317 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:11:05 ID:SLSIJzEI0










「ねえ、私のこと、好き?」








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318 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:12:09 ID:SLSIJzEI0



ミセ*^ー^)リ「ねえ、私のこと、好き?」

( ・∀・)「うん、大好きだよ」

彼女の問いに思わず即答してしまった。
少し小声になってしまったけど、それを聞いた彼女は嬉しそうだった。

ミセ*^ー^)リ「そんなに見つめられると照れるんだけどなぁ〜」

( ・∀・)「芹沢さんが可愛いからさ。本当はずっとこうしていたいくらいだ」

彼女は本当に可愛い。
いや、可愛いだけじゃない。運動もできるし、気配り上手だし、こんな僕にだって優しくて。

ミセ*゚ー゚)リ「そうだ!最近見たい映画があってさ〜」

( ・∀・)「……“恋の執筆活動日記”かな?」

ミセ*^ー^)リ「そうそう、それそれ〜!」

やっぱりね。僕も彼女が気になってるの知ってたから、予習も兼ねてチェックしてたんだ。


ミセ*^ー^)リ「ふふふ、楽しみだ楽しみだ〜!」

( ・∀・)「僕も楽しみだよ」

僕は彼女のことが大好きだ。彼女の為なら、何だってできる。
君の苦手な数学も徹夜で教えてあげるし、映画のチケットだって揃えてあげる。
君に囁く甘い言葉だって家で散々練習したんだ。

319 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:12:52 ID:SLSIJzEI0

だから――――




ミセ*^ー^)リ「好きだよ、ミルナ」

( ゚д゚ )「…………ああ、俺もだよ」






( ・∀・)


この距離を、いつか埋めてやろう。
そのときまでもう少し、ここで君を見ていさせてよ。

320 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:13:57 ID:SLSIJzEI0







「ねえ、私のこと、好き?」のようです


End1  みせり・すとーきんぐえんど

321 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:15:02 ID:SLSIJzEI0



ミセ*゚−゚)リ「ねえ、私のこと、好き?」

( ・∀・)「……」

無理矢理走らせたオンボロ車の中で、少女は俺に尋ねた。

俺は何も答えなかった。
答える道理もないし、答えたところで何にもならないのを、俺は知っていたからだ。


ミセ*゚−゚)リ「……何か答えてくれたっていいじゃん」


後部座席に座る少女は拗ねた様子でそう言った。
自分の立場が分かった上での発言であるなら、こいつは将来大物になるだろう。

今まさに誘拐されている小学生とは思えない。

ミセ*゚ー゚)リ「私、結構可愛いでしょ?」

ミセ*゚ー゚)リ「前に駅でモデルのスカウトとかされたこともあるんだよ」

自慢げに反らす胸。目立つのは俺がガムテープで後ろ手に縛ったからなのか。

ミセ*゚−゚)リ「こう見えて成績だって優等生だし、運動もできるし、あとはねぇ……」

( ‐∀‐)「そうか。お前がたいそう身代金の期待できるガキだってことはわかったよ」

俺は、少女の愉快な自慢話に水を差してやった。
俺にしては珍しく大したポカもしないで、こんな誘拐なんて大それたことをやってのけたというのに、俺は何故か苛々していた。

ミセ*゚−゚)リ「……お金、期待しないほうが良いよ」

ぼそり、少女が俯き呟いた。

( ・∀・)「は?」

急に暗くなった少女に、俺は金のことが心配になった素振りを見せて聞き返した。
いや、俺にはもとより金以外に目的は無かったはず。すぐ人質に情が湧くのは誘拐童貞の証だ。

322 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:15:49 ID:SLSIJzEI0

ミセ*゚−゚)リ「私、家じゃいらない子だから」

( ・∀・)「自分の子供攫われて金出さねえ親なんていねぇだろ」

ミセ* ー )リ「……賭ける?」

ミラー越しに見える少女の笑顔は、人形のようだった。

俺は悟った。
何故誘拐童貞の俺が、半日経っても呑気に公道を走っていられるのか。
そもそも何故、こいつが人気のない夜道を一人で歩いていたのか。
もしかすると、あの時も抵抗なんてしてなかったのかもしれない。


ミセ* ー )リ「ねえ、私のこと、好き?」

( ‐∀‐)「……どっちでもねえよ、俺は金が欲しいだけだ」

同じ質問をする少女に、さっきのような生気は感じられなかった。


ミセ* ー )リ「じゃあ、好き、って言ってくれたら…………家のお金引き出してくるし」

ミセ* − )リ「そのあとは、お兄さんの都合の良い場所で勝手に死んであげるから」

(;・∀・)

何を言ってるんだ、こいつ。
そして俺は何で焦ってるんだ。

ミセ* ー )リ「だから……」

ミセ*;−;)リ「……ねぇ、好きって言ってよぉ……」

(;・∀・)

何でこいつは、俺に、助かったあとで、親に見せるような涙を見せてるんだ。
何でこいつは、親じゃなくて、俺に助けを求めてるんだ。

だから、何で俺は焦ってるんだ―――――

323 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:16:40 ID:SLSIJzEI0


ミセ*;−;)リ  ( ・∀・)


あまりの事態に一度真っ白になった俺の頭は、逆に冷静さをもって働いた。

そうか、この泣いてる小学生を無事に家に返しても、金は貰えないのか。
じゃあ、俺は何のために何を車に乗せて走ってるんだろう。

よくよく見れば腕は痣だらけ、このポンコツ誘拐犯ではない何かに怯え、愛に飢え、
そのポンコツに形ばかりの愛を求める少女に、如何ほどの値段が付くというのだろう。



( ・∀・)「……好きだ」


俺は、笑顔と真顔の間、自分でも形容しがたい顔をして言った。

ただ、俺が聞いたこともないような額の身代金も、この少女を買うには不足が過ぎるように感じた。


( ・∀・)「だからちょっと死ぬまで時間貸せ、都合の良い死に場所を探してやる」


どうやら誘拐童貞の俺には、身代金の要求は向いていないらしい。
それを知って少し笑顔になる。ミラー越しの泣き顔も口角が上がったように見えた。

俺はハンドルを持つ手に力を込めて、馬鹿みたいにアクセルを強く踏んだ。

324 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:17:30 ID:SLSIJzEI0






「ねえ、私のこと、好き?」のようです


End2  みせり・きっどなっぷえんど

325 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:18:29 ID:SLSIJzEI0


ミセ* ‐ )リ「ねえ、私のこと、好き?」

彼女の腕、だったものが僕の体を強く引き寄せた。
腕と背の骨が軋む音が聞こえるのは、きっと彼女の愛が強いからだ。


( ・∀・)「……好きだよ」

この世のものとは思えない、黒い瘴気を吸い込んで僕は咽ながらも答えた。
その瘴気が彼女から発せられたものだと考えれば、どうということはない。

ミセ*;ー;)リ「そっか、うれしいなぁ……」

良かった。まだ涙を流せるのか。
やけに冴えてしまった頭でそう考えて、もうほとんど動かない指で彼女の涙を拭った。

彼女は人間だったときと同じように、照れたように後ろ髪を掻いた。
きっと後ろ髪を掻いている七本目の触手は、彼女の右手だったのだろう。


ミセ*;−;)リ「モララー君、私を、殺してよ」

何度目だろうか。
この言葉を悲しそうに彼女が言って、僕が断る、このやり取りは。

( ‐∀‐)「……無理だよ」

精神的にも、物理的にも。
彼女に敵うようなもの、僕は君が人間だった時から持っていなかったんだから。

出来ないからこそ、僕は君の隣にいれたのかも知れない。

326 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:19:16 ID:SLSIJzEI0



( ・∀・)「……ああ、君は僕を愛していたかい?」

ミセ*;−;)リ「ゥ……勿論だ、ヨ」

いつもの可愛らしい声を出すのも辛そうだ。
僕にも彼女にも、時間はもう残ってないらしい。



( ‐∀‐)「……そっか、じゃあ、僕らは幸せ者だ」


そうだ。

今、僕の首を締め折った彼女の触手が本当に愛おしいくらい、僕は幸せ者だったんだ。

327 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:20:35 ID:SLSIJzEI0






「ねえ、私のこと、好き?」のようです


End3  みせり・もんすたーえんど

328 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:21:23 ID:SLSIJzEI0


ミセ*^ー^)リ「ねえ、私のこと、好き?」


去年の夏も同じ質問を君はしたね。


ミセ*゚д゚)リ「あーっ!首振るなーっ!」


本当は好きなんだけど。
この癖直らなくなっちゃってさ、許してよ。


ミセ*゚о゚)リ「私は大好きだよーっ!」


君の顔が近い。あと、薄着のシャツから覗く君の汗ばむ肌も。
君も高校生だろう?ちょっと気を付けてよね。


ミセ*゚−゚)リ「ねぇ、今年の夏で何年目かな?」


三年目だよ。
君のお姉ちゃんには、一年もたないって言われてたのにね。


「ミセリー、スイカ切れましたよー」


ほら、お姉ちゃんが呼んでるよ。
行っておいで。


ミセ*゚д゚)リ「やった!」


僕は、ぱたぱたと駆けていく君に小さな追い風を吹かせた。

329 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:22:27 ID:SLSIJzEI0


願わくば、この身尽きるまで、君の隣で。


さぁ、風鈴が鳴って、僕の夏が始まる。



      
       /▽\ ” 〜
    ” (≠○≠) 〜
       \△/     
        ┃
       [ ≒ ]

330 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:23:19 ID:SLSIJzEI0






「ねえ、私のこと、好き?」のようです


End4  みせり・さまーふぁんえんど

331 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:24:58 ID:SLSIJzEI0


「ねえ、私のこと、好き?」

彼女は先程までの酔いで呂律の回ってない口ぶりとは一変した声で言った。


「……どうしてそんなことを聞くんだい?」

水ばかり飲んでいたのに、突然の彼女の言葉に僕は顔を赤――――ミセ*゚ー゚)リ「……ねぇ、何書いてるの?」




ミセ*゚−゚)リ「……ねぇ、ってば!」

( ・∀・)「……小説だよ」

いきなり覗き込んできた彼女の髪がくすぐったくて、僕は少し笑ってしまった。

ミセ*゚ー゚)リ「……へぇー、どんなの?」

( ・∀・)「どんなのって…………恋愛小説?」

僕が上手い説明を引っ張り出そうとして、結局無難な説明に落ち着いたところで、彼女にまだ書きかけの原稿を取られた。


ミセ*゚ー゚)リ「ふむふむ……なるほどなるほど」

彼女は原稿をぺらぺら捲って、おそらく半分も分かっていないことが分かる声を上げた。
得意げに顎を撫でる仕草がわざとらしく、彼女らしくて可愛らしかった。

332 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:26:58 ID:SLSIJzEI0
ミセ*゚−゚)リ「……」

( ‐∀‐)「……珈琲淹れてくるよ」

彼女が少し真剣に読み始めたので、僕は何だか気恥ずかしくなって椅子から立った。



ミセ*゚о゚)リ「…………えいっ」

(;・∀・)「うおわっ!」

急に彼女が飛びかかってきて、よろめいた僕はベッドに押し倒された。



ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、私のこと、好き?」

答えるよりも先に、彼女の甘く柔らかい唇で口を塞がれた。
こうやって毎度、僕の口は夜中に苦い珈琲を欲したまま、彼女の蜜に酔わされる。


ミセ*‐ ‐)リ「……ふふ、答えさせてあーげない♪」

(;‐∀‐)「―――ッ」

息継ぎをするように彼女は僕の口を一瞬だけ解放して、また塞いだ。


…………彼女がそういうつもりなら、僕にも考えがある。

ミセ;‐ ‐)リ「―――ッ!」

僕は上に乗っている彼女を思い切り抱きしめて、ベッドを転がった。
彼女と僕の位置が入れ替わる。

要はそれだけなのだけど、真っ赤な彼女の顔を見れた僕はきっと逆転勝ちだ。

333 名前:名も無きAAのようです :2014/06/13(金) 22:28:10 ID:SLSIJzEI0





僕はそのまま何も答えず、抱きしめる強さだけで彼女のキスに応えた。

僕が今日も抱いて眠る、ただ一つの幸せな物語を噛みしめながら。






「ねえ、私のこと、好き?」のようです


TrueEnd  みせり・はっぴーねばーえんど


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