513 名前:名も無きAAのようです :2012/09/05(水) 02:14:56 ID:ZOLeRKrg0





「きみは、サァカスを観たことはあるかお?」







何にも欠けていないことが、当たり前だと思っていた。
自由に動けることが、幸せなことなのだと、思っていた。




('A`;)「ハア、ハア、……」
('A`;)「坂きつ……、」
('A`;)「…………でっけえテント……」




文系、大学生、二十歳、童貞、夏。
電信柱の貼り紙を見て。
茶色く褪せたぼろぼろのチラシ。
電話は繋がるか、不安だったけれど。

514 名前:名も無きAAのようです :2012/09/05(水) 02:16:05 ID:ZOLeRKrg0

('A`)「……………」


カーチャンが倒れて。
バイトしよう。
しなければ。
そう思った。



( ^ω^) 「やあやあやあやあやあやあやあ!ドクオ君だおね!待ってたお!君が産まれ落ちた時からずううううっとずっと待ってたお!」

('A`;)「……あなたは……」

( ^ω^) 「おお、おお、申し遅れましたお!私、名はホライゾン、内藤ホライゾン!職業は、お察しの通り、」



( ^ω^) 「このサァカスの館長ですお!」

515 名前:名も無きAAのようです :2012/09/05(水) 02:18:36 ID:ZOLeRKrg0
気が狂っている。

「それはどうかしら。あなた一人がおかしいのかも知れないのに?」


だって、俺らと違う、


「何がだい?僕らは皆息を吸う、吐く、くしゃみもするさ、何もかもおーんなじ!尤も、君の今行っているそれは、些か荒すぎるようだがね
。」


俺はこんな、不完全な、


「不完全。では逆さまに問いましょう。あなたにとって、完全とは、何?オマエに
とっての平生とは、なんだ。」


俺に、とって、普通、完全、


「考えて解るもんじゃあないさ。だから【完全】なのだろうからね。君の享受してきた【普通】は。」
「考えて解らない物などこの世の中には存在せぬ。貴様は思考を怠っているだけだ。自分の視野が如何に狭く愚かしき物か。恥を知れ、莫迦垂れが。」


俺は、


「君は知らないだけだよ。観た事の無い世界を。今まで目を向けてこなかった世界を。君に非があった訳ではない。でも、思考の固着、これは、良くない。非常に、良くない」

……………

「発想を転換して御覧?君の世界は狭かった。俺達と相見えた今日この日まで。」
「君の世界の外の者、俺達と出会えた事、つまり?」
「「君の世界は、拓かれた!」」








俺は。

516 名前:名も無きAAのようです :2012/09/05(水) 02:20:34 ID:ZOLeRKrg0


羽根の生えた。


( ・∀・)「僕は人を嫌わないことにしている。後、好きにもならないことにもしている。何故かって?僕が好くのは僕だけさ。僕に好かれたいなら、僕になれ。」


鱗の並んだ。


ξ゚Ⅳ゚)ξ「お水はあんまり好きじゃあないの。私、人魚なんかじゃないから。泳げないし、鰓も無いわ。きちんと気管を使役できてる。正真正銘、人間よ。」
 

どこか、欠けた。


( ´_ゝ`)「俺が生き辛そうに見えるか。まあ【普通】はそうなのだろうな。だが、しかしな、そんな悪いもんでもない。俺の空いたところは、隣のこいつが、大事に持ってる。中身の詰まったやつを、産まれた時から、な。」

(´<_`  )「人と違うってのは良いもんだ。目立って個性的、おまけに見て愉快。【普通】のお前らが一番求めてる物じゃあないか。ああ、お前らは可哀想だなあ、出るとこ凹むとこ、なあんにも無いのだろう?」



2つ面の。
(*゚ー゚)「あなたは人に認められる喜びを知っている?自分以外の人に、初めて自分を認められた時の幸福を。煌めきを。そりゃあ嬉しいものよ、あなたにはわかんないと思うけどね」

517 名前:名も無きAAのようです :2012/09/05(水) 02:22:58 ID:ZOLeRKrg0
腹立たしい程に晴れやかな空を。
臨むかのようにそのテントは在る。
俺にはまだ、余りに大きなそれは、
ちゃかぽこ、軽い囃子を響かせて、






( ^ω^) 「歓迎するお、鬱田ドクオくん!」






「我等が愉快なサァカスへ、ようこそ!」








('A`)Freaks!のようです

2120年 夏 創作板にて 投下

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