259 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:31:40 ID:3APb0rd20
川д川「……」

川д川「……」

川д゚川「……ん―」

川д川「ふあぁ……よく寝たわぁ」

川д川(今の時間はぁ、昼過ぎの3:30ねぇ)ムクッ

川д川(そういやぁ昨日ヒートが泊まってったっけぇ? 確か今日はぽぽの姐さんと出掛けてくるような事を言ってたわなぁ?)スタスタ

川;д川(あの2人ちょくちょく出掛けてるみたいだけどよぉ、いつの間に仲良くなったんだかぁ)スタスタ

川д川(……)

川д川(つか腹減ったぁ。冷蔵庫に何かあるかねぇ?)ガチャ

260 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:32:54 ID:3APb0rd20
川*д川「おぉ! オムライスじゃねぇかぁ! ヒートのやつ気が利くじゃねぇかぁ」

川д川(ヒートのオムライスって美味いんだよなぁ……早速レンチンっとぉ)ガチャ バタン ジー

川д川(ん―……でも寝起きにしちゃあかなりの空腹感)

川д川(デザートにバニラアイスでも食うかぁ。確か作っといたラムレーズンがいい感じに仕上がってる筈ぅ)ガチャガチャ

川д゚川(おっ、あったあったぁ。味見ぃっとぉ)パカッ

川〜川「……ん」モグモグ

川∀川「良しっ、悪くないわなぁ」

川∀川(俺好みの甘めに仕上がってるぜぇ。まあ浸け酒に『ドランブイ』も混ぜたからなぁ)

川д川(あっ、そういやぁラムレーズン用の『マイヤーズ』が中途半端に余ってたなぁ)

川д川(ヒートが製菓の材料にするかねぇ? いやぁ、でもほぼ1口で飲みきっちまう量しか残って無ぇしなぁ)

川д川(……)

川*д川(いいやぁ、飲んじまえぇ!)

261 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:35:38 ID:3APb0rd20


【マイヤーズ・ラム】


酒を飲まない人でも1度は目にしたことがあろう、日本では恐らく一番有名なラムがこの『マイヤーズ・ラム』だろう。
アルコール度数は40°。

ジャマイカで作られるこのダークラムは、200種類以上の原酒から20種類だけを厳選して大樽にて4年をかけ熟成、そしてブレンドするという大変手間のかかった1品。

だがその味は何故か日本人の味覚にはマッチし難いらしく、ストレートやロックで味わうよりも、むしろ製菓の風味付けやラムレーズンの浸け酒として利用されやすい。

ちなみにバニラアイスや紅茶に垂らして味わっても、なかなか美味。



.

262 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:38:27 ID:3APb0rd20
川д川「……」ゴクゴクゴクゴク

川;д川「……ぷはぁ! あぁ、やっぱりマイヤーズの味は独特だわなぁ」カラン

川;д川「ダークラムだから甘いしコクもあるにはあるんだがなぁ」

川;д川「う―ん……」

川д川「まぁ、ラムレーズンもしくは製菓専門酒だわなぁ。俺の中ではぁ」

川д゚川(つっても菓子作るのなんざぁ、ヒートくらい何だけどなぁ。アイツの焼いたケーキやらクッキーって酒がいっぱい使ってあって美味いんだよなぁ)


チーン


川д川(おっ、オムライス温まったなぁ)ガチャ

川;д川(アチチッ……うしっ、テーブルに並べてぇ)コトッ

263 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:39:49 ID:3APb0rd20
川д川(んでぇ隣にはラムレーズンをたっぷり乗せたバニラアイスをっとぉ)コトッ

川―川(んん……なかなかに豪勢な朝食じゃねえかぁ。既に夕方に差し掛かってるけどぉ)

川д川「んじゃ、頂きまぁす。っとぉ」

川〜川「……」ムシャムシャ

川*〜川「……相変わらず美味いわなぁ、ヒートの飯ぃ」ムシャムシャ

川*〜川「……」ムシャムシャ

川〜川(……アイツが家事やら何やらをやりだす前は飯なんざぁ、買いだめしたカップ麺やデリバリーばっかりだったからなぁ)ムシャムシャ

川〜川(つぅかもうすぐヒートが来るようになって半年かぁ? 早いもんだよなぁ)ムシャムシャ

川〜川(……)ムシャムシャ

川〜川(……)ムシャムシャ







川д゚川「半年。ねぇ」







.

264 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:40:42 ID:3APb0rd20





【糞ったれBAR NEETのようです】



     【OPEN】






.

265 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:44:04 ID:3APb0rd20
【ダイニングバー De-mi】


ノハ;ー匆)「はぁ……」

(;*‘ω‘ *)「珍しくヒートから食事に誘われたと思ったら開口一番タメ息ってどういう事だっぽ」

ノハ;ー听)「いや、ここ最近に限って私のSAN値をゴリゴリと削っていくような出来事ばかりが起きていてな……流石の私も色々と参ってるんだよ」

(*‘ω‘ *)「ふ―ん。きっぷのいい姉御肌(正し恋愛事を除く)のヒートにしては珍しくヘロヘロじゃないかっぽ」

(´・_ゝ・`)「お待たせ致しました。こちら『モヒート』と『バーボンソーダ』でございます」

(*‘ω‘ *)「ああ、バーボンはこっちだっぽ」

ノハー匆)「どうも」ゴクゴク

266 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:44:45 ID:3APb0rd20
(*ーω‘ *)「辛気くさい顔でモヒートなんか飲むなっぽ。口に合わなかったとか?」

ノハ;ー听)「いや、酒は美味いんだが……」

(*ーωー *)「全く。話くらい聴いてやるから何があったか言ってみろっぽ」

ノハー匆)「ああ。まあ、アレだ。簡単に言うとだな」














ノパ听)「先日、友人の結婚式に(*‘ω‘ *)「オッケ―分かったからもう話さなくて大丈夫だっぽ」










.

267 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:46:09 ID:3APb0rd20
ノハ#゚听)「おい! 話を聴いてくれるんじゃなかったのか!?」

(;*ーω‘ *)「察せ。私達の年齢で結婚の話はマジでシャレにならんっぽ」

ノハ;゚听)「ぽぽは別にいいじゃないか! ワカッテマスさんも居るし! しかも25歳!! 私なんか四捨五入したら30の27歳だぞ!?」

(;*‘ω‘ *)「落ち着け、25も四捨五入したら30だっぽ。どんだけテンパってるんだっぽ」

ノハ;ー听)「2年の歳月の差は大きいんだよ……というかぽぽも結婚の話とか意識するんだな?」

(*‘ω‘ *)「ん、意外そうな顔だな?」

ノパ听)「そりゃ、まあ。ワカッテマスさんと婚約までしてるんだから結婚したも同然じゃないか」

(*‘ω‘ *)「まあ、ねえ。ただ私達の場合は婚約の期間が長いから逆に結婚のタイミングが掴めね―んだっぽ」

ノパ听)「はぁ……なるほどなぁ」

268 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:49:35 ID:3APb0rd20
(*‘ω‘ *)「一応はビロが一人立ちしたら結婚。って話は出てるけど、あのブラコンのバカッテマスの事だから、なるべく長くビロードと同居してたいだろうし」

ノパ听)「確かに、ワカッテマスさんって見掛けによらず弟さんを溺愛してるな。弟さんの話になるとコロッと機嫌が良くなるし」

(*‘ω‘ *)「歳が離れた義理兄弟だからな。弟半分、息子半分って感じで可愛いくてたまらないんだろうっぽ」

ノパ听)「はぁ……なるほどな」

ノパ听)(……)












ノハ;゚听)そ(……ん!? 今サラッと重大な事を言わなかったか!?)

269 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:50:48 ID:3APb0rd20
(*‘ω‘ *)「まぁ、話を戻すっぽ」

ノハ;゚听)「ん? あ、ああ」

(*ーω‘ *)「結婚云々はともかく、ヒートにはミルナがいるじゃね―かっぽ。そんな焦る事でもね―だろっぽ」

ノハ;ー匆)「そうなんだけどさぁ……出会ってから半年近くたつのに関係性が何も変わって無いのは色々と不安になるんだよ」

(*‘ω‘ *)(そうか? 口に出さないだけでミルナもだいぶヒートに気を許してる気がするっぽ?)

ノハ;ー匆)「おまけに、妹のクールだよ」

(*‘ω‘ *)「ん? あのクールビューティーって感じの黒髪ロングの妹さん? 確か近いうちにバーを開くんだとか」

ノハ;゚听)「ダイニングバーな。まあ、そのクールなんだけどな。アイツにまで最近恋人が出来てしまって……」

ノハ;ー听)「事あるごとに『ヒー姉さんも行動を起こさないとミルナはなかなか落とせないぞ?』なんて、からかってくる始末だ」

(*‘ω‘ *)「あ―まあ、それは正論だっぽ。実際言われたら腹立つだろうけど」

270 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:51:48 ID:3APb0rd20
ノハー匆)「しかもクールの新しい恋人はウチの店のスタッフなんだよ。特に意識した訳じゃ無いが結果的に私が2人の仲を取り持ったような形になってしまって」

ノハ;ー匆)「借りを作りたくないのかは知らないが、最近やけにクールのやつがミルナとの仲を取り持とうとするんだよ」

(*ーω‘ *)(あの美人を落とした男か……私はてっきり妹の方もミルナに気があるのかと思ってたけど外れたかっぽ)

ノハ;´兪)「はぁ……そりゃ私だってミルナと恋人になれたらどんなに幸せだろうか」

(*‘ω‘ *)「つ―か月の半分をミルナんとこで過ごしてるのに未だにセックスどころかキスの1つもしていないのが、おかしい話なんだっぽ」

ノハ;////)そ「セッ!? そそそそそ外にいるのに女の子がそんな話したらダメだろっ!?」

(*‘ω‘ *)(あら可愛い。可愛い反応だけどヒートが美人じゃなかったらイラッとして手が出てたかもしれね―けど)

(*ーωー *)「ハァ……しゃ―ね―っぽ」

271 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:53:19 ID:3APb0rd20
ノパ听)「へ?」

(*‘ω‘ *)「お節介は百も承知。この椿野ぽっぽ様が意気地無しのラムマニア乙女の為に一肌脱いでやるっぽ!」

ノハ;゚听)「意気地無し言うな! それからラムマニアは余計だ!! あってるけど……」

(*ーω‘ *)「はいはい、ツッコミは事案が片付いたら嫌ってほど聴いてやるっぽ。さてさて携帯ピポパっと……」プルプル

(*‘ω‘ *)「もしもし、ビロードかっぽ? 今暇かっぽ? ああ良かった良かった、なら飯奢るからちょっとこれから付き合ってほしいっぽ」

(*‘ω‘ *)「んじゃ30分後に駅近くの交番前で。待ってるっぽ―」プチッ

ノハ;゚听)「ちょっ!? 弟君まで呼び出して一体何をするつもりなんだ!?」

(*ーωー *)「あぁん? んなもん決まってるだろっぽ」














(*ーω‘ *)+「初な乙女(コドモ)を華麗な女性(オンナ)に変える、素敵な魔法をかけてやるんだよ」



.

272 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:54:33 ID:3APb0rd20
…………………………………………

…………………………………

…………………………

…………………

……………

………



273 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:55:16 ID:3APb0rd20
川;д川「ん―……久々にPC弄ってると肩こるぜぇ」

川д川「つぅかもう夜の10時かぁ。ここ最近ゆっくりネトゲなんかやれなかったからなぁ、久々にのめり込んじまったわぁ」

川д川「……」

川д゚川(ヒートが今日も泊まるとしたらぁ、そろそろかぁ?)



ガチャガチャ カランカラン



川д川「おぉ―ヒートォ。なかなか遅かったじゃ……」




川;д゚川「ねぇ……かぁ……?」

274 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/15(水) 23:58:21 ID:3APb0rd20
ノハ;////)「……うぅ」モジモジ



川;д゚川「お……おぉ?」

川;д゚川(どういう事だぁ? 普段は絶対にパンツルックに薄化粧のヒートがぁ)



ノハ;////)「やっ、やっぱり恥ずかしいよぉ……」モジモジ



川;д゚川(何かスッゲ―キラキラしたドレスにトランスフォームしてるんですけどぉ!?)

(*‘ω‘ *)「どうだミルナ。ヒートを見る目が変わったかっぽ?」ヒョコッ

川;д川「ぽぽの姐さん? こいつぁ一体ぃ……?」

275 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:01:02 ID:Wsx5kK8U0
(*‘ω‘ *)「まあ普段からヒートには仲良くしてもらってるし。私からのプレゼントって訳だっぽ」

( ><)「ちなみにコーディネートは僕が監督したんです! 服飾専門学生として全力で頑張ってみたんです!!」ヒョコ

川;д川「ビロ坊までぇ」

(*‘ω‘ *)「メイクは私が担当したっぽ。まあ元が美人だからあんまいじる必要はね―けどドレスに合わせて暖色系にまとめたっぽ」

(* ><)「ヒートお姉ちゃんにはやっぱり赤が似合うんです!!」



ノハ;////)「ドレスなんて初めてだよぉ……うぅ……!!」モジモジ



川д川(思わず目を引く赤のドレス。普通の女が着てたら悪趣味だってケチつけてるとこだろうがぁ……)

川д゚川(……あぁ……普通によぉ……)






川д川「……綺麗だぁ……」ボソッ


.

276 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:03:23 ID:Wsx5kK8U0
ノハ;////)そ「ふえぇっ!?」ビクッ



(*‘ω‘ *)「ぽっぽっぽ。さてさて、お節介な魔女と可愛い弟はそろそろ退場させてもらうっぽ。これからビロードとディナーの約束があるんだっぽ」

(* ><)「えへへ。ヒートお姉ちゃんもミルナお兄ちゃんもまた遊びに来るんです!」

(*‘ω‘ *)「あっ、最後にミルナ。ちょい耳貸せっぽ」グイッ

川;д゚川「おっ、おぉ!?」






(*ーω‘ *)「女が腹くくってんだ。逃げんなよ?」ボソッ






(*‘ω‘ *)「んじゃ今度こそ退散するっぽ。お二人とも、いい夜を」

( ><)「お休みなさいなんです!」




ガチャ カランカラン


.

277 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:04:37 ID:Wsx5kK8U0
川д川「……」

ノハ;゚听)「……」

川д川「……」

ノハ;゚听)「……」

川;д゚川(えぇ―……どうすればいいのぉ!? 何をすれば正解なんだよこの空気ぃ!?)

ノハ;゚〜゚)(やっぱり似合ってないのかなぁ……でもさっき確かに『綺麗』って言ってくれたよね?)

川;д川「……」

ノハ;ー〜ー)「……」

川;д゚川(あぁ――……とりあえずぅ)

ノハ;゚听)(うぅ〜……よしっ!!)

278 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:05:18 ID:Wsx5kK8U0







ノハ;゚听)「「あのさぁ!」」川゚д;川












川д川「……」

ノパ听)「……」



.

279 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:06:01 ID:Wsx5kK8U0
川∀川「……ケッケッケッ」

ノハ*゚―゚)「……フフフッ」

川д川「あれだぁ。酒でもぉ、飲むかぁ?」

ノハー听)「そうだな。変に固くなるのは、私達に似合わないしな」

川д川「何にするぅ? 今の俺はよぉ、不思議な事にヒートとラムが飲みてぇ気分なんだよぉ」

ノパ听)「そうか。じゃあ『ロンサカパ』の23年なんかどうだ?」

川∀川「おぉ、いいねぇ。甘くて最高じゃねぇかぁ!」

ノハー听)「高級ラムの定番だからな。あぁ、飲み方は」

ノパ听)「「ストレート。常温ツーフィンガーで」」川д川

ノハ*゚听)「あっ……」

川∀川「分かってるっつうのぉ……ケッケッケッ」

ノハ*゚―゚)「……フフッ」

280 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:06:43 ID:Wsx5kK8U0


【ロン・サカパ・センテナリオ23年】


高級ラム酒と言われたら先ず間違いなく名前が挙がるであろうプレミアムなラムがある。
その名は『ロン・サカパ・センテナリオ23年』、通称『ロンサカパ23』だ。
アルコール度数は40°。

ソレラシステムを採用したロンサカパのその味わいは甘く、濃厚。
ダークラムの魅力を凝縮したその味わいはバニラやキャラメル、チョコレートやドライフルーツを思わせる甘さと、上質なウィスキーに勝るとも劣ることの無い芳醇な香りが特徴。

値段は1本4000〜5000円前後と少々値が張るが、バーで機会があったら是非とも試して頂きたい最高のラム酒だ。


.

282 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:07:58 ID:Wsx5kK8U0
川д川「んじゃ」

ノパ听)「とりあえず」

ノハー听)「「乾杯」」川д川カチン

川д川「……」チビ

ノパ听)「……」チビ

川*∀川「ケッケッケッ! やっぱ甘くて美味いわなぁ」

ノハ*゚听)「あぁ。やはりいつ味わっても最高の酒だよ」

川*д川「ふんわり広がる香りが上品でたまんねぇ。融けるようなバニリン、チョコレート、ドライのアプリコットォ」

ノハ*゚听)「うん。濃厚で、上品で、なおかつ」

ノハ*ー匆)「優しい味だ」チビ

川*д川「だわなぁ」チビ

283 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:08:52 ID:Wsx5kK8U0
ノパ听)「……」

川д川「……」

ノハー匆)(……何故だろう。さっきまであんなに慌てふためいてたのに)

川д゚川(まあ、あれだわなぁ。こういう沈黙も悪く無いわなぁ?)

ノハー匆)「……」

川д川「……ドレスゥ、似合うじゃねぇかぁ」チビ

ノハー听)「そうか? そう言ってくれると」

ノハ*゚―゚)「嬉しいな。うん、やっぱり」チビ

川д川「そりゃあ良かったぁ」

284 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:09:33 ID:Wsx5kK8U0
川д川(口内に広がるラムの香りぃ。甘い甘いラムの香りぃ)

川д川(流れるジャズは俺の趣味だぁ。適当な曲を適当にぃ、いつもの感じで流してるだけだっつうのによぉ)

川д゚川(どうしたっていうんですかねぇ? 今日の俺はぁ?)




ノハー匆)「……」チビ




川д川(甘い香りに、甘い雰囲気に、甘い女に)






ノパ听)「」







川―川(まるで、酔ってるようでぇ……)


.

286 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:10:19 ID:Wsx5kK8U0
ノハー听)「……ん」カラン

川д川「美味かったぁ」カラン

ノハ*゚听)「ラムはいいな。やはり、美味い」

川д川「つぅかよぉ。前から聴きたかったんだけどよぉ、どうしたってヒートはそんなにラムが好きなんだぁ」

ノパ听)「ん? ああ。そう言えばこの話はしていなかったな」

ノハー匆)「……せっかくだから、飲みながら話すよ。私の人生で、大事な酒(ラム)を飲みながら」

川д川「銘柄はぁ?」

ノパ听)「『パンペロ』。『パンペロ アニヴァサリオ』を頼むよ」

川д゚川(意外な銘柄だなぁ)

287 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:11:00 ID:Wsx5kK8U0


【パンペロ・アニヴァサリオ】


なんとも特徴的な皮袋に入っているのが目印のコロコロとしたラムの名は『パンペロ』。
アルコール度数は40°。

ラム好きからは好評の理由はそのコストパフォーマンスの高さ。
2000円台前半で購入出来るにも関わらず、その味わい、香り、余韻と総合的に評価すると
下手な4000円台のラム酒よりも美味なのだ。

入手難易度もそこまで高いわけではないので、ストレートやロックで楽しむラムの入門として強くオススメしたい。


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288 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:12:02 ID:Wsx5kK8U0
ノハー听)「意外だと思っただろ? だがこれが私の思い出の酒なんだ」

川д川「確かによぉ、美味い酒だがこれよりクオリティの高いラムは腐るほどあるしなぁ?」チビ

ノパ听)「その通りだ。だが、この『パンペロ』は私の青春、そのものなんだ」チビ

川д川「ふぅん……?」

ノハー匆)「16の頃、私は叔父が経営する小さなカフェバーでバイトをしていた。叔父は優しかったがどこか厳格な人でね、もちろん未成年だから酒は飲ませてくれなかった」

ノハー匆)「裏の厨房越しから見る、シェイカーを振る叔父の姿に憧れたよ。いつか私も早くああなりたい。そして早く酒というものを味わってみたい、と」

川д川「……」チビ

289 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:12:49 ID:Wsx5kK8U0
ノパ听)「バイトを初めて半年ほど経った時だった。まだ夜にもなっていないというのに団体のお客さんが入ってね。店はとにかく忙しかった」

ノパ听)「そんな時、叔父も客から相当飲まされてね。普段の温和ながら厳格な態度からは想像できない程に愉しそうに酔っていた」

ノパ听)「そして叔父は料理を運ぶ私に手招きして、赤い顔でこう言ったんだ」

ノパ听)「『ヒート。今日は特別だ。特別に1杯だけ、お酒を飲んでもいいよ。好きなの、指差しな』ってね」

川д川「……」チビ

ノハー匆)「私は嬉しかった。予想もしないタイミングで酒と言うものを味わうチャンスを手に入れたからね」

ノパ听)「だがそれと同時に困惑した。スピリッツやリキュールの違いも分からない子供だったからな。何を選べばいいか分からなかったんだ」

ノパ听)「だから私は直感に任せる事にした。何となく、目についた酒を指差したんだ」

ノハー匆)「薄汚れた皮袋に包まれた、背の低い酒をね」

川д川「……」チビ

290 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:13:30 ID:Wsx5kK8U0
ノパ听)「今でも覚えてるよ。ショットグラスに注がれた、あのダークブラウンの色」

ノパ听)「恐る恐る口づけた私の口の中は偉い騒ぎだったよ。スピリッツ独特の高いアルコール度数の熱」

ノハー匆)「ラム独特の香りに苦み、子供の口では上手く説明できない甘味のような風味、そして香り」

ノパ听)「だが、そういう複雑なものよりも。何よりも私が思い浮かべた表現がたった1つだけあったんだ。子供らしい、ティスティングの表現にすら使えない、拙い言葉さ」

ノハ#ー匆)「……!」クイッ

ノハー匆)「……」ゴクリ

ノパ听)「この酒には、ラム酒には」






ノハ*゚―゚)「『幸せの味』がしたんだよ」







川д川「……」チビ

291 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:14:12 ID:Wsx5kK8U0
ノハー听)「……これが、私がラムにハマったきっかけさ」カラン

川д゚川「なかなか感慨深い話じゃねぇかぁ。ヒートのラム狂いっぷりにそんな経緯があったとはなぁ」

ノハ;ー听)「ラム狂いとは言ってくれる。大体ミルナは私の事を全然知らないじゃないか」

川д゚川「そうかぁ? 普段はしっかりしてる癖に変なところでトチ狂ったように暴走するのは知ってるぜぇ」

ノハ;゚听)「しっ……失礼な事を言うな!! 仕方無いだろうが!! 恋愛事に関しては経験不足なんだからっ!!」

川∀川「ケッケッケッ。そりゃあ失礼しましたぁ」チビ

ノハ;ー匆)「……ったく」

川д川「……」チビ

292 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:14:54 ID:Wsx5kK8U0
ノパ听)「……」

ノハー匆)「……ミルナは、まだ私について知らない事が沢山あるだろう?」

川д川「……」チビ

ノパ听)「私だって一緒なんだ。私はまだミルナの事を知らない」

ノハー匆)「我ながら馬鹿な出逢い方だと思ってる。無理矢理押し掛けて、それでもミルナは嫌々相手にしてくれて、それに私はひたすら甘えて……それでも」

ノハ;゚听)「それでも私は知ってほしい。ミルナに私の事を、私の全てを。そして知りたいんだ、ミルナの事を。ミルナの全部を知りたいんだ」

ノハ;ー匆)「何でなんだろうって理由を必死に考えた。考えても、考えても、理由なんか最初から1つしかなかったんだ」

293 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:16:01 ID:Wsx5kK8U0
川дー川「……」チビチビ カラン




ノハ;  )「私は、私は……」

ノハ;  )「……」

ノハ;><)「……私はミルナの事が!!」











ノハ;><)「ミルナの事が好きなん川д川「少し黙ってろぉ」グイッ






.

294 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:16:48 ID:Wsx5kK8U0








「あっ……!!」











.

295 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:17:30 ID:Wsx5kK8U0
川д川「……」

ノハ*ー匆)「……」

川д川「……」

ノハ*ー匆)「……」

川д゚川「……俺はよぉ」

川д川「こんなに口が悪い癖にぃ、何でか知らねぇが人がいいとかよく言われるんだわなぁ」

川д゚川「まぁでもよぉ、いくらそんな風に言われる俺だとしてもぉ、好きでも無ぇ相手にぃ?」

296 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:18:11 ID:Wsx5kK8U0
川д゚川「怒鳴られながらも何だかんだ理不尽な特訓に付き合わされてぇ半ば強制的にバーテン扱いされたりぃ?」

川дー川「家事を一切合切任せたりぃ、ネトゲの時間を減らしてでも毎日のように一緒に酒飲んだりぃ?」

川д゚川「誰かさんが気持ちよく泊まれるようにコッソリと客間を念入りに掃除してみちゃったりぃ?」

川дー川「ましてやぁ、こうしてよぉ……」









川*―゚川「キスしたりなんざぁ、しねぇよぉ」









.

297 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:18:58 ID:Wsx5kK8U0
ノハ*゚听)「……ミルナ」

川―゚川「好きだよぉ、俺もぉ。ヒートが居ない生活なんざぁ今さら考えられねぇんだぁ」

ノハ*゚听)「……」

川дー川「悪かったなぁ、今までちゃんと言えなくてよぉ」

ノハ*ー∀ー)「……えへへ」

川д゚川「ん?」

ノハ*ー∀ー)「幸せの味だったよ、ミルナ?」

川д゚川「あぁん?」






ノハ*^竸)「私のファーストキスも、『ラムの味(幸せの味)』だったよ! ミルナ!!」






川д゚川「……」

川∀ー川「……ケッ。言いやがるぅ」

298 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:19:48 ID:Wsx5kK8U0
ノハ*ー匆)「なぁ、ミルナ。今の私は人生で一番の幸せを味わってるんだ。これがまるで夢なんじゃないかって疑うくらいに、幸せなんだ」

川д川「夢じゃねぇよぉ、糞ったれぇ」

ノハ*゚―゚)「うん、知ってる。それでも、頭のどこかがフワフワしてて、やっぱり夢みたいな気分なんだ」

ノハ*ー匆)「だから、さ……?」ギュッ

ノハ*゚听)「夢じゃないって、もう1回教えてよ」





ノハ*ー听)「唇(ここ)に……ね?」





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299 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:20:37 ID:Wsx5kK8U0
川дー川「あぁん?……ったくよぉ、甘えん坊ですねぇ俺の恋人はぁ」

ノハー匆)「嫌……か?」

川д゚川「嫌じゃ無ぇよぉ。別によぉ」

川―川「もう1回……だよなぁ?」

ノハ*ー匆)「うん」

川―川「……」スッ

ノハ*ー匆)「……」スッ















ガチャ バタンバタン


(* ・∀・)「仕事終わった――!! ミルナミルナ――頑張った僕にお酒を―――………」

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300 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:21:27 ID:Wsx5kK8U0
ノパ听)「……」

川д゚川「……」

( ・∀・)「ちょうだい……な……」

( ・∀・)「な……なんちゃってえ……?」

ノパ听)「……」

川д゚川「……」

( ・∀・)「あ―……」

ノパ听)「……」

川д゚川「……」

( ・∀・)「うん、あれだ。いや、何て言うか?」

ノパ听)「……」

川д゚川「……」

301 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:22:10 ID:Wsx5kK8U0
( ・∀・)「いや、あの邪魔する気とかは無かったんだよ本当うん。むしろ2人がそこまで進んでるなんて知らなかったな―ハハハハハこれはお祝いしなきゃな―ハハハハハハハハハハ」



(;・∀・)「ちょっ、あのヒート姐さんは何で構えてるの? なんで拳なんか振り上げてるの!? ミルナが持ってるのって酒瓶だよね!? 何で酒瓶振りかぶってる訳!?」



(# ;∀;)「待って待って待って待って下さいあの本当に邪魔する気とかは無かったんです本当に許して下さいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ――――――い!!」



ノハ#゚Д゚)「少しは空気を読め―――!!」

川#д゚川「この糞ったれのKY野郎がああああああぁぁぁぁぁぁ!!」


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302 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:22:59 ID:Wsx5kK8U0







ひぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!







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303 名前: ◆eOod7XM/js :2015/07/16(木) 00:24:01 ID:Wsx5kK8U0







     【CLOSE】







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