121 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/04/15(金) 05:50:45 ID:6RRJkJaw0

灼ける様な日射。
そこに地面からの照り返しが加わり、さながら両面焼きの卵となったぼくは、市街を進んでいた。

紫外線や有害物質から身を守るための防護服。
これに冷却システムが搭載されてなかったら、とうに蒸し焼きになっているだろう。
色は白く、ヘルメットはミラーガラス。ショウウィンドウに反射した自分の姿は、廃墟をさまよう宇宙飛行士のようだ。

かつてVIPcityと呼ばれたこの大都市は今やその面影もなく
天高くつきあげていた超高層ビル群も、砕け散ったグラスのように破片をまき散らして朽ち果てていた。
もうここには誰もいないみたいだ。

近場のビルに入り、中を見てまわることにした。
電気が来ていないのか廊下は薄暗く、やはり人影は見当たらない。

今までに見てきたのと代わり映えのしない光景。

散乱する机や椅子、赤土、埃。


 そして死体。


腐敗がかなり進行している。
ヘルメット越しにも腐臭を感じ取れそうだ。

早足でその場をたち去ると、そのままビルから飛び出して走り続けた。
瞼の裏に焼き付いた残像を振り払うように―。

122 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします :2011/04/15(金) 05:53:40 ID:6RRJkJaw0
はじまりは些細な出来事だった。
だからなのか、事の重大さ気づいたときにはもう手遅れで、どうすることもできなかった。

当初はそう、例えるならバーボンハウスのサービスの一杯が芋焼酎になったとか、そんなレベルの話だった。
各地でちょっとした異常気象が観測されだしたのだ。

様々なウワサ話や仮説、冗談が流布された。
その頃はみんな笑っていた。

だけど、しばらくして


雨がふらなくなった。

ぼくの住んでいた地域はそうだった。他の場所では巨大な嵐が吹き荒れたり、人が破裂したりした。
世界は狂ってしまったみたいだ。

だからぼくらは街を出た。

世界を修復するために


―いや、水の工面のために。

「行ってくるお!」「…マンドクセー」



                 ( ^ω^)雨は降らないようです('A`)  近日公開(嘘)


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