959 名前: ◆3sLRFBYImM :2015/12/13(日) 19:33:22 ID:rR00NBjg0
■14     - 大陸戦争に馳せる想い -



(#゚;;-゚)は島から逃げたミルナと別れた後、後遺症に襲われた。


手に残る…子を殺めた感触が彼女を苦しめる。
島で使用した長刀を片手に、
憂さを晴らし、悪夢を散らすように、木々や岩草に切りつける。

三日月島に戻る選択肢は選べなかった。
宿のベッドに潜り込んでも、闇に浮かぶ灰蟻の黄色眼が眠ることを許さない。
夜な夜な叫んでは追い出されるのを繰り返すうち、やがて彼女は公共施設から遠ざかり野宿する身となる。


長い間、人目を避けて辿り着いた先は大陸南東に位置する[都]。
…後に[空の都]と対立する領地だ。


戦争と共に道中出現し始めたモンスターとの戦いがでぃを強くした。
都に着くまでに幾多もの傷を身体に残した。

だが全てが外的要因とは限らない。
傷の半分は自傷行為によってつけられ、そのおかげで彼女は自我を保つ。


大陸の端から端まで移動したのも、
傭兵となって戦争に志願したのも、
彼女が三日月島の悪夢からほんの少しでも離れたかった表れである。

960 名前: ◆3sLRFBYImM :2015/12/13(日) 19:35:07 ID:rR00NBjg0
でぃは他者の命を奪うことにそれほど抵抗がない。
他のキャラクターと比べ、軽薄に殺人を犯すことができる。

他人を斬ることで命を軽く考える。
人を斬るたび、『幼な子を殺した』ことが『日常』となる感覚を得られる。

日常ならば、その行動は特殊性を失すると同時に後悔も失わせると考えていたからだ。


しかしそれでも彼女は生涯、延々と苦しむこととなる。

孤児院の教会で(*゚ー゚)が出産したとき、
ナナシには見学を薦めつつ自分も中に入らなかったのは、
"自分には生まれた命を迎える資格がもう無いのだ" と思っていた証。


助産婦であったでぃは、もう2度と新しい命に関わることはなかった…。


彼女は死ぬまで、悪夢にうなされて生涯を終えた。



(了)


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