488 名前:名も無きAAのようです :2012/08/27(月) 01:43:09 ID:pqFrgDAM0



 空間を文字列が流れていく、右から上へ、左から下へ、あるいはその逆へ。
時が経つにつれ、次第に文字列はその奔放な振る舞いを変え、ひとつの形を作り上げていく。

――球。

 それは、人の高さほどもある大きな球でした。
表面を文字が横に流れていく、そんな球です。

 一瞬にして、三つの文字列がその球を互いに直交する形で貫く。
そして、その交点へとすべての文字が引きずり込まれ、そこに火が点る。

 そのようにして、最初の魔法は行使されたのだと聞きます。
火を生み出す原始の魔法。

偉い先生に言わせれば、それは突然変異というものなのだそうです。
人は唐突に未知の力を得ることになったのだといいます。

 次第に彼らは数を増やしていった。
だが種族全体から見れば、その数はまだ微々たるものだった。

 そして、彼らはそのことを隠して過ごしていました。
しかしあるとき、彼らの中に魔法を犯罪に使う者が現れました。
その力は強靭かつ獰猛で、多くの犠牲者が出てしまったのです。

世は彼らを知りました。
世は彼らを恐れました。

仕方のない事だったと思います。彼らはもう人ではないのだから。
そしてまた、私も人ではないのでしょう。

489 名前:名も無きAAのようです :2012/08/27(月) 01:44:23 ID:pqFrgDAM0

――身体改造者。

 魔法使い狩りの専門家。やつらは擬似的な魔法を使うことが出来る。
突然変異による魔法使いを調査、解体し、その魔法組成を科学的に分析。
その結果生み出された、科学によって擬似的に再構築された魔法を使う、尖兵たち。

 身体改造者は鋼の四肢を持つサイボーグ兵士でした。
彼らは戦闘用に調整された擬似魔法と最先端の兵器を駆使し、魔法使いたちを制圧していったのです。
よどみなく、なめらかに。

 だが時は流れ、次第に人々の間で魔法使いの素養を持つものが誕生する割合が増えていった。
そしてついに、最初の魔法使いの登場から40年、両者の出生数は逆転した。

 それから更に15年、形成はついに逆転するのでした。
その反動は凄まじいものでした。狩る側から狩られる側へ。獲物はハンターへ。
かつての民族浄化紛争が現代に蘇ったかのようでした。

 中でも、もっとも峻烈な狩りの的になったのが身体改造者だった。
まあ、それはそうだろう。方々で魔法使いを殺し周ったのは彼らなのだから。
そんなわけで俺はやつらを追っている。勿論、復讐なんて話じゃない。
身体改造者には莫大な賞金が懸かっているんだ。


 だから私は逃げなくてはなりません。



('A`) ハンターのようです (゚、゚トソン


魔法歴7年公開


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