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遊戯王をやらなくなったのは中学三年の頃だった、とモララーは記憶している。
様々な出会いと別れを繰り返すように、その時に夢中になっていた想い――それがいつかは崩れ去り、風化していくのもごく自然なことだったのだと思っていた。
友人たちが皆、それをやらなくなった原因は自分だけにあるわけではないとわかっているのだが、それでも当時の出来事は苦い思い出として心に残っている。
あの頃に失ったものが再び蘇ったのは、モララーが大学に入学して何日か経った後のことである。
「DUELIST REVOLUTION−製作速報大学が遊戯王の世界で頂点を目指すようです」
第一話「ミラーマッチ」
四月の始まり。まだ授業は始まってはいない時期だが、部活やサークルをやっている上級生たちにはやることがあった。
机と椅子を屋外まで持ち寄り、桜の花びらが敷き詰められている道端に多くのサークルが構えている。
そして入学式を終え、様々な手続きをするために大学構内をうろつく一年生たちに上級生たちはどうにか自分のグループに入れようと必死に声をかける。
製作速報大学、遊戯王同好会――デュエル講習会と書かれた張り紙を机の前面に下げているサークルもこの中の一つであった。
(*゚∀゚)「そこの方々、ちょっと!」
その遊戯王同好会の会員である女性、二年生の「つー」が二人組の青年に声をかける。
( ゚¥゚)「は?」
爪'ー`)y‐「俺らっすか?」
(*゚∀゚)「君たち一年生? いや、二年でも三年でもいいんだけど。君らカードゲームに興味がない? つうかTCGなんだけど。まあ、うちは遊戯王専門なんだけどね? 知ってる遊戯王?」
( ゚¥゚)「漫画とかで知ってるっすけど、でも興味ないす」
爪'ー`)y‐「すんませーん」
そう言って二人組は去ろうとするが、つーも引き止めようとする。
(*゚∀゚)「いや、そんなこと言わずに。知ってるんならどう? ここでやっていかない? ルール講習もするよ……ってはええ」
そそくさと、二人組は立ち去っていってしまった。その向こうで、
「大学生になって遊戯王wwwwwwwwwwww」
「ないわーwwwwwwwwwwww」
と、先程の二人の笑い声がつーのところにまで届いてきた。
(#゚∀゚)「あの野郎ども……てめえら笑うんじゃねえぞゴルァ!」
川 ゚ -゚)「だから、そんな片っ端から声かけてもだーめだって。もっと暗そうな奴だけ選びなよ」
カードを手に持ち、椅子に腰掛けている女性がつーにそう言った。
( ><)「え、僕そんな風に見られてたんですか? ヒドいんです!」
その前に座っている男が女性に向かって抗議した。
遊戯王同好会は木製の机を二台、パイプ椅子を六つ持ち出してきている。片方の机には同好会の会長、「クー」と今年の新入会員となった「わかんないんです」がそれぞれカードを手元に並べていた。
(*゚∀゚)「おいおい、クー。そんなこと言ってもよお、うちが勧誘出来るのは今日までだぜ。ていうかおめえも積極的に声かけろっての」
川 ゚ -゚)「ダメだ。私はシャイな女の子だからそんなことは出来ない」
(*゚∀゚)「あぁ、もうそんなこと言って。お前は昔っから、面倒なことをはオレばっかりにやらせるよなあ……」
川 ゚ -゚)「あ、あれなんかいいんじゃない? お願い、声かけてみて」
(*゚∀゚)「だからお前……わかった、やるって。そこのかたー!」
クーが指さした方向に、一人で歩いている、垢抜けない一年生らしき男がいた。
製作速報大学、816号教室。机が段々上に配置してある広い教室である。
そこで行われていた一年生に対する履修方法の説明会が終わると、喧騒が教室内を支配した。
その中で、一年生のある三人組が話をしている。
N| "゚'` {"゚`lリ「で、モララーはサークルか部活決めたのかい?」
鞄にプリントをなおしていたモララーは後ろにいた長身の青年に声をかけられる。モララーが中学生の時からの友人の「阿部」である。
( ・∀・)「いや、まだだけど」
('(゚∀゚∩「ならボクらで卓球部入らない? 時代はやっぱりピンポンだよ!」
阿部の隣にいる「なおるよ」が話に入る。同じく、中学からの友人である。
( ・∀・)「あーうん、そうしようかな。稲中はおもしろかったしね」
N| "゚'` {"゚`lリ「漫画かよ。ま、いいか。決まりだな」
('(゚∀゚∩「ボク腹減ったー、飯食いにいこうよ!」
(;・∀・)「あー、ごめんオレ家に帰るわ。金忘れてきちゃったんだよね」
N| "゚'` {"゚`lリ「ハハハ、モララーはうっかりだな」
('(゚∀゚∩「じゃあまたねー。お疲れー」
( ・∀・)「お疲れ」
モララーは大学の表にある校門まで行こうとするが、そこには障害が立ちはだかっていた。
校門までのあらゆる道で、部活、サークルの勧誘があちこちで行われている
(;・∀・)「う、まだやっているのか」
モララーは昨日、ウェイトリフティング部に声をかけられ、断ろうとしたのだが強引に部に入れられそうになったのだ。
(;・∀・)(あと一歩で入れられるところだった。あの時は三時間も足止めくらったな。しかしもう、入る部活は決めたんだ。今日こそは声をかけられてもきっぱり断れるはず!)
遊戯王同好会の会員であるつーは、童顔、堂々としてない立ち振る舞い、と一年生オーラを存分に放つ青年に声をかけた。
(*゚∀゚)「そこの方ー! ちょっと話聞いていかない?」
(;・∀・)「は、はいィ?」
(*゚∀゚)「あ、聞いていくって。おい、クー! この子に教えてやって」
(;・∀・)(え、承諾したつもりないのに)
(*゚∀゚)「どうぞ、ここ座ってねー」
(;・∀・)「ハァ、わかりましたー」
モララーは椅子に腰をかけた。それから、どうやって断るかの算段を考えることとなる。
(;・∀・)(卓球部に入るんで、お断りします。でいいよな)
川 ゚ -゚)「こんにちはー。君、遊戯王やったことある」
(;・∀・)「え? ハァ、三年前くらいまではやってましたけど」
川 ゚ -゚)「本当!? よっしゃ! つー。この子、経験者みたいだぞ」
(*゚∀゚)「三年かー。その程度なら、基本がわかってるだろうからブランクはどうにかなるかな」
( ><)「僕は初心者で入ったんです。君に教えてもらうこともあるかもしれないんです。よろしくなんです!」
(;・∀・)(しまったー! 嘘でもやってないって言えばよかったー! むっちゃ喰いついてきたじゃん、入る気ないのに)
( ・∀・)(でも、懐かしいなあ、遊戯王。もうやることもないって思ったけど)
モララーは机の上に置かれていた一枚のカードを見た。
それはモララーの見たことがない、枠の白いカードだった。
それはモンスターカードということは久しぶりに遊戯王カードを見たモララーにもわかったで。見たところ名前は「ジャンク・ウォリアー」。
《ジャンク・ウォリアー/Junk Warrior》
シンクロ・効果モンスター
星5/闇属性/戦士族/攻2300/守1300
「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードの攻撃力は
自分フィールド上に表側表示で存在する
レベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップする。
( ・∀・)「この白いのって何です? シンクロ、って融合のこと?」
(*゚∀゚)「あぁ、シンクロ知らねえんだ」
( ><)「それについてはさっき覚えた僕が教えるんです!」
わかんないんですにモララーは説明を受ける。一回の説明で、、モララーはシンクロ召喚の概要を理解した。
( ・∀・)「なるほど、レベルを合わせるんですか。コンタクト融合や剣闘獣の融合と似てますね。強いんですか?」
川 ゚ -゚)「まあ、結構強いよ。それよりどう? 経験者ってことで私とデュエルしない?」
(;・∀・)「え? いや、オレデッキ持ってないっすけど」
(*゚∀゚)「それならオレのを貸してやるから。ほれ、中身見てみな」
( ・∀・)「いいんですか? ありがとうございます」
モララーは、つーに遊戯王のモンスターらしきスリーブで統一されたデッキを手渡され、中のカードを確認する。
( ・∀・)(なるほど、名前でシナジーを得る、テーマで揃えたデッキか。こいつとこいつ……お、こいつ何かムチャクチャ強いじゃん。二枚ってことは準制限かな?)
川 ゚ -゚)「君、名前は?」
( ・∀・)「あ、モララーです」
川 ゚ -゚)「私はクーだ、この同好会の会長をやっている。よろしく」
(*゚∀゚)「オレはつー、まあ副会長ってところだな」
( ><)「今日、同好会に入った『わかんないんです』なんです!」
(;・∀・)「はぁ、よろしくお願いします」
川 ゚ -゚)「「じゃあ自己紹介も終わったところでモララー君。デュエルだ。本気で行くぞ」
(;・∀・)「え、本気?」
クーは机の上に置かれている黒いデッキケースからカードの束を取り出す。
(*゚∀゚)「おい、クー。そのデッキって……」
川 ゚ -゚)「実力をはかるにはこいつを使うのが一番いいんだ。お願いします」
(;・∀・)「よ、よろしくお願いします」
川 ゚ -゚)「固くならないでいいよ。あと、先攻どうぞ」
( ・∀・)「わかりました。ドロー」
( ・∀・)(懐かしい感触……ってあれ、何でオレ遊戯王やってるんだろう)
モララーは周りを見る。後ろから、同級生だと思われる「わかんないんです」が手札を覗いていた。わかんないんですと目が合う。
( ><)「モララー君、頑張ってくれなんです」
( ・∀・)「う、うん(ま、やるしかないか)」
( ・∀・) 手札:BF−大旆のヴァーユ、ソウルテイカー、BF−暁のシロッコ、BF−熱風のギブリ、精神操作、ゴッドバードアタック
( ・∀・)(ブラックフェザーデッキ、ってところか)
( ・∀・)(最善なのはヴァーユを生け贄にゴッドバードアタック、ということで何もせずにターンエンドも手だろうけど)
( ・∀・)「(ヴァーユの戦闘破壊は後々を考えればアド損じゃない。ここはプレッシャーを与えるためにも)モンスターをセット、カードを一枚セットしてターンエンド!」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A5%B4%A5%C...
川 ゚ -゚)「ドロー、手札からサイクロン。そっちのセットカードを破壊」
(;・∀・)「はい、ゴッドバードアタックです(速攻壊されたしー!)」
川 ゚ -゚)「ふぅ、危ない。手札から黒い旋風を発動」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%B9%F5%A4%A...
川 ゚ -゚)「暁のシロッコを召喚。このカードは相手にモンスターがいて自分にない場合、リリースなしで出来るよ」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
(;・∀・)「そっちもBF……ってミラーマッチっすか」
川 ゚ -゚)「実力を見るにはこれがいいんだ。あとBFは細かいビートダウンだからプレイングが割と問われる、とよく使っている私が言ってみる」
( ・∀・)「ハァ……あのー、それとリリースって何ですか?」
川 ゚ -゚)「生け贄」
( ・∀・)「あぁ、用語が変わったんですね」
川 ゚ -゚)「あと変わったといえば「生け贄召喚」が「アドバンス召喚」に変わったくらいだよ。黒い旋風の効果発動。デッキから攻撃力1800の蒼炎のシュラを手札に加える」
川 ゚ -゚)「バトル、暁のシロッコでセットモンスターに攻撃」
( ・∀・)「セットモンスターはBF−大旆のヴァーユです、破壊されます」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
川 ゚ -゚)「カードを二枚セット、ターンエンド」
□□□□□ 手札:4枚 ( ・∀・)
□□□□□ □ ライフ:8000
□□@□□ □ ライフ:8000 川 ゚ -゚)
□A■■□ 手札:2枚
@暁のシロッコ
A黒い旋風
( ・∀・)「ドロー」
手札:ソウルテイカー、BF−暁のシロッコ、BF−熱風のギブリ、精神操作、聖なるバリア
( ・∀・)「こっちも手札から暁のシロッコを召喚。さらに手札からソウルテイカーを発動します。対象はそっちの場のBF−暁のシロッコ」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A5%BD%A5%A...
川 ゚ -゚)「カウンタートラップ、闇の幻影。シロッコを対象にするソウルテイカーを無効にする」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%B0%C7%A4%C...
( ・∀・)(防がれちゃったな……シロッコは相打ちにするべきか?)
( ・∀・)(いや、こっちにはミラーフォースがある。これをより活かすためにも相打ちには取らない)
( ・∀・)「……カードを一枚セットしてターンエンドです」
川 ゚ -゚)「(こっちが有利だな)ドロー、手札から蒼炎のシュラを召喚」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
(;・∀・)(シュラって、こっちのデッキにも入っていた、ハイドロゲドンっぽい強いやつか)
川 ゚ -゚)「黒い旋風の効果発動、デッキから攻撃力1400、月影のカルートを手札に加える」
川 ゚ -゚)「バトル、シュラで暁のシロッコを攻撃」
(;・∀・)「攻撃ってことは……トラップ発動。聖なるバリア−ミラーフォース−です」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%C0%BB%A4%C...
川 ゚ -゚)「トラップ発動、トラップ・スタン。そいつは無効になる」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A5%C8%A5%E...
(;・∀・)「はい(また無効カードかよ!)」
川 ゚ -゚)「そしてダメージステップ、手札から月影のカルートを発動。シュラの攻撃力は1400アップする」
http://yugioh-wiki.net/?%A1%D4%A3%C2%A3%C6%A1%DD%B...
( ・∀・)LP8000→6800「(手札から戦闘補助、強すぎじゃね)えっと、1200ダメージですね」
モララーは電卓のキーを押し、ライフ計算を行う。
川 ゚ -゚)「さらに蒼炎のシュラの効果発動。デッキから疾風のゲイルを特殊召喚」
( ・∀・)(あれはチューナーモンスター、つまり……)
川 ゚ -゚)「ゲイル(ATK1300)でダイレクトアタック」
( ・∀・)LP6800→5500
川 ゚ -゚)「さらにシロッコでダイレクト」
(;・∀・)LP5500→3500「まずい、もう半分削られた……」
川 ゚ -゚)「メイン2入る。シュラとゲイルを墓地へ送り、BF−アーマード・ウィングをシンクロ召喚」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
(;・∀・)「攻撃力2500、しかも戦闘耐性を持ったモンスターになった。これがシンクロか……」
川 ゚ -゚)「ターンエンド」
□□□□□ 手札:2枚 ( ・∀・)
□□□□□ □ ライフ:3500
□□@A□ □ ライフ:8000 川 ゚ -゚)
□A□□□ 手札:2枚
@暁のシロッコ
A黒い旋風
Bアーマード・ウィング
川 ゚ -゚) 手札:BF−大旆のヴァーユ、ライトニング・ボルテックス
川 ゚ -゚)(ゴドバ等を防げるスターダストの方がよかったかもしれないが……相手はミラフォもなくなり、ゴドバも一枚減ってる)
川 ゚ -゚)(残りは奈落二枚、ゴドバ二枚といったところ。それらを警戒するよりヴァーユから2800のシルバー・ウィンドが出せるアーマード・ウィングにとっておく)
シルバー・ウィンド http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
川 ゚ -゚)(しかし、このままじゃライフ満タンのままボコボコにしてしまうな。ブランクのある素人相手にやりすぎたか)
( ・∀・)「ドロー!」
ドローカードは黒い旋風。
( ・∀・) 手札:BF−熱風のギブリ、精神操作、黒い旋風
(;・∀・)「(来るのが遅い!)ターンエンドです」
( ><)「モララー君、ピンチなんです!」
川 ゚ -゚)「私のターン。ヴァーユの効果使わないのか?」
川 ゚ -゚) 手札:BF−大旆のヴァーユ、ライトニング・ボルテックス、王宮の弾圧
ドローしたカードを見て、クーがモララーに語りかける
(;・∀・)「まあ、すぐにやられてしまいますからね……」
川 ゚ -゚)「何もしなかったのは何か手札にあるのかな」
(;・∀・)「さあ、どうですかねえ」
返答は虚勢を張っているようにしか見えない、と言ったモララー自身も思った。
実際にこのターンに決着がついてもおかしくはない。
川 ゚ -゚)「(まあ、私が有利なことに変わりはない。このターンで勝負がつかなくても、この状況なら勝ちは揺るがないだろう)」
川 ゚ -゚)「(悪いが、ここは勝たせてもらう。この子が萎えるのは都合が悪いが、それでも手は抜かない!)」
川 ゚ -゚)「手札から大旆のヴァーユ(ATK800)を召喚。バトル、大旆のヴァーユでダイレクトアタック」
( ・∀・)「(これならどうにか凌げる!)攻撃宣言時、手札からBF−熱風のギブリを守備表示で特殊召喚します!」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
川 ゚ -゚)「(つーの奴、何でギブリ入れてるんだ……まあそのおかげで助かったようだが)攻撃は中断する」
川 ゚ -゚)「暁のシロッコでギブリを攻撃」
ギブリが破壊される。
川 ゚ -゚)「そして、アーマード・ウィングでダイレクトアタック。2500ダメージ」
(;・∀・)「2500……残り1000。あぁ、ヤバイですよねこれ」
川 ゚ -゚)「そうかもね。でもゴドバあたり引けば可能性はあるかも。カードを一枚セットしてターンエンド」
川 ゚ -゚)(このターンで決着が着くと思ったんだが――ヴァーユを召喚したのはラフプレイだったか? 断トツ有利に見える状況の時にこういうミスをたまにやってしまうな。注意しないと)
□□□□□ 手札:2枚 ( ・∀・)
□□□□□ □ ライフ:1000
□C@B□ □ ライフ:8000 川 ゚ -゚)
□AD□□ 手札:1枚
@暁のシロッコ
A黒い旋風
Bアーマード・ウィング
C大旆のヴァーユ
D王宮の弾圧(セット) http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%B2%A6%B5%D...
(;・∀・)「ドロー!」
引いたカードを手札に加えると、モララーの動きが止まった。
(;・∀・)「すいません、ちょっと考えさせてもらっていいですか」
川 ゚ -゚)「どうぞ。でも公式ルールだと三分までだから、気をつけてね」
(;・∀・)「はい」
モララーが手札を見て頭を悩ませる中、先程からクーの後ろで見てたつーは手札を確認するために後ろへと回る。
( ・∀・) 手札:精神操作、黒い旋風、BF−極北のブリザード
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%C0%BA%BF%C...
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
(*゚∀゚)(あぁ、もろシンクロ召喚狙いの手札……クーの伏せは弾圧だし、除去出来ない。終わったな)
(*゚∀゚)(まあここからチューナーで何を呼び出すか。それ如何によっては評価してやるべきか)
つーは手札を見て、モララーには完全に勝ちの目がないと確信していた。
( ・∀・)「……よし」
そんな絶望的に見える状況の中、モララーはプレイングを決めた。
( ・∀・)「いきます!」
川 ゚ -゚)「来い、モララー君」
( ・∀・)「手札から黒い旋風を発動します」
川 ゚ -゚)「通す」
(*゚∀゚)(まあそっからだよな……でもブリザードからだと手札に呼び出せるやつは少ないし、有用なやつもそんなないぞ。カルートやゲイルなんかも呼び出せないし)
( ・∀・)「さらに手札からBF−極北のブリザードの召喚! ブリザードの効果発動! そしてブリザードが召喚されたことにより旋風の効果を発動します!」
川 ゚ -゚)「通しだ(この状況だと弾圧がブリザードに対して使えない。だが、次に出てきたシンクロを落とせばいいだけだ)」
( ・∀・)「ブリザードの対象はBF−熱風のギブリです。で、旋風の効果発動! デッキから、えっと……こいつだ、攻撃力1100のBF−そよ風のブリーズを手札に加えます」
( ・∀・)「で、最初のチェーンのブリザードの効果が発動。墓地よりBF−熱風のギブリを特殊召喚します」
( ・∀・)「あと……ブリーズを効果で特殊召喚したいんですけど、これって出来ますか?」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
川 ゚ -゚)「可能」
( ・∀・)「よし、BF−そよ風のブリーズを手札より特殊召喚!」
(*゚∀゚)(出来るんだ……逃すかと思った)
川 ゚ -゚)「(BFのシンクロ召喚にしか使えない、壁が一枚増えるだけで大したことはないだろう。伏せを明かすこともない)通しだ」
( ・∀・)「熱風のギブリの効果発動。ギブリの攻守をエンドフェイズまで入れ替えます」
( ・∀・)「さらに墓地のBF−大旆のヴァーユの効果を発動! 墓地のヴァーユとシロッコを除外して……6のBF、エクストラよりBF−アームズ・ウィングを特殊召喚!」
http://yugioh-wiki.net/index.php?%A1%D4%A3%C2%A3%C...
(*゚∀゚)(展開力はすごいが、相手のアーマード・ウィングの攻撃力を超えるカードが一枚もない。壁を並べて凌ぐつもりか?)
(*゚∀゚)(だがそれは無駄だ。クーの手札にはライボルがあった……全部除去されちまう。これで終わりか?)
( ・∀・)「手札から精神操作を発動します! 対象はBF−暁のシロッコ」
川;゚ -゚)「精神操作……! 通すぞ」
(*゚∀゚)(シロッコを奪った……シンクロ召喚出来るが、どうする。ブラック・ローズ・ドラゴンあたりを出すか?)
( ・∀・)「よし、奪った暁のシロッコの効果を発動します!」
(*゚∀゚)(!! そうか、シンクロじゃなくてそっちがあったか……しかし、届くか!?)
( ・∀・)「対象は極北のブリザードです。ブリザードの攻撃力は1300(ブリザード)+2000(シロッコ)+1600(ギブリ)+1100(ブリーズ)+2300(アームズ・ウィング)」
( ・∀・)「+800(ヴァーユ)+2500(アーマード・ウィング)で、ブリザードの攻撃力は11600です」
(*゚∀゚)「と、届きやがった!」
川;゚ -゚)「シロッコの上昇効果は……相手のBF(ブラック・フェザー)も含める。ミラーマッチならではか」
( ・∀・)「バトル、攻撃力11600のBF−極北のブリザードで大旆のヴァーユを攻撃!」
川;゚ -゚)LP8000→0「何もない。私の負けだ……まさか、だな」
□□□E□ 手札:0枚 ( ・∀・)
IH@FG □ ライフ:1000
□C□B□ □ ライフ:0 川 ゚ -゚)
□AD□□ 手札:1枚
@暁のシロッコ
A黒い旋風
Bアーマード・ウィング
C大旆のヴァーユ
D王宮の弾圧(セット)
E黒い旋風
F極北のブリザード
G熱風のギブリ(守備表示)
Hそよ風のブリーズ(守備表示)
Iアームズ・ウィング
(;・∀・)(あれ、勝ってしまった)
(*゚∀゚)「おいおい、BFで1キルかよ。DDB時代以来に見たぜ。しかし、あの状況から手札三枚でまさか勝っちまうとはな」
( ><)「よくわかんないけどモララー君の逆転勝利なんです!」
川;゚ -゚)「モ、モララー君。もう一度デュエルだ」
(;・∀・)「え、そろそろ帰……」
モララーはこの場から早くも立ち去りたかったが、クーの真剣な表情を見るとそれを思い直した。
(;・∀・)「わかりました、やりましょう」
その後、クーとモララーの何度か同じデッキでデュエルをした。そして、もはや同好会の面々は勧誘のことなど忘れていた。
デュエルの結果は、なんとモララーの全勝だった。
川;゚ -゚)「…………」
(;・∀・)「…………」
クーの悔しさを押し隠すような表情を見て、モララーは手札のカードを机において立ち上がった。
(;・∀・)「お、オレ行きます!」
川 ゚ -゚)「モララー君、うちの会には入ってくれるんだよな?」
(;・∀・)「い、いえ。オレ卓球部に入るんで、それじゃ」
川;゚ -゚)「ま、待て!」
モララーはその場から走り去る。そして、クーもその後を追った。
(*゚∀゚)「おいおい、あんだけやって。あいつ入らないのか?」
( ><)「強いのにもったいないんです。是非入って欲しいんです!」
(*゚∀゚)(さて、クーはあいつをどうにか出来るかな……)
モララーは表の校門の方へと全速力で走っている。クーがその後を追ってきている。人通りはない
クーはモララーの元へと追いつき、その襟首を掴んだ。
(;・∀・)「ぐえ!」
川;゚ -゚)「なんで逃げるし!」
(;・∀・)「いや、もう逃げませんから。離してください」
川 ゚ -゚)「そうか、ならあっちで話そう」
モララーはクーに雑木林の中にある休憩所へと連れていかれた。
川 ゚ -゚)「単刀直入に言うと、内の会に入ってもらいたい」
モララーがベンチに腰掛けると、クーが唐突に話を切り出した。
(;・∀・)「えっとー……」
川 ゚ -゚)「私の目から見ると、君のデュエルしているところはとても楽しそうに見えたんだが……プレイングを真面目に考えるところなんかが。それでも、やりたくない訳とかあるのかな。やっぱり大学に入ったからには他のことをやりたいとか?」
( ・∀・)「えっと、オレ昔……中学の頃なんですけど」
川 ゚ -゚)「ん?」
( ・∀・)「遊戯王が流行ってて、オレはなんというか……大会とかで勝てるように真面目にやってたんです。まあ、何回か優勝したりもしてました。でも他の友人らはパックで当たったやつを適当に入れるとか、アニメのデッキに近づけるとか、そんな風にやってたんですね」
川 ゚ -゚)「温度差?」
(;・∀・)「あ――そうですね。自分だけ、ガチで組んでたから仲間内でやると、やっぱり自分ばっかり勝つわけで」
川 ゚ -゚)「それでハブられた?」
(;・∀・)「いや、ハブられたというよりはオレ意外はみんな詰まんなくなってやめていったというか。それで、オレも」
川 ゚ -゚)「なるほど、そういう訳があったのか」
(;・∀・)「ということで、あんまりいい印象がないんですよね」
川 ゚ -゚)「うーん――もしかしたら、私もそういう人達のように。君とのデュエルが嫌なように見えたのかな?」
( ・∀・)「え?」
川 ゚ -゚)「確かに悔しかったけど、私は嫌ではなかったよ。もちろん、デュエルを辞めようとなんか思ってない。君ともまたデュエルしたい」
( ・∀・)「オレと?」
川 ゚ -゚)「そう、おかしい?」
( ・∀・)「えっと……」
川 ゚ -゚)「それに――これを本当に楽しめるのは、勝ちたいと思う人だけなんじゃないかと私は思う」
川 ゚ -゚)「勝つためにはやっぱり努力したり、実力もいるし――遊びだけど、大会が開かれたり競技の面だってある。トランプやウノの遊びとはやっぱり違うよ、デュエルは」
( ・∀・)「オレは、あんまりそういうこと考えたことなかったです」
川 ゚ -゚)「――私たちの遊戯王同好会にはある目標があるんだ」
( ・∀・)「何ですか?」
川 ゚ -゚)「全国大学対抗遊戯王選手権大会――デュエルモンスターズインターカレッジを勝ち上がり、優勝することだ」
( ・∀・)「ハァ……コナミの公式じゃなくて、大学でそういうのがあるんですか」
川 ゚ -゚)「うん。ルールは三対三の総当たりチーム戦。つまり、一人の力じゃ勝てない。うちの会員は今少ないし、勝つために是非君の力が欲しいんだ」
( ・∀・)「……オレなんかでいいんでしょうか?」
川 ゚ -゚)「プレイングを見させて貰う限り、実力はあると思う――ブランクがあると言ったが、君はまるで日ごろからデュエルに慣れているようだった。知らないデッキで、あれほどのプレイングを行うのは本当に至難の技だよ」
川 ゚ -゚)「――なーんて、実力があるかどうかに限らず、今は誰でも歓迎なんだけどね。でも君が強いと思ったのは嘘じゃないよ」
( ・∀・)「――入会についてはちょっと、考えさせてもらっていいでしょうか?」
川 ゚ -゚)「返事はいつでもいいよ。君の携帯見せて」
( ・∀・)「え? あ、はい」
モララーは上着のポケットから携帯を取り出し、クーに手渡す
川 ゚ -゚)「お、会社同じ、赤外線で出来るね。ん? 今は別の会社とでも出来るんだっけ?」
( ・∀・)「いや、知らないッス(ていうか勝手に携帯開けられてるし)」
クーは番号の交換を終えると、携帯をモララーのもとへと返した。
川 ゚ -゚)「じゃ、返事待ってるよ」
( ・∀・)「はい」
モララーは自分の住むアパートに帰宅した。そして、越してきてから早くも万年床となっている布団の上に飛び込む。
モララーは中学を卒業して以来、何か特別なことに打ち込むということを意図的に避けるようになった。
そして、これからもそういう「夢」といったことには縁のないように生きようと思った。
何をやっても、全て後に残らない、徒労に終わるだけだと決めつけていた。
全てはあの時のどうしようもない虚無感を身に受けてから――。
次の日、大学での今日の1コマ目の授業が終わった後、休憩所でモララーは('(゚∀゚∩とN| "゚'` {"゚`lリの姿を見かけ声をかけた。
( ・∀・)「うっす、大学の授業時間ってやっぱり長いよなー」
('(゚∀゚∩「だねー。まあすぐ慣れると思うよ」
N| "゚'` {"゚`lリ「あ、モララー。俺たち昨日、卓球部行ってきたんだけど。そんで紙もらってきたよ」
( ・∀・)「紙?」
('(゚∀゚∩「入部届けだよ。モララっちも入るって言ったよね」
(;・∀・)「あ、えーと……」
('(゚∀゚∩「?」
N| "゚'` {"゚`lリ「?」
モララーはしばらく押し黙る。腕が上着のポケットの中にのびる。その中にある、携帯の感触を確かめると口を開いた。
( ・∀・)「ごめん……オレ、別のとこ入ることにしたから!」
この時モララーは、かつて自分が挫折を覚えたデュエルの世界へ再び踏み入れることを決めた。
過去に失った情熱を昨日のデュエルで思い出してしまった。今のモララーは夢を持たずにはいられなかった。
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