- 678 名前:名も無きAAのようです :2014/01/22(水) 20:38:02 ID:gM98J3w60
- ( ・∀・)「さあ、ご飯にしよう」
さて、晩御飯のようです。
( ・∀・)「おみそ汁、おいしい?」
( ・∀・)「ハンバーグはどう?」
モララーの作るご飯はとても美味しい。
気負ったご飯ではなく、有りもので作るから素朴で優しい味がする。
从´ヮ`从ト「はい、とっても美味しいです」
( ・∀・)「よかった」
静かな食卓。
喧嘩しているわけではない。会話をしないでも伝わる居心地の良さ。いつも、二人の食卓はとてもあたたかい。
从´ヮ`从ト「モララーさん、明日は私も作ります。だから教えてくれますか?」
( ・∀・)「もちろん。君にも、これからは作ってもらわなきゃならないからね」
にっこりと笑うその顔はとても幸せそう。すっと通った鼻梁に、パッチリとした二重。それがココにはとても羨ましかった。
ココの目はタレ目の奥二重で、鼻は小さくころりとしていたから。けれどモララーは、その黒目がちの瞳が好きだという。
幼なじみのモララーとココは、落ちるべくして恋に落ちた。
( ・∀・)「美味しいご飯は生きる源だから」
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( ・∀・)「ね、じゃあこれを刻んで」
( ・∀・)「うん、そうそう、基本はできてる」
( ・∀・)「生姜は臭みを取るからね」
そうして二人の料理教室が始まった。
鯖の味噌煮、豚の生姜焼き、基本のお味噌汁、麻婆豆腐にパスタ。
和洋中甘辛酸っぱい、バランスの取れた献立でモララーはココに教えていく。少しずつ実を結び、ココは一人で献立を作れるようになった。
- 679 名前:名も無きAAのようです :2014/01/22(水) 20:39:29 ID:gM98J3w60
そうしてひと月経った頃。
从´ヮ`从ト「モララー、ご飯できましたよ」
ココがモララーの部屋に声をかける。今日の夕御飯はカレー。いい匂いが部屋に満ちている。
付け合せはらっきょにサラダ。お味噌汁はシンプルにネギと豆腐。
从´ヮ`从ト「モララー?」
返事がなくて、ココは不安になる。
从´ヮ`从ト「入りますよ?」
恐る恐る、ドアにてをかけた。
そこには、机に突っ伏して寝ているような姿のモララーがいた。
ドアをあけても気づかない。
( ー∀ー)
从´ヮ`从ト「モララー、」
眠るその顔に、ココは顔を近づける。
モララーは息を引き取っていた。
ココの頬を音もなく涙がこぼれて、モララーの未だぬくもりの残る額に落ちた。
从 ;‐;从ト「モララー、」
わかっていた。わかっていた。
余命宣告からの呆気ない死。
病室で死ぬのは嫌だと、鎮痛剤だけで過ごした最後の一ヶ月。
从;ヮ;从ト「しあわせだった?ねえ......教えてください」
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- 680 名前:名も無きAAのようです :2014/01/22(水) 20:41:27 ID:gM98J3w60
- 慌ただしい毎日。
通夜、火葬、葬式。
籍を入れていなかったせいで、なかなかスムーズに手続きができずに働き通しの毎日だった。モララーの生前の遺言により、相続だけはスムーズに行ったけれど。
从´ヮ`从ト「つかれたなあ」
がらんとした部屋でココはつぶやく。
一人では、広すぎるこの部屋からは今月いっぱいで立ち退く。モララーは身辺整理をしていたので、荷物はさほどなかった。
なにもしたくなくて、フローリングに無造作に横になった。
从´ヮ`从ト「モララー、どうして、」
その先を続ける気力もなく、ココは目を閉じた。
コンビニで保存食を買い2、3日を過ごす、そんなサイクルが出来上がっていた。
もうすぐ引っ越すからとほとんどの荷物はダンボールの中だ。
ペットボトルのキャップを開ける。手が滑って、キャップが転がっていく。
从´ヮ`从ト「......」
目線で追って、止まったところで拾いに行く。
从´ヮ`从ト「......?」
唯一残してあるベッド。その下。
古びたノートを見つけた。
从´ヮ`从ト「モララー、らしくないですね」
つぶやきながら頁を捲る。
手書きの文字と、拙いイラストでレシピが書いてあった。
これは、レシピノートだろうか。
パラパラと流し見していると、間からピンク色の紙が落ちた。
拾って、ココは目を見開く。
- 681 名前:名も無きAAのようです :2014/01/22(水) 20:42:09 ID:gM98J3w60
「ココ、さみしい思いさせて悪いね
でもひとつ約束をしよう
きみがこっちに来るまで僕は
君以外を愛さないよ
きみがこっちに来るまで君は、
誰を愛してもいい
けれど、ご飯はちゃんと食べるんだよ
僕がいなくても
ご飯は行きる源だからね
おやすみ、ココ」
くずおれるように床に突っ伏して泣いた。
声が枯れるまで泣いて、泣いて、干からびるくらい泣いて、ココは眠りについた。
夢はまろく優しく、モララーの匂いがした。
从´ヮ`从ト「目が、はれてしまいました」
目を覚ますと、存外気分は晴れていて、もう外は夕暮れていた。
从´ヮ`从ト「さあ、晩御飯にしましょう」
从´ヮ`从ト晩御飯のようです
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