- 479 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:16:16 ID:DcHekbiw0
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- 480 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:17:01 ID:DcHekbiw0
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- 481 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:17:42 ID:DcHekbiw0
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( )『……こいつが、どうかしたのか』
( )『言わなくちゃあだめ?』
( )『…………』
( )『どうしても、不都合なんだ』
( )『なぜ?』
( )『彼女という存在自体が、 “牽制” の機能を兼ね備えているんだよ』
..
( )『わかる? “そこにいるかどうかがわからない” 女なんだよ、コレは。』
( )『…………』
( )『どうした? すごく、腑に落ちない顔をしてるじゃない』
( )『わからない点が、二つ』
( )『ん〜〜?』
.
- 482 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:18:23 ID:DcHekbiw0
-
( )『一つ。 攻撃能力がなく、透視も瞬間移動もできず、五官が【ゼロ級】なわけでもない』
( )『それなのに、どうしてこいつに目くじらを立てる必要がある』
( )『おいおい、そういうこと聞いちゃっていいのかな?』
( )『………………次』
( )『次、か。 何?』
.. . .. . ... ... . .
( )『この資料は、どうやって手に入れたんだ?』
( )『こいつは、警察局の極秘資料じゃあ―――』
( )『残念だけど』 スッ
( )『!』
( )『まだ、そこまで信頼を結べている関係じゃないんでね』
( )『質問の二つとも、ノーコメントとさせてもらおう』
( )『………ッ……』
.
- 483 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:19:05 ID:DcHekbiw0
-
( )『…………まあ……構わねえ』
( )『女一人を殺すくらい……造作もない』
( )『じゃー解散! 見つかったらまずいしね、いろいろと』
( )『…………………』
( )『まあ………』
( )”
( )『 「造作もない」 ことはない……だろうね』
( )『我々が睨む限り、最強の【ゼロ級】であり最強の 「DDRer」 』
( )『そいつが、彼女なのだから』
( )『………!』
( )『だけど……きみにとっても、同じことが言えるだろう!』
( )『おそらく、全世界でも五本の指に入るであろう実力者なんだからね』
.
- 485 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:19:45 ID:DcHekbiw0
-
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- 486 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:20:29 ID:DcHekbiw0
-
(´・ω・`)「――――」
( ;´゚ω゚)「ハア!!? ジョシュのほう、だと!?」
ζ(゚−゚;ζ「助手って……あの医師が助手に従えてるのって、たしか……」
(゚、゚トソン「はい。 サイボーグ、ただ一人です」
.
- 487 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:21:10 ID:DcHekbiw0
-
(´゚ω゚`)「ナメんな!! サイボーグだったら、一発でわかるだろ!」
(゚、゚トソン「………どうして?」
(´゚ω゚`)「ヤツは、 “顔の半分を覆う包帯を取れない” ッ!」
(´゚ω゚`)「いくらカンペキな擬態をしたって、包帯がありゃあ一発で…………、」
(´・ω・`)「…………… “包帯” ……?」
(´・ω・`)
( ;´゚ω゚)「――――待て!! 確か、シィは―――」
ζ(゚−゚*ζ「………そういうことね!」
(゚、゚トソン「はい!」
.
- 488 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:21:51 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン「シィは、」
(゚、゚トソン「 “右目に包帯が巻かれていた” !」
(゚、゚トソン「だから………誰も、 “この可能性” には気づかなかったんです!」
.
- 489 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:22:33 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚;ζ「でm」
( ;´゚ω゚)「それでも、現場にいるのはシィかサイボーグか、まだわからないだろ!」
ζ(゚−゚;ζ「ちょっとダマってて」
( ´゚ω゚)
ζ(゚−゚;ζ「で……トソンちゃん、問題はサイボーグのほうよ!」
ζ(゚−゚;ζ「現に擬態ができている以上、あの子は事前にシィちゃんに会ったことになるわ」
ζ(゚−゚;ζ「確か、一時間もしたら擬態が完全でなくなるはずだから、
そうなったら容姿まではいいにしても 《ラピッド・ラビット》 はまず使えなくなる……」
ζ(゚−゚;ζ「………キュート戦のことも考えると、サイボーグは
“シィちゃんを見てからすぐに現場に向かった” ってことになる!」
ζ(゚−゚;ζ「いったい、サイボーグは、いつ彼女の【ゼロ級】を取得したのか、それが……」
(゚、゚トソン「…………………」
ζ(゚−゚;ζ「トソンちゃん、わかる?」
(゚、゚トソン「…………」
( ´^ω^)「むりむり。 トソンにそんな機転利くわけが、」
(゚、゚トソン「あ!」
( ´゚ω゚)「あった!?」
.
- 490 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:23:17 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン「局長、ひとつだけ可能性があります」
ζ(゚ー゚;ζ「可能性……」
(゚、゚トソン「あたし、病院に、シィの様子を見に行ったじゃないですか」
ζ(゚−゚;ζ「ああ………えっと、ほんとは職務中なんだけどね……」 ボソッ
(;´・ω・)「そのー、なんだ」
(;´・ω・)「見たのか? そのとき、シィとサイボーグとが会っていたのを」
(゚、゚トソン「……いえ。 “直接的には” 、見ていません」
(;´・ω・)「 “直接的には” ?」
(゚、゚トソン「ですが、シィはあたし以外の誰とも会ってなかった、わけでもなかった」
(゚、゚トソン「シィは、サイボーグじゃなくて、 “あの人” と会ったのですよ!」
.
- 491 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:23:57 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン「シィの、お兄さん―――」
(゚、゚トソン「 《ブロック・ジャック》 ……ィシ医師」
(゚、゚トソン「でも、ほんとうは、 “その医師は医師じゃあなかった” !」
(゚、゚トソン「 “あの医師こそが、擬態したサイボーグだった” のですよ!!」
.
- 492 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:26:13 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚*ζ「!」
(゚、゚トソン「そもそも……治療中のィシ医師が、いくら妹が相手だからって
. 様子を見るために治療を後回しにするハズがなかったんです」
ζ(゚−゚*ζ「そこで、サイボーグが医師にまねて様子を見に来た……」
ζ(゚ー゚*ζ「で、シィちゃんと向かい合うことで、その容姿と【ゼロ級】を取得した……!」
ζ(゚ー゚*ζ「………」
ζ(゚ー゚*ζ「ん?」
(゚、゚トソン「だとすると、 “現場にいたのはシィかサイボーグか” ……
. それも、おのずと見えてくる……と、思います」
(;´・ω・)
(´・ω・`)「……………! ちょっと、待て!」
(゚、゚トソン「はい?」
(;´・ω・)「確か、アンチェインどもが要求したのは……」
ζ(゚ー゚*ζ o O(まあいいや…)
(゚、゚トソン「要求……?」
(゚、゚トソン「えっと、 《ブロック・ジャック》 じゃあ―――」
.
- 493 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:28:33 ID:DcHekbiw0
-
(;´・ω・)「違う!」
(;´・ω・)「奴らが要求したのは、 “【ゼロ級】の治療技術” だ!!」
(゚、゚トソン「あ!」
(;´・ω・)「そ……そう! そうなんだよ!」
(;´・ω・)「で、医師の容姿を取得した状態でシィの【ゼロ級】を取得し、使ったってことは……」
. ..
(゚、゚トソン「………同様に、 “ィシの【ゼロ級】も今なら使える” ……ッ!」
ζ(゚−゚;ζ「こッ、こ、これはチャンスよ!! ショボン、現場のみんなに伝えてちょうだい!
“今すぐ” アンチェインの要求にこ答えさせるの!!」
(;´^ω^)っ】「よ、よし! 希望が見えてきた!」 サッ
(゚、゚トソン「番号間違えちゃだめですよ」
(´^ω^`)「はーい」 ピッピッ…
コ レ
(´゚ω゚`)「待て!!! 電話はてめーの仕g
.
- 494 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:29:15 ID:DcHekbiw0
-
〈:://−〉 スッ
( ´_ゝ`)「………ッ!!」
_
( ;゚∀゚)「おッ……おま、え………いや……あなたは!!」
_
( ;゚∀゚)「―――マチガイねえ! 《ブロック・ジャック》 ――ッ!!」
.
- 495 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:31:41 ID:DcHekbiw0
-
( ><)
( ><) o O(いつの間に黒のロングコートが!?!?)
〈:://−〉「……さて」
_
( ;゚∀゚)「さて、じゃねえ!! なんであなたがこんなトコにいンだよ!!」
_
( ;゚∀゚)「ビロード、運ぶン手伝え!! 先生にこんな場所、キケンすぎる!!」
( ><)「いや………たぶん、というか、もう、確信的なんだけど……」
. . . . .. . . . . .... ...
( ><)「ジョルジュさんっ! その人は、その人本人じゃあない!」
_
( ;゚∀゚)「なッ――――じゃあ!!」
( ><)「きっと、ィシ医師の、 “助手” のほう!!!」
( ><)「 《ミラージュ・イン・ザ・ミラー》 ――サイボーグ、その人です!!!」
.
- 496 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:32:30 ID:DcHekbiw0
-
_
( ;゚∀゚)「なんだと!? ジョシュ!?」
( ><)「考えてもみてよ! 服装や声はともかく、輪郭まで変えられるなんて彼女しかいない!」
_
( ;゚∀゚)「えっと、【ゼロ級】の、適応……いや、えっと………」
( ;><)「【ゼロ級】の擬態能力!! というか、イマはそんなのどーーでもいい!!」
_
( ;゚∀゚)「ハッ………ご、ごっほん!!」
_
( ;゚∀゚)「と、とにかく………アンチェイン! 聞こえているか!」
( ´_ゝ`)「!」
_
( ;゚∀゚)「お前じゃねえ! 本体のほうだっ!」
_
( ;゚∀゚)「お前のお望みの、ミラー……ちが…… 《ブロック・ジャック》 は、ここにいる!」
_
( ;゚∀゚)「用件を言え! こいつが【ゼロ級】の治療技術を持ってることくらい、なんとなくでわかンだろ!」
( ´_ゝ`)「………」
_
( ;゚∀゚)「おい!!」
(<_` )「うるさいぜ、おたく」 ヌッ
.
- 497 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:33:39 ID:DcHekbiw0
-
_
( ゚∀゚)「ッ!」
( ;><)「で、出た!!」
(´<_` )「さて………ご苦労だった、 『DDRer』 よ」
(´<_` )「じゃあ……次は、人払いとしゃれこもうか」
_
( ;゚∀゚)「人………払い……?」
(´<_` )「どこの世界に、執行官、看守と同じ空間にいたがる死刑囚がいる?」
(´<_` )「隙を見つけてハイ逮捕……そんな手段をとろうとしているのが手に取るように見えているのでね」
_
( ;゚∀゚)「…………」
(´<_` )「さあ、 『DDRer』 たちにはご退場を願おうか」
_
( ;゚∀゚)「願おうか、って……正気か! いくら路地裏だからって、ここは野外だぞ!」
_
( ;゚∀゚)「それに、あんたの目的が治療だったらなら、」 pppp...
_
( ;゚∀゚)「どのみち医療施設に戻らないと……、………?」 pppp...
_
( ;゚∀゚)っ[] 「こんなときに、だr………、……しょ、所長室……?」 pppp...
_
( ;゚∀)[]「ビロード、まかせた。 ………もしもし! トソンか!?」
( ;><)「あっずるい!!」
〈//−゚〉「………」
.
- 498 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:34:20 ID:DcHekbiw0
-
(´<_` )「さて、異論もなくなったようなので……」
( ;><)「ま…待て! 《ブロック・ジャック》 をどうするつもりだ!」
(´<_` )「悪いようにはしない」
( ;><)「どこの世界に、死刑囚のそんな言葉を信じる警官がいるんだ!」
(´<_` )「戻ってこい、俺よ」
( ´_ゝ`)「……」 スッ
(´<_` )「じゃあ、俺らはちとお邪魔するが……」
(´<_` )「引き留めるか? おとなしく引き下がるか?」
(´<_` )「 《マニュアル・アニマル》 よ」
( ;><)「と、止めるもなにも……どこに行こうっていうんだ!」
( ;><)「この近くに、 《ブロック・ジャック》 の力を最大限に発揮させる医療施設はないぞ!」
(´<_` )「………、」
( ´_ゝ`)「確かに……見覚えはないな」
(´<_` )「せいぜい、あって町医者、程度……か」
( ;><)「というより、 《ブロック・ジャック》 の力を借りたいなら、彼のホーム……」
( ;><)「帝国特別中央病院に行くしかない!!」
( ;><)「そしてそこは同時に、僕たち 『DDRer』 のホームグラウンドでもあるんだ!!」
.
- 499 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:35:01 ID:DcHekbiw0
-
(´<_` )「………それが、どうした?」
( ;><)「なっ……!」
(´<_` )「いま、優先権はどちらにあるのか。 そいつを、考えてみるんだ」
( ;><)「……………………」
(´<_` )「 “生殺与奪権” 」
(´<_` )「この世で、もっとも大きな力を握る権力だ」
(´<_` )「悪いようにはしないつもりだが……ケースバイケースということ、だ」
( ;><)「ふ……フン! そんなの知らないもんね!」
(´<_` )「ほう……?」
. . .
( ;><)「こっちには、あの方がいるんだから!」
(´<_` )「あの方?」
.
- 500 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:35:47 ID:DcHekbiw0
-
( ;><)「【ゼロ級】の保護色、僕らのリーダー!」
( ><)「 《ノン・シュール・ストレミング》 !」
( ><)「 “認知できない世界すべてが、あの方の行動範囲” なんだ!
静かに事が進むなんて、考えられないね!!」
.
- 501 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:36:28 ID:DcHekbiw0
-
(´<_` )「………やはり」 スッ…
( ;><)「!」
(´<_` )「死刑囚と正義とがわかりあうなんて、おとぎ話だったのさ」 スタスタ
( ;><)「勝負を挑むつもりか?! 無謀だぞ、観念しろ!!」
(´<_` )「 『俺』 よ、行くぞ。 帝国特別中央病院だ」
(´<_` )「先生よ。 少しばかし、力を借りるぞ」
〈//−゚〉「………」
( ´_ゝ`)「穏便に行きたかったのだが……仕方あるまい」
(´<_` )「……よし」
(´<_` )「ゆくぞ」
_
( ;゚∀゚)「―――そうはいかないぞ!」
.
- 502 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:37:13 ID:DcHekbiw0
-
(´<_` )「……やはり、おたくも争いを好むのか」 ジリ…
_
( ;゚∀゚)「違う! おい、ここから病院まで何分かかると思っている!」
(´<_` )「………何分くらい、と」
( ;><)「医師もいるんだし、三十分は……」
_
( ;゚∀゚)「それだと遅いんだよ!」
(´<_` )「遅い?」
( ><)「どういうこと……ですか?」
_ .ム コ ウ
( ;゚∀゚)っ[]「い、いま、刑務所から聞いたんだ、よく聞け!!」
_
( ;゚∀゚)「サイボーグが 《ブロック・ジャック》 の力を使えるのは、あと “約三十分” !!」
_
( ;゚∀゚)「それまでに決着をつけねえと……擬態が、解けちまう!!」
.
- 503 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:37:55 ID:DcHekbiw0
-
(´<_` )「…!」
〈:://−〉「………」
( ;><)「ど、どういうこと?」
_
( ;゚∀゚)「 《ミラージュ・イン・ザ・ミラー》 ……
その制限時間とサイボーグの行動から逆算したら、自然とそーゆー計算になるんだよ!」
_
( ;゚∀゚)「しかも、三十分ってのは最低で、じゃない。 最高で、だ!
サイアク、五分後には医師の【ゼロ級】が消えて、ただのコスプレっ娘なだけになるかもしれねェんだよ!」
( ;><)「で、でも! いまのサイボーグは、 《ラピッド・ラビット》 が使える!」
( ;><)「アンチェインを引っ張ってくだんのスピードで駆け抜ければ……」
_
( ;゚∀゚)「……………ムチャだ」
( ;><)「どうして!」
_
( ;゚∀゚)「言われた、ンだよ」
( ><)「え…?」
.
- 504 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:38:41 ID:DcHekbiw0
-
_
( ;゚∀゚)『シィ! 頼んだ!』
(;゚'Д゚)『ムチャ言わないで! ンなことしたら、あたしもアンタも死ぬわ!!』
_
( ;゚∀゚)『――ッにイ!?』
(;゚'Д゚)『あたしはそのうち身体が反射神経についていけなくなるし!!』
(;゚'Д゚)『アンタは高速戦闘のなかじゃ息もできないし目も開けられないのよ!?』
_
( ;゚∀゚)『…………ッ!!』
_
( ;゚∀゚)「いくらアンチェインが【ゼロ級】死刑囚だからって、己の人体構造には勝てねェ」
_
( ;゚∀゚)「もし、シィのチカラを使ったとしても、
『 《アンチェイン・ボディ》 がくたばって 《アンチェイン・ハート》 が生き残る』
……ッつーな本末転倒になるだけ……、だ」
.
- 505 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:39:26 ID:DcHekbiw0
-
( ;><)「じゃあ…… “最初から、 《ブロック・ジャック》 のチカラは借りられなかった” ……?」
(´<_` )「……ッ、」
( ;><)「………そ、それはそれでマズいんじゃあ……」
_
( ;゚∀゚)「えっと……オトジャさん…?」
_
( ;゚∀゚)「だから、例の交渉は諦めちゃあ……」
(´<_` )「………なんだと…?」 ギロッ
_
( ;^∀^)「で、ですよネー………」
(´<_` )「………」
_
( ;^∀^)「………」
( ><)「………」
_
( ;゚Д゚)「――――確保だ、ビロード!!」
〈:://−〉「待て」
.
- 506 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:40:24 ID:DcHekbiw0
-
. _
(゚Д゚; )彡 「!」 サッ
〈:://−〉「医師を侮ってもらっては困る」 スタスタ
( ;><)「サイボーグ! むやみに近づいちゃ――」
〈:://−〉「やれホームだの設備だの」 スタスタ
(´<_` )「…!」
〈:://−〉「そんなものが医師を慰しているわけではない」 ピタ…
.
- 507 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:41:05 ID:DcHekbiw0
-
〈:://−〉「これより、 《アンチェイン・ボディ》 の治療をはじめる」
〈:://−〉「 《ブロック・ジャック》 の石のような意志を、見せてやる」
. .. . . . .. .... . .. . .
〈//−゚〉「チカラを貸せ、 《ワンショット・レールガン》 」
.
- 508 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:41:45 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「………さあ、邪魔者は追いやった」
川r▼-゚)「おっぱじめるとするぞ」
( <●><●>)「それはいいのですが……よくまあ、こうもスムーズに……」
川r▼-゚)「なに」
川∩-゚)「ちょっと、眼帯をはずそうとしたら、みんな許諾してくれてだな……」 サッ…
( <●><●>)「それは、えっと」
( <●><●>) \
グイッ…
( <●><●>)「わかった。 わかりましたから、眼帯ははzやめてください!」 /
.
- 509 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:42:29 ID:DcHekbiw0
-
川 r∩-)「まだ完治してなくて、な」 グイ
川r▼-゚)「たぶん、空気に触れさせるだけでだめなんだ」
( <●><●>)「捨て身の脅しですか。 さっさとはじめますよ」
川r▼-゚)「はじめるのはいいが……なにから手をつければいい?」
( <●><●>)「手当たり次第やるしかないですよ」
川r▼-゚)「なにが手当たり次第だ。 時間がないのは共通認識のはずだろ」
川r▼-゚)「確か、お前の話によると、誰かが “隠している” ……ということだけど」
( <●><●>)「では、逆に問いましょう」
( <●><●>)「ふつう、脱獄囚は、まず最初になにを頼りに見つけますか?」
川r▼-゚)「……? センサーとか……」
( <●><●>)「ほかには」
川r▼-゚)「見張りたちとか、」
( <●><●>)「ほかには」
川r▼-゚)「点呼とか……」
( <●><●>)「ほかには」
川r▼-゚)「………なんだ、きみは私が嫌いなのか? ん?」
.
- 510 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:43:16 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「たしかに、そういった幾つものセキュリティーを挟むことで守っている部分はある」
( <●><●>)「でも、もっとも典型的なもの……それはずばり、」
川r▼-゚)「……! “監視カメラ” ――ッ!」
( <●><●>)「はい。 どうして私のセリフを奪ったのですかね」
川r▼-゚)「しかし、監視カメラはただ中継を垂れ流しているだけではない」
川r▼-゚)「部外の者だから細かい部分まではわからないけど、だ。
. 監視カメラの映像は、交代制でチェックしたあとはデータとして一定期間保管しておくんだ」
川r▼-゚)「どれくらい保管するかはともかく、昨日今日のものは取りこぼしなく揃ってある。
. つまり、ただ “裏切り者” が監視カメラを通して見た脱獄シーンを黙認しても、そいつはすぐにばれるんだよ」
( <●><●>)「場違いの身としてはなにも言えません。 が、です」
( <●><●>)「 “だからこそ脱獄を許した” ……と、見るべきなのですよ」
( <●><●>)「ふつうなら見逃すはずがないからこそ、そこに―――」
( <●><●>)「 “細工” があった――のだ、から」
.
- 511 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:44:00 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「その、細工を……たった二人で、割り出すのか」
川r▼-゚)「厳重なセキュリティーの全てが、この警備部に集約されている。
. しかも……その二人は、セキュリティー全てに無知ときたもんだ」
川r▼-゚)「ベルベット。 なにか目星がついていたりはしないのか」
( <●><●>)「言ったでしょう。 私は、場違いの身。
ただ、合理性を追求した上で “捜査” するしか、方法がないのです。
むしろ、地の利もあるあなたに頼りたいくらいなのですが……」
川r▼-゚)「そこらへんは “捜査” のプロに任せるが……私の専門はあくまで “調査” だ。
. このたびの “捜査” の方針……全て、きみに委ねるとする。 私は、なにをしたらいい?」
( <●><●>)「……そうですか、わかりました。 では、早速、ポイントですが……」
( <●><●>)「ずばり」
( <●><●>)「今回の大脱走は、 “細工” なしには不可能だった」
( <●><●>)「この一点に尽きます」
.
- 512 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:44:44 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「ほう……」
( <●><●>)「刑務所が大脱走に気づいたときには既に、【ゼロ級】死刑囚たちは脱獄していた。
つまり、それまでの間にすでに事実として大脱走はおこなわれていたのです」
( <●><●>)「しかし、それまでの間、データとしての大脱走は確認されていない……
ほかはどうであれ、この点は完全にムジュンしている」
( <●><●>)「実際の出来事とデータ上の事実を照らし合わせた結果、食い違った。
ならば、 “裏切り者” がデータを改竄した……そう考えるしか、なくなるのです」
川r▼-゚)「データを改竄……だと?」
川r▼-゚)「ばかな。 そもそも、映像が脱獄を捉えた時点で問題なんだ。
. 黙認すればいいのは、そのとき監視カメラをチェックしていたただ一人だけ――では、なくなる」
川r▼-゚)「 “警備部全体” が、脱走を黙認しなければいなくなるんだ」
川r▼-゚)「まさか、ジョルジュが裏切り者の一人だった、ということ……か?」
( <●><●>)「否定はしません」
川r▼-゚)「――――ッ……」
( <●><●>)「が……やはり、それでも彼にこの “裏切り者” の役目を負わせるのは難しいでしょう。
“黒幕” だって、 『DDRer』 を仲間に引き入れたりはしないはずです」
川r▼-゚)「………そう、か」
.
- 513 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:45:25 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「さっきも言ったように、 “裏切り者” は一貫して、
その見られたくない部分を他者に見せてはならない」
( <●><●>)「もし 『DDRer』 が “裏切り者” だったとするなら、
その裏切りを遂行するために、更なる協力者が必要となる」
( <●><●>)「これは……裏切りを起こす身にとってはリスクが高すぎるのです。
メリットがまるでない、と言ってもいい」
川r▼-゚)「つまり、 “裏切りは一人で行われた” ということなのだろ?」
( <●><●>)「はい」
川r▼-゚)「―――だったら、なおさらおかしい」
( <●><●>)「……、」
川r▼-゚)「隠蔽行為は、実際に事が起こってからでないとできないんだ」
川r▼-゚)「そして、一度起こってしまえば、監視カメラをはじめセンサー、点呼、存在しない脱走経路……
. そんな、あらゆる要素がその脱獄に反応して瞬く間に広まってしまう」
川r▼-゚)「……… “裏切り者” の存在を認めるとしても、だ。
. その隠蔽工作をたった一人に任せるのは、はっきり言って、不可能だ。
. 必ず、警備部全員の協力が不可欠となるね」
( <●><●>)「………」
.
- 514 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:46:06 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「最初から、すんなり話が噛みあうとは思ってもいません。
“食い違うからこそ、脱獄が成功してしまった” のですから」
川r▼-゚)「…?」
( <●><●>)「ある一つの意見は、こうです。
脱獄を隠蔽するために、 “裏切り者” が警備部のデータを単身で改竄した――」
( <●><●>)「もう一つの意見は、相反している。
脱獄を隠蔽するには事後の処理が必要だが、刑務所の仕様上、単身でそれは不可能――」
( <●><●>)「これは……完全に、食い違っています。
つまり、 “不可能” なのですよ、本来は……脱獄を隠蔽する、なんて」
(( ( <●><●>)「しかし、揺ぎ無い事実として、【DDR】は起こってしまっている。
………だから、こそ」 スタスタ…
川r▼-゚)「だからこそ?」
.
- 515 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:46:47 ID:DcHekbiw0
-
.
- 516 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:47:27 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)
川r▼-゚)
川r▼-゚)「………」
( <●><●>)” 「監視カメラの映像は……このコンピュータを使えばいいのでしょうか?」 ギィ
川r▼-゚)「…あ、ああ。 確か、それだった。
. それはいいとして―――」
川r▼-゚)「あの 《パーフェクト・ロジック》 が、無策………だと?」
川r▼-゚)「お前……ほんとうに、 《パーフェクト・ロジック》 か?」
.
- 517 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:48:08 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「無策……?」
川r▼-゚)「手当たり次第以外に方法はなかったのか。
. 私はてっきり、いい方法があるとばっかり思っていたのだけど……」
( <●><●>)「なにをおっしゃるか。 これしか法がなく、これこそが最善なのですよ」
川r▼-゚)「私は……お前を、買いかぶっていたのかな?」
. .
( <●><●>)「………私は、最初から言ってましたが、ね」
川r▼-゚)「最初?」
川r▼-゚)『はじめるのはいいが……なにから手をつければいい?』
( <●><●>)『手当たり次第やるしかないですよ』
川r▼-゚)『なにが手当たり次第だ。 時間がないのは共通認識のはずだろ』
.
- 518 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:48:58 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「――――ッ!!」
( <●><)っ” 「あらゆる可能性を見通した結果……これしか、なかった」 カチッ
( <●><)っ)) 「 “かつて存在しなかった可能性を使われた” のだから、当然といえば当然なんですがね」 カタカタ…
川r▼-゚)「 」
( <●><●>)「………クール、さん?」 ピタ
川r▼-゚)
(( 川r▼-゚)「フ……」 スタスタ
( <●><●>)「?」
川r▼-゚)「悪かった。 失言だったよ」
川r▼-゚)「 《パーフェクト・ロジック》 ……その【ゼロ級】は、本物…だ」
( <●><)” 「……無駄口を叩く暇があれば、です」 カタ…カタッ
川r▼-゚)「一つだけ、質問させて」
( <●><●>)「 ……はい?」
.
- 519 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:49:50 ID:DcHekbiw0
-
.
- 520 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:50:31 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「―――――」
川r▼-゚)「………」
( <●><●>)「………昔読んだ漫画に、ありましてね」
川r▼-゚)「…?」
( <●><●>)「何でも、未来を予知できる占い師がいるのですが、
最後の強敵との決戦の前夜、彼女は…… “占いができない” と言ったのです」
川r▼-゚)「……つまり、さすがのベルベットでも読めない、と」
( <●><●>)「はい。 ……まあ、強いて答えるとするならば………」
川r▼-゚)「…」 ゴク
.
- 521 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:51:20 ID:DcHekbiw0
-
.
- 522 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:52:04 ID:DcHekbiw0
-
_
( ;゚∀゚)「ナ………」
_
( ;゚∀゚)「い、いま、なんつッた……?」
_
( ;゚∀゚)「 “俺のチカラを貸せ” ―――?」
.
- 523 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:52:50 ID:DcHekbiw0
-
〈//−゚〉「時間がない。 手早く言うぞ」
〈//−゚〉「 《アンチェイン・ボディ》 。 その奇病は、奇妙な特性を持っている」
〈//−゚〉「奇病の発祥は畸形嚢種だが、特性としては 『解離性同一性障害』 寄りであるのだ」
_
( ;゚∀゚)「か、カイリキ……、……??」
( ;><)「つ、つまり、二重人格に近いってこと!」
〈//−゚〉「 《アンチェイン・ボディ》 。 【ゼロ級】の奇病であるのだが、
これを【ゼロ級】と言わしめるのは二つの点であると医師は見ている」
_
( ;゚∀゚)「二つ……まあ、アレだわな」
_
( ;゚∀゚)「一つが、ただの畸形嚢種が、一個人に成っちまう、ッていう……」
_
( ;゚∀゚)「で、もう一つが………」
〈//−゚〉「それに “意志” が宿ること」
.
- 524 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:53:32 ID:DcHekbiw0
-
〈//−゚〉「意志と言っても、だ。 問題は、 “それは本体と同一である” という点にある」
_
( ;゚∀゚)「同一………」
〈//−゚〉「一つの意識を、二人で共有しているということだ。
分離まではただの異常現象で済んだのだが、意識まで共有してしまうのが
《アンチェイン・ボディ》 を超自然、【ゼロ級】と言わしめる要因なのだ」
( ;><)「それが、いったい……」
〈//−゚〉「 《アンチェイン・ボディ》 の畸形嚢種だけを治療したところで、完全な治療にはならないのだ」
_
( ;゚∀゚)「ンなッ……! ど、どうしてだよ!」
〈//−゚〉「 《アンチェイン・ボディ》 は、大きく分けて二つの奇病から成っているのだ。
その片方、畸形嚢種だけを治したところで、もう片方の “意識の共有” が残ってしまう」
( ;><)「そもそもの分離をさせなくすれば、どのみちそのもう片方も消えるんじゃあ……っ」
〈//−゚〉「医師はもう言った。
《アンチェイン・ボディ》 は、畸形嚢種よりも 『解離性同一性障害』 に通じている、と」
( ;><)「それが、なんと………」
〈//−゚〉「解離性同一性障害は “成るべくして成る” 病気なのだ」
〈//−゚〉「つまり」
〈//−゚〉「その事の発端を治さないと―――」
.
- 525 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:54:13 ID:DcHekbiw0
-
.
- 526 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:54:57 ID:DcHekbiw0
-
( ><)「――――」
(´<_` )「……ッ!」
〈//−゚〉「………また、新しい腫瘍ができては、分離してしまうだけ……なのだ」
_
( ;゚∀゚)「そ、そいつはわかったけど……」
_
( ;゚∀゚)「だったら、どォやってソイツを治すってんだ?」
_
( ;゚∀゚)「で……―――」
_ .チ カ ラ
( ;゚∀゚)「俺の【ゼロ級】が、いったいどう関係してくるんだ?」
_
( ;゚∀゚)「俺は…… 《ワンショット・レールガン》 ……」
_
( ;゚∀゚)「どうして………俺、なんだ……?」
.
- 527 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:55:40 ID:DcHekbiw0
-
. . . .
〈//−゚〉「――― 『電気信号』 」
_
( ;゚∀゚)「?」
〈//−゚〉「我々人間は、脳の電気信号による指示によって行動を起こしたり思考をめぐらせたりしている」
〈//−゚〉「 “微弱な電磁波で生きている” のだ」
_
( ;゚∀゚)「……??」
〈//−゚〉「一方で」
〈//−゚〉「 《アンチェイン・ボディ》 と 《アンチェイン・ハート》 」
〈//−゚〉「二人は、 “まったく同一の思考回路を共有している” 」
〈//−゚〉「これを医師の言葉に置き換えると……」
〈//−゚〉「 “まったく同じ電磁波が脳から発信されている” ことになるのだ」
.
- 528 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:56:25 ID:DcHekbiw0
-
_
( ゚∀゚)「―――― 」
.....
〈//−゚〉「その電磁波の周期を、ずらす」
. .
〈//−゚〉「同一の周波で流されている電磁波を、意図的に干渉して乱す」
. . ..
〈//−゚〉「そうすれば、この二人を繋いでいる因果関係は―――途絶える」
〈//−゚〉「いま、この場で 《アンチェイン・ボディ》 を救えるのは」
〈//−゚〉「 《ブロック・ジャック》 ―――医師ではない」
〈//−゚〉「お前しかいないのだ」
〈//−゚〉「 ワンショット・レールガン 」
.
- 529 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:57:07 ID:DcHekbiw0
-
_
( ;゚∀゚)「で――でも、だ!」
_
( ;゚∀゚)「俺ァ、先生みてェに医学には精通してねえ!」
_
( ;゚∀゚)「ただ、イタズラに電撃ぶっ放せばいいってわけじゃねえだろ!!」
〈//−゚〉「医師が、 《アンチェイン・ハート》 の周期を、視る」
_
( ;゚∀゚)「……?」
〈//−゚〉「その周波、信号の状態から、医師はお前に合図を送る」
〈//−゚〉「医師の合図と……寸分の狂いなく、指示したとおりの電磁波を、
《アンチェイン・ハート》 の頭部に、直接、ぶつけるのだ」
〈//−゚〉「一瞬でも狂えば、一ボルトでも狂えば、一度でも狂えば、失敗」
〈//−゚〉「【ゼロ級】の治療技術、 《ブロック・ジャック》 」
... . .
〈//−゚〉「その領域に、お前は、足を……踏み入れるのだ。 ジョルジュ。」
.
- 530 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:57:52 ID:DcHekbiw0
-
_ ∧
( ;゚∀゚)「―――――v′':. .:――― !」
∨
〈//−゚〉「来い。 《アンチェイン・ハート》 」
( ´_ゝ`)「……!」
〈//−゚〉「ジョルジュは利き手を患者に置け。
前頭葉に掌の中央部が来るように」
_
( ;゚∀゚)「ちょッ、え――」
〈//−゚〉「はやくしろ。 時間がないと言ったのは誰だ」
_
( ;゚∀゚)「ま、ッ、――――」
〈:://−〉っ” 「電磁波を、視る。 動かず、意識もするな」 スッ
( ´_ゝ`)「―― ……。」
〈:://−〉っ
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)
( _ゝ )
.
- 531 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:58:59 ID:DcHekbiw0
-
_
( ;゚∀゚)「――――」
( ;><)「じょ、ジョルジュ……」
_
( ;゚∀゚)「 」
( ;><)「ジョルジュっ!」
〈:://−〉「 ………ジョルジュ」
_ て
( ;゚∀゚) そ 「!」
〈:://−〉「お前は、最大でどれだけの電気を操ることができる」
_
( ;゚∀゚)「え、え……? えっと、だな……」
_
( ;゚∀゚)「時間さえあるのなら、大気中にある電磁波を集めッから、えっと……」
_
( ゚∀゚)「 十億 。 十億ボルト。 雷を落とすのが、限界だ」
〈//−゚〉「―――― ならば、十億ボルトを、撃て」
.
- 532 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 16:59:59 ID:DcHekbiw0
-
_
( ;゚Д゚)「―――ッ!? なんだとッ!!?」
〈:://−〉「………かなり強い、電磁波だ。
. 患者の周波を強引に変えるには、それほどのチカラが……いる」
_
( ;゚∀゚)「じょッ、ジョーダンじゃねえ!! ンなもん撃ったら、先生は……どうなるんだよ!!」
〈:://−〉「―――周期を掴んだ。 カウントを始める」
_
( ;゚∀゚)「お、おい!」
〈:://−〉「………十六……十五……十四……、」
_
( ;゚∀゚)「ッ!」
〈:://−〉「……十二……十一……、」
_
( ;゚∀゚)「 」
( _ゝ )
_
( ;゚∀゚)
_
( ;-∀-)
_
( ;゚∀゚)
.
- 533 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:00:42 ID:DcHekbiw0
-
',. _ ':,
':,( ;゚Д゚) 「――――クソッタレェェええええええ!!!」 バチバチィ!!
、,′
- 534 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:01:32 ID:DcHekbiw0
-
.
- 535 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:02:21 ID:DcHekbiw0
-
(;´^ω^)「よ……よくやった!」
(;´^ω^)「これでアンチェインも脱落! 残すは蜂、狐のみ!」
(;´^ω^)「も、もーーー怖くないもんね!! こっちはまだまだ戦えるんだ!」
ζ(゚−゚;ζ「あ、あとは 『DDRer』 次第……ね」
.
- 536 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:03:03 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン「……」
(;´^ω^)「トソン、どーーした! さっきからダマりこくっちゃって!」
(゚、゚トソン「…あっ いや……」
(;´^ω^)「なになに?」
(゚、゚トソン「えっと……言っていいのかなぁ、…って」
(;´^ω^)「なにか気になったことでもあったか? 言ってみろ、怒らないから」
(゚、゚トソン「んー……」
(゚、゚トソン「ほんとうに、このまま【DDR】がうまいこと執行されるのかなあ、って」
( ´゚ω゚) ,;;.・”;
.
- 537 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:03:45 ID:DcHekbiw0
-
“ (゚、゚トソン「……?」
( ;´゚'ω゚)「ふッ、ふッ、フラグを、建てるんじゃねえよバカヤロオオオオオオオッッ!!!!」
(゚、゚トソン「………怒った………」 シュン
ζ(゚−゚;ζ「ショボン、こー見えて縁起とかスゴイ大切にする人だから……」
(゚、゚トソン「ああ…… 《アン・トラブル・メイカー》 ですしね……」
( ;´゚'ω゚)
( ;´゚'ω゚)
:;( ;´゚'ω゚);: ワナワナ…
(゚、゚トソン「…?」
ζ(゚−゚;ζ「ほら……いつもの不運がおとずれないか不安で怖がってるのよ」
(゚、゚トソン「あ、ああ………」
.
- 538 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:04:25 ID:DcHekbiw0
-
:;( ;´゚'ω゚);:「フ………フザケルナ……これ以上不幸があってたまるか……」 ワナワナ
:;( ;´゚'ω゚);:「【DDR】の存在自体が不運なんだ!! これいじょーの不運があるわけがないッ!!」 ワナワナ
:;( ;´゚'ω゚);:「ムカシっからATMATMってバカにされてきたんだ……負けるわけにはいか………っ」 ワナワナ
(゚、゚トソン「…? ATM?」
ζ(゚−゚;ζ「ショボンのムカシのあだ名」
(゚、゚トソン「…… 『アン』 ってゆーえぬじゃないんですか」
ζ(゚−゚;ζ「触れないであげて」
(゚、゚トソン「それはそうと……いま所長が言ってることがまさに 『フラグ』 な気が……」
ζ(゚−゚;ζ「ここでなにか起こったら、まあ、そうなるね」
( ;´゚'ω゚)「おっまえら!! そんなフキツなこと……」
TELLL...
TELLL...
(´゚'ω゚'`)「オギャアアアアアアアアアアアア!!!」
ζ(゚−゚;ζ「フラグ………でした」
(゚、゚トソン )) 「出てあげますから……おちついて……」 スタスタ
.
- 539 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:05:13 ID:DcHekbiw0
-
(;´^ω^)「と、とそん〜〜〜〜〜!!」 ウルウル
【c(゚、゚トソン「……」 ガチャ
【(゚、゚トソン「はい、お電話ありが………」
【(゚、゚トソン「………? は、はあ……」
【(゚、゚トソン「所長ですか? ちょっと待ってください」
】c(゚、゚トソン「所長、気象庁の方から…」
( ;´゚'ω゚)「はァァーーーーーーーーーーーーん!!?!?」
.
- 540 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:05:56 ID:DcHekbiw0
-
( ;´゚'ω゚)「おまっ…あああ、あとでおぼ、え、」
( ;´゚'ω゚)】「あ、は、ハイ!? 変わりました、しょb……どーーも、あ、その節はどーーも!」
(;´^ω^)】「【DDR】ぅ?? ああ、そォーーのことでちょっといろいろ言われてましてねェ! はい!」
(;´^ω^)】「でも、いま世間に出てるアレは、ぜーんぶ、デマ、デマですから! お気になさらず!」
(;´^ω^)】「はい、はい、ソーなんですよォ……ええ……」
(;´^ω^)】「で、用件はなんでしょう?? あれだ、【ゼロ級】死刑囚の疑いとかならちが……」
(;´^ω^)】
(;´^ω^)】「大気中の電子が異常な濃度になっている?」
(;´^ω^)】「ウチのジョルジュがまた条規を破ったと疑われている?」
( ;´゚'ω゚)】「だから、国家会議に出席してもらうゥ!? はあ!!?」
(゚、゚トソン「………壮絶な不運ですね」
ζ(゚−゚;ζ「なんで一秒足らずで裏切ったのよトソンちゃん……」
(゚、゚トソン「え……おもしろそうだったから」
.
- 542 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:06:49 ID:DcHekbiw0
-
( ;´゚'ω゚)】「じょっジョルジュは今歯医者に行ってるからたぶん人違いです!!」
( ;´゚'ω゚)】「おーーかたお隣の国がミサイルでもぶっ放したんでしょ!! きっとそうだ!!」
(;´^ω^)】「あーーーー!! ちょっとキャッチ入ったんで、誤解も解けたところで失礼します!! ハイ!!」
て
( ;´゚'ω゚)≡つ【 そ ガチャァン!!
ζ(゚−゚;ζ「ど、どうしたの……?」
( ;´゚'ω゚)「あんのバカ……! 禁止されてるハズの雷を撃ってたのか……!」
ζ(゚−゚;ζ「見てなかったの? ばりばりビリビリ撃ってたじゃない」
(゚、゚トソン「はい。 それも二回」
( ;´゚'ω゚)「に、二回も!!?」
ζ(゚−゚;ζ「………で、呼び出しくらったの、か」
:;<( ;´゚'ω゚)>;: 「お、お、終わりだあ〜〜〜〜〜!!!」 ブルブル
.
- 543 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:07:31 ID:DcHekbiw0
-
TELLL...
TELLL...
( ;´゚'ω゚)
( ;´゚'ω゚)
(゚、゚トソン「……所長? また電話ですよ? 気象庁ですかね?」
TELLL...
TELLL...
( ;´゚'ω゚)
( ;´゚'ω゚)
ζ(゚−゚;ζ「こ、こらトソンちゃん、まがりなりにも上司なんだから……」
(゚、゚トソン「ショチョー?」
( ;´゚'ω゚)
≡≡( ´;ω;)「やだーーーーーーーー!!」 ダッ
(゚、゚トソン「あっ…」
.
- 544 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:08:12 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚;ζ「トソンちゃん、……電話」 TELLL...
(゚、゚トソン「あ、ハイ……」 TELL...ガチャ
【(゚、゚トソン「お電話ありがとうございます、こちら、」
ζ(゚−゚;ζ「もう、ショボンも!」
(´;ω;`) ヒーン
ζ(゚−゚;ζ「仮にもあんた、刑務所長でしょ。 『DDRer』 たちの上司でしょ?」
(´;ω;`) ヒーン
ζ(゚−゚;ζ「上に立つものがそんなんで、【DDR】の指揮がつとまるわけ……」
(´;ω;`)
(´;ω;`)
(´・ω・`)
ζ(゚ー゚;ζ「わかった?」
(´・ω・`)
(´;ω;`) ヤダー
ζ(゚Д゚'#ζ「こんッのしょぼマユゲええええ!!!」
.
- 545 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:08:53 ID:DcHekbiw0
-
【(゚、゚トソン「――――なッ……」
ζ(゚−゚#ζ「 ッ! 」 ピタッ
(´;ω・`)「 !」 ピタッ
【(゚、゚トソン「 …………ちょっと、待って……」
【(゚、゚トソン「あ、ちょっ―――v'^ー――」 プツッ
【(゚、゚トソン「………、」 ツーツー…
】c(゚、゚トソン「…………」 ガチャン
ζ(゚−゚;ζ「――……な、なに……?」
ζ(゚−゚;ζ「き、気象庁? だよね? ……ね?」
(゚、゚トソン「 …… …。」
ζ(゚−゚;ζ「 トソン、ちゃん?」
.
- 546 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:09:33 ID:DcHekbiw0
-
(;´・ω・)「………………もう、ジョークは、ゆるさない」
(;´・ω・)「な……なん、だ。 所長命令だ、言え」
(゚、゚トソン「……、……。 ………、」
(;´・ω・)「………トソンッ!!」
(゚、゚トソン「…………………………………… “目撃証言” 。」
(;´・ω・)「なッ――――なに? なんのだ?」
ζ(゚−゚;ζ「【ゼロ級】死刑囚が暴れてる〜〜って、コトとか?」
(゚、゚トソン「ち、違います………いや、違う、と、思い……ます。」
(;´・ω・)「思い、ますゥ?」
ζ(゚−゚;ζ「ま、まあなんでもいいわ」
ζ(゚−゚;ζ「 “目撃証言” ………いったい、相手の人はなんて言ってたの?」
(゚、゚トソン「…………………… “蜂” 」
ζ(゚−゚;ζ「――――えっ!?」
.
- 547 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:10:14 ID:DcHekbiw0
-
.
- 548 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:10:55 ID:DcHekbiw0
-
───────────────────────────────────
《 ハ ニ ー ・ ホ ー ネ ッ ト 》 が 街 中 に 出 現 し た
───────────────────────────────────
.
- 549 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:11:47 ID:DcHekbiw0
-
( ´゚ω゚)
ζ(゚Д゚';ζ
( ´゚ω゚)「なにィィいいいいいいいいいいいいッ!!?」
ζ(゚Д゚';ζ「ちょ、ちょ、ちょっと、ちょ……、……ええええ!!?」
(゚、゚トソン「……」
(;´・ω-)「ま、待て! トソンッ!」
ζ(゚Д゚';ζ「そ、そう! 待って、トソンちゃん!」
(゚、゚トソン「………?」
(;´・ω・)「と、トソン。 とりあえず、だ」
(;´・ω・)「それは、えっとだな、いろんな意味で、ありえない!」
.
- 550 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:12:32 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚';ζ「そ………そう! そうよ! いろんな意味でありえない!」
(゚、゚トソン「え……?」
(;´・ω・)「まず、一つ」
(;´・ω・)「ただ蜂が見つかっただけなら、いいんだ。 ただ、漠然と見つかった、ってだけなら」
(;´・ω・)「だけど、な」
(;´・ω・)「……… “街中” ってのは、万が一にも、ありえないッ!」
( ;´゚ω゚)「やつは、あくまでも殺し屋だぞ!! オモテの世界の空気を吸うようなやつじゃないわッ!」
(゚、゚トソン「だって、向こうが……」
( ;´゚ω゚)「それだ、そーれーッ! 二つ目ッ!」
( ;´゚ω゚)「―――蜂の姿を知っているだと!? そして、悠長に目撃して通報できるだと!!?」
( ;´゚ω゚)「ありッ えん!! もう、ありえんコトだらけだッッ!!」
.
- 551 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:13:15 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン「あたしも、おかしいな、とは思ったんですが……」
ζ(゚−゚';ζ「あ、相手の人、なんか言ってた? ってか、なんて言ってた!?」
(゚、゚トソン「えっと………【DDR】執行、お疲れさま、とか」
(;´・ω・)「【DDR】を知っている、だと……?」
ζ(゚−゚';ζ「す、すくなくとも一般のヒトじゃあなさそうね……口ぶり的に」
(゚、゚トソン「 《ハニー・ホーネット》 が北区に出現した、はやく捕まえてくれ……とか」
(;´・ω・)「【DDR】はともかく、二つ名、それも顔を見て言い当てるだなんて……」
ζ(゚−゚';ζ「うん、間違いないわ。 ソレ、フツーの目撃証言じゃあ……… ない。」
(゚、゚トソン「あたしもそう思ったのですが、言うだけ一方的に言ってから切ってきて……」
(;´・ω・)「…………と、とにかく、ご苦労」
ζ(゚−゚';ζ「こ、これは………ショボン、あなたどう考える?」
(;´-ω-)「う、うぅぅぅ………ん? ………………うーーん……。」
. ∽
.
- 552 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:14:04 ID:DcHekbiw0
-
.
- 554 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:14:50 ID:DcHekbiw0
-
て
( ;´゚'ω゚) そ 「――――ぬわあああああああああああああ!!!!!」
lw´‐ _‐ノv「あ、ドモ…」
(( ζ(゚Д゚';ζ「しゅしゅしゅっ、シューちゃん!!? いつの間に!!?」
lw´‐ _‐ノv「あ、ダメ、さすがに傷つく…。 あなた、何度か目ぇ合ってたよ…」
(゚、゚トソン「…! シュールさん!」
lw´‐ _‐ノv「まともに反応してくれるのはトソンちゃん、君だけだよ。 愛してる」
(゚、゚トソン「さっすが、【ゼロ級】に影が薄いですね」
lw´‐ _‐ノv「前言撤回新記録だよバカヤロウ」
.
- 555 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:15:36 ID:DcHekbiw0
-
(;´^ω^)「しゅッ、シュー……シュール、じゃないか」
(;´^ω^)「いろいろ言いたいことはあるが……まずは、ゴキブリ退治、ご苦労だった」
lw´‐ _‐ノv ウッス
(;´^ω^)「で………だ」
lw´‐ _‐ノv「?」
(;´・ω・)「……どうしたの?」
lw´‐ _‐ノv「キュート確保の旨を言いにきたつもり……だったんだけど、
なにやら香ばしい匂いが漂っていたから、ちょっと立ち聞きしてたんス」
lw´‐ _‐ノv「………そうか、蜂も動き出したのか。 休ませてくれないのね、まったく」
(゚、゚トソン o O(……そういや、この人もどうやって話聞いてたんだろう……)
(;´・ω・)「あ、あんたはなんとも思わないのか? この “目撃証言” を…っ!」
(;´・ω・)「なんつーか、アヤシイにおいがプンプンするんだぞ!」
lw´‐ _‐ノv「……」
.
- 556 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:16:22 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚;ζ「……いま、動ける人は?」
lw´‐ _‐ノv「質問を重ねるようで悪いが、いまウチの二人はどちらに?」
ζ(゚−゚;ζ「……ビロードちゃんと、ベルベットちゃん?」
(゚、゚トソン「ビロードさんはウチのジョルジュさんと一緒にアンチェイン狩り。
. で、ベルベットさんは、たしか、クールさんと行動を共にしています」
lw´‐ _‐ノv「なるほど。 アンチェインのほうは、どうなった?」
(゚、゚トソン「いま……彼の【ゼロ級】を治療しているところです」
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv「治療?」 キョトン
(;´・ω・)「詳しいことはあとで報告としてあげさせる。 それよりもだな……」
lw´‐ _‐ノv「いや…ちがくて」
(;´・ω・)「?」
lw´‐ _‐ノv「【ゼロ級】って、え、なに」
lw´‐ _‐ノv「……治せる、の?」
.
- 557 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:17:10 ID:DcHekbiw0
-
(;´^ω^)「あ、ああ……すまないね。 語弊よ、語弊」
(;´^ω^)「ほら、その〜〜なんだ。 アンチェインの奇病を治してるところって意味よ」
lw´‐ _‐ノv「あ、ああ……なるほど」
(゚、゚トソン「……シュール、さん?」
lw´‐ _‐ノv「それはいいとして……アレだ、アレ。 動ける人?」
lw´‐ _‐ノv「私と、エクストと……あと、ツンちゃん」
ζ(゚−゚;ζ「…? ツン?」
(;´・ω・)「あ、ああ………たしか、そんなこと言ってたな」
.
- 558 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:17:53 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン『だったら、あなたも向かったほうがいいのでは……』
ξ゚听)ξ『あたしは、 “アイツ” が出てくるまで待たないとだめだから』
(゚、゚トソン『 “アイツ” ?』
ξ゚听)ξ『 《ハニー・ホーネット》 よ』
ξ゚听)ξ『クマなんて目じゃない剛力で……勝つ』
ξ゚听)ξ『それに備えて、洞穴で息を潜めて待つ』
ξ゚听)ξ『……それが、今のあたしにできることでしょう?』
.
- 559 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:18:44 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚;ζ「た、たしかに蜂はおそろしい殺し屋だけど……」
ζ(゚−゚;ζ「あッあのコ、蜂に勝つための作戦でも練ってるのかしら…?」
lw´‐ _‐ノv「あ、さっきカレー食ってやした」
ζ(゚Д゚'#ζ
(゚、゚トソン「……蜂、といえば……」
(゚、゚トソン「シュールさん…… “因縁” 持ちでしたよ、ね」
lw´‐ _‐ノv「おう」
(;´・ω・)「因縁、ってぇーと……」
(゚、゚トソン「シュールさんが、ムカシ、殺し屋 “雀蜂” に狙われた話ですよ」
.
- 560 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:19:24 ID:DcHekbiw0
-
(´・ω・`)「………!」
(´・ω・`)
( ;´゚ω゚)「―――あ……あああああああああああああああああッ!!
. わ、わかった、わかったぞ! “目撃証言” の “狙い” が!!!」
(゚、゚トソン「へ…… “狙い” ?」
( ;´゚ω゚)「蜂…… 《ハニー・ホーネット》 ッ!!」
.. . . .. ....
( ;´゚ω゚)「あいつ、シュールともう一度戦うつもりじゃねえのか!?」
. . . . .. ...
( ;´゚ω゚)「あいつが唯一殺せなかった…… 《ノン・シュール・ストレミング》 とッ!!」
.
- 561 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:20:18 ID:DcHekbiw0
-
ζ(゚−゚;ζ「――――ッ!!?」
lw´‐ _‐ノv「あーー……。 っぽい、ね」
(;´・ω・)「ぽいね、って………」
(;´・ω・)「………ッ!! まさか、あんた……」
( ;´゚ω゚)「う、受けるってのか!? この挑戦状をッ!!」
ζ(゚Д゚;ζ「まさかッ!! しゅ、シューちゃん!!?」
lw´‐ _‐ノv「……」
(゚、゚トソン「…! だから、あなた、部屋に入ってきたんですね!」
(゚、゚トソン「蜂からの挑戦状だと確信したから、盗み聞きをやめて……っ!」
lw´‐ _‐ノv「おーー、トソ……、誰が盗み聞きやねん」
lw´‐ _‐ノv「それはいいとして……」
.
- 562 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:21:11 ID:DcHekbiw0
-
lw´‐ _‐ノv「受けるにキマってンじゃねえか…」
ζ(゚Д゚';ζ「じょッ、ジョーダンじゃない!! あなた、囮になろうっての!?」
lw´‐ _‐ノv「蜜蜂も雀蜂も、花だの獲物だのがいないのに空を舞いますかっての」
lw´‐ _‐ノv「……… 《ハニー・ホーネット》 と 《ノン・シュール・ストレミング》 の一騎打ち……燃えるねえ」
.
- 563 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:21:53 ID:DcHekbiw0
-
(゚、゚トソン「あ………えっと、当然ですがツンさんたちにも蜂退治に参加してもらいますので、」
lw´‐ _‐ノv”
(゚、゚トソン「仮に宿命の対決だとしても、少なくとも 『一騎打ち』 ではないと思うのですが………」
lw´‐ _‐ノv
(゚、゚トソン
lw´‐ _‐ノv
(゚、゚トソン
lw´‐ _‐ノv
(゚、゚トソン
lw´‐ _‐ノv「やっぱお前嫌い」
(゚、゚トソン「えっ…」 シュン
lw´‐ _‐ノv「あっダメ、やっぱ好き」
.
- 564 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:22:41 ID:DcHekbiw0
-
lw´‐ _‐ノv「と、いうわけですので」
ζ(゚−゚';ζ「………」
lw´‐ _‐ノv「【DDR】、行ってきます」
ζ(゚−゚';ζ「…………わ、わかった……けど」
ζ(゚−゚';ζ「勝つ見込みは、あるの?」
lw´‐ _‐ノv「…? ツンちゃんが一発見舞うかどうか…」
(;´・ω・)「お、おっかねえギャンブルだな……」
lw´‐ _‐ノv「あ!」
( ;´゚ω゚) そ 「なななッ、な…ゴホッ! ……なんだ!!」
lw´‐ _‐ノv「そういや、ベルベットがなにやらクールちゃんと一緒って聞いたんだけど……」
lw´‐ _‐ノv「なにやってるの? デート?」
(;´・ω-)「あ、ああ………それな」
(;´・ω・)「聞いて、驚くなよ?」
lw´‐ _‐ノv「あい」
(;´・ω・)「 《パーフェクト・ロジック》 と 、サウザンド………違う。 《ワンハンドレッド・アイ》 」
(;´・ω・)「この二人、がしてることは、だな……いわゆる、アレだ」
.
- 565 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:23:28 ID:DcHekbiw0
-
.
- 566 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:24:31 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚) o O(仮にも管理職についている自分でさえ、
セキュリティのこととなるとまるで無知となるのが悔しいが……)
川r▼-゚) o O(内部からの裏切りを防ぐため、だったか。
フ……裏切りを防ぐために情報を絞っておいたがゆえに裏切りに翻弄されるとは、な)
川r▼-゚) o O(しかし………それでも、不審な点が、多い。 多すぎる)
川r▼-゚) o O(一つずつ処理していくが……まずは、センサーだ。
各牢獄に取り付けられたセンサーがある限り、たとえ職員が扉を開けようがそいつは記録される)
川r▼-゚) o O(昨日今日はおろか、ここ一週間ですらそういったイレギュラーは、ない。
【ゼロ級】判定された死刑囚は、たしか食事配給にさえ人員が割かれなかったはず……)
川r▼-゚) o O(各所に設置されていた監視カメラだが……こいつにも、イレギュラーは、ないはず。
まったくの第三者であるベルベットでさえこの映像からイレギュラーを見出せないのだから、シロ、だ)
川r▼-゚) o O(牢獄そのものに異常はまったく見られない以上、センサーをくぐるしかないが……
なんとかしてセンサーをくぐり抜けても、霧散化した【ラスト・ヴァンパイア】でない限り、カメラにかかる)
川r▼-゚) o O(そして……そのカメラを抜けても、その先の扉には門番がいる。
やはり建物そのものに異常がないのだから、抜け出すならば今度は有人が相手となる)
川r▼-゚) o O(………そう。 どう足掻いても、痕跡を残さず大脱走するには、
三つの “ありえない” 選択肢しかありえないんだ)
川r▼-゚) o O(一つ。 警備部全体が、大脱走を、黙認。
二つ。 建物に、肉眼ではまず判別不可能となるような仕掛けが最初から施されていた。
三つ。 セキュリティーシステムそのものに、細工か不備が存在していた―――)
.
- 567 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:25:50 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚) o O(一つ目は……壁となるのが、警備部長、ジョルジュだ。
あいつの人間性を無視するにしても、警備部全体を抑え込むのは……やっぱり、非現実的)
川r▼-゚) o O(一人二人ならまだしも、全体だぞ。 ゼッタイに、何人かおこぼれが生まれる。
俗に言う裏切りの裏切り、内部告発………)
川r▼-゚) o O(その瞬間に全てが終わる、このリスク。
私が “黒幕” だったなら……まあ、間違いなくこの一つ目の可能性には手を出さない)
川r▼-゚) o O(二つ目、仕掛け………まあ、こいつは、ない。
どの道、この刑務所に、監視カメラの死角など存在しないんだ)
川r▼-゚) o O(ありえるとするなら地下……でも、地下にそんな異常はなかった。
穴を掘って脱獄――なんて、いまの時代、ありえないんだ)
川r▼-゚) o O(定期的なチェックも存在する以上、この二つ目の可能性も、ない。
そもそも、そんな仕掛けを、 “黒幕” が仕込めるはずもないんだ)
川r▼-゚) o O(三つ目……ベルベットの、読み。 システムのほうの、不備。
消去法で考えるならこれしかないんだけど……この局面で、消去法は、命取りだ)
川r▼-゚) o O(しかし、そのシステムも、つまりはさっき自分で言ったセンサーやカメラなんだ。
そこに目立った異常はない……とすると、三つ目もなかったことになる……)
川r▼-゚) o O(………… “わからない” からこそ、脱走を許した。
ベルベットが、ここまで読んだ上でそう考えたとすると、この場に彼がいるのは心強いが……)
.
- 568 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:27:21 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚) o O(しかし……… “不備” だ)
川r▼-゚) o O(セキュリティにおける、不備。
こんなときこそ、ここはジョルジュにいてほしかったところだけど……)
川r▼-゚) o O(万が一にもありえないだろうとは言え、ジョルジュは、グレーだ。
ここは、やはり第三者である私とベルベットが、自力で見つけ出さないと……)
川r▼-゚) o O(私のようなまったくのローテク主義者となると、
システム上における “不備” なんて、そうそう思い浮かぶはずもない)
川r▼-゚) o O(目立った不備……故障、断線。 そんなものは、すぐに発覚するはずだ。
それこそ、警備部全体が黙認しないことには、そういった不備は消去される)
川r▼-゚) o O( “そういった” ……つまり、私たち第三者が思い浮かべることのできる、システム上の不備。
私たちにできることが実を結ばない、とすると…………)
川 r▼-) o O(………私も、ずいぶんと弱気になったものだな)
川r▼-゚) o O(不備、不備……
“不備” とは言うが、なにも不備とは故障がすべてじゃあない)
川r▼-゚) o O( “故障していない機械が機能しなくなる要因” ………それを、考えればいいんだ。
パソコンだって、キーボードが利かなくなったと思ったら埃が詰まっていた、ということがある)
川r▼-゚) o O(でも……それでも、センサー、監視カメラ云々といった、
すべての機械が、そう都合よくも一斉に機能しなくなる要因なんてあるか?)
川r▼-゚) o O(そういえば、この前……一ヶ月くらい、前か。
一瞬だけ、刑務所が停電に見舞われたことがあったけど………)
川r▼-゚)
.
- 569 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:28:37 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)
川r▼-゚)
川r▼-゚) o O(………一瞬…… “ありえる” と思ってしまったから、たちが悪い)
川r▼-゚) o O(ばかな。 たしかに少しの間は脱獄が懸念されていたけど、
チェックしても誰一人として牢獄から出ていなかったし、
今日に至るまでずっと牢獄に確認されたはずだ)
川r▼-゚) o O(―――………でも)
川r▼-゚) o O(さっきまでの論理にもとづくなら……
【ゼロ級】死刑囚たちに脱獄を許す条件は、
あらゆるシステムが他の要因によって機能しなくなる、その一瞬の間のみ………!)
川r▼-゚) o O(停電……ばかな。 それこそ、警備部の黙認が……
いや、もし停電の隙に逃げたとするなら、この一か月防犯カメラに映っていたのは、いったいダレなんだ)
川r▼-゚) o O(あの映像を見るのは警備部だけじゃあない。
要求されたら警察にも提供するし、統括部もチェックするはず。
《ミラージュ・イン・ザ・ミラー》 が六人も七人も存在しない限り、この仮説は……)
川r▼-゚) o O(…………仮説?)
.
- 570 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:29:42 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚) o O(………そうだ)
川r▼-゚) o O(このたびのワレワレの方針は…… “手当たり次第” のはずだ)
川r▼-゚) o O( “手当たり次第” こなしていくなら、たとえそれがありえないからといって、
それが仮説である以上は、ためしてみなくちゃあだめなんだ)
川r▼-゚) o O(………よし)
i! 川r▼-゚)「ベルベット。 いま、きみはなにをしている?」 ガタッ
( <●><●>)「……見てのとおり、監視カメラの映像を、チェックしています」
川r▼-゚)「ちょうどよかった。 カメラ、だけど、ちょっと確かめたいことがある」
( <●><●>)「確かめたいこと?」
川r▼-゚)「一ヶ月ほど前……この刑務所は、少しの間停電に見舞われただろ。
. たしか、そのことは警察のほうにも届いてるはずだけど」
( <●><●>)「たしかに、記憶に新しいですね」
川r▼-゚)「そこで………だ」
.
- 571 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:31:06 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「ベルベット、見る映像を替えるんだ」
川r▼-゚)「一ヶ月前……停電の起こった、直後!」
川r▼-゚)「そこに……ひょっとすると、もしかすると、なにかがあるのかも……しれない。」
( <●><●>)「もう、見てます」
川▼д゚)
.
- 572 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:32:23 ID:DcHekbiw0
-
川▼д゚)
( <●><●>)「しかし……驚くほどに、異常が、見当たらない。
オサムを除く牢獄を出た六人が、皆規則どおりの毎日を送っているのです」
川▼д゚)
( <●><●>)「オサムは……まあ、そもそも彼自身がイレギュラーですから、
それに一応彼は 『DDRer』 側の人間ですから、目をつむるにしても……」
川▼д゚)
( <●><●>)「ロマネスクも、オトジャも、ツーも、ギコも、フォックスも、キュートも。
特になにか変わったアクションを起こすことなく、今日に至るまでを過ごしていたようです」
川▼д゚)
( <●><●>)「触れるつもりはなかったがしかたない。 どうしました?」
川▼д゚)
川#▼-゚)「………もう見てたのかよ!」
( <●><●>)「読みだけは【ゼロ級】ですから……」
.
- 573 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:33:33 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「しかし……私が言うまでもなく “ここ” にたどり着けた、それだけで十分だと思います。
いちいち私が説明をほどこすようでは、まるで時間が足りなくなりますから」
川r▼-゚)「ま、まあ……そんなのはいいとして、だ」
川r▼-゚)「ほ、ほんとうに……その。
. なにも………ないの? なんにも?」
( <●><)「………」
( <●><●>)「点呼のほうは、どんな感じだったのですか」
川r▼-゚)「点呼だけどな……【ゼロ級】判定の囚人の場合、人は使わないんだ。
. そいつも、機械を使ってするし……それに、カメラやセンサーと違って、
. ただ0か1の判定をするだけの点呼なら、ぶっちゃけた話いくらでも細工が利く」
川r▼-゚)「センサーもいまとなっては意味がないから……カメラ。
. カメラの映像しか、手がかりが………ないんだ。 私の知る限り、では」
( <●><)「そうです、か………」
.
- 574 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:34:46 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「………そういえば、あなた」
川r▼-゚)「…ん?」
( <●><●>)「カメラを “見る” 点については、私よりあなたのほうが向いていると思うのですが。
腐っても、【ゼロ級】の眼。 影の濃淡から空気の流れから、なにかが掴めるかも……」
川 r▼-)「………」
( <●><●>)「……クール、さん?」
川 r▼-)「…………ごめん」
( <●><●>)” 「…?」
川r▼-゚)「ちょっと……自信が、ない」
( <●><●>)「自信……ですって?」
川r▼-゚)「いまでこそ、【DDR】の渦中だからって平生をよそおっているけど……」
川r▼-゚)「実を言うと………もう、私の眼に【ゼロ級】の力なんて、宿っていないと思う」
川r▼-゚)「片目が失っただけで………見える世界が、まるで違うんだ」
.
- 575 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:36:03 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「そ、それは……」
( <●><●>)「………さっきの今で、すぐに適応しろ、とは言いません。
しかし、それと自信とは、」
川 r▼-)「戦場に出た男の右腕がもげてみろ、もうその傭兵は死への一途をたどるだけになる」
( <●><●>)「…、」
川 r▼-)「なぜか? ……それまで、本来あったものを前提にした動きしかできなかったからだ」
川 r▼-)「たとえそいつが手練の傭兵だったとしても、腕一本が消えた瞬間、
それまでの経験値は白紙に戻り、ただがたいがいいだけのでくの坊になる。
“そいつ” は、 “そいつ” じゃなくなるんだよ」
( <●><●>)「それはそうですが、」
川 r▼-)「それに」
( <●><●>)「…ッ」
川 r▼-)「それまであって当たり前だったものが消えた、
言い換えたら、精神の支えが消えたようなものなんだ」
川 r▼-)「つ、つまり、そんな、技能的にも、経験的にも、精神的にも、
実質的にも生理的にも物理的にも心理的にも “私” は “私” じゃなくなったんだ!」
.
- 576 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:37:12 ID:DcHekbiw0
-
.
- 577 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:38:09 ID:DcHekbiw0
-
( <●><●>)「……ッ!」
川 r▼-)「みんなが必死になってるさなかで、私一人だけが弱音を吐くわけにはいかないけど……
でも………ムリ。 ただ、視力がほかよりいいだけの、でくの坊だよ、クールって奴は」
川r▼-゚)「………それに、さすがに両目があったとして、
. モニターの向こう側の空気の流れまでは視るなんてできないけど、な」
川 r▼-)「……それはさておき……
停電後が一番怪しかったのが、そこに異常がなかったとすると……どうなるんだろうな、コレ」
川 r▼-)「連中は、そろいも揃って【ゼロ級】死刑囚だ。
キュート以外はまずクチを割ることなんてないし、キュートの証言も果たして信憑性があるのかどうか」
川r▼-゚)「 “黒幕” に、 “裏切り者” 。
. 前者に見当はなくて、後者は存在がそもそも不明、ときた」
川r▼-゚)「……………チェックメイト、かな?」
( <●><●>)「―――チェックメイトではありません。 今は、まだチェックの段階です」
.
- 578 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:38:52 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「……?」
( <●><●>)「チェックメイトは、すなわち手詰まりを意味する」
( <●><●>)「正確には、まだ、チェック……ただ王手をかけられただけ、なのです」
川r▼-゚)「なにを………まだ、可能性があった、の、か?」
( <●><●>)「この、停電後からの監視カメラ…」
川r▼-゚)「…?」
( <●><●>)「細工があったとすれば、ここしか考えられません」
( <●><●>)「しかし、いままで刑務所の人間の目を欺いてきただけのことはあって、
この分野では一般人に過ぎない私が見たところで、なにもわからなかった」
川r▼-゚)「いや、私は……」
( <●><●>)「………あなた、まだ、わかりませんか?」
川r▼-゚)「え、え…?」
( <●><●>)「 “両目” で見えるものは、 “三次元” 」
( <●><●>)「一方で………」
( <●><●>)「 “片目” で見えるものは、 “二次元” ―――なのですよ」
.
- 579 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:39:33 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「 ……… ……、」
川r▼-゚)「ちょ、ちょっと言ってる意味がわから…、」
( <●><●>)「あなたは、たしかに “三次元” を視る【ゼロ級】の力は、失った」
( <●><●>)「でも、代わりに得たものがあるじゃありませんか!」
川r▼-゚)「か、代わり……?」
( <●><●>)「 “二次元” を視る【ゼロ級】の力!」
( <●><●>)「そして、この監視カメラの映像は、ずばり “二次元” ―――なのです!」
.
- 580 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:40:38 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)「…ッ」
( <●><●>)「一般人の力と、【ゼロ級】の力」
( <●><●>)「その差が歴然としていることは、はっきりとしている」
( <●><●>)「もしオリンピック出場の権利がくだるのであれば、
世界の走りに関する競技はすべてシィさんとキュートが歴代一位をかっさらってしまうでしょう」
( <●><●>)「ヘビー級ボクサーの世界チャンプでさえ、ツンデレシアさんの細腕には敵わない。
過去最大重量の横綱と向かい合ったところで、彼女の張り手ひとつで試合は決します」
( <●><●>)「世界一の棋士ですら敵わないとされているスーパーコンピュータ搭載と将棋を指そうと、
私なら一手の狂いもなく、考えられる限り最短の攻めで打ち崩すことができる」
( <●><●>)「それもこれも、すべて皆が持っているそれらの力が【ゼロ級】だからなのです」
( <●><●>)「そして……このことを今のあなたに置き換えるならば」
( <●><●>)「唯一残った可能性」
( <●><●>)「それを掬い取ることのできるのは、唯一、あなただけ――ということに、なる」
.
- 581 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:41:19 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)
( <●><●>)「失ったのは、視力じゃない。 自信だけ、です。
もし、あなたがかつて【ゼロ級】の眼を持っていた、なら、可能なのですよ」
( <●><●>)「 《ヒーロー・オブ・ナイトメア》 でも 《マザーブレイン》 でも、
《サウザンド・アイ》 でさえできないことが、あなた、なら」
( <●><●>)「 《ワンハンドレッド・アイ》 なら……ッ!」
.
- 582 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:42:00 ID:DcHekbiw0
-
川r▼-゚)
川r▼-゚)
川r▼-゚)
川r▼-゚)「……」
川r▼-゚)「……」
川r▼-゚)「……」
( <●><●>)「……クール、さん?――」
(( 川 r▼-)「……代われ」 スタスタ
( <●><●>)「…!」
.
- 583 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:42:54 ID:DcHekbiw0
-
i! 川 r▼-)「これは、いつの映像?」 カタ…
( <●><●>)「…ッ、ちょうど停電直後の【ゼロ級】死刑囚の各牢獄をサムネイルで映しているものです」
川 r▼-)「そして、違和感はない、と」
( <●><●>)「私、一般人が見た限りでは」
川 r▼-)「………」
( <●><●>)「私は、一応、この映像にトリックがないケースのことを考えておきます」
川 r▼-)「………」
( <●><●>)「…………じゃあ」
( <●><●>)「 頼んだぞ 」
.
- 584 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:43:46 ID:DcHekbiw0
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- 585 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:44:50 ID:DcHekbiw0
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―――― ワンハンドレッド・アイ ――――
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- 586 名前:名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 17:45:51 ID:DcHekbiw0
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