこともない言語を話していた。

 そして、なにより。

 その二人には人間よりも遥かに長い、まるでおとぎ話に登場する『エルフ』のような耳がついていた。

.

460 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:14:01 ID:Cbz1yRlE0

ノハ;゚听)「Овие зборови не знаеш?」

(;´・_ゝ・`)「ううん、聞いたこともない言語だな……何語なの?
       残念ながら僕は日本語以外じゃ英語とフランス語くらいしか解らないんだけど」

/ ,' 3「Gereed hitte, 'n dwelm wat」

ノパ听)つU「Bwe` sa a」スッ

(;´・_ゝ・`)「なに? え、これ飲めってこと? ……このヤバ気な泡がぶくぶく出てる蛍光ピンク色したドロドロの液体を?」

/ ,' 3「Rijec(i ne kroz vas」グイグイ

(;´ _ゝ `)「おごっふ!? わ、わかった! 飲む! 飲むって!
      飲むからお願いムリヤリ僕の口に流し込まないでぇぇぇぇぇぇ!!」

 そして。

 デミタスがこの世界で最初に口にしたのは、なにやらえらく冒涜的な見た目をした狂気的の味のする汁だった。

461 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:15:00 ID:Cbz1yRlE0

(;´-_ゝ゚`)「うぇっぷ……おうええ。……3日ほど洗ってない靴下を生ゴミで煮詰めたみたいな味がした……」

ノハ;゚听)「そ、そんなに不味かったのか? それはゴメンな……」

(;´・_ゝ・`)「……へ? 言ってることがわかる……? キミ、日本語も話せたの?」

/ ,' 3「いえいえ、我々が喋っているのは先ほどと変わらずソーサク語ですじゃ」

ノパ听)「で、今おじさんに飲ませた薬が互いの言葉を自動的に頭の中で翻訳してくれる薬なの」

/ ,' 3「ご存じないのですか? 普通、各国を渡り歩く行商人などは皆これを使っておりますが……」

(;´・_ゝ・`)「いや、聞いたこともないよ。そんな薬……どうやって作ってるの」

ノパ听)「そりゃ、薬草や氷トカゲのシッポなんかを混ぜあわせてから魔力を込めながら煮込んで……」

(;´・_ゝ・`)「ちょ、ちょっと待った!」

/ ,' 3「はて、どうかなされましたか?」

(;´・_ゝ・`)「い、今『魔力』とかって単語が聞こえた気がしたんだけど……?」

ノパ听)「うん。そう言ったぞー」

(;´・_ゝ・`)「いや、キミらのその耳は『ちょっと趣味がアレな人』でとりあえず済ませようと思ってたんだけどさ」

(;´・_ゝ・`)「ここ……どこ? というか……この世界、なに?」

 その日。

ノパ听)「ここ? ここはクコヨソウ村だよー」

/ ,' 3「ソーサク王国の王都シタラバより南西に500スタディオンほど離れた、魔草栽培と魔法錬金学が盛んな村ですじゃ」

(;´・_ゝ・`)「は……え……」

(;´゚_ゝ゚`)「えええええええええええええ!!?」


 盛岡デミタスは突如、剣と魔法が支配する異世界に飛ばされたのだった。

.

462 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:16:00 ID:Cbz1yRlE0

ノハ;゚听)「へー……そんじゃおじさん、本当に魔法ひとっつも使えないの?」

/ ,' 3「この国では子供たちは皆6歳から魔法教育をされるのですが……」

(;´・_ゝ・`)「う、うん……。僕の住んでた国じゃ魔法のまの字も教えてくれなかったなぁ」

/ ,' 3「まぁそれはともかく、あんたもどうやら悪い人ではなさそうじゃ。
    帰るところがないのでしたら、どうでしょう。しばらくこの村でゆっくりなされては」

ノハ*^竸) 「ウチに来てくれ! かーちゃんもねーちゃんもきっと歓迎するぞ!」

(;´・_ゝ・`)「……ありがとう。帰る場所も無くてね……本当に助かるよ。……えっと」

/ ,' 3「おっと、そう言えば自己紹介もまだでしたな。儂はクコヨソウ村長の荒巻スカルチノフと申しますじゃ」

ノハ*゚听)「あたしは素直ヒート! よろしくな!」


 兎にも角にも、この異世界のエルフの村で、生粋の現代人たる盛岡デミタスの生活が始まった。

.

463 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:17:00 ID:Cbz1yRlE0


川#゚ -゚)「はあああ……! 必殺! エターナルフォースブリザード!!」ゴヒュオオオオ...

(´・_ゝ・`)「おー、すごいすごい。あっという間に桶の水が凍っちゃった」

ノパ听)「ねーちゃんは氷系統の魔法が得意なんだ! ちなみにあたしは炎系統の魔法が得意なんだぞ!」



(´・_ゝ・`)「……よっこらしょ、っと。これでいいかい?」

ノハ*゚听)「おおー、デミタスさん力持ち!」

川 ゚ -゚)「うむ、やはり大人の男性がいると作業の効率が段違いだな」

/ ,' 3「本当に助かりますでな。
    戦争が始まってからというもの、この村でもめっきり男手が減ってしまいましてなぁ……」

(´・_ゝ・`)「……戦争」



ノハ;凵G)「あ、ああ……ウチの薬草畑が……」

(;´・_ゝ・`)「あれは……ドラゴン……?」

川  - )「……森の向こうの岩山に棲む、中型のドラゴンだ。
     今までだったら、破壊力の高い魔法の使える大人たちでなんとか撃退できてたのだが……」

(´・_ゝ・`)「……戦争とやらでそういった魔法の使える男は皆いなくなってしまった、と」

ノハ;凵G)「せ、せっかく……みんなで頑張って、デミタスさんにも手伝ってもらったのに……とーちゃんが作った畑が……」

川  - )「泣くな、ヒート……。しょうがない。しょうがないんだ……」

ノハ;凵G)「う、うあ、うわああああああん……」

(´・_ゝ・`)「…………」

.

464 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:18:00 ID:Cbz1yRlE0


/;,' 3「……い、今、なんと?」

(´・_ゝ・`)「聞こえませんでしたか? あのドラゴンを、倒すと申し上げたんです」

ノパ−゚)「……そんなの無理だよ」

川;゚ -゚)「そうだ。あなたは魔法が使えないのだろう。アレはただの剣や弓矢なんかで倒せる相手じゃない」

(´・_ゝ・`)「そうだね。確かに僕は魔法も使えなければ、身体能力が超人的に良いわけでもない。
      ……それでも、不可能じゃあないさ。」

/;,' 3「……本当に、出来るのですか」

(´・_ゝ・`)「この世界の子供たちが魔法の基礎を学んでいる間、僕の世界の子供たちは何を学んでいたのかってことです」

ノハ;゚听)「…………」

川;゚ -゚)「…………」

(´・_ゝ・`)「君ら、確か加熱と冷却の魔法が得意だったよね?」



川;゚ -゚)「……信じられない……」

ノハ;゚听)「あのドラゴンが……あんな、木っ端微塵に……」

(´・_ゝ・`)「ひゅー、大成功。これであの村がドラゴンに襲われることはなくなったね」

川;゚ -゚)「デミタスさん……あなた、いったいどんな魔法を使ったんだ」

(´・_ゝ・`)「魔法じゃないさ。空気と水からは窒素と水素が。
      窒素と水素でアンモニアが。アンモニアから硝酸が。
      ……そうやって化学反応を繰り返させれば、ニトログリセリンくらい作り出すのはそう難しくもない」

(´・_ゝ・`)「あとはそいつをおがくずにでも染み込ませて筒に詰めて導火線を付けてやればアラ不思議」

(´・_ゝ・`)「ダイナマイトの完成って寸法さ」

川;゚ -゚)「ドラゴンを一撃で爆砕するなんて、勅衛魔術師レベルの所業だ。それが……魔法でさえ、ないのか」

(´・_ゝ・`)「そうさ。これが、魔法の代わりに僕らの世界が積み上げてきた知識の結晶――」


(´・_ゝ・`)「――――『科学』の力、って奴だよ」


.

466 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 01:19:00 ID:Cbz1yRlE0



( ゚д゚ )「わー! すっげー、騎士だ! 騎士様だ!」

( ・∀・)「やあ坊や、こんにちは。私は国王様からの使いでね、ある人を探しにこの村にやってきたんだ」

( ゚д゚ )「王様から!? ホントに!? すっげー!」

( ・∀・)「ああ。なんでも……この村に魔法を使わずにドラゴンを倒した男が居る、とか」




(´・_ゝ・`)は科学の力でファンタジーをぶっ飛ばすようです


              公開未定

.


戻る inserted by FC2 system