132 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:24:31 ID:bl7l.k5Q0

        Place: 美布市 仁方町 州井団 字 久木 77-35 下世話なホテルの一室
    ○
        Cast: 都村トソン 都村ミセリ
     
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                                              ※閲覧注意

133 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:26:26 ID:bl7l.k5Q0

ミセ*゚ー゚)リ 「痛かったら我慢するなよ」

 ミセリが、私の手を取る。
 差し出された手の甲に舌を伸ばし、薄く唾液を塗り付ける。
 麻酔が沁みていく輪郭の無い輪郭の無い冷たさ。
 背筋が痺れ、体の奥に火が点る。

 ベッドサイドに置かれた箱にミセリが手を伸ばす。
 指に摘まんだのは、保冷剤として売られている、ドライアイスの欠片。
 滾々と白い霧が生み出され、ベッドに落ちて広がってゆく。

 ミセリはそれを、優しく私の手の甲に押し付けた。
 水の、揮発する音。急激に凍らされた皮膚の悲鳴。
 鋭い痛みだ。痺れるようで、突き刺さるようで。
 ミセリの唾液の効力を超えて私の感覚を浸食する。

 丸を描くように、ドライアイスが皮膚の上を滑る。
 跡は白く凍り、健全な色を失う。
 ミセリは丹念に、じっくりと私の手の甲を焼き、そこに十円玉ほどの凍傷を作った。

ミセ*゚ー゚)リ 「大丈夫だった?」

(゚、゚トソン 「まあ、なんとか」

134 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:27:44 ID:bl7l.k5Q0

 ドライアイスを床に捨て、ミセリが私の頬に触れる。
 冷たいが、労わる優しさを感じる。
 私たちは顔を寄せ唇を合わせた。
 少し開いた私の口を置き去りに、ミセリの唇は私の目元を摘まむ。

 自然に、体が触れあった。
 素肌が擦れる、むず痒くもどかしい感覚。
 ミセリの吐息が耳元を抜けた時、私の薄く空いた口から、無意識の声が漏れた。

 耳をくすぐったミセリの舌は、顎の輪郭に沿って、少しずつ下へ。
 首筋を唇で噛み、時々弱く吸われる。
 痛みとまでは呼べない、小さな刺激。
 自分の息が、僅かずつ早くなるのを感じる。

 鎖骨を啄まれ、横に撫でられた。
 柔らかい感触が、くすぐったいの一つ向こうの感覚を帯び始める。
 腕が背後に回され、そっと抱き倒される。枕に背を着く。
 脇を降り、ミセリの舌が脇腹に達した。

 思わず、自分の指を噛む。
 ミセリは舌を伸ばしたまま、上目で私の顔を見る。
 目線から逃れるため、そして体が反応するままに、私は体を逸らせる。
 執拗に、腹部が攻めたてられた。
 体を抱いていた手が浮き、指を立てて背筋を上る。

 指を噛むのを忘れ、息が声に変わった。
 前と後ろ、舌と指先の二つの刺激。
 体の芯に着いた火が、意識に燃え移って、ジリジリと脳幹にまで熱を伝える。
 舐められた体の彼処が、疼くようにもどかしいのは、吸血鬼の唾液のせいだけでは無い。

135 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:28:55 ID:bl7l.k5Q0

 臍からまっすぐ上へ。
 ミセリも興奮しているのがわかる。
 肌を吸う回数が増えている。
 舌が、胸の谷間を舐め上げた。手は背中から帰り、付け根を滑って太腿へ。

 声を、我慢するのが煩わしくなる。
 ミセリの頭を抱いた。
 ふわりとした髪の毛の一本一本が、肌に心地よい。

 思わず、ミセリの頭を強く抱き、髪に顔を埋めた。
 吐き出した喘ぎが、熱になってはね返る。
 谷間を粘つくように嬲っていたミセリが、突然胸に噛みついたんだ。
 先端に唾液を絡めつけるように、まどろっこしく捏ね回される。

 ジンジンと、痺れる。
 太ももを弄っていた手が、中心に触れた。
 濡れている。自覚はある。
 周囲を、体毛を、撫でられているだけで、独りでに腰が浮き上がった。

(、 トソン 「ミセリ」

 ミセリが、乳房から顔を離す。
 出伸ばしたままの舌先から、唾液が糸を引いた。

 言葉が続かない。
 口が半端に開いて、漏れ出す呼気は、あまりに湿っている。

136 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:29:50 ID:bl7l.k5Q0

ミセ* ー )リ 「ふふ」

 普段は少年のようですらある、ミセリの、艶やかな笑み。
 卑怯だ。目から脳に駆け上がった衝撃が、すぐに快感であると分かった。
 右手は性器に触れたまま、左手が私の顔に添えられる。

 顔が近づく。胸が高鳴った。
 抵抗なんてしない。
 意識するまでなく口が開いて、舌が歯の裏から這い出る。

 絡み合った。
 唾液が混ざる。
 口蓋や頭蓋骨なんて存在していないようだ。
 ミセリの舌の柔らかさが、冷たさが、火照りを射抜いて、脳に突き刺さる。
 私の正しい意識が死んでゆく。

 体の底から噴き上げた息がミセリの口の中に。
 唾液が泡立つ。体から、一切の力が奪われてゆく。
 ミセリの指が、秘部の芽に触れた。
 彼女も、堪えきれなくなっている。

 嬲りつける指先は、それまでの優しさを忘れ始めて。
 虐めるかのように、上下に、左右に捏ねる、つまむ。
 電流だ。痺れる。悶える。耐えられず目を閉じる。
 瞼の裏は、激しいスパークの白。

137 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:30:34 ID:bl7l.k5Q0

 体を支える布団ですら、邪魔だ。
 ミセリの体以外が全て不要なものに思える。
 抱きしめていた腕をほどき、私もミセリへ手を伸ばす。

 中指が触れただけで生ぬるい愛液が指を伝う。
 そのまま、奥へ。
 ミセリの体が震え、一瞬動きを止めた。

 唇が離れる。
 ミセリは上気した顔で、私を見下ろす。
 綺麗だ。魅入られている自覚がある。

ミセ* ー )リ 「随分、ノリノリじゃん」

(、 トソン 「あなただって」

ミセ* ー)リ 「トソンに、乗せられちゃったかな」

(、 トソン 「もっと、乗せてあげます」

 私は、凍傷になった手の甲を差し出す。
 ぷっくりと膨れ、水が溜まっている。
 頃合いだ。ミセリの舌がずるりと横に、唇を舐めた。

 大きく開けた口で、幹部を包み込んだ。
 水を絞り出すように口を窄ませ、歯で噛みきる。
 皮膚と真皮の間に溜まった体液がミセリに吸い取られてゆく。
 ミセリの目が細くなった。血よりも、美味しそうに飲む。

138 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:31:15 ID:bl7l.k5Q0

 最後の一滴まで吸い出して、ミセリは身を震わせた。
 起こした体をよがらせて、その味を喜ぶ。
 跨いでいる私の足に、冷たいものがポタポタと落ちた。

ミセ* ー)リ 「ホント、トソンの水は、媚薬みたいだ」

(、 トソン 「あなたの唾液には負けます」

ミセ* ー)リ 「もう、止まんないぜ」

(、 トソン 「それは」

 「私も」と続けようとしたが出来なかった。
 ミセリの指が秘部に触れ、器用に撫で回す。
 背骨をどうしていいかわからない。ただただくねらせて、快感の波に耐える。

 手が離れた。ほんの少しの休憩。
 足がぐいと開かれた。力が入らない。抵抗する気も起きない。
 ミセリの口が、私から直接、愛液を啜りとった。
 痺れる。ぼやける。火花が飛び散って、意識がバラバラになってしまう。

 舌が私の中に潜り込んできた。
 冷たいのに、熱い。唾液が中に沁み込んで、ますます頭が明晰を失ってゆく。

 激しい。むしゃぶられる。
 私はもう、息とか、喘ぎというより、叫んでいたかもしれない。
 全身から注がれた吸血鬼の唾液は、淀みなく私を狂わせる。

139 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:32:27 ID:bl7l.k5Q0

 太ももで、ミセリの頭を挟む。
 止まらない。体が、ミセリと一体化して別の生き物になったようだ。
 悶える。背を何度も、ベッドに打つ。
 自分の唾液が、頬を伝って落ちるのを拭うことすらできない。

 壊れる。飛び散る汗が、私の歯車だ。
 ミセリにバリバリと貪られて、私は壊れている。
 体の奥に沁み込んでゆく唾液の冷たい感覚は、私の境界を奪っていく。
 湧き上がってくる。奥の奥から、水とも電流ともいえない、何かが。

(、 トソン 「……ッぅ!」

 目の前が、白い炭酸に飲み込まれてゆくよう。
 音も光も匂いもどこかへ飛んでいく。
 その一瞬だけ、私の体は確かにこの世界から消えていた。

ミセ* ー)リ 「……トソン、可愛い」

(、 トソン 「…………」

 呼吸を荒げるしかできない。
 憎まれ口を叩いて、その甘い声を突っぱねたいのに、できない。
 体に沁み込んで、ジンジンと痺れに変わる。

ミセ*  , )リ 「ね、トソン」

 ミセリが私の手を、自分の秘部へ誘う。
 先ほどよりも濡れている。私を一方的に攻めたてていただけなのに。

140 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:33:23 ID:bl7l.k5Q0

ミセ*  , )リ 「は……、ぁっ」

 潜り込む、私の指。
 躊躇いに反して、難もなく肉を掻き分ける。
 弾力のある、反発。力を込めてさらに押し返すと、ミセリの口から愛らしい声が漏れた。
 指を蠢かせる。すぐにふやけてしまいそうだ。
 ふるふると腰を震わせるミセリの姿が愛おしい。

(、 トソン 「ミセリ、キス」

 手に乗り、腰を振っていたミセリが、倒れ込む。
 唇が重なる。歯が少しぶつかった。
 痛いけれど、気にしない。
 指の腹で、ミセリの内側を擦りあげる。
 口移しで、嬌声が頭に響いた。
 
 振動に溺れて死んでしまいそうだ。ミセリを掻きまわすのとは逆の手で、自分に触れた。
 好きなように弄り回す。そこにミセリの手が重なる。
 私の指が開いて、ミセリの指が内を舐る。
 ミセリの中は私の指を咥えて、蕩けさせて、私たちは比喩でなく一つになっていく。

ミセ*  , )リ 「あたしの、言葉なんて、嘘くさいかもしんないけどさ」

(、 トソン

ミセ*  , )リ 「私は、あんたおいてどっかに行ったりしないよ」

141 名前:名も無きAAのようです :2014/03/02(日) 15:35:06 ID:bl7l.k5Q0

 離れ言葉を吐いたミセリの唇を追って、再び舌を吸う。
 中に潜らせる指を、三本に増やした。
 少し乱暴に、捩じって、広げて、引っ掻いて、突く。
 ミセリの声も、大きい。
 それが愛しい。

 夢中になって、互いの体を奪い合った。
 すべてが入れ替わって混ざり合ってしまうよう。
 不安すらも形を変えて、つなぎとめる糸に代えるよう。

 どれくらい経ったか。私は二度目の、ミセリは一度目の臨界を迎えて、ベッドに倒れ込んだ。
 言葉が出ない。考えられない。頭の中で水分が湯だって弾けて煩わしい。
 互いの6℃も違う体温を感じながら、互いの体に縋りついて、息を調える。

ミセ;* ー゚)リ 「……へへ、やっぱ、たまには、違うとこでやるとさ、燃えるね」

( 、゚トソン 「雰囲気とか、考えて、そういうこと言ってく」

 ミセリが、私を黙らせるために口を寄せる。
 手が乳房を弄る。
 私も彼女を受け入れて、背筋を撫でる。

 心地よい。性的な部分でもそうでない部分でも。
 この日常が。せめてこの夜が、永遠に明けなければいいのにと、思ってしまう。
 無理だと分かっているから、求めてしまう。

 そうして、閉め切った窓の隙間が日光を溢し始めた頃、
 私とミセリは、長く短い夜を終えて多幸の疲労と共に眠りに就いた。


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