631 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:34:31 ID:w9BVX5AU0
人間には様々な欲望がある。
「生理的欲求」「承認欲求」「自己実現」 「自己超越」 ...
挙げていけばまだまだあるだろう。
では、人間の一番強い願いはなんなんだろうか?
金? 性欲? いや、違うだろう?
人間は何かを失ったとき初めて大切さに気づく。
そして、後悔しそれを追い求める。
つまりは、失ったものの復原。
それも、実現不可能なもの。
答えは簡単だ。


人間の蘇生。


多くの人がこれを望み、無理だと知り、絶望しただろう。
だがしかし、もし可能だとしたら?
誰かを生き返したいと願う人々はどこまでするのか。
私はそれを知りたい。


( ΦωΦ)「さあ...楽しい劇をみしてくれよ。我が子供達よ」


その日、大切な人を失った人々の家に人形が届けられた。
恋人、友人、親、兄弟の形をした人形...
これから彼らは一体どんな絶望を知り、どんな悲劇を見せてくれるのだろうか?
それが、ひどく楽しみだ。

632 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:35:51 ID:w9BVX5AU0
...ああ、死にたい。
とにかく死ななければ。
首を吊れば死ねるだろうか?
...馬鹿をいえ。
そう考えて一週間前、ビビってやめちまったじゃないか...
じゃあ、睡眠薬なんてどうだろうか?
...悪くない。楽に逝けるはずだ。

............

.........

......


('A`)「...あれ」


全然だめだ。普通に起きてしまった。
死にたいのに、死にたくない。
なぜか、心の底から死が怖い。
なんなんだろう、この気持ちは。
...ああ、そうか。
俺は死にたいんじゃないんだ。
出来ることなら生きたまま君に会いたい。

633 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:37:20 ID:w9BVX5AU0
('A`)「...クー...」


君のいるその場所に行きたいんだ...
さあ、またどうにかして...


コンコン...
不意に部屋にノックの音が飛び込んできた。その音が俺を現実へと引き戻す。
誰でもいい。とにかく、部屋の扉を開かないで欲しかった。


J( 'ー`)し「ドクオ、いる?」


そんな願いむなしく、部屋の扉がいきなり開かれた。
...いつ以来かな?
外の空気がこの部屋に入るのは。
涙や鼻水でみっともない顔を服の袖で拭い、顔を向ける。

634 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:38:28 ID:w9BVX5AU0
('A`)「...カーチャン」


J( 'ー`)し「お前になんか、荷物が届いてるよ」


('A`)「荷物?」


J( 'ー`)し「ええ...トランクケースが」


('A`)「...多分間違いだと思うよ」


J( 'ー`)し「そう思ったんだけど...あんた宛なんだよ。一応、見といて」


...送り間違い?
てか、俺宛って...思い当たる節がない。

ゴトリ、と目の前に銀のトランクケースが置かれた。
置いて満足したのかカーチャンは部屋から出ていった。


('A`)「確実に間違いだろ...これ」

635 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:39:33 ID:w9BVX5AU0
トランクの鍵を適当に開けていく。
金目のものがあったら、貰おう。
その程度の考えだった。
その程度のものしか入ってないと思った。

そこに、入っていたもの。
それは紛れもなく。


(;'A`)「クー!?」


純白のドレスに身を包んだ彼女がいた。


(;'A`)「落ち着け...冷静になれ...」


彼女は死んだ。もういない。
だとしたら、これは...


('A`)「...これ、人形か?」


手に取ってみる。
カチャリ、と人形独特の関節が動く音がした。


(;'A`)「よく...できてるな...」

636 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:40:19 ID:w9BVX5AU0
本物の彼女より、一回り小さい。
そして、軽い。
だが見た目は、関節を除けば彼女そのものだった。
さらさらした長い黒がみ。
白く長い手足。


川 ‐‐)「...」


(*'A`)「クー...」


ああ、彼女がここにいる。
なんて幸せなんだろうか。
今、彼女が俺の腕の中にいる...


('A`)「ん?」


トランクにはまだ、何か入っていった。
これは...本?


('A`)「なんじゃこりゃ?」


図鑑のように厚い本。
なんというか...RPGに出てくる魔導書に近い見た目をしている。


('A`)「...真っ白じゃねーか」


しかし、中はどのページも真っ白。
何一つ書いてはいない。
訳分からんと、本を閉じ、そこらに放り投げようとする。


('A`)「...あ?」


裏表紙。
そこに何か書かれていた。
その一文を読んだ瞬間、思わず顔をしかめる。

637 名前:名も無きAAのようです :2012/09/18(火) 16:41:54 ID:w9BVX5AU0
('A`)「...『彼女を生き返しますか?』だと?」


ふざけてんのか?
この贈り物をしてきた奴は。


('A`)「...おもしれぇ」


だが、いい。
もし、これが本当なら。
本当にあの時を取り戻せるなら。


('∀`)「取り戻せるならなんだってやってやろうじゃねーか」


...この一言に俺は酷く後悔することになる。
まだ、このときの俺はそんなことにすら気づけていなかった。





('A`)は大切なあの時を取り戻すようです

13月後悔


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