- 743 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:34:09 ID:nr6JcCao0
- (;'A`)「お、お邪魔します」
lw´‐ _‐ノv「緊張しないでいいよ。すぐにお茶漬けを用意するから」
(;'A`)「追い返す気満々じゃねぇか。自分で呼んでおいて酷い扱い!」
lw´‐ _‐ノv「本題に入っていい?」
(;'A`)「お、おう……その前に、今日はお母さんは?」
lw´‐ _‐ノv「仕事。今日は帰って来ない」
('A`)
(*'A`)「!?」
lw´‐ _‐ノv「君に見てほしいものがあってさ」
- 744 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:34:51 ID:nr6JcCao0
- (*'A`)「え、あ、おう!」
lw´‐ _‐ノv「ドックン、幽霊って信じる?」
(*'A`)「そりゃ勿論……え、幽霊?」
lw´‐ _‐ノv「私、どうやら昔から、見えちゃいけないモノが見える体質だったみたいでね」
物心つくよりも前からだ。
生まれ育ったこの家の隅に汚れたボロ衣を着た女の子が居て、いつも「うー」だとか「あー」だとか唸っていた。
川*゚々゚)
会話らしい会話をしたことはない。
その子は言葉を話せないようだった。
唸っている姿しか、私は見た事がない。
一緒に遊んだことは、母さんが言うには何度もあったそうだが、覚えていない。
(;'A`)「待って、ちょっと待ってシューさん。何の話?」
lw´‐ _‐ノv「何って、幽霊の話だけど」
(;'A`)「いや、そりゃ聞けば分か……って、しかもこの家に出た幽霊の話ぃ!?」
lw´‐ _‐ノv「十何年も前の話なのに……」
- 745 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:36:01 ID:nr6JcCao0
- 川 ゚々゚)
きっと恥ずかしがり屋だったんだろうな。
たまに母さんが帰ってくる時にはいつも、押し入れに引っ込んじゃって。
(;'A`)「うわぁ、それ、シューさんにしか見えないってやつじゃ……」
lw´‐ _‐ノv「そうそう。母さんは『見えない』の一点張りでさ」
一度だけ母さんに紹介しようと思ったことがある。
でも、母さんはチキンライスみたいに顔を変えて怒ってた。
母さん、きっと一人娘が自分の目に見えない「誰か」と遊ぶことを、快く思わなかったんだろうな。
lw´‐ _‐ノv「傍目には、幼少期にありがちな妄想の一種かな」
(;'A`)「それは……あー……」
lw´‐ _‐ノv「お前もそう思っているのはまるっとお見通しだ」
ともかく、私にとっては母さんが……うん、あんな人でも世界のほぼ全てだったから、必死だったよ。
- 746 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:36:44 ID:nr6JcCao0
- 川;-々-)
結局、私も「見えない」ことにするようになった。
だんだん唸り声で相手の気持ちもわかるようになってきてたけど、頑張って無視しちゃってさ。
オバケ相手だもん。罪悪感なんて無いよ。私だって、まだ五歳かそこらだよ?
lw´‐ _‐ノv「私のせいじゃないもーん」
(;'A`)「おま……いや、俺でもきっとそうすると思うけど……」
lw´‐ _‐ノv「……」
(;-A-)「……そうだな、うん。お前のせいじゃねーよ」
lw´‐ _‐ノv「優しいなー、ドックンは」
(*'A`)「な、ばっ……」
lw´‐ _‐ノv「……だけど、私は無視するだけじゃ気が済まなかったんだよね」
酷いこと、たくさんしたな。
消えて欲しくて、あの子が居る押し入れに味塩撒いたりして。
成仏はしなかった。食卓塩なんて効かないって。
でも、痛かったみたい。うーうー唸ってた。
- 747 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:37:27 ID:nr6JcCao0
- 川; 々)
必死も必死だよ。母さんも怖かったし、その頃にはオバケも怖かったし。
オバケなんかが見えるせいで私は、お母さんに怒られてるんだ、なんて。
lw´‐ _‐ノv「子供のワガママだよね。ずっと、楽しく一緒に遊んでいれば良かったんだ」
('A`)「……」
頑張ってたんだけど、結局、プッツーンってなっちゃったのが小学校の入学式の日だったな。
ちょうど入念に化粧する母さんを玄関で待ってた時。卸したての制服なんて着ちゃっててさ。
('A`)「私立の小学校行ってたんだっけ」
lw´‐ _‐ノv「そだよ。きっと私を理想の娘にブレンドしたかったんだろうね」
(;'A`)「……それで、キレたお前は何をやったんだ?」
lw´‐ _‐ノv「キレたのは私じゃないよ?」
('A`)「え?」
- 748 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:38:40 ID:nr6JcCao0
- 川#゚々)
首。
そう、首。
締められてた。
相手はオバケだからね。
母さんがもうちょっと入念に化粧してたら、きっと私も幽霊になっちゃってたんだろうね。
この辺は、ちょっと記憶が曖昧。
思い出したくないんだと思う。
ひどいもんだったらしいよ。
私はゲーゲー吐いてて、制服はどろどろで。
制服を汚しちゃったこと、必死で謝ったんだけど、聞いてくれないの。
私の制服すぐに脱がせて、色々まとめて黒い大きなゴミ袋に放り込んでさ。
結局それが最期だったな。
その子はそれっきり、居なくなっちゃった。
- 749 名前:名も無きAAのようです :2015/10/04(日) 00:39:29 ID:nr6JcCao0
- (;'A`)「おま……危うく死にかけてるじゃねーか!」
lw´‐ _‐ノv「嫌な事件だったよ。次の日には幽霊が見えるようになってたし」
(;'A`)「おお……おお?」
lw´‐ _‐ノv「今でも、こうしてちゃんと確認しないと、時々わからなくてさ」
(;'A`)「な、なにが?」
lw´‐ _‐ノv「……後悔してるんだ。あの子ともっと仲良くなって、助けてあげられたんじゃないかって」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「とにかく、話は終わり。ねぇドックぅん、アタシ達二人っきりになりたいなはぁと」
(*'A`)「よ、よろこん……あれでも俺達もう二人きりじゃ……」
lw´‐ _‐ノv「だから、ねぇドックン……ぶぶ漬け、食べない?」
(;'A`)「なんでだよ!」
おわり
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